(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6340061
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】地盤変位測定装置
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20180528BHJP
G01C 13/00 20060101ALI20180528BHJP
G01C 9/00 20060101ALI20180528BHJP
G01D 21/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
G01C15/00 104B
G01C13/00 D
G01C9/00 B
G01D21/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-240838(P2016-240838)
(22)【出願日】2016年12月13日
【審査請求日】2018年3月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年8月23日、24日に第55回日本地すべり学会研究発表会にて発表 平成28年8月23日に第55回日本地すべり学会研究発表会講演集にて発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517133079
【氏名又は名称】明治コンサルタント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591153477
【氏名又は名称】株式会社坂本電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】特許業務法人 銀座総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】納谷 宏
(72)【発明者】
【氏名】林田 昇
(72)【発明者】
【氏名】國友 建
【審査官】
三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−209181(JP,A)
【文献】
実開平2−118810(JP,U)
【文献】
特開昭63−24120(JP,A)
【文献】
実開昭63−5410(JP,U)
【文献】
特開平2−112589(JP,A)
【文献】
特開平7−190812(JP,A)
【文献】
米国特許第6131658(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 9/00− 9/36
G01C 13/00−15/14
E02D 1/00− 3/115
E21B 1/00−49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に掘削したボーリング孔に挿入配置するとともに、内部に傾斜センサーと水位計及び/又は地下水検層ゾンデと、ケーブルとを収納するケーシングパイプを備えた地盤変位測定装置において、ケーシングパイプは、長さ方向にパイプスリットを備えたパイプ本体と、このパイプ本体とは別体に形成したスライドレールとから成り、スライドレールは、パイプ本体内に収納可能な長尺部材であって、長さ方向にパイプ本体のパイプスリットに対応するスライドスリットを備えるとともに、このスライドスリットの両側に、上記パイプスリットの両側に係合可能な一対の係合突部を外方に連続的に備え、この係合突部をパイプスリットの両側に係合した状態で、スライドレールをパイプ本体内にスライドさせながら収納配置可能としたことを特徴とする地盤変位測定装置。
【請求項2】
スライドレールには、表面に突条を長さ方向に複数個所設けたことを特徴とする請求項1の地盤変位測定装置。
【請求項3】
パイプ本体には、内部にセンサーを挿入配置可能とする開口部を設けたことを特徴とする請求項1の地盤変位測定装置。
【請求項4】
パイプ本体は、このパイプ本体の内面と、このパイプ本体内に収納したスライドレールとの間に、水位計及び/又は地下水検層ゾンデを収納可能としたことを特徴とする請求項1の地盤変位測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地すべりなどによる地盤の変位を測定するための装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−209181号公報 従来より、特許文献1に示す如く、ケーシングパイプ内に傾斜センサーや水位計やケーブル等を収納した地盤変位測定装置が公知となっている。この地盤変位測定装置は、地盤に掘削したボーリング孔にケーシングパイプを挿入したものであって、このケーシングパイプ内には、傾斜センサー配置部、水位計及び/又は地下水検層ゾンデを挿入する地下水流通部、及びケーブル等を挿通配置する分割室を、隔壁を介して長さ方向に一体的に設けたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明は上記の如く、このケーシングパイプ内に複数の分割された空間を形成するために隔壁を一体的に設けたものであるから、従来の筒型のケーシングパイプを使用することは困難である。また、内部を複数の空間に分割しなければならないため製造が煩雑となり、費用が高くつくものとなっていた。更に、隔壁にて形成された空間にケーブルを挿通する際には、ケーブルをケーシングパイプの一端から他端まで挿通して配置しなければならず、組付作業に手間のかかるものとなっていた。
【0005】
そこで、本発明は上記の如き課題を解決しようとするものであって、ケーシングパイプの製造を容易且つ安価にすることができるとともに、ケーブルを容易に収納可能とする地盤変位測定装置を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の如き課題を解決するため、地盤に掘削したボーリング孔に挿入配置するとともに、内部に傾斜センサーと水位計及び/又は地下水検層ゾンデと、ケーブルとを収納するケーシングパイプを備えた地盤変位測定装置において、ケーシングパイプは、長さ方向にパイプスリットを備えたパイプ本体と、このパイプ本体とは別体に形成したスライドレールとから成るものである。
【0007】
そしてスライドレールは、パイプ本体内に収納可能な長尺部材であって、長さ方向にパイプ本体のパイプスリットに対応するスライドスリットを備えるとともに、このスライドスリットの両側に、上記パイプスリットの両側に係合可能な一対の係合突部を外方に連続的に備え、この係合突部をパイプスリットの両側に係合した状態で、スライドレールをパイプ本体内にスライドさせながら収納配置可能としたものである。
【0008】
本発明は上記の如く、パイプ本体内にスライドレールを係合配置することによってケーシングパイプを形成するものであるから、従来より一般的に使用されているパイプにパイプスリットを設けて使用することができるとともに、簡易な構成であるため製造容易且つ製造コストを低廉なものとすることができる。またスライドレールにはスライドスリットを設けていることから、このスライドスリットからケーブルをスライドレール内に容易に挿入配置することができる。
【0009】
また、スライドレールには、表面に突条を長さ方向に複数個所設けたものであっても良い。このようにスライドレールの表面に突条を設けることにより、スライドレールとパイプ本体との接触面に生じる摩擦抵抗を軽減することができる。従って、スライドレールのパイプ本体内への組み付けを円滑に行うことができる。
【0010】
また、パイプ本体には、内部に傾斜センサーを挿入配置可能とする開口部を設けたものであっても良い。このように開口部を設けることにより、傾斜センサーをパイプ本体の外方から開口部を通じて内部に容易に挿入配置することができる。
【0011】
また、パイプ本体は、このパイプ本体の内面と、このパイプ本体内に収納したスライドレールとの間に、水位計及び/又は地下水検層ゾンデを収納可能としたものであっても良い。これにより、傾斜センサーに接続したケーブルと水位計及び/又は地下水検層ゾンデとがケーシングパイプ内でスライドレールの壁面によって仕切られた別々の空間に保持されるものとなる。従って、ケーブルと水位計及び/又は地下水検層ゾンデとが絡み合うなどのおそれがなく、測定を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述の如く、パイプ本体内にスライドレールを係合配置することによってケーシングパイプを形成するものであるから、従来より一般的に使用されている筒状のパイプを使用することができるとともに、簡易な構成であるため製造容易且つ製造コストを低廉なものとすることができる。またスライドレールにはスライドスリットを設けていることから、このスライドスリットからケーブルをスライドレール内に容易に挿入配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】実施例1のスライドレールの部分拡大斜視図。
【
図5】実施例1のケーシングパイプ及びケーブルの部分拡大斜視図。
【実施例1】
【0014】
本発明における実施例1を
図1〜8において説明すると、
図1に示す如く(1)はケーシングパイプであって、このケーシングパイプ(1)は、パイプ本体(2)とスライドレール(3)とで構成されている。そしてパイプ本体(2)は、
図2に示す如く一般的な筒型のパイプの長さ方向中央部に長方形状の開口部(4)を設けるとともに、この開口部(4)から両端にかけて、それぞれ長さ方向にパイプスリット(5)を軸方向に設けたものである。また
図3に示す如く、このパイプ本体(2)には地下水が流通可能な流通孔(6)を、パイプ本体(2)の複数個所に並列して貫通形成している。
【0015】
またスライドレール(3)はレール状の長尺部材であって、
図4に示す如くその断面形状を、全体が弧状に湾曲した略長円形状としている。また、このスライドレール(3)の断面弧状の頂部にはスライドスリット(7)を、このスライドレール(3)の一端から他端まで軸方向に連続して形成している。またこのスライドスリット(7)の両側縁には、一対の断面L字型の係合突部(8)を、スライドレール(3)の両側に沿って突出配置している。
【0016】
そして、上記の如く形成したスライドスリット(7)の係合突部(8)を、パイプ本体(2)のパイプスリット(5)の両側に係合した状態で、スライドレール(3)を
図5に示す如くパイプ本体(2)内にスライドさせながら収納配置する。これにより、スライドレール(3)がパイプ本体(2)の内部に組み付けられた状態となる。
【0017】
尚、このスライドレール(3)には
図4に示す如く、表面(11)に幅狭な突条(10)を軸方向に複数個所設けている。このようにスライドレール(3)の表面(11)に突条(10)を設けることにより、スライドレール(3)の表面(11)とパイプ本体(2)の内面(12)との間に生じる摩擦抵抗を軽減することができる。従って、スライドレール(3)のパイプ本体(2)内への組み付けを円滑に行うことができる。
【0018】
そして上記の如くスライドレール(3)をパイプ本体(2)に組み付けることにより、パイプ本体(2)内に、ケーブル(13)を収納するためのスペースをスライドレール(3)によって仕切ることが可能となる。また、スライドレール(3)の一端から他端にかけて、スライドスリット(7)が連続的に設けられていることから、このスライドスリット(7)からケーブル(13)をスライドレール(3)内に容易に収納配置することができる。
【0019】
また
図7に示す如く、上記パイプ本体(2)の開口部(4)には、この開口部(4)をパイプ本体(2)の外方から被覆可能とする蓋体(14)を設けている。この蓋体(14)は、
図7に示す如く断面を円弧状に湾曲形成している。またその内面(12)には、略長方形状の収納枠(15)を一体的に設けており、この収納枠(15)内に、傾斜センサー(図示せず。)を設けた基盤(16)を収納配置するとともに、平板状の上蓋(17)にて被覆固定している。これにより、傾斜センサーを上蓋(17)と収納枠(15)とで密閉された空間内に保持可能としている。
【0020】
尚、本実施例の傾斜センサーは二軸加速度センサーであって、ポリシリコンのスプリングによってポリシリコン構造を基盤(16)表面から浮かせた構成となっている。そして、このポリシリコン構造のふれを、独立して固定された電極と稼動部に取り付けられた中心電極とからなる差動コンデンサによって測定して加速度を検出するものである。
【0021】
上記の如く構成したものについて、本実施例の傾斜計の組み付け方法について以下に説明する。まず、一のパイプ本体(2)に対して二本のスライドレール(3)を用意する。尚、各スライドレール(3)の形成長さは、予めパイプ本体(2)の開口部(4)の両側に設けた一対のパイプスリット(5)の長さと同じ長さとしておく。
【0022】
そして、各スライドレール(3)の係合突部(8)をパイプ本体(2)のパイプスリット(5)に係合させながら、スライドレール(3)をパイプ本体(2)内に収納配置する。これにより、
図1に示す如く一本のパイプ本体(2)に2本のスライドレール(3)が開口部(4)の両側にそれぞれ組みつけられたケーシングパイプ(1)が形成されるものとなる。
【0023】
尚、このケーシングパイプ(1)を必要に応じて複数本連結することにより、その長さを調整することができる。そしてこの連結時には、各ケーシングパイプ(1)のスライドスリット(7)が同一直線状に位置するよう各ケーシングパイプ(1)の向きを同一とする必要がある。このように各ケーシングパイプ(1)を連結することにより、各パイプ本体(2)内に組み付けられた各スライドレール(3)も同時に連結されるものとなる。
【0024】
また
図8に示す如く、蓋体(14)の収納枠(15)内に、傾斜センサーを設けた基盤(16)を固定配置するとともに、この基盤(16)の両側にそれぞれケーブル(13)を接続する。その後、この収納枠(15)に上蓋(17)を溶接にて被覆固定する。これにより、収納枠(15)と上蓋(17)とで形成された空間内に基盤(16)が配置された状態となる。そして
図8に示す如く、この基盤(16)の設けられた傾斜センサーと蓋体(14)とケーブル(13)とが一体的に組み付けられたセンサーユニット(18)が形成されるものとなる。また、上記では一のセンサーユニット(18)の形成方法について説明しているが、例えば複数のケーシングパイプ(1)を連結して使用する場合には、これに対応させてケーブル(13)を介して複数のセンサーユニット(18)を連結することも可能である。
【0025】
そして、このセンサーユニット(18)のケーシングパイプ(1)への組み付け方法について説明する。
図7に示す如く、センサーユニット(18)の収納枠(15)の上端面(22)をケーシングパイプ(1)の開口端面(23)に当接配置した状態で、センサーユニット(18)の蓋体(14)を、パイプ本体(2)にビス(21)によって固定配置する。これにより、ケーシングパイプ(1)内に傾斜センサーを、センサーユニット(18)の蓋体(14)、上蓋(17)、及び収納枠(15)に被覆された状態で固定配置することができる。
【0026】
次に、センサーユニット(18)のケーブル(13)をケーシングパイプ(1)内に挿入配置する。この時、ケーシングパイプ(1)には、開口部(4)から端部にかけてスライドスリット(7)が連続的に形成されているため、このスライドスリット(7)から内方にケーブル(13)を挿入することによって、
図5に示す如くケーブル(13)をスライドレール(3)内に容易に挿通配置することができる。
【0027】
また、上記の如くスライドレール(3)を組み付けたパイプ本体(2)内において、パイプ本体(2)の内面(12)とスライドレール(3)との間に形成された収納部(24)に、
図6に示す如く水位計(20)や地下水検層ゾンデ(図示せず。)を収納配置することができる。このように収納部(24)内に水位計(20)や地下水検層ゾンデを収納配置することにより、傾斜センサーに接続したケーブル(13)と水位計(20)や地下水検層ゾンデとが、ケーシングパイプ(1)内でスライドレール(3)によって仕切られた別々の空間に個別に保持されるものとなる。従って、ケーブル(13)と水位計(20)や地下水検層ゾンデとが絡み合う等の事態が生じることなく、測定を円滑に行うことができる。
【0028】
上記の如く、一本のケーシングパイプ(1)内にセンサーユニット(18)と収納部(24)とを設けることにより、同一のボーリング孔内で孔内傾斜及び地下水位を測定することができる。従って、地盤変動が生じた場合には、同じ位置での地下水位及び孔内傾斜を測定することができるため、地盤変動の発生理由を、地下水位や地盤の傾斜とともに総合的且つ正確に解明することができ、信頼性の高いデータを得ることが可能となる。
【0029】
次に、本実施例の地盤変位測定装置における測定方法について説明すると、例えば、この地盤変位測定装置を設置した地盤において地すべりが生じた場合には、この地すべりによってボーリング孔(図示せず。)に配置したケーシングパイプ(1)が傾斜する。そして、このケーシングパイプ(1)の傾斜をケーシングパイプ(1)内に配置した傾斜センサーが定期的にデータを計測し、データが保存される。また、例えばこの地すべりの発生時にケーシングパイプ(1)のパイプ本体(2)に形成した流通孔(6)から収納部(24)に地下水が流入した場合には、収納部(24)内の地下水位が上昇するとともに、この地下水位の上昇に伴って水位計(20)のフロートが上昇するものとなり、地下水位の上昇を観測することができる。
【0030】
また、上記では収納部(24)内に水位計(20)を挿入配置して収納部(24)内の地下水位の観測について説明したが、水位計(20)に代わって収納部(24)内に地下水検層ゾンデを挿入配置することにより、必要に応じて地下水検層を行うことも可能である。このように、収納部(24)内に地下水検層ゾンデを挿入することにより、この地下水検層ゾンデと傾斜センサーとにより、同じボーリング孔内で孔内傾斜及び地下水検層を測定することができるものである。従って、地下水の流動位置と地盤の変動位置との関係を正確に把握することができ、地盤変動に関するデータをより正確なものとすることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ケーシングパイプ
2 パイプ本体
3 スライドレール
4 開口部
5 パイプスリット
7 スライドスリット
8 係合突部
10 突条
11 表面
12 内面
13 ケーブル
20 水位計
【要約】 (修正有)
【課題】ケーシングパイプの製造を容易且つ安価にすることができるとともに、ケーブルを容易に収納可能とする地盤変位測定装置を提供する。
【解決手段】地盤に掘削したボーリング孔に挿入配置するとともに、内部に傾斜センサーと水位計及び/又は地下水検層ゾンデと、ケーブルとを収納するケーシングパイプ1を備えた地盤変位測定装置において、ケーシングパイプ1は、パイプ本体2とスライドレール3とから成り、スライドレール3は、パイプ本体2内に収納可能な長尺部材であって、長さ方向にパイプ本体2のパイプスリットに対応するスライドスリット7を備えるとともに、このスライドスリット7の両側に、上記パイプスリットの両側に係合可能な一対の係合突部8を外方に連続的に備え、この係合突部8をパイプスリットの両側に係合した状態で、スライドレール3をパイプ本体2内にスライドさせながら収納配置可能とする。
【選択図】
図1