(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341107
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 331/30 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
C07C331/30CSP
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-20847(P2015-20847)
(22)【出願日】2015年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-141670(P2016-141670A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】曽根 孝明
【審査官】
伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−306791(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0505316(EP,A2)
【文献】
特開平9−202767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表わされる12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類。
【請求項2】
Rがメチル基である請求項1に記載の12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類。
【請求項3】
塩基の存在下、一般式(2):
【化2】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表わされる12,14−ジアミノデヒドロアビエチン酸類にニ硫化炭素を作用させて一般式(3):
【化3】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、Bは塩基を表す。)で表されるデヒドロアビエチン酸類の12,14−ジチオカルバミン酸塩を得た後、該ジチオカルバミン酸塩を酸化剤により酸化分解させることを特徴とする、12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類の製造方法。
【請求項4】
前記塩基がアミン化合物であり、かつ前記酸化剤がヨウ素である請求項3に記載の12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類の製造方法。
【請求項5】
さらに溶剤の存在下に前記反応を行う、請求項3または4に記載の12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類の製造方法。
【請求項6】
前記溶剤が、水およびテトラヒドロフランの混合溶媒である請求項5に記載の12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ロジン、変性ロジン類およびこれらのエステル化物は、周知のように、塗料・インキ用樹脂原料、粘着付与剤、製紙用サイズ剤、はんだフラックスなどの各種用途で賞用されている。
【0003】
従来、ロジン類の高付加価値化や高度利用を目的として、各種の誘導体が合成されている。例えば、天然ロジンの構成樹脂酸の一つであるデヒドロアビエチン酸は、医薬用原料や該中間体として有用であり、例えば、抗潰よう剤、うどんこ病防除剤などへ適用できると記されている(特許文献1、2参照)。また、ロジンジアミンはポリウレタン用原料である脂肪族ジアミンとして適用可能であり(特許文献3参照)、ロジンイソシアネートは低表面エネルギーを有する高分子材料用原料として適用できることが開示されている(特許文献4)。
【0004】
ところで、イソチオシアネート系化合物の中には、例えば、抗菌作用や抗かび作用を有するもの(特許文献5)、抗潰瘍性を有するもの(特許文献6)、抗癌性を有するもの(特許文献7)などが知られており、医農薬への適用が示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63−23174号
【特許文献2】特開平1−311003号
【特許文献3】特開平3−68619号
【特許文献4】特開平7−242774号
【特許文献5】特許第3688785号
【特許文献6】特開平5−59038号
【特許文献7】特開2003−277379号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規で付加価値の高いデヒドロアビエチン酸誘導体を提供することであり、より詳しくは、デヒドロアビエチン酸類のイソチオシアネート誘導体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、かかる課題に鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、一般式(1):
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表わされる12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類に関する。
【0011】
また本発明は、塩基の存在下、一般式(2):
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表わされる12,14−ジアミノデヒドロアビエチン酸類にニ硫化炭素を作用させて一般式(3):
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、Bは塩基を表す。)で表されるデヒドロアビエチン酸類の12,14−ジチオカルバミン酸塩を得た後、該ジチオカルバミン酸塩を酸化剤により酸化分解させることを特徴とする、12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、新規化合物である12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類を提供できる。該化合物は、例えば、医農薬、光学材料などに適用可能なモノマー原料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】12,14-ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸メチルの
1H-NMR(CDCl
3)チャートを示す。
【
図2】12,14-ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸メチルの
13C-NMR(CDCl
3)チャートを示す。
【
図3】12,14-ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸メチルのIR(ATR法)チャートを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類(以下、本目的化合物という)は、文献未記載の新規化合物である。
【0019】
本目的化合物の製造方法については、格別限定はされず、従来公知のイソチオシアネート化法を採用できる。例えば、チオホスゲンを用いる方法、ジチオカルバミン酸塩の酸化分解による方法などが挙げられるが、安全性や取り扱い性などの点で後者が好ましい。
【0020】
以下、ジチオカルバミン酸塩の酸化分解法につき説明する。ジチオカルバミン酸塩の出発原料としては、合成経路に応じて、デヒドロアビエチン酸または該エステル(以下、併せてデヒドロアビエチン酸類という)、デヒドロアビエチン酸類のジニトロ体(12,14−ジニトロデヒドロアビエチン酸類)、デヒドロアビエチン酸類のジアミノ体(12,14−ジアミノデヒドロアビエチン酸類などから適宜に選択できる。本明細書では、該ジアミノ体からの合成経路を具体的に説明する。
【0021】
ジアミノ体は下記一般式(2):
【0022】
【化2】
【0023】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される。該ジアミノ体の合成方法は格別限定されず、公知各種のアミノ化方法を適宜に選択採用できる。例えば、「B.Giganteら,Synthetic Communications,28巻,639〜652頁,1998年」、特開2005−306791号などの記載を参照できる。
【0024】
ついで、塩基の存在下、前記ジアミノ体に二硫化炭素を作用させて12,14−ジチオカルバミン酸塩(以下、ジチオカルバミン酸塩という)を合成する。
【0025】
該ジチオカルバミン酸塩は、下記一般式(3):
【0026】
【化3】
【0027】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、Bは塩基を表す。)で表される。
【0028】
用いる塩基は格別限定されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キノリン、N-メチルピロリジンなどの3級アミン化合物などを例示できる。本目的化合物の収率を考慮すれば、該アミン化合物を好ましく使用できる。
【0029】
ジチオカルバミン酸塩の合成反応は、通常は有機溶剤下または不存在下に進めることができるが、取り扱い作業性を考慮すれば、水および有機溶剤からなる混合溶媒下に行うことが好ましい。なお、前記有機溶剤としては、前記ジアミノ体、二硫化炭素、塩基のいずれに対しても非反応性で活性水素を有しない溶剤であれば差支えなく使用できる。該溶剤の具体例としては、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤の他、アセトニトリルやジメチルスルホキシドなどの極性有機溶剤などが挙げられる。
【0030】
前記塩基の使用量は、前記ジアミノ体に対して通常は200〜1000モル%程度が適量であり、250〜600モル%がより適量である。(なお、ジアミノ体:塩基=1:2が等モルである)
【0031】
二硫化炭素の使用量は、前記ジアミノ体に対して通常は200〜1000モル%程度が適量であり、250〜600モル%がより適量である。(なお、ジアミノ体:二硫化炭素=1:2が等モルである)
【0032】
反応温度は通常−10〜+30℃程度であり、好ましくは0〜+10℃である。+40℃を超えると二硫化炭素の気化量が増し、収率の低下、得られる目的物の着色、純度低下を来たすことがある。
【0033】
反応時間は格別限定されず、塩基濃度や反応温度に応じて適宜に決定できるが、通常2〜72時間程度、好ましくは6〜48時間である。
【0034】
反応温度が低すぎる場合には反応完結に長時間を要し、モノアミン−モノチオカルバミン酸塩(中間生成物)が不純物として残存したままになるので注意が必要である。そのため、原料ジアミンや該中間生成物が残存していないことを確認するために、反応液の一部を採取して、下記ジチオカルバミン酸塩の酸化分解反応を行い、その検液を例えばガスクロマトグラフィー等により分析しておく必要がある。
【0035】
ジチオカルバミン酸塩の単離精製については、格別限定はされず、公知の各種方法を適用できる。例えば、冷却晶析や濃縮晶析して得られるジチオカルバミン酸塩を濾過・洗浄して単離精製することができる。また、ジアミン体や中間生成物のモノアミン−モノチオカルバミン酸塩が残存せずに、高純度でジチオカルバミン酸塩が得られる場合には、必ずしも単離精製を行なう必要がなく、そのままワンポットで以下の酸化分解工程へ進めてもよい。
【0036】
ついで、該ジチオカルバミン酸塩に酸化剤を作用させて、該ジチオカルバミン酸塩を酸化分解させることにより、簡便に高純度の本目的化合物を収得できる。
【0037】
用いる酸化分解剤は格別限定されないが、例えば過酸化水素、無水酢酸、クロロギ酸アルキル、亜塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、トシルクロリド、トリクロロトリアジン、ヨウ素などを挙げることができる。これらの酸化分解剤の中でも、本目的化合物の純度および収率を考慮すれば、ヨウ素を好ましく使用できる。酸化剤の使用形態は格別限定されず、有り姿で、または適宜に前記溶剤溶液として、使用することができる。
【0038】
酸化分解剤の使用量は、前記ジチオカルバミン酸塩に対して通常は200〜300モル%程度が適量であり、210〜240モル%がより適量である。(なお、ジチオカルバミン酸塩:酸化剤=1:2が等モルである)
【0039】
酸化分解反応温度は通常−10〜+30℃程度であり、好ましくは0〜+10℃である。+40℃を超えると目的物の純度が低下し、収率が低下することがある。
【0040】
該反応時間は格別限定されず、酸化分解剤の種類や反応温度に応じて適宜に決定できるが、通常0.1〜6時間程度、好ましくは0.2〜2時間である。
【0041】
本発明においては、精製方法に関する格別の限定はないが、例えば以下の方法を採用できる。高純度を維持して本目的化合物を得るためには、過剰分の酸化剤はチオ硫酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を加えて直ちに分解しておくことが望ましい。具体的には、ジチオカルバミン酸塩を分解して得られる反応液を溶剤で抽出し、次いで水洗、乾燥することにより、本目的化合物を得ることができる。溶媒抽出により酸化分解反応で生じた不溶性硫黄分を効率的に濾別することができる。該抽出溶剤としては、前記有機溶剤であれば格別限定なく使用でき、例えば酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、ヘキサン等エステル系、エーテル系、炭化水素系溶剤などを好ましく使用できる。
【0042】
水洗方法や水洗回数は格別限定されず、得られる本目的化合物の純度を考慮して適宜に決定すればよい。
【0043】
乾燥操作についても格別限定されないが、通常は本目的化合物の着色や熱分解が生じ難い条件を採用するのが好ましく、例えば硫酸マグネシウム等の乾燥剤による常温乾燥や減圧下の共沸脱水などを挙げることができる。
【0044】
本目的化合物の同定、純度測定などは、例えばガスクロマトグラフィー(GC)、ゲルパミエーションクロマトグラフィー(GPC)、赤外分光、質量分析、核磁気共鳴などの各種分析方法を適宜に採用して決定することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
実施例1
工程(1)12,14−ジアミノデヒドロアビエチン酸メチルエステルの合成
12,14-ジニトロデヒドロアビエチン酸メチルエステル121.34g(0.30モル)を常温・常圧・塩基性条件下(水酸化カルシウム6.07g)、メタノール−トルエン混合溶媒中(各600ミリリットル(以後、mLと略記))、50%含水5%−Pd/活性炭担持触媒(6.07g)を用いて水素還元して12,14−ジアミノデヒドロアビエチン酸メチルエステルとした。該エステルにつき、触媒ろ過・濃縮乾固後、メタノール−水(体積比率で10:1)より再結晶し、該結晶を乾燥することにより、mp137〜138℃の白色〜淡黄色結晶を得た。該結晶は、GC純度が99%以上であり、収率は80%であった。
【0047】
工程(2)12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸メチルエステルの合成
工程(1)で得たジアミノ体34.45g(0.10モル)を、トリエチルアミン60.71g(0.60モル)とテトラヒドロフラン400mLの混合溶液に溶解した後、水200mLを撹拌しながら滴下した。該溶液を氷水浴で冷却し、10℃を超えないように二硫化炭素54.68g(0.60モル)を滴下してジチオカルバミン酸塩化反応を行い、更に室温で48時間撹拌下に熟成した。終点は、反応液の一部に1/10Nヨウ素溶液をヨウ素の色が消失しなくなるまで加えた後、過剰のヨウ素はチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて消色除去し、トルエン抽出してGC分析よりジイソチオシアネート体(GC-MS:m/z=428)の生成と原料ジアミンの消失を以って確認した。次いで、該反応液を、そのまま氷浴で10℃を超えないように冷却しながら、ヨウ素53.30g(0.21モル)−テトラヒドロフラン200mLの溶液を滴下してジチオカルバミン酸トリエチルアミン塩を分解し、ジイソチオシアネート体とした。過剰のヨウ素を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で除去した後、トルエン400mL抽出液を、減圧濃縮して酢酸エチル400mLに溶解し不溶性硫黄分をろ過して除き、減圧乾固することにより、室温バルサム状の淡黄色固体である本目的化合物(12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸メチルエステル)を得た。本目的化合物のGC及びGPC純度は98%以上であり、収率は90%であった。本目的化合物の
1H-NMR(CDCl
3)と
13C-NMR(CDCl
3)及びIR(ATR法)の測定結果を
図1〜3に示す。
【0048】
実施例2
実施例1の工程(1)で得たジアミン体34.45g(0.10モル)を、トリエチルアミン40.48g(0.40モル)とアセトニトリル400mLの混合溶液に溶解した後、水200mLを撹拌しながら滴下した。該溶液を氷水浴で冷却し、10℃を超えないように二硫化炭素54.68g(0.60モル)を滴下してジチオカルバミン酸塩化反応を行い、更に室温で24時間撹拌下に熟成した。終点確認は、実施例1と同様、原料ジアミンの消失を以って行った。次いで、該反応液を、そのまま氷浴で10℃を超えないように冷却しながら、ヨウ素53.30g(0.21モル)−テトラヒドロフラン200mLの溶液を滴下してジチオカルバミン酸トリエチルアミン塩を分解し、ジイソチオシアネート体とした。過剰のヨウ素を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で除去した後、有機層(上層)を、減圧濃縮して酢酸エチル400mLに溶解し不溶性硫黄分をろ過して除き、減圧乾固することにより、室温バルサム状の淡黄色固体である本目的化合物を得た。本目的化合物のGC及びGPC純度は98%以上であり、収率は80%であった。
【0049】
実施例3
実施例1の工程(1)で得たジアミン体34.45g(0.10モル)を、トリエチルアミン60.71g(0.60モル)とテトラヒドロフラン600mLの混合溶液に溶解した後、氷水浴で冷却しながら10℃を超えないように二硫化炭素30.46g(0.40モル)を滴下してジチオカルバミン酸塩化反応を行い、更に室温で24時間撹拌下に熟成した。終点確認は、実施例1と同様、原料ジアミンの消失を以って行った。析出した結晶を濾取し、冷テトラヒドロフランで洗浄して淡黄色のジチオカルバミン酸トリエチルアミン塩を得た。未乾燥のジチオカルバミン酸トリエチルアミン塩は水600mL中に強撹拌下に分散し、氷浴で10℃を超えないように冷却しながら、ヨウ素53.30g(0.21モル)−テトラヒドロフラン200mLの溶液をヨウ素の色が消色しなくなるまで滴下してジチオカルバミン酸トリエチルアミン塩の分解を完結させ、ジイソチオシアネート体とした。過剰のヨウ素を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で除去した後、トルエン400mLでジイソチオシアネート体を抽出し、減圧濃縮して酢酸エチル400mLに溶解し不溶性硫黄分をろ過して除き、減圧乾固して室温バルサム状の淡黄色固体であるである本目的化合物を得た。本目的化合物のGC及びGPC純度は98%以上であり、収率は75%であった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類は、例えば、医農薬、光学材料などに適用可能なモノマー原料として有用である。