特許第6340178号(P6340178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340178
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】コンテンツ提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20180528BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20180528BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20180528BHJP
   G09F 27/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G06Q30/02 380
   G06Q50/10
   G06F13/00 510C
   G09F27/00 N
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-172324(P2013-172324)
(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公開番号】特開2015-41267(P2015-41267A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390023168
【氏名又は名称】株式会社エヌケービー
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100088214
【弁理士】
【氏名又は名称】生田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】菊田 眞弘
【審査官】 田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−008109(JP,A)
【文献】 特開2012−098991(JP,A)
【文献】 特開2011−076111(JP,A)
【文献】 特開2012−141786(JP,A)
【文献】 特開2001−320337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G06F 13/00
G09F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場所に設置されたスピーカーから出力される音に基づいて,ユーザが利用する可搬型通信端末でコンテンツの表示を行うコンテンツ提供システムであって,
前記コンテンツ提供システムは,前記可搬型通信端末と管理サーバとコンテンツ提供サーバとを有しており,
前記可搬型通信端末は,
前記可搬型通信端末に備えた集音装置で集音した音のうち,所定の周波数帯の音の振幅に基づいて,アクセス先識別情報を判定するアクセス先識別情報判定処理部と,
前記判定したアクセス先識別情報と前記可搬型通信端末の接続情報とを前記管理サーバに送る判定情報送信処理部と,
前記コンテンツ提供サーバからコンテンツを受信するコンテンツ受信処理部と,
前記受信したコンテンツを,前記可搬型通信端末の表示装置で表示するコンテンツ表示処理部と,を備え,
前記管理サーバは,
前記可搬型通信端末から前記アクセス先識別情報と接続情報とを受け取る判定情報受信処理部と,
前記アクセス先識別情報に基づいて,前記アクセス先識別情報と前記コンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を参照することで,前記可搬型通信端末に対してコンテンツを提供するコンテンツ提供サーバを特定する提供サーバ特定処理部と,
前記特定したコンテンツ提供サーバに対して,前記可搬型通信端末の接続情報を送る提供先情報送信処理部と,を備え,
前記コンテンツ提供サーバは,
前記可搬型通信端末の接続情報を受け取る提供先情報受信処理部と,
前記接続情報に基づいて前記可搬型通信端末に対してコンテンツを送るコンテンツ送信処理部と,を備える,
ことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項2】
所定の場所に設置されたスピーカーから出力される音に基づいて,ユーザが利用する可搬型通信端末でコンテンツの表示を行うコンテンツ提供システムであって,
前記コンテンツ提供システムは,
ユーザが利用する可搬型通信端末に備えた集音装置が集音した音のうち,所定の周波数帯の音の振幅に基づいて判定したアクセス先識別情報と,前記可搬型通信端末の接続情報とを,前記可搬型通信端末から受け取る判定情報受信処理部と,
前記アクセス先識別情報に基づいて,前記アクセス先識別情報とコンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を参照することで,前記可搬型通信端末に対してコンテンツを提供するコンテンツ提供サーバを特定する提供サーバ特定処理部と,
前記特定したコンテンツ提供サーバに対して,前記可搬型通信端末の接続情報を送ることによって,前記コンテンツ提供サーバから前記可搬型通信端末にコンテンツを送らせ,前記可搬型通信端末でそのコンテンツの表示を行わせる提供先情報送信処理部と,
を有することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項3】
所定の場所に設置されたスピーカーから出力される音に基づいて,ユーザが利用する可搬型通信端末でコンテンツの表示を行うコンテンツ提供システムであって,
前記コンテンツ提供システムは,
ユーザが利用する可搬型通信端末に備えた集音装置で集音した音のうち,所定の周波数帯の音の振幅に基づいて,アクセス先識別情報を判定するアクセス先識別情報判定処理部と,
前記判定したアクセス先識別情報と前記可搬型通信端末の接続情報とを管理サーバに送ることで,前記アクセス先識別情報とコンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を前記管理サーバに参照させて,前記アクセス先識別情報に対応するコンテンツ提供サーバを特定させる判定情報送信処理部と,
前記管理サーバから前記特定したコンテンツ提供サーバに対して送られた前記接続情報に基づいて,前記コンテンツ提供サーバから送られたコンテンツを受信するコンテンツ受信処理部と,
前記受信したコンテンツを前記可搬型通信端末の表示装置で表示させるコンテンツ表示処理部と,
を有することを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項4】
前記スピーカーは,
第1の周波数帯の音と,第2の周波数帯の音とを同時に出力し,
前記第1の周波数帯では,人に聞かせることを目的とした音を出力し,
前記第2の周波数帯では,前記アクセス先識別情報を振幅に変換した音を出力する,
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載のコンテンツ提供システム。
【請求項5】
前記可搬型通信端末は,
前記集音装置による集音を行う起動時間の設定を受け付け,
前記起動時間帯において,前記集音装置で集音した音に基づいて前記アクセス先識別情報の判定処理を前記アクセス先識別情報判定処理部で実行する,
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項6】
可搬型通信端末を,
所定の場所に設置されたスピーカーから出力される音を,前記可搬型通信端末の集音装置で集音した音のうち,所定の周波数帯の音の振幅に基づいて,アクセス先識別情報を判定するアクセス先識別情報判定処理部,
前記判定したアクセス先識別情報と前記可搬型通信端末の接続情報とを管理サーバに送ることで,前記アクセス先識別情報とコンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を前記管理サーバに参照させて,前記アクセス先識別情報に対応するコンテンツ提供サーバを特定させる判定情報送信処理部,
前記管理サーバから前記特定したコンテンツ提供サーバに対して送られた前記接続情報に基づいて,前記コンテンツ提供サーバから送られたコンテンツを受信するコンテンツ受信処理部,
前記受信したコンテンツを前記可搬型通信端末の表示装置で表示させるコンテンツ表示処理部,
として機能させることを特徴とするアプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,駅などの自宅外で,周囲の音やメロディを集音し,その音に基づいて所定のコンテンツをユーザに提供するコンテンツ提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自宅外にいるユーザに対して情報を提供するにはさまざまな方法がある。たとえば,屋外に看板を設置する,スピーカーから音を流す,屋外に設置したモニターで映像を出力する,などの方法がある。またそのほかにも,ユーザが所持する携帯電話,PHS,PDA,タブレット型コンピュータ(以下,「可搬型通信端末」という)に対してウェブサイトなどを介して情報の提供を行う,といったことも行われている。このような情報提供装置やコンテンツ提供システムの一例を,特許文献1および特許文献2に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−156935
【特許文献2】特開2008−40243
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合には,バスの停留所に広告塔を設置し,そこにバスの時刻表のほか,フィルム板を設置することで広告が行えるものである。これによってバスを待っているユーザに対して広告を認識させ,情報提供が行える。しかしそこに表示する広告を動的に変化させる場合には,通信装置を内蔵しなければならない。この場合,広告塔に,通信装置やそれを制御する各種装置を設置し,電子機器に対する防水対策などを施す必要から,そのコストが上昇してしまう。また通信費もランニングコストとして発生する。一台あたりのコスト上昇は大きくなくとも,その数が大きい場合,全体としてのコスト上昇は無視することができない。そのため,通信装置などを備え,動的に変化するような広告塔はあまり普及をしていない。
【0005】
そのため従来のように看板に広告を掲示する方法が採られることが多い。しかし,それだけでは最新の情報提供を行うことができないため,特許文献2に示すように,広告の所定箇所に二次元コードや,ウェブサイトのURLを表示することによって,ユーザが二次元コードを読み取り,あるいはURLを入力することで,ウェブサイトから最新の情報提供を行う方法が一般的になっている。
【0006】
また,スピーカーなどから音声による情報提供を行う場合には,アクセス先となるURLや検索キーワードを流している。
【0007】
しかしこれらの方法の場合,ユーザが自ら主体的に看板やモニターに近づき,二次元コードを撮影したり,ウェブサイトのURLを見て入力しなければならない。またスピーカーの場合には,ユーザは情報を聞き取ってURLやキーワードを記憶し,それを入力しなければならない。そのため,ユーザに手間が発生する。
【0008】
これらの手間を軽減するため,インターネットだけの世界に限れば,バナー広告のクリックや電子メールに記載されたURLのクリックなどでアクセスをすることができるが,あくまでもインターネットを介して受け取った情報に基づいて,ウェブサイトにアクセスをするものである。そしてインターネットを介して受け取ることから,ユーザがどこにいるか,といった現実世界との関係性は取れていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者は,ユーザが現在いる場所の周囲の音を可搬型通信端末で集音し,集音した結果に基づいて,所定のウェブサイトへのアクセスを可能とすることで,ユーザの負担なくさまざまなコンテンツの提供が行われるコンテンツ提供システムを発明した。
【0010】
第1の発明は,所定の場所に設置されたスピーカーから出力される音に基づいて,ユーザが利用する可搬型通信端末でコンテンツの表示を行うコンテンツ提供システムであって,前記コンテンツ提供システムは,前記可搬型通信端末と管理サーバとコンテンツ提供サーバとを有しており,前記可搬型通信端末は,前記可搬型通信端末に備えた集音装置で集音した音のうち,所定の周波数帯の音の振幅に基づいて,アクセス先識別情報を判定するアクセス先識別情報判定処理部と,前記判定したアクセス先識別情報と前記可搬型通信端末の接続情報とを前記管理サーバに送る判定情報送信処理部と,前記コンテンツ提供サーバからコンテンツを受信するコンテンツ受信処理部と,前記受信したコンテンツを,前記可搬型通信端末の表示装置で表示するコンテンツ表示処理部と,を備え,前記管理サーバは,前記可搬型通信端末から前記アクセス先識別情報と接続情報とを受け取る判定情報受信処理部と,前記アクセス先識別情報に基づいて,前記アクセス先識別情報と前記コンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を参照することで,前記可搬型通信端末に対してコンテンツを提供するコンテンツ提供サーバを特定する提供サーバ特定処理部と,前記特定したコンテンツ提供サーバに対して,前記可搬型通信端末の接続情報を送る提供先情報送信処理部と,を備え,前記コンテンツ提供サーバは,前記可搬型通信端末の接続情報を受け取る提供先情報受信処理部と,前記接続情報に基づいて前記可搬型通信端末に対してコンテンツを送るコンテンツ送信処理部と,を備える,コンテンツ提供システムである。
【0011】
第2の発明は,所定の場所に設置されたスピーカーから出力される音に基づいて,ユーザが利用する可搬型通信端末でコンテンツの表示を行うコンテンツ提供システムであって,前記コンテンツ提供システムは,ユーザが利用する可搬型通信端末に備えた集音装置が集音した音のうち,所定の周波数帯の音の振幅に基づいて判定したアクセス先識別情報と,前記可搬型通信端末の接続情報とを,前記可搬型通信端末から受け取る判定情報受信処理部と,前記アクセス先識別情報に基づいて,前記アクセス先識別情報とコンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を参照することで,前記可搬型通信端末に対してコンテンツを提供するコンテンツ提供サーバを特定する提供サーバ特定処理部と,前記特定したコンテンツ提供サーバに対して,前記可搬型通信端末の接続情報を送ることによって,前記コンテンツ提供サーバから前記可搬型通信端末にコンテンツを送らせ,前記可搬型通信端末でそのコンテンツの表示を行わせる提供先情報送信処理部と,を有するコンテンツ提供システムである。
【0012】
第3の発明は,所定の場所に設置されたスピーカーから出力される音に基づいて,ユーザが利用する可搬型通信端末でコンテンツの表示を行うコンテンツ提供システムであって,前記コンテンツ提供システムは,ユーザが利用する可搬型通信端末に備えた集音装置で集音した音のうち,所定の周波数帯の音の振幅に基づいて,アクセス先識別情報を判定するアクセス先識別情報判定処理部と,前記判定したアクセス先識別情報と前記可搬型通信端末の接続情報とを管理サーバに送ることで,前記アクセス先識別情報とコンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を前記管理サーバに参照させて,前記アクセス先識別情報に対応するコンテンツ提供サーバを特定させる判定情報送信処理部と,前記管理サーバから前記特定したコンテンツ提供サーバに対して送られた前記接続情報に基づいて,前記コンテンツ提供サーバから送られたコンテンツを受信するコンテンツ受信処理部と,前記受信したコンテンツを前記可搬型通信端末の表示装置で表示させるコンテンツ表示処理部と,を有するコンテンツ提供システムである。
【0013】
上述の各発明によって,たとえば駅のプラットホームに設置されたスピーカーから出力する音を可搬型通信端末で集音することで,特定のウェブサイトなどからのコンテンツを可搬型通信端末で表示させることができる。
【0014】
たとえば図7に示すように,駅のプラットホームでスピーカーから流れる発車メロディに基づいて,占いのウェブサイトが自動的に表示できるようになる。
【0016】
上述の各発明の構成によれば,アクセス先識別情報を判定しても,管理サーバを介した上でコンテンツ提供サーバからコンテンツの提供を可搬型通信端末に行っている。これは,たとえばスピーカーが駅のプラットホームに設置されているような場合,そこから出力する音を容易に変更することはできないためである。つまりスピーカーから出力される音に基づくアクセス先識別情報を容易に変更することはできない。そのため,コンテンツを変更しようと思った場合,可搬型通信端末からコンテンツ提供サーバに直接アクセスするように構成すると,同じコンテンツにしかアクセスできなくなってしまう。
【0017】
そこで,第1から第3の発明の構成により,管理サーバでアクセス先識別情報とコンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶しておく。そしてその対応関係を変更することで,アクセス可能となるコンテンツ提供サーバを変更可能とし,駅のプラットホームに設置されたスピーカーのような,出力する音を容易に変更できないスピーカーを利用する場合にも,提供するコンテンツを変更可能とする。
【0018】
上述の各発明において,前記スピーカーは,第1の周波数帯の音と,第2の周波数帯の音とを同時に出力し,前記第1の周波数帯では,人に聞かせることを目的とした音を出力し,前記第2の周波数帯では,前記アクセス先識別情報を振幅に変換した音を出力する,コンテンツ提供システムのように構成することができる。
【0019】
本発明の構成のように,アクセス先識別情報は,人の耳に聴取できないまたは聴取が容易ではない周波数帯の音により出力を行うことがよい。これによって,スピーカーが出力する,本来,人に聞かせるべき音を極力阻害することなく,可搬型通信端末でのコンテンツの表示が可能となる。たとえば,上述のように,可搬型通信端末で占いのウェブサイトを表示させるためのアクセス先識別情報は,人の耳に聴取できないまたは聴取が容易ではない周波数帯を用いて出力することで,駅の利用者にとっては,発車メロディのみが聞こえ,駅の業務などへの影響を最低限に抑えることができる。
【0020】
上述の発明において,前記可搬型通信端末は,前記集音装置による集音を行う起動時間の設定を受け付け,前記起動時間帯において,前記集音装置で集音した音に基づいて前記アクセス先識別情報の判定処理を前記アクセス先識別情報判定処理部で実行する,コンテンツ提供システムのように構成することができる。
【0021】
可搬型通信端末の集音装置は,その起動中は音を集音するので,バッテリーの消費が激しくなる。そこで,本発明のように,起動時間を設定し,その時間帯だけ集音をするように構成すると良い。
【0022】
可搬型通信端末では,本発明のアプリケーションプログラムを実行する。すなわち,可搬型通信端末を,所定の場所に設置されたスピーカーから出力される音を,前記可搬型通信端末の集音装置で集音した音のうち,所定の周波数帯の音の振幅に基づいて,アクセス先識別情報を判定するアクセス先識別情報判定処理部,前記判定したアクセス先識別情報と前記可搬型通信端末の接続情報とを管理サーバに送ることで,前記アクセス先識別情報とコンテンツ提供サーバとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を前記管理サーバに参照させて,前記アクセス先識別情報に対応するコンテンツ提供サーバを特定させる判定情報送信処理部,前記管理サーバから前記特定したコンテンツ提供サーバに対して送られた前記接続情報に基づいて,前記コンテンツ提供サーバから送られたコンテンツを受信するコンテンツ受信処理部,前記受信したコンテンツを前記可搬型通信端末の表示装置で表示させるコンテンツ表示処理部,として機能させるアプリケーションプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によって,ユーザが利用する可搬型通信端末でその周囲の音を集音し,その音に基づき,所定のウェブサイトへのアクセスが可能となる。これによって,ユーザは自ら二次元コードを撮影する,URLを入力する,といった手間がなくなる。また,ウェブサイトへアクセスするための識別情報は,スピーカーから流されている音とともに同時に出力されているが,そのままでは人に聞かせたい音声も聞こえにくくなってしまう。そこでウェブサイトへのアクセスに用いる識別情報の音の出力は,人間の耳には聞こえない,または聞こえにくい周波数帯であって,かつ可搬型通信端末では集音可能な周波数帯で出力を行う。これによって,人に聞かせたい音声を妨げる異なる上記識別情報をスピーカーから出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のコンテンツ提供システムの全体の概念図の一例を模式的に示す図である。
図2】本発明のコンテンツ提供システムのシステム構成の一例を模式的に示す概念図である。
図3】コンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
図4】本発明の処理プロセスの一例を模式的に示すフローチャートである。
図5】振幅と文字等の変換の対応関係のイメージの一例を模式的に示す図である。
図6】対応関係記憶部の一例を模式的に示す図である。
図7】本発明のスピーカーを駅のプラットホームに設置した場合のイメージを示す図である。
図8】実施例2における振幅と文字等との変換の対応関係のイメージの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のコンテンツ提供システム1の全体の概念図の一例を図1に示す。また,コンテンツ提供システム1のシステム構成の一例の概念図を図2に示す。
【0026】
コンテンツ提供システム1は,本発明を運営する企業などが利用する管理サーバ2と,ユーザが利用する可搬型通信端末4へのコンテンツ提供を行うコンテンツ提供サーバ3と,駅のプラットホームなど所定の箇所に設置されたスピーカー5と,を用いる。
【0027】
コンテンツ提供システム1における管理サーバ2,コンテンツ提供サーバ3は,各種のコンピュータにより,適宜実現される。図3にコンピュータのハードウェア構成の一例を示す。コンピュータには,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と,情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と,ディスプレイなどの表示装置72と,キーボードやポインティングデバイス(マウスやテンキーなど)などの入力装置73と,演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。
【0028】
なお,図1図2では管理サーバ2,コンテンツ提供サーバ3がそれぞれ一台のコンピュータで実現される場合を示したが,複数台のコンピュータにその機能が分散配置され,実現されても良い。また,管理サーバ2とコンテンツ提供サーバ3とが一台で構成されていても良い。
【0029】
本発明における各手段は,その機能が論理的に区別されているのみであって,物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
【0030】
スピーカー5は,人が聴取可能な周波数帯(20Hz程度〜20kHz程度の周波数帯)の音と,人が聴取できないまたは聴取することが容易ではない周波数帯(たとえば,人が聴取できない20Hz〜20kHz以外の周波数帯や,20Hz程度〜20kHz程度の周波数帯であっても,聴取することが容易ではない周波数帯(たとえば12kHz程度))であってスピーカー5で出力可能な周波数帯の音とを同時に出力する。これらの音を可搬型通信端末4の集音装置75(マイク)で集音する。前者の周波数帯においては,たとえばスピーカー5が駅のプラットホームに設置されている場合には,電車が到着するアナウンス,電車が発車するアナウンス,発車メロディ,各種アナウンスなどがある。また前者の周波数帯の音は,発車メロディを出力する際にあわせて出力をすると良い。
【0031】
可搬型通信端末4では本発明を利用するため,所定のアプリケーションプログラムを取得しておく。そのアプリケーションプログラムをインストールすることで,可搬型通信端末4において,アクセス先識別情報判定処理部40と判定情報送信処理部41とコンテンツ受信処理部42とコンテンツ表示処理部43とが実行される。
【0032】
アクセス先識別情報判定処理部40は,スピーカー5から出力された音を,可搬型通信端末4の集音装置75で集音し,人が聴取できないまたは聴取が非容易であって,かつスピーカー5から出力可能な周波数帯の音を解析し,その解析結果に基づいてアクセス先となる識別情報を判定する。
【0033】
これは以下のような処理により実現できる。まず可搬型通信端末4の集音装置75で集音した音のうち,アクセス先識別情報判定処理部40で判定処理に用いる周波数帯の音を分離する。そしてその周波数帯の音の振幅に基づいて,その振幅に対応する文字,数字,記号(以下,「文字等」という)などを変換する。振幅と文字等などの対応関係はあらかじめ定められている。振幅と文字等の変換の対応関係のイメージを図5に模式的に示す。
【0034】
図5に示すように,あらかじめ振幅と文字等とが対応付けられているので,所定の周波数帯の音の振幅を特定し,その振幅に対応付けられている文字等を,その対応関係に基づいて特定する。この際に,振幅の正負を考慮せずに,振幅の絶対値で判定しても良いし,正または負のいずれかの振幅のみを判定対象としても良い。
【0035】
また,図5に示すように,判定処理に用いる周波数帯を一つにせずとも,複数の周波数帯を用いても良い。この場合,振幅と周波数(振動数)とに対応付けて文字等を対応付けておけば,同じ振幅であっても,周波数(振動数)によって,異なる文字等として用いることができる。すなわち,アクセス先識別情報判定処理部40は,振幅と周波数(振動数)とに基づいて判定しても良い。
【0036】
たとえば集音装置75が集音した音のうち,判定処理に用いる周波数帯の音が図5であったとすると,アクセス先識別情報判定処理部40は,アクセス先識別情報を「http://www.nkb.co.jp」と判定する。
【0037】
判定情報送信処理部41は,アクセス先識別情報判定処理部40で判定したアクセス先識別情報と,可搬型通信端末4と管理サーバ2およびコンテンツ提供サーバ3との間の通信で用いる当該可搬型通信端末4の接続情報(たとえばMacアドレスとIPアドレス)と,管理サーバ2でユーザを識別するための識別情報(ユーザ識別情報)とを,可搬型通信端末4から管理サーバ2に送る。
【0038】
コンテンツ受信処理部42は,コンテンツ提供サーバ3から送られたコンテンツを受信する。
【0039】
コンテンツ表示処理部43は,コンテンツ受信処理部42で受信したコンテンツを,可搬型通信端末4の表示装置72で表示する。
【0040】
管理サーバ2は,判定情報受信処理部20と対応関係記憶部21と提供サーバ特定処理部22と提供先情報送信処理部23とを有する。
【0041】
判定情報受信処理部20は,可搬型通信端末4の判定情報送信処理部41から送られた,アクセス先識別情報,Macアドレス,IPアドレス,ユーザ識別情報を受け取る。
【0042】
対応関係記憶部21は,アクセス先識別情報と,コンテンツ提供サーバ3の接続先との対応関係を記憶する。なおアクセス先識別情報がコンテンツ提供サーバ3の接続先を示す情報(たとえばURL)の場合には対応関係記憶部21は用いずとも良い。対応関係記憶部21の一例を図6に示す。図6の場合,アクセス先識別情報がコンテンツ提供サーバ3を識別するための情報である場合を示すが,この情報と,コンテンツ提供サーバ3とのURLとの対応関係を記憶している。
【0043】
提供サーバ特定処理部22は,判定情報受信処理部20で受け取ったアクセス先識別情報に基づいて対応関係記憶部21を参照することで,可搬型通信端末4にコンテンツを送信すべきコンテンツ提供サーバ3を特定する。なお,アクセス先識別情報がコンテンツ提供サーバ3の接続先を示す情報の場合には,提供サーバ特定処理部22を用いずとも良い。
【0044】
たとえば判定情報受信処理部20でアクセス先識別情報として「11111」を受け取っていた場合,それに基づいて対応関係記憶部21を参照する。そして「11111」に対応する「http://www.nkb.co.jp」のコンテンツ提供サーバ3が,当該可搬型通信端末4に対してコンテンツを提供すべきサーバであることを特定する。
【0045】
提供先情報送信処理部23は,判定情報受信処理部20で受信したアクセス先識別情報のコンテンツ提供サーバ3または提供サーバ特定処理部22で特定したコンテンツ提供サーバ3に対して,判定情報受信処理部20で受信したMacアドレスとIPアドレスと,場合によってはユーザ識別情報を渡す。この際に,図示しないユーザ情報記憶部(ユーザ識別情報とユーザの属性情報とを対応付けて記憶した記憶部)を備えておき,ユーザ識別情報に基づいてユーザ情報記憶部を参照して特定したユーザの属性情報をコンテンツ提供サーバ3に渡しても良い。
【0046】
コンテンツ提供サーバ3は,提供先情報受信処理部30とコンテンツ記憶部31とコンテンツ送信処理部32とを有する。
【0047】
提供先情報受信処理部30は,管理サーバ2の提供先情報送信処理部23から送られた,MacアドレスとIPアドレスと,場合によってはユーザ識別情報やユーザの属性情報とを受け取る。
【0048】
コンテンツ記憶部31は,ユーザの利用する可搬型通信端末4で表示させるコンテンツを記憶する。コンテンツとしてはさまざまなものがあるが,たとえば占い,天気予報,ニュースなどがある。また,コンテンツとしては,ウェブサイトのほか,テキストデータ,画像データ,動画データ,音楽データ,アプリケーションプログラムなどであってもよい。
【0049】
コンテンツ送信処理部32は,コンテンツ記憶部31で記憶したコンテンツを抽出し,Macアドレス,IPアドレスに基づいて,可搬型通信端末4に送信する。またこの際に抽出するコンテンツとしては,ユーザ識別情報やユーザの属性情報に対応するコンテンツを抽出し,送信しても良い。たとえばユーザの属性情報として生年月日の情報を受け取っている場合,その生年月日に対応する占いのコンテンツを抽出し,送信しても良い。
【実施例1】
【0050】
次に本発明のコンテンツ提供システム1の処理プロセスの一例を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
まず本発明のコンテンツ提供システム1を利用したい場合,ユーザは所定の方法,たとえば所定のウェブサイトから,可搬型通信端末4で起動させるアプリケーションプログラムをダウンロードし,インストールをする(S100)。これによって可搬型通信端末4における各機能が実行可能となる。
【0052】
つぎにユーザは,当該アプリケーションプログラムを起動し,当該アプリケーションプログラムが起動する時間帯を設定する(S110)。たとえばスピーカー5が駅のプラットホームに設置されている場合には,駅を利用する時間帯(通勤・通学時間帯など)である「8時00分〜9時00分」,「18時00分〜19時00分」を設定しておく。
【0053】
ここで設定された時間帯は,当該アプリケーションプログラムが自動的に起動する時間帯であり,この時間帯においては可搬型通信端末4のバックグラウンドで起動し,可搬型通信端末4の集音装置75(マイク)で周囲の音を集音し,アクセス先識別情報判定処理部40などの処理を実行し続ける。一方,設定された時間帯外の時間帯では当該アプリケーションプログラムは起動しない,あるいは起動していたアプリケーションプログラムを終了する。
【0054】
したがって,当該アプリケーションプログラムは,可搬型通信端末4の時計機能を参照することで,起動時間内か否かを監視する(S120)。そして起動時刻が到来すると,アプリケーションプログラムを起動し(S140),集音装置75による集音を開始する(S150)。
【0055】
集音装置75で集音した音について,アクセス先識別情報判定処理部40は,判定対象となる周波数帯の音を分離し,その音からアクセス先識別情報が含まれているかを判定する(S160,S170)。
【0056】
アクセス先識別情報判定処理部40でアクセス先識別情報を判定すると,判定情報送信処理部41は,判定したアクセス先識別情報と,MacアドレスとIPアドレスと,ユーザ識別情報とを,管理サーバ2に送信する。たとえば判定したアクセス先識別情報が「11111」であった場合,アクセス先識別情報としてそれを送る。この際に,送り先となる管理サーバ2のIPアドレスは,あらかじめ判定情報送信処理部41が記憶している。
【0057】
管理サーバ2の判定情報受信処理部20は,可搬型通信端末4から送られた,判定したアクセス先識別情報「11111」と,MacアドレスとIPアドレスと,ユーザ識別情報とを受け取る。そして,提供サーバ特定処理部22は,アクセス先識別情報「11111」に対応するコンテンツ提供サーバ3を,対応関係記憶部21を参照することで「http://www.nkb.co.jp」として特定する(S190)。
【0058】
そして提携先情報送信処理部は,特定した「http://www.nkb.co.jp」のコンテンツ提供サーバ3に,MacアドレスとIPアドレスと,場合によってはユーザ識別情報および/またはユーザの属性情報を渡す(S200)。そしてこれらの情報を,「http://www.nkb.co.jp」のコンテンツ提供サーバ3の提携先情報受信処理部で受信し,コンテンツ送信処理部32は,当該可搬型通信端末4に送信するコンテンツをコンテンツ記憶部31から抽出し,MacアドレスとIPアドレスとに基づいて可搬型通信端末4に,抽出したコンテンツを送信する(S210)。
【0059】
そして可搬型通信端末4のコンテンツ受信処理部42は,「http://www.nkb.co.jp」のコンテンツ提供サーバ3から送られたコンテンツを受信すると,可搬型通信端末4の表示装置72に,「コンテンツを表示させるか」の選択画面を表示させ,コンテンツ表示処理部43は,「表示する」が押下されたことを検出すると,コンテンツ受信処理部42で受信したコンテンツをその表示装置72で表示する。
【実施例2】
【0060】
実施例1では,スピーカー5からの出力により,ユーザの可搬型通信端末4に対してコンテンツを表示させる場合を説明したが,コンテンツの代わりに,可搬型通信端末4に対する制御情報であっても良い。たとえば可搬型通信端末4を振動させる制御情報であっても良い。
【0061】
スピーカー5は,可搬型通信端末4に対して制御情報を与えたい場所に設置する。たとえば駅のプラットホームの白線の垂直上方の天井に指向性のスピーカー5を下方に向けて設置する。そしてスピーカー5から実施例1と同様に,人の聴取不可能または困難な周波数帯の音を出力する。そしてスピーカー5からこの音にどのような制御情報を行うかを識別する制御情報識別情報を含める。すなわち,図8に示すように,振幅と文字等との対応関係に基づく音を出力する。ここでは「12123」の振幅で音を出力する。
【0062】
この制御情報を可搬型通信端末4で判定することで,その制御情報に対応する処理が,可搬型通信端末4で実行される。たとえば,可搬型通信端末4の集音装置75で集音し,その音のうち,所定の周波数帯(人が聴取できない周波数帯(20Hz程度〜20kHz程度の周波数帯以外の周波数帯)または聴取することが容易ではない周波数帯(たとえば12kHz)であってスピーカー5で出力可能な周波数帯)の音を分離し,制御情報「12123」を判定する。そして制御情報「12123」に対応する処理が「可搬型通信端末4を振動させる」であった場合,可搬型通信端末4を振動させる。
【0063】
これによって,たとえば視覚障害者が可搬型通信端末4を所持している場合,可搬型通信端末4を振動させることで,白線の位置を知らせることができる。
【0064】
なお,このようなスピーカー5を,たとえば横断歩道の信号機,そのほか危険な場所などに設置することで,注意を促すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のコンテンツ提供システム1によって,ユーザが利用する可搬型通信端末4でその周囲の音を集音し,その音に基づき,所定のウェブサイトへのアクセスが可能となる。これによって,ユーザは自ら二次元コードを撮影する,URLを入力する,といった手間がなくなる。また,ウェブサイトへアクセスするための識別情報は,スピーカー5から流されている音とともに同時に出力されているが,そのままでは人に聞かせたい音声も聞こえにくくなってしまう。そこでウェブサイトへのアクセスに用いる識別情報の音の出力は,人間の耳には聞こえない,または聞こえにくい周波数帯であって,かつ可搬型通信端末4では集音可能な周波数帯で出力を行う。これによって,人に聞かせたい音声を妨げる異なる上記識別情報をスピーカー5から出力することができる。
【符号の説明】
【0066】
1:コンテンツ提供システム
2:管理サーバ
3:コンテンツ提供サーバ
4:可搬型通信端末
5:スピーカー
20:判定情報受信処理部
21:対応関係記憶部
22:提供サーバ特定処理部
23:提供先情報送信処理部
30:提供先情報受信処理部
31:コンテンツ記憶部
32:コンテンツ送信処理部
40:アクセス先識別情報判定処理部
41:判定情報送信処理部
42:コンテンツ受信処理部
43:コンテンツ表示処理部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
75:集音装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8