【実施例】
【0016】
以下に本発明の実施例に係る異変部位検知機能付歯科用治療具について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(実施例1)
本実施例1の異変部位検知機能付歯科用治療具は、歯科用治療具の一種であるマイクロモータ駆動型のハンドピースに適用したものである。
【0018】
本実施例1の異変部位検知機能付マイクロモータハンドピース1(以下「本実施例1のハンドピース1」という)は、
図1、
図2に示すように患部Pの治療用の切削工具11を着脱可能に装着するヘッド部4を先端側に備えるグリップ部3と、略円筒状に形成され、グリップ部3に着脱可能に結合されるとともに、その内側底部に詳細は後述する着脱互換性を有する3種類の第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cからなるカラーカメラモジュール群21のうちのうちのいずれか一つのカラーカメラモジュール(例えば第1のカラーカメラモジュール21A)を、例えばカップリング部5に設けたホルダ28に対する着脱、及び、第1のカラーカメラモジュール21A側に設けた装着コネクタ39とカップリング部5側に設けた受コネクタ40との着脱とにより、第1のカラーカメラモジュール21A全体を着脱可能に収納したカップリング部5とを有するハンドピース本体部2と、前記ハンドピース本体部2におけるカップリング部5の後端に着脱可能に装着する前記切削工具11を高速で回転駆動するためのマイクロモータ6とを有している。
【0019】
前記グリップ部3の内側には、前記ヘッド部4の近傍位置であって、前記切削工具11の切削部位に向けて配置した例えば透明ガラス材又は透明合成樹脂材からなる撮像窓7と、撮像窓7の内側に配置した対物レンズ8と、対物レンズ8の近傍に光入射端を、前記カラーカメラモジュール21に光射出端を臨ませた導光部材であるロッドファイバ9と、からなる光照射・撮像光学系10を配置している。
【0020】
本実施例1のハンドピース1には、さらに、詳細は後述する信号出力ケーブル12、発光素子駆動ケーブル13が接続されている。
【0021】
前記信号出力ケーブル12、発光素子駆動ケーブル13と本実施例1のハンドピース1との接続位置は特に限定するものではないが、例えばカップリング部5の適宜位置に接続コネクタを設けて前記ハンドピース1に接続する例等を挙げることができる。
【0022】
尚、前記ヘッド部4に装着する切削工具11の電気・機構駆動系については詳細説明を省略する。
【0023】
次に、前記第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cについて、
図3乃至
図14を参照して詳述する。
【0024】
まず、前記第1のカラーカメラモジュール21Aについて説明する。
【0025】
前記第1のカラーカメラモジュール21Aは、
図3、
図4に示すように、円筒状のカメラヘッド部22を備え、このカメラヘッド部22に、その先端端面から内方にわたって配置したカメラユニット31と、このカメラユニット31の端面の回りに単色の励起光(波長470±30nmの青色領域の励起光)を発光する任意数(例えば8個)の同一種類の発光素子(LED:Light Emitting Diode)24A(例えば駆動電圧DC3.3Vのもの)を円形に配置し一体化した光照射手段を構成する光源部27Aと、を収納している。
【0026】
前記発光素子24Aとしては、緑色領域の励起光を発光するLED又は赤色領域の励起光を発光するLEDを用いることもできる。
【0027】
前記カメラユニット31について、
図5、
図6を参照して詳述する。
【0028】
前記カメラユニット31は、例えば直径1.2mm、内径約1.1mm、長さ3mmの円筒状の支持筒32と、この支持筒32の一方の端面に光入射端を臨ませて配置した直径Φ1=1.1mmの集光レンズユニット33と、支持筒32内に前記集光レンズユニット33に対して一定の間隔を隔て対向配置した撮像部34と、前記支持筒32の他方の端面側から支持筒32内に至る範囲に嵌着したカバー部材35と、前記撮像部34に接続されるとともにカバー部材35を貫いて後方側に導出した信号ケーブル36とを有している。
【0029】
前記撮像部34は、支持筒32内において中心を前記集光レンズユニット33の光軸に一致させた状態で固着した直径1.1mmの円板状の支持基板37と、外形寸法0.84×0.74mm、厚さ0.1mmのセンサ基板38aの表面に画素数320×240ピクセルとなるようにカラー画素を配列し、中心部が前記集光レンズユニット33の光軸に一致する状態で取り付けたカラーイメージセンサ(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)38とを具備し、前記信号ケーブル36の一端側を前記カラーイメージセンサ38に接続し、他端側を支持基板37、カバー部材35を貫いて後方側に導出している。
【0030】
前記集光レンズユニット33は、例えば視野角70度、フォーカスレンジ3−50mmの光学特性を有するものを採用している。
【0031】
前記カメラユニット31の端面の回りに配置した光源部27Aを構成する各発光素子24Aには、発光素子用ケーブル25の一端を接続している。
【0032】
また、前記発光素子用ケーブル25、前記信号ケーブル36は、装着コネクタ39に接続され、また、前記信号出力ケーブル12、発光素子駆動ケーブル13はカメラケーブル84を介して前記受コネクタ40に接続される。
【0033】
前記ロッドファイバ9は、
図7に示すように、コア、クラッド及びスキンチューブにいずれも多成分ガラスを用い、屈折率が段階的に異なるステップインデックス型の構造とし、また、光学特性としては受光角度約70度、開口数(NA)0.57としたものを採用している。
【0034】
前記ロッドファイバ9は、光射出端の形状が例えばファイバ直径Φ2=約2.4mmで、光入射端の形状が例えば長径約3.6mm、短径約1.35mmの長円形状とし、光射出端の端部外周をステンレス円筒体14で覆っている。
さらに、前記ロッドファイバ9は、135℃、100%RH、3分間のオークレーブ条件で350サイクル後、初期の透過率に対して90%以内という耐オートクレーブ性を有する仕様としている。
【0035】
ここで、前記カラーカメラモジュール21Aを構成するカメラユニット31、前記ロッドファイバ9、前記対物レンズ8の光学的な詳細構造について、
図8の拡大説明図を参照して詳述する。
【0036】
前記ロッドファイバ9の光射出端と前記カメラユニット31の集光レンズユニット33との関係については、前記集光レンズユニット33として視野角θ1=70度を有するものを使用し、また、前記ロッドファイバ9の光射出端の直径Φ2=約2.4mmとすることにより、集光レンズユニット33の光入射面とロッドファイバ9の光射出端との間隔D1を約3mm程度とする構成で、前記ロッドファイバ9の光射出端から射出される光束を前記集光レンズユニット33として視野角の範囲内に収め、前記集光レンズユニット33に支障なく導光することができる。
【0037】
一方、前記対物レンズ8と前記ロッドファイバ9の光入射端との関係については、前記ロッドファイバ42の受光角度θ2が約70度有ることから、例えば前記対物レンズ8としてレンズ径3mm程度で焦点距離3mm程度の凸レンズを用い、前記対物レンズ8と前記ロッドファイバ9の光入射端との間隔D2=3mm程度とすることにより、前記対物レンズ8経て前記ロッドファイバ9の光入射端に入射する撮像光を受光角度の範囲内に収め、ロッドファイバ9の光入射端に支障なく導光することができる。
【0038】
次に、
図9を参照して前記第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cのカップリング部5に対する着脱構造について更に詳述する。
【0039】
図9に示すように前記第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cのうち、前記第1のカラーカメラモジュール21Aの構成は上述した通りであり、また、前記第2のカラーカメラモジュール21B、前記第3のカラーカメラモジュール21も各々前記第1のカラーカメラモジュール21Aと同様に構成している。
【0040】
そして、
図9に示すように、前記第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cのうちのいずれか一つを選択的に前記カップリング部5の内側底部に着脱可能に配置するようになっている。
【0041】
次に、
図10を参照して前記第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cの光源部27A乃至27Cについて説明する。
【0042】
前記第1のカラーカメラモジュール21Aの光源部27Aの構成は既述した通りである。
【0043】
前記第2のカラーカメラモジュール21Bは、第1のカラーカメラモジュール21Aの場合と同様のカメラユニット31を備えるととともに、このカメラユニット31の端面の回りに単色の励起光(波長470±30nmの青色領域の励起光)を発光する任意数(例えば4個)の同一種類の発光素子24Bと、口腔内を照明する照明光(昼光色の照明光)を発光する任意数(例えば4個)の発光素子24B1とを円形に配置し一体化した光照射手段を構成する光源部27Bを備えている。
【0044】
前記発光素子24Bとしては、緑色領域の励起光を発光するLED又は赤色領域の励起光を発光するLEDを用いることもできる。
【0045】
前記第3のカラーカメラモジュール21Cは、第1のカラーカメラモジュール21Aの場合と同様のカメラユニット31を備えるととともに、このカメラユニット31の端面の回りに3原色の励起光を発光する任意数(例えば8個)の3原色発光素子24Cを円形に配置し一体化した光照射手段を構成する光源部27Cを備えている。
【0046】
前記3原色発光素子24Cは、470±30nmの青色領域、530±40nmの緑色領域、700±100nmの赤色領域の各励起光を発光する発光素子チップ24B1、24B2、24B3を一体化し、これら各色の励起光を選択的に発光する構成としている。
【0047】
図11は、例えば前記第1のカラーカメラモジュール21Aの端面に装着するフィルタ29を示すものである。
【0048】
このフィルタ29は、円板状で前記第1のカラーカメラモジュール21Aの端面に着脱可能に構成するとともに、前記各発光素子24Aの配置に対応する円形配置の8個の抜き孔29aを備え、かつ、中央部に単色の励起光(波長470±30nmの青色領域の励起光)の波長成分をカットする遮光特性(例えば波長520nm以上の光を透過)を有するフィルタ部30を具備している。
【0049】
次に、
図12乃至
図14を参照して、前記第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cにおける光源部27A乃至27Cの駆動回路系について説明する。
【0050】
図12は、前記第1のカラーカメラモジュール21Aにおける光源部27Aの駆動回路系であって、1個の発光素子24Aを点灯駆動する例を示すものである。
【0051】
この駆動回路系は、前記発光素子駆動ケーブル13(2線構成)と発光素子用ケーブル25(2線構成)との間に点灯操作部61に設けたスイッチ62を接続し、発光素子用ケーブル25を発光素子24と電流制限用の抵抗R1の直列回路に接続し、スイッチ62のオン操作により発光素子24のアノード、カソード間に所定の電圧を印加してこの発光素子24Aを点灯し励起光を発光させるとともに、スイッチ62のオフ操作により発光素子24を消灯するように構成したものである。
【0052】
実際には、
図12に示す場合と同様な構成の基に、8個の発光素子24Aについての点灯駆動回路系が作製され使用される。
【0053】
尚、前記点灯操作部61は、例えば
図1に示すように、前記カップリング部5の外面に取り付ける例を挙げることができるが、その配置は特に限定するものではない。
【0054】
図13は、前記第2のカラーカメラモジュール21Bにおける光源部27Bの駆動回路系であって、1個の発光素子24Bと1個の発光素子24B1とを点灯駆動する例を示すものである。
【0055】
この駆動回路系は、前記発光素子駆動ケーブル13と発光素子用ケーブル25との間に点灯操作部61に設けた2回路切り換え用の切り換えスイッチ63及び全灯スイッチ64を接続し、切り換えスイッチ63により発光素子24Bと電流制限用の抵抗R2の直列回路と、発光素子24B1と電流制限用の抵抗R3の直列回路とを切り換えることにより、発光素子24Bのアノード、カソード間又は発光素子24B1のアノード、カソード間に所定の電圧を選択的に印加して、発光素子24Bにより励起光を発光させ、又は、発光素子24B1から照明光を発光させるように構成している。
【0056】
また、前記全灯スイッチ64により前記両直列回路からの各引き出し端子を同時に前記発光素子駆動ケーブル13に導通させ、発光素子24Bの発光と、発光素子24B1の発光とを同時に行うように構成している。
【0057】
実際には、
図13に示す場合と同様な構成の基に、4個の発光素子24Bと、4個の発光素子24B1についての点灯駆動回路系が作製され使用される。
【0058】
図14は、前記第3のカラーカメラモジュール21Cにおける光源部27Cの駆動回路系であって、1個の3原色発光素子24Cを点灯駆動する例を示すものである。
【0059】
前記3原色発光素子24Cは、470±30nmの青色領域の励起光を発光する発光素子チップ24C1と、530±40nmの緑色領域の励起光を発光する発光素子チップ24C2と、波長700±100nmの赤色領域の励起光を発光する発光素子チップ24C3とを具備している。
【0060】
この駆動回路系は、前記発光素子駆動ケーブル13と発光素子用ケーブル25との間にスイッチ65を設けている。
【0061】
また、発光素子用ケーブル25に、発光素子チップ24C1、点灯制御トランジスタTR1、電流制限用の抵抗R4の直列回路と、発光素子チップ24C2、点灯制御トランジスタTR2、電流制限用の抵抗R5の直列回路と、発光素子チップ24C3、点灯制御トランジスタTR3、電流制限用の抵抗R6の直列回路を接続している。
【0062】
さらに、発光素子用ケーブル25に接続した3個の電流調整用可変抵抗VR1、VR2、VR2により、前記点灯制御トランジスタTR1、点灯制御トランジスタTR2、点灯制御トランジスタTR3の各ベース電流を調整し、青色領域の励起光、緑色領域の励起光、赤色領域の励起光の各発光量を調整可能としている。
【0063】
実際には、
図14に示す場合と同様な構成の基に、8個の3原色発光素子24Cについての点灯駆動回路系が作製され使用される。
【0064】
尚、前記各点灯操作部61に関しては、以上の説明では個別に説明したが、実際には上述した3態様に対応可能なように構成され、例えば前記カップリング部5の外面に取り付けるものである。
【0065】
図15は、本実施例1のハンドピース1に関連する発光素子駆動系及び画像処理系を含む制御ユニット71を示すものである。
【0066】
前記制御ユニット71は、全体の動作制御を行う制御部72と、前記各発光素子に駆動電圧を供給する発光素子電源部73と、前記ハンドピース1に配置したカメラユニット31からの画像信号を受信する画像信号受信部74と、受信した画像信号に基づき口腔内の歯及び歯肉(辺縁部)のカラー画像を生成するカラー画像生成部75と、生成したカラー画像を記憶する画像記憶部76と、を有している。
【0067】
さらに、前記制御ユニット71は、前記カメラユニット31により撮像し、カラー画像生成部75により生成したカラー画像を画面表示するカラー液晶ディスプレイ等からなるカラー画像表示部77を備えている。
【0068】
次に、本実施例1のハンドピース1による歯列の異変部位検知機能について、
図16、
図17及び
図18をも参照して説明する。
【0069】
例えば、本実施例1のハンドピース1において、
図1に示すように、前記第1のカラーカメラモジュール21Aをハンドピース本体部2におけるカップリング部5に装着し、ヘッド部4を患者の口腔に対向させた状態で、前記スイッチ62をオン操作すると、前記光源部27Aの発光素子24Aが点灯し、この発光素子24Aが発光する青色領域の励起光(波長470±30nm)は、前記ロッドファイバ9、対物レンズ8、撮像窓7を経て口腔内の歯列に照射される。
【0070】
これにより、歯列のうちの特定の歯にウ蝕部位(患部P)が存在する場合には、当該患部Pには励起光に対応した蛍光(
図17に黒塗りで示す:例えば波長620nm)が産生する。
【0071】
この場合の励起光と蛍光の波長、励起光、蛍光の強度を
図16に概略的に示す。
【0072】
産生した蛍光を含む歯及びその周辺部位からなる領域からの光は、撮像窓7、対物レンズ8、ロッドファイバ9経て前記第1のカラーカメラモジュール21Aのカメラユニット31の集光レンズユニット33を経て撮像部34に至り撮像される。
【0073】
そして、撮像部34からの撮像信号は、信号ケーブル36、信号出力ケーブル12を経て前記制御ユニット71に伝送される。
【0074】
制御ユニット71においては、カラー画像生成部75により受信した撮像信号に対応した歯及び歯肉(辺縁部)のカラー画像を生成し、このカラー画像はカラー画像表示部77により
図16に対応するカラー画像として画面表示される。
【0075】
上述した本実施例1のハンドピース1において、前記第1のカラーカメラモジュール21Aの端面に前記フィルタ29を装着した状態で上述した場合と同様にして歯列に青色領域の励起光を照射し、産生した蛍光を含む歯及びその周辺部位からなる領域をカメラユニット31の撮像部34により撮像し、さらにカラー画像表示部77によりカラー画像として画面表示した場合には、前記フィルタ29により青色領域の励起光成分がカットされたカラー画像を表示することができ、より鮮明なカラー画像を得ることができる。
【0076】
図18は、歯列における歯垢付着部位(斜線を付して示す)を上述した場合と同様にして撮像しカラー画像表示部77によりカラー画像として画面表示した例を示すものである。
【0077】
本実施例1のハンドピース1において、前記第2のカラーカメラモジュール21Bをハンドピース本体部2におけるカップリング部5に装着して、上述した場合と同様な歯列の異変部位検知動作を実行した場合においては以下の効果を奏する。
【0078】
すなわち、前記第2のカラーカメラモジュール21Bの発光素子24Bのみの発光により歯列の異変部位検知動作を実行した場合には、上述した場合と同様な効果を発揮させることができ、また、発光素子24B1のみの照明光の歯列への照射により前記第2のカラーカメラモジュール21Bを歯列の照明用及び撮像用として使用することができる。
【0079】
さらに、前記発光素子24B、発光素子24B1の同時点灯により、歯列の領域に十分な明るさを確保しつつ歯列の異変部位検知動作をより確実に実行することができる。
【0080】
本実施例1のハンドピース1において、前記第3のカラーカメラモジュール21Cをハンドピース本体部2におけるカップリング部5に装着して、上述した場合と同様な歯列の異変部位検知動作を実行した場合においては以下の効果を奏する。
【0081】
すなわち、前記前記3原色発光素子24Cによる励起光を、青色領域、緑色領域又は赤色領域と適宜切り換え歯列に照射することにより、患部Pの種類や治療目的に応じて広範囲な異変部位検知機能を発揮させることができる。
【0082】
以上詳述した本実施例1のハンドピース1によれば、種々の態様で歯列の異変部位の検知機能を発揮させることができ、ウ蝕部位等の治療にあってはMI(Minimal Intervention:最小の侵襲)を効率よくかつ確実に実施可能とすることができる。
【0083】
また、患者の歯列の刷掃指導・処置にあってはPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning:専門家による器械を使った歯のクリーニング)を効率よくかつ確実に実施可能とすることができる。
【0084】
次に、
図19を参照して、本実施例1のハンドピース1の変形例であるハンドピース1Aについて説明する。
この変形例のハンドピース1Aにおいて、既述したハンドピース1の場合と同様な要素には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
図19に示すハンドピース1Aは、既述したハンドピース1の場合と略同様な構成であるが、グリップ部3におけるヘッド部4の近傍位置に切削工具11側に向けて設けた開口部4aに、第1乃至第3のカラーカメラモジュールユニット81A、81B、81Cを選択的に着脱可能に配置したことが特徴である。
【0085】
すなわち、既述したハンドピース1の場合のロッドファイバ9を無くすとともに、第1のカラーカメラモジュール21Aと、光照射・撮像光学系を構成する対物レンズ8及び撮像窓7を筒状体82に収納し、一体のユニット構造とした第1のカラーカメラモジュールユニット81Aと、第2のカラーカメラモジュール21Bと、対物レンズ8及び撮像窓7を筒状体82に収納し、一体のユニット構造とした第2のカラーカメラモジュールユニット81Bと、第3のカラーカメラモジュール21Cと、対物レンズ8及び撮像窓7を筒状体82に収納し、一体のユニット構造とした第3のカラーカメラモジュールユニット81Cとのいずれかを前記ヘッド部4の近傍位置の開口部4aに選択的にかつ着脱可能に配置する構成としている。
【0086】
また、第1乃至第3のカラーカメラモジュールユニット81A、81B、81Cは各々後端側に装着コネクタ83を備え、装着コネクタ83と、グリップ部3の内部に配置した受コネクタ40とをコネクタ結合させ、受コネクタ40に信号ケーブル、発光素子用ケーブルを収納したカメラケーブル84の一端を接続し、このカメラケーブル84をハンドピース1Aの内部に延在して、既述した場合と同様にして前記点灯操作部61、信号出力ケーブル12、発光素子駆動ケーブル13に接続するように構成している。
【0087】
図19に示す変形例のハンドピース1Aによっても、第1乃至第3のカラーカメラモジュールユニット81A、81B、81Cを、前記ヘッド部4の近傍位置に設けた開口部4aに選択的に装着して各々上述した場合と同様な歯列の種々の異変部位検知動作を実行させ、同様な効果を発揮させることができ、また、既述した場合と同様、ウ蝕部位等の治療の場合のMIの効率の良い実施や、歯列の刷掃指導・処置の場合のPMTCの効率の良い実施を実現することが可能となる。
【0088】
(実施例2)
次に、
図20、
図21を参照して本発明の実施例2について説明する。
【0089】
本実施例2の異変部位検知機能付歯科用治療具は、歯科用治療具の一種であるエアータービン型のハンドピースに適用したものである。
【0090】
本実施例2の異変部位検知機能付エアータービンハンドピース1B(以下「本実施例2のハンドピース1B」という)において、実施例1のハンドピース1の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0091】
本実施例2のハンドピース1Bは、
図20、
図21に示すように、患部Pの治療用の切削工具11を着脱可能に装着するヘッド部4を先端側に備えるグリップ部3と、略円筒状に形成され、グリップ部3に着脱可能に結合されるカップリング部5とを有するハンドピース本体部2と、前記ハンドピース本体部2におけるカップリング部5の後端に着脱可能に装着する歯科用ホース部91とを有している。
【0092】
前記カップリング部5の先端側はグリップ部3の内部中央部に挿入される配置で、その先端部に固定配置で設けたホルダ92に対して、着脱互換性を有する第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cからなるカラーカメラモジュール群21のうちのうちのいずれか一つのカラーカメラモジュール(例えば第1のカラーカメラモジュール21A)を、実施例1の場合と同様にして着脱可能に配置している。
【0093】
また、第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cの後端部に設けた装着コネクタ39とホルダ92側に設けた受コネクタ93との着脱とにより、第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21C各々をホルダ92、受コネクタ93に対して装着分離可能に構成している。
【0094】
前記受コネクタ93に信号ケーブル、発光素子用ケーブルを収納したカメラケーブル84の一端を接続し、このカメラケーブル84を延在して、既述した場合と同様にして前記点灯操作部61、歯科用ホース部91に接続している信号出力ケーブル12、発光素子駆動ケーブル13に接続するように構成している。
【0095】
前記グリップ部3の内側には、実施例1の場合と同様に前記ヘッド部4の近傍位置であって、前記切削工具11の切削部位に向けて配置した例えば透明ガラス材又は透明合成樹脂材からなる撮像窓7と、撮像窓7の内側に配置した対物レンズ8と、対物レンズ8の近傍に光入射端を、前記カラーカメラモジュール21に光射出端を臨ませた導光部材であるロッドファイバ94と、からなる光照射・撮像光学系95を配置している。
【0096】
本実施例2のハンドピース1Bによっても、エアータービン型のハンドピース本体部2を備える構成の基に、第1乃至第3のカラーカメラモジュール21A、21B、21Cのいずれかを選択的に前記カップリング部5の先端側に設けたホルダ92に装着し、各々上述した場合と同様な歯列の種々の異変部位検知動作を実行させ、同様な効果を発揮させることができ、また、既述した場合と同様、ウ蝕部位等の治療の場合のMIの効率の良い実施や、歯列の刷掃指導・処置の場合のPMTCの効率の良い実施を実現することが可能となる。
【0097】
尚、本実施例2のハンドピース1Bの場合も、
図19に示す場合と同様な第1乃至第3のカラーカメラモジュールユニット81A、81B、81Cを採用し、これらを前記ヘッド部4の近傍位置に設けた開口部4aに選択的に装着する構成を採用することもでき、この場合も上述した場合と同様な効果を発揮させることができる。
【0098】
また、上述した実施例1のハンドピース1、変形例のハンドピース1A及び実施例2のハンドピース1Bは、上述した場合の他、口腔内の軟化象牙質部、歯石、欠損、ひび等の異変部位に関しても、優れた検知機能を発揮させることができる。