特許第6341454号(P6341454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341454
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】エレベータの気密部材
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   B66B13/30 R
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-265079(P2014-265079)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-124645(P2016-124645A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】武田 佳祐
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−029306(JP,A)
【文献】 特開2012−041772(JP,A)
【文献】 特開2005−083131(JP,A)
【文献】 実開平06−035585(JP,U)
【文献】 特開2003−081561(JP,A)
【文献】 特開2008−063132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00−13/30
E06B 7/00− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの出入口の側部を規定する縦枠部に取り付け可能な差込部材と、
前記出入口を開閉するドアパネルの開方向の端部に取り付け可能であり、且つ該ドアパネルに取り付けられた状態で該ドアパネルが閉じたときに前記差込部材と密接する密接部材と、を備え、
前記差込部材は、前記縦枠部に取り付けられた状態で該縦枠部から前記ドアパネルの開方向に突出し且つ上下方向に延びる板状の長片部を有し、
前記密接部材は、前記ドアパネルに取り付けられた状態で前記ドアパネルの閉方向に開口し且つ上下方向に延びる凹部を有する本体と、前記凹部内の対向若しくは略対向する一対の側壁面のうちの一方の側壁面から他方の側壁面に向けて延び且つ上下方向に延びる第一の密接部と、前記一対の側壁面のうちの前記他方の側壁面から前記一方の側壁面に向けて延び且つ上下方向に延びる第二の密接部と、を有し、
前記第一の密接部と前記第二の密接部とは、別体であり、
前記第一及び第二の密接部のそれぞれは、前記長片部が第一及び第二の密接部間に差し込まれていないときに前記凹部の各側壁面から互いに接近する方向に延びると共に先端部が互いに当接した状態で該長片部が差し込まれる方向を向くようにそれぞれ曲がり、且つ、前記ドアパネルの開閉方向において前記長片部を該第一及び第二の密接部間に抜き差し可能に弾性変形し、
前記第一及び第二の密接部の少なくとも一方は、前記長片部が前記第一及び第二の密接部間に差し込まれた状態で前記弾性変形によって生じた弾発力によって該長片部と密接する、エレベータの気密部材。
【請求項2】
エレベータの出入口を開閉するドアパネルの開方向の端部に取り付け可能な差込部材と、
前記出入口の側部を規定する縦枠部に取り付け可能であり、且つ該縦枠部に取り付けられた状態で該ドアパネルが閉じたときに該ドアパネルに取り付けられた前記差込部材と密接する密接部材と、を備え、
前記差込部材は、前記ドアパネルに取り付けられた状態で該ドアパネルの前記開方向の端部位置から該ドアパネルの閉方向に突出し且つ上下方向に延びる板状の長片部と、前記ドアパネルと前記長片部とを該長片部の上下方向の全体に亘って接続する接続部と、を有し、
前記密接部材は、前記縦枠部に取り付けられ状態で前記ドアパネルの開方向に開口し且つ上下方向に延びる凹部を有する本体と、前記凹部内の対向若しくは略対向する一対の側壁面のうちの一方の側壁面から他方の側壁面に向けて延び且つ上下方向に延びる第一の密接部と、前記一対の側壁面のうちの前記他方の側壁面から前記一方の側壁面に向けて延び且つ上下方向に延びる第二の密接部と、を有し、
前記第一の密接部と前記第二の密接部とは、別体であり、
前記第一及び第二の密接部のそれぞれは、前記長片部が第一及び第二の密接部間に差し込まれていないときに前記凹部の各側壁面から互いに接近する方向に延びると共に先端部が互いに当接した状態で該長片部が差し込まれる方向を向くようにそれぞれ曲がり、且つ、前記ドアパネルの開閉方向において前記長片部を該第一及び第二の密接部間に抜き差し可能に弾性変形し、
前記第一及び第二の密接部の少なくとも一方は、前記長片部が前記第一及び第二の密接部間に差し込まれた状態で前記弾性変形によって生じた弾発力によって該長片部と密接する、エレベータの気密部材。
【請求項3】
前記第一及び第二の密接部のそれぞれは、前記凹部の各側壁面から互いに接近する方向に延びると共に、前記長片部の差し込み方向に向かうように曲がっている、請求項1又は2に記載のエレベータの気密部材。
【請求項4】
前記第一及び第二の密接部のそれぞれは、該第一及び第二の密接部間に前記長片部が差し込まれたときに該長片部と接触する部位に植毛されている、請求項1〜のいずれか1項に記載のエレベータの気密部材。
【請求項5】
前記縦枠部は、昇降路内を昇降するかご室の出入口の側部を規定し、
前記ドアパネルは、前記かご室の出入口を開閉し、
前記第一の密接部は、前記第一及び第二の密接部間に前記長片部が差し込まれた状態で、該長片部が前記一方の側壁面に向けて相対移動するのに応じて前記弾性変形が大きくなり、又は前記弾性変形が大きくなる部位を有し、
前記第二の密接部は、前記第一及び第二の密接部間に前記長片部が差し込まれた状態で、該長片部が前記他方の側壁面に向けて相対移動するのに応じて前記弾性変形が大きくなり、又は前記弾性変形が大きくなる部位を有する、請求項1又は2に記載のエレベータの気密部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータにおいて出入口を規定する枠部材と前記出入口を開閉するドアパネルとの間の気密性を高めるための気密部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータにおいて出入口を規定する枠部材と、前記出入口を開閉するドアパネルとの間の気密性を高めるための気密部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。この気密部材は、出入口を有するかご室と、前記かご室の出入口を開閉するドアパネルとの間の気密性を高める。具体的に、前記気密部材は、図13に示すように、ドアパネル500に取り付けられる押し当て部510と、かご室600の出入口の側部を規定する縦枠部材601に取り付けられ且つ押し当て部510が当接可能な受け部610と、を備える。ドアパネル500は、前記出入口の上部に設けられた水平方向に延びるレールに沿って、吊り下げられた状態で開閉駆動される。
【0003】
押し当て部510は、ドアパネル500の開方向(図13の矢印α参照)の端部に取り付けられ、ドアパネル500とかご室600との間においてドアパネル500の端部位置から該ドアパネル500の閉方向に突出し且つ上下方向に延びる当接片512と、前記ドアパネル500の端部と当接片512とを接続する接続部514と、を有する。
【0004】
受け部610は、縦枠部材601に取り付けられ、当接片512の突出方向先端と対向する位置において当接片512の突出方向と直交し且つ上下に延びる被当接面612を有する弾性部材613を有する。この弾性部材613は、ドアパネル500が閉じたときに当接片512の先端(突出方向の先端)を押し当てられた状態で、当接片512と縦枠部材601との間に挟み込まれる。
【0005】
前記気密部材によれば、ドアパネル500が閉じて当接片512が弾性部材613の被当接面612に押し当てられることで、当接片512の先端と弾性部材613の被当接面612とが密着する。これにより、ドアパネル500と、かご室600における出入口の側部を規定する縦枠部材601との間が押し当て部510と受け部610とによって閉じられ、その結果、ドアパネル500と縦枠部材601との間の気密性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−29306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記気密部材を構成する押し当て部510や受け部610をドアパネル500や縦枠部材601に取り付ける際の据付誤差や、ドアパネル500や縦枠部材601等の据付誤差等によって、ドアパネル500の上端部に対して下端部が開閉方向にずれるようにドアパネル500が傾く場合がある。この場合、当接片512の先端と被当接面612との間に隙間が生じるため、ドアパネル500と縦枠部材601との間の気密性が低下する。
【0008】
そこで、本発明は、据付誤差が生じても、ドアパネルと、エレベータの出入口を規定する縦枠部との間の気密性を確保可能な気密部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る気密部材は、エレベータの出入口の側部を規定する縦枠部に取り付け可能な差込部材と、前記出入口を開閉するドアパネルの開方向の端部に取り付け可能であり、且つ該ドアパネルに取り付けられた状態で該ドアパネルが閉じたときに前記差込部材と密接する密接部材と、を備え、前記差込部材は、前記縦枠部に取り付けられた状態で該縦枠部から前記ドアパネルの開方向に突出し且つ上下方向に延びる板状の長片部を有し、前記密接部材は、前記ドアパネルに取り付けられた状態で前記ドアパネルの閉方向に開口し且つ上下方向に延びる凹部を有する本体と、前記凹部内の対向若しくは略対向する一対の側壁面のうちの一方の側壁面から他方の側壁面に向けて延び且つ上下方向に延びる第一の密接部と、前記一対の側壁面のうちの前記他方の側壁面から前記一方の側壁面に向けて延び且つ上下方向に延びる第二の密接部と、を有し、前記第一の密接部と前記第二の密接部とは、別体であり、前記第一及び第二の密接部のそれぞれは、前記長片部が第一及び第二の密接部間に差し込まれていないときに前記凹部の各側壁面から互いに接近する方向に延びると共に先端部が互いに当接した状態で該長片部が差し込まれる方向を向くようにそれぞれ曲がり、且つ、前記ドアパネルの開閉方向において前記長片部を該第一及び第二の密接部間に抜き差し可能に弾性変形し、前記第一及び第二の密接部の少なくとも一方は、前記長片部が前記第一及び第二の密接部間に差し込まれた状態で前記弾性変形によって生じた弾発力によって該長片部と密接する。
【0010】
また、本発明に係る気密部材は、エレベータの出入口を開閉するドアパネルの開方向の端部に取り付け可能な差込部材と、前記出入口の側部を規定する縦枠部に取り付け可能であり、且つ該縦枠部に取り付けられた状態で該ドアパネルが閉じたときに該ドアパネルに取り付けられた前記差込部材と密接する密接部材と、を備え、前記差込部材は、前記ドアパネルに取り付けられた状態で該ドアパネルの前記開方向の端部位置から該ドアパネルの閉方向に突出し且つ上下方向に延びる板状の長片部と、前記ドアパネルと前記長片部とを該長片部の上下方向の全体に亘って接続する接続部と、を有し、前記密接部材は、前記縦枠部に取り付けられ状態で前記ドアパネルの開方向に開口し且つ上下方向に延びる凹部を有する本体と、前記凹部内の対向若しくは略対向する一対の側壁面のうちの一方の側壁面から他方の側壁面に向けて延び且つ上下方向に延びる第一の密接部と、前記一対の側壁面のうちの前記他方の側壁面から前記一方の側壁面に向けて延び且つ上下方向に延びる第二の密接部と、を有し、前記第一の密接部と前記第二の密接部とは、別体であり、前記第一及び第二の密接部のそれぞれは、前記長片部が第一及び第二の密接部間に差し込まれていないときに前記凹部の各側壁面から互いに接近する方向に延びると共に先端部が互いに当接した状態で該長片部が差し込まれる方向を向くようにそれぞれ曲がり、且つ、前記ドアパネルの開閉方向において前記長片部を該第一及び第二の密接部間に抜き差し可能に弾性変形し、前記第一及び第二の密接部の少なくとも一方は、前記長片部が前記第一及び第二の密接部間に差し込まれた状態で前記弾性変形によって生じた弾発力によって該長片部と密接する。
【0011】
これらの構成によれば、ドアパネルがエレベータの出入口を閉じたときに、長片部は、第一及び第二の密接部間に差し込まれた状態で第一及び第二の密接部の少なくとも一方と密接しているため、ドアパネルと縦枠部との間が差込部材と該差込部材に密接する密接部材とによって塞がれ(閉じられ)、これにより、該ドアパネルと該縦枠部との間の気密性が確保される。
【0012】
しかも、第一及び第二の密接部の少なくとも一方が、長片部の所定の幅(面積)を有する側面に、該側面と交差する方向から密接しているため、ドアパネルと共に長片部が傾いても(即ち、上端部に対して下端部がドアパネルの開閉方向にずれるように傾いても)、該側面と少なくとも一方の密接部とが密接し続けることができ、これにより、気密部材やドアパネル等において据付誤差が生じても、ドアパネルと縦枠部との間の気密性が確保される。
また、これらの構成によれば、第一及び第二の密接部のそれぞれが、互いに接近すると共に長片部の差込方向に向かって曲がっているため、長片部が第一及び第二の密接部間に差し込まれたときの該長片部が第一及び第二の密接部の少なくとも一方に対して傾斜方向(延びる方向に対して傾斜した方向)から差し込まれるため、直交方向から差し込まれる場合に比べ、長片部と、第一及び第二の密接部の少なくとも一方との接触面積が確保され易い。これにより、ドアパネルと縦枠部との間の気密性がより確実に確保される。
しかも、第一及び第二の密接部の先端が自由端となっているため、弾性変形させ易く、これにより、長片部の抜き差しを軽く(抜き差しするときの抵抗を小さく)することができる。
【0013】
前記気密部材において、前記第一及び第二の密接部のそれぞれは、前記凹部の各側壁面から互いに接近する方向に延びると共に、前記長片部の差し込み方向に向かうように曲がっていてもよい。
【0014】
このように、第一及び第二の密接部のそれぞれが、互いに接近すると共に長片部の差込方向に向かって曲がっているため、長片部が第一及び第二の密接部間に差し込まれたときの該長片部が第一及び第二の密接部の少なくとも一方に対して傾斜方向(延びる方向に対して傾斜した方向)から差し込まれるため、直交方向から差し込まれる場合に比べ、長片部と、第一及び第二の密接部の少なくとも一方との接触面積が確保され易い。これにより、ドアパネルと縦枠部との間の気密性がより確実に確保される。
【0018】
これらのように前記第一及び第二の密接部が互いに接近しつつ曲がっている構成では、前記第一及び第二の密接部のそれぞれは、該第一及び第二の密接部間に前記長片部が差し込まれたときに該長片部と接触する部位に植毛されていることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、第一及び第二の密接部間に長片部が抜き差しされるときの第一及び第二の密接部と長片部との接触面積が小さくなるため、長片部の抜き差しの際の抵抗を抑えることができる。
【0020】
また、前記縦枠部が、昇降路内を昇降するかご室の出入口の側部を規定し、前記ドアパネルが、前記かご室の出入口を開閉する場合、前記気密部材では、前記第一の密接部は、前記第一及び第二の密接部間に前記長片部が差し込まれた状態で、該長片部が前記一方の側壁面に向けて相対移動するのに応じて前記弾性変形が大きくなり、又は前記弾性変形が大きくなる部位を有し、前記第二の密接部は、前記第一及び第二の密接部間に前記長片部が差し込まれた状態で、該長片部が前記他方の側壁面に向けて相対移動するのに応じて前記弾性変形が大きくなり、又は前記弾性変形が大きくなる部位を有することが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、かご室の外部と内部との気圧差が生じたときの第一及び第二の密接部の少なくとも一方と縦枠部との間の気密性をより高めることができる。具体的には、以下の通りである。
【0022】
かご室において内部の気圧が外部の気圧より高くなると、ドアパネルが外側に押されて長片部が凹部内において前記外側(かご室側)の面に向けて相対移動するが、これに伴って第一(又は第二)の密接部の弾性変形が大きくなることで該第一(又は第二)の密接部における弾発力が大きくなるため、第一(又は第二)の密接部と長片部とが密接する力がより大きくなる。その結果、かご室内の空気がドアパネルと縦枠部との間を通じて外部により漏れ難くなる。一方、かご室において内部の気圧が外部の気圧より低くなると、ドアパネルが内側(かご室側)に押されて長片部が凹部内において前記内側(乗場側)の側壁面に向けて相対移動するが、これに伴って第二(又は第一)の密接部の弾性変形が大きくなることで該第二(又は第一)の密接部における弾発力が大きくなるため、第二(又は第一)の密接部と長片部とが密接する力がより大きくなる。その結果、外部の空気がドアパネルと縦枠部との間を通じてかご室内により侵入し難くなる。このため、例えば、高層ビル等の高速エレベータにおいて、かご室内部の気圧を調整する際の気密性が好適に確保され、前記気圧調整が行い易くなる。
【発明の効果】
【0023】
以上より、本発明によれば、据付誤差が生じても、ドアパネルと、エレベータの出入口を規定する縦枠部との間の気密性を確保可能な気密部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、前記エレベータのかご室の出入口及びその周辺を説明するための図である。
図3図3は、前記エレベータにおける乗場及びその周辺と、かごの出入口及びその周辺とを説明するための図である。
図4図4は、気密部材が取り付けられた縦枠部材及びかご側ドアパネルの平面図である。
図5図5は、図4における気密部材及びその周辺の部分拡大図である。
図6図6は、かご側ドアパネルが開いた状態の前記気密部材及びその周辺の部分拡大図である。
図7図7は、高層ビルの高速エレベータにおいて、かごの内部と外部との気圧差を示す図である。
図8図8は、他実施形態に係る密接部材の拡大平面図である。
図9図9は、他実施形態に係る密接部材の拡大平面図である。
図10図10は、他実施形態に係る気密部材の取り付け状態を説明するための平面図である。
図11図11は、他実施形態に係る密接部材の拡大平面図である。
図12図12は、他実施形態に係る密接部材の拡大平面図である。
図13図13は、従来の気密部材の取り付け状態を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図1図7を参照しつつ説明する。
【0026】
本実施形態に係る気密部材は、エレベータにおいて用いられる。以下では、前記気密部材が取り付けられるエレベータについて説明した後に、気密部材について説明する。本実施形態のエレベータは、機械室を有していない、いわゆるマシンルームレスタイプである。
【0027】
エレベータは、図1に示すように、昇降路1内に、かご2と、かご2を案内する第一ガイドレール3と、釣合い錘(カウンターウェイト)4と、釣合い錘4を案内する第二ガイドレール5と、かご2と釣合い錘とを連結するロープ6と、巻上機7と、を備える。また、このエレベータは、昇降路1の上部に配置され且つロープ6が巻きかけられる返し車8と、昇降路1の下部に配置され且つ巻上機7を制御するための制御盤9と、かご2の昇降速度を調速するための調速機10と、緩衝器11と、を備える。
【0028】
エレベータは、制御盤9によって巻上機7を駆動することにより、かご2を第一ガイドレール3に沿って昇降(上下動)させる。具体的に、巻上機7は、トラクションシーブ12を備え、該トラクションシーブ12によってロープ6を駆動することによってかご2を昇降させる。
【0029】
釣合い錘4は、返し車8に巻かけられたロープ6を介してかご2に連結されているため、かご2の昇降に応じ且つこの昇降とは逆向きに、第二ガイドレール5に沿って昇降する。釣合い錘4がかご2に連結されることで、巻上機7は、小さな動力によって、かご2を昇降できる。調速機10は、かご2の昇降の速度が規定値以上になったときに、かご2を停止させる。緩衝器11は、かご2と接触したときに、その衝撃を緩和する。
【0030】
かご2は、昇降路1を昇降し、建物の各階に設けられる乗場に停止できる。このかご2は、図2及び図3に示すように、出入口201を有するかご室20と、かご室20の出入口201を開閉するかご側ドアパネル(以下、単に「パネル」とも称する。)21と、パネル21を開閉させるかご側ドア開閉装置14と、を備える。本実施形態のかご2は、一対のパネル21を有する、いわゆるセンターオープンタイプである。また、乗場50は、乗場側ドアパネル51と、乗場側ドアパネル51を開閉させる乗場側ドア開閉装置52を有する。
【0031】
かご室20には、内部空間が形成され、出入口201を通じて人や物が乗降する。かご室20において、出入口(開口)201は、枠部材202と敷居205とによって規定されている。
【0032】
枠部材202は、上下に延び且つ出入口201の側部を規定(画定)する一対の縦枠部材(縦枠部)203と、水平方向に延びて一対の縦枠部材203の上端同士を接続し、且つ出入口201の上部を規定する横枠部材204と、を有する。本実施形態では、縦枠部材203は、いわゆるリターンパネルであり、横枠部材204は、いわゆる幕板である。この縦枠部材203は、図4に示すように、水平方向の断面において、かご室20への出入方向(図4における左右方向)に延びる第一部位206と、出入方向における第一部位206のパネル21側の端部から該パネル21に沿って出入口201から離れる方向に延びる第二部位207と、第二部位207の先端からパネル21と反対方向に延びる第三部位208と、を有する。各部位206、207、208のそれぞれは、出入口201の上端位置から下端位置まで上下方向に延びる平板状の部位である。
【0033】
敷居205は、水平方向に延び且つ出入口201の下部を規定する。このように枠部材202と敷居205とによって囲まれることで、本実施形態のかご室20において矩形の出入口(開口)201が規定される。
【0034】
パネル21は、出入口201を開閉可能な矩形若しくは略矩形の板状部材である。このパネル21は、吊り下げられた状態でかご側ドア開閉装置14によって駆動されることにより、出入口201を開閉する。
【0035】
かご側ドア開閉装置14は、かご室20の上部からかご室20の側壁に沿って下方に延びる上部フレーム16と、パネル21を案内するためのドアレール17であって、出入口201の上部で水平方向に延び且つ上部フレーム16に取り付けられるドアレール17と、ドアレール17上を水平方向に移動可能に該ドアレール17に支持され且つパネル21の上部に接続されるドアハンガ18と、パネル21を開閉方向に移動させる駆動装置(図示省略)と、を備える。ドアハンガ18は、ドアレール17に係合する複数のローラ19を有する。また、駆動装置は、駆動モータ、駆動モータのトルクを検出可能なセンサ等を備える。
【0036】
以上のように構成されるかご側ドア開閉装置14は、パネル21の上部に接続されたドアハンガ18(各ローラ19)をドアレール17に係合させた状態、即ち、パネル21がドアハンガ18を介してドアレール17に吊り下げられた状態で、該パネル21を駆動装置によって開閉方向(ドアレール17の延びる方向)に移動させる。
【0037】
次に、エレベータのかご2に設けられるパネル21と、かご室20の出入口201の側部を規定する縦枠部材203とに取り付けられる気密部材について図4図6を参照しつつ説明する。本実施形態の気密部材30は、かご2の出入口201の両側部にそれぞれ設けられる。即ち、二つの気密部材が、かご2に設けられる。二つの気密部材30のそれぞれは、同じ構成であるため、以下では、一方の気密部材30について説明する。
【0038】
気密部材30は、出入口201の側部を規定(画定)する縦枠部材(本実施形態の例ではリターンパネル)203に取り付け可能な差込部材32と、パネル21に取り付け可能な密接部材34と、を備える。この気密部材30は、パネル21が閉じたときに、縦枠部材203に取り付けられた差込部材32と、パネル21に取り付けられた密接部材34とが密接し(図5参照)、これにより、パネル21と縦枠部材203との間を塞いで気密性を高める。
【0039】
差込部材32は、第三部位208に取り付けられる。この差込部材32は、板状の長片部321と、長片部321と縦枠部材203とを接続する接続部322と、を有する。本実施形態の差込部材32は、水平方向の断面がL字状となり且つ上下方向に長尺な部材である。
【0040】
長片部321は、差込部材32が縦枠部材203に取り付けられた状態で縦枠部材203からパネル21の開方向(以下、単に「開方向」と称する。)に突出し且つ上下方向に延びる。具体的に、長片部321は、出入口201の上端から下端まで延び、且つ上下方向の各位置における突出量(開方向の寸法:以下、単に「幅」と称する。)が一定若しくは略一定である。また、長片部321では、各部位の厚さが一定である。即ち、本実施形態の長片部321は、上下方向に長く且つ各部位の厚さが一定の帯板状である。
【0041】
接続部322は、長片部321と縦枠部材203(詳しくは、第三部位208)とを該長片部321の上下方向の全体に亘って接続する。即ち、接続部322は、長片部321を縦枠部材203に固定する。本実施形態の接続部322は、長片部321の縦枠部材203側の端部から第三部位208に沿ってパネル21から離れる方向に延びる。この接続部322が、第三部位208と面接触した状態で該第三部位208に取り付けられる。これにより、長片部321は、上下方向の全体に亘って縦枠部材203(第三部位208)との間に隙間なく、該縦枠部材203に固定される。
【0042】
密接部材34は、パネル21に取り付けられる本体340と、本体340から延びて長片部321の一方側の面(一方の側面:本実施形態の例ではパネル21を向いた面)に密接可能な第一の密接部341と、本体340から延びて長片部321の他方側の面(他方の側面:本実施形態の例ではパネル21と反対側を向いた面)に密接可能な第二の密接部342と、を有する。本実施形態の密接部材34は、本体340をパネル21に固定する固定部345も有する。本実施形態の密接部材34は、パネル21の開方向側の端部に取り付けられる。
【0043】
本体340は、パネル21に取り付けられた状態でパネル21の閉方向(以下、単に「閉方向」と称する。)に開口し且つ上下方向に延びる凹部343を有する。本実施形態の本体340は、長尺な帯状の板部材の短手方向の両端部を中央部に対して直角になるようにそれぞれ折り曲げることで形成されている。
【0044】
凹部343は、上下方向において長片部321と対応する長さ寸法を有する。具体的に、凹部343は、長片部321より僅かに長い。この凹部343は、長片部321の先端(開方向側の端部)と対向する上下に長尺な底面3431と、底面3431の短手方向の両端から閉方向に延び且つ互いに対向する一対の側壁面3432と、を有する。また、本実施形態では、凹部343の上端と下端とが、それぞれ水平な面によって閉じられている。
【0045】
固定部345は、本体340とパネル21との間に隙間がないように該本体340をパネル21に固定する。固定部345は、上下方向において本体340(凹部343)と同じ長さ寸法を有する。本実施形態の固定部345は、本体340のパネル21側の端面に取り付けられた板状の部材である。本実施形態の固定部345は、パネル21の開方向側の端部に本体340(凹部343)を固定する。詳しくは、固定部345は、パネル21のかご室20を向いた面における開方向側の端部に、凹部343の開口が閉方向を向いた姿勢となるように本体340を固定する。
【0046】
第一の密接部341は、凹部343内の対向する一対の側壁面3432のうちの一方(本実施形態の例ではパネル21側)の側壁面3432から他方(一方の側壁面3432と反対側)の側壁面3432に向けて延び且つ上下方向に延びる。第二の密接部342は、凹部343内の対向する一対の側壁面3432のうちの他方の側壁面3432から一方の側壁面3432に向けて延び且つ上下方向に延びる。本実施形態の第一及び第二の密接部341、342は、パネル21の開閉方向(以下、単に「開閉方向」と称する。)及び上下方向を含む平面であって凹部343の中央を通る平面を中心にして対称な形状を有する。これら第一及び第二の密接部341、342のそれぞれは、開閉方向において長片部321を該第一及び第二の密接部341、342間に抜き差し可能に弾性変形する。また、第一及び第二の密接部341、342のそれぞれは、長片部321が第一及び第二の密接部341、342間に差し込まれた状態で弾性変形によって生じた弾発力によって長片部321と密接する。具体的には、以下の通りである。
【0047】
第一及び第二の密接部341、342のそれぞれは、凹部343の各側壁面3432から互いに接近する方向に延びると共に、長片部321の差し込み方向(開方向)に向かうように曲がっている弾性変形部346と、弾性変形部346を凹部343に固定する固定部347と、を有する。即ち、本実施形態の密接部材34は、一対の弾性変形部346を有する。これら第一及び第二の密接部341、342のそれぞれは、長片部321と同じ若しくは僅かに長い上下方向の長さ寸法を有する。
【0048】
一対の弾性変形部346のそれぞれは、凹部343の各側壁面3432から互いに接近する方向に延びると共に、長片部321が第一及び第二の密接部341、342間に差し込まれていないときに、先端部が互いに当接した状態で開方向(長片部321が差し込まれる方向)を向くようにそれぞれ曲がっている(図6参照)。この弾性変形部346は、弾性部材によって形成されている。本実施形態の弾性変形部346は、ゴム製の板状(帯板状)の部位である。このため、第一の密接部341の弾性変形部346は、弾性変形部346間に長片部321が差し込まれた状態で該長片部321が一方の側壁面3432に向けて相対移動するのに応じて弾性変形が大きくなり、これにより、前記相対移動に応じて該弾性変形部346で生じる弾発力も大きくなる。また、第二の密接部342の弾性変形部346は、弾性変形部346間に長片部321が差し込まれた状態で該長片部321が他方の側壁面3432に向けて相対移動するのに応じて弾性変形が大きくなり、れにより、前記相対移動に応じて該弾性変形部346で生じる弾発力も大きくなる。
【0049】
本実施形態の一対の弾性変形部346のそれぞれは、表面に植毛されている。この毛は、0.2mm程度の短い毛であり、各弾性変形部346の表面に密に植えられている。尚、植毛は、弾性変形部346の全体に行われなくてもよく、少なくとも、弾性変形部346間に長片部321が差し込まれたときに該長片部321と接触する部位に行われていればよい。
【0050】
固定部347は、弾性変形部346の基部から開方向に延びる板状の部位である。本実施形態の固定部347は、弾性変形部346と一体に形成されている。この固定部347は、接着等によって側壁面3432に取り付けられている。
【0051】
以上のエレベータの気密部材30によれば、パネル21が出入口201を閉じたときに、長片部321は、第一及び第二の密接部341、342間に差し込まれた状態で第一及び第二の密接部341、342の少なくとも一方と密接している。このため、パネル21と縦枠部材203との間が差込部材32と該差込部材32に密接する密接部材34とによって塞がれ(詳しくは、固定部345、凹部343を有する本体340、第一及び第二の密接部341、342、長片部321、及び接続部322によって塞がれ)、これにより、パネル21と縦枠部材203との間の気密性が確保される。
【0052】
しかも、長片部321が第一及び第二の密接部341、342間に差し込まれた状態では、第一及び第二の密接部341、342の少なくとも一方が、長片部321の所定の幅(面積)を有する側面に、該側面と交差する方向から密接している。このため、パネル21と共に長片部321が傾いても(即ち、パネル21の上端部に対して下端部が開方向又は閉方向にずれるように長片部321が傾いても)、該側面と少なくとも一方の密接部341、342とが密接し続けることができる。これにより、気密部材30やパネル21等において据付誤差が生じても、パネル21と縦枠部材203との間の気密性が確保される。
【0053】
また、密接部材34では、第一及び第二の密接部341、342(一対の弾性変形部346)のそれぞれが、互いに接近すると共に開方向(長片部321の差込方向)に向かって曲がっている。このため、長片部321が第一及び第二の密接部341、342間に差し込まれたときの該長片部321が第一及び第二の密接部341、342の少なくとも一方に対して傾斜方向(第一及び第二の密接部341、342の延びる方向に対して傾斜した方向)から差し込まれることとなる。これにより、長片部321が第一及び第二の密接部341、342の延びる方向に対して直交方向から差し込まれる場合に比べ、長片部321と、第一及び第二の密接部341、342の少なくとも一方との接触面積が確保され易い。その結果、パネル21と縦枠部材203との間の気密性がより確実に確保される。
【0054】
しかも、第一及び第二の密接部341、342(弾性変形部346)の先端が自由端となっているため、第一及び第二の密接部341、342を弾性変形させ易い。これにより、長片部321を第一及び第二の密接部341、342間に差し込んだときの長片部321と第一及び第二の密接部341、342の少なくとも一方との接触面積を確保しつつ長片部321の抜き差しを軽く(抜き差しするときの抵抗を小さく)することができる。
【0055】
また、第一及び第二の密接部341、342(一対の弾性変形部346)のそれぞれが植毛されているため、第一及び第二の密接部341、342間に長片部321が抜き差しされるときの第一及び第二の密接部341、342と長片部321との接触面積が小さくなる。このため、長片部321の抜き差しの際の抵抗を抑えることができる。また、毛の長さが0.2mm程度であり、且つ密に植えられているため、植毛による気密性の低下を抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態の気密部材30では、第一及び第二の密接部341、342間に長片部321が差し込まれた状態で、長片部321が一方(パネル21側)の側壁面3432に向けて相対移動するのに応じて第一の密接部341の弾性変形が大きくなり、また、長片部321が他方(パネル21と反対側)の側壁面3432に向けて相対移動するのに応じて第二の密接部342の弾性変形が大きくなる。このため、かご室20の外部と内部との気圧差が生じたときの第一及び第二の密接部341、342の少なくとも一方と縦枠部材203との間の気密性がより高くなる。具体的には、以下の通りである。
【0057】
かご室20において内部の気圧が外部の気圧より高くなると、パネル21が外側に押されて長片部321が凹部343内において他方の側壁面3432に向けて相対移動し、これに伴って第二の密接部342(弾性変形部346)の弾性変形が大きくなる。これにより、第二の密接部342における弾発力が大きくなって第二の密接部342と長片部321とに加わる互いに密接する方向の力がより大きくなる。その結果、かご室20内の空気がパネル21と縦枠部材203との間を通じて外部により漏れ難くなる。一方、かご室20において内部の気圧が外部の気圧より低くなると、パネル21が内側(かご室20側)に押されて長片部321が凹部343内において一方の側壁面3432に向けて相対移動するが、これに伴って第一の密接部341の弾性変形が大きくなる。これにより、第一の密接部341における弾発力が大きくなって第一の密接部341と長片部321とに加わる互いに密接する方向の力がより大きくなる。その結果、外部の空気がパネル21と縦枠部材203との間を通じてかご室20内により侵入し難くなる。このため、例えば、高層ビル等の高速エレベータにおいて、かご2内部の気圧を調整する際の該かご2の気密性が好適に確保され、前記気圧調整が行い易くなる。より詳しくは、以下の通りである。
【0058】
高層ビル等の高速エレベータで、例えば、出発階から目的階に下降する場合、かご2の内部の気圧調整が行われなければ、図7に示すかごの外部の気圧変化と同様に、かご2の内部の気圧は曲線状に変化する。ここで、図7に示す限界値曲線は、乗客が生理的問題を生じる気圧変化率の限界値を示す。
【0059】
このため、気圧調整を行わない状態でかご2が移動すると、目的階に向かって定常走行しているときに(図7のA付近を移動中)、かご2の内部の気圧の変化が限界曲線の傾きより大きくなり、乗客に生理的問題が生じる。そこで、かご2の内部では、図7に示すように、出発階から目的階まで気圧が一定の変化率で変化するような気圧調整が行われる。
【0060】
このとき、図7のAより左側をかご2が移動している場合には、かご2の内部の気圧が外部の気圧より高くなり、パネル21が外側に押される。また、図7のAより右側をかご2が移動している場合には、かご2の内部の気圧が外部の気圧より低くなり、パネル21が内側(かご室20側)に押される。
【0061】
このように、かご2が途中位置(図7のA)を通過するときに、かご2の内部の気圧が外部よりも高い状態から低い状態に切り替わっても(即ち、かご室20に対してパネル21が離れた位置から接近した位置に移動しても)、第一及び第二の密接部341、342の少なくとも一方の密接部341又は342が長片部321と密接した状態が維持されるように弾性変形する。
【0062】
しかも、かご室20の内部と外部との気圧差が変化してパネル21と縦枠部材203との間隔が変化したときに、前記気圧差に応じて第一又は第二の密接部341、342の弾性変形量が変化して該密接部341、342において生じる弾発力が変化するため(例えば、前記気圧差が大きくなると、第一又は第二の密接部341、342において生じる弾発力が大きくなって長片部321により密着するため)、パネル21と縦枠部材203との間の気密性が好適に維持される。
【0063】
尚、本発明のエレベータの気密部材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0064】
上記実施形態の第一及び第二の密接部341、342(弾性変形部346)の先端は、自由端であるが、この構成に限定されない。第一及び第二の密接部341、342は、例えば、図8及び図9に示すように、円弧状、ブロック状等であってもよい。かかる構成によっても、パネル21が出入口201を閉じたときに第一及び第二の密接部341、342間に長片部321が差し込まれるため、パネル21と共に長片部321が傾いても、長片部321の側面と、第一及び第二の密接部341、342の少なくとも一方とが密接し続けることができる。このため、気密部材30やパネル21等において据付誤差等が生じても、パネル21と縦枠部材203との間の気密性を確保することができる。
【0065】
また、上記実施形態の気密部材30では、差込部材32が縦枠部材203に取り付けられ、密接部材34がパネル21に取り付けられているが、逆でもよい。即ち、差込部材32がパネル21に取り付けられ、密接部材34が縦枠部材203に取り付けられてもよい。この場合、図10に示すように、凹部343の開口がパネル21の開方向を向き、長片部321がパネル21の開方向の端部位置から閉方向に突出する。
【0066】
また、上記実施形態の第一及び第二の密接部341、342は、凹部343の各側壁面3432から互いに接近する方向に延びると共に、長片部321の差し込み方向に向かうように曲がっているが、この構成に限定されない。第一及び第二の密接部341、342は、例えば図11に示すように、凹部343の各側壁面3432から互いに接近する方向に延びると共に、長片部321の差し込み方向と逆に向かうように曲がっていてもよい。この場合、第一及び第二の密接部341、342は、長片部321を第一及び第二の密接部341、342間に差し込み易いよう、凹部343の底面3431に向かって間隔が狭くなる一対の案内面3460を差込方向とは逆方向の端部に備えることが好ましい。
【0067】
上記実施形態の第一及び第二の密接部341、342では、全体が弾性部材によって構成されているが、この構成に限定されない。例えば、図12に示すように、第一及び第二の密接部341、342の一部が弾性部材(図12に示す例では、バネ部材)によって構成されていてもよい。即ち、第一及び第二の密接部341、342は、その一部に弾性部材を有する構成であってもよい。かかる構成によっても、第一及び第二の密接部341、342間に長片部321が差し込まれたときに、第一及び第二の密接部341、342が長片部321に密接する。また、パネル21とかご室20とが接離して長片部321と側壁面3432とが相対移動しても、密接状態が維持される。
【0068】
上記実施形態の第一及び第二の密接部341、342は、植毛されているが、この構成に限定されない。第一及び第二の密接部341、342における長片部321と接触する部位が、弾性変形部346よりも摩擦係数の小さな素材によってコーティングされていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態の気密部材30は、かご室20と、パネル21とに取り付けられるが、この構成に限定されない。気密部材30は、乗場50の出入口の側部を規定する縦枠部(縦枠部材)と、乗場側ドアパネル51(図3参照)とに取り付けられてもよい。この場合でも、差込部材32が縦枠部に取り付けられ且つ密接部材34が乗場側ドアパネル51に取り付けられてもよく、差込部材32が乗場側ドアパネル51に取り付けられ且つ密接部材34が縦枠部に取り付けられてもよい。また、気密部材30が乗場50の出入口を規定する縦枠と、乗場側ドアパネル51とに取り付けられた場合、遮煙性能も確保することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…昇降路、2…かご、20…かご室、201…出入口、202…枠部材、203…縦枠部材(縦枠部)、204…横枠部材、205…敷居、206…第一部位、207…第二部位、208…第三部位、21…かご側ドアパネル(ドアパネル)、3…第一ガイドレール、4…釣合い錘、5…第二ガイドレール、6…ロープ、7…巻上機、8…返し車、9…制御盤、10…調速機、11…緩衝器、12…トラクションシーブ、14…かご側ドア開閉装置、16…上部フレーム、17…ドアレール、18…ドアハンガ、19…ローラ、30…気密部材、32…差込部材、321…長片部、322…接続部、34…密接部材、340…本体、341…第一の密接部、342…第二の密接部、343…凹部、3431…底面、3432…側壁面、345…固定部、346…弾性変形部、3460…案内面、347…固定部、50…乗場、51…乗場側ドアパネル、52…乗場側ドア開閉装置、500…ドアパネル、510…押し当て部、512…当接片、514…接続部、600…かご室、601…縦枠部材、610…受け部、612…被当接面、613…弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13