特許第6341330号(P6341330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6341330Cuボール、OSP処理Cuボール、Cu核ボール、はんだ継手、はんだペースト、フォームはんだ及びCuボールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6341330
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】Cuボール、OSP処理Cuボール、Cu核ボール、はんだ継手、はんだペースト、フォームはんだ及びCuボールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20060101AFI20180604BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20180604BHJP
   B22F 9/08 20060101ALI20180604BHJP
   B23K 35/14 20060101ALI20180604BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   B22F1/00 L
   B22F1/02 A
   B22F9/08 A
   B23K35/14 Z
   H01L21/92 604H
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-234210(P2017-234210)
(22)【出願日】2017年12月6日
【審査請求日】2017年12月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 浩由
(72)【発明者】
【氏名】相馬 大輔
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/087514(WO,A1)
【文献】 特開平11−007830(JP,A)
【文献】 特開2005−036301(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/170904(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00−1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
純度が99.995質量%以上99.9995質量%以下であり、
Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、
Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であり、
Pの含有量が0質量ppm以上3.0質量ppm未満であるCuボール。
【請求項2】
純度が99.995質量%以上99.9995質量%以下であり、
Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、
Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であり、
Pの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm未満であるCuボール。
【請求項3】
真球度が0.98以上であり、
ビッカース硬さが55HV以下であり、
α線量が0.0200cph/cm以下である請求項1または2に記載のCuボール。
【請求項4】
α線量が0.0100cph/cm以下である請求項3に記載のCuボール。
【請求項5】
真球度が0.99以上である請求項3または4に記載のCuボール。
【請求項6】
Ni,Fe,Co,Pd,Ag及びCuのうち少なくともいずれか1種で、前記Cuボールが単層または複数層めっきされた請求項1〜5のいずれか1項に記載のCuボール。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のCuボールと、
前記Cuボールを被覆するはんだ層とを備えるCu核ボール。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のCuボールにCu−OSP処理されたOSP処理Cuボール。
【請求項9】
フラックス層が被覆された請求項1〜6のいずれか1項に記載のCuボール。
【請求項10】
フラックス層が被覆された請求項7に記載のCu核ボール。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のCuボールを使用したはんだ継手。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のCuボールを使用したはんだペースト。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のCuボールを使用したフォームはんだ。
【請求項14】
金属材料を溶融させる工程と、
前記金属材料を急冷させる工程とを有し、
ICP−MS分析によって分析されるCuの含有量が99.995質量%以上99.9995質量%以下であり、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が3.0質量ppm未満であるCuボールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Cuボール、OSP処理Cuボール、Cu核ボール、はんだ継手、はんだペースト、フォームはんだ及びCuボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型情報機器の発達により、搭載される電子部品では急速な小型化が進行している。電子部品は、小型化の要求により接続端子の狭小化や実装面積の縮小化に対応するため、裏面に電極が設置されたボールグリッドアレイ(以下、「BGA」と称する。)が適用されている。
【0003】
BGAを適用した電子部品には、例えば半導体パッケージがある。半導体パッケージでは、電極を有する半導体チップが樹脂で封止されている。半導体チップの電極には、はんだバンプが形成されている。このはんだバンプは、はんだボールを半導体チップの電極に接合することによって形成されている。BGAを適用した半導体パッケージは、加熱により溶融したはんだバンプとプリント基板の導電性ランドが接合することにより、プリント基板に搭載される。また、更なる高密度実装の要求に対応するため、半導体パッケージが高さ方向に積み重ねられた3次元高密度実装が検討されている。
【0004】
電子部品の高密度実装は、半導体集積回路(IC)のメモリセル中にα線が進入することにより記憶内容が書き換えられるという、ソフトエラーを引き起こすことがある。そこで近年では、放射性同位元素の含有量を低減した低α線のはんだ材料やCuボールの開発が行われている。特許文献1には、Pb、Biを含有し、純度が99.9%以上99.995%以下で、低α線量のCuボールが開示されている。特許文献2には、純度が99.9%以上99.995%以下、真球度が0.95以上、ビッカース硬さが20HV以上60HV以下を実現したCuボールが開示されている。
【0005】
ところで、Cuボールは、結晶粒が微細だとビッカース硬さが大きくなるため、外部からの応力に対する耐久性が低くなり、耐落下衝撃性が悪くなる。そのため、電子部品の実装に用いられるCuボールには、所定の柔らかさ、すなわち、所定値以下のビッカース硬さが要求される。
【0006】
柔らかいCuボールを製造するためには、Cuの純度を上げることが慣例である。それは、不純物元素はCuボール中の結晶核として機能するため、不純物元素が少なくなると結晶粒が大きく成長し、その結果、Cuボールのビッカース硬さが小さくなるからである。ところが、Cuボールの純度を上げると、Cuボールの真球度が低くなってしまう。
【0007】
Cuボールの真球度が低いと、Cuボールを電極上に実装した際のセルフアライメント性を確保できない可能性があると共に、半導体チップの実装時においてCuボールの高さが不均一となり、接合不良を引き起こす場合がある。
【0008】
特許文献3には、Cuの質量割合が99.995%を超え、PとSの質量割合の合計が3ppm以上30ppm以下であり、好適な真球度やビッカース硬さを有するCuボールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5435182号公報
【特許文献2】特許第5585751号公報
【特許文献3】国際公開第2016/17904号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、Sを所定量以上含有するCuボールは、加熱時に硫化物や硫黄酸化物を形成して変色しやすいという問題があることが新たに判明した。Cuボールにおける変色は、濡れ性の悪化の原因となり、濡れ性の悪化は不濡れの発生やセルフアライメント性の劣化を招く。
【0011】
そこで、本発明は、高真球度及び低硬度を実現し、かつ、変色を抑制したCuボール、Cu核ボール、OSP処理Cuボール、はんだ継手、はんだペースト、フォームはんだ及びCuボールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は次の通りである。
(1)純度が99.995質量%以上99.9995質量%以下であり、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が0質量ppm以上3.0質量ppm未満であるCuボール。
(2)純度が99.995質量%以上99.9995質量%以下であり、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm未満であるCuボール。
(3)真球度が0.98以上であり、ビッカース硬さが55HV以下であり、α線量が0.0200cph/cm以下である上記(1)または(2)に記載のCuボール。
(4)α線量が0.0100cph/cm以下である上記(3)に記載のCuボール。
(5)真球度が0.99以上である上記(3)または(4)に記載のCuボール。
(6)Ni,Fe,Co,Pd,Ag及びCuのうち少なくともいずれか1種で、Cuボールが単層または複数層めっきされた上記(1)〜(5)いずれかに記載のCuボール。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のCuボールと、Cuボールを被覆するはんだ層とを備えるCu核ボール。
(8)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のCuボールにCu−OSP処理されたOSP処理Cuボール。
(9)フラックス層が被覆された上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のCuボール。
(10)フラックス層が被覆された上記(7)に記載のCu核ボール。
(11)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のCuボールを使用したはんだ継手。
(12)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のCuボールを使用したはんだペースト。
(13)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のCuボールを使用したフォームはんだ。
(14)金属材料を溶融させる工程と、金属材料を急冷させる工程とを有し、ICP−MS分析によって分析されるCuの含有量が99.995質量%以上99.9995質量%以下であり、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が3.0質量ppm未満であるCuボールの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、Cuボールが高真球度及び低硬度を実現し、かつ、Cuボールの変色が抑制される。高真球度を実現したことにより、Cuボールを電極上に実装した際のセルフアライメント性を確保できると共に、Cuボールの高さのばらつきを抑制できる。低硬度を実現したことにより、耐落下衝撃性を向上させることができる。Cuボールの変色が抑制されるため、硫化物や硫黄酸化物によるCuボールへの悪影響を抑制でき、濡れ性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るCuボールを用いた電子部品の構成例を示す図である。
図2】実施例及び比較例のCuボールを200℃で加熱した、加熱時間と明度の関係を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を以下により詳しく説明する。本明細書において、Cuボールの組成に関する単位(質量ppm、質量ppb、および質量%)は、特に指定しない限りCuボールの質量に対する割合を表す。
【0016】
図1は、本発明に係るCuボール20を用いて半導体チップ10をプリント基板40上に搭載した電子部品60の構成の一例を示している。図1に示すように、Cuボール20は、はんだペースト12を介して半導体チップ10の電極11上に実装されている。本例では、半導体チップ10の電極11にCuボール20が実装された構造をはんだバンプ30と呼ぶ。プリント基板40の電極41上には、はんだペースト42が印刷されている。半導体チップ10のはんだバンプ30は、はんだペースト42を介してプリント基板40の電極41上に接合されている。本例では、はんだバンプ30をプリント基板40の電極41に実装した構造をはんだ継手50と呼ぶ。
【0017】
Cuボール20は、純度が99.995質量%以上99.9995質量%以下であり、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が0質量ppm以上3.0質量ppm未満であることを特徴としている。(以下、本明細書において、99.9質量%を3N、99.99質量%を4N、99.995質量%を4N5、99.9995質量%を5N5、99.9999質量%を6Nとする。)また、Cuボール20は、真球度が0.98以上であり、ビッカース硬さが55HV以下であり、α線量が0.0200cph/cm以下であることが好ましい。以下に、Cuボール20の好ましい態様について説明する。
【0018】
・Cuボールの純度:99.995質量%以上99.9995質量%以下
一般に、Cuボール20の純度が低いほど、Cuボール20の結晶核になる不純物元素をCu中に確保することができるために真球度が高くなる。Cuボール20の純度は、4N5以上5N5以下であれば、十分な真球度を確保することができる。
【0019】
Cuボール20を製造する際、所定形状の小片に形成された金属材料の一例のCu材は、加熱により溶融し、溶融Cuが表面張力によって球形となり、これが急冷により凝固してCuボール20となる。溶融Cuが液体状態から凝固する過程において、結晶粒が球形の溶融Cu中で成長する。この際、不純物元素が多いと、この不純物元素が結晶核となって結晶粒の成長が抑制される。したがって、球形の溶融Cuは、成長が抑制された微細結晶粒によって真球度が高いCuボール20となる。一方、不純物元素が少ないと、相対的に結晶核となるものが少なく、粒成長が抑制されずにある方向性をもって成長する。この結果、球形の溶融Cuは表面の一部分が突出して凝固して真球度が低くなる。不純物元素としては、Fe、Ag、Ni、P、S、Sb、Bi、Zn、Al、As、Cd、Pb、In、Sn、Au、U、Thなどが考えられる。
【0020】
このように、本発明を構成するCuボール20の純度は、4N5以上5N5以下であることが好ましい。また、Cuボール20の純度が4N5以上5N5以下であれば、α線量を十分に低減することができる上に、純度の低下によるCuボール20の電気伝導度や熱伝導率の劣化を抑制できる。
【0021】
・Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計:5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下
Cuボール20が含有する不純物元素のうち、特にFe、Ag及びNiのうち、少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であることが好ましい。すなわち、Feの含有量、Agの含有量、Niの含有量はそれぞれ、0質量ppm以上50.0質量ppm以下であることが好ましい。Fe、Ag及びNiはCuボール20の製造工程における溶融時に結晶核となるため、Cu中にFe、Ag又はNiが一定量含有されていれば真球度の高いCuボール20を製造することができる。したがって、Fe、Ag及びNiのうち、少なくとも1種は、不純物元素の含有量を推定するために重要な元素である。また、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であることにより、Cuボールの変色を抑制できる上に、Cuボールを緩やかに加熱した後に徐冷することでCuボールを緩やかに再結晶させるというアニーリング工程を行なわずとも、所望のビッカース硬さを実現することができる。
【0022】
・Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下
Sを所定量以上含有するCuボールは、加熱時に硫化物や硫黄酸化物を形成して変色しやすく、濡れ性が低下するため、Sの含有量は、0質量ppm以上1.0質量ppm以下にする必要がある。硫化物や硫黄酸化物が多く形成されたCuボールほど、Cuボール表面の明度が暗くなる。そのため、後で詳述するが、Cuボール表面の明度を測定した結果が所定値以下であれば、硫化物や硫黄酸化物の形成が抑制され、濡れ性が良好であると判断することができる。
【0023】
・Pの含有量が0質量ppm以上3.0質量ppm未満
Pは、リン酸に変化したり、Cu錯体となったりしてCuボールに悪影響を与えることがある。また、Pを所定量含有するCuボールは硬度が大きくなるため、Pの含有量は、0質量ppm以上3.0質量ppm未満であることが好ましく、1.0質量ppm未満であることがより好ましい。
【0024】
・Cuボールの真球度:0.98以上
本発明において、真球度とは真球からのずれを表す。真球度は、500個の各Cuボールの直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。真球度は、例えば、最小二乗中心法(LSC法)、最小領域中心法(MZC法)、最大内接中心法(MIC法)、最小外接中心法(MCC法)など種々の方法で求められる。本発明での長径の長さ、及び直径の長さとは、ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン、ULTRA QV350−PRO測定装置によって測定された長さをいう。
【0025】
Cuボール20は、基板間の適切な空間を保持する観点から真球度が0.98以上であることが好ましく、0.99以上であることがより好ましい。Cuボール20の真球度が0.98未満であると、Cuボール20が不定形状になるため、バンプ形成時に高さが不均一なバンプが形成され、接合不良が発生する可能性が高まる。更に、Cuボール20を電極に搭載してリフローを行う際、Cuボール20が位置ずれを起こしてしまい、セルフアライメント性も悪化する。真球度が0.98以上であれば、Cuボール20を半導体チップ10の電極11等に実装した際のセルフアライメント性を確保できると共に、Cuボール20ははんだ付けの温度で溶融しないため、はんだ継手50における高さのばらつきを抑制できる。これにより、半導体チップ10及びプリント基板40の接合不良を確実に防止できる。
【0026】
・ビッカース硬さ55.5HV以下
Cuボール20のビッカース硬さは、55.5HV以下であることが好ましい。ビッカース硬さが大きい場合、外部からの応力に対する耐久性が低くなり、耐落下衝撃性が悪くなると共にクラックが発生し易くなる。また、三次元実装のバンプや継手の形成時に加圧等の補助力を付与した場合において、硬いCuボールを使用すると、電極潰れ等を引き起こす可能性がある。更に、Cuボール20のビッカース硬さが大きい場合、結晶粒が一定以上に小さくなることで、電気伝導性の劣化を招いてしまうからである。Cuボール20のビッカース硬さが55.5HV以下であれば、耐落下衝撃性も良好でクラックを抑制でき、電極潰れ等も抑制でき、更に、電気伝導性の劣化も抑制できる。本実施例では、ビッカース硬さの下限は0HV超でよく、好ましくは20HV以上である。
【0027】
・α線量:0.0200cph/cm以下
電子部品の高密度実装においてソフトエラーが問題にならない程度のα線量とするため、Cuボール20のα線量は、0.0200cph/cm以下であることが好ましい。α線量は、更なる高密度実装でのソフトエラーを抑制する観点から、より好ましくは0.0010cph/cm以下である。α線量によるソフトエラーを抑制するためには、U、Th等の放射性同位元素の含有量は、5質量ppb未満であることが好ましい。
【0028】
・耐変色性:明度が55以上
Cuボール20は明度が55以上であることが好ましい。明度とは、L***表色系のL*値である。Sから由来する硫化物や硫黄酸化物が表面に形成されたCuボール20は明度が低くなるため、明度が55以上であれば、硫化物や硫黄酸化物が抑制されているといえる。また、明度が55以上のCuボール20は、実装時における濡れ性が良好である。これに対し、Cuボール20の明度が55未満であると、硫化物や硫黄酸化物の形成が十分に抑制されていないCuボール20であるといえる。硫化物や硫黄酸化物は、Cuボール20に悪影響を与える上に、電極上にCuボール20を直接接合するような場合に濡れ性が悪化する。濡れ性の悪化は不濡れの発生やセルフアライメント性の劣化を招く。
【0029】
・Cuボールの直径:1μm以上1000μm以下
Cuボール20の直径は1μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、50μm以上300μmである。この範囲にあると、球状のCuボール20を安定して製造でき、また、端子間が狭ピッチである場合の接続短絡を抑制することができる。ここで、例えば、Cuボール20がペーストに用いられる場合、「Cuボール」は「Cuパウダ」と称されてもよい。「Cuボール」が「Cuパウダ」に用いられる場合、一般的に、Cuボールの直径は1〜300μmであることが好ましい。
【0030】
・その他不純物元素
Cuボール20が含有する上述した不純物元素以外の、Sb、Bi、Zn、Al、As、Cd、Pb、In、Sn、Au等の不純物元素(以下で、「その他の不純物元素」という)の含有量は、それぞれ0質量ppm以上50.0質量ppm未満であることが好ましい。
【0031】
本発明に係るCuボールは、Cuボール20と、このCuボール20を被覆するNi、Fe及びCoから選択される1元素以上からなるめっき層(金属層)により構成することもできる。
【0032】
・Cu核ボール
また、Cuボール20の表面を単一の金属または合金からなる金属層により被覆することにより、Cuボール20及び金属層からなるCu核ボールを構成することができる。例えば、Cu核ボールは、Cuボール20と、このCuボール20の表面を被覆するはんだ層(金属層)により構成することができる。はんだ層を構成するはんだの組成は、合金の場合、Snを主成分とするはんだ合金の合金組成であれば特に限定されない。また、はんだ層としては、Snめっき被膜であってもよい。例えば、Sn、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−In合金、及びこれらに所定の合金元素を添加したものが挙げられる。何れもSnの含有量が40質量%以上である。添加する合金元素としては、例えばAg、Cu、In、Ni、Co、Sb、Ge、P、Fe、Bi、Pbなどがある。これらの中でも、はんだ層の合金組成は、落下衝撃特性の観点から、好ましくはSn−3Ag−0.5Cu合金である。また、はんだ層に低α線量のはんだを使用することで、低α線のCu核ボールを構成してもよい。はんだ層の厚さは特に制限されないが、好ましくは片側で100μm以下であれば十分であり、片側で20〜50μmであればなおよい。Cuボール20とこのCuボール20の表面を被覆するはんだ層により、構成されるCu核ボールの真球度は、0.98以上であることが好ましい。
【0033】
Cuボール20の表面を、Ni,Fe,Co,Pd,Ag及びCuのうち少なくともいずれか1種で、単層または複数層めっきされたCuボールに、単一の金属または合金からなる金属層を被覆することにより、Cu核ボールを構成してもよい。この場合も、金属層は、はんだ層であってもよい。Cu核ボールをこのような構成とすることにより、電極への接合時においてはんだ中へのCuの拡散を低減することができ、Cuボール20のCu食われを抑制することができる。Ni等によるめっき層の膜厚は一般的には片側0.1〜20μmである。
【0034】
・OSP処理Cuボール
Cuボール20の表面にイミダゾール化合物を含有する有機被膜(以下、「OSP被膜」という)を被覆してOSP(Organic Solderability Preservative)処理Cuボールを構成することもできる。OSP被膜としては、処理液としてタフエースF2(四国化成工業株式会社製)が使用できる。
【0035】
・フラックスコートCuボール、フラックスコートCu核ボール
Cuボール20の表面にフラックスを被覆して、フラックス層を有するフラックスコートCuボールを作製することもできる。更に、Cu核ボールの表面に、フラックスを被覆して、フラックス層を有するフラックスコートCu核ボールを作製してもよい。フラックスには、ロジン(重合ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、酸変性ロジン)や有機酸(グルタル酸等)、アミン化合物や有機ハロゲン化物等が使用できる。
【0036】
上述したフラックス層は、Cuボール20やはんだ層等の金属表面の酸化を防止すると共にはんだ付け時に金属酸化膜の除去を行う活性剤として作用する化合物を含む1種類あるいは複数種類の成分により構成される。例えば、フラックス層は、活性剤として作用する化合物と、活性補助剤として作用する化合物等からなる複数の成分により構成されていてもよい。
【0037】
フラックス層を構成する活性剤としては、本発明で要求される特性に応じてアミン、有機酸、ハロゲンのいずれか、複数のアミンの組み合わせ、複数の有機酸の組み合わせ、複数のハロゲンの組み合わせ、単一あるいは複数のアミン、有機酸、ハロゲンの組み合わせが添加される。
【0038】
フラックス層を構成する活性補助剤としては、活性剤の特性に応じてエステル、アミド、アミノ酸のいずれか、複数のエステルの組み合わせ、複数のアミドの組み合わせ、複数のアミノ酸の組み合わせ、単一あるいは複数のエステル、アミド、アミノ酸の組み合わせが添加される。
【0039】
また、フラックス層は、活性剤として作用する化合物等を、リフロー時の熱から保護するため、ロジンや樹脂を含むものであってもよい。更に、フラックス層は、活性剤として作用する化合物等を、はんだ層に固着させる樹脂を含むものであってもよい。
【0040】
フラックス層は、単一あるいは複数の化合物からなる単一の層で構成されてもよい。また、フラックス層は、複数の化合物からなる複数の層で構成されてもよい。フラックス層を構成する成分は、固体の状態ではんだ層の表面に付着するが、フラックスをはんだ層に付着させる工程では、フラックスが液状またはガス状となっている必要がある。
【0041】
このため、フラックス層を構成する成分は、溶液でコーティングするには溶剤に可溶である必要があるが、例えば、塩を形成すると、溶剤中で不溶となる成分が存在する。液状のフラックス中で不溶となる成分が存在することで、沈殿物が形成される等の難溶解性の成分を含むフラックスでは、均一な吸着が困難になる。このため、従来、塩を形成するような化合物を混合して、液状のフラックスを構成することはできない。
【0042】
これに対し、フラックス層で被覆されたフラックスコートCuボールやフラックスコートCu核ボールでは、1層ずつフラックス層を形成して固体の状態とし、多層のフラックス層を形成することができる。これにより、塩を形成するような化合物を使用する場合であって、液状のフラックスでは混合できない成分であっても、フラックス層を形成することができる。
【0043】
酸化しやすいCuボール20やCu核ボールの表面が、活性剤として作用するフラックス層で被覆されることで、保管時等に、Cuボール20の表面及びCu核ボールのはんだ層または金属層の表面の酸化を抑制することができる。
【0044】
ここで、フラックスと金属の色は一般的に異なり、Cuボール20等とフラックス層の色も異なることから、色彩度、例えば、明度、黄色度、赤色度でフラックスの吸着量を確認できる。なお、着色を目的に、フラックス層を構成する化合物に色素を混合してもよい。
【0045】
・はんだペースト、フォームはんだ、はんだ継手
また、Cuボール20またはCu核ボールをはんだに含有させることによりはんだペーストを構成することもできる。Cuボール20またはCu核ボールをはんだ中に分散させることで、フォームはんだを構成することができる。Cuボール20またはCu核ボールは、電極間を接合するはんだ継手の形成に使用することもできる。
【0046】
・Cuボールの製造方法
次に、Cuボール20の製造方法の一例を説明する。金属材料の一例とし、Cu材をセラミックのような耐熱性の板(以下、「耐熱板」という。)に置き、耐熱板とともに炉中で加熱する。耐熱板には底部が半球状となった多数の円形の溝が設けられている。溝の直径や深さは、Cuボール20の粒径に応じて適宜設定されており、例えば、直径0.8mm、深さ0.88mmである。また、Cu細線が切断されて得られたチップ形状のCu材を、耐熱板の溝内に一個ずつ投入する。溝内にCu材が投入された耐熱板は、アンモニア分解ガスが充填された炉内で1100〜1300℃に昇温され、30〜60分間加熱処理される。このとき炉内温度がCuの融点以上になると、Cu材は溶融して球状となる。その後、炉内が冷却され、耐熱板の溝内でCuボール20が急冷されることで成形される。
【0047】
また、別の方法としては、るつぼの底部に設けられたオリフィスから溶融Cuが滴下され、この液滴が室温(例えば25℃)まで急冷されてCuボール20が造球されるアトマイズ法や、熱プラズマがCuカットメタルを1000℃以上に加熱して造球する方法がある。
【0048】
Cuボール20の製造方法では、Cuボール20を造球する前にCuボール20の原料であるCu材を800〜1000℃で加熱処理してもよい。
【0049】
Cuボール20の原料であるCu材としては、例えばナゲット材、ワイヤー材、板材等を用いることができる。Cu材の純度は、Cuボール20の純度を下げすぎないようにする観点から4N5以上6N以下でよい。
【0050】
このように高純度のCu材を用いる場合には、前述の加熱処理を行わず、溶融Cuの保持温度を従来と同様に1000℃程度に下げてもよい。このように、前述の加熱処理はCu材の純度やα線量に応じて適宜省略や変更されてもよい。また、α線量の高いCuボール20や異形のCuボール20が製造された場合には、これらのCuボール20を原料として再利用してもよく、更にα線量を低下させることができる。
【実施例】
【0051】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例ではCuボールを作製し、この作製したCuボールの真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性を測定して、表1、2にまとめた。下記の表中、単位のない数字は、質量ppmまたは質量ppbを示す。詳しくは、表中のFe、Ag、Ni、P、S、Sb、Bi、Zn、Al、As、Cd、Pb、In、Sn、Auの含有割合を示す数値は、質量ppmを表す。表中のU、Thの含有割合を示す数値は、質量ppbを表す。また、「不純物合計量」は、Cuボールが含有する不純物元素の合計割合を示す。「<1」は、該当する不純物元素のCuボールに対する含有割合が、1質量ppm未満であることを示す。「<5」は、該当する不純物元素のCuボールに対する含有割合が、5質量ppb未満であることを示す。
【0052】
・Cuボールの作製
Cuボールの作製条件を検討した。金属材料の一例のCu材として、ナゲット材を準備した。実施例1〜10、19と、比較例1〜12のCu材として、純度が6Nのものを使用し、実施例11〜18のCu材として、純度が4N5のものを使用した。各Cu材を、るつぼの中に投入した後、るつぼの温度を1200℃に昇温し、45分間加熱してCu材を溶融させ、るつぼ底部に設けたオリフィスから溶融Cuを滴下し、生成した液滴を室温(18℃)まで急冷してCuボールに造球した。これにより、平均粒径が下記の各表に示す値となるCuボールを作製した。元素分析は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS分析)やグロー放電質量分析(GD−MS分析)を用いると高精度に分析ができるが、本例では、ICP−MS分析により行った。以下に、真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性の各評価方法を詳述する。
【0053】
・真球度
真球度はCNC画像測定システムで測定した。装置は、ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン、ULTRA QV350−PROである。
[真球度の評価規準]
下記の各表において、真球度の評価規準は以下の通りとした。
○○:真球度が0.99以上であった
○:真球度が0.98以上0.99未満であった
×:真球度が0.98未満であった
【0054】
・ビッカース硬さ
Cuボールのビッカース硬さは、「ビッカース硬さ試験−試験方法 JIS Z2244」に準じて測定した。装置は、明石製作所製のマイクロビッカース硬度試験器、AKASHI微小硬度計MVK−F 12001−Qを使用した。
[ビッカース硬さの評価基準]
下記の各表において、ビッカース硬さの評価規準は以下の通りとした。
○:0HV超55.5HV以下であった
×:55.5HVを超えた
【0055】
・α線量
α線量の測定方法は以下の通りである。α線量の測定にはガスフロー比例計数器のα線測定装置を用いた。測定サンプルは300mm×300mmの平面浅底容器にCuボールを容器の底が見えなくなるまで敷き詰めたものである。この測定サンプルをα線測定装置内に入れ、PR−10ガスフローにて24時間放置した後、α線量を測定した。
[α線量の評価基準]
下記の各表において、α線量の評価基準は以下の通りとした。
○:α線量が0.0200cph/cm以下であった
×:α線量が0.0200cph/cmを超えた。
【0056】
なお、測定に使用したPR−10ガス(アルゴン90%−メタン10%)は、PR−10ガスをガスボンベに充填してから3週間以上経過したものである。3週間以上経過したボンベを使用したのは、ガスボンベに進入する大気中のラドンによりα線が発生しないように、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)で定められたJEDEC STANDARD−Alpha Radiation Measurement in Electronic Materials JESD221に従ったためである。
【0057】
・耐変色性
耐変色性の測定のために、Cuボールを大気雰囲気下の恒温槽を用いて200℃設定で420秒間加熱し、明度の変化を測定して、経時変化に十分に耐えられるCuボールであるか否かを評価した。明度は、コニカミノルタ製CM−3500d型分光測色計を使用して、D65光源、10度視野でJIS Z 8722「色の測定方法―反射及び透過物体色」に準じて分光透過率を測定して、色彩値(L*,a*,b*)から求めた。なお、(L*,a*,b*)は、JIS Z 8729「色の表示方法−L***表色系及びL***表色系」にて規定されているものである。L*は明度であり、a*は赤色度であり、b*は黄色度である。
[耐変色性の評価基準]
下記の各表において、耐変色性の評価基準は以下の通りとした。
○:420秒後の明度が55以上であった
×:420秒後の明度が55未満であった。
【0058】
・総合評価
上述した評価方法及び評価基準で真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性のいずれにおいても、○または○○であったCuボールを、総合評価における○とした。一方、真球度、ビッカース硬さ、α線量及び耐変色性のうち、いずれか1つでも×となったCuボールを、総合評価において×とした。















































【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1に示すように、4N5以上5N5以下の純度とした各実施例のCuボールは、いずれも総合評価において良好な結果を得られた。このことから、Cuボールの純度は、4N5以上5N5以下が好ましいといえる。
【0062】
実施例1〜9のように、純度が4N5以上5N5以下で、Fe、Ag又はNiを5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下含有するCuボールは、総合評価において良好な結果を得られた。実施例10〜19に示すように、純度4N5以上5N5以下で、Fe、Ag及びNiを合計5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下含有するCuボールも、総合評価において良好な結果を得られた。なお、表には示さないが、実施例1、15〜19からそれぞれ、Feの含有量を0質量ppm以上5.0質量ppm未満に、Agの含有量を0pp以上5.0質量ppm未満に、Niの含有量を0質量ppm以上5.0質量ppm未満に変えて、Fe、Ag及びNiの合計を5.0質量ppm以上としたCuボールも、総合評価において良好な結果を得られた。
【0063】
また、実施例18に示すように、Fe、Ag及びNiを5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下含有し、且つその他の不純物元素のSb、Bi、Zn、Al、As、Cd、Pb、In、Sn、Auがそれぞれ50.0質量ppm以下である実施例18のCuボールも、総合評価において良好な結果を得られた。
【0064】
一方、比較例7のCuボールはFe、Ag及びNiの含有量の合計が5.0質量ppmに満たない上に、U,Thが5質量ppb未満であり、その他の不純物元素も1質量ppm未満であって、真球度が0.98に満たなかった。また、不純物元素を含有していても、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppmに満たない比較例12のCuボールも、真球度が0.98に満たなかった。これらの結果から、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppmに満たないCuボールは、高真球度を実現できないといえる。
【0065】
また、比較例10のCuボールはFe、Ag及びNiの含有量の合計が153.6質量ppmでその他の不純物元素の含有量がそれぞれ50質量ppm以下であるが、ビッカース硬さが55.5HVを超えて、良好な結果を得られなかった。更に、比較例8のCuボールは、Fe、Ag及びNiの含有量の合計が150.0質量ppmである上に、その他の不純物元素の含有量も、特にSnが151.0質量ppmと、50.0質量ppmを大幅に超えており、ビッカース硬さが55.5HVを超えて、良好な結果を得られなかった。そのため、純度が4N5以上5N5以下のCuボールであっても、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が50.0質量ppmを超えるCuボールは、ビッカース硬さが大きくなってしまい、低硬度を実現できないといえる。更に、その他の不純物元素も、それぞれ50.0質量ppmを超えない範囲で含有することが好ましいといえる。
【0066】
これらの結果から、純度が4N5以上5N5以下で、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計を5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下含有するCuボールは、高真球度及び低硬度を実現し、かつ、変色が抑制されるといえる。その他の不純物元素の含有量は、それぞれ50.0質量ppm以下であることが好ましい。
【0067】
実施例14〜17のCuボールは、同じ組成だが球径が異なっており、いずれにおいても総合評価において良好な結果を得た。表には示さないが、これらの実施例と同じ組成で、球径が1μm以上1000μm以下のCuボールでは、いずれも総合評価において良好な結果を得られた。このことから、Cuボールの球径は、1μm以上1000μm以下であることが好ましいといえ、50μm以上300μm以下がより好ましいといえる。
【0068】
実施例19のCuボールは、Fe、Ag及びNiの含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Pを2.9質量ppm含有しており、総合評価において良好な結果を得られた。比較例11のCuボールは、Fe、Ag及びNiの含有量の合計が、実施例19のCuボールと同様に50.0質量ppm以下であるが、ビッカース硬さが5.5HVを超えて実施例19のCuボールとは異なる結果になった。また、比較例9も、ビッカース硬さが5.5HVを超えた。これは、比較例9、11のPの含有量が著しく多いためであると考えられ、この結果から、Pの含有量が増えると、ビッカース硬さが大きくなることが分かる。よって、Pの含有量は3質量ppm未満であることが好ましく、1質量ppm未満であることがより好ましいといえる。
【0069】
各実施例のCuボールでは、α線量が0.0200cph/cm以下であった。そのため、電子部品の高密度実装に各実施例のCuボールが使用される場合、ソフトエラーを抑制することができる。
【0070】
比較例7のCuボールでは、耐変色性で良好な結果を得られた一方で、比較例1〜6では耐変色性で良好な結果を得られなかった。比較例1〜6のCuボールと、比較例7のCuボールを比べると、これらの組成の違いは、Sの含有量のみである。そのため、耐変色性で良好な結果を得るためには、Sの含有量を1質量ppm未満とする必要があるといえる。各実施例のCuボールでは、いずれもSの含有量が1質量ppm未満であることからも、Sの含有量は1質量ppm未満が好ましいといえる。
【0071】
続いて、Sの含有量と耐変色性の関係を確認するために、実施例11、比較例1及び比較例5のCuボールを200℃で加熱して、加熱前、加熱60秒後、180秒後、420秒後の写真を撮り、明度を測定した。表3及び図2は、各Cuボールを加熱した時間と明度の関係をグラフにしたものである。
【0072】
【表3】
【0073】
この表から、加熱前の明度と、加熱して420秒後の明度とを比べると、実施例11、比較例1、5の明度は、加熱前に64や65付近で近い値だった。加熱して420秒後では、Sを30.0質量ppm含有する比較例5の明度が最も低くなり、続いてSを10.0質量ppm含有する比較例1、Sの含有量が1質量ppm未満の実施例11の順となった。このことから、Sの含有量が多いほど、加熱後の明度が低くなるといえる。比較例1、5のCuボールでは、明度が55を下回ったため、Sを10.0質量ppm以上含有するCuボールは、加熱時に硫化物や硫黄酸化物を形成して変色しやすいといえる。また、Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であれば、硫化物や硫黄酸化物の形成が抑制され、濡れ性が良好であるといえる。なお、実施例11のCuボールを電極上に実装したところ、良好な濡れ性を示した。
【0074】
以上の通り、純度が4N5以上5N5以下であり、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が0質量ppm以上1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が0質量ppm以上3.0質量ppm未満である本実施例のCuボールでは、いずれも真球度が0.98以上であったため、高真球度を実現できた。高真球度を実現したことにより、Cuボールを電極等に実装した際のセルフアライメント性を確保できると共に、Cuボールの高さのばらつきを抑制できる。また、本実施例のCuボールでは、いずれもビッカース硬さが55HV以下であったため、低硬度を実現できた。低硬度を実現したことにより、Cuボールの耐落下衝撃性を向上させることができる。また、本実施例のCuボールでは、いずれも変色が抑制された。Cuボールの変色が抑制されたことにより、硫化物や硫黄酸化物によるCuボールへの悪影響を抑制できるとともに、Cuボールを電極上に実装した際の濡れ性が向上する。
【0075】
なお、本実施例のCu材には、純度が4N5以上6N以下のCuナゲット材を使用したが、4N5以上6N以下のワイヤー材や板材等を使用しても、総合評価において良好な結果を得られた。
【0076】
なお、本発明の技術範囲は、本発明の上記特徴を有するCuカラム、ピラーやペレットの形態に応用することもできる。
【符号の説明】
【0077】
10・・・半導体チップ、11,41・・・電極、12,42・・・はんだペースト、20・・・Cuボール、30・・・はんだバンプ、40・・・プリント基板、50・・・はんだ継手、60・・・電子部品
【要約】
【課題】高真球度及び低硬度を実現し、かつ、変色の抑制されたCuボール、OSP処理Cuボール、Cu核ボール、はんだ継手、はんだペースト、及びフォームはんだを提供する。
【解決手段】電子部品60は、半導体チップ10のはんだバンプ30とプリント基板40の電極41とがはんだペースト12,42で接合されることにより構成される。はんだバンプ30は、半導体チップ10の電極11にCuボール20が接合されることにより形成される。Cuボール20は、純度が99.995質量%以上99.9995質量%以下であり、Fe、Ag及びNiのうち少なくとも1種の含有量の合計が5.0質量ppm以上50.0質量ppm以下であり、Sの含有量が1.0質量ppm以下であり、Pの含有量が3.0質量ppm未満である。
【選択図】 なし
図1
図2