(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340054
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20180528BHJP
E06B 3/22 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/22
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-198274(P2016-198274)
(22)【出願日】2016年10月6日
(62)【分割の表示】特願2013-179990(P2013-179990)の分割
【原出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2016-223289(P2016-223289A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 良平
(72)【発明者】
【氏名】亀田 健治
【審査官】
桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−513754(JP,A)
【文献】
特開2012−154044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54−3/88
E06B 5/00−5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状を成すガラスパネルを備えた面材の四周縁部に、それぞれ面材の表面から面材の端面に渡る部分を覆うように框部材を設けた建具であって、
前記框部材には、その長手方向に沿って中空部が設けてあるとともに、前記中空部には、前記框部材の長手方向に沿って金属製の防火部材及び金属製の補強部材が配設してあり、
前記防火部材は前記中空部において前記面材の表面に並設される部分を有し、かつ前記補強部材は前記中空部において前記面材の端面に並設される部分を有し、
前記防火部材及び前記補強部材は、見込み方向に沿って互いに並設される部分を有していることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記防火部材には、加熱膨張材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記防火部材及び前記補強部材は、隔壁部によって離隔した個別の中空部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の建具には、面材を保持する框部材や枠部材等の枠構成部材が樹脂によって成形されたものがある。枠構成部材は、個々の内部に長手方向に沿った中空部を有したもので、互いに端部を留め継ぎすることによって矩形の枠状に構成される。具体的には、枠構成部材の端面が傾斜面、例えば45°の傾斜面を有するように構成されており、互いに熱溶着等の接合手段を用いて接合されている。この種の建具では、枠構成部材がアルミニウムやアルミニウム合金等の金属によって成形されたものに比べて断熱性に優れるため、例えば、室内外に気温差がある場合にも結露が防止される等の利点がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
反面、樹脂によって成形した枠構成部材は、金属製のものに比べて融点が低い。従って、火災発生時等のように高温状態となった場合には、比較的容易に面材が脱落する等の問題を招来する恐れがある。このため従来では、枠構成部材の中空部に鉄やステンレス等の金属から成る補強部材を配設するようにしている。補強部材の端部は、L字型に成形された連結部材によって互いに連結してある。こうした建具によれば、高温状態となった場合にも補強部材が残るため、面材が脱落する事態を防止することが可能となる。
【0004】
さらに従来の建具には、補強部材の表面に加熱膨張材を貼り付けることによって防火性を向上させるようにしたものも提供されている。この建具では、高温状態となった場合に膨張する加熱膨張材によって枠構成部材の中空部が塞がれることになり、室内外が貫通される事態を防止することができるようになる(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−192732号公報
【特許文献2】特開2006−307572号公報
【特許文献3】特開2010−248804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、建具としての防火性能を考慮すれば、補強部材の端面を枠構成部材の端面と同様の傾斜面を有するように構成し、互いの間にできるだけ隙間が無いように接合させることが好ましい。しかしながら、補強部材の端面を傾斜させた場合には、加熱膨張材についても端面の傾斜角度を一致させて補強部材に貼り付けることが好ましい。加熱膨張材は、通常、長尺状のものが用意されており、これを適宜切断して補強部材に貼り付けることになる。このため、加熱膨張材の端面を傾斜させた場合には、加熱膨張材を貼り付ける際に補強部材の傾斜角度と一致させることが好ましい。しかも、補強部材に対して加熱膨張材を貼り付ける位置が明確ではないため、都度貼り付け位置を確認する必要があり、建具の組立作業が煩雑化する。さらに、補強部材に対して加熱膨張材の傾斜面が一致しない場合には、傾斜方向を調整するために加熱膨張材を傾斜角度に沿って斜めに切断する必要があり、歩留まりの点でも不利となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、補強部材に対して加熱膨張材を貼り付ける作業を容易化し、かつ加熱膨張材の歩留まりを向上させることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、個々の内部に長手方向に沿った中空部を有し、互いに端部を留め継ぎすることによって矩形の枠状に構成した枠構成部材と、平板状を成す補強基部を有し、個々の枠構成部材の中空部に配設した金属製の補強部材と、前記枠構成部材の長手方向に沿って前記補強部材の見付け面に貼り付けた加熱膨張材とを備えた建具であって、前記補強部材における補強基部の端面には、留め継ぎする枠構成部材の端面に沿って延在する傾斜延在部と、前記補強部材の長手に直交する方向に沿って延在する直交延在部とを設け、前記直交延在部は、前記補強基部において加熱膨張材を貼り付ける位置の端部に形成したことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、補強部材の端面に傾斜延在部を設けているため、互いの間にできるだけ隙間が無いように接合させることができる。しかも、補強部材において加熱膨張材を貼り付ける位置には、長手に直交する方向に沿う直交延在部を設けているため、加熱膨張材の貼り付け作業を容易化し、かつ歩留まりを向上させることができる。
【0010】
また、本発明は、上述した建具において、前記直交延在部は、加熱膨張材の短手方向の幅以上の寸法を有するように形成したことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、直交延在部が加熱膨張材以上の幅を有したものであるため、補強部材に貼り付ける作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明は、上述した建具において、前記補強部材は、加熱膨張材を貼り付けた見付け面よりも外周側となる部位に、前記補強基部から直交する方向に延在する外周壁部を有したことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、外周壁部によって加熱膨張材が外周方向に膨張するのを抑制することができる。
【0014】
また、本発明は、上述した建具において、前記補強部材は、加熱膨張材を貼り付けた見付け面よりも内周側となる部位に、前記補強基部から直交する方向に延在する内周壁部を有したものであり、隣接する補強部材の内周壁部を金属製の連結部材によって互いに連結したことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、加熱膨張材の貼り付け位置に制限を加えることなく補強部材の端部間を連結することができる。
【0016】
また、本発明は、上述した建具において、前記連結部材は、L字状を成す連結基部と、連結基部から突出する係合片とを有し、前記補強部材の内周壁部に設けた溝孔に係合片を挿通させた状態でネジ止めすることにより、隣接する補強部材の間を連結することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、内周壁部の溝孔に係合片を挿通させることで連結部材の位置決めを行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、補強部材の端面に傾斜延在部を設けているため、互いの間にできるだけ隙間が無いように接合させることができる。しかも、補強部材において加熱膨張材を貼り付ける位置には、長手に直交する方向に沿う直交延在部を設けているため、加熱膨張材の貼り付け作業を容易化し、かつ歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である建具の縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した建具の要部を一部破断して示す拡大図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した建具の枠構成部材に設ける補強部材の要部斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した補強部材を別の角度から見た要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1〜
図3は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、開口枠10及び障子20を備え、開口枠10に対して障子20を室外側に向けて面外方向に押し開くように構成したたてすべり出し窓と称されるものである。
【0022】
開口枠10は、上枠部材(枠構成部材)11、下枠部材(枠構成部材)12及び左右の縦枠部材(枠構成部材)13を四周枠組みすることによって構成したものである。これらの枠部材11,12,13は、樹脂によって成形した押し出し形材であり、互いに端部を溶着接合して留め継ぎすることによって開口枠10を構成している。それぞれの枠部材11,12,13には、長手方向に沿って枠中空部11a,12a,13aが設けてあるとともに、枠中空部11a,12a,13aに枠補強部材14が配設してある。枠補強部材14は、枠部材11,12,13を形成する樹脂よりも融点の高い金属、例えばステンレスや鋼材によって成形したものである。
【0023】
障子20は、上框部材(枠構成部材)21、下框部材(枠構成部材)22及び左右の縦框部材(枠構成部材)23を四周框組みすることによって構成し、その内部に面材24を保持したものである。本実施の形態では、矩形状を成すフロートガラスパネル24aと、内部に金網を封入した矩形状を成す網入りガラスパネル24bとを備え、これら2枚のガラスパネル24a,24bがスペーサ24cを介して内外に配置された複層ガラスと称される面材24を適用している。2枚のガラスパネルは、フロートガラスパネル24aが室外側に配置され、網入りガラスパネル24bが室内側に配置される。図には明示していないが、面材24の周縁部には、金属製のガラス外れ止め24dが設けてある。
【0024】
面材24を保持する框部材21,22,23は、枠部材11,12,13と同様、樹脂によって成形した押し出し形材であり、互いの端部が45°の傾斜面21a,22a,23aを介して留め継ぎにより溶着接合してある。それぞれの框部材21,22,23は、長手方向に沿った框基部21A,22A,23A、外方カバー部21B,22B,23B及び内方カバー部21C,22C,23Cを有するように構成してある。
【0025】
框基部21A,22A,23Aは、面材24の端面を覆う中空部分であり、面材24の見込み寸法に対してわずかに大きな幅を有するように構成してある。框基部21A,22A,23Aの面材24に対向する内周見込み壁部21Aa,22Aa,23Aaにおいて室外側に位置する部分には、押縁25を装着するための装着溝21Ab,22Ab,23Abが形成してある。
【0026】
外方カバー部21B,22B,23Bは、框基部21A,22A,23Aの開口枠10に対向する外周見込み壁部21Ac,22Ac,23Acにおいて室外側に位置する部分から外方に突出した中空部分である。この外方カバー部21B,22B,23Bは、開口枠10に対して障子20を閉めた場合に開口枠10の室外側に向いた見付け面に対向するものである。外方カバー部21B,22B,23Bの室外側に向いた見付け面は、框基部21A,22A,23Aの室外側に向いた見付け面と同一の平面上となるように設けてある。
【0027】
内方カバー部21C,22C,23Cは、框基部21A,22A,23Aよりも室内側に位置する部位に框基部21A,22A,23Aに隣接するように設けた中空部分であり、面材24の周縁部において室内側に向いた内側表面を覆うように框基部21A,22A,23Aの内周見込み壁部21Aa,22Aa,23Aaよりも内周側に突出している。
【0028】
これら框基部21A,22A,23A、外方カバー部21B,22B,23B及び内方カバー部21C,22C,23Cは、一体に成形してある一方、それぞれの中空部分が隔壁部によって互いに隔離している。框基部21A,22A,23Aの中空部(以下、「補強中空部21b,22b,23b」という)には、長手方向に沿って補強部材30が配設してあり、内方カバー部21C,22C,23Cの中空部21c,22c,23cには、長手方向に沿って防火部材40が配設してある。補強部材30及び防火部材40は、いずれも樹脂よりも融点の高い金属、例えばステンレスや鋼材、あるいはアルミニウム合金によって成形したものである。
【0029】
補強部材30は、
図4〜
図6に示すように、平板状を成す補強基部31を有したもので、補強基部31が見付け方向に沿う状態で個々の補強中空部21b,22b,23bに配設してある。補強基部31の両端面には、框部材21,22,23の端面に沿って45°の角度となるように傾斜した傾斜延在部31aが設けてある。図からも明らかなように、補強部材30の全長は、框部材21,22,23の全長よりも短く構成してある。
【0030】
それぞれの補強部材30には、補強基部31の外周側となる縁部に外周壁部32が設けてあるとともに、補強基部31の内周側となる縁部に内周壁部33が設けてある。外周壁部32及び内周壁部33は、補強基部31から室内側に向けて屈曲するように延在した平板状部分である。隣接する補強部材30の間は、内周壁部33を介して連結部材50により互いに連結してある。連結部材50は、補強部材30と同様、ステンレスや鋼材等の金属によって成形したものである。本実施の形態では、L字状を成す連結基部50aを有した連結部材50を例示している。連結基部50aには、それぞれ係合片50bが面外方向に突出するように設けてあるとともに、ネジ挿通孔50cが設けてある。この連結部材50は、係合片50bを内周壁部33に形成した溝孔33aに挿通させ、さらにネジ挿通孔50cを介して内周壁部33にネジ部材51を螺合させることにより、隣接する補強部材30の間を連結している。また、補強部材30の内周壁部33には、面材24に設けたガラス外れ止め24dがネジ止めしてある。
【0031】
補強基部31の両端面には、直交延在部31bが設けてあるとともに、補強基部31の見付け面において直交延在部31bの相互間となる部位に加熱膨張材60が貼り付けてある。直交延在部31bは、補強基部31の長手に直交する方向に沿って延在するもので、補強基部31の外周側となる部位に形成してある。直交延在部31bの見付け方向に沿った寸法は、加熱膨張材60の幅と同一となるように設定してある。加熱膨張材60は、膨張黒鉛等、高温状態となった場合に膨張する不燃材である。この加熱膨張材60は、一定の幅を有した長尺状を成しており、補強基部31の全長に渡る部位に貼り付けてある。
図1に示すように、加熱膨張材60は、上框部材21、下框部材22及び左右の縦框部材23のそれぞれの補強部材30において補強基部31の室内側に向いた見付け面に設けてある。
【0032】
防火部材40は、
図1及び
図2に示すように、防火基部41、枠対向部42及び面材カバー部43を有したもので、枠対向部42を介して内方カバー部21C,22C,23Cの外周見込み壁部21Cc,22Cc,23Ccにネジ止めしてある。防火基部41は、補強中空部21b,22b,23bと中空部21c,22c,23cとの間の隔壁部21d,22d,23dに沿った平板状を成す部分である。枠対向部42は、防火基部41の外周側縁部から室内側に向けて屈曲するように延在した部分である。この枠対向部42は、見込み方向の中央となる部位が厚肉となるように構成してあり、この厚肉部分を介して内方カバー部22C,23Cの外周見込み壁部22Cc,23Ccにネジ止めしてある。枠対向部42において厚肉部分の両側に構成される外周見込み壁部23Acとの隙間には、それぞれ加熱膨張材60が設けてある。
【0033】
防火部材40の面材カバー部43は、防火基部41の内周側縁部から面材24の室内側に向いた内側表面に対向するように延在し、見込み方向において面材24の内側表面から面材24の端面までの間を隙間をもって覆うように配置される部分である。図からも明らかなように、面材カバー部43は、個々の延在端部から面材24の端面に向かうに従って漸次面材24の内側表面との間隔が減少するように傾斜したものである。すなわち、面材カバー部43の延在端部と面材24の内側表面との間には、面材24の端面に至る隙間が大きく開口している。
【0034】
上記のように構成した建具では、框部材21,22,23を樹脂によって成形しているため、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属によって成形されたものに比べて断熱性が向上され、例えば室内外の気温差が大きい場合にも結露が防止される等の利点がある。しかも、框部材21,22,23の補強中空部21b,22b,23bには、樹脂よりも融点の高い金属製の補強部材30を配設し、補強部材30にガラス外れ止め24dをネジ止めしているため、火災が発生した場合にも面材24の脱落を防止することができる。さらに、補強部材30に加熱膨張材60を設けるようにしているため、火災発生時には框部材21,22,23の補強中空部21b,22b,23bが膨張した加熱膨張材60によって塞がれることになり、室内外が貫通される事態を防止することができるようになる。
【0035】
ここで、上述した建具によれば、補強部材30の補強基部31に45°の傾斜角度をもった傾斜延在部31aを設けているため、互いの間にできるだけ隙間が無い状態で補強部材30の相互間を接合させることができ、防火性能上有利となる。しかも、補強基部31において加熱膨張材60を貼り付ける部分については、補強基部31の長手に直交する方向に沿って延在するように直交延在部31bを設けるようにしている。従って、長尺状の加熱膨張材60を適用する場合にも、常に長手に直交する方向に沿って切断すれば良く、不要部分が生じないため歩留まりが向上する。さらに、直交延在部31bの幅が加熱膨張材60の幅に一致しているため、加熱膨張材60を貼り付ける際に位置決め作業がきわめて容易となり、また、貼り付け箇所の間違いを防止することが可能となる。
【0036】
一方、障子20の面材24に対しては、框部材21,22,23の中空部21c,22c,23cに防火部材40を配設し、見込み方向において面材24の内側表面から面材24の端面までの間を隙間をもって覆うようにしているため、框部材21,22,23が溶融もしくは焼失したとしても建具に貫通口が形成される恐れがなく、防火性を向上させることができる。しかも、面材24の内側表面から面材24の端面までの間を覆う面材カバー部43を、個々の延在端部から面材24の端面に向かうに従って漸次面材24の内側表面との間隔が減少するように傾斜させている。従って、面材24に設けられたガラスパネル24a,24bの中央部分が高温状態となった場合、その熱が周縁部分にも容易に到達することができ、大きな温度差が生じるのを防ぎ、ガラスパネル24a,24bに熱割れが発生する事態を防止することができるようになる。
【0037】
尚、上述した実施の形態では、たてすべり出し窓を例示しているが、本発明はこれに限らず、はめ殺し窓等、その他の建具であっても良い。また、留め継ぎ部分の傾斜角度が45°のものを例示しているが、その他の傾斜角度で留め継ぎしたものであっても良い。
【0038】
また、上述した実施の形態では、面材24を支持するための框部材21,22,23にのみ補強部材30を設けるようにした建具を例示しているが、本発明はこれに限定されず、障子20を支持するための枠部材11,12,13にのみ補強部材を設けるようにしても良いし、框部材21,22,23及び枠部材11,12,13の双方にそれぞれ補強部材を設けるようにしても構わない。
【0039】
さらに、上述した実施の形態では、補強部材30の直交延在部31bとして加熱膨張材60の幅と同一のものを例示しているが、本発明はこれに限定されず、加熱膨張材の幅以上の寸法を有するように直交延在部を設けても良い。
【符号の説明】
【0040】
10 開口枠、11,12,13 枠部材、20 障子、21,22,23 框部材、21A,22A,23A 框基部、21Aa,22Aa,23Aa 内周見込み壁部、21Ab,22Ab,23Ab 装着溝、21Ac,22Ac,23Ac 外周見込み壁部、21B,22B,23B 外方カバー部、21C,22C,23C 内方カバー部、21Cc,22Cc,23Cc 外周見込み壁部、21a,22a,23a 傾斜面、21b,22b,23b 補強中空部、21c,22c,23c 中空部、21d,22d,23d 隔壁部、24 面材、24a,24b ガラスパネル、30 補強部材、31 補強基部、31a 傾斜延在部、31b 直交延在部、32 外周壁部、33 内周壁部、40 防火部材、41 防火基部、42 枠対向部、43 面材カバー部、50 連結部材、50a 連結基部、50b 係合片、60 加熱膨張材