特許第6341412号(P6341412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許6341412-吐出ヘッド 図000002
  • 特許6341412-吐出ヘッド 図000003
  • 特許6341412-吐出ヘッド 図000004
  • 特許6341412-吐出ヘッド 図000005
  • 特許6341412-吐出ヘッド 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341412
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/22 20060101AFI20180604BHJP
   B65D 83/20 20060101ALI20180604BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20180604BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   B65D83/22
   B65D83/20
   B05B9/04
   B05B11/00 101A
   B05B11/00 101F
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-94270(P2014-94270)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-209273(P2015-209273A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−040365(JP,A)
【文献】 実開昭63−197858(JP,U)
【文献】 特開2011−116379(JP,A)
【文献】 特開平11−310284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 83/08 − 83/76
B05B 11/00
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(20)の首部に着脱自在に装着される筒状カバー(30)と、
前記容器体(20)のステム(21)に嵌合する嵌合筒(51)及び該嵌合筒(51)に連通したノズル(56)を有して上下に移動可能とされたノズルヘッド(50)と、
該ノズルヘッド(50)を下方へ押し下げる押圧板(61)を有するレバー本体(60)と、を備えた吐出ヘッドであって、
前記筒状カバー(30)に形成された窪み(37b)に、前記押圧板(61)下方への押し下げを規制するロック状態及び前記押圧板(61)下方へ押し下げ可能とするロック解除状態に可変可能な筒状カバー一体型ストッパー(34)がヒンジを介して一体に連結され、
前記押圧板(61)の下面に、前記筒状カバー一体型ストッパー(34)の先端が係止可能な下面溝(64)が形成されており、
鉛直姿勢に可変された前記筒状カバー一体型ストッパー(34)の先端が前記下面溝(64)を係止することで前記ロック状態に設定され、前記鉛直姿勢から可変された前記筒状カバー一体型ストッパー(34)の先端が前記下面溝(64)から脱離することで前記ロック解除状態に設定されることを特徴とする吐出ヘッド。
【請求項2】
窪み(37b)上面には、筒状カバー一体型ストッパー(34)を係止するストッパー係止部材が形成されている請求項に記載の吐出ヘッド。
【請求項3】
容器体(20)がエアゾール容器である請求項1又は2に記載の吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器等の頭部に装着されて容器内の内容液を吐出する吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばある種の染毛剤のように、2種の薬液を使用時に一緒に吐出するタイプのもので、薬液を個々にエアゾール式の容器体に収納し、この一対の容器体から内容物である薬液を同時に吐出させると共に、この吐出させた薬液を一緒に一ヶ所から吐出するものとして、例えば以下の特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
この従来技術は、ステムが設けられた2つの容器体と、両容器体に着脱自在に組み付くカバー筒と、このカバー筒内に収納されるノズルを備えた押下げヘッド部材及び押下げ板を具備し、押下げヘッド部材は容器体のステムに係合し、ステムと共に上下可能にカバー筒に収納されている。
【0004】
このようなエアゾール式容器体の携帯時、輸送時や保管時に誤って押しレバーが押し下げられるといった誤作動に伴い、内容物が誤って吐出されてしまう場合があり、このような誤吐出を防止する必要があった。そのため、エアゾール式容器体においては誤作動防止目的のオーバーキャップを付属して販売することが広く行われていた。しかしながら、製品のよりコスト低減のためオーバーキャップを用いない、所謂オーバーキャップレスにおいて誤吐出を防止することが求められた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−037366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、オーバーキャップレスにおいて、誤作動や不用意にレバーが押し下げられ誤吐出することが防止すると共に、吐出が確実に行えるように容易に切り替え可能である吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、本発明に係る発明は、
容器体の首部に着脱自在に装着される筒状カバーと、
容器体のステムに嵌合する嵌合筒及び嵌合筒に連通したノズルを有して上下に移動可能とされたノズルヘッドと、
ノズルヘッドを下方へ押し下げる押圧板を有するレバー本体と、を備えた吐出ヘッドであって、
筒状カバーに形成された窪みに、押圧板下方への押し下げを規制するロック状態及び押圧板下方へ押し下げ可能とするロック解除状態に可変可能な筒状カバー一体型ストッパーがヒンジを介して一体に連結され、
押圧板の下面に、筒状カバー一体型ストッパーの先端が係止可能な下面溝が形成されており、
鉛直姿勢に可変された筒状カバー一体型ストッパーの先端が下面溝を係止することでロック状態に設定され、鉛直姿勢から可変された筒状カバー一体型ストッパーの先端が下面溝から脱離することで前記ロック解除状態に設定されることを特徴とする。
【0008】
この構成によって、オーバーキャップレスであっても、誤作動や不用意にレバーが押し下げられ誤吐出することを防止することができる。また、ロック状態からロック解除状態、その逆のロック解除状態からロック状態への切り替えも容易に行うことが可能である。
【0010】
また、下面溝によって筒状カバー一体型ストッパーをより確実に係止させることが可能となった。
【0011】
また、本発明に係る別の吐出ヘッドにおいて、窪み上面に筒状カバー一体型ストッパーを係止するストッパー係止部材が形成されている。
【0012】
上記構造では、ロック解除状態のストッパー不使用時には筒状カバー一体型ストッパーを閉状態に折り畳むことができるため、押圧板の下方への押し下げを阻害することがなく吐出が確実に行える。
【0013】
また、本発明に係る別の吐出ヘッドにおいて、容器体がエアゾール容器である。
【0014】
上記構造では、エアゾール容器用として使用した吐出ヘッドの誤作動や不用意にレバーが押し下げられ誤吐出することが防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の主たる構成においては、オーバーキャップレスであっても、筒状カバー一体型ストッパーによって誤作動や不用意にレバーが押し下げられた際に誤吐出すること防止することができる。また、ストッパーによるロック状態からロック解除状態への切り替え、その逆のロック解除状態からロック状態への切り替えも容易に行うことが可能である。
【0016】
押圧板の下面に筒状カバー一体型ストッパーを係止する下面溝を有するので、下面溝に筒状カバー一体型ストッパーが嵌ることによって、より確実に係止することが達成される。
【0017】
窪み上面に筒状カバー一体型ストッパーを係止するストッパー係止部材が形成されているものにあっては、ロック解除状態のストッパー不使用時に筒状カバー一体型ストッパーを閉状態に折り畳むことができるため、押圧板の下方への押し下げを阻害することがなく吐出が確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る吐出ヘッドを備えたエアゾール式吐出体を示し、図中の左半分は正面図、右半分は半断面図である。
図2】(a)は図1の吐出ヘッドを備えたエアゾール式吐出体の背面図、(b)は側面図である。
図3】吐出ヘッドにおいてストッパーが作用しているロック状態を示す縦断面図である。
図4】吐出ヘッドにおいてストッパーを解除したロック解除状態を示す縦断面図である。
図5】吐出ヘッドにおいてレバー本体が下方へ押し込まれ吐出状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る吐出ヘッドを備えたエアゾール式吐出体を示す第1実施例であり、図中の左半分は正面図、右半分は半断面図である。図2(a)は、図1の吐出ヘッドを備えたエアゾール式吐出体の背面図、(b)は側面図である。図3は、吐出ヘッドにおいてストッパーが作用しているロック状態を示す縦断面図であり、図4は吐出ヘッドにおいてストッパーを解除したロック解除状態を示す縦断面図であり、図5は吐出ヘッドにおいてレバー本体が押し込まれ吐出状態を示す縦断面図である。
【0021】
本実施形態で示されるエアゾール式吐出体10は、二本のエアゾール容器体20と、エアゾール容器体20を固定する固定盤40と、固定されたエアゾール容器体20に組み付ける吐出ヘッド1を備えている。
【0022】
二本のエアゾール容器体20は、それぞれ異種の内容物を収納したエアゾール容器体であり、例えば化粧品や毛染め剤等の内容物を混合して用いる液剤を収納している。なお、二本のエアゾール容器体20は、同種の内容物を収納したエアゾール容器体でも構わない。そしてエアゾール容器体20は、上面より上方付勢状態で押し込み可能にステム21を突設し、ステム21の押し込みによって内蔵吐出弁が開弁してステム21上端より内容物が吐出する公知の吐出機構を備えたものが使用される。
【0023】
固定盤40は、エアゾール容器体20の首部を並列した状態にて組み付ける孔を二箇所に備え、孔にエアゾール容器体20の首部に挿入し、各容器体20の外周上部にて嵌合させ、その後、筒状カバー30に装着されて吐出ヘッド1に組み付けられる。
【0024】
吐出ヘッド1は、図3図5に示すように、押圧板61の下方への押し込みを防止する筒状カバーと一体化した筒状カバー一体型ストッパー34を有する筒状体の筒状カバー30と、ノズル56を有するノズルヘッド50と、押圧板61を有するレバー本体60から構成される。
【0025】
筒状カバー30は、外周壁31の長手方向両側に固定盤40を着脱自在するための係止孔32が設けられおり、この係止孔32に固定盤40の係止突起41を係止させることができる。また、係止孔32の上部には上部押圧板33が設けられており、この上部押圧板33を両側から内側に押し込むことによって係止孔32が外側に可動し、係止孔32と係止突起41の係止を解除でき、固定盤40によって吐出ヘッド1に固定されて2本のエアゾール容器体20を分離することができる。また、外周壁31の短手方向には、ノズル56を配置させる窪み37aが前方に、またレバー本体60から伸びる押圧板61を配置させる窪み37bが後方にそれぞれ形成されている。筒状カバー30の上半部は、内筒38を有する二重構造となっており、内筒38の下端には、内側に張り出したリブ39が形成されてある。そして、後方の窪み37bの上面には、不用意に押圧板61が下方に押し下げられることを規制する筒状カバー一体型ストッパー34が形成してある。筒状カバー一体型ストッパー34は、窪み37b上面に対して開閉回動自在なヒンジを連設しており、筒状カバー30と一体連結されている。窪み37b上面には、筒状カバー一体型ストッパー34を係止するストッパー係止部材であるストッパー係止突片35が設けられ、筒状カバー一体型ストッパー34の両側に係止するように突設されている。
【0026】
ノズルヘッド50は、各ステム21にそれぞれ嵌合する嵌合筒51を底板52両側より垂設した箱型の本体53を備えると共に、本体53前方から窪み37aを貫設したノズル56内に連通する流路を内部に形成している。ノズルヘッド50は、横長楕円状の底板52の周縁部より立設した周壁54上端縁より頂壁55を延設して本体53を形成している。また、ノズルヘッド50は、底板52の両側に上端を開口した嵌合筒51をそれぞれ垂設し、更に、周壁54の前方中央に基端を開口したノズル56を前方へ突出している。そして、本体53内中央からノズル56中央を延設し、本体53内及びノズル56内を二分割する区画壁57を設け、各嵌合筒51から個別ルートで二つの内容物が吐出されるよう構成されている。なお、ノズルヘッド50は、ノズル56を含む上半部と、嵌合筒51を含む下半部を一体に成形し、後方のヒンジ58で折り曲げ、上下を組み合わせて形成してある。
【0027】
レバー本体60は、内筒38の内部にほぼ一致する横長楕円状に形成してある。レバー本体60は、押圧板61と頂板62が設けられ、頂板62の長手方向両端の周壁63には、内筒38の内面に係合する突片が設けてある。頂板62の前方端縁より、ノズル56を通すための切り欠きが垂設してあり、レバー本体60の後方には、押圧板61がヒンジ66を介して上下に回動自在に設けてある。押圧板61は、後部に指置きのための窪み部を備え、下面には筒状カバー一体型ストッパー34をより確実に係止させるための下面溝64と押圧突部65が形成されている。
【0028】
押圧突部65は、レバー本体60を筒状カバー30に組み付けたときノズルヘッド50の頂壁55に対向するよう、頂壁55の中央部と各嵌合筒51上方の左右各1箇所の3箇所に設けてある。下面溝64に筒状カバー一体型ストッパー34が係止しているロック状態から、ストッパーを解除するロック解除状態へと押圧板61を一旦押し上げて下面溝64から筒状カバー一体型ストッパー34を脱離させた後、押圧板61を押し下げると、押圧突部65が頂壁55に当接するまで下がり、更に押圧板61を押し下げるとノズルヘッド50が下方へと移動し、各ステム21が押し込まれ、各容器体20内の内容物がステム21先端から流路を介してノズル56先端より吐出される。
【0029】
次に、吐出ヘッド1の作用について説明する。
【0030】
エアゾール式吐出体10を保管中等の不使用時は、図3に示される吐出ヘッド1において、押圧板61下面の下面溝64に筒状カバー一体型ストッパー34が係止して下方への押し下げを規制するロック状態となっている。このストッパーが係止しているロック状態から押圧板61を下方へ押し下げ可能とするロック解除状態に可変させるために、押圧板61を一旦押し上げて下面溝64から筒状カバー一体型ストッパー34を脱離させてストッパーを解除する。その後、筒状カバー一体型ストッパー34はヒンジを介して外側に倒され、ストッパー係止突片35に係止し、図4に示されるように閉状態となる。
【0031】
ノズル56から内容物を吐出させるために、押圧突部65が頂壁55に当接している状態から更に押圧板61を押し下げると、図5に示されるようにノズルヘッド50を下方へ押圧し、各ステム21を下方に押圧し、各容器体20内の内容物がステム21先端から流路を介してノズル56先端より吐出される。
【0032】
押圧板61への押圧を解除すると各ステム21の上方付勢力などによりノズルヘッド50が上昇すると共に、押圧板61が元の状態に復元する。その後、ストッパー係止突片35による筒状カバー一体型ストッパー34の係止を解除し、下面溝64に筒状カバー一体型ストッパー34が係止するロック状態に戻すと、不用意にレバー部を押し下げ誤吐出することを防止することができる。
【0033】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0034】
上記実施の形態では、ノズルヘッド50において本体53内及びノズル56内を二分割する区画壁57を設け個別ルートで二つの内容物が吐出しているが、区画壁57を設けず本体53内にて混合させて吐出させても構わない。
【0035】
また、上記実施の形態では、筒状カバー一体型ストッパー34を係止させるために押圧板61の下面に下面溝64を形成したが、ストッパーを係止させる突起や段部を突設しても構わない。更に、エアゾール容器体20を2本1組から1本の容器体20から吐出させるようにした構成とすることもできる。この場合、嵌合筒51は底板52の中央に一つ設けた構成となり、吐出ノズル56内を二分割する区画壁57は不要となる。また、押圧突部65は3箇所に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したようにオーバーキャップレスにおいて、誤作動や不用意にレバーを押し下げて誤吐出することが防止でき、容易に切り替え可能する吐出ヘッドを提供できる。
【符号の説明】
【0037】
1 ;吐出ヘッド
10 ;吐出体
20 ;容器体
21 ;ステム
30 ;筒状カバー
31 ;外周壁
32 ;係止孔
33 ;上部押圧板
34 ;筒状カバー一体型ストッパー
35 ;ストッパー係止突片
37a、37b ;窪み
38 ;内筒
39 ;リブ
40 ;固定盤
41 ;係止突起
50 ;ノズルヘッド
51 ;嵌合筒
52 ;底板
53 ;本体
54 ;周壁
55 ;頂壁
56 ;ノズル
57 ;区画壁
58 ;ヒンジ
60 ;レバー本体
61 ;押圧板
62 ;頂板
63 ;周壁
64 ;下面溝
65 ;押圧突起
66 ;ヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5