特許第6341504号(P6341504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341504
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】歯科用ガスバーナ
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   A61C13/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-113715(P2014-113715)
(22)【出願日】2014年6月2日
(65)【公開番号】特開2015-226665(P2015-226665A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】502080704
【氏名又は名称】長田電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(72)【発明者】
【氏名】井上 未結
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−278649(JP,A)
【文献】 特開2004−329579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム筒を覆うプロテクタを備えた歯科用ガスバーナであって、
前記プロテクタは、前記フレーム筒の上方に形成されたフレーム穴と、該フレーム穴の周囲に設けられて前記ガスバーナの点火時に点灯する光源と、前記フレーム穴の周囲に設けられると共に前記光源の点灯を前記ガスバーナの周囲から視認させる透明のガード部とを備え
該ガード部が、前記フレーム穴から見て前記光源の手前側に位置する内壁体と、前記光源の奥側に位置する外壁体とを有することを特徴とする歯科用ガスバーナ。
【請求項2】
前記内壁体の外面および前記外壁体の内面を凹凸状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の歯科用ガスバーナ。
【請求項3】
前記光源が、前記フレーム穴の周方向に沿って複数設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科用ガスバーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム筒を覆うプロテクタを備えた歯科用ガスバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用ガスバーナは、例えば歯科用ワックスを軟化させる際などに使用され、例えば市販のガスボンベを装着したボンベボックスと共に持ち運び可能に構成されている。なお、歯科用ガスバーナには、歯科治療ユニットの例えばワークテーブルに設置できる構造も知られている。
【0003】
ガスの燃焼で発生したフレーム(炎)は、プロテクタのフレーム穴から上方に向けて噴出するが、仮にフレームが消えると、ガスのみが放出し続けるおそれがある。そこで、例えば、特許文献1には、点火動作を間欠的に実行すると共に、ガスバーナが点火中であるか否かをパイロットランプの点灯や音声出力で知らせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−27328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のパイロットランプは、フレーム穴の近傍に設けられており、ガスバーナの使用者には見えるが、ガスバーナの周囲の者には見え難い。また、音声出力もガスバーナの周囲の者には聞こえ難い。このため、特許文献1の技術ではガスバーナの周囲の者が、ガスバーナが点火中であるか否かを分かり難いという問題がある。
【0006】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、ガスバーナが点火中であるか否かをガスバーナの周囲の者が了知できる歯科用ガスバーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、フレーム筒を覆うプロテクタを備えた歯科用ガスバーナであって、前記プロテクタは、前記フレーム筒の上方に形成されたフレーム穴と、該フレーム穴の周囲に設けられて前記ガスバーナの点火時に点灯する光源と、前記フレーム穴の周囲に設けられると共に前記光源の点灯を前記ガスバーナの周囲から視認させる透明のガード部とを備え、該ガード部が、前記フレーム穴から見て前記光源の手前側に位置する内壁体と、前記光源の奥側に位置する外壁体とを有することを特徴としたものである。
【0008】
請求項2の発明は、前記内壁体の外面および前記外壁体の内面を凹凸状に形成したことを特徴としたものである。また、請求項3の発明は、前記光源が、前記フレーム穴の周方向に沿って複数設けられることを特徴としたものである
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源の点灯状態はガード部を介してガスバーナの周囲から視認可能であるので、ガスバーナが点火中であるか否かをガスバーナの周囲の者に了知させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態に係る歯科用ガスバーナの外観斜視図である。
図2図1(B)に示した歯科用ガスバーナの分解斜視図である。
図3図1(B)のIII−III線の矢視断面図である。
図4図1の歯科用ガスバーナの使用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の歯科用ガスバーナについて説明する。図1は、本発明の一形態に係る歯科用ガスバーナの外観斜視図であり、図1(A)はカバーを開けた状態を示し、図1(B)はカバーを閉じた状態を示している。
歯科用ガスバーナ1は点火栓制御ボックス2を有し、点火栓制御ボックス2は、例えばガスコードを介してボンベボックス(いずれも図示省略)に接続可能である。
【0012】
点火栓制御ボックス2は、例えば乾電池の電力でガスの噴射、ガスへの点火や警報音の吹鳴などを実行できる。点火栓制御ボックス2の上面には点火・消火用のスイッチ3が設けられ、また、図1(B)に示すように、点火栓制御ボックス2の正面には例えばタイマ設定用のツマミ4が設けられている。点火栓制御ボックス2の背面はカバー5で覆われ、カバー5の上にはプロテクタ(フレームガイドともいう)9が設置されている。
【0013】
カバー5は点火栓制御ボックス2の例えば下端に回動自在に支持され、また、図1(A)に示すように、カバー5の内部には、上下方向に沿って延びたバーナ支持管6や点火栓支柱7が収容されている。
バーナ支持管6の下方にはガス噴射用のノズル(図示省略)が設けられており、このノズルから噴射されたガスはバーナ支持管6の内部を経由してフレーム筒8に到達する。フレーム筒8は放電端子8aを有し、放電端子8aの上方にはフレーム(炎)を噴出させる開口が形成されている。
【0014】
一方、点火栓支柱7の上端には点火栓7aが設けられ、点火栓7aと放電端子8aとの間で火花放電が生ずると、フレーム筒8に到達したガスが点火されて燃焼する。発生したフレームは、フレーム筒8の開口、および、このフレーム筒8を覆うプロテクタ9のフレーム穴11から上方に向けて噴出する。
【0015】
図2は、図1(B)に示した歯科用ガスバーナの分解斜視図であり、図3は、図1(B)のIII−III線の矢視断面図である。
プロテクタ9は、平板状の作業部10および平面視U字状のガード部16からなる。作業部10はカバー5の上方を覆っており、作業部10を貫通した上記フレーム穴11がその中央位置に形成されている。なお、プロテクタとカバーとを一体形成してもよい。
【0016】
フレーム穴11の周囲にはLED光源12が設置される。詳しくは、例えば5個のLED光源12が、フレーム穴11を挟んで点火栓制御ボックス2の反対側(カバー5の背面に相当する)に設置され、フレーム穴11の周方向に沿って例えば等間隔に設けられており、ガスバーナの点火中、より詳しくは、上記ガス噴射用のノズルからガスが噴射されている場合に点灯する。なお、LED光源12が本発明の光源に相当する。
【0017】
また、各LED光源12の点灯状態はカバー5の背面から視認できるが、カバー5の左側面や右側面からも視認できるようにLED光源をさらに配置すれば、ガスバーナが点火中であるか否かをあらゆる方向から認識可能になり、安全性がより一層向上する。
図3に示すように、LED光源12はLED基板13に搭載され、作業部10上に固定されている。LED基板13は図1で説明した点火栓制御ボックス2内の回路に接続されている。
【0018】
フレーム穴11から見てLED基板13の手前側および奥側には、平面視U字状に湾曲した取付溝14,15がそれぞれ形成され、ガード部16の下端を受け入れることができる。
ガード部16は、平面視U字状に湾曲して形成され、点火栓制御ボックス2寄りを除く、カバー5の左右側面およびカバー5の背面の三方向を覆っている。
【0019】
また、ガード部16は、例えば、フレーム穴11から見てLED光源12の手前側に位置する内壁体17を有すると共に、LED光源12の奥側に位置する外壁体18を有し、内壁体17の上端と外壁体18の上端とが連結されている。
内壁体17の下端を手前側の取付溝14に差し込むと共に、外壁体18の下端を奥側の取付溝15に差し込むと、内壁体17および取付溝14が、外壁体18および取付溝15がそれぞれ係合し、LED光源12を覆うガード部16が作業部10に固定される。
【0020】
図4は、図1の歯科用ガスバーナの使用例を説明するための図である。
ガード部16は、例えば透明度の高いシリコーンで形成した例を挙げて説明すると、図4に示すように、ガスバーナの点火中には図1(B)で説明したフレーム穴11から噴出するフレームは見えないものの、LED光源12が点灯しているので、各LED光源12の光線が外壁体18を通過してカバー5の背面から見ることができる。
【0021】
このように、LED光源12の点灯状態はガード部16を介してガスバーナの周囲から視認可能であるので、ガスバーナが点火中であるか否かをガスバーナの周囲の者に了知させることができる。また、ガスバーナの周囲から視認可能にすれば、消し忘れ防止にもなる。さらに、LED光源12を点灯させれば、医療機器という印象が薄くなって見た目に心地よさを与えることが可能になる。
【0022】
また、シリコーン製のガード部は耐熱性を有し、かつ柔らかい構造になる。よって、仮にガスバーナの点火時にガード部16に触れても安全であり、この点も安全性向上に寄与する。
なお、上記実施例では、透明のガード部の例を挙げて説明したが、LED光源12を挟んで向かい合う内壁体17の外面や外壁体18の内面を凹凸状に形成してもよい。この場合には、LED光源の光線が内壁体と外壁体との間で乱反射し、ガード部全体が発光しているように見せることができるからである。
【0023】
また、上記実施例では、内壁体および外壁体を有したガード部の例を挙げて説明したが、ガード部は内壁体あるいは外壁体のいずれか一方で形成することも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1…歯科用ガスバーナ、2…点火栓制御ボックス、3…スイッチ、4…ツマミ、5…カバー、6…バーナ支持管、7…点火栓支柱、7a…点火栓、8…フレーム筒、8a…放電端子、9…プロテクタ、10…作業部、11…フレーム穴、12…LED光源、13…LED基板、14,15…取付溝、16…ガード部、17…内壁体、18…外壁体。
図1
図2
図3
図4