特許第6341193号(P6341193)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341193
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】着色組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/36 20060101AFI20180604BHJP
   C09B 69/02 20060101ALI20180604BHJP
   C09B 69/10 20060101ALI20180604BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20180604BHJP
   C07C 309/29 20060101ALI20180604BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20180604BHJP
   C09B 11/28 20060101ALI20180604BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20180604BHJP
   C07D 311/82 20060101ALI20180604BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   C08F20/36
   C09B69/02CSP
   C09B69/10 B
   C07F5/02 A
   C07C309/29
   C09B67/46 A
   C09B11/28 E
   C09B67/20 F
   C07D311/82
   G02B5/20 101
【請求項の数】18
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2015-500290(P2015-500290)
(86)(22)【出願日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】JP2014053367
(87)【国際公開番号】WO2014126167
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2016年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2013-27927(P2013-27927)
(32)【優先日】2013年2月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】富士フイルム和光純薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】信太 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】金 台燕
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 智貴
(72)【発明者】
【氏名】高野 和浩
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−103975(JP,A)
【文献】 特開平05−306266(JP,A)
【文献】 特表2001−511200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/36
C08F 120/36
C08F 220/36
C07C 309/29
C07D 311/82
C07F 5/02
C09B 11/28
C09B 67/20
C09B 67/46
C09B 69/02
C09B 69/10
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示される化合物由来のモノマー単位を有するポリマー
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のスルホアルキル基、炭素数2〜7のカルボキシアルキル基、炭素数2〜7のシアノアルキル基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、置換基を有する又は無置換のフェニル基またはベンジル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Aは、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数2〜21のアルキレン基、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数2〜21のアルキレン基、炭素数1〜9のアルキレン基、或いは、水酸基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Aは−NH−または−O−を表す。An-は、電子吸引性の置換基を有するアリール基及びアニオン基を含むアニオンを表す。)。
【請求項2】
前記An-における電子吸引性の置換基を有するアリール基が、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又は/およびニトロ基を有するアリール基である、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記An-における電子吸引性の置換基を有するアリール基が、ハロゲン原子を有するアリール基である、請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
前記An-における電子吸引性の置換基を有するアリール基が、フッ素原子を有するアリール基である、請求項1記載のポリマー。
【請求項5】
前記An-における電子吸引性の置換基を有するアリール基が、電子吸引性の置換基を有するフェニル基である、請求項1記載のポリマー。
【請求項6】
前記An-におけるアニオン基が、4級ホウ素アニオン基又はスルホン酸アニオン基である、請求項1記載のポリマー。
【請求項7】
前記An-が下記アニオンから選ばれるものである請求項1記載のポリマー
【請求項8】
ポリマーがコポリマーである、請求項1記載のポリマー。
【請求項9】
コポリマーが、下記一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)又は一般式(V)で示される化合物由来のモノマー単位1〜2種と上記一般式(I)で示される化合物由来のモノマー単位とを構成成分とするものである、請求項8記載のポリマー
[式中、R11は、水素原子又はメチル基を表し、R12は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基、炭素数3〜9のアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基、炭素数5〜7のモルホリノアルキル基、炭素数3〜9のトリアルキルシリル基、酸素を有する又は酸素を有さない炭素数6〜10の脂環式炭化水素基、炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜18のフッ化アルキル基、又は炭素数1〜6のN−アルキレンフタルイミド基、下記一般式(II-I)で示される基
(式中、R15は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R16は、ヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換のフェニル基、或いは炭素数1〜3のアルキル基を表し、qは1〜3の整数を表す。)、下記一般式(II-II)で示される基
(式中、R17〜R19は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R20は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)、下記一般式(II-III)で示される基
(式中、lは、1〜6の整数を表し、R21はフェニレン基又はシクロへキシレン基を表す)を表す。]、
(式中、R11は上記と同じ。R13は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R14は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数3〜7のジアルキルアミノアルキル基、又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を表す。R13とR14は、これらと隣接する窒素原子とでモルホリノ基を形成してもよい。)、
(式中、R31は、フェニル基、ピロリジノ基を表し、R11は上記と同じ。)、
(式中、R33は、窒素原子又は酸素原子を表し、jは、R33が酸素原子の場合に0を表し、R33が窒素原子の場合には1を表す。R32は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数4〜10のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜7のハロゲン化シクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリール基、又は、炭素数6〜10のハロゲン化アリール基を表す。)。
【請求項10】
下記一般式(I)で示される化合物
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のスルホアルキル基、炭素数2〜7のカルボキシアルキル基、炭素数2〜7のシアノアルキル基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、置換基を有する又は無置換のフェニル基またはベンジル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Aは、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数2〜21のアルキレン基、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数2〜21のアルキレン基、炭素数1〜9のアルキレン基、或いは、水酸基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Aは−NH−または−O−を表す。An-は、電子吸引性の置換基を有するアリール基及びアニオン基を含むアニオンを表す。)。
【請求項11】
前記An-における電子吸引性の置換基を有するアリール基が、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又は/およびニトロ基を有するアリール基である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
前記An-における電子吸引性の置換基を有するアリール基が、ハロゲン原子を有するアリール基である、請求項10記載の化合物。
【請求項13】
前記An-における電子吸引性の置換基を有するアリール基が、フッ素原子を有するアリール基である、請求項10記載の化合物。
【請求項14】
前記An-における電子吸引性の置換基を有するアリール基が、電子吸引性の置換基を有するフェニル基である、請求項10記載の化合物。
【請求項15】
前記An-におけるアニオン基が、4級ホウ素アニオン基又はスルホン酸アニオン基である、請求項10記載の化合物。
【請求項16】
前記An-が下記アニオンから選ばれるものである請求項10記載の化合物
【請求項17】
請求項1記載のポリマー又は請求項10記載の化合物を含んでなる着色組成物。
【請求項18】
請求項1記載のポリマー又は請求項10記載の化合物を含んでなるカラーフィルター用着色組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター等の着色画素形成用途、印刷インキ、インクジェットインキ、および塗料等の用途に用いられるポリマー、および該ポリマーを含んでなる着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子や固体撮像素子等のカラーフィルターの製造におけるカラー画素の形成方法としては、着色剤に染料を用いた染色法や染料分散法、顔料を用いた顔料分散法、電着法、印刷法等が知られている。近年、カラーフィルターの特性として、輝度とコントラストの向上が特に求められている。顔料を用いた顔料分散法によれば、染料に比べて耐熱性や耐光性が高い為、パネル製造時の加熱工程で劣化が少なく、また、長期信頼性の高いカラー画素を得ることができる。そのため、現在は顔料分散法が主流となってきている。しかしながら、顔料を用いた場合、顔料自体か粒子径を持つため、光の散乱によりコントラストが低下するという問題があった。顔料を微粒子化する試みもなされていたが、微粒子化にも限界があり、また、微粒子化した顔料の分散安定性の確保も課題となっていた。
【0003】
一方、このような問題を解消できる方法として、染料を用いてカラー画素を形成する方法が現在研究されている。染料を用いた場合、光散乱が抑制されるためにコントラストが向上する。しかしながら、染料は、顔料と比較すると、耐熱性が低く、種類によっては昇華性を有するものもあるため、輝度の低下、退色、色相の変化などの問題があった。そのため、染料を用いる方法においては、この問題点の解消が求められていた。染料を用いたカラーフィルターについては、種々報告されており、例えば特開2012−83651では、染料としてローダミン誘導体を用いた着色樹脂組成物が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−83651
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2012−83651で報告されているローダミン誘導体を用いた着色樹脂組成物を検討したところ、実用的な範囲の耐熱性が得られなかった。そのため、本発明は従来の着色組成物よりも耐熱性が高い着色組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記状況に鑑み、本発明者らは、鋭意研究の結果、特定のアニオンをカウンターアニオンとして有するカチオン性ローダミン誘導体とエチレン性不飽和結合とを有する化合物、或いは該化合物由来のモノマー単位を有するポリマーを染料として用いることにより、耐熱性が優れ、染料の溶出が少ない着色組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、「(i)電子吸引性の置換基を有するアリール基及びアニオン基を含むアニオンをカウンターアニオンとして有するカチオン性ローダミン誘導体と(ii)エチレン性不飽和結合とを有する化合物由来のモノマー単位を有するポリマー」、「(i)電子吸引性の置換基を有するアリール基及びアニオン基を含むアニオンをカウンターアニオンとして有するカチオン性ローダミン誘導体と(ii)エチレン性不飽和結合とを有する化合物」「上記ポリマー又は化合物を含んでなる着色組成物」、及び「上記ポリマー又は化合物を含んでなるカラーフィルター用着色組成物」に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリマー又は化合物を着色剤として用いると、230℃で30分間加熱した場合であっても、加熱による退色が少なく、高い耐熱効果を奏する。即ち、本発明のポリマー又は化合物を含有する着色組成物は、従来の着色組成物よりも優れた耐熱効果を有する。
また、本発明のポリマー又は化合物は、これらを着色剤としてレジスト材料に混合して用いた場合、染料(着色剤)の溶出が少ないという効果を奏する。そのため、従来の着色組成物と比較して、色濃度の低下や混色等の問題を有さない優れた着色組成物の提供を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[電子吸引性の置換基を有するアリール基及びアニオン基を含むアニオン]
カチオン性ローダミン誘導体が有するアニオン(以下、本発明に係るアニオンと略記する場合がある)におけるアニオン基としては、例えばスルホン酸アニオン基、4級ホウ素アニオン基、硝酸イオン、燐酸イオン等が挙げられ、スルホン酸アニオン基、4級ホウ素アニオン基が好ましく、4級ホウ素アニオン基がより好ましい。
【0010】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基としては、例えば、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲノ基、ニトロ基等が挙げられ、中でもハロゲノ基、ニトロ基が好ましく、ハロゲノ基が特に好ましい。
【0011】
該炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基としては、例えばクロロメチル基、トリクロロメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロ−2−プロピル基等のクロロアルキル基;ブロモメチル基、トリブロモメチル基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2−ブロモプロピル基、3−ブロモプロピル基、2−ブロモ−2−プロピル基等のブロモアルキル基;ヨードメチル基、トリヨードメチル基、2−ヨードエチル基、2,2,2−トリヨードエチル基、2−ヨードプロピル基、3−ヨードプロピル基、2−ヨード−2−プロピル基等のヨードアルキル基、;フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基等のフルオロアルキル基が挙げられる。中でもフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0012】
上記ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられるが、フルオロ基が好ましい。
【0013】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基は、上記具体例の中でも、電子吸引力が強いものが好ましく、トリフルオロメチル基、フルオロ基、ニトロ基が好ましく、フルオロ基、ニトロ基がより好ましい。
【0014】
本発明に係るアニオンにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0015】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するアリール基としては、例えば下記一般式(XI)及び(XII)で表されるものが挙げられる。
【0016】
(式中、mは1〜5の整数を表し、m個のR41は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を表し、*は、結合手を表す。)
【0017】
(式中、kは1〜7の整数を表す。R41、*は上記と同じ。k個のR41は同一でも異なっていてもよい。)
mは、通常1〜5の整数であるが、R41がハロゲン原子の場合は2〜5が好ましく、3〜5がより好ましく、5が更に好ましい。R41がニトロ基の場合は1〜3が好ましく、1がより好ましい。R41がハロゲン化アルキル基の場合は、1〜5が好ましい。
【0018】
kは、通常1〜7の整数であるが、R41がハロゲン原子の場合は2〜7が好ましい。R41がニトロ基の場合は1〜3が好ましく、1がより好ましい。R41がハロゲン化アルキル基の場合は、1〜7が好ましい。
【0019】
一般式(XI)及び一般式(XII)におけるR41の炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基は、上記本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基における炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0020】
一般式(XI)及び一般式(XII)におけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0021】
一般式(XI)及び一般式(XII)におけるR41の好ましい具体例は、上記の本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基の好ましいものと同じである。
【0022】
一般式(XI)で示される基は、具体的には例えば、トリフルオロメチルフェニル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニル基、トリ(トリフルオロメチル)フェニル基、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基、モノクロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、パークロロフェニル基、モノブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、パーブロモフェニル基、モノヨードフェニル基、ジヨードフェニル基、トリヨードフェニル基、パーヨードフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基等が挙げられ、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基等が好ましく、パーフルオロフェニル基がより好ましい。
【0023】
一般式(XII)で示される基は、具体的には例えば、トリフルオロメチルナフチル基、ジ(トリフルオロメチル)ナフチル基、トリ(トリフルオロメチル)ナフチル基、モノフルオロナフチル基、ジフルオロナフチル基、トリフルオロナフチル基、パーフルオロナフチル基、モノクロロナフチル基、ジクロロナフチル基、トリクロロナフチル基、パークロロナフチル基、モノブロモナフチル基、ジブロモナフチル基、トリブロモナフチル基、パーブロモナフチル基、モノヨードナフチル基、ジヨードナフチル基、トリヨードナフチル基、パーヨードナフチル基、ニトロナフチル基、ジニトロナフチル基、トリニトロナフチル基等が挙げられる。
【0024】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するアリール基は、上記具体例の中でも、一般式(XI)で示される基が好ましく、具体的にはトリフルオロメチルフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基が好ましく、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ニトロフェニル基、パーフルオロフェニル基がより好ましく、ニトロフェニル基、パーフルオロフェニル基が更に好ましい。
【0025】
本発明に係る電子吸引性の置換基を有するアリール基及びアニオン基を含むアニオンとしては、具体的には例えば下記一般式(XIII)〜(XVI)で示されるものが挙げられる。
【0026】
(式中、R41、mは上記と同じ。m個のR41は同一でも異なっていてもよい。)
【0027】
(式中、R41、kは上記と同じ。k個のR41は同一でも異なっていてもよい。)
【0028】
(式中、R41、kは上記と同じ。k個のR41は同一でも異なっていてもよい。)
【0029】
(式中、R42〜R45は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン又はニトロ基を表し、m〜mは、それぞれ独立して、1〜5の整数を表す。m個のR42は、同一でも異なっていてもよく、m個のR43、m個のR44及びm個のR45も、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
一般式(XIII)における、R41及びmの組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。
【0030】
【0031】
一般式(XIII)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば
等が挙げられる。
【0032】
一般式(XIV)及び(XV)における、R41及びmの組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。
【0033】
一般式(XIV)及び(XV)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば
等が挙げられる。
【0034】
一般式(XVI)における、R42〜R45及びm〜mの組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。
【0035】
一般式(XVI)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、
【0036】
等が挙げられ、
が好ましく、
がより好ましい。
【0037】
本発明に係るアニオンは、一般式(XIII)又は一般式(XVI)で示されるものが好ましく、一般式(XVI)で示されるものがより好ましい。上記具体例の中でも、
が特に好ましく、
が更に好ましい。
【0038】
[カチオン性ローダミン誘導体]
本発明に係るカチオン性ローダミン誘導体は、上記本発明に係るアニオンをカウンターアニオンとして有するものであり、例えば下記一般式(VII)で示される化合物が挙げられる。
[式中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のスルホアルキル基、炭素数2〜7のカルボキシアルキル基、炭素数2〜7のシアノアルキル基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、置換基を有する又は無置換のフェニル基またはベンジル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す。An-は、本発明に係るアニオン(電子吸引性の置換基を有するアリール基及びアニオン基を含むアニオン)を表す。]
【0039】
上記R〜Rにおける炭素数1〜30のアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜3のものがより好ましい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、シクロへキシル基、2−ヘプチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、アラキル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基、イソアラキル基、イソエイコシル基、イソヘンイコシル基、イソドコシル基、イソトリコシル基、イソテトラコシル基、イソペンタコシル基、イソヘキサコシル基、イソヘプタコシル基、イソオクタコシル基、イソノナコシル基、イソトリアコンチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−メチルヘプチル基、1−シクロヘキシルエチル基、1−ヘプチルオクチル基、2−メチルシクロへキシル基、3−メチルシクロへキシル基、4−メチルシクロへキシル基、2,6−ジメチルシクロへキシル基、2,4−ジメチルシクロへキシル基、3,5−ジメチルシクロへキシル基、2,5−ジメチルシクロへキシル基、2,3−ジメチルシクロへキシル基、3,3,5−トリメチルシクロへキシル基、4−t−ブチルシクロへキシル基、2−エチルヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基等がより好ましい。
【0040】
上記R〜Rにおける炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
【0041】
上記R〜Rにおける炭素数1〜6のスルホアルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には例えばスルホメチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホペンチル基、スルホヘキシル基等が挙げられる。
【0042】
上記R〜Rにおける炭素数2〜7のカルボキシアルキル基としては、炭素数3〜6が好ましく、具体的には例えばカルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基等が挙げられ、カルボキシエチル基が好ましい。
【0043】
上記R〜Rにおける炭素数2〜7のシアノアルキル基としては、炭素数2〜4が好ましく、具体的には例えばシアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、シアノペンチル基、シアノヘキシル基等が挙げられ、シアノエチル基が好ましい。
【0044】
上記R〜Rにおける炭素数2〜6のアルコキシアルキル基としては、炭素数3〜5が好ましく、具体的には例えばメトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基等が挙げられる。
【0045】
上記R〜Rにおける炭素数1〜6のハロゲノアルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基等が挙げられる。
【0046】
上記R〜Rにおけるフェニル基またはベンジル基は1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有してもよく、その置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;スルホン酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基;メトキシエチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、ブトキシエチル基等の炭素数2〜10のアルコキシアルキル基;2−ヒドロキシエトキシ基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基等の炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基;2−スルホエチル基等の炭素数1〜6のスルホアルキル基;カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基等の炭素数2〜7のカルボキシアルキル基;シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、シアノペンチル基、シアノヘキシル基等の炭素数2〜7のシアノアルキル基等が挙げられる。
【0047】
上記R〜Rの具体例の中でも、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等がより好ましく、水素原子、エチル基が特に好ましい。
【0048】
上記RおよびRは、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0049】
上記R〜Rの好ましい組合せとしては例えば下記表記載のものが挙げられる。
【0050】
An-は、上記[電子吸引性の置換基を有するアリール基とアニオン基を含むアニオン]の項で記載したものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0051】
[本発明のポリマー]
本発明のポリマーは、上記本発明に係るカチオン性ローダミン誘導体と本発明に係るエチレン性不飽和結合とを有する化合物由来のモノマー単位を有するポリマーである。
【0052】
本発明のポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常2,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは、2,000〜30,000である。また、その分散度(Mw/Mn)は、通常1.00〜5.00、好ましくは1.00〜3.00である。
【0053】
本発明に係るエチレン性不飽和結合としては、重合性を有するエチレン性不飽和結合であればよく、具体的には、芳香族性を有さないビニル基等が挙げられる。このようなエチレン性不飽和結合を有する基としては、アクリル基[CH2=CH-C(=O)-]、メタクリル基[CH2=C(CH3)-C(=O)-]、アクリルアミド基[CH2=CH-C(=O)-NH-]、メタクリルアミド基[CH2=C(CH3)-C(=O)-NH-]等が挙げられる。
【0054】
本発明に係るエチレン性不飽和結合を有する基と本発明に係るカチオン性ローダミン誘導体は、直接又は適当なスペーサーを介して結合される。該スペーサーとしては、例えば、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基、炭素数1〜9のアルキレン基、或いは、水酸基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基等が挙げられ、具体的には、例えば後述の一般式(I)におけるA1記載の基等が挙げられる。
【0055】
本発明のポリマーとしては、具体的には、下記一般式(I)で示される化合物由来のモノマー単位を有するものが挙げられる。

(式中、R〜R及びAn-は上記と同じ。Rは、水素原子またはメチル基を表し、Aは、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基、炭素数1〜9のアルキレン基、或いは、水酸基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Aは−NH−または−O−を表す。)
【0056】
上記Rは、メチル基が好ましい。
【0057】
上記Aにおける炭素数1〜9のアルキレン基としては、直鎖状、分枝状及び環状のうちのいずれのアルキレン基でもよく、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましい。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、メチルペンチレン基、n−へプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、メチレンシクロヘキシルメチル基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0058】
上記Aにおける、水酸基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には例えば、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、1−ヒドロキシプロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、1−ヒドロキシブチレン基、1−ヒドロキシペンチレン基、メチレンヒドロキシへキシルメチル基等が挙げられる。
【0059】
上記Aにおける、−O−、−OCO−、−COO−基又はアリーレンをその鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレンにおける、アリーレン基としては、炭素数6〜10のものが挙げられ、具体的にはフェニレン基、ナフチレン等が挙げられる。
【0060】
上記Aにおける、−O−、−OCO−、−COO−基又はアリーレンをその鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基としては、例えば下記一般式(VI-I)で示される基
【0061】
−R51−(CH)p1− (VI-I)
(式中、R51は、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数4〜7のシクロアルキレン基を表し、p1は、1〜3の整数を表す。)、下記一般式(VI-II)で示される基
【0062】
−R52−O−(CH)p2− (VI-II)
で示される基(式中、R52は、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基を表し、p2は、1〜3の整数を表す。)等が挙げられる。
【0063】
上記一般式(VI-I)のR51におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数4〜7のシクロアルキレン基としては、ヒドロキシシクロブチレン基、ヒドロキシシクロペンチレン基、ヒドロキシシクロへキシレン基、ヒドロキシシクロへプチレン基等が挙げられる。
【0064】
上記一般式(VI-II)のR52におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基としては、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシプロピレン基、ヒドロキシブチレン基、ヒドロキシペンチレン基、ヒドロキシへキシレン基等が挙げられる。
【0065】
一般式(VI-I)で示される基の好ましい具体例としては、例えば
−C(OH)−CH−、
−C(OH)−C−、
−C(OH)−C−、
等が挙げられる。
【0066】
一般式(VI-II)で示される基の好ましい具体例としては、例えば
−CH−CH(OH)−CH−O−(CH−、
−CH−CH(OH)−CH−O−(CH−、
−CH−CH(OH)−CH−O−(CH−、
等が挙げられる。
【0067】
上記Aにおける、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基のアリーレン基としては、炭素数6〜10のものが挙げられ、具体的にはフェニレン基、ナフチレン等が挙げられる。
【0068】
上記Aにおける、−O−、−OCO−、−COO−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基としては、例えば下記一般式(VII-I)で示される基
−(CH)p3−OCO−R53−COO−(CH)p4− (VII-I)
(式中、R53は、フェニレン基、シクロアルキレン基を表し、p3及びp4は、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。)、
一般式(VII-II)で示される基
−(CO)p5−(CH)p6− (VII-II)
(式中、p5は、1〜9の整数を表し、p6は、1〜3の整数を表す。)、
一般式(VII-III)で示される基
−(CHCH(CH)O)p7−R54− (VII-III)
(式中、p7は1〜9の整数を表し、R54は、分枝状の炭素数1〜3のアルキレン基等が挙げられる。)等が挙げられる。
【0069】
上記R54で示される分枝状の炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチルメチレン基、メチルエチレン基、メチルプロピレン基等が挙げられる。
【0070】
上記一般式(VII-I)で示される基としては、具体的には例えば
−CHCH−O−CO−C−CO−O−CHCH−、
−CHCH−O−CO−C10−CO−O−CHCH
等が挙げられる。
【0071】
上記一般式(VII-II)で示される基としては、具体的には例えば
−(CHCHO)−CHCH−、−(CHCHO)−CHCH
−(CHCHO)−CHCH−、−(CHCHO)−CHCH
−(CHCHO)−CHCH−、−(CHCHO)−CHCH
−(CHCHO)−CHCH−、−(CHCHO)−CHCH
−(CHCHO)−CHCH−、
等が挙げられる。
【0072】
上記一般式(VII-III)で示される基としては、具体的には例えば
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−(CHCH(CH)O)−CHCH(CH)−
−CH(CH)CH−O−CHCH(CH)−、
等が挙げられる。
【0073】
上記Aの具体例の中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0074】
上記Aは、−O−が好ましい。
【0075】
一般式(I)で示される化合物における、二重結合とベンゼン環の間の原子の数、即ち、−C(=O)−O−A1−A2−C(=O) −で示される基の直鎖部分の原子の数は、その数が多いほど、当該化合物をポリマー化した時の反応率が高くなり、本発明のポリマーとしての効果をより奏することができる。しかし、その数が16を超えるとその耐熱性効果が徐々に下がる。そのため、その原子の数は、通常5〜20であり、6〜16が好ましく、6〜14がより好ましく、10〜14が特に好ましい。
【0076】
一般式(I)のR〜R、A及びAの好ましい組合せとしては例えば下記表記載のものが挙げられる。
【0077】
【0078】
本発明のポリマーは、上記一般式(I)で示される化合物由来のモノマー単位を有するものであれば、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよいが、耐熱性効果の高いコポリマーが好ましい。
【0079】
該コポリマーとしては、例えば上記一般式(I)で示される化合物由来のモノマー単位と、下記一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)又は一般式(V)で示される化合物由来のモノマー単位1〜2種とからなるものが挙げられる。
【0080】
[式中、R11は、水素原子又はメチル基を表し、R12は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール
基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基、炭素数3〜9のアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基、炭素数5〜7のモルホリノアルキル基、炭素数3〜9のトリアルキルシリル基、酸素原子を有する又は酸素原子を有さない炭素数6〜10の脂環式炭化水素基、炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜18のフッ化アルキル基、又は炭素数1〜6のN−アルキレンフタルイミド基、下記一般式(II-I)で示される基
【0081】
(式中、R15は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R16は、ヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換のフェニル基、或いは炭素数1〜3のアルキル基を表し、qは1〜3の整数を表す。)、
下記一般式(II-II)で示される基
【0082】
(式中、R17〜R19は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R20は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)、下記一般式(II-III)で示される基
【0083】
(式中、lは、1〜6の整数を表し、R21はフェニレン基又はシクロへキシレン基を表す)を表す。]、
【0084】
(式中、R11は上記と同じ。R13は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R14は、水素原子又は炭素数3〜7のジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を表す。R13とR14は、これらと隣接する窒素原子とでモルホリノ基を形成してもよい。)、
【0085】
(式中、R31は、フェニル基、ピロリジノ基を表し、R11は上記と同じ。)

【0086】
(式中、R33は、窒素原子又は酸素原子を表し、jは、 R33が酸素原子の場合に0を表し、R33が窒素原子の場合には1を表す。R32は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜7のハロゲン化シクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリール基、又は、炭素数6〜10のハロゲン化アリール基を表す。)
【0087】
一般式(II)におけるR11は、メチル基が好ましい。
【0088】
一般式(II)のR12における炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロテトラデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0089】
一般式(II)のR12における炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
【0090】
一般式(II)のR12における炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0091】
一般式(II)のR12における炭素数7〜13のアリールアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基等が挙げられ、ベンジル基が好ましい。
【0092】
一般式(II)のR12における炭素数2〜9のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、メトキシオクチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、エトキシヘプチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、プロポキシヘキシル基等が挙げられる。
【0093】
一般式(II)のR12における炭素数3〜9のアルコキシアルコキシアルキル基としては、メトキシメトキシメチル基、メトキシメトキシエチル基、メトキシメトキシプロピル基、エトキシメトキシメチル基、エトキシメトキシエチル基、エトキシメトキシプロピル基、プロポキシメトキシメチル基、プロポキシメトキシエチル基、プロポキシメトキシプロピル基、エトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシプロピル基、エトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシプロピル基、プロポキシエトキシメチル基、プロポキシエトキシエチル基、プロポキシエトキシプロピル基等が挙げられる。
【0094】
一般式(II)のR12における炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基としては、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、ナフチルオキシメチル基、ナフチルオキシエチル基、ナフチルオキシプロピル基等が挙げられる。
【0095】
一般式(II)のR12における炭素数5〜7のモルホリノアルキル基としては、例えばモルホリノメチル基、モルホリノエチル基、モルホリノプロピル基等が挙げられる。
【0096】
一般式(II)のR12における炭素数3〜9のトリアルキルシリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリルエチルシリル基、トリプロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジエチルメチルシリル基等が挙げられる。
【0097】
一般式(II)のR12における、酸素を有する炭素数6〜10の脂環式炭化水素基としては、ジシクロペンテニルオキシエチル基等が挙げられる。
【0098】
一般式(II)のR12における、酸素を有さない炭素数6〜10の脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。
【0099】
一般式(II)のR12における炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ジプロピルアミノメチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジプロピルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0100】
一般式(II)のR12における炭素数1〜18のフッ化アルキル基としては、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3?テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3?テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシル;2-(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基等が挙げられる。
【0101】
一般式(II)のR12における炭素数1〜6のN−アルキレンフタルイミド基としては、2−フタルイミドエチル基、2−テトラヒドロフタルイミドエチル基等が挙げられる。
【0102】
一般式(II-I)におけるR15における炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、エチレン基が好ましい。
【0103】
一般式(II-I)におけるR16のヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換のフェニル基としては、ヒドロキシフェニル基、フェニル基等が挙げられる。
【0104】
一般式(II-I)におけるR16の炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0105】
一般式(II-I)で示される基の具体例としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシメチル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基、メチルトリメチレングリコール基、メチルトリエチレングリコール基、メチルトリプロピレングリコール基等が挙げられ、中でも2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基、メチルトリプロピレングリコール基、メチルトリエチレングリコール基等が好ましい。
【0106】
一般式(II-II)におけるR17〜R19における炭素数1〜3のアルキル基はとしては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0107】
一般式(II-II)におけるR20における炭素数1〜3のアルキレン基はとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
【0108】
一般式(II-II)で示される基の具体例としては、トリメチルアンモニウムメチル基、トリメチルアンモニウムエチル基、トリエチルアンモニウムメチル基、トリエチルアンモニウムエチル基等が挙げられる。
【0109】
一般式(II-III)で示される基の好ましい具体例としては、例えば
【0110】
等が挙げられる。
【0111】
一般式(II)のR12は、上記の基の中でも、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基、炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基、一般式(II-I)で示される基、一般式(II-III)で示される基が好ましく、中でも水素原子、炭素数7〜13のアリールアルキル基、、一般式(II-III)で示される基がより好ましい。
【0112】
一般式(II)の好ましい具体例としては、メタクリル酸、メタクリル酸ベンジル、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸メチル等が挙げられ、中でもメタクリル酸、メタクリル酸ベンジル等が好ましい。
【0113】
一般式(III)のR13における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0114】
一般式(III)のR14における炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ジプロピルアミノメチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジプロピルアミノプロピル基等が挙げられる。
1〜3のアルキル基としては、上記R13と同じものが挙げられる。
【0115】
一般式(III)のR14における炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられ、ヒドロキシエチル基が好ましい。
【0116】
一般式(III)の好ましい具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドが好ましく、N,N−ジエチルアクリルアミドが特に好ましい。
【0117】
一般式(IV)の好ましい具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0118】
一般式(V)のR32における炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、ノナデシル基、アラキル基等が挙げられる。
【0119】
一般式(V)のR32における炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基等が挙げられる。
【0120】
一般式(V)のR32における炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基としては、例えばクロロメチル基、クロロエチル基、クロロn-プロピル基、クロロイソプロピル基、クロロn-ブチル基、クロロtert-ブチル基、クロロ-n-ペンチル基、クロロ-n-ヘキシル基、クロロ-n-ヘプチル基、クロロ-n-オクチル基、クロロ-n-ノニル基、クロロ-n-デシル基、フッ化メチル基、フッ化エチル基、フッ化-n-プロピル基、フッ化イソプロピル基、フッ化-n-ブチル基、フッ化-tert-ブチル基、フッ化-n-ペンチル基、フッ化-n-ヘキシル基、フッ化-n-ヘプチル基、フッ化-n-オクチル基、フッ化-n-ノニル基、フッ化-n-デシル基等が挙げられる。
【0121】
一般式(V)のR32における炭素数1〜10のアルキルシクロアルキル基としては、例えばメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0122】
一般式(V)のR32における炭素数6〜7のハロゲン化シクロアルキル基としては、クロロシクロヘキシル基、フッ化シクロヘキシル基、ブロモシクロヘキシル基、クロロシクロヘプチル基、フッ化シクロヘプチル基、ブロモシクロヘプチル基等が挙げられる。
【0123】
一般式(V)のR32における炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0124】
一般式(V)のR32における炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリール基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、n-ペンチルフェニル基、n-ヘキシルフェニル基等が挙げられる。
【0125】
一般式(V)のR32における炭素数6〜10のハロゲン化アリール基としては、クロロフェニル基、フッ化フェニル基、クロロナフチル基、フッ化ナフチル基等が挙げられる。
【0126】
一般式(V)の好ましい具体例としては、無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−(2−エチルヘキシル)マレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(2−クロロヘキシル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(2−メチルシクロヘキシル)マレイミド、N−(2−エチルシクロヘキシル)マレイミド、N−(2−クロロシクロヘキシル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド等が挙げられ、中でも、N−フェニルマレイミドが好ましい。
【0127】
本発明のコポリマーは、具体的には、以下の如きモノマー単位の組合せが挙げられ、中でも組み合わせ1,5,6及び7が好ましく、組み合わせ1においては、一般式(II)で示される化合物を2種類含むものが好ましい。
【0128】
【0129】
一般式(I)で示される化合物由来のモノマー単位と一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)又は一般式(V)で示される化合物由来のモノマー単位との重量比率は、用いられるモノマー単位の種類によって適宜設定されればよいが、得られるポリマーの総重量に対して一般式(I)で示される化合物由来のモノマー単位が、通常1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%である。
【0130】
[本発明のポリマーの製造方法]
本発明のポリマーは、例えば以下の如く製造される。即ち、上記の如く得られた本発明の化合物を自体公知の重合反応に付すことにより、本発明のポリマーを得ることができる。本発明のポリマーがコポリマーの場合には、重合反応の際に、上記本発明の化合物と一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)又は一般式(V)で示される化合物の1〜2種とを、最終的に得られるポリマー中の各モノマーに由来するモノマー単位の比率が上記の如くなるように混合した後、重合させればよい。
【0131】
上記重合反応としては、例えば、以下の如くなされる。即ち、本発明に係るアニオンを有する一般式(I)で示される化合物、或いは、本発明に係るアニオンを有する一般式(I)で示される化合物と一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)又は一般式(V)で示される化合物の1〜2種を、その総容量に対して1〜10倍容量の適当な溶媒、例えばトルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等に溶解し、溶解した化合物の全量に対して0.01〜30重量%の重合開始剤、例えばアゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の存在下、50〜150℃で1〜48時間反応させることにより行なわれる。反応後は高分子取得の常法に従って処理してもよい。
【0132】
[本発明の化合物]
本発明の化合物は、上記本発明に係るカチオン性ローダミン誘導体と上記本発明に係るエチレン性不飽和結合とを有し、且つ、上記本発明に係るアニオンをカウンターアニオンとして有するものである。
【0133】
本発明の化合物は、具体的には例えば上記一般式(I)で示される化合物が挙げられる。一般式(I)中のR〜R、A、A、及びAn-の具体例、好ましいもの、好ましい組合せについては、上記[本発明のポリマー]の項で記載したものと同じものが挙げられる。
【0134】
[本発明の化合物の製造方法]
本発明の化合物は、例えば以下の如く製造される。
【0135】
即ち、先ず、下記一般式(I-I)で示されるローダミン化合物
【0136】
(式中、R〜Rは上記と同じ。Zはアニオンを表す。)
と下記一般式(I-II)で示される化合物
【0137】
(式中、R、A及びAは上記と同じ。)
とを、脱水縮合剤の存在下で反応させて下記一般式(I-III)で示される化合物を得る。
【0138】
(式中、R〜R、A、A及びZは、上記と同じ。)一般式(I-III)で示される化合物は、別の方法として、上記一般式(I-I)で示されるローダミン誘導体と下記一般式(I-IV)で示される化合物
【0139】
(式中、R及びAは上記と同じ。A’は、−O−及びアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基、炭素数1〜9のアルキレン基を表し、Epoは、3,4-エポキシシクロヘキシル又はエポキシ基を表す。)とを、触媒の存在下で反応させて得てもよい。
【0140】
一般式(I-III)を得た後、要すれば(Zが本発明に係るアニオン以外の場合)、一般式(I-III)で示される化合物に、本発明に係る電子吸引性の置換基を有するアリール基を含むアニオンの塩(例えば該アニオンの、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)を、ジクロロメタン等の適当な溶媒中で例えば10〜50℃で10〜120分間接触させて、アニオンのイオン交換反応を行うことにより、本発明の化合物を得ることができる。
【0141】
一般式(I-I)及び一般式(I-III)におけるZで示されるアニオンとしては、Cl-、NO3-、SO4-、PO4-等が挙げられるが、これらを含む化合物であってもよく、本発明に係るアニオンであってもよい。
【0142】
上記一般式(I-I)におけるR〜Rの好ましい組合せは、上記一般式(I)の項で記載した組合せと同じものが挙げられる。
【0143】
上記一般式(I-II)における、R、A及びAの好ましい組合せは、上記一般式(I)の項で記載した組合せと同じものが挙げられる。上記一般式(I-III)で示される化合物を得る反応における、一般式(I-II)で示される化合物の使用量は、一般式(I-I)で示されるローダミン誘導体の1〜5モル倍、好ましくは1〜2モル倍である。
【0144】
上記脱水縮合剤としては、例えば一般に脱水縮合剤として使用されるものであればよく、例えば五酸化二リン、無水塩化亜鉛等の無機脱水剤類;例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩等のカルボジイミド類;例えばポリリン酸、無水酢酸、硫酸、カルボニルジイミダゾ−ル、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、カルボジイミド類が好ましい。該脱水縮合剤の使用量は、一般式(I-II)で示される化合物に対して、1〜10モル倍、好ましくは1〜5モル倍である。上記一般式(I-III)で示される化合物を得る反応においては、脱水縮合剤の効率を向上させるために、ジメチルアミノピリジン等の触媒を用いてもよい。該触媒の使用量は、一般式(I-II)で示される化合物に対して、0.1〜10モル倍である。
【0145】
上記一般式(I-III)で示される化合物を得る反応は、通常10〜50℃で5〜24時間反応溶媒中で反応させることによりなされる。該反応溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;例えばアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ヘキサノン、t−ブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;例えばクロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;例えばアセトニトリル等のニトリル類;例えばN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;等が挙げられ、中でもハロゲン化炭化水素類が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。これらはそれぞれ単独でも或いは二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。反応溶媒の使用量は、一般式(I-I)で示されるローダミン誘導体及び一般式(I-II)で示される化合物の総容量に対して、通常1〜50倍量、好ましくは1〜20倍量である。
【0146】
上記一般式(I-IV)で示される化合物におけるA’の、−O−及びアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基としては、上記Aにおける−O−又はアリーレン基の少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基と同じものが挙げられる。
【0147】
上記一般式(I-IV)で示される化合物におけるA’の炭素数1〜9のアルキレン基としては、上記Aにおける炭素数1〜9のアルキレン基と同じものが挙げられる。
【0148】
上記一般式(I-IV)における、R、A’及びAの好ましい組合せは、上記一般式(I)の項で記載したR、A及びAの好ましいものに準じた組合せが挙げられる。一般式(I-IV)で示される化合物の使用量は、一般式(I-I)で示されるローダミン誘導体の1〜5モル倍、好ましくは1〜2モル倍である。
【0149】
上記一般式(I-IV)で示される化合物を用いて一般式(I-III)を得る方法で用いられる触媒としては、例えばテトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロリド等の4級塩触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類等が挙げられる。該触媒の使用量は、一般式(I-I)で示される化合物に対して、1〜10モル倍、好ましくは1〜5モル倍である。
【0150】
上記一般式(I-IV)で示される化合物を用いて一般式(I-III)を得る方法は、通常10〜50℃で5〜24時間反応溶媒中で反応させることによりなされる。該反応溶媒は、上記の一般式(I-III)を得る方法で記載したものと同じものが挙げられる。これらはそれぞれ単独でも或いは二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。反応溶媒の使用量は、一般式(I-I)で示されるローダミン誘導体及び一般式(I-III)で示される化合物の総容量に対して、通常1〜50倍量、好ましくは1〜20倍量である。
【0151】
[着色組成物]
本発明の着色組成物は、上記本発明のポリマー又は化合物を少なくとも1種含むものである。該着色組成物は、優れた着色硬化膜を形成することができるため、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルター等の着色画素形成用途、印刷インキ、インクジェットインキ、および塗料等の用途に用いることができる。特に、液晶表示装置のカラーフィルター用として好適に用いることができる。
【0152】
本発明の着色組成物は、少なくとも上記本発明のポリマー若しくは化合物を1種以上、重合開始剤、バインダー樹脂、並びに、ラジカル重合性モノマー若しくはオリゴマーを含むものが好ましく、必要に応じて、顔料、溶剤、シランカップリング剤並びに架橋剤等を含んでいてもよい。該着色組成物は、本発明のポリマー又は化合物を、着色組成物の重量に対して1〜50%、好ましくは5〜30%含有する。尚、ここでいう着色組成物の重量は、溶剤を除く固形成分の重量を意味し、以下本願では同様の意味を表す。
【0153】
上記重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン2-(o-ベンゾイルオキシム)、1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンo-アセチルオキシム等のオキシムエステル系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
【0154】
上記重合開始剤は、単独でも2種以上を含有してもよい。その含有量は、着色組成物の重量に対して1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。
【0155】
上記バインダー樹脂としては、例えば、カルボキシル基又は水酸基を少なくとも1つ有するエチレン性不飽和モノマー、或いは該エチレン性不飽和モノマーと芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマーとの共重合体、該共重合体の側鎖もしくは末端等にエポキシ基を有したものや、アクリレートを付加させたもの等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0156】
上記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタアクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
【0157】
上記バインダー樹脂の含有量は、着色組成物の重量に対して、10重量%〜50重量%、好ましくは20重量%〜50重量%である。
【0158】
上記ラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーとしては、一例として、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(エトキシ基が40以下のもの)、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(プロポキシ基が40以下のもの)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(エトキシ基が40以下のもの)、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(プロポキシ基が40以下のもの)、ビスフェノールAポリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジメタクリレート、イソシアヌル酸エトキシ変性トリアクリレート、多価カルボン酸(無水フタル酸等)と水酸基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とのエステル化物、アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル(アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル等)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライドによる四級塩化物、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる四級塩化物、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどが挙げられ、中でも、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートがより好ましい。
上記ラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーの含有量は、着色組成物の重量に対して、通常20重量%〜60重量%、好ましくは30重量%〜60重量%、より好ましくは40重量%〜60重量%である。特に、本発明の化合物と用いる場合には、ラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーを40重量%〜60重量%とすると、より高い耐熱性効果を奏することができる。
【0159】
上記顔料としては、青色や緑色の着色パターンを作製するために用いられる顔料であればよく、例えばフタロシアニン系顔料等が挙げられる。該フタロシアニン系顔料としては、中心金属に、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムを含むものが挙げられ、具体的には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58、クロロアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニンオキシド、亜鉛フタロシアニンが挙げられ、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントグリーン58が好ましく、特に、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン58が好ましい。
【0160】
上記顔料の含有量は、着色組成物の重量に対して10〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0161】
本発明の着色組成物が上記顔料を含む場合、顔料分散剤を含有するのが好ましい。該顔料分散剤としては、例えば、ポリアミドアミン及びその塩、ポリカルボン酸及びその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。顔料分散剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。その含有量は、顔料の重量に対して、通常1〜80重量%であり、好ましくは10〜60重量%である。
【0162】
上記溶剤としては、着色組成物に含まれる成分に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。溶剤の量は、本発明の着色組成物の濃度が、溶剤中10重量%〜80重量%になる量である。
【0163】
上記シランカップリング剤は、ガラス等の基材に結合する場合に用いられる。該シランカップリング剤としては、通常この分野で用いられる従来公知のものを用いることができ、反応性有機官能基として、例えば、エポキシ基、チオール基、水酸基、アミノ基、ウレイド基、ビニル基、アクリロイル基などを有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的にはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。上記シランカップリング剤は、反応溶液中で通常0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜5重量%となる量を用いればよい。
【0164】
上記架橋剤としては、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられ、中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定されず、例えば、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられ、中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0165】
上記架橋剤の含有量は、着色組成物の重量に対して、10重量%〜50重量%、好ましくは20重量%〜50重量%である。
【0166】
本発明の着色組成物は、上記記載のもの以外に、重合禁止剤、界面活性剤、添加剤等を含んでいてもよく、それらは自体公知のものであれば特限定されず、用いられる量も通常この分野で用いられる量であれば限定されない。
【0167】
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して調製される。
【0168】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0169】
合成例1 染料モノマーM−1の合成
攪拌装置を備えた2Lの丸底フラスコに、ローダミンB47.9g(0.10mol、和光純薬工業(株)製)、ジクロロメタン500ml、ヒドロキシエチルメタクリレート 15.6g(0.12mol、和光純薬工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン4.9g(0.04mol、和光純薬工業(株)製)、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩32.6g(0.17mol、東洋紡(株)製)を加え、室温で24時間攪拌して反応させた。反応終了後、有機層を約500mlのイオン交換水で洗浄した。次いで、硫酸ナトリウム50g加えて脱水し、重合禁止剤としてp‐メトキシフェノール10mg(和光純薬工業(株)製)を加えて減圧下で溶媒を留去し、赤色の固体44g(収率74.6%)を得た。これを染料モノマーM‐1とする。
【0170】
実施例1 染料モノマーM−2の合成
撹拌装置を備えた500mlの丸底フラスコに、染料モノマーM‐1 11.8g(0.020mol)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩 13.7g(0.020mol、東ソー・ファインケム(株)製)、ジクロロメタン150ml、イオン交換水150mlを加えた後、室温で30分間攪拌することにより、塩交換反応を行った。反応終了後、有機層を約150mlのイオン交換水で4回洗浄した。次いで、p‐メトキシフェノール5mg(和光純薬工業(株)製)を加え、減圧下で濃縮し、染料モノマーM‐1の塩化物イオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンに交換された赤色の固体22.8g(収率92.3%)を得た。これを染料モノマーM−2とする。
【0171】
実施例2 染料モノマーM−3の合成
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩13.7gの代わりに4‐ニトロベンゼンスルホン酸4.0g(0.020mol、東京化成(株)製)を用いた以外は、合成例2と同様の方法で合成した。その結果、染料モノマーM‐1の塩化物イオンが4‐ニトロベンゼンスルホン酸アニオンに交換された、赤色粘調の液体14.4g(収率94.7%)を得た。これを染料モノマーM‐3とする。
【0172】
実施例3 染料モノマーM−4の合成
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩13.7gの代わりにペンタフルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム5.4g(0.020mol、和光純薬工業(株)製)を用いた以外は、合成例2と同様の方法で合成した。その結果、染料モノマーM‐1の塩化物イオンがペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオンに交換された、赤色粘調の液体15.0g(収率93.5%)を得た。これを染料モノマーM‐4とする。
【0173】
実施例4 染料モノマーM−5の合成
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩13.7gの代わりに4-フルオロベンゼンスルホン酸3.5g(0.020mol、シグマアルドリッチ(株)製)を用いた以外は、合成例2と同様の方法で合成した。その結果、染料モノマーM‐1の塩化物イオンが4-フルオロベンゼンスルホン酸アニオンに交換された、赤色粘調の液体13.6g(収率93.0%)を得た。これを染料モノマーM‐5とする。
【0174】
合成例2 染料モノマーM−6の合成
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩13.7gの代わりにドデシルベンゼンスルホン酸6.6g(0.020mol)を用いた以外は、合成例2と同様の方法で合成した。その結果、染料モノマーM‐1の塩化物イオンがドデシルベンゼンスルホン酸アニオンに交換された、赤色粘調の液体17.0g(収率93.4%)を得た。これを染料モノマーM‐6とする。
【0175】
合成例3 染料モノマーM−7の合成
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩13.7gの代わりにp−トルエンスルホン酸・1水和物3.8g(0.020mol)を用いた以外は、合成例2と同様の方法で合成した。その結果、
染料モノマーM‐1の塩化物イオンがp−トルエンスルホン酸アニオンに交換された、赤色粘調の液体13.6g(収率91.0%)を得た。これを染料モノマーM‐7とする。
【0176】
合成例4 染料モノマーM−8の合成
(1)ローダミン6Gの加水分解
攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ローダミン6G(化合物1)12.0g(0.025mol、和光純薬工業(株)製)、水酸化ナトリウム1.1g(0.026mol、和光純薬工業(株)製)及びエタノール80mL(和光純薬工業(株)製)を加え、70℃で12時間反応させた。減圧濃縮によって溶媒を留去した後、イオン交換水130mLを加え、1mol/L HCl水溶液をpHが2付近になるまで滴下し、1時間撹拌した。析出した結晶をろ取して、ローダミン6Gの加水分解体(化合物2)10.3g(収率91%)を得た。

【0177】
(2)染料モノマーM−8の合成
攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ローダミン6Gの加水分解体(化合物2)10.2g(0.023mol)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(化合物3)3.5g(0.027mol、和光純薬工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン0.8g(0.007mol、和光純薬工業(株)製)、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩7.4g(0.038mol、東洋紡(株)製)、ジクロロメタン90mL(和光純薬工業(株)製)を加え、室温で24時間反応させた。反応終了後、イオン交換水を加えて洗浄し、減圧濃縮によって溶媒を留去した。さらにシリカゲルカラムで精製し、減圧濃縮にて溶媒を留去し、褐色固体の染料モノマーM−8(化合物4)を12.1g(収率95%)得た。
【0178】
実施例5 染料モノマーM−9の合成
撹拌装置を備えた丸底フラスコに、染料モノマーM−8(化合物4)9.0g(0.016mol)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩10.9g(0.016mol、東ソー・ファインケム(株)製)、ジクロロメタン110ml(和光純薬工業(株)製)及びイオン交換水30mlを加えた後、室温で3時間反応させ、塩交換反応を行った。反応終了後、水層を分液し、イオン交換水で洗浄した。その後、水層を減圧下で濃縮し、染料モノマーM−8の塩化物イオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンに交換された褐色固体(化合物5)19.3g(収率100%)を得た。これを染料モノマーM−9とする。

【0179】
合成例5 染料モノマーM−10の合成
攪拌装置を備えた2Lの丸底フラスコに、ローダミンB47.9g(0.10mol、和光純薬工業(株)製)、ジクロロメタン500ml、ヒドロキシブチルアクリレート17.3g(0.12mol、和光純薬工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン4.9g(0.04mol、和光純薬工業(株)製)、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩32.6g(0.17mol、東洋紡(株)製)を加え、室温で24時間攪拌して反応させた。反応終了後、有機層を約500mlのイオン交換水で洗浄した。次いで、硫酸ナトリウム50g加えて脱水し、重合禁止剤としてp‐メトキシフェノール10mg(和光純薬工業(株)製)を加えて減圧下で溶媒を留去し、赤色の固体48.5g(収率80.2%)を得た。これを染料モノマーM‐10とする。

【0180】
実施例6 染料モノマーM−11の合成
撹拌装置を備えた500mlの丸底フラスコに、染料モノマーM‐10 12.1g(0.020mol)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩 13.7g(0.020mol、東ソー・ファインケム(株)製)、ジクロロメタン150ml、イオン交換水150mlを加えた後、室温で30分間攪拌することにより、塩交換反応を行った。反応終了後、有機層を約150mlのイオン交換水で4回洗浄した。次いで、p‐メトキシフェノール5mg(和光純薬工業(株)製)を加え、減圧下で濃縮し、染料モノマーM‐10の塩化物イオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンに交換された赤色の固体23.5g(収率93.9%)を得た。これを染料モノマーM−11とする。
【0181】
合成例6 染料モノマーM−12の合成(ローダミンBのB(C塩)
撹拌装置を備えた500mlの丸底フラスコに、ローダミンB 9.6g(0.020mol)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩 13.7g(0.020mol、東ソー・ファインケム(株)製)、ジクロロメタン150ml、イオン交換水150mlを加えた後、室温で30分間攪拌することにより、塩交換反応を行った。反応終了後、有機層を約150mlのイオン交換水で4回洗浄した。次いで、減圧下で濃縮し、ローダミンBの塩化物イオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンに交換された赤色の固体21.1g(収率94.0%)を得た。これを染料モノマーM−12とする。
【0182】
実施例7 染料ポリマーP−2の合成
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた200mlの丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.9g(和光純薬工業(株)製)を入れ、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、染料モノマーM−2 3.0g、ベンジルメタクリレート50.1g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸6.9g(和光純薬工業(株)製)、ジメチル2,2´‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V‐601)9.6g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.9g(和光純薬工業(株)製)を混合した溶液を、2時間かけて丸底フラスコに滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48.6gを加えて希釈し、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−2(重量比:染料モノマーM−2/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=3.0/50.1/6.9)とする。
【0183】
実施例8〜10 染料ポリマーP−3〜5の合成
染料モノマーM−2の代わりに染料モノマーM−3を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−3とする。また、同様に、染料モノマーM−2の代わりに染料モノマーM−4又は5を用い、染料ポリマーP−4およびP−5を得た。
【0184】
合成例7〜9 染料ポリマーP−1、6、7の合成
染料モノマーM−2の代わりに染料モノマーM−1、6又は7を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これらをそれぞれ染料ポリマーP−1、P−6、P−7とする。
【0185】
実施例11 染料ポリマーP−8の合成(染料モノマーの比率が高いポリマーの合成)
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた200mlの丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.6g(和光純薬工業(株)製)を入れ、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、染料モノマーM−2 20g、ベンジルメタクリレート2.1g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸2.9g(和光純薬工業(株)製)、ジメチル2,2´‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V‐601)4g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.6g(和光純薬工業(株)製)を混合した溶液を、2時間かけて丸底フラスコに滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.2gを加えて希釈し、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−8(重量比:染料モノマーM−2/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=80/8.5/11.5)とする。
【0186】
実施例12 染料ポリマーP−9の合成
染料モノマーM−2の代わりに染料モノマーM−9を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−9とする。
【0187】
実施例13 染料ポリマーP−11の合成
染料モノマーM−2の代わりに染料モノマーM−11を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−11とする。
【0188】
実施例14 染料ポリマーP−12の合成(染料モノマーの比率が高いポリマーの合成)
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた100mlの丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.3g(和光純薬工業(株)製)を入れ、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、染料モノマーM−2 16g、ベンジルメタクリレート4g(和光純薬工業(株)製)、ジメチル2,2´‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V‐601)3.2g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.3g(和光純薬工業(株)製)を混合した溶液を、2時間かけて丸底フラスコに滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート16.2gを加えて希釈し、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−12(重量比:染料モノマーM−2/ベンジルメタクリレート=80/20)とする。このポリマー溶液の不揮発分濃度は、35.7%であった。
【0189】
実施例15 染料ポリマーP−13の合成(染料モノマーの比率が高いポリマーの合成)
染料モノマーM−2の代わりに染料モノマーM−11を用いた以外は、実施例10と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−12(重量比:染料モノマーM−11/ベンジルメタクリレート=80/20)とする。このポリマー溶液の不揮発分濃度は、34.3%であった。
【0190】
実施例16 染料ポリマーP−14の合成
ベンジルメタクリレート50.1gを、ベンジルメタクリレート32.1gとコハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)(新中村化学(株)製NKエステルSA)18gに変更した以外は、実施例7と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−14(染料モノマーM−2/ベンジルメタクリレート/コハク酸モノ(重量比:2-メタクリロイルオキシエチル)/メタクリル酸=5/53.5/30/11.5)とする。
【0191】
実施例17 染料ポリマーP−15の合成
ベンジルメタクリレート50.1gを、メチルメタクリレート32.1g、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)18gに変更した以外は、実施例7と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−15(重量比:染料モノマーM−2/メチルメタクリレート/コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)/メタクリル酸=5/53.5/30/11.5)とする。
【0192】
実施例18 染料ポリマーP−16の合成
ベンジルメタクリレート50.1gを、メチルメタクリレート32.1g、ジエチルアクリルアミド(和光純薬工業(株)製)18gに変更した以外は、実施例7と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−16(重量比:染料モノマーM−2/メチルメタクリレート/ジエチルアクリルアミド/メタクリル酸=5/53.5/30/11.5)とする。
【0193】
実施例19 染料ポリマーP−17の合成
ベンジルメタクリレート50.1gを、メチルメタクリレート32.1g、スチレン(和光純薬工業(株)製)18gに変更した以外は、実施例7と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−17(重量比:染料モノマーM−2/メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸=5/53.5/30/11.5)とする。
【0194】
実施例20 染料ポリマーP−18の合成
ベンジルメタクリレート50.1gを、メチルメタクリレート32.1g、N−フェニルマレイミド18gに変更した以外は、実施例7と同様の方法により、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−18(重量比:染料モノマーM−2/メチルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/メタクリル酸=5/53.5/30/11.5)とする。
【0195】
実施例21 ポリマーの耐熱性評価(230℃、0.5時間)
実施例5〜8で得た染料ポリマーP−2〜P−5、P−9及びP−11の耐熱性を下記のようにして評価した。
即ち、得られた染料ポリマーP−2〜P−5、P−9及びP−11をそれぞれ3インチのガラスウエハー(コーニング社製イーグルXG)にスピンコートした後、90℃に加熱したホットプレート上で90秒間乾燥して膜厚1ミクロンの薄膜を得た。得られた薄膜それぞれを、分光光度計(島津製作所製分光光度計UV−2550)を用いて最大吸収波長での吸光度(λa)を測定し、その後、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した後、再度、吸光度(λb)を測定した。λaとλbの値から下記式より染料残存率(%)を求めた。また、得られた染料残存率について、下記の判定基準に従って評価した。
染料残存率(%)=(λb/λa)×100
【0196】
[判定基準]
◎:染料残存率≧81%
○:61%≦染料残存率<80%
△:51%≦染料残存率<60%
×:染料残存率≦50%
得られた結果を表1に示す。
【0197】
比較例1 ポリマーの耐熱評価(230℃、0.5時間)
染料ポリマーP−2〜P−5、P−9及びP−11の代わりに染料ポリマーP−1、6又は7を用いた以外は、実施例21と同様の方法により、染料ポリマーP−1、6及び7の耐熱性評価を行った。
得られた結果を表1に示す。
【0198】
実施例22 モノマーの耐熱性評価(230℃、0.5時間)
実施例1〜6で得た染料モノマーM−2〜M−5、M−9及びM−11の耐熱性を下記のように評価した。
(1)染料を含まないポリマーの合成
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた500mlの丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート98.5gを入れ、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、ベンジルメタクリレート 186.2g、メタクリル酸25.6g、ジメチル2,2´‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V‐601)33.9g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート98.5gを混合した溶液を、2時間かけて丸底フラスコに滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート171.5gを加えて希釈し、淡黄色透明のポリマー溶液を得た。これをポリマーAとする。尚、ポリマーAの不揮発分濃度は35.9%であった。
【0199】
(2)染料モノマー混合溶液の調整
染料モノマー(M−2〜M−4、M−9又はM−11)1g、ポリマーA52.9g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.2gを混合し、染料モノマー混合溶液Bを調製した。
【0200】
(3)耐熱性評価
染料ポリマーP−2〜P−5の代わりに染料モノマー混合溶液Bを用いた以外は、実施例21と同様の方法により耐熱性を評価した。
【0201】
比較例2 モノマーの耐熱性評価(230℃、0.5時間)
染料モノマーM−2〜M−5、M−9及びM−11の代わりに染料モノマーM−1、6又は7を用いた以外は、実施例21と同様の方法により、染料ポリマーP−1、6及び7の耐熱性評価を行った。
得られた結果を、実施例21、実施例22、及び比較例1と併せて表1に示す。
【0202】
【表1】
【0203】
上記表1に示すように、実施例21の染料ポリマーP−2〜P−5、P−9及びP−11、並びに、実施例22の染料モノマーM−2〜M−4、M−9及びM−11は、比較例1及び2における染料モノマーM−1、M−6及びM−7、染料ポリマーP−1、P−6、P−7よりも、高い耐熱性を示すことが分かった。
比較例2及び実施例22において、染料モノマーM−1、M−6及びM−7と染料モノマーM−2〜M−4、M−9及びM−11とではそのアニオン成分が異なることから、アニオン成分として、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオン、4−ニトロベンゼンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオンを用いると耐熱性が向上すると考えられた。また、実施例21のP−5も優れた耐熱効果を示したことから、アニオン成分として4−フルオロベンゼンスルホン酸アニオンを用いても同様に耐熱性が向上すると考えられた。
また、実施例21の染料ポリマーは、実施例22の染料モノマーよりも染料残存率が高いことから、ポリマー化することにより更に耐熱性が向上することが分かった。
【0204】
実施例23 ポリマーの耐熱性評価(230℃、1.5時間)
加熱時間30分を90分とし、染料ポリマーP−2〜P−4、P−9、P−10、P−11、P−13〜P−17を用いた以外は、実施例21と同様の方法により、これらのポリマー耐熱性評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0205】
比較例3 ポリマーの耐熱評価(230℃、1.5時間)
染料ポリマーP−2〜P−4の代わりに染料ポリマーP−1、6又は7を用いた以外は、実施例21と同様の方法により、染料ポリマーP−1、6及び7の耐熱性評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0206】
実施例24 モノマーの耐熱性評価(230℃、1.5時間)
加熱時間30分を90分とした以外は実施例22と同様の方法により、染料モノマーM−2〜4、M−9、M−10及びM−11の耐熱性評価を行った。
得られた結果を表2に示す。
【0207】
比較例4 モノマーの耐熱性評価(230℃、1.5時間)
加熱時間30分を90分とした以外は実施例22と同様の方法により、染料モノマーM−1、M−6及びM−7の耐熱性評価を行った。
得られた結果を、実施例23、実施例24及び比較例3と併せて表2に示す。
【0208】
【表2】
【0209】
実施例23、実施例24、比較例3および比較例4では、上記実施例21、実施例22、比較例1および比較例2の加熱時間30分を90分にして、それぞれ耐熱性を評価した。
その結果、表2に示すように、加熱時間30分の場合と同様に、実施例23の染料ポリマーP−2〜P−4、P−9及びP−11、並びに、実施例24の染料モノマーM−2〜M−4、M−9及びM−11は、それらとアニオン成分が異なる染料ポリマーP−1、P−6、P−7、および、染料モノマーM−1、M−6、M−7と比較して、それぞれ高い耐熱性を示した。特に、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンをアニオン成分に用いたM−2、M−9及びM−11の染料モノマー、並びに、これらモノマーを含有するP−2、P−9、P−11、及びP−13〜17の染料ポリマーが高い耐熱性を示すことが分かった。また、染料ポリマーは、染料モノマーと比較しても優れた耐熱性を有することが分かった。
一方、比較例3のP−1、P−6およびP−7、比較例4のM−1、M−6およびM−7は、30分の加熱の場合(比較例1および2)と比較して、染料残存率が大きく低下した。実施例23や24の染料ポリマー及び染料モノマーを用いた結果でも染料残存率の低下は見られるが、低下率に大きな差が見られた。
【0210】
実施例25 染料ポリマーP−12の硬化膜の耐溶剤性評価
実施例14で得た染料ポリマーP−12を用い、簡易な紫外線硬化性のカラーレジストを作成し、硬化膜のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する耐溶剤性を評価した。
即ち、不揮発分の重量比で染料ポリマーP−12/ポリマーA/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1/3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン=18.8/36.2/30/10/5となるように混合し、レジスト液を得た。このレジスト液を、それぞれ3インチのガラスウエハーにスピンコートした後、100℃に加熱したホットプレート上で100秒間乾燥して膜厚1.5ミクロンの薄膜を得た。得られた薄膜のそれぞれに、高圧水銀灯を用いて200mJ/cmの光量を照射し、0.5%KOH水溶液に90秒間浸漬したのち、イオン交換水で洗浄し、更に、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した。
分光光度計を用いて最大吸収波長での吸光度(λc)を測定し、その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルの溶液に2時間浸漬した後、100℃に加熱したホットプレート上で100秒間加熱した後、再度、吸光度(λd)を測定した。λcとλdの値から下記式より染料残存率(%)を求めた。得られた染料残存率を耐溶剤性の指標とした。
染料残存率(%)=(λd/λc)×100
レジストの組成と耐溶剤性の結果を表3に示した。
【0211】
実施例26 染料ポリマーP−13の硬化膜の耐溶剤性評価
染料ポリマーP−12の代わりに染料モノマーP−13を用いた以外は、実施例25と同様の方法により、染料ポリマーP−13の耐溶剤性の評価を行った。
得られた結果を、実施例25の結果と併せて表3に示した。
【0212】
実施例27 染料モノマーM−2の硬化膜の耐溶剤性評価
染料ポリマーP−12の代わりに染料モノマーM−2を用い、不揮発分の重量比で染料モノマーM−2/ポリマーA/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/2―ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1/3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン=15/40/30/10/5となるように混合した以外は、実施例25と同様の方法により、染料モノマーM−2の耐溶剤性の評価を行った。レジストの組成と耐溶剤性の結果を、実施例25、26の結果と併せて表3に示した。
【0213】
実施例28 染料モノマーM−11の硬化膜の耐溶剤性評価
染料モノマーM−2の代わりに染料モノマーM−11を用いた以外は、実施例27と同様の方法により、染料モノマーM−11の耐溶剤性の評価を行った。レジストの組成と耐溶剤性の結果を、実施例25〜27の結果と併せて表3に示した。
【0214】
比較例5 染料モノマーM−12の硬化膜の耐溶剤性評価
染料モノマーM−2の代わりに染料モノマーM−12を用いた以外は、実施例27と同様の方法により、染料モノマーM−12の耐溶剤性の評価を行った。レジストの組成と耐溶剤性の結果を、実施例25〜28の結果と併せて表3に示した。
【0215】
【表3】
【0216】
KAYARAD DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
IRGACURE 369:2‐ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1((株)BASF社製)
LS-3380:3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
NMP :N−メチル−2−ピロリドン
【0217】
カラーフィルターにおいては、通常、基板上で1色目を含むポリマーでパターンを形成した後に、2色目を含むポリマーでパターンを形成する。この際、パターン形成されたポリマーは、2色目を含むポリマーの溶媒にさらされることとなる。その際に、パターン形成されたポリマーから染料が溶媒に溶出すると、色濃度の低下と同時に2色目との混色の原因となる。そのため、硬化したポリマーの耐溶剤性は重要なファクターとなる。
表3から明らかなように、P−12、P−13、M−2又はM−11を染料として用いた場合、溶媒への耐溶剤性が非常に高く、ほぼ90%以上の染料残存率であった。一方、比較例5で用いたM−12は、その耐溶剤性は43%と低かった。これは、アニオンが塩素イオンであり、重合性基を有さないローダミンBであるため、硬化膜中に固定化されていないことがその原因と考えられた。
表3の結果によれば、実施例25、26に使用した染料ポリマーP−12、P−13は、それぞれ、実施例27、28の染料モノマーM−2、M−11をポリマー化したものであるが、染料モノマーの形でレジストに添加するよりも、染料ポリマーの形で添加した方が、耐溶剤性が高いことが分かった。
【0218】
実施例29〜31 架橋剤量の違いによる硬化膜の耐溶剤性評価(染料モノマーM−2)
不揮発分の重量比で染料モノマーM−2/ポリマーA/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1/3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン=15/25/45/10/5(実施例29)、15/10/60/10/5(実施例30)、又は15/0/70/10/5(実施例31)となるように混合して得たレジスト液を用いた以外は、実施例27と同様に実験し、耐溶剤性の評価を行った。レジストの組成と評価結果を表4に示す。
【0219】
実施例32〜34 架橋剤量の違いによる硬化膜の耐溶剤性評価(染料モノマーM−11)
不揮発分の重量比で染料モノマーM−11/ポリマーA/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1/3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン=15/25/45/10/5(実施例32)、15/10/60/10/5(実施例33)、又は15/0/70/10/5(実施例34)となるように混合して得たレジスト液を用いた以外は、実施例28と同様に実験し、耐溶剤性の評価を行った。レジストの組成と評価結果を表4に示す。
【0220】
【表4】
【0221】
ラジカル重合性多官能モノマーであるDPHAを実施例27や28よりも増加させた、実施例29、30、32、及び33の結果より、実施例27及び28の耐溶剤性と比較して耐熱性が改善されることが分かった。これは、硬化膜の架橋密度が高まったことにより、PEGMEAへの溶出が抑えられたためと考えられた。このことから、本発明のモノマーを用いて硬化膜を作製する場合、DPHAのような重合性多官能モノマーの配合比率を高めることで、染料の溶出をより抑えられることが分かった。
また、ポリマー成分Aを全てDPHAとした実施例31及び34では、UV硬化後に膜が割れて基板から剥がれたため、耐溶剤性の測定をすることができなかった。これは、ポリマー成分Aを除去したことで紫外線照射後の膜は強い硬化収縮を生じ、基材への密着性が低下したためと考えられた。
【0222】
実施例35 染料モノマーM−21の合成
(1)4−ヒドロキシブチルメタクリレートの合成
1,4−ブタンジオール135g(1.5モル、和光純薬工業(株)製)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩96g(0.5モル、東洋紡(株)製)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.2g(和光純薬工業(株)製)を2Lのジクロロメタンに溶解した。次いで、メタクリル酸43g(0.5モル、和光純薬工業(株)製)を滴下して加え、室温で12時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、ヘキサン/酢酸エチルを体積比で1/1に混合した溶液を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色オイル状の4−ヒドロキシブチルメタクリレート50g(収率63%)を得た。
【0223】
(2)ローダミンBへのブチルメタクリレートの付加反応
攪拌装置を備えた2Lの丸底フラスコに、ローダミンB47.9g(0.10mol、和光純薬工業(株)製)、ジクロロメタン500ml、上記(1)で得た4−ヒドロキシブチルメタクリレート19.0g(0.12mol)、4‐ジメチルアミノピリジン4.9g(0.04mol、和光純薬工業(株)製)、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩32.6g(0.17mol、東洋紡(株)製)を加え、室温で24時間攪拌して反応させた。反応終了後、有機層を約500mlのイオン交換水で洗浄した。次いで、硫酸ナトリウム50g加えて脱水し、重合禁止剤としてp‐メトキシフェノール10mg(和光純薬工業(株)製)を加えて減圧下で溶媒を留去し、赤色の固体52.6g(収率85.0%)を得た。

【0224】
(3)アニオン交換反応
撹拌装置を備えた1Lの丸底フラスコに、上記(2)で得た赤色の固体37.2g(0.060mol)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩 41.1g(0.060mol、東ソー・ファインケム(株)製)、ジクロロメタン450ml、イオン交換水450mlを加えた後、室温で30分間攪拌することにより、塩交換反応を行った。反応終了後、有機層を約450mlのイオン交換水で4回洗浄した。次いで、p‐メトキシフェノール15mg(和光純薬工業(株)製)を加え、減圧下で濃縮し、染料モノマーM‐1の塩化物イオンがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンに交換された赤色の固体70.5g(収率93.0%)を得た。これを染料モノマーM−21とする。
【0225】
実施例36 染料モノマーM−22の合成
(1)6−ヒドロキシヘキシルメタクリレートの合成
1,6−ヘキサンジオール177g(1.5モル、和光純薬工業(株)製)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩96g(0.5モル、東洋紡(株)製)、N,N−ジメチルアミノピリジン12g(和光純薬工業(株)製)を2Lのジクロロメタンに溶解し、メタクリル酸43g(0.5モル、和光純薬工業(株)製)を滴下して加え、室温で12時間攪拌した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、ヘキサン/酢酸エチルを体積比で1/1に混合した溶液を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色オイル状の6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート56g(収率60%)を得た。
【0226】
(2) ローダミンBへの付加反応及びアニオン交換反応
4−ヒドロキシブチルメタクリレート19.0g(0.12mol)の代わりに6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート22.4g(0.12mol)を用いた以外は、実施例35の(2)及び(3)の方法に準じてモノマーを合成した。得られたモノマーを染料モノマーM−22とする。
【0227】
実施例37 染料モノマーM−23の合成
(1)8−ヒドロキシオクチルメタクリレートの合成
1,8−オクタンジオール219g(1.5モル、和光純薬工業(株)製)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩96g(0.5モル、東洋紡(株)製)、N,N−ジメチルアミノピリジン12g(和光純薬工業(株)製)を2Lのジクロロメタンに溶解し、メタクリル酸43g(0.5モル、和光純薬工業(株)製)を滴下して加え、室温で12時間攪拌した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、ヘキサン/酢酸エチルを3/2の体積比で混合した溶液を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色オイル状の8−ヒドロキシオクチルメタクリレート72g(収率68%)を得た。
【0228】
(2) ローダミンBへの付加反応及びアニオン交換反応
4−ヒドロキシブチルメタクリレート19.0g(0.12mol)の代わりに8−ヒドロキシオクチルメタクリレート25.7g(0.12mol)を用いた以外は、実施例35の(2)及び(3)の方法に準じてモノマーを合成した。得られたモノマーを染料モノマーM−23とする。
【0229】
実施例38 染料モノマーM−24の合成
(1)10−ヒドロキシデシルメタクリレートの合成
1,10−デカンジオール87g(0.5モル、和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸43g(0.5モル、和光純薬工業(株)製)、p−トルエンスルホン酸5.1g(和光純薬工業(株)製)、p−メトキシフェノール0.6g(和光純薬工業(株)製)およびヘキサン150mlを混合し、15時間還流脱水した。得られた反応液に、83%のメタノール水溶液500mlを加えて十分に攪拌したのち、メタノール水溶液層をヘキサンで3回洗浄し、副生性物である1,12−ドデカンジオールジメタクリレートを除去した。次いで、メタノール水溶液層からメタノールを減圧留去したのち、ヘキサンにて12−ヒドロキシドデシルメタクリレートを抽出した。その後、溶媒を留去して10−ヒドロキシデシルメタクリレート63g(収率52%)を得た。
【0230】
(2) ローダミンBへの付加反応及びアニオン交換反応
4−ヒドロキシブチルメタクリレート19.0g(0.12mol)の代わりに10−ヒドロキシデシルメタクリレート29.1g(0.12mol)を用いた以外は、実施例35の(2)及び(3)の方法に準じてモノマーを合成した。得られたモノマーを染料モノマーM−24
とする。
【0231】
実施例39 染料モノマーM−25の合成
(1)12−ヒドロキシドデシルメタクリレートの合成
1,12−ドデカンジオール101g(0.5モル、和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸43g(0.5モル、和光純薬工業(株)製)、p−トルエンスルホン酸5.1g(和光純薬工業(株)製)、p−メトキシフェノール0.6g(和光純薬工業(株)製)およびヘキサン150mlを混合し、15時間還流脱水した。得られた反応液に、83%のメタノール水溶液500mlを加えて十分に攪拌したのち、メタノール水溶液層をヘキサンで3回洗浄し、副生性物である1,12−ドデカンジオールジメタクリレートを除去した。次いで、メタノール水溶液層からメタノールを減圧留去したのち、ヘキサンにて12−ヒドロキシドデシルメタクリレートを抽出した。その後、溶媒を留去して12−ヒドロキシドデシルメタクリレート43g(収率32%)を得た。
【0232】
(2) ローダミンBへの付加反応及びアニオン交換反応
4−ヒドロキシブチルメタクリレート19.0g(0.12mol)の代わりに12−ヒドロキシドデシルメタクリレート32.4g(0.12mol)を用いた以外は、実施例35の(2)及び(3)の方法に準じてモノマーを合成した。得られたモノマーを染料モノマーM−25とする。
【0233】
実施例40 染料ポリマーP−20の合成
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた200mlの丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.9g(和光純薬工業(株)製)を入れ、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、染料モノマーM−2 48.0g、メチルメタクリレート5.0g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸7.0g(和光純薬工業(株)製)、ジメチル2,2´‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V‐601)9.6g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.9g(和光純薬工業(株)製)を混合した溶液を、2時間かけて丸底フラスコに滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48.6gを加えて希釈し、染料ポリマーを得た。これを染料ポリマーP−20(重量比:染料モノマーM−2/メチルメタクリレート/メタクリル酸=80/8.3/11.7)とする。また、得られたポリマー溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析の結果、含有する未反応の染料モノマーの割合重量量は、総重量の19.8%であった。
【0234】
実施例41〜45 染料ポリマーP−21〜25の合成
染料モノマーM−2 48.0gの代わりに染料モノマーM−21〜M25 48.0gを用いた以外は、それぞれ実施例40と同様に実験し、5種類の染料ポリマーを得た。これらをそれぞれ染料ポリマーP−21、P−22、P−23、P−24、P−25とする。また、得られたP−21〜P−25のポリマー溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析の結果、含有する未反応の染料モノマー量は、面積%でそれぞれ、15.2%、4.9%、3.2%、0.9%、5.3%であった。その結果を実施例40の結果と合わせて表5に示す。
【0235】
実施例46 染料ポリマーP−20〜25の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
染料ポリマーとしてP−21〜P−25を用いた以外は、実施例21と同様の方法により、染料ポリマーP−21〜P−25の耐熱性評価を行った。その結果を実施例40〜45の未反応モノマー量と併せて表5に示す。
【0236】
【表5】
【0237】
上記結果より、本発明のポリマーは、含まれる染料モノマー中の二重結合(重合性基)とベンゼン環(フェニル基)の間の原子の数が多くなることにより、残留モノマーが低減することが分かった。その中でも、二重結合とベンゼン環の間の原子の数が10以上になると残留モノマーが大きく減少し、14が最も残留モノマーが少なくなるが、16では逆に残留モノマーが増加してくることが分かった。これは、染料の立体障害による重合性の低下が改善されたためと考えられた。
また、耐熱性評価の結果、染料モノマー中の二重結合とベンゼン環の間の原子の数が6〜14の場合には優れた耐熱性効果を示したが、16の場合には耐熱性が低下した。この原因は定かではないが、鎖長が長くなり、ポリマーの動きの自由度が増大することにより、染料の骨格自体の分解が促進されたためと考えられた。