(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のインデクシング歯列(91)は、前記内側フランジ(1)によって担持され中心が前記スタッフ(11)の前記軸(B)から離れている第3の歯付き区画(44)を有し、
前記第2のインデクシング歯列(92)は、前記外側リング(2)によって担持され、外側ジャンパーばね(2)によって構成している
ことを特徴とする請求項1に記載のバランス車(10)。
前記バランス車(10)は、前記内側フランジ(1)、前記第1の弾性ガイド接続(3)、前記外側リング(2)、前記慣性ブロック(4)、前記第2の弾性接続(5)、前記第1のインデクシング歯列(91)及び前記第2のインデクシング歯列(92)を有する一体化された上側プレート(30)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のバランス車(10)。
前記一体化された上側プレート(30)は、可撓性惑星構造を有し、この構造の惑星は、慣性調整を可能にするアンバランス慣性ブロック(4)であり、これらの慣性ブロック(4)は、弾性細長材によって前記内側フランジ(1)及び/又は前記外側リング(2)に接続されている
ことを特徴とする請求項10に記載のバランス車(10)。
前記外側リング(2)の回転は、前記止め手段(160)に設けられた双安定レバー(150)によって担持される前記バランス車(10)に隣接している駆動車(81)を有する前記制御手段(80)によって行われ、
前記レバー(150)は、当該計時器用ムーブメント(300)の周部にある回転式リング(102)の機械的な作用によって側方から又は側方に連結又は分離される
ことを特徴とする請求項13に記載の機械式ムーブメント(300)。
請求項14に記載の機械式ムーブメント(300)と、及びスライド式ピニオン(111)を介して運動ワーク(112)の運動を制御するように構成している押し部品又は竜頭(110)によって構成している制御メンバーとを有する腕時計(1000)であって、
前記運動ワーク(112)は、前記操作メンバー(20)が前記連結位置にあるときに前記制御手段(80)を少なくとも駆動するように構成している入力車(115)を有し、
当該腕時計(1000)は、前記操作メンバー(20)の連結又は分離を制御するために回転可能に動くことができる連結リング(102)を有する
ことを特徴とする腕時計(1000)。
請求項15に記載の腕時計(1000)と、及び前記バランス車(10)の慣性調整を可能にするように構成している調整工具(200)とを有する計時器アセンブリーであって、
前記調整工具(200)は、前記連結リング(102)の回転を制御するように構成しており、
前記連結リング(102)及び前記調整工具(200)は、相補的な磁性領域(102、201)を有しており、前記相補的な磁性領域(102、201)どうしが前記腕時計(1000)のケースを通して連係しているときに、前記調整工具(200)の作用の下で前記連結リング(102)が回転駆動される
ことを特徴とする計時器アセンブリー。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る慣性を調整可能な計時器用バランス車の概略断面図を示している。これは、上側の第1の平面において、外側リングを有しており、この外側リングは、周部歯列を担持しており、バランススタッフと一体化された内側フランジに対して弾性的にマウントされており、バランスの慣性ブロックの運動を制御するように構成しており、また、第1の平面と平行な下側の第2の平面において、バランスリム又は下側プレートの歯列の外側面によって構成している支持及び保持面を有している。このバランスは、本発明によって操作メンバーに対向するように示されている。この操作メンバーは、上側平面上において、周部歯列と連係するように構成している制御歯列を有しており、下側平面上において、相補的な支持及び保持面を有している。
【
図2】上側プレートの概略図であり、これは、内側フランジと外側リングの間で、回転ガイド機能を行う互いに120°離れている3つの第1の弾性接続を有しており、また、前記第1の弾性接続の間に挿入され、同様に互いに120°離れているように配置されている、3つの慣性ブロックを有しており、各慣性ブロックは、その両側において、第2の弾性接続(図示せず)によって懸架されている。
【
図3】
図2と類似しているが、2つの第1の弾性接続が、互いに120°ではなく180°離れており、慣性ブロックが2つだけである。
【
図4】第1の変種における慣性調整機構の一部の部分的な概略平面図であり、慣性ブロックには、歯付き区画があり、これは、3つのネック部との接続によって懸架されており、これらのネック部はともに、2つの半径方向のアーム区画の間にて、バランススタッフからの半径方向の線に垂直な線に対して対称的な二等辺三角形を定めており、これらのアーム区画の一方は、バランスの内側フランジから始まっており、これらのアーム区画の他方は、外側リングから始まっており、内側フランジは、さらに、歯付き区画の歯を止めて保持するように連係している半径方向に突出しているジャンパーばねを担持しており、この歯付き区画は、慣性ブロックの角位置の印がある目盛を有する。
【
図6】カム式変種と呼ぶ第2の変種における慣性調整機構の一部の部分的な概略平面図を示している。慣性ブロックは、反対側に2つの歯があるディスクであり、バランスの内側フランジから延在する半径方向のアームに垂直な可撓性細長材によって取り付けられており、外側リングは、バランススタッフと同心でないパス上において、慣性ブロックの2つの歯と連係する2つの歯付き区画を担持している。
【
図7】変種の1つにおける可撓性細長材を備えたガイド機構の一部の部分的な概略平面図を示しており、内側フランジは、半径方向のアームを担持しており、このアームは、それぞれ2つのネック部を有する半径方向の弾性細長材を介して、中間的な同心の区画を担持している。この区画は、それぞれ2つのネック部を有する2つの他の半径方向の弾性細長材によって外側リングに懸架されている。
【
図9】機構の部分的な概略平面図を示しており、慣性の調整及びガイドは、
図5及び6の変種によって実質的に60°区画ごとの交互構成を有する。
【
図10】弾性戻しトルクを小さくする半径方向にマウントされたばねを含む詳細の部分的な概略平面図を示している。
【
図11】弾性トルクの変化を変形角度の関数として示している。実線はばねないの場合、点線はばねがある場合である。
【
図12】可撓性惑星構造を有する第3の変種の概略平面図を示している。内側フランジは、歯付き区画を直接担持しており、この歯付き区画は、必要な場合、バランススタッフと同心ではなく、外側リングと一体化されたジャンパーばねによって適切な位置にインデクシングされていることができ、惑星慣性ブロックはそれぞれ、実質的に同心の弾性細長材によって、内側フランジと外側リングの両方に接続している。
【
図13】線形の衝撃を受けた場合に
図12の惑星慣性ブロックにおけるアンバランスによって発生するトルクが、互いに打ち消し合い、外側リングの意図しない回転を発生させないことを示している図である。
【
図14】前記のようなバランス車を有する計時器用ムーブメントの詳細の部分的な概略平面図を示している。外側リングとその回転を制御する操作メンバーとの間の上側平面におけるインタフェースにおいて、車付きのレバーを有し、レバーの本体は、上側平面とは異なる下側平面において見ることができ、操作メンバーに設けられた駆動車と、外側リングに設けられた外側歯列とが、噛み合う。
【
図15】前記のような噛み合いの拡大詳細図である。
【
図16】前記のような計時器用ムーブメントを有する腕時計の詳細の部分的な概略平面図を示している。具体的には、制御機構は、下側平面におけるインタフェースにおいて、
図14のレバーを制御する連結リングを有しており、バランスの下側プレートの歯列及びレバーに設けられた櫛部を有しており、上側のインタフェースにおいて、外側リング及びその回転を制御するここでは車である操作メンバーを有している。
【
図17】バランススタッフをクランプする複数の弾性細長材を備えたバランスの上側又は下側プレートの変形実施形態の詳細を示している。
【
図18】バランス車の変種の第2の系統の変種に係る特定の実施形態の概略斜視図を示している。これは、中央のスパイラルを有する慣性調整構造であり、ピボット運動が、3つのセンタリング支持体上の摩擦によって達成される。
【
図19】本発明に係る一体化された上側プレートを有するばね仕掛けバランスの概略断面図を示している。この場合、リムのロックが、リムの外径上の摩擦によって発生する。
【
図20】本発明に係るバランスを有するばね仕掛けバランスを備える計時器用ムーブメントを有する腕時計の概略平面図を示している。その慣性調整制御機構は、竜頭によって制御される。
【
図21】この種の腕時計に関連づけられた外部工具の斜視図を示している。これは、非接触の手法で、腕時計ケースを通して、
図16の連結リングを制御するように構成している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、腕時計ケースを開かずに、機械式ムーブメントのレートを設定する手法を提案するものである。これは、特別装備された発振器と、及び制御手段との両方に関連する慣性調整デバイスを用いる。この制御手段には、例えば、巻き及び時刻設定用のステムを介して、押し部品を介して、又は他の手段を介して、腕時計ケースの外側からユーザーがアクセス可能である。
【0021】
特に、
図20に示すように、本発明を、機械式ムーブメント300を有する腕時計1000を用いて説明する。この機械式ムーブメント300は、少なくとも1つの発振器100を有し、これは、少なくとも1つのバランス10、特に、ばね仕掛けバランス発振器を有している。これは、バランス10及び少なくとも1つのバランスばね18を有する。
【0022】
特に、本発明に係る慣性調整デバイスは、バランスのレートを調整する可撓性構造を有する。
【0023】
図面、特に、
図1〜3に示すように、本発明は、少なくとも1つのアーム13を介して少なくとも1つのリム12を担持しているスタッフ11を有する慣性を調整可能な計時器用バランス10に関する。このバランス10は、スタッフ11に取り付けられた少なくとも1つの内側フランジ1と、及びリム12とは異なる少なくとも1つの外側リング2を有する。
【0024】
本発明のいくつかの変種によると、この外側リング2を以下のような様々な方法で固定することができる。
−
図4〜9及び12〜16に示した好ましい第1の系統の変種において、外側リング2は、内側フランジ1に直接接続しており、この内側フランジ1とともに、外側リング2は、好ましくは、複数の第1の弾性ガイド接続3によって一体化されたアセンブリーを形成している。
−
図18に示した第2の系統の変種において、内側フランジ1は、この内側フランジ1と外側リング2の間にある複数の第1の弾性ガイド接続3によって、外側リング2を直接又は間接的に担持している。図示した変種において、内側フランジ1と外側アーム2は、互いに対して回転するように構成しており、共面であり別個のものである。
− 回転自由度の振幅に依存して、一体化された実施形態が可能であり、この場合、付加的な高さレベルが必要である。
【0025】
いずれの場合においても、第1の弾性ガイド接続3は、スタッフ11の軸Bに垂直な平面内においてバランスされており、これによって、特に、内側フランジ1及び外側リング2が同じ一体化された構造の一部を形成するような場合において、スタッフ11は、アンバランスを回避するように、正確に構造の慣性中心に位置する。この外側リング2は、第1の弾性ガイド接続3によって与えられる抵抗性トルクに対して与えられる外的トルクの作用の下で、内側フランジ1に対して回転するように構成している。
【0026】
バランス10は、複数の慣性ブロック4を有する。
【0027】
いくつかの変種においては、以下の特徴を有する。
−
図4〜9及び12〜16の第1の系統の変種において、これらの慣性ブロックはそれぞれ、少なくとも第2の弾性接続5によって内側フランジ1に固定され、
図1、4及び12に明確に示すように、変種に依存して、さらに、第3の弾性接続50によって外側リング2に固定されることができる。慣性ブロック4はそれぞれ、位置インデクシング手段6を有する。これは、安定位置において内側フランジ1及び/又は外側リング2に設けられる位置インデクシング手段7と連係するように構成している。
−
図18の第2の系統の変種において、慣性ブロック4はそれぞれ、少なくとも1つの外側可撓性細長材94によって外側リング2によって担持されており、内側フランジ1によって担持される第1のインデクシング歯列91と慣性ブロック4によって担持される第2のインデクシング歯列92の間の連係によって定められる安定的な角位置にてインデクシングされることができる。
【0028】
特に、バランスが単一の内側フランジ1、単一の外側リング2を有し、いくつかの高さレベルを用いる設計に対して推定することが容易であるような単純な場合に基づいて、本発明を説明する。
【0029】
本発明によると、内側フランジ1に対する外側リング2のいずれの回転も、これらの慣性ブロック4の角位置を変える。
【0030】
特に、位置インデクシング手段6及び相補的なインデクシング手段7には、歯がある。ただし、これに限定されない。また、磁気又は他の種類のインデクシングを達成することを想像することができる。
【0031】
この歯を備えた変種において、特に、
図4及び6に示しているように、バランス10は複数の慣性ブロック4を有する。第1の系統の変種において、各慣性ブロック4は、少なくとも第2の弾性接続5によって、少なくとも内側フランジ1に担持されており、各慣性ブロック4に対して、内側フランジ1又は慣性ブロック4によって担持される第1のインデクシング歯列91と、第2のインデクシング歯列92との間の連係によって定められる安定的な角位置においてインデクシングすることができる。この第2のインデクシング歯列92は、第1のインデクシング歯列91がフランジ1によって担持されるときには、慣性ブロック4又は外側リング2によって担持され、第1のインデクシング歯列91が慣性ブロック4によって担持されるときには、外側リング2によって担持される。第2の系統の変種において、慣性ブロック4はそれぞれ、外側リング2によって担持される。
【0032】
外的トルクの作用を受けての内側フランジ1に対する外側リング2のすべての回転は、バランス10の慣性ブロック4の角位置を変え、各慣性ブロック4は、弾性接続5によって内側フランジ1に担持されており、バランス10の異なる慣性に対応する異なる安定的な角位置にてインデクシングされることができる。外側リング2の回転は、慣性ブロック4の位置を変え、したがって、バランス10の慣性設定を変える。
【0033】
図1は、本発明に係る計時器用バランス10を示している。これは、上側の第1の平面PS内において、外側リング2を有している。この外側リング2は、周部歯列8を担持しており、バランス10のスタッフ11と一体化されている内側フランジ1に対して弾性マウントされている。バランス10は、上側の第1の平面PSと平行な下側の第2の平面PI内において、バランスの角度的な支持及び保持面を有する。これは、バランス10のリム12の外側面120、又は下側プレート14の歯列15などによって構成している。下側プレート14には、スタッフ11に固定されたハブ17との下側弾性接続16があるように示されている。このバランス10は、本発明に係る操作メンバー20に対向するように示されており、これは、上側平面PSにおいて、制御手段80を有する。この制御手段80は、特に、駆動車81の形態の制御歯列を担持しており、この駆動車81は、外側リング2の周部歯列8と連係するように構成している。そして、下側平面PI上には、相補的な支持及び保持手段150を有する。これは、特に、弾性摩擦支持によって、リム12の外側面120と、あるいはロック係合によって下側プレート14の歯列15と、連係するように構成している。上側平面PSと下側平面PI上の歯列による連係は便利であるが、これに限定されず、摩擦又は他の手段を用いてもよい。
【0034】
特に、このようにして、慣性を変える機能は、付加されるのではなく、一体化された再設計されたバランスによって達成される。下側プレート14は、バランススタッフ11に固定され、一体化された上側プレート30は、その中心においてはバランススタッフ11に固定されるが、その外側においては回転することができる。バランススタッフ11の方へのセンタリングばねは、好ましいことに、
図17に示すような弾性細長材19の形態で作ることができ、付加された下側又は上側プレート14及び30のいずれかによって導入されるいずれの任意のアンバランスをも打ち消すことができる。弾性細長材の数を材料の種類に注意深く適応させるために、以下のように注意が払われる。例えば、単結晶ケイ素の剛性に異方性があり、例えば、(100)結晶平面に垂直な区画の場合には、方位角の周期が90°であるために、この弾性細長材の数は、4以上の偶数とするべきである。等方性の材料の場合には、この弾性細長材の数は、3以上の奇数であることができる。スタッフ11に挿入された後に、これらのプレートの中心は、好ましくは、接着結合やろう付け(これに限定されない)のような手段によってスタッフ11に恒久的に固定される。
【0035】
代替形態の1つにおいて、バランススタッフ11をクランプする弾性細長材は、慣性調整時に、外側リング2に与えられる最大トルクよりも大きな摩擦を発生させなければならない。このために、慣性調整を行うために実装される操作メンバー20は、外側リング2に与えられるトルクを制限するための較正デバイスを有することができる。
【0036】
好ましい実施形態において、バランス10は、一体化された上側プレート30を有する。この上側プレート30は、バランス10が同じものを有する場合に、内側フランジ1、第1の弾性ガイド接続3、外側リング2、慣性ブロック4、第2の弾性接続5、第1のインデクシング歯列91及び第2のインデクシング歯列92、及び第3の弾性接続50を有する。
【0037】
特定の実施形態において、内側フランジ1は、外的トルクの最大値よりも大きな摩擦トルクでスタッフ11を同心的にクランプする複数の弾性細長材19を有する。
【0038】
別の特定の実施形態において、内側フランジ1は、はんだ付け、ろう付け、接着結合又は別の同様な方法によって、スタッフ11に不可逆的に固定される。
【0039】
さらなる別の実施形態において、内側フランジ1は、最大の外的トルク値よりも大きな摩擦トルクによってスタッフ11を同心的にクランプする複数の弾性細長材19を有し、これらの弾性細長材19は、はんだ付け、ろう付け、接着結合又は別の同様な方法によって、スタッフ11に不可逆的に固定される。
【0040】
好ましい変種において、単にリム上にて静配置されているよりも良好な角位置における止めを達成するために、バランス10は、下側プレート14を有し、この下側プレート14は、スタッフ11に直接又は間接的に固定され、歯列のような周部止め手段15を有する。
【0041】
好ましい変種において、慣性の調整を正確に制御するために、外側リング2は、スタッフ11の軸Bを中心とする連続的な周部歯列8を有し、歯列8の回転によって、慣性ブロック4の位置が、2つの安定的なインデクシング位置の間で変わる。
【0042】
特定の実施形態において、内側フランジ1は、スタッフ11と一体化されている。
【0043】
特定の実施形態において、バランス10は、単層である微細機械加工された可撓性の構造を含んでいる。これは、典型的には、150μmの厚みに対して位置合わせの精度が1〜2μmであるような、MEMS技術における高い輪郭の精度の恩恵を受けており、上に定めたように、一体化された上側プレート30を形成している。
【0044】
好ましくは、システムに最大の精度を与えるために、プレートが微細機械加工され(ケイ素に対する製造に由来する技術)、可能であれば、図示するように、各プレートが、単層(マスクを用いる方法)にされる。
【0045】
このようにして、前記のような一体化された上側プレート32を、既存のバランスに付加して、発振器の内部にて大きな体積を占めずに、本発明によって与えられる慣性調整機能を既存のバランスに与える。
【0046】
バランス10が下側プレート14を有する場合、下側プレート14をMEMS技術又は同様な技術で作ることができる。
【0047】
もちろん、当業者に知られる他の同等に精密な適切な技術も、想到することができる。例えば、レーザー、ウォータージェット切断などである。
【0048】
図2〜11は、本発明に係る可撓性慣性調整機構の変種を示しており、1つの好ましい実施形態においては、一体化された上側プレート30を有している。ただし、これに限定されない。
【0049】
一般的には、
図2及び3に示すように、外側リング2には、特に、図示した好ましい実施形態において歯列8が設けられており、この外側リング2は、その中心のまわりに弾性回転することができる。この中心は、上で説明したように、バランススタッフ11に固定されている。2、3、4、5、...個の180°、120°、90°、72°、...の角度部分が、中心と外側リング2の間に配置されている。これらには、2つの主機能を実行する役割がある。すなわち、弾性細長材などを用いてガイドする役割と、及び可動な慣性ブロックなどを用いて慣性を調整する役割とである。これらの機能が、角度区画ごとに交互構成になっていたり、可能な場合、一体化されていたりすることを想到することができる。センタリング用細長材の数に対して上で言及した材料に区画の数を適応させる規則を、ここでも適用させることができる。
【0050】
図2及び3は、内側フランジと外側リングの間において、回転ガイドの機能を行う120°と180°にわたる第1の弾性接続が交互構成になっているような、上側プレート30についての2つの変種を示しており、これらの第1の弾性接続の間には、弾性的に懸架された慣性ブロックが挿入されている。
【0051】
図4に示す第1の変種において、第1のインデクシング歯列91は、内側フランジ1によって担持され、半径方向に突出している内側ジャンパーばね42によって構成しており、第2のインデクシング歯列92は、慣性ブロック4によって担持されている第1の歯付き区画43である。この慣性ブロックは、3つの第1のネック部45、21、41との接続によって懸架されており、これらの第1のネック部45、21、41はともに、バランス10の軸Bから延在する半径方向の線の垂線に対して対称な二等辺三角形ACC’を2つの半径方向のアーム区画の間で定める。このアーム区画は、一方が内側フランジ1から延在しており、他方が外側リング2から延在している。扇形の形態の慣性ブロック4は、弾性ピボットC’−A−Cの三角形によって動かされる外側リング2が角変位しているときに、Cを中心に弾性回転することができる。内側ジャンパーばね42は、保持止め構成を形成するように、歯付き区画43の歯と連係し、慣性ブロック4の正確な配置を可能にする。慣性ブロック4上の目盛り付きスケール93によって、慣性ブロック4の角位置を読むことができる。機構が適切な寸法を有するのであれば、アンバランスを発生させるリスクがあるものの、すべての慣性ブロックにおいて同じ切り欠きに入ることになって同期した運動を発生させる。変種の1つは、構造全体に対して単一のジャンパーばね及び単一のインデクシングラックを有する機構によって構成しており、この構造は、バランスの回転中心に重心を戻すために補償用慣性ブロックを備える。
【0052】
図6に示す第2の変種において、第1のインデクシング歯列91は、慣性ブロック4によって担持され、少なくとも1つの歯46を有し、第2のインデクシング歯列92は、外側リング2によって担持され、スタッフ11の軸Bとは離れた中心を有する少なくとも第2の歯付き区画72を有する。カム式変種と呼ぶこの第2の変種において、慣性ブロック4は、2つの反対側の歯46、91を有するディスクであり、このディスクは、内側フランジ1から延在する半径方向のアーム49に垂直な可撓性細長材47によって取り付けられている。外側リング2は、半径RAの円と半径RBの円が描く軌跡上において、2つの歯付き区画72、92を担持している。これらの半径RAの円と半径RBの円は、バランス10の軸Bと同心ではなく、このことによって、慣性を変えることができる。歯付き区画72、92は、慣性ブロック4の2つの歯46、91と連係する。慣性の変化は、慣性ブロック4の半径方向の位置の変化によって発生する。この変化は、半径RB又はRAに対応する傾斜を介しての慣性ブロックと外側リング2の間の相対的角位置の変化によって発生する。この第2の変種は、第1の変種と同様に、調整のための二方向性の範囲を有する。なお、中立位置においては、両方の手法において、ジャンパーばねとラックの間にクランピング/応力はなく、その空間は、単層法(1つのフォトリソグラフィマスクのみを用いる)において溝を微細機械加工できる程度に小さい。もちろん、この空間(0.10mmの厚みに対して約5μm)を、他の角位置に対して、0又は負値(応力がある状態)まで小さくすることができる。
【0053】
図7は、変種における可撓性細長材を備えるガイド機構を示している。これにおいて、内側フランジ1は、半径方向のアームを担持しており、このアームは、それぞれが2つのネック部34を有する半径方向の弾性細長材31を介して、中間的な同心の区画33を担持しており、この区画33は、それぞれが2つのネック部34を有する他の2つの半径方向の弾性細長材32によって、外側リング2に懸架されている。外側リング2は、延長線が中心にて交わる2つの細長材で懸架されており、これらの細長材は、中間的な曲がり部分33に固定されており、この曲がり部分33は、内側フランジ1に接続されている。このことには、2つのRCC(リモートセンターコンプライアンス)回転ガイドを直列に配置することを伴う。
図8にて、この原理を説明している。これは、4つの第2のネック部34がピボットK’L’M’N’によって置き換えられている半構造における第2のネック部における連接接続を示している。低振幅のための瞬間的な回転中心がバランス10のスタッフ11の軸B上にあることが明確にわかる。
【0054】
図9は、
図6及び7の変種に実質的にしたがって、慣性の調整及びガイドが、60°の区画ごとに交互構成となっているような機構を示している。慣性の変化は、慣性ブロック4の半径方向の位置の変化によって発生する。この変化は、半径RB又はRAに対応する傾斜を介しての慣性ブロックと外側リング2の間の相対的角位置の変化によって発生する。内側フランジ1と外側リング2から延在する半径方向のアームの間に、上に示されている半径方向の弾性アーム31によって形成された対、そして、弾性戻しトルクを減らす半径方向にマウントされたばねが示されている。これらのばねは、外側リング2に過大トルクが与えられることを回避し、一定の小さい力を有するインデクシングラック/ジャンパーばねのシステムを用いることが望まれる場合に、細長材の固有回転剛性を減少させる。張ったばねにリソグラフィーを適用することはできないために、フックを用いて、緩和された位置にて作られたばねが引っ張られるようにすることができる。すなわち、好ましいことに、バランス10が、LIGA、MEMS又は同様な方法によって作られた一体化されたプレート30を有する場合、ばね36はそれぞれ、フック362を備える半ばね361によって構成しており、図の左側部分に示すように、一体化されたプレート30の生産時には、半ばね361は、互いに離れており、逆さまに構成しており、そして、必要な戻し力を得るために、連結したユニット363を形成するようにフックすることだけで済む。
図11は、変形角度θの関数として弾性トルクCEの変化を示しており、前記のばねがないものを実線で、ばねがあるものを点線で示してある。
【0055】
図12に示す第3の変種では、第1のインデクシング歯列91が、内側フランジ1によって担持されており、中心がスタッフ11の軸Bとは異なる第3の歯付き区画44があり、第2のインデクシング歯列92は、外側リング2によって担持されており、外側ジャンパーばね29によって構成している。ここで、特に、バランス10は、一体化された上側プレート30を有する。この上側プレート30は、可撓性惑星構造であり、惑星が、慣性調整を可能にするアンバランス慣性ブロックであり、これらが、弾性細長材によって内側フランジ1及び/又は外側リング2に接続されている。
【0056】
内側フランジ1は、バランス10の軸Bと同心でない歯付き区画44を直接担持しており、これらの歯付き区画44のそれぞれは、外側リング2と一体化されている外側ジャンパーばね29によって適切な位置にインデクシングされており、慣性ブロック4はそれぞれ、互いに及びスタッフ11の軸Bと実質的に同心である弾性細長材48によって、内側フランジ1及び外側リング2の両方に接続している。
【0057】
この第3の変種は、惑星運動のように機能し、2つの慣性ブロック4(惑星)が、弾性アーム48によって互いに保持されている内側フランジ1と外側リング2の間で転がり、この弾性アーム48は、慣性ブロック4のまわりに巻かれている。回転角度が大きくなるにしたがって、弾性細長材48に起因する弾性戻しトルクを変化させることができる。この変化は、特に、増加する変化である。ただし、これに限らない。したがって、インデキシングシステムを制御できなくなることを防ぐために、第3の歯付き区画44のラックを傾けて、外側ジャンパーばね29の作用によって、細長材48からのトルクをオフセットする保持力を得ることができる。特定の実施形態において、この保持力は段階的なものである。なお、このシステムが衝撃の影響を受けないことに注目すべきである。実際に、線形の衝撃を受けた場合に、
図12の慣性ブロック/惑星におけるアンバランスによって発生するトルクは、
図13に示すように、互いに打ち消し合い、外側リング2の不本意な回転を発生させない。このことは、この運動の平面における任意の方向に付勢されたN個の慣性ブロック/惑星に対しても当てはまる。外側ジャンパーばね29は、弾性細長材48によって与えられる戻しトルクを克服しなければならず、また、非常に重要なことに、いずれのアンバランスをも導入しないように外側リング2をセンタリングしなければならない。
【0058】
図18に、第2の系統の変種のうちの特定の実施形態を示している。これは、中央のスパイラルを有する慣性調整構造であり、回転は、弾性的ではなく、3つのセンタリング支持体上における摩擦によって達成される。内側フランジ1には、バランス10のスタッフ11に固定された切り欠き付きスパイラル44がある。これに対して、外側リング2は、3つの慣性ブロック4を担持しており、これらはそれぞれ外側可撓性細長材94によって固定されている。外側リング2は、3つの肩部53を有しており、この肩部53上で、切り欠き付きスパイラル44のアーム51に設けられる、調整の範囲に対応する30°の角度区画にわたって、3つの支持体52が摺動する。慣性ブロック4の歯55と連係する切り欠き付きスパイラル44と、外側リング2との間の相対的回転によって、慣性ブロック4の中心対称の配置を達成することができる。特定の数値のアプリケーション(これに限定されない)において、リム12を備えたバランス10の直径が10.6mmであり、一体化されたケイ素上側プレート30の直径が7.9mmであり、厚みが150μmであり、合計慣性が1.83×10
-9kgm
2である場合に、調整振幅30°に対応する慣性調整は、1日当たり37.4秒に達する。もちろん、切り欠き付きスパイラル44の切り欠きを、特に、1日当たり0.5秒のような必要な分解能を達成するために、適応させたり小さくしたりすることができる。好ましいことに、この機構は、さらに、Z方向における外側リング2の保持を確実にするために、垂直方向のガイド要素(図示せず)を有する。外側リング2のセンタリング支持体52と肩部53は、好ましいことに、数μmの遊びの分離れている。したがって、可撓性細長材19によって自身がスタッフ11にセンタリングされる切り欠き付きスパイラル44上に外側リング2を完全にセンタリングさせるのは、慣性ブロック4である。外側リング2が回転方向にて付勢されている場合、アーム51の機能は、3つの慣性ブロック4の歯55が、切り欠き付きスパイラル44におけるそれらの切り欠きに同期状態で落として、不一致がないことを確実にすることである。結果的に、これらの切り欠きを介して細長材によって与えられるトルクは、慣性ブロックが切り欠きに落ちる終わりにおける摩擦トルクよりも高くなる。
【0059】
本発明は、さらに、特に
図20に示すような、機械式計時器用ムーブメント300に関する。これは、前記のようなバランス10を有する少なくとも1つの計時器用発振機構100と、及びバランス10に設けられた慣性ブロック4のうちの少なくともいくつかの位置を変えることによってバランス10の慣性調整を制御するように構成している操作メンバー20とを有する。この操作メンバー20は、連結位置と少なくとも1つの分離位置の間で運動可能である。本発明によると、操作メンバー20は、リム12を連結位置にて直接又は間接的に動けなくするように構成している止め手段160と、及び少なくとも1つの制御手段80とを有する。この制御手段80は、特に、歯付きのものであり、連結位置において、外側リング2、特に、外側リング2に設けられた歯列8、を回転駆動して、外側リング2と連係している慣性ブロック4の位置を変えるように構成している。
【0060】
特に
図20に示すように、本発明は、さらに、前記のようなムーブメント300を有する腕時計1000に関し、押し部品又は竜頭110によって構成している制御メンバーが、スライド式ピニオン111を介して運動ワーク112の運動を制御するように構成している。この運動ワーク112は、入力車115を有し、これは、操作メンバー20の連結位置にある少なくとも1つの前記のような歯付きの制御手段80を駆動するように構成している。本発明に係る腕時計1000は、操作メンバー20の連結又は分離を制御するために回転して動くことができる連結リング102を有し、連結リング102は、好ましくは、ユーザーからは隠れている。
【0061】
前記のような構成によって、竜頭、押し部品、ベゼル、引っ張り部品のような既存の制御メンバーと、既存のスライド式ピニオン及び運動ワークとを有するような既存の腕時計を変換させることが可能になる。
【0062】
ここで、外側リング2が歯列8を有し、一体化された上側プレート30を有するバランス10を用いる特定の場合(これに制限されない)に基づいて本発明を説明している。
【0063】
特に、
図16に示すように、この一体化された上側プレート30を、リム12の任意の角位置において以前から回転可能に固定されているリム12と同期している状況で、バランス10のリム12に対して、又はここで示したようにバランス10が1つ有する場合には下側プレート14に対して、回転させると、一体化された上側プレート30の慣性を変え、したがって、バランス10の慣性を変える。特に、この一体化された上側プレート30の、外側リング2の回転は、特に、バランス10に隣接している駆動車81の形態の操作メンバー20の制御手段80によって達成される。この駆動車81は、図に示した実施形態(これに限定されない)において、止め手段160の双安定レバー150によって担持されている。レバー150は、発振器100を有する計時器用ムーブメント300の周部にある回転式リング102の機械的な作用によって、側方から又は側方に、連結され/分離しており、このことによって、発振器100が周部上にあるときにはいつでも、発振器100にアクセスすることができる。
【0064】
図16は、この連結機構の一部の例を示している。連結リング102は、レバー150の2つの傾斜154及び155に、連結リング102に設けられたフィンガー部103を介して作用して、レバー150の傾斜をその回転方向の方に制御する。実線で示した位置は、「ON」位置において、レバー150に設けられた櫛部151を介して、下側プレート14の歯列15をロックするための位置のレバー150を示している。すなわち、バランス10は、腕時計1000の運動ワーク及び竜頭110と噛み合っている。レバージャンパーばね156は、レバー150を双安定状態にする。
図16において点線で示したロック解除位置「OFF」に変えるために、リング102は、下方に回転し、レバー150を傾斜させて分離させて、バランス10を解放する。
【0065】
ここで、レバー150は、下側プレート14の下側歯列15と連係するための櫛部151を有するが、バランス10に下側プレート14がない場合に、リム12の外側面120と連係するように、特に、接触し始めるように、構成しているような摩擦面を有することがわかるであろう。
【0066】
レバー150が解放されると、可撓性構造は、
図4のジャンパーばね42のような一体化されたジャンパーばね又は
図12の外側ジャンパーばね29によって保持される。この一体化されたジャンパーばねは、慣性ブロック4を保持し、十分な戻し力を与えて、これによって、外側リング2も保持する。
【0067】
好ましくは、システムに最大の精度を与えるために、プレートが微細機械加工され(ケイ素に対する製造に由来する技術)、可能であれば、図示するように、各プレートが、単層(マスクを用いる方法)にされる。リング102の作用によって連結するレバー150は、側方からバランス10に接近し(ON位置)、バランス10に取り付けられた下側プレート14と噛み合うレバー150の櫛部151によって、バランス10を角度的に保持する。そして、同時に、駆動車81は、上側プレート30と噛み合う。
【0068】
本発明に係る腕時計1000は、制御メンバーを有しており、この制御メンバーは、押し部品、引っ張り部品などによって構成していたり、あるいは図示するように、特に、
図20に示すように、竜頭110によって構成していたりする。この竜頭110は、調整が両方向に可逆的であるという利点を有する。竜頭110による回転は、伝統的に、少なくとも2つの位置T1及びT3の間で運動可能であり、スライド式ピニオン111を介して、運動ワーク112、入力車115、駆動車81、そして、したがって、上側プレート30の外側リング2の運動を発生させる。この外側リング2は、回転することができ、バランス10の慣性を変えることができる。
【0069】
歯列を難なく挿入できることを確実にするために、
図15に示すように、歯の先端を鋭くされる。歯が挿入されると、輪郭がまっすぐなので、あるいは可能性としてはわずかに凹むようにすることもできるので、上側及び下側プレート30及び14に対して駆動車81及びレバー150の櫛部151によって与えられる接触せん断力によっては、バランス10の耐衝撃性ピボットを動かすことができるいずれの半径方向の力をも発生させない。
【0070】
運動ワーク112は、針114を担持する中心車113を駆動することができ、このことによって、行った調整を見ることが可能になる。
【0071】
本発明は、さらに、
図20及び21に示すような、前記のような腕時計1000と、及び連結リング102の回転を制御するように構成している調整工具とを有する計時器アセンブリーに関する。
【0072】
好ましいことに、本発明によると、特に、磁気鍵によって構成している、連結リング102及び調整工具200には、図示するように、相補的な磁性領域101及び201が腕時計ケース1000を通して連係しているときに調整工具200の作用の下で連結リング102を回転駆動するための相補的な磁性領域101、201がある。リング102は、好ましいことに、特定の変種において、強磁性のターゲット101、すなわち、P、Q、R、Sを備える。これらは、注意深く配置され隠され、これによって、特定の位置P、Q鋳、R、S鋳に配置され互いに対向している、磁気スタッド201、特に、ネオジム磁石など、を有する磁気的な外側鍵200のみが、必要であれば、リングを動かして回転させることができる。一般的には回転形状である実質的に円形の純粋に強磁性のリング102の利点は、そのリング102を回転させることができる外部磁場の影響を受けず、そして、磁石が存在する望ましくない場合において、外部の強磁性体の影響を受けないことである。
【0073】
図20は、腕時計1000を開かず、押し部品を付加せずに、バランス10の慣性を変えることによって、レートを調整するデバイスの全体像を示している。強磁性のターゲット101を有する連結リング102は、連結リング102が腕時計に対して同軸に位置しているときに(それらの軸が一致しているときに)、磁気スタッド201を有する腕時計の外側の工具である、磁気鍵200によって回転可能に動く。リング102は、まず、すべてに磁石に対して最初に軸方向に引きつけられ、そして、キー200の回転によって、強磁性のターゲット101に対するリラクタンストルクによってリング10の回転を発生させる。これらのターゲットの角位置がユーザーから隠されるので、右キーのみがリングを回転させる。これには、失敗しがちなユーザーによる調整の試みがあった場合にブランドの評判を落とさないようにするために、アフターセールスサービスによって調整を行うという目的がある。このようにして、磁気鍵200は、連結リング102と連係し、強磁性のターゲット101の数及び位置がユーザーから隠され、これによって、成功せずに終わりがちなユーザーによる調整の試みを防ぐ。好ましくは、磁気スタッド201も、キー200上で隠される。
【0074】
レート調整プロセスは、以下のように進行する。まず、磁気鍵200によるリング102の回転によって、レバー150がバランス10の方向に傾く。これによって、レバーの駆動車81が、バランス10に配置された回転式の慣性調整デバイスと噛み合う。したがって、OFF位置からON位置に変わる。駆動車81は、運動ワーク112の中間的な車115と一体化されている。次に、竜頭110を位置T3(時刻設定)に引っ張ることによって、竜頭110は、スライド式ピニオン111及び中間的な車を介して、分針114及びバランス10の慣性調整デバイスの両方と噛み合う。したがって、竜頭110を回転させることによって、慣性調整が可能になり、また、分針114を介して補正を読むことができる。これは、非常に実用的である。調整が行われると、レバー150は、キー200によって補助されて分離され、ON位置からOFF位置に変わり、そして、時間がセットされ、最後に、竜頭110が位置T1に戻される。
【0075】
短く書くと、本発明によって、以下のことが可能になる。
− 特に、典型的には1日当たり10〜100秒、又はこれよりも広い範囲にわたって、バランスの慣性を変えることができる。
− これは、異なる安定位置の間の慣性ブロックの位置を変えることによって行われる。なぜなら、これらの慣性ブロックは、切り欠きの内側で常にフックされているからである。
− バランス上に配置された少なくとも1つの微細機械加工された慣性を調整可能な可撓性要素に支援されて行われる。
− ケースを通して連結リングに作用する磁気鍵を介して竜頭の回転を慣性の変化に連結する機構を得ることができる。