(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1が示されている。本実施形態の空気入りタイヤ1は、例えば、冬用の重荷重用空気入りタイヤとして好適に利用される。タイヤ1のトレッド部2には、タイヤ周方向にのびる縦溝3が設けられている。
【0018】
本実施形態の縦溝3は、一対のセンター主溝4と、一対のショルダー主溝5と、一対のショルダー細溝6とを含む。
【0019】
センター主溝4は、タイヤ赤道Cの両側に設けられている。センター主溝4は、タイヤ周方向に連続してのびている。本実施形態のセンター主溝4は、ジグザグ状である。センター主溝4は、直線状でも良い。
【0020】
ショルダー主溝5は、センター主溝4のタイヤ軸方向外側に設けられている。ショルダー主溝5は、タイヤ軸方向に連続してのびている。本実施形態のショルダー主溝5はジグザグ状である。ショルダー主溝5は、直線状でも良い。
【0021】
図2には、
図1のA−A断面図が示される。
図2に示されるように、センター主溝4の溝幅W1(溝の中心線と直角な溝幅を意味する。)及び溝深さd1、並びに、ショルダー主溝5の溝幅W2及び溝深さd2は、慣例に従って種々定められる。しかし、これらの溝幅又は溝深さが小さい場合、氷上性能及び雪上性能が低下するおそれがある。逆に、これらの溝幅又は溝深さが大きい場合、トレッド部2の剛性が低下し、操縦安定性能が低下するおそれがある。このため、センター主溝4の溝幅W1及びショルダー主溝5の溝幅W2は、例えば、トレッド接地幅TWの3〜7%が望ましい。センター主溝4の溝深さd1及びショルダー主溝5の溝深さd2は、例えば、14.5〜24.5mmが望ましい。
【0022】
トレッド接地幅TWは、トレッド接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離である。トレッド接地端Teは、正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷しかつキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地端を意味する。
【0023】
「正規状態」とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。なお、本明細書では特に断りがない限り、タイヤ1の各部の寸法は、正規状態で測定された値とする。
【0024】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0025】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0026】
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
【0027】
図1に示されるように、ショルダー細溝6、6は、ショルダー主溝5のタイヤ軸方向外側に設けられている。ショルダー細溝6は、タイヤ周方向に連続して直線状にのびている。
【0028】
図2に示されるように、ショルダー細溝6の溝幅W3は、ショルダー主溝5の溝幅W2よりも小さい。ショルダー細溝6の溝幅W3は、好ましくはショルダー主溝5の溝幅W2の0.10〜0.15倍である。また、ショルダー細溝6の溝深さd3は、好ましくはショルダー主溝5の溝深さd2の0.50〜0.70倍である。このようなショルダー細溝6は、トレッド部2のタイヤ軸方向外側の剛性を大きくし、操縦安定性能を高める。
【0029】
図1に示されるように、上述の縦溝3が設けられることにより、トレッド部2には、センター陸部7と、ミドル陸部8と、内側ショルダー陸部9と、外側ショルダー陸部10とが区分されている。
【0030】
センター陸部7は、一対のセンター主溝4の間に設けられている。ミドル陸部8は、センター主溝4とショルダー主溝5との間に設けられている。内側ショルダー陸部9は、ショルダー主溝5とショルダー細溝6との間に設けられている。外側ショルダー陸部10は、ショルダー細溝6とトレッド接地端Teとの間に設けられている。
【0031】
トレッド部2には、さらに、タイヤ軸方向にのびる横溝20が設けられている。本実施形態の横溝20は、センター横溝21と、ミドル横溝22と、内側ショルダー横溝23と、外側ショルダー横溝24とを含んでいる。
【0032】
センター横溝21は、一対のセンター主溝4の間を連通している。センター横溝21は、略一定の幅で直線状にのびている。センター横溝21は、タイヤ軸方向に対して傾斜している
【0033】
ミドル横溝22は、センター主溝4とショルダー主溝5との間を連通している。ミドル横溝22は、略一定の幅で直線状にのびている。ミドル横溝22は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。
【0034】
内側ショルダー横溝23は、ショルダー主溝5とショルダー細溝6との間を連通している。内側ショルダー横溝23は、略一定の幅で直線状にのびている。内側ショルダー横溝23は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。
【0035】
外側ショルダー横溝24は、ショルダー細溝6とトレッド接地端Teとの間を連通している。外側ショルダー横溝24は、タイヤ軸方向と略平行である。外側ショルダー横溝24は、例えば、第1外側ショルダー横溝24Aと、第2外側ショルダー横溝24Bとを含んでいる。第1外側ショルダー横溝24Aは、略一定の溝幅を有する。第2外側ショルダー横溝24Bは、タイヤ軸方向外側に向かって漸増する溝幅を有する。
【0036】
本発明のタイヤ1は、トレッド部2に、縦溝3及び横溝20で区分されたブロック30が設けられている。本実施形態のブロック30は、センターブロック31、ミドルブロック32、内側ショルダーブロック33、及び、外側ショルダーブロック34を含んでいる。センターブロック31は、センター主溝4及びセンター横溝21で区分されている。ミドルブロック32は、センター主溝4、ショルダー主溝5及びミドル横溝22で区分されている。内側ショルダーブロック33は、ショルダー主溝5、ショルダー細溝6及び内側ショルダー横溝23で区分されている。外側ショルダーブロック34は、ショルダー細溝6及び外側ショルダー横溝24で区分されている。
【0037】
図3には、本発明のブロック30の部分拡大図が示される。
図3は、ブロック30として、センターブロック31が示されている。
図3に示されるように、ブロック30には、サイプ40が複数本設けられている。本明細書において「サイプ」とは、幅が0.5〜1.5mmの切り込みを意味し、排水用の溝とは区別される。
【0038】
1つのブロック30内に設けられているサイプ40の本数Nsは、好ましくは2〜4本、より好ましくは2〜3本である。本実施形態では、1つのブロック30内に2本のサイプ40が設けられている。これにより、ブロック30の剛性低下を招くことなく、優れたエッジ効果が発揮される。従って、本実施形態のタイヤは、氷上性能及び耐摩耗性能を両立させる。
【0039】
サイプ40は、タイヤ軸方向にのびている。本実施形態のサイプ40は、例えば、波状である。このようなサイプ40は、実質的な長さが大きくなって吸水性能を向上させる。しかもこのようなサイプ40は、多方向にエッジ効果を発揮し、氷上性能が向上する。
【0040】
サイプ40は、両端40e、40eがタイヤ軸方向両側のブロック縁30e、30eでそれぞれ開口する。このようなサイプ40は、優れたエッジ効果を発揮する。しかも、サイプ40は、ブロック縁30eで開口しているため、ウェット走行時、吸い込んだ水を速やかに縦溝3側に排出する。従って、このようなサイプ40は、優れた吸水効果を発揮する。
【0041】
サイプ40は、深さが変化する深さ変化サイプ45を複数本含んでいる。
【0042】
図4(a)及び(b)には、深さ変化サイプ45の断面図が示される。
図4(a)に示されるように、深さ変化サイプ45は、基部46及び浅底部47を含んでいる。
【0043】
基部46は、略一定の深さd4を有する。基部46の深さd4は、好ましくはセンター主溝4の溝深さd1(
図2に示す)の0.5倍以上、より好ましくは0.55倍以上であり、好ましくは0.70倍以下、より好ましくは0.60倍以下である。このような基部46は、ブロック30の剛性を維持しつつ、優れた吸水性能を発揮する。
【0044】
浅底部47は、基部46よりも小さい深さd5を有する。このような浅底部47を含む深さ変化サイプ45は、エッジ効果を発揮しつつ、浅底部47によってブロック30の剛性を補強する。このため、氷上性能が維持されつつ、ブロック30の耐摩耗性能が向上する。
【0045】
浅底部47の深さd5と基部46の深さd4との比d5/d4は、好ましくは0.24以上、より好ましくは0.30以上であり、好ましくは0.42以下、より好ましくは0.36以下である。前記比d5/d4が0.24より小さい場合、浅底部47の底面47dが、ブロック30の摩耗により早期に接地面に露出する。このため、優れた氷上性能が発揮される期間が小さくなるおそれがある。逆に、前記比d5/d4が0.42よりも大きい場合、ブロック30の剛性が補強されず、ブロック30の耐摩耗性能が向上しないおそれがある。
【0046】
浅底部47のタイヤ軸方向の長さL2と深さ変化サイプ45のタイヤ軸方向の長さL1との比L2/L1は、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上であり、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下である。前記比L2/L1が0.10より小さい場合、ブロック30の剛性を補強する効果が小さくなるおそれがある。逆に、前記比L2/L1が0.25より大きい場合、ブロック30の摩耗により浅底部47の底面47dが接地面に露出したとき、氷上性能が大きく低下するおそれがある。
【0047】
図3に示されるように、深さ変化サイプ45は、第1深さ変化サイプ48と、第2深さ変化サイプ49とを含む。
【0048】
第1深さ変化サイプ48と、第2深さ変化サイプ49との間のサイプ間周方向距離L3は、例えば、タイヤ軸方向で一定である。このような第1深さ変化サイプ48及び第2深さ変化サイプ49は、ブロック30の剛性分布を均一にする。これにより、とりわけヒールアンドトゥ摩耗が効果的に抑制される。
【0049】
図4(a)は、本実施形態の第1深さ変化サイプ48の断面図である。
図4(a)に示されるように、第1深さ変化サイプ48の浅底部47aは、第1深さ変化サイプ48のタイヤ軸方向の一方側の端部41に設けられている。
【0050】
図4(b)は、本実施形態の第2深さ変化サイプ49の断面図である。
図4(b)に示されるように、第2深さ変化サイプ49の浅底部47bは、第2深さ変化サイプ49のタイヤ軸方向の他方側の端部42に設けられている。
【0051】
図4(b)に示されるように、第1深さ変化サイプの浅底部47aは、第2深さ変化サイプ49の基部46bにタイヤ周方向で向き合っている。これにより、第2深さ変化サイプ49の基部46bによるブロックの剛性低下が、第1深さ変化サイプの浅底部47aによって抑制される。従って、このような深さ変化サイプ45は、ブロックの剛性分布を均一にしながら、耐摩耗性能をさらに向上させる。
【0052】
図3に示されるように、ブロック30は、横溝20を挟んでタイヤ周方向に複数個設けられている。
【0053】
図5には、横溝20の断面図が示される。
図5に示されるように、横溝20は、主部25とタイバー26とを含む。
【0054】
主部25は、略一定の深さd6を有する。主部25の深さd6は、好ましくはセンター主溝4の溝深さd1(
図2に示す)の0.75倍以上、より好ましくは0.78倍以上であり、好ましくは0.90倍以下、より好ましくは0.85倍以下である。このような主部25を含む横溝20は、トレッド部のタイヤ周方向の剛性を維持しつつ、優れた排水性能を発揮する。
【0055】
タイバー26は、横溝20の溝底面20dが隆起した部分である。このような主部25及びタイバー26は、横溝20の排水性能を維持しつつ、ブロック間の剛性を高める。このため、ウェット性能が維持されつつ、操縦安定性が向上する。
【0056】
タイバー26の深さd7と主部25の深さd6との比d7/d6は、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.75以上であり、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.85以下である。前記比d7/d6が0.65より小さい場合、タイバー26の底面26dが、ブロック30の摩耗により早期に接地面に露出する。このため、優れた氷上性能が発揮される期間が小さくなるおそれがある。逆に、前記比d7/d6が0.95より大きい場合、ブロック間の剛性が大きくならず、操縦安定性が低下するおそれがある。
【0057】
タイバー26のタイヤ軸方向の長さL5と横溝20のタイヤ軸方向の長さL4との比L5/L4は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.45以上であり、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.55以下である。前記比L5/L4が0.30より小さい場合、ブロック30の剛性が大きくならないおそれがある。逆に、前記比L5/L4が0.70より大きい場合、横溝20の排水性能が低下するおそれがある。
【0058】
図3に示されるように、タイバー26は、タイヤ周方向で隣り合う深さ変化サイプ45の基部46とタイヤ周方向で向き合っている。これにより、相対的に剛性低下の大きい深さ変化サイプ45の基部46の近傍に、タイバー26が設けられる。従って、トレッド部2の剛性分布が均一になり、耐摩耗性能がより一層向上する。
【0059】
本実施形態では、横溝20の主部25が、タイヤ周方向両側で隣り合う深さ変化サイプ45夫々の浅底部47と向き合っている。このような横溝20は、隣り合うブロック間の剛性分布を均一にし、とりわけヒールアンドトゥ摩耗を抑制する。
【0060】
同様の観点から、横溝20のタイヤ周方向両側夫々において、最も横溝20に近い深さ変化サイプ45、45は、浅底部47が互いに向き合っているのが望ましい。
【0061】
図6には、ミドル陸部8の部分拡大図が示される。ミドル陸部8は、ミドルブロック32がタイヤ周方向に並ぶブロック列である。本実施形態のミドルブロック32は、第1ミドルブロック32Aと第2ミドルブロック32Bとをタイヤ周方向に交互に含んでいる。第1ミドルブロック32Aは、サイプ間周方向距離L3aがショルダー主溝5側に向かって漸増する。第2ミドルブロック32Bは、サイプ間周方向距離L3bがセンター主溝4側に向かって漸増する。このような第1ミドルブロック32Aと第2ミドルブロック32Bは、サイプ40のエッジ効果を多方向に発揮させ、とりわけ氷路での操縦安定性能を向上させる。
【0062】
図7には、内側ショルダー陸部9の部分拡大図が示される。内側ショルダー陸部9は、内側ショルダーブロック33がタイヤ周方向に並ぶブロック列である。内側ショルダーブロック33のタイヤ周方向の両側でタイヤ軸方向にのびる端縁33e、33eは、例えば、互いに平行である。
【0063】
内側ショルダーブロック33のタイヤ軸方向外側でタイヤ周方向にのびる端縁33oは、直線状である。内側ショルダーブロック33のタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向にのびる端縁33iは、タイヤ軸方向外側に凹状である。このような内側ショルダーブロック33は、タイヤ軸方向に優れた雪柱せん断力を発揮し、雪上性能を向上させる。
【0064】
図8には、外側ショルダー陸部10の部分拡大図が示される。
図8に示されるように、外側ショルダー陸部10は、外側ショルダー横溝24で区分された外側ショルダーブロック34がタイヤ周方向に並ぶブロック列である。
【0065】
外側ショルダー横溝24と内側ショルダー横溝23とは、タイヤ周方向に位置ずれしているのが望ましい。このような外側ショルダー横溝24及び内側ショルダー横溝23は、ブロックの局部的な変形を抑制し、ひいてはヒールアンドトゥ摩耗を抑制する。
【0066】
内側ショルダー横溝23と外側ショルダー横溝24との位置ずれ量L7と、外側ショルダーブロック34のタイヤ周方向の長さL8との比L7/L8は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上であり、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.50以下である。これにより、ブロックの偏摩耗がより効果的に抑制される。
【0067】
外側ショルダー陸部10には、例えば、外側ショルダーサイプ35が設けられている。外側ショルダーサイプ35は、タイヤ軸方向外側の端縁10eからタイヤ軸方向内側に向かってのびている。外側ショルダーサイプ35は、外側ショルダー陸部10内で終端している。このような外側ショルダーサイプ35は、外側ショルダー陸部10のタイヤ軸方向内側の剛性を維持しつつ、エッジ成分を増加させる。このため、氷上性能及び耐摩耗性能がバランス良く向上する。
【0068】
外側ショルダーサイプ35は、外側ショルダー陸部10内でタイヤ周方向に屈曲して終端するのが望ましい。これにより、外側ショルダーサイプ35の内端部35iを起点とした外側ショルダーブロック34の割れ等の損傷が抑制される。
【0069】
外側ショルダーサイプ35のタイヤ軸方向の長さL6と、外側ショルダーブロック34のタイヤ軸方向の幅W4との比L6/W4は、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.55以上であり、好ましくは0.65以下、より好ましくは0.60以下である。前記比L6/W4が0.45よりも小さい場合、ワンダリング性能が低下するおそれがある。逆に、前記比L6/W4が0.65よりも大きい場合、外側ショルダーブロック34の耐摩耗性能が低下するおそれがある。
【0070】
図1に示されるように、本実施形態の冬用の重荷重用空気入りタイヤとして、トレッド部2のランド比Lrは、好ましくは74%以上、より好ましくは74%以上であり、好ましくは84%以下、より好ましくは80%以下である。トレッド部2のランド比Lrが74%よりも小さい場合、操縦安定性能が低下するおそれがある。逆に、トレッド部2のランド比が84%よりも大きい場合、ウェット性能及び氷上性能が低下するおそれがある。なお、ランド比Lrは、全ての溝を埋めた状態で測定されるトレッド部2の全接地面積に対する、実際のトレッド部2の合計接地面積の割合である。
【0071】
各陸部のタイヤ全周でのブロック30の個数Nbは、好ましくは70個以上、より好ましくは74個以上であり、好ましくは84個以下、より好ましくは80個以下である。前記個数Nbが70個より小さい場合、ブロック30のエッジ成分の量が低下し、氷上性能が低下するおそれがある。逆に、前記個数Nbが84個より大きい場合、各ブロック30が小さくなり、耐摩耗性能が低下するおそれがある。
【0072】
ブロック30のゴム硬度Hbは、好ましくは62°以上、より好ましくは64°以上であり、好ましくは70°以下、より好ましくは68°以下である。ブロック30のゴム硬度Hbが62°より小さい場合、耐偏摩耗性能が低下するおそれがある。逆に、前記ゴム硬度Hbが70°より大きい場合、氷上性能及び雪上性能が低下するおそれがある。本明細書において、「ゴム硬度」とは、JIS−K6253に基づくデュロメータータイプAによる硬さである。
【0073】
図9には、他の実施形態のブロック50が示される。
図10(a)には、他の実施形態のブロック50の第1深さ変化サイプ51の断面図が示される。
図10(b)には、他の実施形態のブロック50の第2深さ変化サイプ52の断面図が示される。
【0074】
図10(a)に示されるように、他の実施形態のブロック50の第1深さ変化サイプ51は、浅底部53aが、サイプのタイヤ軸方向の中央部51cに設けられている。
図10(b)に示されるように、他の実施形態のブロック50の第2深さ変化サイプ52は、浅底部53bが、サイプのタイヤ軸方向の両端部52e、52eに設けられている。
【0075】
図9に示されるように、上述のような第1深さ変化サイプ51及び第2深さ変化サイプ52を含むブロック50は、同一のブロック50内で浅底部53による剛性補強箇所55が3箇所になる。このため、ブロック50のねじれ剛性が効果的に向上する。従って、とりわけ旋回時の操縦安定性能が向上する。
【0076】
図11には、他の実施形態のトレッド部2の展開図が示される。
図11に示されるように、内側ショルダー横溝23と外側ショルダー横溝24とは、互いに向き合っても良い。このような内側ショルダー横溝23及び外側ショルダー横溝24は、優れたウェット性能及び雪上性能を発揮する。
【0077】
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施しうるのはいうまでもない。
【実施例】
【0078】
表1の仕様に基づくサイズ11R22.5の重荷重用空気入りタイヤが試作された。また、各試供タイヤの氷上性能、雪上性能、耐摩耗性能、及び、摩耗状態でのウェット性能がテストされた。各タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:8.25×22.5
タイヤ内圧:900kPa
テスト車両:10tトラック、荷台中央に標準積載量の50%の荷重を積載
タイヤ装着位置:全輪
【0079】
<氷上性能>
各テストタイヤを装着したテスト車両の氷路での走行性能が、運転者の官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点であり、数値が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
【0080】
<雪上性能>
各テストタイヤを装着したテスト車両の雪路での走行性能が、運転者の官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点であり、数値が大きい程、雪上性能が優れていることを示す。
【0081】
<耐摩耗性能>
乾燥路面を一定距離走行した後のテストタイヤの摩耗量が測定された。結果は、タイヤ摩耗量の逆数であり、実施例1の値を100とする指数で表示されている。数値が大きい程、耐摩耗性能が優れていることを示す。
【0082】
<摩耗状態でのウェット性能>
摩耗した状態の各テストタイヤを装着した車両で、ウェット路面での走行性能が、運転者の官能により評価された。テストは、センター主溝の残りの溝深さが、新品時の20%の状態のテストタイヤで実施された。結果は、比較例1を100とする評点であり、数値が大きい程、ウェット性能が優れていることを示す。
テスト結果が表1に示される。
【0083】
【表1】
【0084】
表1から明らかなように、実施例の空気入りタイヤは、氷上性能を維持しつつ耐摩耗性能が向上していることが確認できた。