特許第6340961号(P6340961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6340961
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】タイヤのユニフォミティ修正装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20180604BHJP
   G01M 1/36 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   B60C19/00 C
   G01M1/36
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-139418(P2014-139418)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-16703(P2016-16703A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】土肥 秀典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−523737(JP,A)
【文献】 米国特許第06689304(US,B1)
【文献】 特開平10−305494(JP,A)
【文献】 米国特許第06585918(US,B1)
【文献】 特開2000−280264(JP,A)
【文献】 米国特許第06080256(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
G01M 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの左右両側のビード部を内周側から保持してタイヤ半径方向に拡縮するドラムと、このドラムの前記ビード部との当接面を加熱する加熱機構とを備えたタイヤのユニフォミティ修正装置であって、
前記ドラムが、タイヤの左側ビード部、右側ビード部をそれぞれ内周側から保持する左側ドラム部と右側ドラム部とを有し、この左側ドラム部および右側ドラム部はそれぞれタイヤ周方向に少なくとも4分割以上に分割されたセグメントにより構成され、それぞれのセグメントがタイヤ半径方向に移動することにより、前記左側ドラム部と前記右側ドラム部とは独立して拡縮し、前記加熱機構によりそれぞれのセグメントが独立して加熱制御される構成にしたことを特徴とするタイヤのユニフォミティ修正装置。
【請求項2】
前記左側ドラム部と前記右側ドラム部とを、異なる外径の拡径状態で維持可能な構成にした請求項1に記載のタイヤのユニフォミティ修正装置。
【請求項3】
前記加熱機構により、それぞれのセグメントが異なる温度に加熱されることを可能な構成にした請求項1または2に記載のタイヤのユニフォミティ修正装置。
【請求項4】
前記左側ドラム部と前記右側ドラム部とがドラム軸芯位置を回転中心として相対的にタイヤ周方向に回転移動可能な構成にした請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤのユニフォミティ修正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのユニフォミティ修正装置に関し、さらに詳しくは、タイヤのRadial Force Variation(以下、RFVという)だけでなく、Latetal Force Variation(以下、LFVという)やConicity(以下、CONという)も適正範囲内に修正することができるタイヤのユニフォミティ修正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの評価項目としてユニフォミティがある。タイヤのユニフォミティの程度を確認する際には主に、タイヤを転動させた際に発生するタイヤ半径方向の力の変動の大きさを示すRFVとタイヤ幅(タイヤ軸)方向の力の変動の大きさを示すLFVおよびタイヤを転動させた際のタイヤ幅(タイヤ軸)方向の力の偏位の大きさを示すCONを評価している。これらRFV、LFV、CONが適正範囲を超えていると、このタイヤを装着した車の乗り心地や操縦安定性等に悪影響が生じる。
【0003】
そこで、従来、ユニフォミティを適正範囲内に修正する方法として、タイヤの一部をグラインダ等で研削することによりタイヤの重量バランスを変化させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法ではタイヤ表面に研削痕が残るのでタイヤの外観品質が低下するという問題がある。
【0004】
ユニフォミティを適正範囲内に修正する別の方法として、タイヤの左右両側のビード部に挿通する円柱状のドラムを用いた方法がある。この方法で用いる円柱状のドラムは、上下二分割された2つのセグメントにより構成されている。そして、それぞれのセグメントが半径方向に移動することによりドラムが拡縮し、上側のセグメントのみが加熱される構成になっている。ユニフォミティを修正する際には、このドラムに左右両側のビード部を挿通させてタイヤを所定位置に位置決めした後、ドラムを拡径して左右両側のビード部を同時に押圧した状態で上側のセグメントを加熱する。これにより、拡径移動させたセグメントにより押圧されつつ加熱された部分のビード部内周側ゴムが圧縮変形(永久変形)する。この部分の圧縮変形によってタイヤ半径方向のバランスが変化するのでRVFを適正範囲内に修正することが可能になる。しかしながら、この方法では、ドラムが上下二分割されたセグメントで構成されているので、RFV波形が二次波形等の複次波形になっているタイヤや、局部的に急激なピークを有するタイヤを修正することができない。加えて、LFVやCONも修正することができないという問題がある。尚、RFV波形が二次波形、三次波形のタイヤとは、タイヤが1回転すると上下変動がそれぞれ2回、3回生じるタイヤである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−55766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、タイヤのRFVだけでなく、LFVやCONも適正範囲内に修正することができるタイヤのユニフォミティ修正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のタイヤのユニフォミティ修正装置は、タイヤの左右両側のビード部を内周側から保持してタイヤ半径方向に拡縮するドラムと、このドラムの前記ビード部との当接面を加熱する加熱機構とを備えたタイヤのユニフォミティ修正装置であって、前記ドラムが、タイヤの左側ビード部、右側ビード部をそれぞれ内周側から保持する左側ドラム部と右側ドラム部とを有し、この左側ドラム部および右側ドラム部はそれぞれタイヤ周方向に少なくとも4分割以上に分割されたセグメントにより構成され、それぞれのセグメントがタイヤ半径方向に移動することにより、前記左側ドラム部と前記右側ドラム部とは独立して拡縮し、前記加熱機構によりそれぞれのセグメントが独立して加熱制御される構成にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、拡径移動したセグメントによりタイヤの左側ビード部、右側ビード部をそれぞれ独立して内周側から外周側に向かって押圧することができる。しかも、セグメントがタイヤ周方向に少なくとも4分割されていて、それぞれのセグメントを加熱機構により独立して加熱制御できる。それ故、そのタイヤのユニフォミティの状態に応じて、左右両側ビード部毎に必要な周方向位置の内周側ゴムをセグメントによって加熱圧縮変形させることができる。したがって、RFVに限らずLFVやCONも適正範囲内に修正することが可能になる。
【0009】
ここで、前記左側ドラム部と前記右側ドラム部とを、異なる外径の拡径状態で維持可能な構成にすることもできる。この構成によれば、それぞれのセグメントにより押圧されるビード部内周側ゴムの圧縮変形量をより詳細に調整できるので、ユニフォミティの修正をより微細に行なうことが可能になる。
【0010】
前記加熱機構により、それぞれのセグメントが異なる温度に加熱されることを可能な構成にすることもできる。この構成によれば、それぞれのセグメントにより加熱されるビード部内周側ゴムの変形し易さを異ならせることができる。これにより、加熱されるビード部内周側ゴムの圧縮変形量をより詳細に調整できるので、ユニフォミティの修正をより微細に行なうことが可能になる。
【0011】
前記左側ドラム部と前記右側ドラム部とがドラム軸芯位置を回転中心として相対的にタイヤ周方向に回転移動可能な構成にすることもできる。この構成によれば、セグメントによって押圧されるビード部内周側ゴムの周方向位置を左右両側ビード部で独立して自由に変化させることができるので、ユニフォミティの修正をより微細に行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のタイヤのユニフォミティ修正装置を、一部を縦断面視にして例示する説明図である。
図2図1のユニフォミティ修正装置を側面視で例示する説明図である。
図3】タイヤを外した状態の図2のユニフォミティ修正装置を例示する説明図である。
図4】左側ビード部においてユニフォミティが修正される原理を例示する説明図であり、図4(A)はセグメントを拡径移動させた状態、図4(B)は修正後にリム組みした場合の左側ビード部の位置を示す。
図5】右側ビード部においてユニフォミティが修正される原理を例示する説明図であり、図5(A)はセグメントを拡径移動させた状態、図5(B)は修正後にリム組みした場合の右側ビード部の位置を示す。
図6】タイヤのRFVを修正する工程を例示する説明図である。
図7】タイヤのLFVを修正する工程を例示し、図7(A)はタイヤ左側面側、図7(B)はタイヤ右側面側を例示する説明図である。
図8】タイヤのCONを修正する工程を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のタイヤのユニフォミティ修正装置を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0014】
図1図2に例示する本発明のユニフォミティ修正装置1(以下、修正装置1という)は、タイヤ7の左右両側のビード部8、9を挿通してビード部8、9を内周側から保持してタイヤ半径方向に拡縮移動するドラム2と、ドラム2のそれぞれのビード部8、9との当接面(ドラム2の周面)を加熱する加熱機構5とを備えている。ドラム2は、左側ビード部8、右側ビード部9をそれぞれ内周側から保持する別々の左側ドラム部3と右側ドラム部4とを有している。左側ドラム部3および右側ドラム部4は円柱状に形成されていて、互いが連結部2aにより連結されている。連結部2aの軸方向一端側は右側ドラム部4よりも外側に突出していて、その一端部は立設された支柱2bに固定されている。本発明では、タイヤ(幅方向)左側、右側という用語を用いているが、タイヤ側面にセリアル番号が付されている側を左側とすれば、セリアル番号が付されていない側が右側となる。一方、タイヤ側面にセリアル番号が付されている側を右側とすれば、セリアル番号が付されていない側が左側となる。
【0015】
左側ドラム部3および右側ドラム部4はそれぞれタイヤ周方向に少なくとも4分割以上に分割されたセグメント3a〜3d、4a〜4dにより構成されている。それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dは周方向に均等に分割されていることが好ましい。この実施形態では、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dは、側面視で同じ形状の扇形状になっている。左側ドラム部3および右側ドラム部4の分割数は4つに限らず、例えば4〜10の間で適切な数に設定する。この実施形態では、左側ドラム部3のセグメント3aと右側ドラム部4のセグメント4aとは周方向に同じ位置に配置され、セグメント3bと4b、3cと4c、3dと4dも周方向に同じ位置に配置されている。
【0016】
これらセグメント3a〜3d、4a〜4dは、1個単位でタイヤ半径方向に移動することにより、左側ドラム部3と右側ドラム部4とは独立して拡縮する。それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dのタイヤ半径方向の移動範囲は、無負荷状態のタイヤ7のビード部内径位置を基準にして例えば、タイヤ半径方向外側および内側にそれぞれ5mm〜10mmである。それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dのタイヤ半径方向移動量を別々にすることも、左側ドラム部3、右側ドラム部4毎に、セグメント3a〜3d、4a〜4dのタイヤ半径方向移動量を同じにして同期移動させることもできる。
【0017】
それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dは、加熱機構5により1個単位で独立して加熱制御される構成になっている。加熱機構5により加熱されるのは、少なくともビード部8、9と当接する部分(即ち、周面)でよい。その加熱の所定温度範囲は例えば、100℃〜180℃、さらに好ましくは160℃〜180℃である。この実施形態では、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dは加熱機構5によって、互いに同じ任意の温度に加熱されることも、互いに異なる任意の温度に加熱されることも可能な構成になっている。それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dの拡縮移動および加熱機構5の作動は制御部6によって制御される。
【0018】
左側ドラム部3と右側ドラム部4とは、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dの拡径移動具合を操作することにより、異なる外径の拡径状態で維持可能な構成になっている。即ち、左側ドラム部3と右側ドラム部4とを同じ外径に維持するだけでなく、左側ドラム部3を右側ドラム部4よりも大きな外径に維持する、或いは、右側ドラム部4を左側ドラム部3よりも大きな外径に維持することもできる。左側ドラム部3と右側ドラム部4との外径差を任意に設定できる。
【0019】
さらには、図3に例示するように左側ドラム部3と右側ドラム部4とがドラム軸芯位置(連結部2a)を回転中心として相対的にタイヤ周方向に回転移動可能な構成になっている。この回転移動可能な角度は任意に設定することができる。左側ドラム部3と右側ドラム部4とが周方向に4分割されたセグメント3a〜3d、4a〜4dで構成されている場合は、最大で90°(=360°/4)回転移動できればよい。尚、左側ドラム部3と右側ドラム部4とがドラム軸芯位置(連結部2a)を回転中心として相対的にタイヤ周方向に回転しない構成でもよい。
【0020】
この修正装置1によってタイヤ7のユニフォミティを修正する原理を説明する。
【0021】
左側ビード部8について説明すると、図4(A)に例示するようにセグメント3aを破線で示す位置から実線で示す所定位置まで拡径移動させるとともに、所定温度範囲に加熱する。このセグメント3aによって保持されているタイヤ7の左側ビード部8の対応範囲(ビード部内周側ゴム8b)は、外周側に押圧されつつ加熱される。この状態を所定時間(例えば10分〜15分)維持すると、押圧されたビード部内周側ゴム8bは、ビードリング8aとセグメント3aとに挟まれて、破線の状態から実線で記載した状態になって圧縮変形する。
【0022】
所定時間経過後、図4(B)に例示するようにセグメント3aを縮径移動させて押圧を止めてもビード部内周側ゴム8bの圧縮変形はそのまま残って永久変形となる。したがって、このタイヤ7をリム組みすると、左側ビード部8は修正前の当初の位置(破線で示す位置)よりも半径方向内側に若干移動した状態になり矯正されることになる。
【0023】
右側ビード部9について説明すると、図5(A)に例示するようにセグメント4aを破線で示す位置から実線で示す所定位置まで拡径移動させるとともに、所定温度範囲に加熱する。このセグメント4aによって保持されているタイヤ7の右側ビード部9の対応範囲(ビード部内周側ゴム9b)は、上述と同様に、押圧されたビード部内周側ゴム9bは、ビードリング9aとセグメント4aとに挟まれて、破線の状態から実線で記載した状態になって圧縮変形する。
【0024】
所定時間経過後、図5(B)に例示するようにセグメント4aを縮径移動させて押圧を止めてもビード部内周側ゴム9bの圧縮変形はそのまま残って永久変形となる。したがって、このタイヤ7をリム組みすると、右側ビード部9は修正前の当初の位置(破線で示す位置)よりも半径方向内側に若干移動した状態になり矯正されることになる。尚、ビード部内周側ゴム8b、9bがタイヤ半径方向外側に押圧される実際の押圧代は例えば1mmに満たない程度である。
【0025】
このように本発明では、そのタイヤ7のユニフォミティの状態に応じて、左右両側ビード部8、9毎に必要な周方向位置のビード部内周側ゴム8b、9bを、細分化された対応するセグメント3a〜3d、4a〜4dによって圧縮変形(永久変形)させることができる。これにより、タイヤ7に対して左右方向(タイヤ幅方向)および周方向の任意の位置でバランスを変化させることができるので、RFVに限らずLFVやCONも適正範囲内に修正することが可能になる。また、グラインダ等によってタイヤ7の表面を研削することもないので外観品質を低下させることもない。
【0026】
例えば、測定したRFV波形が一次波形になっていて、その波形ピークが図6に示す符号Xの位置にあるタイヤ7のRFVを修正する場合の具体的手順の一例を説明する。尚、図6ではタイヤ7の形状を誇張して記載している。
【0027】
このタイヤ7の場合、左側ドラム部3のセグメント3aと3dの間、右側ドラム部4のセグメント4aと4dとの間に符号Xが位置するようにタイヤ7を修正装置1にセットする。次いで、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dを半径方向外側に移動させて、左側ドラム部3および右側ドラム部4を所定位置まで拡径するとともに、セグメント3a、3d、4a、4dのみを所定温度範囲に加熱する。
【0028】
この状態を所定時間維持すると、符号Xの位置およびその近傍範囲を含むタイヤ周方向半分部分のビード部内周側ゴム8b、9bが永久変形する。これにより、このタイヤ7のRFVは適正範囲内に修正されることになる。本発明の修正装置1によれば、同様の手順によって、測定したRFV波形が局部的に急激なピークを有するタイヤ7や、二次波形などの複次波形になっているタイヤ7についてもRFVを適正範囲内に修正することができる。
【0029】
次に、測定したLFV波形の波形ピークが図7に示す符号Xの位置にあるタイヤ7のLFVを修正する場合の具体的手順の一例を説明する。
【0030】
このタイヤ7の場合、図7(A)に例示するように左側ドラム部3のセグメント3aと3bの間に符号Xが位置するようにタイヤ7を修正装置1にセットする。次いで、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dを半径方向外側に移動させて、左側ドラム部3および右側ドラム部4を所定位置まで拡径するとともに、セグメント3a、3b、4c、4dのみを所定温度範囲に加熱する。即ち、左側ドラム部3と右側ドラム部4とでタイヤ側面視で対角にある位置のセグメントを加熱する。この状態を所定時間維持すると、タイヤ左側では符号Xの位置およびその近傍範囲を含むタイヤ周方向半分部分のビード部内周側ゴム8bが永久変形する。タイヤ右側では符号Xとは対角の位置(図7(B)では符号Yの位置)およびその近傍範囲を含むタイヤ周方向半分部分のビード部内周側ゴム9bが永久変形する。これにより、このタイヤ7のLFVは適正範囲内に修正されることになる。
【0031】
次に、タイヤ幅方向左側に偏って転がろうとするタイヤ7のCONを修正する場合の具体的手順の一例を説明する。尚、図8ではタイヤ7の形状を誇張して記載している。
【0032】
このタイヤ7の場合、図8に例示するように右側ドラム部4のセグメント4a〜4dのみを所定温度範囲に加熱して、左側ドラム部3のセグメント3a〜3dは加熱せずにそれぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dを半径方向外側に移動させて、左側ドラム部3および右側ドラム部4を拡径する。或いは、すべてのセグメント3a〜3d、4a〜4dを所定温度範囲に加熱して、左側ドラム部3よりも右側ドラム部4を大きく拡径した状態にする。この状態を所定時間維持すると、左側のビード内周側ゴム8bよりも右側のビード内周側ゴム9bが大きく永久変形する。これにより、タイヤ幅方向左側に偏って転がろうとするこのタイヤ7のCONは適正範囲内に修正されることになる。
【0033】
タイヤ幅方向右側に偏って転がろうとするタイヤ7のCONを修正する場合は、上述の前者の手順において、セグメント4a〜4dに代えてセグメント3a〜3dのみを所定温度範囲に加熱すればよい。或いは、上述の後者の手順において、すべてのセグメント3a〜3d、4a〜4dを所定温度範囲に加熱して、右側ドラム部4よりも左側ドラム部3を大きく拡径した状態にすればよい。
【0034】
本発明の修正装置1では、左側ドラム部3と右側ドラム部4とを、異なる外径の拡径状態で維持可能な構成にすると、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dにより押圧されるビード部内周側ゴム8b、9bの圧縮(永久)変形量をより詳細に調整できるので、ユニフォミティの修正をより微細に行なうことが可能になる。
【0035】
加熱機構5により、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dが異なる温度に加熱されることを可能な構成にすると、それぞれのセグメント3a〜3d、4a〜4dにより加熱されるビード部内周側ゴム8b、9bの変形し易さを異ならせることができる。これにより、加熱されるビード部内周側ゴム8b、9bの圧縮(永久)変形量をより詳細に調整できるので、ユニフォミティの修正をより微細に行なうことが可能になる。
【0036】
左側ドラム部3と右側ドラム部4とがドラム軸芯位置を回転中心として相対的にタイヤ周方向に回転移動可能な構成にすると、両ドラム部3、4を相対的にタイヤ周方向に回転移動させるだけで、セグメント3a〜3d、4a〜4dによって押圧されるビード部内周側ゴム8b、9bの周方向位置を左右両側ビード部8、9で独立して自由に変化させることができる。それ故、ユニフォミティの修正をより微細に行なうことが可能になる。
【符号の説明】
【0037】
1 修正装置
2 ドラム
2a 連結軸
2b 支柱
3 左側ドラム部
3a〜3d セグメント
4 右側ドラム部
4a〜4d セグメント
5 加熱機構
6 制御部
7 タイヤ
8 左側ビード部
8a ビードリング
8b ビード部内周側ゴム
9 右側ビード部
9a ビードリング
9b ビード部内周側ゴム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8