(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の転倒防止装置において、前記ロック支持機構部は、前記ロック軸を支持してロックする支持力を調整する調整部材を備えていることを特徴とする転倒防止装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1〜
図8を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した一実施形態について説明する。
この鍵盤楽器は、
図1および
図2に示すように、楽器ケース1を備えている。この楽器ケース1は、鍵盤部2を収納するケース本体3と、このケース本体3を支持する一対の脚部4と、これら一対の脚部4の後端部における中間部に梁渡された補強板5とを備えている。
【0010】
ケース本体3は、
図1および
図2に示すように、横方向に長い箱形状に形成されている。すなわち、このケース本体3は、側板を兼ねる一対の脚部4の上部下側に梁渡された棚板6と、この棚板6の前端部に設けられた前板7と、棚板6の後端部に設けられた後板8と、この後板8の上端部と側板である一対の脚部4の上端部とに梁渡された天板9とを備えている。
【0011】
鍵盤部2は、
図2に示すように、鍵盤シャーシ2a上に多数の鍵2bを並列に配列したものであり、ケース本体3内に配置されている。また、一対の脚部4は、その各下端部が前端部(
図2では左端部)から後端部(
図2では右端部)に向けて後部上りに少し傾斜して形成された構成になっている。
【0012】
この楽器ケース1の両側に位置する一対の脚部4の後端下部には、
図2および
図3に示すように、転倒防止装置10がそれぞれ設けられている。この転倒防止装置10は、
図3〜
図6に示すように、脚部4の後端下部に設けられたロック軸11と、楽器ケース1が配置される床などの載置面T上に配置された支持部材12と、楽器ケース1の後端部を押し上げた状態でロック軸11を係脱可能に支持するロック支持機構部13と、を備えている。
【0013】
この場合、一対の脚部4の後端下部には、
図3および
図4に示すように、切欠き部4aが逆階段状に形成されている。すなわち、この切欠き部4aは、下部側が広く、上部側が狭い形状に形成されている。また、この切欠き部4aの下部後端部には、取付金具14がビス15によって取り付けられている。
【0014】
この取付金具14は、
図3、
図4および
図6(a)に示すように、脚部4の切欠き部4aの下部後端部にビス15によって取り付けられる固定部14aと、この固定部14aの両側(
図4では紙面の表裏面側)から脚部4の後方(
図4では右側)に延びる一対の取付片14bとを有している。
【0015】
ロック軸11は、
図3、
図4および
図6(a)に示すように、丸棒状に形成され、取付金具14の一対の取付片14bに設けられた各取付孔14cに挿入されて両側に突出した状態で取り付けられている。これにより、ロック軸11は、脚部4の後端下部に取付金具14を介して取り付けられている。
【0016】
支持部材12は、
図3、
図5および
図6に示すように、楽器ケース1が配置される床などの載置面T上に配置されて、ロック軸11を上下方向にガイドする第1支持体16と、この第1支持体16の後端部から楽器ケース1の後方に突出して配置されて、ロック支持機構部13が取り付けられる第2支持体17と、を備えている。
【0017】
第1支持体16は、
図3、
図5および
図6に示すように、載置面T上に配置される底板部16aと、この底板部16aの両側に起立して設けられた一対の支持片16bとを有している。この第1支持体16の底板部16aは、脚部4の下面に対応する幅で楽器ケース1の前後方向に長い帯板状をなし、脚部4の切欠き部4aに対する個所から脚部4の後方に延びて形成されている。この底板部16aの下面には、複数のゴム足16cが設けられている。
【0018】
一対の支持片16bは、
図3、
図5および
図6に示すように、底板部16aの両側に脚部4の切欠き部4aに対応して設けられ、脚部4の後端下部を両側から挟んで切欠き部4aを塞ぐように構成されている。これら一対の支持片16bには、ロック軸11の両端部をそれぞれ上下方向に沿ってガイドする一対のガイド孔18が設けられている。これら一対のガイド孔18は、楽器ケース1の後端部が上下方向に移動する長さとほぼ同じか、それよりも少し短い長さで形成されている。
【0019】
また、第2支持体17は、
図5および
図6(b)に示すように、第1支持体16の底板部16aの後部上に固定された固定板部17aと、この固定板部17aの一側部(
図6(b)では左側部)に起立して設けられた支持板部17bと、この支持板部17bの上部にロック軸11と平行に折り曲げられた取付板部17cと、を有している。この取付板部17cには、ロック支持機構部13を取り付けるための取付板19が設けられている。
【0020】
ロック支持機構部13は、
図3、
図5および
図6に示すように、ガイド孔18に沿って上下方向に移動するロック軸11の移動軌跡上に出没可能に突出して、ロック軸11を第1支持体16のガイド孔18の上部に支持する支持突起部20と、この支持突起部20をロック軸11の移動軌跡上に向けて付勢する付勢部材であるばね部材21と、支持突起部20がロック軸11を支持してロックする支持力を調整する調整部材22と、を備えている。
【0021】
この場合、第2支持体17の取付板部17cには、
図3、
図5および
図6に示すように、取付板19が溶接によって固定されている。この取付板19の中心には、ばね部材21の一端部(
図5では右端部)を保持するための保持突起部19aが、ガイド孔18に沿って移動するロック軸11の移動軌跡上に向けて突出して設けられている。
【0022】
ばね部材21は、
図3、
図5および
図6に示すように、コイルばねであり、一端部(
図5では右端部)に取付板19の保持突起部19aが挿入し、これにより一端部が保持突起部19aで保持されている。また、このばね部材21は、その他端部(
図5では左端部)に支持突起部20が取り付けられ、この支持突起部20をロック軸11の移動軌跡上に向けて付勢するように構成されている。
【0023】
支持突起部20は、
図3、
図5および
図6に示すように、ばね部材21の他端部(
図5では左端部)に取り付けられる円板部20aと、この円板部20aに設けられた突起部20bとを有している。これにより、この支持突起部20は、ばね部材21のばね力によって突起部20bの先端がロック軸11の移動軌跡上に押し出され、この押し出された突起部20bによってロック軸11を第1支持体16のガイド孔18の上部に支持するように構成されている。
【0024】
この場合、突起部20bは、
図3および
図5に示すように、その先端部が半球状に形成されている。このため、この突起部20bは、ばね部材21によってロック軸11の移動軌跡上に押し出された際に、半球状の先端が丸棒状のロック軸11の外周面の下側に当接することにより、円弧同士が相互に接触した状態で、ロック軸11をガイド孔18の上部に支持するように構成されている。
【0025】
これにより、ロック支持機構部13は、
図3に示すように、通常の状態で楽器ケース1の後端部を押し上げて、ロック軸11を第1支持体16のガイド孔18の上部に配置させ、この状態で支持突起部20がロック軸11を支持するように構成されている。また、このロック支持機構部13は、
図8に示すように、地震などによって一定以上の振動、つまりばね部材21のばね力以上の負荷を伴う振動を受けると、支持突起部20によるロック軸11の支持が外れるように構成されている。
【0026】
また、このロック支持機構部13の調整部材22は、
図3、
図5および
図6に示すように、ばね部材21を押える押え板23と、この押え板23を第2支持体17に取り付けられた取付板19に取り付ける一対の調整ねじ24と、を備えている。押え板23は、支持突起部20の円板部20aを取付板19に向けて押える押え部23aと、この押え部23aの上下端から取付板19に向けて延びる一対のアーム部23bと、これら一対のアーム部23bに取付板19と平行に設けられた一対の可動片23cと、を有している。
【0027】
この場合、押え部23aの中心部には、
図3および
図5に示すように、支持突起部20の突起部20bが挿入する貫通孔25が設けられている。一対の可動片23cには、調整ねじ24が螺入するねじ孔26がそれぞれ設けられている。また、取付板19には、調整ねじ24が挿入する一対の挿入孔27が、一対の各可動片23cの各ねじ孔26に対応して設けられている。一対の調整ねじ24は、取付板19の各挿入孔27に、その後部側からそれぞれ挿入して、一対の可動片23cの各ねじ孔26に螺入するように構成されている。
【0028】
これにより、調整部材22は、
図3および
図5に示すように、一対の調整ねじ24を締め付けたり緩めたりすることにより、押え板23をばね部材21の付勢方向に沿って移動させて、ロック軸11の移動軌跡内に突出する支持突起部20の突出長さを調整し、支持突起部20によるロック軸11の支持力、つまり地震などによる振動に対する対抗力を調整するように構成されている。
【0029】
すなわち、この調整部材22は、
図3および
図5に示すように、一対の調整ねじ24を締め付けると、押え板23がばね部材21のばね力に抗して取付板19側に移動して、支持突起部20をロック軸11から離れる方向に移動させることにより、ロック軸11に対する支持突起部20の支持長さを短くして、地震などによる振動に対する対抗力を小さくするように構成されている。
【0030】
また、この調整部材22は、
図3および
図5に示すように、一対の調整ねじ24を緩めると、押え板23がばね部材21のばね力によってロック軸11側に移動して、支持突起部20をロック軸11側に移動させることにより、ロック軸11に対する支持突起部20の支持長さを長くして、地震などによる振動に対する対抗力を大きくするように構成されている。
【0031】
次に、このような鍵盤楽器の転倒防止装置10の作用について説明する。
この鍵盤楽器に転倒防止装置10を設置する場合には、まず、脚部4の後端下部に設けられた切欠き部4aの下部後端部に取付金具14をビス15によって取り付ける。この状態で、支持部材12を脚部4の後端下部に配置する。
【0032】
このときには、予め、第1支持体16の底板部16aの後端部上に第2支持体17を取り付けると共に、この第2支持体17にロック支持機構部13を取り付ける。すなわち、第2支持体17にロック支持機構部13を取り付ける場合には、ばね部材21の一端部を第2支持体17の取付板部17cに設けられた保持突起部19aで保持し、このばね部材21の他端部に支持突起部20を配置する。
【0033】
この状態で、ばね部材21と支持突起部20とを調整部材22の押え板23によって取付板19に押え付ける。すなわち、押え板23の押え部23aに設けられた貫通孔25に支持突起部20の突起部20bを挿入させて、支持突起部20の円板部20aに押え部23aを当接させ、この円板部20aおよびばね部材21を取付板19に押え付ける。この状態で、調整ねじ24を取付板19の各挿入孔27にその後部側から挿入して、押え板23の一対の可動片23cの各ねじ孔26に螺入する。
【0034】
すると、押え板23が、円板部20aおよびばね部材21を取付板19に押え付けた状態で、取付板19に取り付けられる。これにより、ロック支持機構部13が第2支持体17に取り付けられる。この第2支持体17を第1支持体16の底板部16aの後端部上に取り付けると、ロック支持機構部13が第1支持体16の一対の支持片16bの間に挿入した状態で配置される。
【0035】
このようにして、第2支持体17が第1支持体16に取り付けられると、支持部材12が構成される。この支持部材12は、第1支持体16の一対の支持片16bの間に脚部4の後端下部を挿入させて挟んだ状態で、脚部4の後端下部に上下方向に移動可能に配置される。この状態で、脚部4に取り付けられた取付金具14の一対の取付片14bの各取付孔14cと、第1支持体16の一対の支持片16bに設けられた一対のガイド孔18と、を対応させる。
【0036】
そして、第1支持体16の一対のガイド孔18と、脚部4に取り付けられた取付金具14の各取付孔14cとに、ロック軸11を挿入し、このロック軸11の両端部を一対のガイド孔18からそれぞれ突出させ、この突出したロック軸11の端部に抜け止め部材11aを取り付ける。これにより、脚部4の後端下部に支持部材12がロック軸11によって上下方向に移動可能な状態で連結される。
【0037】
この状態で、ロック軸11をロック支持機構部13の支持突起部20で支持する場合には、まず、調整ねじ24を締め付けてばね部材21を圧縮させて、押え板23を第2支持体17の取付板19に引き寄せる。これにより、支持突起部20の先端がガイド孔18に沿って上下方向の移動するロック軸11の移動軌跡上から離れる。
【0038】
そして、支持部材12を床などの載置面T上に配置した状態で、楽器ケース1の後端部を持ち上げる。すると、脚部4の後端部が持ち上げられると共に、ロック軸11が第1支持体16のガイド孔18に沿って上方に向けて移動し、ロック支持機構部13の支持突起部20の先端を通り越してその上方に移動する。
【0039】
この状態で、調整ねじ24を緩めて押え板23をロック軸11側に向けて移動させ、支持突起部20の先端をロック軸11の移動軌跡上に突出させ、この突出した支持突起部20の突起部20bによってロック軸11を支持する。これにより、脚部4の後端下部が載置面Tの上方に浮いた状態で、支持部材12によって支持される。
【0040】
この状態で、一対の調整ねじ24を締め付けたり緩めたりすることにより、押え板23をばね部材21の付勢方向に沿って移動させて、ロック軸11の移動軌跡内に突出する支持突起部20の突出長さを調整し、支持突起部20によるロック軸11の支持力、つまり地震などによる振動に対する支持力を微調整して、例えば震度3程度に調整する。これにより、楽器ケース1の脚部4の後端下部に転倒防止装置10が設置される。
【0041】
このときには、一対の脚部4の各下端部が前端部から後端部に向けて後部上りに少し傾斜しているので、脚部4の後端下部が載置面Tの上方に浮いた状態で支持部材12によって支持された際に、楽器ケース1のケース本体3が水平な状態となり、これに伴ってケース本体3内の鍵盤部2が水平な状態になる。
【0042】
このように転倒防止装置10が設置された楽器ケース1を壁際に配置して、転倒防止装置10を壁に接近させて配置する。この状態では、通常の鍵盤楽器として鍵盤部2を操作して演奏をすることができる。また、この状態で、楽器ケース1が地震などによって震度3程度の振動を受けると、脚部4の後端下部に設けられたロック軸11がロック支持機構部13の支持突起部20から外れて、楽器ケース1が後方に傾く。
【0043】
すなわち、楽器ケース1が震度3程度の振動を受けると、ロック軸11をロックしているロック支持機構部13の支持突起部20とロック軸11とが振動し、この相互の振動によってロック軸11が支持突起部20をばね部材21のばね力に抗してロック軸11の移動軌跡上から離れる方向に移動させ、ロック軸11が支持突起部20の突起部20bから外れる。
【0044】
すると、ロック軸11が第1支持体16のガイド孔18に沿ってその上部から下部に移動する。これに伴って、持ち上げられていた脚部4の後端下部が下側に移動して、楽器ケース1が後方に傾く。このときには、ロック軸11が第1支持体16のガイド孔18の下端部に当接して、脚部4の後端下部が床などの載置面Tとの間に僅かな隙間をもって支持され、脚部4の後端下部が載置面Tに当接することがない。
【0045】
また、このときには、第2支持体17が脚部4の後方に配置されているので、脚部4の後端下部が載置面Tに当接することなく、載置面Tとの間に僅かな隙間をもって第1支持体16が脚部4の後端下部を支持しても、第2支持体17によって脚部4の後端部が押えられている。これにより、楽器ケース1を安定した状態で後方に傾け、楽器ケース1が前後方向に倒れるのを防ぐことができる。
【0046】
このように、この鍵盤楽器の転倒防止装置10によれば、楽器ケース1の後端下部に設けられたロック軸11と、楽器ケース1が配置される載置面T上に配置されて、ロック軸11を上下方向にガイドするガイド孔18を有する支持部材12と、この支持部材12に取り付けられ、楽器ケース1の後端下部を押し上げた状態でロック軸11をガイド孔18の上部に支持し、かつ前記筺体に対して設定値以上の振動が加えられた場合に、当該支持された前記ロック軸が前記ガイド部の上部から外れるように構成されたロック支持機構部13と、を備えていることにより、地震などの振動による楽器ケース1の転倒を防ぐことができると共に、転倒防止装置10が邪魔にならないようにすることができる。
【0047】
すなわち、この鍵盤楽器の転倒防止装置10では、楽器ケース1が地震などの振動を受けた際に、楽器ケース1の後端下部に設けられたロック軸11をロックしているロック支持機構部13によって、ロック軸11に対するロックを外すことができるので、楽器ケース1の後端下部を下げて楽器ケース1を後方に傾けることができる。これにより、地震などの振動による楽器ケース1の転倒を防ぐことができると共に、楽器ケース1の後端下部に転倒防止装置10を設置していることにより、転倒防止装置10が邪魔にならないようにすることができる。
【0048】
この場合、支持部材12は、ガイド孔18を有して楽器ケース1の後端下部に対応する第1支持体16と、ロック支持機構部13が取り付けられ、第1支持体16の後端下部から楽器ケース1の後方に突出して配置された第2支持体17と、を備えていることにより、第2支持体17に取り付けられたロック支持機構部13によって、楽器ケース1の後端下部に設けられたロック軸11を第1支持体16のガイド孔18の上部に支持することができ、これにより楽器ケース1の後端下部を押し上げた状態で、楽器ケース1を確実にかつ良好に支持することができる。
【0049】
また、この支持部材12は、地震などの振動によってロック軸11に対するロック支持機構部13のロックが外れた際に、ロック軸11が第1支持体16のガイド孔18に沿って降下しても、ロック軸11が第1支持体16のガイド孔18の下端部に当接することにより、楽器ケース1の後端下部が床などの載置面Tに当接することがなく、載置面Tとの間に僅かな隙間をもって楽器ケース1の後端下部を支持することができる。
【0050】
このときには、第2支持体17が楽器ケース1の脚部4の後方に突出して配置されているので、楽器ケース1の後端下部が載置面Tに当接することなく、僅かな隙間をもって第1支持体16が楽器ケース1の後端下部を支持しても、第2支持体17によって楽器ケース1の後端部を押えることができ、これにより楽器ケース1を安定した状態で後方に傾けることができる。
【0051】
また、この転倒防止装置10では、ロック支持機構部13が、ロック軸11の上下方向の移動軌跡上に出没可能に突出してロック軸11をガイド孔18の上部に支持する支持突起部20と、この支持突起部20をロック軸11の移動軌跡上に向けて付勢するばね部材21とを備えていることにより、ばね部材21のばね力によって支持突起部20をロック軸11の移動軌跡上に確実に押し出して配置させることができ、この押し出された支持突起部20によってロック軸11を第1支持体16のガイド孔18の上部に確実に支持することができる。
【0052】
この場合、ロック支持機構部13は、ロック軸11を支持してロックする支持力を調整する調整部材22を備えているので、この調整部材22によって支持突起部20によるロック軸11の支持力、つまり地震などによる振動に対する対抗力を最適な状態に調整することができる。
【0053】
すなわち、この調整部材22は、ばね部材21を押える押え板23と、この押え板23を第2支持体17に取り付ける一対の調整ねじ24と、を備えているので、一対の調整ねじ24を締め付けたり緩めたりすることにより、簡単にロック軸11を支持する支持突起部20の支持長さを微妙に調整して、地震などによる振動に対する支持力を最適な状態に調整することができる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、ロック支持機構部13の付勢部材として、ばね部材21を用いた場合について述べたが、必ずしもばね部材21である必要はなく、ゴムやエラストマなどの弾性部材を用いても良い。
【0055】
また、上述した実施形態では、鍵盤楽器に適用した場合について述べたが、必ずしも鍵盤楽器である必要はなく、例えば箪笥などの家具にも適用することができる。
【0056】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0057】
(付記)
請求項1に記載の発明は、筺体の後端部に設けられたロック軸と、前記筺体が配置される載置面上に配置され、前記ロック軸を上下方向にガイドするガイド部を有する支持部材と、この支持部材に取り付けられ、前記筺体の後端部を押し上げた状態で前記ロック軸を前記ガイド部の上部に支持し、かつ前記筺体に対して設定値以上の振動が加えられた場合に、当該支持された前記ロック軸が前記ガイド部の上部から外れるように構成されたロック支持機構部と、を備えていることを特徴とする転倒防止装置である。
【0058】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の転倒防止装置において、前記支持部材は、前記ガイド部が設けられ、前記筺体の後部下側に配置される第1支持体と、前記ロック支持機構部が取り付けられ、前記第1支持体の後端部から前記筺体の後方に突出した状態で配置される第2支持体と、を備えていることを特徴とする転倒防止装置である。
【0059】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の転倒防止装置において、前記ロック支持機構部は、前記ガイド部に沿って上下方向に移動する前記ロック軸の移動軌跡上に出没可能に突出して前記ロック軸を前記ガイド部の上部に支持する支持突起部と、この支持突起部を前記ロック軸の前記移動軌跡上に向けて付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とする転倒防止装置である。
【0060】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の転倒防止装置において、前記ロック支持機構部は、前記ロック軸を支持してロックする支持力を調整する調整部材を備えていることを特徴とする転倒防止装置である。
【0061】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載された転倒防止装置を備えていることを特徴とする鍵盤楽器である。