(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記ガイドで案内されて落下移動中の包装硬貨の落下速度、落下姿勢および落下位置を前記撮像手段の撮像データから検出し、これら落下速度、落下姿勢および落下位置の検出結果に基づいて前記印字ヘッドの姿勢と印字のタイミングとを制御することを特徴とする請求項1記載の包装硬貨取扱機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装前の包装紙に印字を行うものであると、硬貨の集積中や包装紙の走行中に障害が生じた場合等に、印字済みの包装紙を除去して捨てなければならなくなる可能性がある。よって、運用コストが増大してしまう可能性がある。また、温度により変化する特殊処理した包装材も高価であり、運用コストが増大してしまう可能性がある。
【0005】
したがって、本発明は、運用コストを低減することが可能となる包装硬貨取扱機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1
,3,4に係る発明は、集積硬貨の周面に包装紙を巻回してなる包装硬貨を取り扱う包装硬貨取扱機において、包装硬貨の移動を案内するガイドと、前記ガイドを移動中の包装硬貨を撮像する撮像手段と、姿勢変更可能な印字ヘッドを有し前記ガイドを移動中の包装硬貨に印字を行う非接触印字手段と、前記撮像手段の撮像データに基づいて前記印字ヘッドの姿勢を制御して前記非接触印字手段により包装硬貨に印字を行わせる制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項
1に係る発明は
、前記ガイドは包装硬貨の落下移動を案内するものであり、前記撮像手段は、前記ガイドで案内されて落下移動中の包装硬貨を撮像し、前記非接触印字手段は、前記ガイドで案内されて落下移動中の包装硬貨に印字を行うことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記印字ヘッドは、前記ガイドで案内されて移動する包装硬貨の移動方向に対して直交する面内で傾動可能であり、前記面内に配置された軸線を中心に回転可能であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記印字ヘッドを傾動可能に支持する支持体と、前記支持体に設けられて前記印字ヘッドを傾動させる傾動駆動手段と、前記支持体を回転させる回転駆動手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項
2に係る発明は、請求項
1に係る発明において、前記制御手段は、前記ガイドで案内されて落下移動中の包装硬貨の落下速度、落下姿勢および落下位置を前記撮像手段の撮像データから検出し、これら落下速度、落下姿勢および落下位置の検出結果に基づいて前記印字ヘッドの姿勢と印字のタイミングとを制御することを特徴とする。
【0009】
請求項
5に係る発明は、請求項1から
4のいずれか一項に係る発明において、前記印字ヘッドは、包装硬貨にインクを吹き付けて印字を行うものであることを特徴とする。
【0012】
請求項
6に係る発明は、請求項1から
5のいずれか一項に係る発明において、集積硬貨の周面に包装紙を巻回して包装硬貨を作製する包装部を備え、前記ガイドは、前記包装部から繰り出される包装硬貨の移動を案内することを特徴とする。
【0013】
請求項
7に係る発明は、請求項1から
6のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、正常な包装硬貨のみに前記非接触印字手段により印字を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1
,3,4に係る発明によれば、制御手段が、ガイドを移動中の包装硬貨の撮像手段による撮像データに基づいて印字ヘッドの姿勢を制御して印字ヘッドを含む非接触印字手段により包装硬貨に印字を行わせるため、包装硬貨の姿勢に合わせて印字を行うことができる。よって、包装硬貨への印字が不良となることを抑制できる。また、包装硬貨に直接印字を行うため、包装前の包装紙に印字を行う場合のように印字済みの包装紙を無駄にする回数を低減でき、特殊処理した高価な包装材も不要となる。したがって、包装紙を抑制でき、運用コストを低減することが可能となる。加えて、ガイドを移動中の包装硬貨に印字を行うため、包装硬貨の搬送速度を低下させることがなく、搬送時間の長大化を抑制することができる。
【0015】
請求項
1に係る発明によれば、ガイドが落下移動する包装硬貨を案内するものであり、撮像手段は、このようにガイドで案内されて落下移動中の包装硬貨を撮像し、非接触印字手段は、このようにガイドで案内されて落下移動中の包装硬貨に印字を行う。よって、特別な搬送装置が不要となり、コスト低減を図れる。
請求項3に係る発明によれば、印字ヘッドが、ガイドで案内されて移動する包装硬貨の移動方向に対して直交する面内で傾動可能であり、前記面内に配置された軸線を中心に回転可能であるため、比較的簡易な動作で印字ヘッドの姿勢を包装硬貨の位置および姿勢に対応させることができる。
請求項4に係る発明によれば、傾動駆動手段が支持体に対して印字ヘッドを傾動させることで印字の方向を変更可能となり、回転駆動手段が支持体を回転させると、印字ヘッドが回転して印字の傾斜を変更することになる。よって、比較的簡素な構造で印字ヘッドの姿勢を包装硬貨の位置および姿勢に対応させることが可能となる。
【0016】
請求項
2に係る発明によれば、制御手段は、包装硬貨の落下速度、落下姿勢および落下位置を撮像手段の撮像データから検出し、これら落下速度、落下姿勢および落下位置の検出結果に基づいて印字ヘッドの姿勢と印字のタイミングとを制御する。よって、ガイドにより落下を案内するという、搬送速度、搬送姿勢および搬送位置が不安定な搬送で搬送さる包装硬貨に対しても、良好に印字を行うことができる。
【0017】
請求項
5に係る発明によれば、印字ヘッドが、包装硬貨にインクを吹き付けて印字を行うものであるため、コスト低減を図れる。また、印字済みの包装紙の無駄の抑制がインクの無駄の抑制にも繋がる。
【0020】
請求項
6に係る発明によれば、包装硬貨を作製する包装部から繰り出される包装硬貨の移動をガイドで案内する際に、包装硬貨に印字を行うため、包装部において包装前の包装紙に印字を行う場合のように包装前の印字済みの包装紙を無駄にする回数を低減することができる。
【0021】
請求項
7に係る発明によれば、制御手段は、正常な包装硬貨のみに非接触印字手段により印字を行わせるため、印字の有無から正常および異常を識別でき、正常および異常の識別が容易にできることになる。また、包装後の印字済みの包装紙が無駄になる回数を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る包装硬貨取扱機を図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る包装硬貨取扱機11は、包装硬貨を取り扱うもので、具体的には包装硬貨を作製し取り出し可能に収容する硬貨包装機である。
図1に示すように、本実施形態に係る包装硬貨取扱機11は、包装紙Sを供給する包装紙供給部12と、包装紙供給部12から供給される包装紙Sを集積状態の図示略の硬貨に巻き付けて包装し包装硬貨とする包装部13と、これらを制御する制御装置15(制御手段)とを有している。
【0024】
包装紙供給部12は、包装紙ロールS1を回転可能に支持するロール支持部16を有している。包装紙ロールS1は、紙または樹脂フィルムからなる長尺シート状の包装紙Sが巻かれることでロール状に形成されている。包装紙供給部12は、ロール支持部16の側方に第1挿入案内板21および第2挿入案内板22を有している。
【0025】
また、包装紙供給部12は、第1挿入案内板21および第2挿入案内板22のロール支持部16とは反対側に給紙ローラ23および補助ローラ機構24を有している。補助ローラ機構24は、軸部25を中心に回転するアーム26と、アーム26の先端部に回転可能に支持された補助ローラ27と、アーム26を付勢するバネ部材28とを有している。バネ部材28は、補助ローラ27を給紙ローラ23に押し付けるようにアーム26を付勢している。
【0026】
包装紙ロールS1から繰り出される包装紙Sは、第1挿入案内板21と第2挿入案内板22との間に挿入され、給紙ローラ23と補助ローラ27との間に挟まれる。給紙ローラ23および補助ローラ27は、ロール支持部16に支持された包装紙ロールS1から包装紙Sを引き出して供給先となる包装部13に向けて送り出す。
【0027】
包装紙供給部12は、給紙ローラ23側に配置される第1供給案内板31と、第1供給案内板31の給紙ローラ23とは反対側に配置される湾曲形状の第2供給案内板32と、第2供給案内板32の第1供給案内板31とは反対側の端部に並設される第3供給案内板33とを有している。
【0028】
上記のように給紙ローラ23および補助ローラ27から送り出された包装紙Sは、第1供給案内板31、第2供給案内板32で湾曲状に案内されて、第2供給案内板32と第3供給案内板33との間を通って、包装部13に向けてさらに送り出される。包装紙供給部12は、カッタ35を有している。給紙ローラ23が停止させられた状態で包装紙Sが包装部13に引き込まれると、包装紙Sがカッタ35に接触して切断される。
【0029】
包装部13は、鉛直方向に沿う三本の包装ローラ37,37,37を有する従来と同様のものである。包装部13には、これら包装ローラ37,37,37の間に上下方向に集積された図示略の集積硬貨が配置されることになり、この集積硬貨を集積方向の両側の
図2に示す挟持部材38,38で挟持する。包装部13には、
図1に示す包装紙供給部12から、カッタ35で予め所定長さに切断された包装紙Sが供給される。包装部13は、包装ローラ37,37,37が集積硬貨とで包装紙Sを挟持しつつ回転して集積硬貨の周面に包装紙Sを巻き付けるとともに、上下一対の
図2に示す加締爪39,39が包装紙Sの上下端を加締める。このようにして包装部13が、集積硬貨の周面に包装紙Sを巻回してなる包装硬貨Cを作製する。
【0030】
包装部13は、例えば、挟持部材38,38の間隔を検出する間隔検出センサ40を有しており、制御装置15は、間隔検出センサ40の検出結果と硬貨の金種別の基準厚さとにより、硬貨の過不足を検出する。そして、制御装置15は、過不足のある包装硬貨Cを異常と判定し、硬貨の過不足がない包装硬貨Cを正常と判定する。
【0031】
そして、包装硬貨取扱機11の下部には、包装部13で一本ずつ作製され包装部13から一本ずつ繰り出される包装硬貨Cの重力による落下移動を案内するガイド45と、ガイド45で案内された包装硬貨Cを機外に取り出し可能に収容する収容部46と、ガイド45で包装部13から収容部46に向けて搬送中の包装硬貨Cに印字を行う印字装置47とが設けられている。
【0032】
ガイド45は、包装硬貨Cの搬送方向上流側(以下、搬送方向上流側と称する)つまり包装部13側に配置される上流側ガイド部50と、包装硬貨Cの搬送方向下流側(以下、搬送方向下流側と称する)つまり収容部46側に配置される下流側ガイド部51とを有している。
【0033】
図3に示すように、上流側ガイド部50は、鉛直に立設されて互いに平行をなす一対の平板状の上流側壁部52,53と、一対の上流側壁部52,53のそれぞれの下端縁部から互いに近接するように延出して延出先端側の端縁部同士が繋がる一対の平板状の
図4に示す上流側底部54,55とを有している。一対の上流側底部54,55は、相互近接側ほど下側に位置するように断面V字状をなしており、いずれも下流側ほど下側に位置するように傾斜している。ここで、上流側壁部52,53同士を結ぶ方向をガイド45の幅方向(以下、ガイド幅方向と称す)とすると、上流側底部54,55は、互いの境界線Oがガイド幅方向の中央にあって上流側壁部52,53と平行をなしている。そして、上流側底部54,55は、上流側壁部52,53に直交する面と平行をなして境界線Oを含む面に対する傾斜角度が同等になっている。
【0034】
上流側底部54,55が、このような形状をなしていることから、上流側ガイド部50は、円柱状の包装硬貨Cを、重力によって上流側底部54,55の両方に線接触させて上流側底部54,55の境界線O(ガイド幅方向の中央)に最も近づけ、姿勢を境界線Oの延在方向(搬送方向)に沿わせる。そして、上流側ガイド部50は、この状態で、包装硬貨Cが境界線Oの延在方向に移動するように案内する。
【0035】
下流側ガイド部51は、鉛直に立設されて互いに平行をなす下流側壁部56,57と、下流側壁部56,57のそれぞれの下端縁部から互いに近接するように延出して延出先端側の端縁部同士が繋がる下流側底部58,59と、搬送方向の最も下流側に位置して鉛直に立設される端壁部60とを有している。
【0036】
下流側壁部56は下流側壁部57よりも搬送方向の長さが短くなっている。下流側壁部56は一方の上流側壁部52と同一平面状に配置されており、一方の上流側壁部52と連続している。下流側壁部57は他方の上流側壁部53と同一平面状に配置されており、他方の上流側壁部53と連続している。
【0037】
下流側壁部56の下端縁部から延出する下流側底部58は、一方の上流側底部54と連続しており、下流側壁部57の下端縁部から延出する下流側底部59は、他方の上流側底部55と連続している。下流側底部58は、下流側底部59よりも搬送方向の長さが短くなっている。下流側底部58,59は、互いに繋がる搬送方向の範囲が相互近接側ほど下側に位置するように断面V字状をなしており、いずれも搬送方向においては一定高さとなっている。つまり、水平方向側方から見ると、上流側ガイド部50は全体として水平に対して傾斜しており、下流側ガイド部51は全体として水平に配置されている。
【0038】
端壁部60は下流側壁部57に対して直交して鉛直に延在している。下流側壁部56および下流側底部58が下流側壁部57および下流側底部59よりも短くなっていることでガイド45は、搬送方向下流側の端部に搬送方向に対して直交する側方に開口する放出口61が形成されている。下流側底部59はこの放出口61に向かって放出口61側ほど下側に位置するように傾斜しており、端壁部60に当接して停止した包装硬貨Cを放出口61から
図2に示す収容部46に向けて放出させる。ガイド45は、包装部13からの包装硬貨Cの繰り出しの時間間隔よりも短い時間で、包装部13から繰り出された硬貨を放出口61から放出する。
【0039】
図3に示すように、印字装置47は、ガイド45で案内され、その上流側ガイド部50を落下移動中の包装硬貨Cを撮像するカメラ65(撮像手段)と、ガイド45で案内されその上流側ガイド部50を落下移動中の包装硬貨Cに非接触で印字を行う印字装置本体66(非接触印字手段)と、を有している。印字装置本体66は、カメラ65よりも搬送方向下流側に配置されている。
【0040】
印字装置本体66は、回転モータ70(回転駆動手段)と、その回転軸71に連結される支持体72とを有する回転駆動機構73と、支持体72に回転可能に支持される印字ヘッド74と、印字ヘッド74を支持体72に対して回転させる傾動駆動機構75(傾動駆動手段)とを有している。
【0041】
回転駆動機構73の回転モータ70は、包装硬貨取扱機11の機体側に固定されており、回転軸71を上流側ガイド部50に向け、回転軸71の回転中心軸線を、上流側底部54,55の境界線Oに対して直交させつつ鉛直面内に配した姿勢となっている。
【0042】
支持体72は、回転モータ70と上流側ガイド部50との間に配置されており、回転モータ70の回転軸71に固定されている。よって、言い換えれば、回転モータ70は支持体72を回転させる。支持体72は、印字ヘッド74を収容する箱状をなしている。印字ヘッド74は、包装硬貨Cにインクを吹き付けて印字を行うものである。印字ヘッド74は、インクを吐出する吐出部77が上流側ガイド部50の上流側底部54,55と対向するように支持体72に配置されており、吐出部77の回転軸78において支持体72に傾動可能に連結されている。言い換えれば、支持体72は、印字ヘッド74を傾動可能に支持している。回転軸78は、その回転中心軸線が上流側底部54,55の境界線Oと平行をなしている。印字ヘッド74には、吐出部77とは反対側に回転軸78と平行に係合軸79が設けられている。回転軸78および係合軸79は印字ヘッド74の同側である搬送方向下流側に設けられている。吐出部77は、例えば、印字ヘッド74に対して移動することはなく、格子状に配置された多数のドット吐出口の適宜のものから同時にインクを突出させて印字を行うようになっている。
【0043】
傾動駆動機構75は、支持体72内に設けられており、傾動モータ81とその回転軸82を係合軸79に連結するアーム83とを有している。傾動モータ81は、支持体72内の印字ヘッド74と回転モータ70との間に配置されており、支持体72に固定されている。傾動モータ81は、回転軸82を搬送方向下流側に配置しており、その回転中心軸線を回転軸78の回転中心軸線と平行させている。アーム83は、一端側が傾動モータ81の回転軸82に固定されており、他端側が係合軸79に回転可能に係合されている。
【0044】
傾動駆動機構75は、傾動モータ81が回転軸82を回転させると、アーム83を揺動させることになり、これにより、印字ヘッド74を回転軸78を中心に傾動させる。印字ヘッド74は、回転軸78の回転中心軸線を中心に傾動することになり、この回転中心軸線は境界線Oと平行をなしている。このため、印字ヘッド74は、ガイド45で案内されて上流側ガイド部50を移動する包装硬貨Cの移動方向に対して直交する面内で傾動可能となっている。
【0045】
回転モータ70は、回転軸71を回転させると、回転軸71と一体に支持体72を回転させることになる。回転軸71の回転中心軸線は、境界線Oと直交している。よって、印字ヘッド74は、ガイド45で案内されて上流側ガイド部50を移動する包装硬貨Cの移動方向に対して直交する面内に配置された軸線を中心に回転可能となっている。
【0046】
以上により、印字ヘッド74は、吐出部77および全体が姿勢変更可能となっている。ここで、印字ヘッド74の吐出部77が、ガイド幅方向の位置を境界線Oと一致させており、かつ印字ヘッド74の回転軸78が境界線Oに沿う姿勢となった状態が、印字ヘッド74、傾動駆動機構75、回転駆動機構73および印字装置本体66の待機状態となっている。
【0047】
次に、カメラ65の撮像データに基づいて印字ヘッド74の姿勢を制御して印字装置本体66により包装硬貨Cに印字を行わせる制御装置15の制御内容について説明する。
【0048】
カメラ65は、包装部13から包装後に繰り出される包装硬貨Cを、上流側ガイド部50での落下移動中に撮像する。ここで、上記したように、上流側ガイド部50は、
図5(a)に示すように、円柱状の包装硬貨Cを、重力によって上流側底部54,55の両方に線接触させて上流側底部54,55の境界線Oに最も近づけ、姿勢を境界線Oの延在方向に沿わせるように、位置および姿勢を矯正する。そして、上流側ガイド部50は、包装硬貨Cを、境界線Oの延在方向に移動するように案内する。この状態の包装硬貨Cを、正常移動状態とする。
【0049】
しかしながら、包装部13からの放出姿勢や放出位置によっては、包装硬貨Cを上記のように矯正し切れない場合がある。例えば、
図5(b)に示すように、包装硬貨Cが、上流側底部54,55のうちの一方の上流側底部54のみに線接触し、他方の上流側底部55に接触せず、境界線Oの延在方向には沿うものの、ガイド幅方向の位置が上流側底部54側にずれる状態となる場合がある。この状態の包装硬貨Cを、第1異常移動状態とする。
【0050】
あるいは、上記とは反対に、
図5(c)に示すように、包装硬貨Cが、上流側底部54,55のうちの他方の上流側底部55のみに線接触して、一方の上流側底部54に接触せず、境界線Oの延在方向には沿うものの、ガイド幅方向の位置が他方の上流側底部55側にずれる状態となる場合がある。この状態の包装硬貨Cを、第2異常移動状態とする。
【0051】
あるいは、包装硬貨Cが、
図6(a)に示すように、上流側底部54,55の両方に点接触する状態となり、ガイド幅方向の中央に位置するものの境界線Oの延在方向に沿わずに、下流側が上流側よりもガイド幅方向の上流側底部55側に位置するように斜めとなる場合がある。この状態の包装硬貨Cを、第3異常移動状態とする。
【0052】
あるいは、包装硬貨Cが、
図6(b)に示すように、上流側底部54,55の両方に点接触する状態となり、ガイド幅方向の中央に位置するものの境界線Oの延在方向に沿わずに、下流側が上流側よりもガイド幅方向の上流側底部54側に位置するように斜めとなる場合がある。この状態の包装硬貨Cを、第4異常移動状態とする。
【0053】
あるいは、包装硬貨Cが、
図6(c)に示すように、上流側底部54,55のうちの一方の上流側底部54に線接触し他方の上流側底部55に点接触する状態となり、あるいは上流側底部54,55の両方に点接触する状態となって、ガイド幅方向の中央よりも一方の上流側底部54側に寄って位置し、境界線Oの延在方向に沿わずに下流側が上流側よりもガイド幅方向の上流側底部55側に位置するように斜めとなる場合がある。この状態の包装硬貨Cを、第5異常移動状態とする。
【0054】
あるいは、包装硬貨Cが、
図6(d)に示すように、上流側底部54,55のうちの一方の上流側底部54に点接触し他方の上流側底部55に線接触する状態となり、あるいは上流側底部54,55の両方に点接触する状態となって、ガイド幅方向の中央よりも他方の上流側底部55側に寄って位置し、境界線Oの延在方向に沿わずに下流側が上流側に対してガイド幅方向の上流側底部54側に位置するように斜めとなる場合がある。この状態の包装硬貨Cを、第6異常移動状態とする。
【0055】
ガイド45を移動する包装硬貨Cには、硬貨の過不足がある異常な包装硬貨Cと、硬貨の過不足がない正常な包装硬貨Cとがあり、包装硬貨Cの上流側ガイド部50での移動状態は、正常移動状態と第1〜第6異常移動状態の7種類に分類される。制御装置15は、上流側ガイド部50を移動しカメラ65で撮像される包装硬貨Cが、異常および正常のいずれの包装硬貨Cであるかを包装部13からの繰り出しのタイミングとカメラ65での撮像のタイミングとの時間差に基づいて把握している。そして、制御装置15は、正常な包装硬貨Cのみについて、カメラ65の撮像データに基づいて上流側ガイド部50を落下移動中の落下速度、落下姿勢および落下位置を検出する。そして、制御装置15は、これら落下速度、落下姿勢および落下位置の検出結果に基づいて印字装置本体66の印字ヘッド74の姿勢と印字のタイミングとを制御して印字を行う。他方、異常な包装硬貨Cについて、制御装置15は、印字装置本体66による印字は行わない。
【0056】
以下、正常な包装硬貨Cへの印字処理について説明する。
【0057】
例えば、包装硬貨Cが、
図5(a)に示すように正常移動状態で移動する場合に、この包装硬貨Cを撮像したカメラ65の撮像データに基づいて、制御装置15は、包装硬貨Cの落下速度を検出するとともに、包装硬貨Cの落下姿勢が境界線Oに沿っていることを検出し、さらに、包装硬貨Cの落下位置が境界線Oとガイド幅方向において一致することを検出することになる。
【0058】
すると、制御装置15は、印字装置本体66は待機状態としたまま、カメラ65の撮像後、包装硬貨Cの落下速度から割り出される、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に吐出部77で印字を行うことができるタイミングで、吐出部77からインクを対向する包装硬貨Cに吹き付けて包装硬貨Cに所定の印字情報を印字する。これにより、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に包装硬貨Cの長さ方向に向きを揃えた状態で印字情報が印字されることになる。この印字情報は、例えば、
図7に示すように、印字を行った日の日付(図示例は、「20××/××/××」)と、包装硬貨Cを他の包装硬貨と識別するための識別番号(図示例は「123456789」)とである。金種および全金額等を印字情報に含めても良い。
【0059】
また、例えば、包装硬貨Cが、
図5(b)に示すように第1異常移動状態で移動する場合に、この包装硬貨Cを撮像したカメラ65の撮像データに基づいて、制御装置15は、包装硬貨Cの落下速度を検出するとともに、包装硬貨Cの落下姿勢が境界線Oに沿っていることを検出し、さらに、包装硬貨Cのガイド幅方向における落下位置の境界線Oに対するズレ方向(上流側底部54の方向)とズレ量(距離)とを検出することになる。
【0060】
すると、制御装置15は、回転駆動機構73は待機状態としたまま、傾動駆動機構75を駆動して、吐出部77が、包装硬貨Cのズレ方向と同じ方向(上流側底部54の方向)に、包装硬貨Cのズレ量に応じた量だけ姿勢を変更するように印字ヘッド74を傾動させる。また、カメラ65の撮像後、包装硬貨Cの落下速度から割り出される、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に吐出部77で印字を行うことができるタイミングで、吐出部77からインクを対向する包装硬貨Cに吹き付けて包装硬貨Cに所定の印字情報を印字する。これにより、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に包装硬貨Cの長さ方向に向きを揃えた状態で印字情報が印字されることになる。
【0061】
また、例えば、包装硬貨Cが、
図5(c)に示すように第2異常移動状態で移動する場合に、この包装硬貨Cを撮像したカメラ65の撮像データに基づいて、制御装置15は、包装硬貨Cの落下速度を検出するとともに、包装硬貨Cの落下姿勢が境界線Oに沿っていることを検出し、さらに、包装硬貨Cのガイド幅方向における落下位置の境界線Oに対するズレ方向(上流側底部55の方向)とズレ量(距離)とを検出することになる。
【0062】
すると、制御装置15は、回転駆動機構73は待機状態としたまま、傾動駆動機構75を駆動して、吐出部77が、包装硬貨Cのズレ方向と同じ方向(上流側底部55の方向)に、包装硬貨Cのズレ量に応じた量だけ姿勢を変更するように印字ヘッド74を傾動させる。また、カメラ65の撮像後、包装硬貨Cの落下速度から割り出される、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に吐出部77で印字を行うことができるタイミングで、吐出部77からインクを対向する包装硬貨Cに吹き付けて包装硬貨Cに所定の印字情報を印字する。これにより、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に包装硬貨Cの長さ方向に向きを揃えた状態で印字情報が印字されることになる。
【0063】
また、例えば、包装硬貨Cが、
図6(a)に示すように第3異常移動状態で移動する場合に、この包装硬貨Cを撮像したカメラ65の撮像データに基づいて、制御装置15は、包装硬貨Cの落下速度を検出するとともに、包装硬貨Cの落下位置が境界線Oとガイド幅方向に一致することを検出し、さらに、包装硬貨Cの落下姿勢の境界線Oに対する傾斜の向き(下流側ほど上流側底部55に近づく向き)と傾斜量(角度)とを検出することになる。
【0064】
すると、制御装置15は、傾動駆動機構75は待機状態としたまま、回転駆動機構73を駆動して、吐出部77が、包装硬貨Cの傾斜の向きと同じ向き(下流側ほど上流側底部55に近づく向き)に、包装硬貨Cの傾斜量に応じた傾斜量だけ姿勢を変更するように印字ヘッド74を回転させる。また、カメラ65の撮像後、包装硬貨Cの落下速度から割り出される、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に吐出部77で印字を行うことができるタイミングで、吐出部77からインクを対向する包装硬貨Cに吹き付けて包装硬貨Cに所定の印字情報を印字する。これにより、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に包装硬貨Cの長さ方向に向きを揃えた状態で印字情報が印字されることになる。
【0065】
また、例えば、包装硬貨Cが、
図6(b)に示すように第4異常移動状態で移動する場合に、この包装硬貨Cを撮像したカメラ65の撮像データに基づいて、制御装置15は、包装硬貨Cの落下速度を検出するとともに、包装硬貨Cの落下位置が境界線Oとガイド幅方向に一致することを検出し、さらに、包装硬貨Cの落下姿勢の境界線Oに対する傾斜の向き(下流側ほど上流側底部54に近づく向き)と傾斜量(角度)とを検出することになる。
【0066】
すると、制御装置15は、傾動駆動機構75は待機状態としたまま、回転駆動機構73を駆動して、吐出部77が、包装硬貨Cの傾斜の向きと同じ向き(下流側ほど上流側底部54に近づく向き)に、包装硬貨Cの傾斜量に応じた傾斜量だけ姿勢を変更するように印字ヘッド74を回転させる。また、カメラ65の撮像後、包装硬貨Cの落下速度から割り出される、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に吐出部77で印字を行うことができるタイミングで、吐出部77からインクを対向する包装硬貨Cに吹き付けて包装硬貨Cに所定の印字情報を印字する。これにより、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に包装硬貨Cの長さ方向に向きを揃えた状態で印字情報が印字されることになる。
【0067】
また、例えば、包装硬貨Cが、
図6(c)に示すように第5異常移動状態で移動する場合に、この包装硬貨Cを撮像したカメラ65の撮像データに基づいて、制御装置15は、包装硬貨Cの落下速度を検出するとともに、包装硬貨Cのガイド幅方向における落下位置の境界線Oに対するズレ方向(上流側底部54の方向)とズレ量(距離)とを検出し、さらに、包装硬貨Cの落下姿勢の境界線Oに対する傾斜の向き(下流側ほど上流側底部55に近づく向き)と傾斜量(角度)とを検出することになる。
【0068】
すると、制御装置15は、傾動駆動機構75を駆動して、吐出部77が、包装硬貨Cのズレ方向と同じ方向(上流側底部54の方向)に、包装硬貨Cのズレ量に応じた量だけ姿勢を変更するように印字ヘッド74を傾動させるとともに、回転駆動機構73を駆動して、吐出部77が、包装硬貨Cの傾斜の向きと同じ向き(下流側ほど上流側底部55に近づく向き)に、包装硬貨Cの傾斜量に応じた傾斜量だけ姿勢を変更するように印字ヘッド74を回転させる。また、カメラ65の撮像後、包装硬貨Cの落下速度から割り出される、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に吐出部77で印字を行うことができるタイミングで、吐出部77からインクを対向する包装硬貨Cに吹き付けて包装硬貨Cに所定の印字情報を印字する。これにより、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に包装硬貨Cの長さ方向に向きを揃えた状態で印字情報が印字されることになる。
【0069】
また、例えば、包装硬貨Cが、
図6(d)に示すように第6異常移動状態で移動する場合に、この包装硬貨Cを撮像したカメラ65の撮像データに基づいて、制御装置15は、包装硬貨Cの落下速度を検出するとともに、包装硬貨Cのガイド幅方向における落下位置の境界線Oに対するズレ方向(上流側底部55の方向)とズレ量(距離)とを検出し、さらに、包装硬貨Cの落下姿勢の境界線Oに対する傾斜の向き(下流側ほど上流側底部54に近づく向き)と傾斜量(角度)とを検出することになる。
【0070】
すると、制御装置15は、傾動駆動機構75を駆動して、吐出部77が、包装硬貨Cのズレ方向と同じ方向(上流側底部55の方向)に、包装硬貨Cのズレ量に応じた量だけ姿勢を変更するように印字ヘッド74を傾動させるとともに、回転駆動機構73を駆動して、吐出部77が、包装硬貨Cの傾斜の向きと同じ向き(下流側ほど上流側底部54に近づく向き)に、包装硬貨Cの傾斜量に応じた傾斜量だけ姿勢を変更するように印字ヘッド74を回転させる。また、カメラ65の撮像後、包装硬貨Cの落下速度から割り出される、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に吐出部77で印字を行うことができるタイミングで、吐出部77からインクを対向する包装硬貨Cに吹き付けて包装硬貨Cに所定の印字情報を印字する。これにより、包装硬貨Cの長さ方向の中央位置に包装硬貨Cの長さ方向に向きを揃えた状態で印字情報が印字されることになる。
【0071】
以上に述べた本実施家形態の包装硬貨取扱機11によれば、制御装置15が、ガイド45を移動中の包装硬貨Cのカメラ65による撮像データに基づいて印字ヘッド74の姿勢を制御して印字ヘッド74を含む印字装置本体66により包装硬貨Cに印字を行わせるため、包装硬貨Cの姿勢に合わせて印字を行うことができる。よって、包装硬貨Cへの印字が不良となることを抑制できる。また、包装硬貨Cに直接印字を行うため、包装前の包装紙Sに印字を行う場合のように印字済みの包装紙Sを無駄にする回数を低減でき、特殊処理した高価な包装材も不要となる。したがって、包装紙Sを抑制でき、運用コストを低減することが可能となる。加えて、ガイド45を移動中の包装硬貨Cに印字を行うため、包装硬貨Cの搬送速度を低下させることなく、搬送時間の長大化を抑制することができる。
【0072】
また、ガイド45が落下移動する包装硬貨Cを案内するものであり、カメラ65は、このようにガイド45で案内されて落下移動中の包装硬貨Cを撮像し、印字装置本体66は、このようにガイド45で案内されて落下移動中の包装硬貨Cに印字を行う。よって、特別な搬送装置が不要となり、コスト低減を図れる。
【0073】
また、制御装置15は、包装硬貨Cの落下速度、落下姿勢および落下位置をカメラ65の撮像データから検出し、これら落下速度、落下姿勢および落下位置の検出結果に基づいて印字ヘッド74の姿勢と印字のタイミングとを制御する。よって、ガイド45により落下を案内するという、搬送速度、搬送姿勢および搬送位置が不安定な搬送で搬送さる包装硬貨Cに対しても、良好に印字を行うことができる。
【0074】
また、印字ヘッド74が、包装硬貨Cにインクを吹き付けて印字を行うものであるため、コスト低減を図れる。また、印字済みの包装紙Sの無駄の抑制がインクの無駄の抑制にも繋がる。
【0075】
また、印字ヘッド74が、ガイド45で案内されて移動する包装硬貨Cの移動方向に対して直交する面内で傾動可能であり、前記面内に配置された軸線を中心に回転可能であるため、比較的簡易な動作で印字ヘッド74の姿勢を包装硬貨Cの位置および姿勢に対応させることができる。
【0076】
また、傾動駆動機構75が支持体72に対して印字ヘッド74を傾動させることで印字の方向を変更可能となり、回転駆動機構73の回転モータ70が支持体72を回転させると、印字ヘッド74が回転して印字の傾斜を変更することになる。よって、比較的簡素な構造で印字ヘッド74の姿勢を包装硬貨Cの位置および姿勢に対応させることが可能となる。
【0077】
また、包装硬貨Cを作製する包装部13から繰り出される包装硬貨Cの移動をガイド45で案内する際に、包装硬貨Cに直接印字を行うため、包装部13において包装前の包装紙Sに印字を行う場合のように包装前の印字済みの包装紙Sを無駄にする回数を低減することができる。
【0078】
また、制御装置15は、正常な包装硬貨Cのみに印字装置本体66により印字を行わせるため、印字の有無から正常および異常を識別でき、正常および異常の識別が容易にできることになる。また、包装後の印字済みの包装紙Sが無駄になる回数を低減することができる。