特許第6340064号(P6340064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340064
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ガラスシート支持構造
(51)【国際特許分類】
   C03B 27/044 20060101AFI20180528BHJP
   C03B 23/023 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   C03B27/044
   C03B23/023
【請求項の数】45
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-500371(P2016-500371)
(86)(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公表番号】特表2016-514083(P2016-514083A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】US2014018153
(87)【国際公開番号】WO2014163855
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2016年11月30日
(31)【優先権主張番号】13/796,124
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500232086
【氏名又は名称】グラステク インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ニチュケ,ディーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジンカ,アショカ,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ザレサク,トーマス,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シュナベル,ジェイムズ,ピー.ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】モロー,スコット,チャールズ
【審査官】 原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭47−000828(JP,B2)
【文献】 特表平11−501001(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0302964(US,A1)
【文献】 特表2015−505294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/023
C03B 27/044
C03B 35/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス加工作業に関連して加熱されたガラスシートを支持するための支持構造において、前記ガラスシートが周辺部分と、前記周辺部分から内側に離間された内側部分と、を含み、前記支持構造は、
フレームと、
前記フレーム上に支持された、前記ガラスシートの前記周辺部分を支持するための支持リングと、
前記フレームに関連付けられた複数のリブアセンブリと、を含み、各リブアセンブリは、前記フレームの両側で支持された両端を有する横方向に延びるリブと、複数の離間された支持部材であって、前記リブに接続され、各支持部材の少なくとも一部が前記リブに関して調節可能であるように構成された支持部材と、を含み、各支持部材は、前記支持リングの内側に配置され、さらに前記ガラスシートのそれぞれの内側部分と接触して、前記ガラスシートが十分に冷却されるまで前記ガラスシートの前記それぞれの内側部分を支持するように構成されていることを特徴とする支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の支持構造において、
各支持部材が、前記ガラスシートと点接触するように構成された接触部分を含むことを特徴とする支持構造。
【請求項3】
請求項2に記載の支持構造において、
各接触部分が断熱材料を含むことを特徴とする支持構造。
【請求項4】
請求項1に記載の支持構造において、
各支持部材が、概して縦方向の支持体と、前記支持体により支持され、前記ガラスシートと接触するように構成された接触部分と、を含み、各支持部材について、対応する前記支持体が対応する前記接触部分を、前記支持部材が接続されているそれぞれの前記リブから離間させることを特徴とする支持構造。
【請求項5】
請求項4に記載の支持構造において、
各接触部分が前記ガラスシートと点接触するように構成されていることを特徴とする支持構造。
【請求項6】
請求項1に記載の支持構造において、
各支持構造は、前記ガラスシートと点接触するように構成された球形の接触要素を含むことを特徴とする支持構造。
【請求項7】
請求項6に記載の支持構造において、
前記球形の接触要素の各々がセラミック材料を含むことを特徴とする支持構造。
【請求項8】
請求項1に記載の支持構造において、
前記支持リングは、前記ガラスシートの前記周辺部分と接触するための接触面を有し、各支持部材は前記フレームおよび前記支持リングに関して調節可能であることを特徴とする支持構造。
【請求項9】
請求項1に記載の支持構造において、
前記支持リングは、前記ガラスシートの前記周辺部分と接触するための接触面を有し、少なくとも1つの支持部材は、前記フレームに関して調節可能で、前記支持リングの前記接触面の下に位置付けられるガラス接触部分を提供することを特徴とする支持構造。
【請求項10】
請求項1に記載の支持構造において、
前記支持リングは、前記ガラスシートの前記周辺部分と接触するための接触面を有し、各支持部材は前記フレームに関して調節可能で、前記支持リングの前記接触面の下に位置付けられるガラス接触部分を提供することを特徴とする支持構造。
【請求項11】
請求項1に記載の支持構造において、
各リブの一方の端は前記フレームにスライド可能に接続されて、各リブが前記フレームに関して移動可能であることを特徴とする支持構造。
【請求項12】
請求項11に記載の支持構造において、
各リブについて、前記リブの前記一方の端と前記フレームのうちの一方は、前記リブの前記一方の端と前記フレームのうちの他方に形成された開口部の中にスライド可能に受けられる係合要素を有することを特徴とする支持構造。
【請求項13】
請求項1に記載の支持構造において、
各リブアセンブリは前記支持リングから内側に離間された3つ以上の支持部材を含むことを特徴とする支持構造。
【請求項14】
ガラス加工作業に関連して加熱されたガラスシートであって、周辺部分及び前記周辺部分から内側に離間された内側部分を有するガラスシートを支持するための支持構造において、
フレームと、
前記フレームに関連付けられた複数の支持手段アセンブリと、を含み、各支持手段アセンブリは、横方向に延びる支持手段であって、前記フレームの両側で前記フレームに、前記横方向に延びる支持手段が前記フレーム前記両側間の開放領域にまたがるように接続された両端を有する支持手段と、複数の離間された支持部材であって、前記横方向に延びる支持手段に接続され、各支持部材の少なくとも一部が前記横方向に延びる支持手段に関して調節可能であるように構成された複数の支持部材と、を含み、各支持部材はさらに、前記ガラスシートのそれぞれの内側部分と接触して、前記ガラスシートの前記それぞれの内側部分を支持するように構成された接触部分を有することを特徴とする支持構造。
【請求項15】
請求項14に記載の支持構造において、
横方向に延びる支持手段が前記フレームに移動可能に接続されることを特徴とする支持構造。
【請求項16】
請求項14に記載の支持構造において、
横方向に延びる支持手段について、前記フレーム上の一方の接続は固定接続手段であり、前記フレーム上のもう一方の接続は移動可能接続手段であって、前記横方向に延びる支持手段を前記フレームに関して移動できることを特徴とする支持構造。
【請求項17】
請求項14に記載の支持構造において、
各支持部材は、それぞれの接触部分を支持する概して縦方向の支持体を含み、各支持部材について、対応する前記支持体は前記それぞれの接触部分を、前記支持部材が接続されているそれぞれの横方向に延びる支持手段から離間させることを特徴とする支持構造。
【請求項18】
請求項17に記載の支持構造において、
各接触部分が前記ガラスシートと点接触するように構成されていることを特徴とする支持構造。
【請求項19】
請求項18に記載の支持構造において、
各接触部分が断熱材料を含むことを特徴とする支持構造。
【請求項20】
請求項14に記載の支持構造において、
接触部分が、前記ガラスシートと点接触するように構成された弧状接触部分を含むことを特徴とする支持構造。
【請求項21】
請求項14に記載の支持構造において、
接触部分が、前記ガラスシートと点接触するように構成された球形の接触要素として形成されることを特徴とする支持構造。
【請求項22】
請求項21に記載の支持構造において、
各球形の接触要素がセラミック材料を含むことを特徴とする支持構造。
【請求項23】
請求項14に記載の支持構造において、
前記支持手段アセンブリが相互に離間されていることを特徴とする支持構造。
【請求項24】
請求項14に記載の支持構造において、
各支持部材が、それぞれの横方向に延びる支持手段に調節可能に接続された支持体を含み、前記調節可能な接続によって、前記支持構造を、前記加熱されたガラスを各種の形状の何れの1つにおいても支持するように構成できることを特徴とする支持構造。
【請求項25】
請求項14に記載の支持構造において、
前記フレーム上に支持された、前記ガラスシートの前記周辺部分を支持するための支持リングをさらに含むことを特徴とする支持構造。
【請求項26】
請求項14に記載の支持構造において、
前記フレームによって支持され、前記ガラスシートの前記周辺部分と直接接触して、前記ガラスシートの前記周辺部分を支持するように構成された接触面を有する支持リングをさらに含み、少なくとも1つの接触部分は前記フレームに関して調節可能であって、前記少なくとも1つの接触部分を前記支持リングの前記接触面の下に調節できることを特徴とする支持構造。
【請求項27】
請求項14に記載の支持構造において、
前記フレームによって支持され、前記ガラスシートの前記周辺部分と直接接触して、前記ガラスシートの前記周辺部分を支持するように構成された接触面を有する支持リングをさらに含み、各接触部分は前記フレームに関して調節可能であって、前記接触部分を前記支持リングの前記接触面の下に調節できることを特徴とする支持構造。
【請求項28】
請求項14に記載の支持構造において、
各横方向に延びる支持手段は、各横方向に延びる支持手段が前記フレームに対して移動可能なように、前記フレームにスライド可能に接続された一方の端部を有し、各横方向に延びる支持手段について、前記横方向に延びる支持手段の一方の端部及び前記フレームの一方が、前記横方向に延びる支持手段の一方の端部及び前記フレームの他方に形成された開口部にスライド可能に受容される係合部材を有することを特徴とする支持構造。
【請求項29】
曲げ作業に関連して加熱されたガラスシートを支持するための、ツールフレームと共に使用する支持構造において、
前記ツールフレームに接続されるようになされた外側フレームと、
前記外側フレーム上に調節可能に支持された、前記ガラスシートの周辺部分を支持するための急冷リングと、
前記外側フレームに関連付けられた複数の離間されたリブアセンブリと、を含み、各リブアセンブリは、前記外側フレームの両側で支持された両端を有する横方向に延びるリブと、前記リブに調節可能に接続された複数の離間された支持部材と、を含み、各支持部材は、支持体と、前記支持体により支持され、前記ガラスシートと、前記ガラスシートの前記周辺部分の内側に配置されたある箇所において点接触するように構成された湾曲接触部分と、を含み、
前記支持部材は前記外側フレームに関して調節可能であり、前記支持構造を、前記ガラスシートが十分に急冷されるまで、様々な湾曲形状の何れの1つにおいても前記ガラスシートを支持するように構成できることを特徴とする支持構造。
【請求項30】
請求項29に記載の支持構造において、
前記急冷リングは、前記ガラスシートの前記周辺部分と直接接触するように構成された接触面を有し、少なくとも1つの支持部材は前記外側フレームに関して調節可能であり、対応する前記接触部分を前記急冷リングの前記接触面の下に調整することを特徴とする支持構造。
【請求項31】
請求項29に記載の支持構造において、
各支持体は概して縦に延びており、各支持部材について、対応する前記支持体は対応する前記接触部分を、前記支持部材が接続されているそれぞれの前記リブから離間させることを特徴とする支持構造。
【請求項32】
ガラス加工作業に関連して加熱されたガラスシートを支持する方法において、
前記ガラスシートが周辺部分と、前記周辺部分から内側に離間された内側部分と、を含み、
支持構造を調節して、前記支持構造の複数の離間された支持部材が協働して前記ガラスシートの所望の端形状に対応する形状を画定するようにするステップと、
前記ガラスシートが十分に冷却されるまで、前記ガラスシートの各内側部分に前記複数の離間された支持部材の各支持部材接触させるステップと、
前記支持構造に前記ガラスシートの前記周辺部分を接触させて、前記ガラスシートの周辺部分を支持するステップと、
を含み、
前記支持構造が、フレームと、前記フレームに関連付けられた複数の支持手段アセンブリと、を含み、前記支持手段アセンブリは、前記フレームの両側で前記フレームに接続された両端を有する横方向に延びる支持手段を有しており、2以上の前記支持部材が、各支持部材の少なくとも一部が前記横方向に延びる支持手段に関して調節可能であるように、前記横方向に延びる支持手段に接続されていることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、
各支持部材が、前記ガラスシートと点接触するように構成された接触要素を含み、前記ガラスシートの各内側部分に前記複数の離間された支持部材の各支持部材を接触させることが、前記ガラスシートの各内側部分に各接触要素を接触させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法において、
各支持部材は、前記横方向に延びる支持手段の一方に調節可能に接続された支持体と、接触要素であって、前記支持体により支持され、前記ガラスシートと点接触するように構成された接触要素と、を含み、前記調節するステップが、前記支持体の1つまたは複数を横方向に延びる支持手段に関して調節するステップを含み、前記ガラスシートの各内側部分に前記複数の離間された支持部材の各支持部材を接触させることが、前記ガラスシートの各内側部分に各接触要素を接触させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項32に記載の方法において、
各支持部材が前記横方向に延びる支持手段の一方と螺合され、前記調節するステップが、前記複数の離間された支持部材の1つまたは複数を各横方向に延びる支持手段に関して回転させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項32に記載の方法において、
前記支持手段アセンブリの前記横方向に延びる支持手段が相互に離間されていることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項32に記載の方法において、
前記支持構造が、前記フレームによって支持された支持リングを有しており、
前記支持構造に前記ガラスシートの前記周辺部分を接触させることが、前記支持リングに前記ガラスシートの周辺部分を接触させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記支持リングが前記フレームに調節可能に支持されていることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法において、
前記支持リングが、前記ガラスシートの前記周辺部分と接触して、前記ガラスシートの前記周辺部分を支持するように構成された接触面を含み、前記調節するステップは、前記複数の離間された支持部材の少なくとも1つを前記フレームに関して調節し、前記支持リングの前記接触面の下に位置付けられたガラス接触部分を提供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、
前記調節するステップが、各支持部材が前記支持リングの前記接触面の下方に位置するガラス接触部を与えるように、前記フレームに関して前記複数の離間された支持部材のそれぞれを調節するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項32に記載の方法において、
横方向に延びる支持手段のそれぞれが、前記ガラスシートの所望の湾曲した最終的な形状に略対応する形状を有する湾曲上面を有することを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項32に記載の方法において、
前記複数の支持手段アセンブリが、3以上の支持手段アセンブリを含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項32に記載の方法において、
前記複数の支持手段アセンブリが、4以上の支持手段アセンブリを含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項32に記載の方法において、
前記複数の離間された支持部材の数及び位置が、前記ガラスシートの内側部分を十分に支持して前記ガラスシートの弛みを阻止するよう選択され、前記ガラスシートの最終的な形状が、前記ガラスシートの表面全体を通じて+/−0.15ミリメートル内で正確に形成され得ることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項34に記載の方法において、
各支持部材が、各支持体と螺合するねじ式キャップを含み、各接触要素と係合する円周方向の突出部分を有しており、
前記突出部分が、前記接触要素の直径よりも小さい開口部を画定することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス加工作業に関連して加熱されたガラスシートを支持するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスシートを支持するための先行技術の装置は、例えば国際特許出願公開第2012/049433号パンフレットと米国特許第6,543,255号明細書において開示されている。
【発明の概要】
【0003】
ガラス加工作業に関連して加熱されたガラスシートを支持するための本開示による支持構造は、フレームと、フレーム上に調節可能に支持された、ガラスシートの周辺部分を支持するための支持リングと、フレームに関連付けられた複数のリブアセンブリと、を含む。各リブアセンブリは、フレーム上に支持された横方向に延びるリブと、複数の離間された支持部材であって、リブに接続され、各支持部材の少なくとも一部がリブに関して調節可能であるように構成された複数の支持部材と、を含む。さらに、各支持部材は、ガラスシートのそれぞれの内側部分と接触して、ガラスシートが十分に冷却されるまでガラスシートのそれぞれの内側部分を支持するように構成される。
【0004】
本発明の他の態様によれば、ガラス加工作業に関連して加熱されたガラスシートを支持するための支持構造は、フレームと、フレームに関連付けられた少なくとも1つの支持手段アセンブリと、を含む。各支持手段アセンブリは、支持手段であって、フレーム上の2箇所に、支持手段がフレーム上の2箇所間の開放領域にまたがるように接続された支持手段と、複数の離間された支持部材であって、支持手段に接続され、各支持部材の少なくとも一部が支持手段に関して調節可能であるように構成された複数の支持部材と、を含む。さらに、各支持部材は、ガラスシートのそれぞれの部分と接触して、ガラスのそれぞれの部分を支持するように構成される。
【0005】
本開示のまた別の態様によれば、曲げ作業に関連して加熱されたガラスシートを支持するための、ツールフレームと共に使用する支持構造が提供される。支持構造は、ツールフレームに接続されるようになされた外側フレームと、外側フレーム上に調節可能に支持された、ガラスシートの周辺部分を支持するための急冷リングと、外側フレームに関連付けられた複数の離間されたリブアセンブリと、を含む。各リブアセンブリは、外側フレーム上に移動可能に支持された横方向に延びるリブと、リブに調節可能に接続された複数の離間された支持部材と、を含む。各支持部材は、支持体と、支持体により支持され、ガラスシートと、ガラスシートの周辺部分内に配置されたある箇所において点接触するように構成された湾曲接触部分と、を含む。支持部材は、外側フレームに関して調節可能で、支持構造を、ガラスシートが十分に急冷されるまで様々な湾曲形状のうちの何れの形状のガラスシートでも支持するように構成できる。
【0006】
ガラス加工作業に関連して加熱されたガラスシートを支持するための本開示による方法は、支持構造を調節して、支持構造の複数の離間された支持部材が協働してガラスシートの所望の端形状に対応する形状を画定するようにするステップを含んでいてもよい。方法は、ガラスシートが十分に冷却されるまでガラスシートを支持部材と接触させるステップをさらに含んでいてもよい。
【0007】
例示的実施形態が図に示され、開示されているが、かかる開示は特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更や代替的設計がなされてもよいと予想される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、ガラスシートを加工するためのガラス加工システムの1つの実施形態の概略側面図であり、ガラス加工システムの加熱ステーションと曲げステーションを示す。
図2図2は、図1の線2−2に沿った断面概略図であり、曲げステーションと、曲げステーションの横に位置付けられた急冷ステーションと、加工の少なくとも一部においてガラスシートを支持するための本開示による支持構造を示す。
図3図3は、図2に示される支持構造の上面図である。
図4図4は、図3に示される支持構造の斜視図である。
図5図5は、図4に示される支持構造の一部の拡大部分斜視図である。
図6図6は、図4に示される支持構造のリブアセンブリの側面図である。
図7図7は、図6の線7−7に沿ったリブアセンブリの断面図であり、リブアセンブリの支持部材をさらに詳しく示す。
図8図8は、図2の線8−8に沿った断面概略図であり、曲げステーションの上型が水平コンベヤシステム付近へと下方に移動可能で、プレス曲げサイクルに備えてそこから加熱されたガラスシートを受ける方法を示す。
図9図9は、図8と同じ方向に見た概略図であり、上方に移動された上型と、コンベヤシステムの片側の第一の位置から上型の下の第二の位置へと移動された曲げステーションの下型を示す。
図10図10は、図9と同じ方向から見た概略図であり、上型が下方に移動され、ガラスシートを下型に当ててプレス曲げ加工した後の曲げステーションを示す。
図11図11は、図10と同じ方向に見た概略図であり、上型が上方に移動されて下型との係合から外れ、下型が上型から離れるように移動されて、支持構造を上型の下に移動させることによって、そこから加熱されたガラスシートを受けることができる状態となった後の曲げステーションを示す。
図12図12は、支持構造を使用できるガラス加工システムの他の実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
必要に応じて、詳細な実施形態が本明細書中で開示されているが、当然のことながら、開示されている実施形態は例に過ぎず、各種の代替的な形態が利用されてもよい。図面は必ずしも正確な縮尺によるとは限らず、特定の構成部品の詳細を示すために、ある特徴が誇張または縮小されている場合がある。したがって、本明細書中で開示されている具体的な構造的および機能的詳細は、限定としてではなく、当業者に対し、本発明を様々な方法で利用できるように教示するための単なる代表的な基礎と解釈されるべきである。さらに、当業者であればわかるように、図面の何れかの1つに示され、これに関して説明されている実施形態の中の様々な特徴を1つまたは複数の他の図面に示される特徴と組み合わせて、明確には図示または説明されていない実施形態を作り出してもよい。これに加えて、以下の説明文の中で説明されている具体的な特徴の1つまたは複数を使用せずに他の実施形態を実現することもできる。
【0010】
ガラスシート製品、例えば太陽光集光用ガラスミラーパネル、自動車用フロントガラス、リアウインドウ、またはその他のあらゆる適当な製品の製造中、成形もしくは曲げ作業に関連して(例えば、成形または曲げ作業および/またはその後の急冷作業中に)、またはその他のあらゆるガラス加工作業に関連して、ガラス製品の所望の形状を実現するのを助けるためにシート状ガラスを支持することが望ましい場合がある。本開示において、このような作業中に所望の形状のガラスシートを支持して、例えば高い精度を実現できるようにするための方法と装置が提供される。さらに、開示されている方法と装置は、急冷用流体の流れへの妨害を最小限にすることができ、また熱接触を最小限にして各ガラスシートの表面への損傷を防止することができる。
【0011】
図1および2を参照すると、ガラスシートGを加工するためのガラス加工システム10が示されている。システム10は、ガラスシートGを加熱するための加熱装置またはステーション、例えば炉12と、各ガラスシートGを所望の形状に曲げるための成形または曲げステーション14と、各ガラスシートGを冷却するように構成された冷却ステーション、例えば急冷ステーション16と、ガラスシートGを曲げステーション14から急冷ステーション16へと移送し、曲げおよび/または冷却中にガラスシートGを支持するために使用可能な本開示による支持構造18と、を含む。
【0012】
炉12は、ガラスシートGを加熱するための何れの適当な構成を有していてもよい。例えば、炉12は、ガラスシートGを炉12内で搬送面Cに沿って搬送するために使用可能な搬送システム20の上および/または下に配置されるあらゆる適当な加熱素子19を含んでいてもよい。より詳細な例として、加熱素子19は電気ヒータ等の輻射加熱素子および/または熱気または熱風分配装置等の対流加熱素子を含んでいてもよい。
【0013】
同様に、曲げステーション14は、各ガラスシートGを特定の形状に曲げるための何れの適当な構成を有していてもよい。例えば、曲げステーション14は、加熱されたガラスシートGを受けるための、搬送システム20とは別の搬送システムであっても、またはその一部であってもよい搬送システム22と、ガラスシートGを曲げるための、図1で概略的に示されている曲げ装置23と、を有していてもよい。図2を参照すると、曲げ装置23は、移動可能な第一の型、例えばプレス上型24と、移送システム、例えばシャトル27の上でプレス型24に向かって、およびそこから離れるように水平に移動されてもよい移動可能な第二の型、例えば下側周辺プレスリング26と、プレス型24を搬送システム22とプレスリング26に関して移動させるため、およびシャトル27とプレスリング26をプレス型24に関して移動させるための1つまたは複数のアクチュエータ28と、を含んでいてもよい。このような構成では、後で詳しく説明するように、ガラスシートGは上側プレス型24の湾曲面とプレスリング26との間でプレス曲げ加工されてもよい。プレス型24とプレスリング26の各々には、比較的柔らかい表面処理材、例えば布が設けられていてもよく、これによって曲げ作業中のガラスシートGへの損傷が軽減または防止される。成形または曲げステーションの例のその他の詳細事項は、米国特許第4,282,026号明細書と同第4,661,141号明細書において開示されており、両特許の全体を参照によって本願に援用する。
【0014】
急冷ステーション16は、例えば各ガラスシートGを曲げステーション14から受け取り、各ガラスシートGを急冷して、熱強化し、または焼戻しを行うか、各ガラスシートGを単純に冷却するように構成される。急冷ステーション16は何れの適当な構成を有していてもよいが、図の実施形態においては、急冷ステーション16は曲げステーション14の片側に配置され、各ガラスシートGを急冷または冷却媒質、例えば空気に曝露するための複数のガスまたは空気分配手段29、例えばエアノズルを含む。
【0015】
支持構造18は、各ガラスシートGを、曲げステーション14と急冷ステーション16との間で移送中に、およびガラスシートGが急冷ステーション16内で十分に急冷されるまで、その曲げられた形状で支持するように構成される。その代わりに、または補足的に、支持構造18は曲げステーション14での曲げ中に各ガラスシートを支持してもよい。
【0016】
図3および4を参照すると、支持構造18は、曲げステーション14と急冷ステーション16との間で移動可能なツールフレーム30に取り付けられてもよい。例えば、ツールフレーム30は、ツールフレーム30を曲げステーション14と急冷ステーション16との間で水平に移動させるように動作可能な移送システム、例えば図2に示されるシャトル31とそれに対応するアクチュエータ32に取り付けられ、またはそれ以外の方法で支持されてもよい。
【0017】
図3および4に示される実施形態において、支持構造18は、ツールフレーム30に接続された周辺サブフレームまたは外側フレーム33と、外側フレーム33上に調節可能に支持された、各ガラスシートGの周辺部分を支持するための支持リングまたは急冷リング34と、外側フレーム33に関連付けられた1つまたは複数の支持手段アセンブリ、例えばリブアセンブリ35と、を含む。
【0018】
急冷リング34は、外側フレーム33の上に何れの適当な方法で支持されてもよい。例えば、図5を参照すると、急冷リング34は外側フレーム33と螺合する複数のねじ式固定具36に取り付けられてもよく、それによって固定具が外側フレーム33に関して調節可能となる。さらに、急冷リング34には比較的柔らかい処理材37(図5において一部が切り取られて示されている)、例えば布が設けられていてもよく、それによって急冷リング34がガラスシートGと接触した時にガラスシートGへの損傷が軽減または防止される。
【0019】
図の実施形態において、支持構造18は、相互に離間された複数のリブアセンブリ35を含む。さらに、図3〜6を参照すると、各リブアセンブリ35は、外側フレーム33上に移動可能に支持された横方向に延びる支持手段、例えばリブ38と、リブ38に調節可能に接続された複数の離間された支持部材40と、を含む。
【0020】
リブ38は外側フレーム33の上に何れの適当な方法で支持されてもよいが、図の実施形態において、各リブ38は外側フレーム33に、外側フレーム33の上の2箇所42および43において、各リブ38が外側フレーム33上の関連する2箇所間の開放領域をまたぐように接続されている。さらに、各リブ38について、外側フレーム33の上の一方の接続箇所42は固定接続手段であってもよく、外側フレーム33の上のもう一方の接続箇所43は移動可能接続手段であって、使用中にリブ38が外側フレーム33に関して移動できるようになっていてもよい。例えば、各固定接続手段42は釈放可能な固定装置、例えば1つまたは複数のボルトナットにより形成されてもよく、各移動可能接続手段43はスライド可能接続手段により形成されてもよい。より詳しい例として、図5を参照すると、各移動可能接続手段43は、一方の構成部品、例えばそれぞれのリブ38の上に配置されて、他方の構成部品、例えば外側フレーム33上の開口部、例えば長いスロット46とスライド可能に係合する係合要素44、例えばピン、ボルト、またはその他の固定具により形成されてもよい(図5に示されている中央の接続箇所43の係合要素44は、長いスロット46を示すために取り除かれている)。このような構成により、リブ38は外側フレーム33に関して移動して、曲げステーション14および/または急冷ステーション16の中で使用中の熱膨張および/または収縮に対応できる。
【0021】
図6を参照すると、各リブ38はまた、湾曲上面47を有していてもよく、これは特定のガラスシートGの所望の湾曲した最終的な形状に略対応する形状を有する。このような構成により、支持部材40はガラスシートGを所望の湾曲した最終的な形状で支持するために必要に応じて微調節されてもよい。他の例として、各リブ38は、まっすぐな上面を有していてもよい。
【0022】
図7を参照すると、各支持部材40は、概して縦に延びる支持体48と、支持体48によって支持され、ガラスシートGのそれぞれの部分、例えば内側部分(すなわち、周辺部分の内側に配置された部分)の外面と接触するように構成された接触部分50と、を含んでいてもよい。各支持体48は、対応する接触部分50を支持部材40が接続されているそれぞれのリブ38から離間させるように構成される。さらに、各支持体48はそれぞれのリブ38に何れの適当な方法で接続されてもよいが、図の実施形態において、各支持体48はリブ38と螺合され、それによって各支持体はリブ38に関して調節可能となる。各支持部材40はまた、関連する支持体48に取り付けられた、支持体48を対応するリブ38に関して所望の位置にロックするためのロック要素、例えばジャムナット51を含んでいてもよい。
【0023】
これに加えて、図7に示される実施形態において、各接触部分50は、それぞれのガラスシートGと点接触するように構成された弧状または湾曲表面52を含む。例えば、各接触部分50は球形の要素であってもよい。さらに、各接触部分50はそれぞれの支持体48に何れの適当な方法で取り付けられてもよい。例えば、各接触部分50は、それぞれの支持体48にねじ式保持ナットまたはキャップ56によって取り付けられてもよく、これは支持体48と螺合し、接触部分50と係合する円周方向の突出部分を有する(例えば、キャップ56の突出部分により画定される開口部は、接触部分50の直径より小さい)。他の例として、各接触部分50はそれぞれの支持体48に、例えばねじ結合によって調節可能に接続されてもよい。
【0024】
接触部分50はステンレススチールメッシュまたはステレススチール繊維混紡糸(例えば、日本国、大阪の日本製線株式会社から入手可能なナスロン(商標))等の何れの適当な材料から作製されてもよいが、1つの実施形態において、各接触部分50は、木材、ガラスファイバ、および/またはセラミック材料(例えば、Boynton Beach,FloridaのBoca Bearing Co.から軸受の形態で入手可能なジルコニア(酸化ジルコニウム)またはアルミニウム(酸化アルミニウム))等の断熱材料で作製される。このような構成により、ガラスシートGと接触部分50との間の熱伝達を最小化でき、その一方で、各ガラスシートGと急冷媒質、例えば空気との間の熱伝達は最大化される。同様に、各支持体48も、木材、グラスファイバ、および/またはセラミック材料等の断熱材料で作製されてよく、これによって支持部材40とリブ38との間の熱伝達が最小化される。他の例として、支持体48はスチール等の金属または他の何れの適当な材料で作製されてもよい。
【0025】
ここで、図1〜11を参照して、システム10の動作をより詳しく説明する。まず、支持部材409と急冷リング34が協働して、ガラスシートGのための所望の最終的な端形状、例えば湾曲端形状または平坦端形状に対応する形状を画定するように支持構造18が調節されてもよい。例えば、急冷リング34またはその一部が外側フレーム33に関して調節されてもよく、支持部材40の1つもしくは複数、またはその一部が、対応するリブ38または複数のリブ38に関して調節されてもよい。
【0026】
図1を参照すると、その後、ガラスシートGが炉12内の搬送システム20の上に載せられてもよく、これによって、ガラスシートGが炉12内で搬送面Cに沿って移動している間にガラスシートGの各々が所望の温度(例えば摂氏600度以上)に加熱されてもよい。
【0027】
次に、特定のガラスシートGが搬送システム20またはその他の移送システムによって曲げステーション14の中へと、および搬送システム22の上へと移送されてもよい。図2を参照すると、その後、プレス型24を使って、ガラスシートGが曲げられてもよい。例えば、図8を参照すると、ガスジェットポンプ58によって供給される空気ジェットを使ってガラスシートGがプレス型24まで吹き上げられてもよく、その後、プレス型24の湾曲表面に真空源60が付加されてガラスシートGがプレス型24に当てて真空成形されてもよい。プレスリング26および/または正の空気圧がガラスシートGの周辺に沿って付加されて、ガラスシートGのエッジ部分が成形されてもよい。例えば、図9に示されるように、プレスリング26がプレス型24の下の位置へと水平移動されてもよく、図10に示されるように、適当なアクチュエータ、例えばアクチュエータ28によってプレス型24がプレスリング26に向かって付勢されてもよく、および/またはプレスリング26がプレス型24に向かって付勢されてもよく、その結果、それらの間でガラスシートGがプレスされる。
【0028】
次に、図11を参照すると、プレス型24が上方に上昇されてもよく、その後、プレスリング26が使用されていれば、シャトル31を使ってこれがプレス型24から遠ざかるように水平移動されてもよく、それによって支持構造18が曲げステーション14の中のプレス型24の下へと水平移動されてもよい。その後、上にガラスシートGが載せられているプレス型24が、ガラスシートGが支持構造18に近接する(例えば0〜12ミリメートル離れている)か、または支持構造18と接触するまで降下されてもよく、その支持部材40はガラスシートGの所望の最終的な端形状を作り出すのに十分な形状に事前調節されている。
【0029】
次に、プレス型24に付加されていた真空を低下させるか解除して、ガラスシートGがプレス型24から外れるようにし、それによってガラスシートGは、図11の破線で示されるように、完全に支持構造18によって支持されてもよい。具体的には、支持構造18の急冷リング34がガラスシートGの周辺部分と接触してもよく、支持部材40の接触部分50の各々がガラスシートGと、ガラスシートGの周辺部分の中に配置されたある箇所において点接触してもよい。
【0030】
図2を参照すると、その後、支持構造18およびガラスシートGがシャトル31によって急冷ステーション16へと移送されてもよく、ここでガラスシートGが急冷されて、ガラスシートGが焼戻しされ、またはそれ以外に冷却されてもよい。有利な点として、支持構造18は、ガラスシートGが十分に急冷され、例えば十分に冷却および硬化されるまで、所望の端形状のガラスシートGを完全に支持できる。
【0031】
支持部材40の数と位置は、ガラスシートGを完全に支持し、ガラスシートGの弛みを阻止または防止するように選択されてもよい。その結果、ガラスシートGの最終的な形状が、ガラスシートGの表面全体(その長さと幅の寸法は各々例えば1.5メートル以上であってもよい)を通じて+/−0.15ミリメートル程度の高い精度で正確に形成されてもよい。さらに、支持部材40は、急冷媒質の流れへの妨害を最小限にし、および熱接触を最小限にして、ガラスシートGの表面の損傷を防止するように構成されてもよい。例えば、支持部材40が各々、ガラスシートGと点接触するように構成されている場合、ガラスシートGと急冷媒質との間の熱伝達を最大化できるが、これは、ガラスシートGの大部分が暴露されたままとなるからである。
【0032】
さらに、支持部材40が外側フレーム33に関して調節可能であるため、支持構造18は、ガラスシートGが十分に急冷されるまでガラスシートGを各種の湾曲形状のうちの何れの1つにおいても支持するように構成されてよい。他の例として、支持構造18は、ガラスシートGが十分に急冷されるまでという条件でガラスシートGを平坦な形状で支持するために使用されてもよい。
【0033】
前述のように、支持構造18はまた、特定のガラスシートGの曲げ加工中に使用されてもよい。例えば、支持構造18は、プレスリング26の代わりに、またはプレスリング26に加えて使用されて、曲げステーション14の中でガラスシートGをプレス型24に押し当ててもよい。他の例として、支持構造18は、例えば下垂曲げ(sag bending)作業中のように、特定のガラスシートGを成形するための主要な型として使用されてもよい。さらに詳しい例として、曲げステーション14の第一の型は平坦な型またはタイルであってもよく、平坦なタイルに真空源を付加することによって平坦なガラスシートGが吸引されてもよい。次に支持構造18が曲げステーション14の中の平坦なタイルの下に水平移動されてもよく、その後、平坦なタイルに付加されていた真空を低下させるか解除して、ガラスシートGが平坦なタイルから外されてもよく、それによってガラスシートGが支持構造18の急冷リング34と接触できる。するとガラスシートGは、ガラスシートGが支持構造18の支持部材40と急冷リング34によって完全に支持されるまで下垂することができ、それによってガラスシートGが支持部材40と急冷リング34によって画定される湾曲形状に形成されてもよい。
【0034】
また別の例として、支持構造18は、ガラスシートGを平坦な形状または状態で支持するために使用されてもよい。より詳しい例として、支持構造18は、曲げることが望ましくない急冷作業またはその他のガラス加工作業中にガラスシートGを平坦な形状で支持するために使用されてもよい。
【0035】
他の実施形態において、上記の急冷リング34を持たない支持構造18が提供されてもよい。このような実施形態においては、支持構造には、特定のガラスシートGの周辺部分を支持するための1つまたは複数の追加の支持部材40も設けられてよい。
【0036】
図12を参照すると、支持構造18を一緒に使用できるガラス加工システムの他の実施形態110が示されている。システム110は、ガラスシートGを加熱するための加熱装置またはステーション、例えば炉112と、各ガラスシートGを所望の形状に曲げるための成形または曲げステーション114と、各ガラスシートGを冷却するように構成された冷却ステーション、例えば急冷ステーション116と、を含む。必須ではないが、図12に示される実施形態においては、炉112と曲げステーション114と急冷ステーション116のすべてが軸方向に整列している。
【0037】
炉112と急冷ステーション116は各々、何れの適当な構成を有していてもよい。例えば、炉112と急冷ステーション116は、それぞれ上述の炉12と冷却ステーション16と同じまたは同様の構成部品を有し、同じまたは同様の方法で動作してもよい。そのため、説明を容易にするために、炉112と急冷ステーション116は、それぞれ炉12と急冷ステーション16と同様の構成部品を有するように示されている。
【0038】
曲げステーション114もまた、何れの適当な構成を有していてもよいが、図の実施形態において、曲げステーション114は、加熱されたガラスシートGを炉112から受けるための搬送システム122、例えばホイールベッドと、移動可能な第一の型、例えば上側プレス型124と、移動可能な第二の型、例えば下側周辺プレスリング126と、搬送システム122とプレスリング126との間およびプレスリング126とプレス型124との間の相対的な縦方向の移動を提供する1つまたは複数のアクチュエータ128と、を含む。曲げステーションの一例のその他の詳細事項は、米国特許第6,543,255号明細書において開示されており、その全体を参照によって本願に援用する。
【0039】
システム110により、ガラスシートGは炉112内で加熱され、その後、曲げステーション114へと、および搬送システム122の上へと移送される。次に、プレス型124を使ってガラスシートGが曲げられてもよい。例えば、プレスリング26は搬送システム122の上まで上昇されてもよく、これによってガラスシートGが搬送システム122から持ち上げられて、プレスリング26がプレス型124に向かって付勢されて、それらの間でガラスシートGがプレス加工されてもよい。その後、ガラスシートGがプレス型124に当てて真空成形されてもよい。
【0040】
その後、プレスリング126が搬送システム122の下まで降下されてもよく、支持構造18が、シャトル31を使って曲げステーション114へと移動されてもよい。次に、システム10に関して上述した方法と同様にして、ガラスシートGがその上に載っているプレス型124は、ガラスシートGが支持構造18と近接する(例えば、0〜12ミリメートル離れている)か、支持構造18と接触するまで降下されてもよく、その支持部材40はガラスシートGの所望の最終的な端形状を作り出すように事前調節されている。
【0041】
次に、プレス型124に付加されていた真空が低下または解除されて、ガラスシートGがプレス型124から外れてもよく、それによってガラスシートGが完全に支持構造18によって支持されてもよい。具体的には、支持構造18の急冷リング34がガラスシートGの周辺部分と接触してもよく、支持部材40の接触部分50が各々、ガラスシートGと、ガラスシートGの周辺部分の中に配置されたある箇所において点接触してもよい。その後、支持構造18とガラスシートGはシャトル31によって急冷ステーション116へと移送されてもよく、そこでガラスシートGは急冷され、それによって例えばガラスシートGは焼戻しされ、またはそれ以外に冷却される。
【0042】
本発明の実施形態を図示し、説明したが、これらの実施形態が本発明の考えうるすべての形態を図示し、説明していることは意図されない。むしろ、明細書中で使用されている文言は限定ではなく説明の文言であり、当然のことながら、本発明の趣旨と範囲から逸脱せずに様々な変更を加えてもよい。例えば、本開示による支持構造は、何れの適当なガラス加工システムにも使用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12