特許第6340095号(P6340095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340095
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】タイヤトレッド用ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/06 20060101AFI20180528BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20180528BHJP
   C08K 5/548 20060101ALI20180528BHJP
   C08L 45/02 20060101ALI20180528BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20180528BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20180528BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   C08L9/06
   C08L15/00
   C08K5/548
   C08L45/02
   C08L7/00
   C08L9/00
   B60C1/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-4907(P2017-4907)
(22)【出願日】2017年1月16日
(65)【公開番号】特開2018-48294(P2018-48294A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2017年1月16日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0121275
(32)【優先日】2016年9月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504273313
【氏名又は名称】クムホ タイヤ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】メン,ジン オー
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ホ
【審査官】 尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−108428(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/104144(WO,A1)
【文献】 特開2008−169292(JP,A)
【文献】 特開2006−131714(JP,A)
【文献】 特開2010−221914(JP,A)
【文献】 特開2011−148935(JP,A)
【文献】 特開2017−031409(JP,A)
【文献】 特開2015−232110(JP,A)
【文献】 特開2015−189873(JP,A)
【文献】 特開2016−003318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 7/00− 9/10
C08K 5/00− 5/59
B60C 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ゴム100重量部に対して、
チオエステル基とSiO結合とを有するシランカップリング剤6〜20重量部
軟化点が130℃以上かつ重量平均分子量が1000以上のテルペン樹脂1〜20重量部及び
60重量部より多く、120重量部未満のシリカをみ、
前記原料ゴムは、
スチレン単位の含有量が20重量%以下かつビニール単位の含有量が30重量%以下であり、末端が錫によって変性されている末端変性スチレンブタジエンゴム10〜30重量%、
スチレンブタジエンゴム30〜50重量%及び
ブタジエンゴム又は天然ゴム20〜60重量%を含むタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項2】
前記シランカップリング剤は、下記化学式1で表示される3−(オクタノイルチオ)プロピルトリエトキシシランである請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
<化学式1>
【請求項3】
前記原料ゴムは天然ゴム、合成ゴムまたはこれらの混合物である請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか一項のゴム組成物を含むタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、様々な環境で、すなわち氷上、濡れた路面、スノー路面での安定した走行能力、制動性能及び低燃費性能を維持しなければならず、タイヤの国別ラベリング(labeling)規制を満足させるために、ウェットグリップ(wet grip)、RR性能を一定のレベル以上に維持することが求められており、特に各性能のトレードオフを克服するために、例えば、濡れた路面制動性能はガラス転移温度(Tg)と比例し、スノー制動性能はTgと反比例する技術的問題があり、これを克服するために、新しいコンパウンディング開発への接近が必要とされた。
タイヤは、様々な環境、すなわち、氷上、濡れた路面、スノー路面で安定した走行能力と制動性能を維持しなければならず、タイヤの国別ラベリング規制を満足させるために、ウェットグリップ/RR性能を一定のレベル以上にして販売することができるように維持及び性能を育成することが求められている。
例えば、韓国公開特許公報第10−2015−0132607号は、ビニール単位の含有量が40重量%以上の末端変性スチレンブタジエンゴムを50〜80重量%、ブタジエンゴムを20〜50重量%含むジエン系ゴム100重量部に対して、前記シリカ及びカーボンブラックを含む無機充填剤を50〜80重量部配合したゴム組成物であり、軟化点100℃以上の芳香族変性テルペン樹脂を1〜20重量部を配合したことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物を開示している。
しかし、前記韓国公開特許公報第10−2015−0132607号によるタイヤ用ゴム組成物は、転がり抵抗性能、ウェットグリップ性及び耐摩耗性を改良する効果はあるものの、スノー性能を確保することができないという問題点がある。
また、韓国公開特許公報第10−2015−0052144号は、押出加工性を維持向上させながら転がり抵抗性能及びウェット性能を従来のレベル以上に向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物を開示しているが、前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、ヒドロキシル基含有変性スチレンブタジエンゴムを50重量%以上含むジエン系ゴム100重量部に対し、シリカを60〜130重量部含むゴム組成物であって、前記シリカを含む充填剤に対するオイルの重量比を0.25以下にするとともに、メルカプト基及びSi−O結合を有するシランカップリング剤を前記シリカの量の4〜15重量%、かつジエチレングリコールを前記シリカの量の1〜6重量%配合したことを特徴とする。
ところが、前記韓国公開特許公報第10−2015−0052144号によるタイヤトレッド用ゴム組成物は、転がり抵抗性能及びウェット性能を改良する効果があるが、スノー及び摩耗性能を確保することができないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2015−0132607号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2015−0052144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、転がり抵抗性能、濡れた路面での制動性能、耐摩耗性能、スノー及び氷上制動を同時に向上させることができるタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明は、原料ゴム100重量部に対して、メルカプト基とSiO結合を有するシランカップリング剤6〜20重量部、及び軟化点が130℃以上かつ重量平均分子量が1000以上のテルペン樹脂1〜20重量部を含むタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する。
また、本発明は、前記ゴム組成物を含むタイヤを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るタイヤトレッドゴム組成物は、トレードオフ性能であるウェット性能とスノー制動性能を向上させるために、メルカプト基及びSiO結合を有するシランカップリング剤を含むことにより、配合工程性、摩耗性能、RR性能及びウェット制動性能を向上させることができ、軟化点が130℃以上かつ分子量が1000以上のテルペン樹脂を含むことにより、摩耗性能及びRR性能を維持しながらウェット性能及びスノー制動性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、原料ゴム100重量部に対して、メルカプト基とSiO結合とを有するシランカップリング剤6〜20重量部及び軟化点が130℃以上かつ重量平均分子量が1000以上のテルペン樹脂1〜20重量部を含むタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記メルカプト基とSiO結合とを有するシランカップリング剤は、下記化学式1で表示される3−(オクタノイルチオ)プロピルトリエトキシシランとすることができる。
<化学式1>
【0008】
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記テルペン樹脂は、軟化点が130℃〜180℃であり、重量平均分子量が1000〜2000とすることができる。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、原料ゴム100重量部に対して、前記シランカップリング剤を6重量部未満で含む場合には、引張強度の低下により工程性に問題が発生することがあり、前記シランカップリング剤を20重量部超過で含む場合には、引張物性の低下と共に押出工程性に問題が発生することがある。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、原料ゴム100重量部に対して、前記テルペン樹脂を1重量部未満で含む場合には、テルペン樹脂の含有量が少量であるため、テルペン樹脂を添加する所定の目的を達成することができず、前記テルペン樹脂を20重量部超過で含む場合には、成形固定性及び耐久力に問題が発生するおそれがある。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記原料ゴムは、天然ゴム、合成ゴムまたはこれらの混合物とすることができる。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記合成ゴムの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、臭化ポリイソブチルイソプレン−co−パラメチルスチレン(brominated polyisobutyl isoprene−co−paramethyl styrene;BIMS)ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スチレンエチレンブタジエンスチレン共重合体ゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、ハイパロンゴム、クロロプレンゴム、エチレンビニールアセテートゴム及びアクリルゴムなどを挙げることができる。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記原料ゴムは、スチレン単位の含有量が20重量%以下、好ましくは15〜20重量%、ビニール単位の含有量が30重量%以下、好ましくは25〜30重量%の末端変性スチレンブタジエンゴム10〜30重量%、スチレンブタジエンゴム30〜50重量%及びブタジエンゴムまたは天然ゴム20〜60重量%を含むジエン系ゴムとすることができる。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記末端変性スチレンブタジエンゴムは、Sn末端変性スチレンブタジエンゴムとすることができる。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラック及びシリカをさらに含むことができる。
【0009】
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記カーボンブラックは、比表面積140m/g以下の粒子を使用することが分散及び摩耗の観点から好ましい。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記シリカは、窒素吸着比表面積がBET測定値で90〜230m/gであるものを使用することができる。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、前記シリカは、原料ゴム100重量部に対して、60重量部より大きく、120重量部未満、好ましくは70〜110重量部を含むことができる。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物において、原料ゴム100重量部に対して、シリカを60重量部以下で含む場合にはウェット性能が低下することがあり、120重量部以上を含む場合には配合工程性及び摩耗性能、低燃費性能が大幅に低下することがある。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物は加硫剤をさらに含むことができるが、前記加硫剤としては、有機過酸化物または硫黄系加硫剤を使用することができる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3または1,3−ビス(t−ブチルペルオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルペルオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルペルオキシバレレートなどを使用することができる。
これらの中でも、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゼン及びジ−t−ブチルペルオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。また、硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。これらの加硫剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0010】
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物は、通常のゴム組成物用添加剤、例えば酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、粘着剤などの添加剤を含むことができ、前記添加剤の含有量は所望の物性に応じて任意に調節できる。
本発明の前記タイヤ用ゴム組成物の製造方法は、通常の方法によって、前記原料ゴム、カーボンブラック、シリカ、プロセス油と、シランカップリング剤などの添加剤をバンバリーミキサーで80℃〜150℃の温度で混合した後、155℃〜165℃で10分〜20分間加硫させる段階を含んで製造することができるので、前記の製造方法の詳細な説明は省略する。
【0011】
また、本発明は、前記ゴム組成物を含むタイヤに関するものである。
本発明の前記タイヤは、前記ゴム組成物をトレッド部に含むタイヤとすることができる。
本発明の前記タイヤは上述したタイヤ用ゴム組成物を用いて製造するが、前記ゴム組成物を用いる範囲で通常のタイヤの製造方法である限り、特に限定されないので、通常の方法で本発明のタイヤを製造することができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明を下記実施例によってより具体的に説明する。これらの実施例は、本発明を実施するための例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定しようとするものではない。
<実施例1〜4及び比較例1〜11>
(ゴム試験片の製造及び物性測定)
下記表1(単位:重量部)のような組成の成分及び含有量をバンバリーミキサー(banbury mixer)に添加し、140℃で配合して配合物を得た。
前記配合物に加硫剤として硫黄を添加し、160℃で15分間加硫してゴム試験片を製造した。
こうして製造したそれぞれのゴム試験片に対して引張強度による工程性、ハンドリング性能、スノー性能、ウェット制動性能、RR性能、耐摩耗性能などの物性をASTM関連規定によって測定し、その結果を下記表1に示した。
下記表1において、ハンドリング性能、スノー性能、ウェット制動性能、RR性能、耐摩耗性能及び工程性の数値は、比較例1を100としたときの相対指数(index)を示すものである。
【表1】
前記表1において、前記Low Tg Sn変性SSBR1は反応性両末端官能基(reactive bi−end functional group)を有しながらSnに変性がなされており、シリカとカーボンの両方ともに親和性を持つ性質により、親和性のないSBRに比べて摩耗性能に強みがある。
また、前記Low Tg Sn変性SSBR1は、微細構造(スチレン:20重量%以下、ビニール:30重量%以下)の割合が低いため、ガラス転移温度(Tg)が−60℃と非常に低いので、スノー性能も向上させることができるという強みがあり、摩耗性能及びスノー性能を維持しながらウェットグリップ及びドライ制動性能を向上させることができる。
【0013】
前記スチレンブタジエンゴム(SBR1)としてはKKPC社のS−SBR、前記ブタジエンゴム(BR)としてはKKPC社のKBR01、前記天然ゴム(NR)としてはVonbumdit社のSTR20をそれぞれ使用した。
前記シリカは、窒素吸着比表面積がBET測定値で200±5m2/gであるものを使用し、前記カーボンブラックはASTM 300Gradeを使用した。
前記シランカップリング剤1としては、ビス−(トリエトキシシリル−プロピル)−テトラスルフィド{(Bis−(triethoxysilyl−propyl)−tetrasulfide}(Si−69)を使用し、前記シランカップリング剤2としては、前記化学式1の構造を有するMomentive社のNXTを使用した。
前記テルペン樹脂としては、テルペン系天然樹脂であるヤスハラケミカル株式会社のT160(軟化点:160℃、重量平均分子量:1127)を使用した。
【0014】
前記スノー性能は、DMA基準に−20℃でのtanδ(tanδ@−20℃)値のスノー性能代用指数であって、数値が高いほどスノー性能に優れることを意味する。
前記耐摩耗性能は、DIN摩耗試験機(上島製作所製)の値を指数化し、その値が低いほどゴム重量の損失(loss)が少ないので、優れた性能であることを意味する。また、ウェット制動性能は、tanδ@0℃の値を指数化し、その指数が高いほど優れることを意味する。
RR性能は、tanδ@60℃の値を指数化し、その指数が高いほど優れることを意味する。また、工程性は、100℃での粘度値を基準に低いほど優れることを意味し、これを指数化して表現した。
【0015】
前記表1の結果から分かるように、原料ゴムには、末端変性スチレンブタジエンゴム(Low Tg Sn変性SSBR1)10〜30重量%を含有することが好ましいが、前記末端変性スチレンブタジエンゴムを10重量%未満で含む場合には、スノー性能の改善が微々たるものであり(比較例2参照)、30重量%超過で含む場合には、トレードオフであるウェット制動性能が低下することが分かる(比較例3参照)。
ブタジエンゴム或いは天然ゴムを20重量%未満で含む場合には、耐摩耗性能及びスノー性能が低下し(比較例4参照)、60重量%超過で含む場合には、ウェット性能が低下することが分かる(比較例5参照)。
原料ゴム100重量部に対して、シリカを60重量部以下で含む場合には、ウェット性能が低下し(比較例6参照)、シリカを120重量部以上で含む場合には、配合工程性、摩耗性能及び低燃費性能が大幅に低下することが分かる(比較例7参照)。
原料ゴム100重量部に対して、メルカプト基とSiO結合を有するシランカップリング剤(シランカップリング剤2)を6重量%未満で含む場合には、引張強度が著しく低下して加硫工程性に問題があり(比較例8を参照)、20重量%超過で含む場合には、ハンドリング性能(硬度)が低下するという問題が発生するおそれがあることが分かる(比較例9参照)。
原料ゴム100重量部に対して、前記テルペン樹脂を30重量部以上で含む場合には、スノー性能及びRR性能に問題がある可能性があることが分かる(比較例11参照)。
【0016】
一方、実施例1〜4に示すように、末端変性スチレンブタジエンゴムを含むことにより、トレードオフ性能であるウェット性能を維持しながらスノー制動性能を改善させることができ、シリカを60重量部超過、120重量部未満で含むことにより、ウェット性能を改善させることができることが分かる。
原料ゴム100重量部に対して、メルカプト基及びSiO結合を有するシランカップリング剤(シランカップリング剤2)を6〜20重量部含むことにより、配合工程性、摩耗性能、RR性能及びウェット制動性能を改善することができ、軟化点が130℃以上かつ分子量が1000以上のテルペン樹脂を1〜20重量部含むことにより、摩耗性能及びRR性能を維持しながらウェット性能を改善することができることが分かる。
【0017】
上述したように、本発明の好適な実施例及び実験例を参照して説明したが、当該技術分野における通常の技術者であれば、下記の請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱することなく、本発明に多様な修正及び変更を加え得ることが理解できるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、トレードオフ性能であるウェット性能とスノー制動性能を改善するために、メルカプト基及びSiO結合とを有するシランカップリング剤を含むことにより、配合工程性、摩耗性能、RR性能、ウェット制動性能を改善することができ、軟化点が130℃以上かつ分子量が1000以上のテルペン樹脂を含むことにより、摩耗性能及びRR性能を維持しながらウェット性能及びスノー制動性能を改善することができるタイヤトレッド用ゴム組成物及びこれを含むタイヤを提供することができるので、本発明の属する技術分野に有用に適用可能である。