(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341408
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】楽譜用ファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 7/04 20060101AFI20180604BHJP
B42F 7/00 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
B42F7/04
B42F7/00 L
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-33398(P2014-33398)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-147401(P2015-147401A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】509172376
【氏名又は名称】株式会社アリア
(72)【発明者】
【氏名】堀口 直子
【審査官】
金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3153043(JP,U)
【文献】
特開平09−039458(JP,A)
【文献】
特開2010−274609(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3106474(JP,U)
【文献】
特開2007−136771(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3175882(JP,U)
【文献】
実開平01−156971(JP,U)
【文献】
米国特許第05356109(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00 − 23/00
B42D 3/16
B42D 5/00 − 5/06
B42D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一表紙と第二表紙が中央の連接部を介して連続する表紙部と、1枚又は複数枚の譜面保持台紙が、前記表紙部の前記連接部で綴じられた譜面保持台紙綴部によって一体に構成された譜面用ファイルであって、
前記譜面保持台紙の両側部に譜面の端部を差し込んで保持する、開口部が前記譜面用ファイルの内側に向かって開かれた袋状ポケット部を設け、
さらに前記表紙部の第一表紙と第二表紙の下部に、譜面ファイルを開いた際、前記譜面保持台紙の捲れ防止用の舌片を上部に向けて設けてなることを特徴とする譜面用ファイル。
【請求項2】
前記譜面用ファイルにおいて、前記表紙部を形成する第一表紙又は第二表紙の少なくとも一方側端部に第三表紙を設けるとともに、この第三表紙の内側端部側に譜面端部の捲れ防止用の舌片を横方向内側に向けて設けたことを特徴とする前記請求項1記載の譜面用ファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指揮者、楽器奏者、歌手などが連続する譜面、特に3ページ以上が連続する譜面の見開きが容易にでき、しかも練習中も書き込みを容易にした楽譜用ファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
音楽用の譜面ファイルは、通常は冊子状のものもあれば、1ページ状のものが複数枚で供給されたり、2ページが折り目を介して連接したものが複数枚で供給されたものが知られている。
また譜面では、3ページ、4ページが連接するものも多数存在している。
【0003】
このように譜面は、1ページものから複数ページのもの、各種存在しているが、これら譜面を透明なポケット状の袋に入れてしまうと、捲れ防止効果はあるものの照明による反射で譜面自体が見えにくくなったり、練習中に各種の書き込みができなくなるなど、その都度袋から譜面を出して、使用したり、書き込むようにしているので、非常に不便である(特許文献1参照)。
【0004】
そこで、全面ポケットを設けず、2ページを超える譜面に対して、4ページが一覧できるファイルが提案された。この提案は、ファイルのリングに綴じる譜面ホルダー用シートが提供されている。この譜面ホルダー用シートは、破れにくくて細長い透明のシートaの片側にファイルのリングに合う穴を開け、反対側の適当な位置数箇所には再剥離可能な粘着剤cを付け、2ページものの譜面の側辺を接着して、2ページものの譜面を4ページものの譜面として一覧できるようにしたものである(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 実用新案登録第3153043号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3106474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、樹脂製の表紙部aと樹脂製の内側ファイルbの上部、又は上部、側面部を溶着にて固定する。内側ファイルbと透明樹脂製の帯dを溶着にて固定するものである。これにより、表紙部aと内側ファイルbを譜面台等の書見台eに挟み固定出来るようにしたものである。又、譜面収納透明ポケットcを透明樹脂製の帯dに挟み込む事によって、ページの捲れを防止し、譜面台等の書見台に安定して固定することが出来る。このように、譜面表面を譜面収納透明ポケットcで覆うため、ページの捲れを防止するものの筆記適性はない。
【0007】
また、特許文献2は、上述したように、2ページの譜面の側辺を接着して、4ページの譜面として一覧できるようにしたものであって、ページの捲れを防止したものではない。
【0008】
本発明は、3ページもの以上の譜面であっても、移動時には、各譜面をしっかり収納し、さらに譜面使用時には、少なくとも3ページが見開きでき、書き込みができる構成とし、さらに捲れ防止を施した譜面用ファイルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本願発明の請求項1における譜面用ファイルは、少なくとも第一表紙と第二表紙が中央の連接部を介して連続する表紙部と、1枚又は複数枚の譜面保持台紙が、前記表紙部の前記連接部で綴じられた譜面保持台紙綴部によって一体に構成された譜面用ファイルを前提としている。
【0010】
さらに前記譜面保持台紙の両側部に譜面の端部を差し込んで保持する、開口部が前記譜面用ファイルの内側に向かって開かれた袋状ポケット部を設け、
さらに前記表紙部の第一表紙と第二表紙の下部に、譜面ファイルを開いた際、前記譜面保持台紙の捲れ防止用の舌片を上部に向けて設けてなることを特徴とする譜面用ファイル。【0011】
請求項2は、譜面用ファイルにおいて、
前記表紙部を形成する第一表紙又は第二表紙の少なくとも一方側端部に第三表紙を設けるとともに、この第三表紙の内側端部側に譜面端部の捲れ防止用の舌片を横方向内側に向けて設けてなるものである。【0012】
(余白)
【0013】
(余白)
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、2ページ以上の譜面を収納するときは、譜面保持台紙の両側部に設けられた袋状ポケットに差し込んで保持するとともに、譜面を見開くときには、譜面その袋状ポケットから引き出し簡単に一覧見開きできるとともに、容易に書き込みができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例を示す譜面用ファイルを開いた状態を示す説明図。
【
図2】
図1における譜面用ファイルの譜面保持台紙を取付ける前の説明図。
【
図3】
図1における譜面用ファイルの譜面保持台紙の説明図。
【
図4】
図3における譜面保持台紙X−X線断面説明図。
【
図5】本発明の譜面用ファイルに収容する譜面における説明図。
【
図6】本発明の譜面用ファイルに収容する譜面における説明図。
【
図7】本発明の一実施例を示す譜面用ファイルの使用状態を示す説明図。
【
図8】本発明の一実施例を示す譜面用ファイルの使用状態を示す説明図。
【
図9】本発明の他の実施例を示す譜面用ファイルの説明図。
【
図10】
図9における譜面用ファイルの使用状態を示す説明図。
【
図11】本発明における譜面保持台紙の他の実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施例を図に基づいて説明する。
本発明における譜面用ファイル1は、
図1、
図2、
図3、
図4に基づいて説明すると、第一表紙2と第二表紙3が中央の連接部Rを介して連続する表紙部Hと、1枚又は複数枚の透明シートからなる譜面保持台紙5が、表紙部Hの連接部Rで熱溶着によって綴じられる譜面保持台紙綴部6によって一体に構成されている。
【0017】
譜面保持台紙5の両側部に譜面Fの端部を差し込んで保持する、開口部が譜面用ファイル1の内側に向かって開かれた袋状ポケット部7を設けた構成としている。
図4に示す断面説明図で確認できるように、譜面保持台紙5の側部をシートで覆い図中上下を熱融着して、袋状ポケット部7を形成している。
【0018】
また、表紙部Hには、使用者の名前カードや名刺などが上部から入れられる、カードポケット32や、薄物の資料や書類などが差し込めるシートポケット33が設けられている。カードポケット32の取り付け方法は、開口部を上に向けたコの字に周囲を熱融着して、横にカードポケット32を併設している。シートポケット33の取り付け方法は、カードポケット32を構成するシートの2辺を第一表紙2の側部と底部L字状に熱融着して取り付けている。
【0019】
さらに、表紙部Hの第一表紙2と第二表紙3の下部に、譜面ファイル1を開いた際、譜面保持台紙5及び譜面Fの捲れ防止用の舌片8、9を上部に向けて設けてなるものである。取り付け方法としては、舌片8、9シート底部をそれぞれ第一表紙2、第二表紙3底部に沿って熱有着によって固着して上部に向けた舌片8、9を形成している。
【0020】
ところで譜面Fは、2連のシートや、
図5に示されるように3連シートも存在する。次に、これら譜面Fを保持する方法や、一覧して使用する方法を説明する。2連シートの譜面Fであれば、
図1に示した譜面ファイル1に、譜面保持台紙5の両側部に設けられた袋状ポケット部7、7に2連シートの譜面Fを挿入して保持したり、見開いて使用すればよい。
【0021】
また、
図5に示された3連シートの譜面Fであれば、
図6に示すように、右側のシートの譜面を内向きに折返し、この状態で、
図7に示す状態で、譜面用ファイル1を折りたたみ、譜面Fを収納する。3連シートの譜面Fを見開いて使用する場合は、
図8に示すように右側の袋状ポケット部7から、譜面Fを出して3連を見開くことができる。
【0022】
また、
図8に示したように、舌片8、9の内側に譜面保持台紙とともに譜面Fを差し込めば、譜面Fの捲れを防止できる。2連シートの譜面Fを見開いて使用する場合も同様に舌片8、9で捲れを防止できる。
【0023】
他の実施例として、
図9に示すように、表紙部Hを形成する第二表紙3の右側側端部に第三表紙4を設けるとともに、この第三表紙4の内側端部側に譜面端部の捲れ防止用の舌片10を連接部Rに向けて設けた譜面用ファイル21を提案している。
【0024】
こうすることで
図10に示すように、3連シートの譜面Fを見開いて使用する場合は、3連目の譜面を舌片10の内側に差し込めば、さらに安定して3連シートの譜面Fを保持できる。第三表紙4は、第一表紙2の左側に設けても、よいものである。
【0025】
第三表紙4に設けた舌片10は、必ずしも
図9に示したものでなくてもよく、舌片8、9のように第三表紙の内側下部に、譜面ファイル21を開いた際、譜面の捲れ防止用の舌片(図示せず)を上部に向けて設けても良いものである。
【0026】
第三表紙4の右下には、書き込みペン保持部31がUの字状に、シートの周囲を熱融着して設けられている。特に、譜面を見開いて譜面台に本発明の譜面用ファイル1を立てて使用しており、ペンは、このペン保持部31に垂直に立てて収納できるので、不用意に譜面台から落ちることなく収納できる。
図9、
図10で示した譜面用ファイル21の収納方法は、第二表紙3を中心に、第一表紙2、第三表紙4を互いに内側に折りたためば、簡単に収納できる。
【0027】
上記実施例において、譜面保持台紙綴部6は、表紙部Hに熱融着により固着した実施例を示したが、
図11に示すように、袋状ポケット部17を有する譜面保持台紙15を単片にして、袋状ポケット部17の反対側にとじ穴28を設けてルーズリーフ式にしたり、従来公知の綴じ方で、一定にできる供給方法としても良い。
【0028】
また、袋状ポケット部における、ポケットの深さは、5cm前後が好ましく、この程度であると、譜面の余白程度を保持し、譜面の表示部が適度に表出し、書き込みのも支障なくできる。
【符号の説明】
【0029】
1、21…譜面用ファイル
2…第一表紙
3…第二表紙
4…第三表紙
5、15…譜面保持台紙
6…譜面保持台紙綴部
7、17…袋状ポケット部
8…捲れ防止舌片
9…捲れ防止舌片
10…捲れ防止舌片
31…書き込みペン保持部
32…カードポケット
33…シートポケット33
R…連接部
H…表紙部
F…譜面