(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340138
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】液体移送装置
(51)【国際特許分類】
F16K 5/04 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
F16K5/04 E
F16K5/04 A
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-513341(P2017-513341)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公表番号】特表2017-516964(P2017-516964A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】EP2015061316
(87)【国際公開番号】WO2015177302
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】1454667
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516351876
【氏名又は名称】オイル システム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】イーブ グリクール
【審査官】
正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−540960(JP,A)
【文献】
実開昭50−091815(JP,U)
【文献】
米国特許第03916950(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00− 3/36
F16K 5/00− 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体移送装置であって、
液体移送開口内で液漏れなく固定される接続要素(2)であって、液体を移送する少なくとも1つの液体移送ポート(9)と、該接続要素から液体を排出する出口開口(11)と、前記移送ポートと前記出口開口との間に延びる貫通孔(10)と、を有する接続要素(2)と、
液体除去手段に連結するアダプター(3)であって、前記出口開口(11)内に挿入されるように形成された頭部(14)と、前記接続要素に形成された前記液体移送ポート(9)と協働する少なくとも1つの開口部(15)と、を有する前記アダプターと、
を備えた液体移送装置において、
前記装置は回転式シャッター(4)を有し、該回転式シャッターは、前記出口開口と前記液体移送ポート(9)との間において前記接続要素(2)内に配置され、少なくとも1つの液体通路(16)と、前記回転式シャッターの前記液体通路と前記アダプターの前記開口部(15)とが並んで配置される位置において前記アダプターの前記頭部を受け入れるように形成されたソケット(L)と、を有し、
前記回転式シャッターが、前記液体移送ポート(9)を閉じる前記装置の閉位置と、前記液体通路と前記開口部とが並んで配置される液体移送位置との間で回転するように、前記アダプターの前記頭部(14)から前記接続要素内に駆動により移動可能となることを特徴とする前記装置。
【請求項2】
前記接続要素の前記貫通孔内において前記回転式シャッターの回転を制限する当接部材(17、18、19)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転式シャッターを介し、前記接続要素において横方向に形成されたスロット(19)内に挿入される、少なくとも1つの横方向ピン(18)を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記スロットが端部拡張部(23)を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転式シャッターは、前記接続要素において横方向に形成されたスロット内に嵌め込み固定された少なくとも1つの半径方向拡張部(20)を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記接続要素の前記出口開口と前記回転式シャッターの前記ソケットが、前記アダプターの前記頭部の形状に相補的な形状の多角形である、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記回転式シャッターが前記出口開口と同じ軸線上に配置される、請求項1〜6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記回転式シャッターの前記液体通路と、前記接続要素の前記移送ポートと、前記アダプターの前記開口部とがそれぞれ半径方向に配置される、請求項1〜7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記回転式シャッターが6つの液体通路を有し、前記接続要素が6つの液体移送ポートを有する、請求項1〜8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記接続要素を閉じる閉鎖プラグ(35)を更に有する、請求項1〜9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記閉鎖プラグが、平らな頭部と、挿入される前記接続要素の前記貫通孔の形状に相補的な形状の尾部とを有し、該尾部が前記液体移送ポートの輪郭と一致する輪郭が浮き彫りされた部分(38)を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記アダプターが、
前記頭部が軸線方向に延びる円筒体(25)と、
該円筒体の開口端部に取り付けられた基部(28)と、
該基部を貫通する環状制御要素(32)から前記円筒体へ駆動により摺動可能となる封止ガスケット(30)であって、前記頭部に挿入され、前記開口部(15)を閉じる封止ロッド(31)を有する前記封止ガスケットと、
を備える請求項1〜11の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、液体の移送に関し、具体的には、重力による、ポンプによる、又は圧力差の影響下での液体の移送に関する。
【0002】
更に具体的には、本発明の特定の有利な用途において、本発明は、プラグであって、自動車又は工作機械の油溜め(sump)を空にするためにオリフィスに固定されるプラグに関する。
【0003】
一例として、目的は油溜めから油を排出することである。ただし、冷凍液(refrigeration liquid)、工作機械用の切削液などの他の液体を排出する場合も、本発明の範囲を越えない。
【背景技術】
【0004】
かかる容器を容易に空にするために、プラグで行う必要がある操作を低減して、その結果排出に必要な時間を短縮するのに、多くの解決策が提案されている。
【0005】
かかるプラグは、ケーシングのオリフィスにねじで留められるように構成され、そのプラグを閉じる可動弁部材を有し、この可動弁部材は、適切な装置、具体的には排液管の端部に取り付けられたアダプターによって並進移動するのに適している。プラグが所定の位置に差し込まれると、アダプターによって、弁部材がケーシング又は更に一般的には容器の内部を貫通するため、排液孔が開放され、液体、具体的には油が流れるようになる。
【0006】
一例として、かかるプラグは、特許文献1に記載されている。
【0007】
この特許文献1に記載されているプラグは、プラグ本体であって、プラグ本体の3分の1から2分の1の高さに位置する半径方向のスカートを有し、そして、プラグが十分奥まで留められると、ケーシングの壁を押圧するように構成されたプラグ本体を備えている。
【0008】
本体は、組み立てられた状態において、アダプターを固定可能な環状スロットが設けられた突出拡張部を画定する。
【0009】
プラグは、内部において、弁部材が取り付けられる穴を画定する。
【0010】
ガスケット群はプラグ本体の内部の穴内に設けられ、弁部材は、プラグの開位置、更に閉位置において、ガスケットを押圧する。
【0011】
このような構成は、特定の欠点による影響を受ける。
【0012】
第一に、装置の接続要素を構成するプラグ本体が容器から突出するため、破損する危険があることが分かっている。
【0013】
第二に、装置は、拡張可能なレンチを用いて容器にねじで留められる。
【0014】
第三に、容器の外側に面するガスケットは保護されないため、破損しやすい。
【0015】
そして、プラグが単一の塊として製造され、種々の材料から製造できないことが分かっている。
【0016】
また、この欠点を緩和することが可能な液体移送装置が記載されている特許文献2を参照することもできる。
【0017】
この装置は、管状接続要素と、アダプターであって、アダプターに設けられた半径方向歯を受け入れるのに適したアダプターの長手方向スロットを設けることによって接続要素に可逆的に連結されるのに適したアダプターと、を備えている。この装置は多くの利点を有するが、使用時に、具体的には締め付け時に、歯及びスロットが変形しやすいことが分かっている。加えて、機械加工によって達成するのが難しい特別な形状を、アダプターに提供する必要がある。
【0018】
さらに、特許文献2に記載されている移送装置は、比較的多くの部品から構成されているため、組立てが更に複雑かつ困難となり、そして、原価を増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2773365号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2996217号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を緩和することと、少ない数の部品から製造され、信頼性が高い、改良された液体移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は液体移送装置を提供し、この液体移送装置は、接続要素であって、液体移送孔内に密封して固定され、接続要素に液体を移送する少なくとも1つの移送ポートを有した接続要素と、接続要素から液体を排出する出口開口と、移送ポートと出口開口との間に延びる貫通孔と、を備える。
【0022】
装置はアダプターを更に備え、このアダプターは、液体除去手段に連結し、出口開口内に挿入されるように形成された頭部を備え、接続要素に形成された移送ポートと協働する少なくとも1つの開口部を有する。
【0023】
また、装置は回転式シャッターも備え、この回転式シャッターは、出口開口と液体移送ポートとの間において接続要素に配置され、少なくとも1つの液体通路と、シャッターの液体通路とアダプターの開口部とが並んで配置される位置においてアダプターの頭部を受け入れるように形成されたソケットと、を含み、シャッターが移送ポートを閉じる閉位置と、液体通路と開口部とが並んで配置される液体移送位置との間で回転するように、アダプターの頭部から接続要素に駆動により移動可能である。
【0024】
本発明の別の特徴によれば、移送装置は、接続要素の貫通孔内においてシャッターの回転を制限する当接部材を備える。
【0025】
例えば、当接部材は、少なくとも1つの横方向ピンであって、回転式シャッターを介し、アダプターにおいて横方向に形成されたスロット内に挿入される、少なくとも1つの横方向ピンを備える。
【0026】
スロットは、端部拡張部を備えることが好適である。
【0027】
特定の実施形態において、回転式シャッターには、アダプターにおいて横方向に形成されたスロット内に嵌め込み固定された(snap-fastening)、少なくとも1つの半径方向拡張部が含まれる。
【0028】
本発明の別の特徴によれば、接続要素の出口開口とシャッターのソケットは、アダプター頭部の形状に相補的な形状の多角形である。
【0029】
本発明による移送装置の更に別の特徴によれば、シャッターは、出口開口と同じ軸線上に配置される。
【0030】
回転式シャッターの液体通路、接続要素の移送ポート、及びアダプターの開口部は、半径方向に配置されることが好適である。
【0031】
実施形態において、シャッターは6つの液体通路を有し、接続要素は6つの液体移送ポートを有する。
【0032】
本発明の更に別の特徴によれば、装置には、接続要素を閉じる閉鎖プラグが更に含まれる。
【0033】
一例として、プラグは、平らな頭部と、挿入される接続要素の貫通孔の形状に相補的な形状の尾部と、を備え、尾部は、液体移送ポートの輪郭と一致する輪郭が浮き彫りされた部分を備える。
【0034】
実施形態において、アダプターは、前述の頭部が軸線方向に延びる円筒体と、円筒体の開口端部に取り付けられた基部と、基部を貫通する環状制御要素から円筒体に駆動により摺動可能な封止ガスケットであって、頭部に挿入され開口部を閉じる封止ロッドを有する封止ガスケットと、を備える。
【0035】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面を参照し、非限定的な例として純粋に示されている次の説明を読むことによって現れる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】
図1による装置の閉位置における接続要素の斜視図である。
【
図3】
図1による装置の液体移送位置における接続要素の斜視図である。
【
図4】
図1の装置の断面図であり、装置の閉位置及び液体移送位置を示す。
【
図5】本発明に係る液体移送装置の別の実施形態の断面図である。
【
図7】接続要素の出口開口に取り付けられたアダプターの頭部を示す。
【
図8】接続要素の出口開口に取り付けられたアダプターの頭部を示す。
【
図9】本発明に係る液体移送装置のアダプターの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1を最初に参照すると、この図は、本発明に係る液体移送装置の第1の実施形態を示し、装置は全体的に参照符号1で示されている。
【0038】
図示されている実施形態において、液体移送装置は、自動車又は工作機械の油溜めから油を排出するためのものである。
【0039】
ただし、冷凍液、冷却液、工作機械用の切削液などの他の種類の液体が移送される場合は、本発明の範囲を越えない。
【0040】
理解することができるように、装置1は3つの部分を備えており、これらの部品は、ケーシングの排液管にねじで固定されるプラグを構成する接続要素2と、
図1に一部分が示されているアダプター3と、接続要素2に取り付けられ、アダプターから回転駆動することができる回転式シャッター4である。
【0041】
接続要素2は、本体5であって、金属、プラスチック材料又は他の材料から製造され、環状肩部6を有し、これによって、接続要素2がケーシングの壁を押圧する本体と、ケーシングをねじで固定する中央ねじ部7と、液体を移送する半径方向ポート9を有する遠位端部8と、を備えている。
【0042】
接続要素の本体5は、内部において、接続要素を貫通し回転式シャッター4を受け入れる軸線方向貫通孔10を有している。
【0043】
具体的には、貫通孔10は、肩部6に形成された軸線方向液体出口開口11まで移送ポート9を拡張する。
【0044】
アダプター3は、回転式シャッター4を移動させる工具を構成する内部軸線方向通路13と頭部14とを備えた端部管12を有する本体(
図1に示さず。)を本質的に備えている。
図1において理解することができるように、アダプターの頭部14は、液体移送ポート9と並んで配置される半径方向開口部15を有している。
【0045】
アダプターの頭部14、及び接続要素の出口開口11は、対応する形状を採用する。この例における頭部14及び出口開口11は多角形であり、具体的には六角形である。この例において、頭部は6つの側面を有する。
【0046】
回転式シャッター4は、概して円筒状であり、接続要素の本体の貫通孔10に実質的に対応する外径を有している。回転式シャッターには、アダプターの頭部14を受け入れるのに適したソケットを構成する内周面を備えた軸線方向内部ハウジングLが含まれている。したがって、この例では、回転式シャッターは、頭部14を受け入れるように、多角形であり、具体的には六角形である。
【0047】
回転式シャッターは、アダプターの頭部14によって加えられる締め付け力に抵抗する程度に十分に強く、さらに、効果的に封止する材料から製造される。
【0048】
この点で、ゴムを用いることが可能である。また、硬質材料、例えば金属から製造され封止材料の層により被覆された中心コアの形態で、ガスケットを製造することも可能である。
【0049】
回転式シャッター4は、ハウジングLが達する液体通路16を備えており、液体通路の数も同様に6である。液体通路は半径方向に配置されている。
【0050】
回転式シャッターは、符号18のようなピンを受け入れる目的で、ガスケットの径に並んで配置される2つの横方向穴17を有している。同様に、接続要素の本体5は、ピン18が挿入され正反対に位置する2つの両端部横方向スロット19を備えている。
【0051】
さらに、
図2及び3を参照すると、回転式シャッター4は、取付け時に、出口開口11と同じ軸線上の接続要素2の本体5に挿入されるようになる。回転式シャッターは、接続要素に形成された液体移送ポート9に対してシャッター4の液体通路16がオフセットされる、
図2に示されている移送装置の閉位置と、液体通路16が移送ポート9と並んで配置される液体移送位置との間で、本体5に対し角度をなして移動可能である。
【0052】
この例において、これらの2つの位置は、ガスケットを接続要素5に対して30°移動させるように対応する。
【0053】
このため、それぞれのピン18が挿入されるスロット19は、30°の角度の扇形領域にわたって延びる。
【0054】
したがって、
図2及び3に示されている装置の閉位置及び液体移送位置は、それぞれのスロット19のピン18の2つの正反対の位置に相当する。
【0055】
上述の液体移送装置は、封止ガスケットJが介在するケーシングC(
図4)の壁に固定された接続要素の出口開口11内に、アダプターの頭部14を挿入することによって用いられる。頭部14は、シャッターに形成されたハウジングL内を貫通するまで、挿入される。具体的には、頭部は、接続要素に対し角度をなして移動させることができるまで、出口開口11を越えて挿入される。
【0056】
閉位置では、アダプターの頭部14に形成された開口部と回転式シャッターに形成された液体通路16とは並んで配置されるが、移送ポート9に対してオフセットされる。
【0057】
図4の右側部分に示されている装置の閉位置から始めて、行われる必要があるすべてのことは、アダプターの頭部14及び回転式シャッターの液体通路16に、アダプター頭部の本体に形成された液体移送ポート9と並んで配置される開口部をもたらすように、ケーシング内部がアダプターに形成された開口部13と連通できるように、アダプターの頭部を30°回転することである。
【0058】
図1〜4を参照して説明された実施形態において、シャッター4は、スロット19、及びシャッターに形成された穴17内を貫通するピン18を備えた接続要素において回転するように、自由に取り付けられることを理解する必要がある。
【0059】
変形例において、
図5において理解することができるように、半径方向肩部20であって、接続要素の本体5に形成されたスロット19内にスナップ式でパチンと嵌め込まれるそれぞれの端部傾斜部21を有した半径方向肩部を設けることも同様に可能である。この実施形態は、液体移送装置の部品の数を2つのみの部品へ更に低減させ、そして、スナップ式の固定により行われるため、回転式シャッターを接続要素に更に容易に取り付けられる限りでは、効果的である。
【0060】
図6を参照して、
図1に対応し、スロット19内に受け入れられるピン18を有する実施形態の説明を続けるが、端部拡張部23は、その閉位置、又はそのほかにその液体移送位置において装置の安定した閉位置を構成するように、ピン18が2つの正反対の位置において嵌合するようになるスロット19に設けられることが好適である。
【0061】
当然のことながら、この実施形態は、
図5を参照して説明された実施形態にも同様に適用可能である。
【0062】
すべての状況下で、
図7及び8に示されているように、出口開口11内に、そして、回転式シャッター4のハウジングL(
図7)内にアダプター頭部を挿入する必要があるため、移送装置を用いることは比較的簡単である。この位置にあると、六角形の頭部の平面、出口開口11の平面、及びハウジングLの平面は、並んで配置される。
【0063】
これに対して、液体移送位置では、アダプター頭部14の平面、回転式シャッターのハウジングLの平面は、出口開口11の平面からオフセットされる。このため、アダプター頭部は、出口開口11の内部を画定する半径方向肩部24に隣接し、装置がその液体移送位置にある限り、アダプターは接続要素から抜き取ることができない。
【0064】
図9及び10を参照して、上述した液体移送装置のアダプターの構造の説明を続ける。アダプターは、液体排出手段、例えば容器に導く排液管に連結するためにある。
【0065】
アダプター3は、円筒体25であって、端部頭部14を備える管12が延びる(
図1)第1の端部26を有し、そして、開口した反対側端部27を有する円筒体を備えている。また、アダプターは、密封して、例えばねじで固定することによって円筒体25の開口端部27に取り付けられた液流管(liquid flow tube)29を備える基部28と、内部封止ガスケット30であって、円筒体25に摺動可能に取り付けられ、開口部14を閉じる管12内に挿入するのに適した封止ロッド31を有する内部封止ガスケットも有している。液流管29の周囲において軸線方向に移動可能な環状部分33を有する制御要素32は、摺動する封止ガスケット30を移動させるように機能する。この点で、制御要素は、2つのガイドロッド34であって、基部28を貫通し、Oリングが介在する(図示しない。)ピン35によって環状のガスケット30に固定された2つのガイドロッド34を有する。
【0066】
また、
図10を参照すると、摺動する封止ガスケット30、更に具体的には封止ロッド31が、アダプターの頭部14に挿入されると、アダプターは閉じ、液体は頭部14から漏出し得ない。
【0067】
これに対して、環状制御要素33に手動による牽引が及ぼされると(矢印F)、封止ロッドは頭部14から解放されるため、アダプターを介して液体を移送することができる。
【0068】
このような配置は、移送液体が操作者の皮膚に接触するのを防ぐため、有害な又は高温の液体を排出することに対して特に効果的である。
【0069】
そして、
図11を参照すると、上述の装置は、接続要素を閉じるプラグ35によって完成し、このプラグは、平らな頭部36と、挿入される接続要素の貫通孔の形状に相補的な形状、すなわち六角形の尾部37と、を備えている。尾部37には、そのそれぞれの面に浮き彫り部38が含まれている。浮き彫り部38は、これらが挿入されるようになる液体移送ポートの輪郭と一致する輪郭である。この例において、浮き彫り部は、外面であって、プラグを挿入できるように傾斜して傾斜部を形成するとともに、回転式シャッターの望ましくない回転を防ぐことによって、プラグが所定の位置に保持されることを保証する外面を有する。
【0070】
頭部36の平面により、プラグはケーシングから突出しない。
【0071】
また、上述の発明は、特定の利点を提供することも理解する必要がある。
【0072】
第一に、接続要素は、六角形のアダプター頭部を受け入れるように形成され、これによって、接続要素の変形を制限する。
【0073】
第二に、上述の装置は、部品の数が少なく、これによって、その製造費を抑え、実施が容易になる。
【0074】
また、接続要素は、溶接することなく、単一部品として製造され、これによって、破損の危険性が抑えられ、信頼性が向上し、装置の製造が更に容易になり、具体的には自動的な製造が容易になることも理解する必要がある。
【0075】
第三に、装置、具体的には接続要素は、ばね座金型のばねであって、このような種類の装置を製造する先行技術に用いられており、そして、費用が比較的高い特殊な部品である、ばね座金型のばねを有さない。