特許第6341552号(P6341552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341552
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   G07D9/00 418Z
   G07D9/00 410Z
   G07D9/00 328
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-234347(P2013-234347)
(22)【出願日】2013年11月12日
(65)【公開番号】特開2015-95114(P2015-95114A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】毛利 徹臣
(72)【発明者】
【氏名】菅原 一馬
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−152825(JP,A)
【文献】 特開2006−139547(JP,A)
【文献】 特開2007−094956(JP,A)
【文献】 特開2012−113651(JP,A)
【文献】 特許第4034067(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D9/00−9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された硬貨を選別する選別部と、
横方向に並んで配置される3つの収納部と、
上下方向に開口した保留枠、およびこの保留枠の底面を閉塞可能とする底部材を有し、これら保留枠および底部材が前記横方向に独立して移動可能とし、前記保留枠および前記底部材が前記選別部の下方かつ中央の前記収納部の上方に配置された位置を一時保留位置として前記保留枠内に硬貨を一時保留する一時保留部と
を具備し、
前記一時保留部と一側の前記収納部とは、それぞれ前記横方向に対して交差する方向に金種別に設けられ、
前記保留枠が一側に移動した際に、前記保留枠と一側の前記収納部との間に配置されてこれらを金種毎に連通させる仕切枠をさらに具備しており、
一側の前記仕切枠は、前記底部材と一体に移動する
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
搬送された硬貨を選別する選別部と、
横方向に並んで配置される3つの収納部と、
上下方向に開口した保留枠、およびこの保留枠の底面を閉塞可能とする底部材を有し、これら保留枠および底部材が前記横方向に独立して移動可能とし、前記保留枠および前記底部材が前記選別部の下方かつ中央の前記収納部の上方に配置された位置を一時保留位置として前記保留枠内に硬貨を一時保留する一時保留部と
を具備し、
前記一時保留部と一側および他側の前記収納部とは、それぞれ前記横方向に対して交差する方向に金種別に設けられており、
一側および他側の前記収納部上に、前記保留枠が一側または他側の前記収納部上に移動した際に、前記保留枠と前記収納部との間に配置されてこれらを金種毎に連通させる一側および他側の仕切枠をさらに具備している
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項3】
一側の前記仕切枠は前記底部材と一体に移動し、他側の前記仕切は前記収納部上に固定配置されている
ことを特徴とする請求項2記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記一時保留部は、前記一時保留位置から前記保留枠のみが前記横方向の一側または他側に移動して前記保留枠内の硬貨を一側または他側の前記収納部に放出し、前記一時保留位置から前記底部材のみが移動して前記保留枠内の硬貨を中央の前記収納部に放出する
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記3つの収納部は、前記一時保留部から受け入れる硬貨を収納するとともに収納した硬貨を投出する収納投出部、前記一時保留部から受け入れる硬貨を返却する返却箱、および前記一時保留部から受け入れる硬貨を収納する金箱であり、前記返却箱が中央に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を一時保留し、振り分けて放出する硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関の出納業務等に利用され、入金した硬貨を金種別に選別して一時保留部に一時保留し、一時保留した硬貨を横方向に並んで配置される3つ収納部に選択的に振り分けるようにした硬貨処理装置がある。3つ収納部としては、硬貨の収納および投出が可能な収納投出部、硬貨を返却する返却箱、硬貨を回収する金箱があり、この順番で並んで配置されている。
【0003】
一時保留部は、上下方向に開口した保留枠、およびこの保留枠の底面を開閉可能とする底面部材を有し、金箱の開口より外側に外れた位置を一時保留位置とし、この一時保留位置で保留枠の底面を底面部材が閉塞し、入金部から送り込まれる硬貨を保留枠内に一時保留する。
【0004】
一時保留部に一時保留した硬貨を、金箱に収納する場合には、保留枠のみが金箱の開口上に移動して、保留枠の開口された底面から硬貨を金箱に放出し、また、収納投出部または返却箱に収納する場合には、第1のステップで保留枠と底面部材とが一緒に移動し、収納投出部または返却部の側部に停止した後、第2のステップで保留枠のみが収納投出部上または返却部上に移動して、保留枠の開口された底面から硬貨を収納投出部または返却箱に放出している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4034067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一時保留部に一時保留した硬貨を3つ収納部に選択的に振り分ける場合、収納部によっては2ステップの動作が必要となり、1ステップの動作で行うのに比べて処理時間がかかる問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、一時保留部で一時保留した硬貨を3つ収納部のいずれに振り分ける場合でも、短時間で処理できる硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の硬貨処理装置は、搬送された硬貨を選別する選別部と、横方向に並んで配置される3つの収納部と、上下方向に開口した保留枠、およびこの保留枠の底面を閉塞可能とする底部材を有し、これら保留枠および底部材が前記横方向に独立して移動可能とし、前記保留枠および前記底部材が前記選別部の下方かつ中央の前記収納部の上方に配置された位置を一時保留位置として前記保留枠内に硬貨を一時保留する一時保留部とを具備し、前記一時保留部と一側の前記収納部とは、それぞれ前記横方向に対して交差する方向に金種別に設けられ、前記保留枠が一側に移動した際に、前記保留枠と一側の前記収納部との間に配置されてこれらを金種毎に連通させる仕切枠をさらに具備しており、一側の前記仕切枠は、前記底部材と一体に移動するものである。
【0009】
請求項2記載の硬貨処理装置は、搬送された硬貨を選別する選別部と、横方向に並んで配置される3つの収納部と、上下方向に開口した保留枠、およびこの保留枠の底面を閉塞可能とする底部材を有し、これら保留枠および底部材が前記横方向に独立して移動可能とし、前記保留枠および前記底部材が前記選別部の下方かつ中央の前記収納部の上方に配置された位置を一時保留位置として前記保留枠内に硬貨を一時保留する一時保留部とを具備し、前記一時保留部と一側および他側の前記収納部とは、それぞれ前記横方向に対して交差する方向に金種別に設けられており、一側および他側の前記収納部上に、前記保留枠が一側または他側の前記収納部上に移動した際に、前記保留枠と前記収納部との間に配置されてこれらを金種毎に連通させる一側および他側の仕切枠をさらに具備しているものである。
【0010】
請求項3記載の硬貨処理装置は、請求項2記載の硬貨処理装置において、一側の前記仕切枠は前記底部材と一体に移動し、他側の前記仕切は前記収納部上に固定配置されているものである。
【0011】
請求項記載の硬貨処理装置は、請求項1ないし3いずれか一記載の硬貨処理装置において、前記一時保留部は、前記一時保留位置から前記保留枠のみが前記横方向の一側または他側に移動して前記保留枠内の硬貨を一側または他側の前記収納部に放出し、前記一時保留位置から前記底部材のみが移動して前記保留枠内の硬貨を中央の前記収納部に放出するものである。
【0012】
求項記載の硬貨処理装置は、請求項1ないしいずれか一記載の硬貨処理装置において、前記3つの収納部は、前記一時保留部から受け入れる硬貨を収納するとともに収納した硬貨を投出する収納投出部、前記一時保留部から受け入れる硬貨を返却する返却箱、および前記一時保留部から受け入れる硬貨を収納する金箱であり、前記返却箱が中央に配置されているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の硬貨処理装置によれば、3つの収納部のうち、中央の収納部上を保留枠および底部材の一時保留位置として保留枠内に硬貨を一時保留するため、一時保留部で一時保留した硬貨を3つ収納部のいずれに振り分ける場合でも、1ステップの動作で済み、短時間で処理でき、さらに、保留枠が一側に移動した際に、仕切枠が保留枠と一側の収納部との間に配置されてこれらを金種毎に連通させるため、一時保留部から放出する硬貨が異なる金種の収納部に入るのを防止でき、しかも、一側の仕切枠が底部材と一体に移動するため、一側の仕切枠が底部材の移動の妨げになるのを防止できる。
【0014】
請求項2記載の硬貨処理装置によれば、3つの収納部のうち、中央の収納部上を保留枠および底部材の一時保留位置として保留枠内に硬貨を一時保留するため、一時保留部で一時保留した硬貨を3つ収納部のいずれに振り分ける場合でも、1ステップの動作で済み、短時間で処理でき、さらに、保留枠が一側または他側の収納部上に移動した際に、一側および他側の仕切枠が保留枠と収納部との間に配置されてこれらを金種毎に連通させるため、一時保留部から放出する硬貨が異なる金種の収納部に入るのを防止できる。
【0015】
請求項3記載の硬貨処理装置によれば、請求項2記載の硬貨処理装置の効果に加えて、一側の仕切枠が底部材と一体に移動するため、一側の仕切枠が底部材の移動の妨げになるのを防止でき、また、他側の仕切が収納部上に固定配置されているため、底部材が一側に移動して保留枠内の硬貨を中央の収納部に放出する際、底部材の側面と他側の仕切の側面とで保留枠から放出される硬貨を中央の収納部に案内し、保留枠から放出される硬貨が中央以外の収納部に入るのを防止できる。
【0016】
請求項記載の硬貨処理装置によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の硬貨処理装置の効果に加えて、一時保留部は、一時保留位置から保留枠のみが横方向の一側または他側に移動して保留枠内の硬貨を一側または他側の収納部に放出し、一時保留位置から底部材のみが移動して保留枠内の硬貨を中央の収納部に放出するため、一時保留部で一時保留した硬貨を3つ収納部のいずれに振り分ける場合でも、1ステップの動作で済み、短時間で処理できる。
【0017】
求項記載の硬貨処理装置によれば、請求項1ないしいずれか一記載の硬貨処理装置の効果に加えて、3つの収納部は、一時保留部から受け入れる硬貨を収納するとともに収納した硬貨を投出する収納投出部、一時保留部から受け入れる硬貨を返却する返却箱、および一時保留部から受け入れる硬貨を収納する金箱であり、使用する機会が他に比べて少ない返却箱が中央に配置されていることから、保留枠の移動のみで保留枠内の硬貨を収納投出部または金箱に振り分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の硬貨処理装置の一実施の形態を示し、一時保留部に硬貨を保留する状態を示す斜視図である。
図2】同上一時保留部から金箱に硬貨を放出する状態を示す斜視図である。
図3】同上一時保留部から収納投出部に硬貨を放出する状態を示す斜視図である。
図4】同上一時保留部から返却箱に硬貨を放出する状態を示す斜視図である。
図5】同上硬貨処理装置の説明図である。
図6】同上硬貨処理装置の斜視図である。
図7】同上硬貨処理装置の内部構造を示す斜視図である。
図8】同上硬貨処理装置の内部構造を示す正面図である。
図9】同上硬貨処理装置の内部構造を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態を、図1ないし図9を参照して説明する。
【0020】
図6に示すように、硬貨処理装置10は、機体11を有し、機体11の上面にはシャッターで開閉される硬貨の入金口12等が形成され、機体11の前面には硬貨の出金箱13、返却箱14、入金リジェクト箱15、収納投出部ユニット16および金箱ユニット17等がそれぞれ引出可能に配設されている。
【0021】
図5図5では硬貨処理装置10の構成を説明するために一部を分けて示しており、そのため一部が重複して示されている)、図7ないし図9に示すように、硬貨処理装置10は、機体11の上部側に入金部20が配設され、この入金部20の下部側に金種別の一時保留部(入金一時保留部)21が前後方向に沿って配設され、この一時保留部21より下部側の一側(左側)に収納投出部ユニット16に搭載された金種別の収納投出部22が前後方向に沿って配設され、一時保留部21より下部側の他側(右側)に金箱ユニット17に搭載された金種別の金箱23が前後方向に沿って配設され、一時保留部21の下部側で収納投出部22と金箱23との間に返却箱14が配設され、収納投出部22の左側部に横搬送部24が前後方向に沿って配設され、横搬送部24の後部側から入金部20に亘って縦搬送部25が配設され、横搬送部24の前側に出金箱13を含めて出金機構26が配設されている。そして、一時保留部21の下側に、収納投出部22、返却箱14および金箱23の3つの収納部27a,27b,27c(図1ないし図4参照)が横方向(以下、左右方向と呼ぶ)に並んで配置されている。
【0022】
また、入金部20は、入金口12から投入された硬貨を受け入れて所定量ずつ送り出す供給部30、この供給部30または縦搬送部25から送り込まれる硬貨を受け入れて1枚ずつ繰り出す繰出部31、および繰出部31から1枚ずつ繰り出される硬貨を搬送する搬送通路32を備えている。供給部30および繰出部31は、例えば回転円盤を用いた硬貨繰出構造が採用されている。搬送通路32は、通路内の硬貨を搬送する搬送ベルトなどの搬送手段を備えている。
【0023】
搬送通路32には、搬送手段によって搬送する硬貨を識別する識別部33が配設され、この識別部33より搬送方向下流側の選別通路部分が機体11の前側から後側へ向けて配設されており、この選別通路部分に硬貨を選別する複数の選別部34が配設されている。選別部34には、搬送方向上流側から、識別部33で識別不能と判別されたリジェクト硬貨を選別するリジェクト硬貨選別部、任意の金種あるいは種類の任意硬貨を選別する任意硬貨選別部、5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨の各金種硬貨を選別する金種別選別部が含まれている。リジェクト硬貨選別部で選別されたリジェクト硬貨は入金リジェクト箱15に送り込まれ、任意硬貨選別部で選別された任意硬貨および各金種硬貨選別部で選別された各金種硬貨は一時保留部21に金種別に送り込まれる。
【0024】
また、図1ないし図4に示すように、一時保留部21は、機体11の前後方向に沿って金種別に配設されており、金種別の一時保留部21毎に対応して金種別に区画されていて上下方向に開口された保留枠40、および保留枠40の底面を開閉する底板である底部材41を有している。
【0025】
保留枠40は、モータなどの電気的駆動手段によって機体11の左右方向に沿って移動可能であって、収納投出部22、返却箱14、金箱23のいずれの上方位置にも移動可能としている。底部材41は、モータなどの電気的駆動手段によって機体11の左右方向に沿って移動可能であって、収納投出部22および返却箱14の上方位置に移動可能としている。したがって、保留枠40および底部材41は独立して左右方向に移動可能としている。
【0026】
保留枠40が搬送通路32の下方(各選別部34の下方)に位置するとともに中央の収納部27bである返却箱14の上方に位置し、底部材41が保留枠40の底面を閉塞している位置を一時保留部21の一時保留位置とし、搬送通路32の金種別選別部で金種別に選別された硬貨をそれぞれ収納して一時保留する。一時保留した硬貨の収納投出部22への収納時には、保留枠40のみが収納投出部22上に移動して一時保留硬貨を収納投出部22に放出する。一時保留した硬貨の金箱23への収納時には、保留枠40のみが金箱23上に移動して一時保留硬貨を金箱23に放出する。一時保留した硬貨の返却時には、底部材41のみが収納投出部22上に移動して保留枠40の底面を開放することにより一時保留硬貨を返却箱14に放出する。
【0027】
さらに、一時保留部21は、収納投出部22上および金箱23上に配置される仕切枠42,43を有している。これら仕切枠42,43は、金種別の一時保留部21毎並びに金種別の収納投出部22および金箱23毎に対応して機体11の前後方向に沿って金種別に区画されて上下方向に開口された枠形状に形成されている。一側の仕切枠42は、底部材41の一側に取り付けられていて、底部材41と一体に移動するように構成されている。他側の仕切枠43は、金箱23上で機体11の固定位置に取り付けられて配置されている。仕切枠42,43の上端面は、底部材41の上面と同等の高さ寸法に形成されており、移動する保留枠40が干渉することはないとともに、保留枠40が仕切枠42,43上に移動した際に保留枠40の下部との間から硬貨が飛び出すことがないように構成されている。また、仕切枠42は、収納投出部22と干渉することなく移動可能とし、収納投出部22の上部との間から硬貨が飛び出すことがないように構成されている。なお、図7乃至図9では仕切枠42,43を省略している。
【0028】
なお、図5に示すように、金種別の一時保留部21の最前部には、搬送通路32の任意選別部で選別された任意硬貨を一括して一時保留する一括一時保留部21aが配設されている。
【0029】
また、図5図7ないし図9に示すように、収納投出部22は、収納投出部ユニット16に搭載されて機体11の前後方向に沿って金種別に配設されている。収納投出部22は、一時保留部21から放出される硬貨を金種別に収納し、各収納投出部22の下部に配設されている投出機構50によって収納されている硬貨を1枚ずつ横搬送部24へ投出可能とする。投出機構50は、例えば回転円盤を用いた硬貨繰出構造が採用されている。各収納投出部22には、出金に準備して例えば200枚程度の出金準備金が収納可能であるとともに、さらに出金準備金よりも多い枚数の硬貨を収納可能としており、各収納投出部22に例えば2000枚程度の硬貨を収納可能としている。
【0030】
なお、金種別の収納投出部22の最前部には、一括一時保留部21aから放出される任意硬貨や後述する精査時におけるリジェクト硬貨を収納する一括収納箱22aが配設されている。この一括収納箱22aは、硬貨を繰り出すことはできない構造である。一括収納箱22a中の硬貨は、収納投出部22と一体的に機体11の前面に引き出して取り出すことができる。
【0031】
また、金箱23は、金箱ユニット17に搭載されて機体11の前後方向に沿って金種別に配設されている。各金箱23は、個別に設けられていて、上面を開口した箱状に形成されており、例えば4000枚程度の硬貨を収納可能としている。各金箱23は、金箱ユニット17を機体11から引き出した状態で、その金箱ユニット17に対して上方に抜き取り、および上方から差し込み可能としている。
【0032】
なお、金種別の金箱23の最前部には、一括一時保留部21aから放出される任意硬貨を収納する一括金箱23aが配設されている。
【0033】
また、返却箱14は、機体11の前後方向に沿って長く、上面が開口された箱状に形成されており、一時保留部21(一括一時保留部21aも含む)から放出される硬貨を一括して受け入れて収納可能とする。
【0034】
また、横搬送部24は、機体11の前後方向に沿って配設されていて各収納投出部22(一括収納箱22aは除く)から投出される硬貨を受け入れて搬送するベルトコンベヤによって構成されている。このベルトコンベヤは、受け入れた硬貨を、回収時または精査時に機体11の後部側へ搬送し、出金時に機体11の前部側へ搬送するように構成されている。
【0035】
また、縦搬送部25は、横搬送部24の後部側へ搬送された硬貨を受け入れて上方の入金部20に搬送するベルトコンベヤによって構成されている。このベルトコンベヤは、表面に硬貨を引っ掛けて搬送する突起付きのベルトを用いて上方の入金部20に搬送可能としている。本実施形態では、縦搬送部25によって硬貨を入金部20の繰出部31に搬送するようにしているが、入金部20の供給部30に搬送するようにしてもよい。
【0036】
そして、横搬送部24および縦搬送部25によって収納投出部22から投出された硬貨を入金部20に搬送する搬送部55が構成されている。
【0037】
また、出金機構26は、横搬送部24の前部側から送り込まれる出金硬貨を受け入れる出金一時保留部60、横搬送部24から出金一時保留部60に送り込まれる出金硬貨の金種を判別する判別部61、および出金箱13を昇降させるリフト62等を備えている。
【0038】
出金一時保留部60は、横搬送部24の前部側の一時保留位置にて横搬送部24から送り込まれる出金硬貨を受け入れて一時保留し、一時保留後の出金時にはリフト62によって下方の受取位置に下降された出金箱13上に移動して出金硬貨を放出し、一時保留後の回収時(判別部61の判別で、出金金種および金額との不一致等の出金異常と判別した場合)には機体11内に配置される出金リジェクト箱63上に移動して硬貨を放出する。
【0039】
リフト62は、出金箱13を、機体11から取出可能とする上方の取出位置と、出金一時保留部60から出金硬貨を受け入れる下方の受取位置との間で昇降させる。
【0040】
次に、硬貨処理装置10の動作を説明する。
【0041】
まず、入金処理について説明する。
【0042】
入金部20に受け入れた入金硬貨を、繰出部31から1枚ずつ搬送通路32に繰り出し、搬送通路32に沿って搬送する。
【0043】
搬送通路32を搬送する入金硬貨を識別部33で識別し、処理対象外や識別不能な入金リジェクト硬貨は入金リジェクト硬貨選別部で選別して入金リジェクト箱15に送り込む。入金リジェクト硬貨を収納した入金リジェクト箱15は、機体11から引き出して入金リジェクト硬貨を取出可能とする。
【0044】
識別部33での識別の結果、正常な入金硬貨は金種別選別部で選別し、それぞれ選別した硬貨を一時保留部21に金種別に一時保留する。このとき、図1に示すように、一時保留部21は、保留枠40が搬送通路32の下方(各選別部34の下方)に位置するとともに返却箱14の上方に位置し、底部材41が保留枠40の底面を閉塞する位置である一時保留位置にあり、保留部40内の底部材41上に金種別に硬貨を保留する。
【0045】
一時保留後の入金承認指令により、図2に示すように、一時保留部21の保留枠40が底部材41上から金箱23上に移動し、保留枠40の底部を開放し、保留枠40内の硬貨を放出して金箱23に金種別に収納する。この保留枠40が底部材41上から金箱23上に移動した際、保留枠40と金箱23との間には少なくとも底部材41の高さ分の寸法以上の隙間が生じるが、保留枠40と金箱23との間には金種別の仕切枠43が配置されているため、保留枠40の底部から放出される硬貨は、仕切枠43で案内されて金箱23に落下し、他の金種の金箱23に入ったり、金箱23の外の機体11内に飛び出すようなことがなく、所定の金種の金箱23に収納させることができる。
【0046】
なお、通常は、入金硬貨を金箱23に収納するが、収納投出部22のうち出金準備金が少ない収納投出部22がある場合には、一時保留した入金硬貨を収納投出部22に収納してもよい。この場合には、図3に示すように、一時保留部21の保留枠40が底部材41上から収納投出部22上に移動し、保留枠40の底部を開放し、保留枠40内の硬貨を放出して収納投出部22に金種別に収納する。この保留枠40が底部材41上から収納投出部22上に移動した際、保留枠40と収納投出部22との間には少なくとも底部材41の高さ分の寸法以上の隙間が生じるが、保留枠40と収納投出部22との間には金種別の仕切枠42が配置されているため、保留枠40の底部から放出される硬貨は、仕切枠42で案内されて収納投出部22に落下し、他の金種の収納投出部22に入ったり、収納投出部22の外の機体11内に飛び出すようなことがなく、所定の金種の収納投出部22に収納させることができる。
【0047】
一時保留後の返却指令により、図4に示すように、一時保留部21の底部材41が返却箱14上から収納投出部22上に移動し、保留枠40の底部を開放し、保留枠40内の硬貨を放出して返却箱14に一括して収納する。このとき、保留枠40と返却部14との間には少なくとも底部材41の高さ分の寸法以上の隙間が生じるが、これらの間の両側には底部材41の側面および仕切枠43の側面が配置されるため、保留枠40の底部から放出される硬貨は、底部材41および仕切枠43で案内されて返却箱14に落下し、収納投出部22や金箱23に入るようなことがなく、返却箱14に収納させることができる。そして、返却硬貨を収納した返却箱14は、機体11から引き出して返却硬貨を取り出すことができる。
【0048】
このように、一時保留部21から金箱23、収納投出部22、返却箱14のいずれへの硬貨の放出とも、保留枠40または底部材41の1ステップの移動で可能となっている。
【0049】
また、入金処理中には、識別部33で識別する金種の硬貨を金箱23に収納した場合の収納枚数を監視している。ある金種の金箱23で満杯となる硬貨(例えば4000枚目の硬貨)を識別部33で識別したら、その満杯となる硬貨よりも後続の硬貨の搬送を停止させ、その満杯となる硬貨が一時保留部21に一時保留された後、一時保留部21の硬貨を金箱23に収納することにより、ある金種の金箱23に所定枚数(例えば4000枚)の硬貨を収納させて満杯にする。
【0050】
その後、停止させていた後続の硬貨の入金処理を再開し、硬貨を識別および選別して一時保留部21に保留するが、一時保留部21に一時保留された硬貨は、金箱23でなく、収納投出部22に収納させる。なお、入金処理の再開後、識別部33で満杯の金種の硬貨が識別されなかった場合には、一時保留部21の硬貨を金箱23に収納してもよい。
【0051】
次に、出金処理について説明する。
【0052】
出金対象金種の収納投出部22から所定の出金枚数分の出金硬貨を投出する。投出された出金硬貨は、横搬送部24により前部側へ搬送して出金一時保留部60に放出する。横搬送部24から出金一時保留部60に放出する出金硬貨は判別部61で判別・計数する。
【0053】
収納投出部22からの出金額分の出金硬貨の投出が完了し、判別部61での判別によって出金額分の出金硬貨が横搬送部24から出金一時保留部60に放出されたことを確認したら、出金一時保留部60が出金箱13側に移動して出金硬貨を放出して出金箱13に収納する。なお、出金箱13は、予め下方の受取位置に移動して待機している。
【0054】
出金一時保留部60が横搬送部24から出金硬貨を受け入れる位置に戻り、出金硬貨を収納した出金箱13がリフト62によって上方の取出位置に移動する。出金箱13を機体11から引き出し、出金硬貨を取り出す。
【0055】
出金硬貨を取り出した出金箱13が機体11内に戻されると、出金箱13がリフト62によって下方の受取位置に移動し、次の出金硬貨の搬送に待機する。
【0056】
次に、収集処理について説明する。
【0057】
収集処理は、収納投出部22内の硬貨を金箱23に移す処理であり、この処理によって収納投出部22内の硬貨量を少なくし、後述する精査処理や回収処理を短時間で容易に行えるようにする。収集処理により、収納投出部22内の硬貨量を、所定の出金準備金を残し、かつ一時保留部21の一時保留可能な硬貨量より少ない量とする。
【0058】
収集処理では、収納投出部22から投出した硬貨を、横搬送部24、縦搬送部25、入金部20を経て一時保留部21に一時保留し、一時保留部21から金箱23に収納する。
【0059】
次に、精査処理について説明する。
【0060】
精査処理では、収納投出部22に収納されている硬貨を全て取り出し、識別計数した後、該当金種の収納投出部22に戻す処理であり、精査を複数金種混合して行う場合と1金種ずつ行う場合とがある。
【0061】
そして、収納投出部22に収納されている金種別の硬貨量が一時保留部21の金種別の一時保留容量より少ない場合には、複数金種混合して行う。
【0062】
全ての金種の収納投出部22から同時に硬貨を投出する。投出された硬貨を、横搬送部24および縦搬送部25を経て入金部20に搬送し、入金部20で識別および選別して一時保留部21に一時保留する。収納投出部22から投出された全ての硬貨を一時保留部21に収納したら、一時保留部21内の硬貨を元の収納投出部22に放出して戻す。
【0063】
また、収納投出部22に収納されている硬貨量が一時保留部21の一時保留容量より多い場合には、1金種ずつ行う。
【0064】
例えば1円硬貨の精査処理を行う場合、1円硬貨の収納投出部22から1円硬貨を投出し、横搬送部24および縦搬送部25を経て入金部20に搬送し、入金部20で識別および選別して一時保留部21に一時保留する。
【0065】
一時保留部21に一時保留した1円硬貨の枚数が一時保留部21の一時保留容量に達したら、入金部20からの搬送を停止し、それ以降は収納投出部22から投出される1円硬貨を入金部20が有するホッパ12a内に保留する。収納投出部22内の1円硬貨を全て投出して空になると、一時保留部21内の1円硬貨を収納投出部22に放出して戻す。
【0066】
一時保留部21を空にしたら、入金部20の動作を再開し、入金部20のホッパ12aに保留されている1円硬貨の識別および選別して一時保留部21に一時保留する。ホッパ12aの硬貨を一時保留部21に収納したら、一時保留部21内の硬貨を元の収納投出部22に放出して戻す。
【0067】
また、他の金種の硬貨についても同様の処理を繰り返して精査を継続する。
【0068】
そして、上述した収集処理において、収納投出部22内の硬貨量を一時保留部21の一時保留容量より少なくしておくことにより、上述した全ての金種の同時精査が可能となり、精査処理を短時間で行うことができる。
【0069】
次に、回収処理について説明する。
【0070】
回収処理では、全ての収納投出部22に収納されている硬貨を、金箱23に回収する処理である。
【0071】
全ての金種の収納投出部22から同時に硬貨を投出する。投出された硬貨を、横搬送部24および縦搬送部25を経て入金部20に搬送し、入金部20で識別および選別して一時保留部21に一時保留する。
【0072】
収納投出部22に収納されている金種別の硬貨量が一時保留部21の金種別の一時保留容量より少ない場合には、収納投出部22から投出された全ての硬貨が一時保留部21に収納される。一時収納後に、一時保留部21内の硬貨を金箱23に放出して収納する。
【0073】
また、収納投出部22に収納されている硬貨量が一時保留部21の一時保留容量より多い場合には、一時保留部21に一時保留した硬貨の枚数が一時保留部21の一時保留容量に達したら、収納投出部22および入金部20の動作を一旦停止し、一時保留部21内の硬貨を金箱23に放出して収納する。
【0074】
一時保留部21を空にしたら、収納投出部22および入金部20の動作を再開し、上述したように、硬貨を一時保留部21に一時保留し、一時保留部21内の硬貨を金箱23に放出して収納する動作を繰り返す。
【0075】
そして、上述した収集処理において、収納投出部22内の硬貨量を一時保留部21の一時保留容量より少なくしておくことにより、回収処理を短時間で行うことができる。
【0076】
このように構成された硬貨処理装置では、3つの収納部27a,27b,27cのうち、中央の収納部27b上を保留枠40および底部材41の一時保留位置として保留枠40内に硬貨を一時保留するため、一時保留部21で一時保留した硬貨を3つ収納部27a,27b,27cのいずれに振り分ける場合でも、保留枠40または底部材41の1ステップの動作で済み、短時間で処理できる。
【0077】
すなわち、一時保留部21は、一時保留位置から保留枠40のみが横方向の一側または他側に移動して保留枠40内の硬貨を一側または他側の収納部27a,27cに放出し、一時保留位置から底部材41のみが移動して保留枠40内の硬貨を中央の収納部27bに放出するため、一時保留部21で一時保留した硬貨を3つ収納部27a,27b,27cのいずれに振り分ける場合でも、保留枠40または底部材41の1ステップの動作で済み、短時間で処理できる。
【0078】
また、一時保留部21が一側または他側の収納部27a,27c上に移動した際に、一側および他側の仕切枠42,43が一時保留部21と収納部27a,27cとの間に配置されてこれらを金種毎に連通させるため、一時保留部21から放出する硬貨が異なる金種の収納部27a,27cに入るのを防止できる。
【0079】
一側の仕切枠42が底部材41と一体に移動するため、一側の仕切枠42が底部材41の移動の妨げになるのを防止でき、また、他側の仕切43が収納部27c上に固定配置されているため、底部材41が一側に移動して保留枠40内の硬貨を中央の収納部27bに放出する際、底部材41の側面と他側の仕切43の側面とで保留枠40から放出される硬貨を中央の収納部27bに案内し、保留枠40から放出される硬貨が中央以外の収納部27a,27cに入るのを防止できる。
【0080】
また、3つの収納部27a,27b,27cは、一時保留部21から受け入れる硬貨を収納するともに収納した硬貨を投出する収納投出部22、一時保留部21から受け入れる硬貨を返却する返却箱14、および一時保留部21から受け入れる硬貨を収納する金箱23であり、使用する機会が他に比べて少ない返却箱14が中央に配置されていることから、保留枠40の移動のみで保留枠40内の硬貨を収納投出部22または金箱23に振り分けることができる。
【0081】
なお、底部材41は、機体11の左右方向に移動して保留枠40の底部を開閉するが、機体11の前後方向に移動して保留枠40の底部を開閉してもよく、また、底板の形態に限らず、下方へ開閉する開閉式の形態や、伸縮して開閉する蛇腹状などの形態でも構わない。
【0082】
また、中央の収納部27bも、金種別に硬貨を収納するように設けてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、一時保留部構成を、入金の一時保留部21に採用した例を示したが、出金一時保留部60に採用してもよく、また、入金や出金以外の硬貨の処理においても、硬貨の一時保留と硬貨の振り分けを伴う処理に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 硬貨処理装置
14 返却箱
21 一時保留部
22 収納投出部
23 金箱
27a,27b,27c 収納部
34 選別部
40 保留枠
41 底部材
42,43 仕切枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9