(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゴルフクラブヘッドはクラウンを含んでおり、前記ゴルフクラブヘッドは、前記地平面から前記クラウンの外側面までを測定した前記ゴルフクラブヘッドの最も大きい寸法であるクラウン高さを画定しており、前記クラウン高さは少なくとも30mm乃至50mmまでである、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
前記ゴルフクラブヘッドは、前記地平面にライ角で交わるシャフト軸を画定しており、前記シャフト軸は前記z軸と前記x軸によって形成される平面に平行なシャフト平面を画定しており、前記シャフト平面にはシャフト平面z軸が画定されており、前記シャフト平面z軸は前記z軸に平行で前記y軸に交わっており、前記重心は前記y軸に沿って測定して前記シャフト平面z軸から約12mm以下である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ゴルフクラブヘッドを含むゴルフクラブ、並びに関連の方法、システム、装置、及び各種器械が開示されている。当業者には開示されているゴルフクラブは多くの例示としての実施形態のうちのほんの数例として記載されていることが理解されよう。如何なる特定の用語遣い又は記述も本開示又はそこから発する何れかの請求の範囲に限定を課すものと考えられてはならない。簡潔さを期して、標準的な単位の略号が使用されていることがあり、その様な略号には、限定するわけではないが、特に、ミリメートルに当たる「mm」、インチに当たる「in.」、ポンドフォースに当たる「lb.」、時間当たりマイルに当たる「mph」、秒当たり回転数に当たる「rps」が含まれる。
【0015】
ゴルフの試合では、プレーヤーが所与のクラブで距離を伸ばすと、その結果は大体いつもプレーヤーに優位をもたらす。ゴルフクラブ設計者がプレーヤーのゴルフボールをできる限り遠くへ打つ能力を最大化することを目指す一方で、全米ゴルフ協会―ゴルフの試合の規則制定団体―はゴルフの試合を規制する規則のセットを提供してきた。これらの規則は、ゴルフ規則として知られており、様々な、ゴルフ規則上の決定事項が付随している。ゴルフ規則に発布されている多くの規則はプレーに影響を与える。ゴルフ規則の幾つかは、クラブがプレーにとって適法である場合又は適法でない場合を指示するように立案された規則を含め、機器に影響を与える。様々な規則の中には、ゴルフクラブヘッドの大きさ、重量、寸法、及び他の様々な機構についての最大限界及び最小限界がある。例えば、ゴルフクラブヘッドで体積が460立方センチメートルより大きいものはない。ゴルフクラブフェースで0.830より大きい反発係数(COR)を有しているものもなく、ここに、CORはゴルフクラブヘッドのゴルフボールに係るインパクト効率を言い表す。
【0016】
CORは、衝突効率の測定値である。CORは、分離速度対接近速度の比である。このモデルでは、従って、CORは、次式、即ち
【0018】
を用いて求められ、ここに、
v
club−postはインパクト後のクラブの速度を表し、
v
ball−postはインパクト後のボールの速度を表し、
v
club−preはインパクト前のクラブの速度(USGAのCOR条件については0の値)を表し、
v
ball−preはインパクト前のボールの速度を表している。
【0019】
USGAは最大CORについて限界を規定しているが、CORを最大化させ得る領域規定はない。多数のゴルフクラブヘッドは最大0.830CORを実現しているが、その様なCORを見いだし得る領域は概して限定されている―典型的にはゴルフクラブヘッドのフェースの幾何学的中心の領域又はそれに比較的間近にある最大CORの領域。多くのゴルフクラブヘッドは、ゴルフボールを、それが適切に打撃されたときには、ゴルフ規則内で可能な限り遠くに打ち出すように設計されている。とはいえ、最も偉大なプロゴルファーでさえ、全てのショットをどれも完璧に打撃するとは限らない。ゴルファーの大多数にとって、完璧打撃ゴルフショットは、稀とはいかないまでも例外である。
【0020】
特定のゴルファーがショットをきれいに打撃することのできないことに対処する幾つかの方法がある。1つの方法は、増加させた慣性モーメント(MOI)の使用を伴う。MOIを増加させることで、フェース中心に当たらない打撃についてのエネルギーの損失を、ゴルフクラブヘッドが中心外れの打撃の際に捩じれてしまう性質を軽減することによって防ぐことができる。特に、殆どの高MOI設計は、重量をゴルフクラブヘッドの周縁部へ移すことに焦点を当てており、そのことは、多くの場合、ゴルフクラブヘッドの重心がゴルフクラブの後方トレイリングエッジ寄りに移ってしまうことを内包する。
【0021】
別の方法は、可変フェース厚さ(VFT)技法の使用を伴う。VFTでは、ゴルフクラブヘッドのフェースは、その全体に亘って一定の厚さではなく、むしろ変化している。例えば、米国特許出願第12/813,442号―ここに参考文献としてそっくりそのまま援用する―に記載されている様に、フェースの厚さは、フェース中心から測定される寸法が配列で変化している。これは、参考文献に記載されている様に、最大CORの面積を増加させる。
【0022】
VFTは優れた技法であるが、或る種のゴルフクラブ設計では実施するのが困難なこともある。例えば、フェアウェイウッドの設計では、有意義なVFT設計を実施するにはフェースの高さが小さすぎる場合が多い。その上、VFTが解決できない問題がある。例えば、典型的なゴルフクラブフェースの縁は(溶接による組み上げを通じてか又は単体部片としてのどちらかにより)一体化されているので、打撃がフェースの縁に近いと必然的に貧弱なCORがもたらされる。ゴルファーがゴルフクラブヘッドのフェース中心以外の場所でゴルフボールを打撃するのは珍しくない。典型的な場所は、多くのゴルファーについてはフェースの高い所か又はフェースの低い所であろう。どちらの状況もCOR低下を生じさせる。また一方で、特に低フェース打撃では、CORは非常に急速に減少する。様々な実施形態では、中心フェースより5mm下の打撃についてのCORは、0.020乃至0.035差となろう。それ以上に中心を外れた打撃はより大きいCOR差を生じさせよう。
【0023】
中心外れ打撃の悪影響と戦うべく、或る特定の設計が実施されてきた。例えば、2010年6月1日出願のAlbertsenらへの米国特許出願第12/791,025号及び2011年12月27日出願のBeachらへの同第13/338,197号―ともに参考文献としてここにそっくりそのまま援用する―に記載されている様に、ゴルフクラブヘッドの様々な場所に配置されている反発係数機構は利点を提供している。特に、ゴルフクラブヘッドのフェースの低い所での打撃については、反発係数機構は、そうでない場合に典型的にゴルフクラブヘッドのフェースの低い領域によって見られるより大きい可撓性を許容している。概して、ゴルフクラブヘッドのフェース上の低い点は、延性ではなく、かといって完全に剛性というわけではなく、フェースの幾何学的中心なら見られるCORを経験しない。
【0024】
反発係数機構はより大きい可撓性を許容するが、それらは往々にして実施するのが厄介なこともある。例えば、上記設計では、反発係数機構は、ゴルフクラブヘッド本体にではあるがフェースに近接して置かれている。密な近接は、反発係数機構の実効性を高めはするが、設計の観点からは課題を生む。反発係数機構を製造することが幾つかの実施形態では難しいかもしれない。特に、米国特許出願第13/338,197号に関しては、反発係数機構は、インパクト条件下に極めて高い応力を経験する反発係数機構の垂直延在部に鋭い角を含んでいる。その様な機構を、それらの使用時の構造的完全性を危うくすること無しに製造するのは困難を来すであろう。更に、反発係数機構は、どうしてもゴルフクラブヘッド本体の中へ延びているものであり、それにより、ゴルフクラブヘッド内の空間を占める。反発係数機構の大きさと場所が、様々な設計で質量再配置を困難にさせることがあり、特に質量を反発係数機構の領域に配置するのが望ましい場合にはそうである。
【0025】
具体的に、現在の反発係数機構設計に係る1つの課題は、ゴルフクラブヘッドの重心(CG)をフェースに近接して配置できるようにすることである。ゴルフクラブヘッドに低くCGを配置させることが、特にフェアウェイウッド型式のゴルフクラブで望まれていた。特定の形式のヘッドでは、ゴルフクラブヘッドのCGをそれがゴルフクラブヘッド内のどこかに関わらず可能な限り低い所に配置させるのがなおも最も望ましい設計であるかもしれない。しかしながら、ここに解説されている理由により、意外なことに、低くて前方のCG場所が、先行技術の設計又は低くて前方のCGを持たない同等の設計には見られない幾つかの恩恵を提供できるということが判明した。
【0026】
参考までに、本開示内では、「フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッド」と呼ぶのは、ティー有り又はティー無しで使用されることを意図した何らかのウッド型式ゴルフクラブヘッドを意味する。参考までに、「ドライバー型式ゴルフクラブヘッド」は、主にティー有りで使用されることを意図した何らかのウッド型式ゴルフクラブヘッドを意味する。概して、フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、13度又はそれより大きいロフト、より通例では15度又はそれより大きいロフト、を有している。概して、ドライバー型式ゴルフクラブヘッドは、12度又はそれより小さいロフト、より通例では10.5度又はそれより小さいロフトを有している。概して、フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、リーディングエッジからトレイリングエッジまでの長さ73−97mmを有している。様々な定義はフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドをハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドと区別しており、ハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドはフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドと似ている傾向はあるがリーディングエッジからトレイリングエッジまでの長さがより短い。概して、ハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドは、リーディングエッジからトレイリングエッジまでの長さが38−73mmである。ハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドは、更に、フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドとは、重量によって、ライ角によって、体積によって、及び/又はシャフト長さによって、区別されよう。現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、ロフトが16度である。様々な実施形態では、現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、15乃至19.5度であってもよい。様々な実施形態では、現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、13乃至17度であってもよい。様々な実施形態では、現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、13乃至19.5度であってもよい。様々な実施形態では、現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、13乃至26度であってもよい。現開示のドライバー型式ゴルフクラブヘッドは、様々な実施形態では12度又はそれより小さく、或いは様々な実施形態では10.5度又はそれより小さくてもよい。
【0027】
ゴルフクラブヘッドの1つの実施形態100が開示されており、
図1A−
図1Dを参照して説明されている。
図1Aに見られる様に、ゴルフクラブヘッド100は、フェース110、クラウン120、ソール130、スカート140、及びホーゼル150を含んでいる。本開示の解釈上、ゴルフクラブヘッド100のフェース110を含まない大半部分をゴルフクラブ本体と考えることにする。反発係数機構(CORF)300がゴルフクラブヘッド100のソール130に見られる。
【0028】
3次元基準座標系200が示されている。座標系200の原点205は、ゴルフクラブヘッド100のフェースの幾何学的中心(CF)に配置されている。ゴルフクラブの打撃フェースの幾何学的中心を測定する方法論についてのU.S.G.A.の2005年3月25日付け2.0改訂版「ゴルフクラブヘッドの可撓性を測定するための手順」を見られたし。座標系200は、z軸206、y軸207、及びx軸208を含んでいる(
図1Bに示す)。それぞれの軸206、207、208は、互いに他の軸206、207、208に直交である。ゴルフクラブヘッド100は、リーディングエッジ170及びトレイリングエッジ180を含んでいる。本開示の解釈上、リーディングエッジ170は曲線によって画定されており、当該曲線は、y軸207及びz軸206により形成される平面に平行に取られた何れかの断面についてy軸207に平行に測定して最も前方であるゴルフクラブヘッド100上の点として定義されるそれぞれの最前方点の連なりによって画定されるものである。フェース110は、様々な実施形態では、溝又はスコアラインを含んでいよう。様々な実施形態では、リーディングエッジ170は、更に、そこではゴルフクラブヘッドの当該特定部分の湾曲がロール半径及びバルジ半径から実質的に逸脱しているエッジとすることができる。
【0029】
図1Bを参照して分かる様に、x軸208は地平面(GP)に平行であって、当該平面へゴルフクラブヘッド100は正しく着けられることになる―ソール130がGPと接触するように配列される。y軸207もGPに平行であり、x軸に直交である。z軸206は、x軸208、y軸207、及びGPに直交である。ゴルフクラブヘッド100は、トゥ185及びヒール190を含んでいる。ゴルフクラブヘッド100は、ホーゼル150の軸に沿って画定されているシャフト軸(SA)を含んでいる。ゴルフクラブとして組み立てられるとき、ゴルフクラブヘッド100はゴルフクラブシャフト(図示せず)へ接続される。典型的には、ゴルフクラブシャフトは、ホーゼル150に画定されているシャフト孔245の中へ挿入される。よって、ゴルフクラブヘッド100に対するSAの配列は、ゴルフクラブヘッド100がどの様に使用されるかを定義付けることになる。SAは、GPに対して或る角度198に整列されている。角度198は当技術ではゴルフクラブヘッド100のライ角(LA)として知られている。SAとGPの地平面交点(GPIP)が参照用に示されている。様々な実施形態では、GPIPは、ゴルフクラブヘッド100の機構を測定し参照付けることのできる基準点として使用されている。
図1Aに関連付けて示されている様に、SAは、現実施形態の原点とも軸206、207、208の何れとも直接に交わらないように原点205から離れて配置されている。様々な実施形態では、SAは、少なくとも1つの軸206、207、208及び/又は原点205と交わるように配列されていてもよい。z軸地平面交点212が、z軸がGPと交わる点として見てとれる。
【0030】
図1Cを参照して分かる様に、反発係数機構300(CORF)は、ゴルフクラブヘッド100のソール130に画定されていることが示されている。可動式の重りを設置するためにモジュール式重りポート240がソール130に画定されていることが示されている。可動式重りの様々な実施形態及びシステム及びそれらの関連の方法及び装置は、米国特許出願第10/290,817号、同第11/647,797号、同第11/524,031号を参照するとより詳細に説明されており、それら出願全てを参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。
図1Dに見られる上面図は、ゴルフクラブヘッド100の別の図を示している。シャフト孔245がホーゼル150に画定されていることが見てとれる。
図1Dには
図2についての切断面も見てとれる。
図2についての切断面はy軸207と一致している。
【0031】
図1Aに戻って、クラウン高さ162が示されており、それはz軸206に平行に測定してGPからクラウン120の最も高い点までの高さとして測定されている。現実施形態では、クラウン高さ162は約36mmである。様々な実施形態では、クラウン高さ162は34−40mmであってもよい。様々な実施形態では、クラウン高さは32−44mmであってもよい。様々な実施形態では、クラウン高さは30−50mmであってもよい。ゴルフクラブヘッド100は、更に、z軸206に平行に測定したフェース110の高さである有効フェース高さ163を有している。有効フェース高さ163は、フェース110上の最も高い点からリーディングエッジ170に近接するフェース110上の最も低い点までを測定している。クラウン120とフェース110の間には移行部が存在しており、そのため、フェース110上の最も高い点は実施形態の間で僅かに異なろう。現実施形態では、フェース110上の最も高い点とフェース110上の最も低い点は、フェース110の湾曲が実質的にロール半径から逸れている点である。幾つかの実施形態では、その様な点を特徴付けるずれは曲率半径の10%変化とすることができる。現実施形態では、有効フェース高さ163は約27.5mmである。様々な実施形態では、有効フェース高さ163はクラウン高さ162より2−7mm小さくてもよい。様々な実施形態では、有効フェース高さ163はクラウン高さ162より2−12mm小さくてもよい。有効フェース位置高さ164は、z軸206の方向に測定したGPからフェース110上の最も低い点までの高さである。現実施形態では、有効フェース位置高さ164は、約4mmである。様々な実施形態では、有効フェース位置高さ164は約2−6mmであってもよい。様々な実施形態では、有効フェース位置高さ164は0−10mmであってもよい。y軸207の方向に測定したゴルフクラブヘッド177の長さ177もまた
図1Aを参照して分かる。現実施形態では、長さ177は約85mmである。様々な実施形態では、長さ177は80−90mmであってもよい。様々な実施形態では、長さ177は73−97mmであってもよい。距離177は、リーディングエッジ170からトレイリングエッジ180までの長さの測定値である。距離177は、様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフトに依存していよう。1つの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフトは約15度であり、距離177は約91.6mmである。1つの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフトは約18度であり、距離177は約87.4mmである。1つの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフトは約21度であり、距離177は約86.8mmである。
【0032】
図2の破断図は、ゴルフクラブヘッド100の中空特質を示している。現実施形態のゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の既に論じられている諸部分によって境界付けられている内部320を画定しており、その様な諸部分には、内部に対し境界を提供することのできそうな機構は他にもあろうが中でもとりわけ、フェース110、クラウン120、ソール130、及びスカート140が含まれる。現実施形態では、モジュール式重りポート240は、ゴルフクラブヘッド100の外部の何れかの領域から内部320へのアクセスを提供している。現実施形態の数ある中の1つの目的は、CORF300を維持しながらも低重心と前方重心のうちの少なくとも一方を提供することである。現実施形態では、第2重りパッド部分345がゴルフヘッドクラブ100の内側低くに質量の増加した領域を提供している。第1重りパッド部分365及び第2重りパッド部分345は、現実施形態の重りパッド350の各部分である。重りパッド350は、現実施形態では、ゴルフクラブヘッド100と一体である。様々な実施形態では、重りパッド350は、様々な材料のものがあり、ゴルフクラブヘッド350へ接合されるようになっていることもあろう。例えば、様々な実施形態では、重りパッド350は、重りパッド350の方向への質量の再配置が所望されるなら、タングステン、銅、鉛、各種合金、及び様々な他の高密度材料のものであってもよい。重りパッド350がゴルフクラブヘッド100へ接合される別体の部分であるなら、重りパッド350は、ゴルフクラブヘッド100へ、溶接、糊付け、エポキシ、締結具又はキー締め配列を用いた機械的固定、又は様々な他の接合インターフェース、を介して接合することができよう。様々な実施形態では、重りパッド350は、ゴルフクラブヘッド100の内側に配列されていてもよいし、又は外側に配列されていてもよい。第1重りパッド部分365はy軸207方向に距離286を延び、第2重りパッド部分345はy軸207方向に距離288を延び、合わせて、長さ290がy軸207方向への重りパッド350全体を画定しており、約55mmである。様々な実施形態では、長さ290は、50−60mmであってもよい。様々な実施形態では、長さ290は45−62mmであってもよい。分かる様に、重りパッド350はリーディングエッジ170から距離361だけオフセットされており、これについては以下に
図3を参照して更に詳しく論じられている。現実施形態では、距離361は5.3mmであり、様々な実施形態では、距離361が可能な限り小さいことが所望されることもある。様々な実施形態では、距離361は4.5−6.5mmであってもよい。第2重りパッド部分345は、z軸方向に測定した厚さ347をしている。現実施形態では、厚さ347は約3.6mmである。様々な実施形態では、厚さ347は2−4mmであってもよい。様々な実施形態では、厚さ347は5mmまでであってもよい。重りパッド350の端273が破断図に見られる(更なる詳細は
図5に見られる)。端273は重量配分及び製造可能性のために傾斜が付いている。
【0033】
参照用に、z軸206に平行である中心線214が、
図2で見るとCORF300の中心に示されている。中心線214の場所は、以下に
図3に関連付けてより詳しく提供されている。当該図にはフェース−クラウン移行点216も見られる。フェース−クラウン移行点216は、y軸207に沿って切断した平面内でのフェース110が停止しクラウン120が起始している点であり、それは現実施形態では原点205に又は全世界的にはCFにある。フェース110及びクラウン120は曲線に沿って移行しており、フェース−クラウン移行点216は、現実施形態ではy軸207の平面内に又は全世界的には何らかの座標系の下にCFに交わる平面にしか位置しないものと理解している。フェース110のロール半径及びバルジ半径のせいで、フェース−クラウン移行点216つまりフェース110とクラウン120の間の移行部は、何れの幾何学的空間内でも現実施形態のフェース−クラウン移行点216以上に原点205に近くなることはない。加えて、フェース110からクラウン120への移行部で、y軸207に平行に測定してz軸206にそれ以上近い部分は無い。
図2から分かる様に、中心線214は、y軸207に平行に測定した全ての点で、フェース−クラウン移行点216に比べてz軸206により近い。よって、フェース110とクラウン120の間の移行部の点で、y軸207に平行に測定してCORF300の中心を通る中心線よりもz軸206に近いものは無く、よって、CORF300は、現実施形態の何れの点でも、フェース110からクラウン120への移行部より原点205(CF)に近いということになる。ゴルフクラブヘッド100のロフトが小さくなるつれ、フェース−クラウン移行点206は、―例えばドライバー型式ゴルフクラブヘッドでは―中心線214に近づいていることに留意されたい。とはいえ、開示は、現実施形態について及び13度又はそれより大きい全てのロフトについては、正確である。
【0034】
更に
図2にはシャフト平面z軸209が見られる。シャフト平面z軸209はz軸206に平行であるが、SAと同じ平面にある。参照用に、
図6はSAと同じ切断平面内のシャフト平面z軸209の場所を示している。シャフト平面z軸209は、y軸207の方向に測定してz軸206から距離241に配置されている。現実施形態では、距離241は13.25mmである。様々な実施形態では、距離241は13−14mmであってもよい。様々な実施形態では、距離241は10−17mmであってもよい。様々な実施形態では、距離241は、1mmほどに小さいこともあれば、24mmほどに大きいこともあろう。現実施形態では、シャフト平面z軸209は、モジュール式重りポート240の中心と同一線上に配置されている。モジュール式重りポート240の場所は、必ずしも全ての実施形態についてシャフト平面z軸209に相関付けられているわけではない。
【0035】
図2に戻って、現実施形態では、CORF300はゴルフクラブヘッド100のソール130に画定されており、よって、ゴルフクラブヘッド100の内部320は物理的にゴルフクラブヘッド100の全ての側面を金属によって境界付けられているわけではない。現実施形態では、CORF300は貫通スロットであり、それにより、ゴルフクラブヘッド100の内部320がCORF300の所で外部から分離されることのないように開放領域として画定されている。現実施形態のCORF300は、フェース110をソール130から切り離している。その様な機構は、本開示の後段で更に詳細に説明されている様に多数の意外な利点をもたらす。様々な実施形態では、CORF300の様々な機構は、様々な形状、大きさ、及び所望の結果を実現するための様々な具現化物、を含んでいよう。多数の実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、別々に製作され製作後にゴルフクラブヘッド100へ固定されたフェース110を含んでいる。現実施形態では、フェース110はゴルフクラブヘッド100へ溶接により固定されている。現実施形態には溶接ビード262a、262bが見られる。正接フェース平面235(TFP)もまた縦断面図に見てとれる。TFP235は、フェース11に原点205(CF)で正接している平面である。TFP235は、フェース110がロール半径及びバルジ半径で湾曲しているとしても、フェース110にとっての平面を近似している。TFP235は、z軸206に対して角度213を成している。現実施形態での角度213は、当業者なら理解される様にゴルフクラブヘッドのロフト角と同じである。現実施形態について、SAは完全に、x軸208とz軸206により形成される平面に平行な平面内にある。幾つかの実施形態では、SAは、x軸208とz軸206により形成される平面に平行な平面にはないであろう。その様な実施形態では、シャフト平面z軸209は、x軸208とz軸206によって形成される平面に平行でGPIPに交わる平面ということになろう。
【0036】
ゴルフクラブヘッド100の重心400(CG)が
図2に見られる。重りパッド350はゴルフクラブヘッド100の質量の多くの割合を成しているので、CG400は重りパッド350に比較的近接に位置している。CG400のz軸206方向に測定したGPからの距離が、現図に見られ、Δ
zと標示されている。現実施形態では、Δ
zは、約12mmである。少なくとも1つの実施形態では、Δ
zは9mmから10mmの間である。様々な実施形態では、Δ
zは11−13mmであってもよい。様々な実施形態では、Δ
zは10−14mmであってもよい。様々な実施形態では、Δ
zは8−12mmであってもよい。様々な実施形態では、Δ
zは8−16mmであってもよい。同様に、Δ
1と標示されている距離がy軸207方向に測定したシャフト平面z軸209からCG400までの距離として見られる。現実施形態では、Δ
1は、約11.5mmである。様々な実施形態では、Δ
1は11mm及び13mmを含めその間であってもよい。様々な実施形態では、Δ
1は10mm及び14mmを含めその間であってもよい。様々な実施形態では、Δ
1は8mm及び16mmを含めその間であってもよい。
【0037】
CG400の場所及びΔ
zとΔ
1の実際の測定値は、以下に論じられている様に、ゴルフクラブヘッド100のプレー特性に影響を与える。CG400の投影405が、TFP235に直交に見てとれる。投影点(現実施形態では標示せず)は、投影405がTFP235に交わる点である。現実施形態では、CG400の場所は、投影点を、現実施形態では原点205(CF)の場所であるフェース110の中心辺りに置いている。様々な実施形態では、投影点は原点205(CF)以外の場所であることもあろう。
【0038】
CG400の場所―特に寸法Δ
z及びΔ
1―は、ゴルフクラブヘッド100の使用に影響を与える。特に、ゴルフクラブヘッド100に類似するフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドでは、小さいΔ
zが様々なゴルフクラブヘッド設計で使用されてきた。多くの設計は、設計される特定のゴルフクラブヘッドのパラメータ内でΔ
1を最大化することを試みてきた。その様な設計は、CGの後方移動が一部の設計ではMOIを増大させることができるということでMOIに焦点を当てている。
【0039】
しかしながら、後方CG場所に対しては幾つか欠点がある。1つのその様な欠点は、動的ロフティングである。動的ロフティングは、Δ
1(任意のクラブについてΔ
1はy軸207の方向に測定したシャフト平面からCGまでの距離である)が特に大きい場合のゴルフスイング時に起こる。ロフト角(現実施形態では角度213として見られる)は静的であるが、Δ
1が大きい場合、ゴルフクラブヘッドのCGは、使用時のクラブヘッドのロフトを増大させる位置にある。これは、インパクト時に、ゴルフクラブヘッドのシャフト軸からオフセットしたCGが、ゴルフクラブヘッドのx軸208周りのモーメントを作り出しゴルフクラブヘッドのx軸208周りの回転を生じさせるために起こる。Δ
1が大きくなるほど、x軸周りのモーメントを発生させるモーメントアームが大きくなる。従って、Δ
1が特に大きければ、ゴルフクラブヘッドのx軸208周りのより大きな回転が見られる。この回転増大は、インパクト時のロフト加増につながる。
【0040】
動的ロフティングは一部の状況では所望されることもあり、よって、低くて後方のCGが所望される設計要素であることもあろう。とはいえ、動的ロフティングは、結果的にボール飛行に幾つかの悪影響をもたらす。第1に、動的ロフトが1度加増される毎に、打ち出し角は0.1°増加する。第2に、動的ロフトが1度加増される毎に、スピンレートは約200−250rpm増加する。スピンレートの増加は幾つかの要因のせいである。第1に、動的ロフティングは、単純により高いロフトを生み、より高いロフトはより多くのバックスピンを生じさせる原因となる。しかしながら、第2のもっと意外な解釈はギヤ効果である。後方CGをゴルフクラブヘッドのフェースへ投影すると、中心フェース(中心フェースは殆どのゴルフクラブヘッドにとって理想的なインパクト場所である)より上に投影点ができる。ギヤ効果理論は、投影点が打撃場所からオフセットしている場合に、ギヤ効果が投影点に向けてボールの回転を引き起こすことを述べている。中心フェースは殆どのゴルフクラブヘッドにとって理想的なインパクト場所であるので、投影点が中心フェースからオフセットしていれば、完璧に打撃されたショットにギヤ効果を引き起こしかねない。特に、後方CGフェアウェイウッドでは、ゴルフクラブヘッドのロフトが投影点を中心フェースより上―即ち理想打撃場所より上にさせてしまう。この結果、中心打撃にギヤ効果が生じて、ボールにゴルフクラブヘッドのフェースを転がり上がらせ、いっそう大きなバックスピンを発生させてしまうことになる。バックスピンは、ボール飛行が「気球飛行」になってしまい―即ち、言い換えれば、余りに急激に上昇してしまい―得られるゴルフショットの進行距離は最適なスピン条件の場合よりも短くなってしまうことから、一部の設計では問題があるかもしれない。動的ロフティングの第3の問題は、極端な事例では、ゴルフクラブヘッドのトレイリングエッジが地面に接触し、下手なゴルフショットになってしまい、同様にリーディングエッジが地面から浮き上がって薄いゴルフショットになってしまう、ということである。
【0041】
投影点を中心フェースと整列させないCGのオフセットに係る更なる考察事項は、スピンに因る潜在的エネルギー損失である。前述のギヤ効果問題が理由で、投影点が理想打撃場所以外のどこかへ移ることは、より多くのエネルギーがスピンに転じてしまうことで理想打撃へのエネルギー移行を削ってしまう。よって、投影点が理想打撃場所からオフセットしているゴルフクラブヘッドは、投影点が理想打撃場所(中心フェースにあると想定)と整列しているゴルフクラブヘッドに比べ、所与のショットでより短い距離を経験することになる。
【0042】
先に述べられている様に、幾つかの実施形態では、以上に記載の事象は設計プロセスの所望の成果である。現実施形態では、CG400の場所は(原点205の)CFに密に整列した投影点(標示せず)を作り出している。
【0043】
分かる様に、現実施形態のゴルフクラブヘッド100は、小さいΔ
zを生み出し、それにより、比較的低いCG400を有するように設計されている。しかしながら、様々な実施形態では、所与の設計考慮事項のセットについて理想的なプレー条件を実現するという目標にとってはΔ
1の大きさがより重要になることもある。
【0044】
y軸207に沿った原点205(CF)からのCG場所の測定値―CG
y距離と呼称―は、Δ
1と、z軸206とシャフト平面z軸209の間の距離241との和である。ゴルフクラブヘッド100の現実施形態では、距離241は公称で13.25mmであり、Δ
1は公称で11.5mmであるが、CG
y距離に関するばらつきがここに説明されている。現実施形態では、CG
y距離は、24.75mmであるが、ゴルフクラブヘッド100の様々な実施形態では、CG
y距離は、28mmほどに小さいこともあれば、32mmほどに大きいこともある。
【0045】
CG
y距離が判れば、ゴルフクラブヘッド空間に関してCGの場所を書き表すのにCG実効性積の使用が可能になる。CG実効性積は、CGをゴルフクラブヘッドの低く前方に配置させる実効性の測定値である。CG実効性積(CG
eff)は、次式、即ち、
【0047】
を用いて計算され、現実施形態では、距離の二乗(mm
2)の単位で測定されている。
【0048】
この式では、CG
effが小さいほど、クラブヘッドの質量を低く前方に再配置する実効性は高い。この測定値は、ゴルフクラブヘッド内のCG場所を、CGをフェース上へ投影すること無しに、適確に書き表している。よって、異なったロフト、異なったフェース高さ、及び異なったCF場所、を有しているゴルフクラブヘッド同士の比較が可能になる。現実施形態について、CG
yは24.75mmであり、Δ
zは約12mmである。よって、現実施形態のCG
effは約297mm
2である。様々な実施形態では、CG
effは、本開示の他の所で示されている様に、300mm
2より下である。様々な実施形態では、現実施形態のCG
effは310mm
2より下である。様々な実施形態では、現実施形態のCG
effは315mm
2より下である。様々な実施形態では、現実施形態のCG
effは325mm
2より下である。
【0049】
更に、CG
y距離は、CGのTFP235に直交に測定したフェースまでの距離について情報提供する。TFP235に直交に測定したCGまでの距離は、投影405の距離である。ゴルフクラブヘッドの任意のロフトθ(現実施形態については角度213に同じ)について、ゴルフクラブフェースのTFP235に直交に測定したCGまでの距離(D
CG)は、以下の方程式、即ち、
【0052】
現実施形態について、15度のロフト及び24.75mmのCG
yは、D
CGが約23.9mmであることを意味している。様々な実施形態では、D
CGは20−25mmであってもよい。様々な実施形態では、D
CGは15−30mmであってもよい。様々な実施形態では、D
CGは35mmより小さくてもよい。様々な実施形態では、D
CGは、前もって確定されているCG
y、Δ
1、Δ
z、又はゴルフクラブヘッド100の何か他の物理的態様、との関係によって定められよう。
【0053】
現実施形態のCORF300は、
図3を参照して分かる様に、ゴルフクラブヘッド100のリーディングエッジ170に近接に画定されている。先に論じられている様に、現実施形態のCORF300は、ゴルフクラブヘッド100の外部から内部320までのポートを提供している貫通スロットである。CORF300は、一方の側面が第1ソール部分355によって画定されている。第1ソール部分355は、フェース110に近接している領域からソール130まで、現実施形態では鋭角である角度357で延びている。様々な実施形態では、第1ソール部分355はソール130と同一平面上にあるが、但し現実施形態では同一平面上には無い。現実施形態では、角度357は約88度である。様々な実施形態では、角度357は85−90度であってもよい。様々な実施形態では、角度357は82−92度であってもよい。第1ソール部分355は、フェース110から、TFP235に直交に測定して約5.6mmの距離359を延びている。様々な実施形態では、距離359は5−6mmであってもよい。様々な実施形態では、距離359は4−7mmであってもよい。様々な実施形態では、距離359は12.5mmまでであってもよい。第1ソール部分355は、y軸207に沿って、リーディングエッジ170までを測定した距離361だけ突き出ており、当該距離は、重りパッド350がリーディングエッジ170からオフセットしているのと同距離である。現実施形態では、距離361は約5mmである。様々な実施形態では、距離361は4.5−5.5mmである。様々な実施形態では、距離361は3−7mmである。様々な実施形態では、距離361は、10mmまでであってもよい。現実施形態では、距離359、361は、y軸207及びz軸206と一致する切断平面で測定されている。様々な実施形態では、測定値―角度及び距離359、距離361の様な距離を含む―は、測定される場所に依って及びCORF300の形状に基づいて変化するであろう。
【0054】
CORF300は、y軸に沿って測定して第1ソール部分355から第1重りパッド部分365までの距離370に亘って画定されている。現実施形態では、距離370は約3.0mmである。様々な実施形態では、距離370はそれより大きいこともあれば小さいこともあろう。様々な実施形態では、距離370は2.0−5.0mmであってもよい。様々な実施形態では、距離370はCORF300に沿って可変であってもよい。当業者には理解される様に、様々な実施形態では、第1ソール部分355は、後方垂直面385bが何も直接隣接していない場所に延びているものであり、よって、距離370はy軸207に沿って測定されれば大きくなることがある。既に論じられている様に、中心線214はCORF300の中心を通っている。CORF300の中心は、距離370の精確に半分である距離366によって画定されている。現実施形態では、距離366は1.5mmである。
【0055】
CORF300は、リーディングエッジ170から第1重りパッド部分365分だけ遠位に画定されている。現実施形態での第1重りパッド部分365は、第1重りパッド部分365に画定されているモジュール式重りポート240に加えCORF300に対処するための様々な機構も含んでいる。様々な実施形態では、第1重りパッド部分365は、所望される特定の結果に依存して様々な形状及び大きさとされよう。現実施形態では、第1重りパッド部分365は、y軸207に沿ってCORF300の上に張り出し部分367を含んでいる。張り出し部分367は、重りパッド350のCORF300に張り出している何らかの部分を含む。開示全体について、張り出し部分は、現開示のCORFに張り出す重りパッドの何らかの部分を含む。張り出し部分367は、張り出し部分367の、y軸方向に測定してリーディングエッジ170に向かって最も遠い点である最もフェース寄りの点381を含んでいる。
【0056】
張り出し部分367は、現実施形態では、CORF300の距離370とほぼ同じ距離だけ張り出している。現実施形態では、重りパッド350(第1重りパッド部分365と第2重りパッド部分345を含む)は、ゴルフクラブヘッド100の実施可能最低重心を提供するように設計されている。張り出し部分367の厚さ372が、z軸206の方向に測定したものとして示されている。厚さ372は、所望の重心場所を実現するべくゴルフクラブヘッド100全体を通してどの様に質量を配分させるかを決定付ける。張り出し部分367は、現実施形態では、フェース110(又は適確には本図には示されていないTFP235)にほぼ平行である傾斜端374を含んでいるが、傾斜端374は必ずしもどの実施形態でもフェース110に平行であるとは限らない。離隔距離376が、TFP235に直交に測定したフェース110の内側面112と傾斜端374の間の距離として示されている。現実施形態では、約4.5mmの離隔距離376が、TFP235に直交に測定したフェース110の内側面112と張り出し部分367の傾斜端374の間の距離として見られる。様々な実施形態では、離隔距離376は4−5mmであってもよい。様々な実施形態では、離隔距離376は3−6mmであってもよい。CORF300は、斜縁375(本図では375aと375bとして示す)を含んでいる。現実施形態では、斜縁375は、後段でより詳細に説明される様に、或る応力低減機能を提供している。様々な実施形態では、張り出し部分367がCORF300に張り出している距離は、設計の所望される特性に依存してより小さいこともあればより大きいこともあろう。
【0057】
分かる様に、第1ソール部分355の内面382は、ソール130へ向けて下向きに延びている。内面382は、低点384で終わっている。CORF300は、CORF300の縁を画定している垂直面385(本図では385a、385bとして示す)を含んでいる。CORF300は、更に、張り出し部分367の下側の面に沿って画定されている終端面390を含んでいる。終端面390は、内面382の低点384から距離392だけオフセットしている。オフセット距離392は、使用中に変形してCORF300の距離370を縮めかねない第1ソール部分355の運動に備えたあそびを提供している。オフセット距離392のせいで、垂直面385は、垂直面385aと垂直面385bでは同じではない。但し、垂直面385はCORF300の周りを連続している。現実施形態では、オフセット距離392は約0.9mmである。様々な実施形態では、オフセット距離392は約0.2−2.0mmであってもよい。様々な実施形態ででは、オフセット距離392は約4mmまでであってもよい。オフセットから地面までの距離393も低点384とGPの間の距離として見られる。オフセットから地面までの距離393は、現実施形態では、約2.25mmである。オフセットから地面までの距離393は、様々な実施形態では、約2−3mmであってもよい。オフセットから地面までの距離393は、様々な実施形態では、5mmまでであってもよい。後方垂直面高さ394は垂直面385bの高さを言い表し、前方垂直面高さ396は垂直面385aの高さを言い表している。現実施形態では、前方垂直面高さ396は約0.9mmであり、後方垂直面高さ394は約2.2mmである。様々な実施形態では、前方垂直面高さ396は約0.5−2.0mmであってもよい。様々な実施形態では、後方垂直面高さ394は約1.5−3.5mmであってもよい。終端面から地面までの距離397も見られ、現実施形態では約3.2mmである。終端面から地面までの距離397は、様々な実施形態では、2.0−5.0mmであってもよい。終端面から地面までの距離397は、様々な実施形態では、10mmまでであってもよい。
【0058】
様々な実施形態では、垂直面385bは、隅肉、丸み、斜、又は他の移行部を介して終端面390へと移行していよう。様々な実施形態では、鋭い角は製造が容易くないことは、当業者なら理解されよう。様々な実施形態では、垂直面385と終端面390の間の移行部に由来する利点が見られよう。これらの面(385と390)間の関係は、現実施形態に加えてこれらの考え方を包含しようとするものであり、当業者には、隅肉、丸み、斜、又は他の移行部の様な機構は、実質的に、その様な関係の範囲内に入ることが理解されるはずである。簡潔さを期して、その様な面間の関係は、その様な機構が存在しないかのごとく扱われるものとし、関係について行われている測定は、必ずしも、何れかの所与の実施形態では全面的に垂直又は水平である面を含んでいるとは限らない。
【0059】
現実施形態の張り出し部分367の厚さ372を見ることができる。厚さ372は、現実施形態では、約3.4mmである。様々な実施形態では、厚さ372は3−5mmであってもよい。様々な実施形態では、厚さ372は2−10mmであってもよい。現開示の他の実施形態に関して示されている様に、厚さ372は、それらの実施形態の機構と組み合わされた場合にはより大きいこともあろう。また、後方垂直面高さ394は、垂直面385bの距離のみならずCORF300の斜375から終端面390までの距離も画定しているが、その様な関係はどの実施形態でも必須であるとは限らない。分かる様に、オフセット距離392、オフセットから地面までの距離393、及び垂直面高さ394のそれぞれは、厚さ372より小さい。よって、オフセット距離392、オフセットから地面までの距離393、及び垂直面高さ394、のそれぞれの対厚さ372比は、1より小さいか又は1に等しい。様々な実施形態では、CORF300は、終端面から地面までの距離397の観点で特徴付けられよう。現実施形態について、終端面から地面までの距離397の厚さ372に対比した比は約1であるが、様々な実施形態ではより小さいこともあろう。現開示の解釈上、終端面から地面までの距離397の厚さ372に対比した比は、「CORF質量密度比」と呼称されている。CORF質量密度比は、CORFの1つの考えられ得る特徴付けを提供するものであるが、本段落及び本開示全体を通して、様々な重りパッド及びCORFの寸法に関して挙げられているあらゆる比は、CORFの、質量密度、機構の物理的場所、及び潜在的製造可能生を含む様々な態様を特徴付けるのに利用できることに注目されたい。特に、CORF質量密度比及び本明細書中の他の比は、他にも恩恵はあろうが、少なくとも、質量をCORFの区域へ再配置することの実効性を書き表す方法を提供している。
【0060】
CORF300は、距離370の観点でも特徴付けられよう。オフセット距離392の距離370に対比した比は、現実施形態では1にほぼ等しく、様々な実施形態では1より小さいこともあろう。
【0061】
様々な実施形態では、CORF300は、施栓材料(図示せず)が差し込まれていてもよい。現実施形態でのCORF300は貫通スロット(ゴルフクラブヘッドの中に空隙を提供している)であるので、CORF300の中への屑類の入り込みを防止し、ゴルフクラブヘッド100の内部320と外部の間に離隔を提供するには、CORF300に施栓材料を充填するのは好都合である。加えて、施栓材料は、望ましからざる振動、音、又は貫通スロットと関連付けられ得る他の悪影響を低減又は排除するように選定されてもよい。施栓材料は、様々な実施形態では、所望の性能に依存して様々な材料であってよい。現実施形態では、施栓材料はポリウレタンであるが、エラストマーゴム、ポリマー、各種ゴム、発泡体、及び充填材を含め、様々な比較的低弾性率の材料が使用されてもよい。施栓材料は、(後段でより詳細に論じられている様に)使用時のゴルフクラブヘッド100の変形を実質的に妨げてはならない。
【0062】
CORF300は
図4に示されている。現実施形態のCORF300は、その形状を画定している多数の部分を含んでいる。CORF300は、複数のCORF300から構成されている中央部分422を含んでいる。中央部分422は、CORF300の他の部分に比べて相対的に直線状である。現実施形態では、中央部分422は、約100mmの半径の曲線である。中央部分422の湾曲がリーディングエッジ170の湾曲から実質的に逸れないようにして、中央部分422の外形はリーディングエッジ170外形を大凡なぞっている。CORF300の画定幅として距離370が見てとれる。画定幅は垂直面385に直交に測定されるので、画定幅は何れかの軸(x軸208、y軸207、z軸206)に対して必ずしも一定した角度であるとは限らない。CORF300は、2つの追加の部分を含んでいる。ヒール方向戻り部分424及びトゥ方向戻り部分426が見られる。ヒール方向戻り部分424及びトゥ方向戻り部分426はリーディングエッジ170から逸れており、その結果、ヒール方向戻り部分424及びトゥ方向戻り部分426の領域ではCORF300の湾曲はリーディングエッジ170の湾曲と実質的に同じでない。現実施形態では、CORF300の画定幅は一定のままであるので、距離370が全部分(中央部分422、ヒール方向戻り部分424、トゥ方向戻り部分426)を通じてCORF300の画定幅を画定している。様々な実施形態では、ヒール方向戻り部分424及びトゥ方向戻り部分426のうちの少なくとも一方の画定幅は、中央部分422の画定幅に対して可変であってもよい。現実施形態では、ヒール方向戻り部分424及びトゥ方向戻り部分426のリーディングエッジ170からの逸れは、ゴルフクラブヘッド100のCORF300に沿った潜在的失陥―例えばひび割れ又は永久的変形など―を回避するうえで追加の応力軽減をもたらす。現実施形態では、ヒール方向戻り部分424、中央部分422、及びトゥ方向戻り部分426は、当該3部分間で一定した半径ではない。そうではなく、現実施形態のCORF300は、多半径(以下「MR」)CORF300である。
図4の配列に因り、終端面390はCORF300の下に見ることができる。
【0063】
CORF300は、ヒール方向端434及びトゥ方向端436を含んでいる。CORF300の端434、436それぞれが、斜縁375の端に識別される。様々な実施形態では、斜縁375は省略され、端434、436は結果としてより接近し合っていることもあろう。x軸208方向に測定したトゥ方向端436とヒール方向端434の間の距離452が示されている。現実施形態では、距離452は40−43mmである。様々な実施形態では、距離452は33−50mmであってもよい。様々な実施形態では、距離452はここに挙げられている範囲より大きいこともれば小さいこともあり、ゴルフクラブヘッドの大きさによってのみ制限される。CORF300は、y軸207の方向に測定した距離454を含んでいる。現実施形態では、距離454は9−10mmである。様々な実施形態では、距離454は7−12mmであってもよい。様々な実施形態では、距離454は、ここに挙げられている範囲より大きいこともあれば小さいこともあり、ゴルフクラブヘッドの大きさによってのみ制限される。
【0064】
図5を参照して分かる様に、現実施形態のCORF300は、その端434、436に沿って様々な機構で補強されている。CORF300は、高応力下でひび割れを起こし易い。ヒール応力逃がしパッド484及びトゥ応力逃がしパッド486が、CORF300の内部320に沿って含まれている。具体的には、応力逃がしパッド484、486は、CORF300の端434、436に沿った相対的に厚い構造の領域である。応力逃がしパッド484、486は、鋳造時の材料の流れを手助けし、端434、436の増加した材料厚さが使用時に最大の応力を被るCORF300のそれら領域を画定するのを支援する。厚さ移行領域492が、トゥ185の破断図と断面図の両方に見られる。厚さ移行領域492は、ゴルフクラブヘッド100のフェース110に近接している壁の厚さの漸増を提供している。厚さ増加は、他にも恩恵はあろうが中でも、質量のフェース110近くへの再配置及びフェース110の領域における構造的完全性向上を含む多くの恩恵を提供する。
図5を見て分かる様に、張り出し部分367は、中央部分422、ヒール方向戻り部分424、及びトゥ方向戻り部分426(
図4を見られたし)、を含んでいるCORF300の外形を概ねなぞっている。分かる様に、現実施形態の張り出し部分367は、張り出し部分367の厚さが可変である少なくとも2つの補強部分494、496を含んでいる。補強部分494、496は、より優れた応力逃がし、成形流れ、及び質量移動を含め、応力逃がしパッド484、486に対する同様の恩恵を提供する。重りパッド350の寸法271が、重りパッド350のx軸208に沿って測定した最も大きい長さとして見られ、寸法271は現実施形態では約63mmである。寸法271は、様々な実施形態では60−70mmであってもよい。寸法271は、様々な実施形態では50−75mmであってもよい。現実施形態の重りパッド350は、スカート140に接触するその端まで延びている。ゴルフクラブヘッド100の更なる図が
図6に見られる。現開示の様々な応力逃がしパッド及び補強材は、様々な実施形態では、他の方法もあろうが中でも、リブ、厚さの変化、又は寸法変化、を含む同様の機構と置き換えられてもよい。当業者なら、その様な代わりの機構は現開示の範囲によって網羅されるものであることが理解されるであろう。
【0065】
先に述べられている様に、CORF300の様な反発係数機構及びこれまでに挙げられている実施形態は、特にフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドでは、多くの恩恵をもたらす。概して、反発係数機構は、フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドでは手に入らなかったはずの恩恵をもたらす。
【0066】
例えば、反発係数機構を有するフェアウェイウッドでは、無CORFフェアウェイウッドよりも高いCORFを見ることができる。これには複数の理由が存在する。ゴルフクラブヘッド100におけるCORF300の実施形態では、フェース中心でのゴルフボールの打撃は、―殆どのウッド型式ゴルフクラブヘッドがそうである様に―最大CORを経験する。示されている様に、CORF300の様な反発係数機構を有するゴルフクラブヘッドは、中心フェースの平面において少なくともインパクト方向には制約されなくなり、それによりCOR増加が可能になる。
【0067】
インパクト時、ゴルフクラブヘッド100は、インパクトの場所―理想的には中心フェース、に集中する1トン(2,000ポンド)より大きい法線力を経験することになる。その様な力の下では、殆どのゴルフクラブヘッドが作られている金属は、少なくとも或る程度の撓みを経験し、測定できるほどのCORを生じさせる。ゴルフクラブフェースが可能な限り剛性であれば、撓みがあっても最小であり、潜在的なばねエネルギーとして蓄えられるエネルギーの量も同様に最小になろう。撓みが最小であれば、フェースはその典型的な位置へ大きなエネルギー量を持って戻ることはなく、而して、ゴルフボールへ追加のエネルギーを与えない。
【0068】
幾つかの設計では、進歩した材料を有するゴルフクラブヘッド及びより薄いフェースを有するゴルフクラブヘッドを作ることが可能であるかもしれない。材料には、数ある中でも、6−4チタン、15−3−3−3チタン、及び1400MPaより大きい強度の鋼が含まれよう。フェースの曲げ剛性は厚さの関数であるので、より薄いフェースなら大抵はより高いCORをもたらすはずである。但し、設計者は、ゴルフクラブフェースがあまりに薄くなるとひび割れや他の失陥が起こりかねないことから、ゴルフクラブフェースを薄くし過ぎることへの危険を冒すことになる。
【0069】
ドライバー型式ゴルフクラブヘッドでは、多くのゴルフクラブヘッドは、体積460立方センチメートルというUSGA大きさ制限を極大限に引き出してきた。多くのドライバーは、比較的大きなフェース高さ及び比較的大きなフェース幅から得られる比較的大きな表面積を有するフェースを有している。従って、多くのドライバーは、先に説明されている様に、フェースの面積が大きいとより大きな距離の撓みを広めることが可能になることから、USGA最大0.830CORを実現する能力がある。ドライバー型式ゴルフクラブヘッドがより小さいフェースで同じCORを実現するのに要求されるはずのものより薄さのないフェースと共に製造されている場合でさえ、累積的にはフェースの幾つもの小さい撓みが中心フェースの当たりの際の大きな撓みを生じさせ、より大きな反発をもたらす。実際に、多くのドライバー型式ゴルフクラブヘッドは、―例えば、既に参照され、ここに参考文献としてそっくりそのまま援用されている、米国特許出願第12/813,442号にある様に―CORを最大化させるべくフェースの面積を増加させるように可変フェース厚さ(VFT)を用いて設計されている。よって、中心外れの当たりの場合の距離の変動性は低減され、より大きいCOR面積がもたらされる。
【0070】
逆に、フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドでは、中心フェース打撃時でさえ最大のCORに達するのが難しい場合が多い。フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、典型的に、ドライバー型式ゴルフクラブヘッドより、はるかに小さいフェース面積、はるかに小さいフェース高さ、そしてはるかに小さいフェース幅を含んでいる。フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドのCORを最大にするために、多くの設計はフェース厚さを減らしており、そうするに当たりゴルフクラブヘッドのフェースの構造的完全性を危うくする場合が往々にしてある。その上、フェースの縁のフェースとクラブ本体の間の接合部はフェースの中心より剛性であることが多く、それは、ドライバー型式ゴルフクラブヘッドにおいてさえ、中心フェース打撃と中心外れ打撃との間で距離が大きくばらつく原因となる。ここに挙げられている参考文献に記載されている反発係数機構は、多少とも恩恵をもたらしはするが、なおも大きく制約されている。また、ゴルフクラブヘッド内で突き出ている反発係数機構によって占められる幾何学的空間は先に論じられている質量の再配置を妨げる。
【0071】
現開示の実施形態は、これまでの設計が対処できなかった課題に対処する。CORF300及び現開示の他のCORF(現開示の以下の他の実施形態と関連付けて説明されている)は、事実、ゴルフクラブヘッド100又は現開示の他のゴルフクラブヘッドの内部320の空間を占める物理的要素を含んでいるが故に、現開示のゴルフクラブヘッドの様々な実施形態では、質量を、CORF300及び現開示の他のCORFに近接する領域に―具体的には低い前方の領域に―再配置することが可能になる。その様な質量の再配置は、クラブ設計者の所望CG場所に基づく最適プレー条件を提供する最大限の設計融通性を可能にする。
【0072】
CORF300及び現開示の他のCORFは、少なくともフェースの中心に近接する領域については、リーディングエッジ170のところでソール130へ物理的に連結されていないので、より大きい撓みがもたらされ、それによってより大きいCORがもたらされる。どうしてこのことが可能であるかを初歩的な梁理論が解説している。
【0073】
例示として、フェースがゴルフクラブ本体へ全ての端で接続されている従来のゴルフクラブヘッドは、
図31に示されている様に、その両端で支持されている剛性梁で近似できる。
【0074】
両端に沿った剛性支持部を有する上記の支持梁については、力Pの印加点での撓みδは、Lを梁の長さ、Eを材料の弾性係数、Iを梁の区域慣性モーメントとして、以下の方程式、即ち、
【0077】
CORF300及び現開示の他のCORFの様な反発係数機構を含むゴルフクラブヘッド100の様なゴルフクラブヘッドは、
図32に示されている様に、例示として片持ち梁で近似できる。
【0078】
力Pの印加点での撓みは、以下の方程式、即ち、
【0081】
よって、他の全ての変数が等しいとしたときに、片持ち梁の中心点の撓みは、両端支持梁の2倍である。この関係は、フェース中心でのより大きい撓みを可能にすることにおけるCORF300及び現開示の他のCORFの様な反発係数機構の値を示している。
【0082】
また一方で、CORF300及び現開示の他のCORFには、単純な梁理論には見られない更なる恩恵がある。先に述べられている様に、最も偉大なゴルファーでさえ全てのゴルフショットで完璧にゴルフボールを打撃するとは限らない。
図3を参照して特に詳細に分かる様に、殆どのゴルフクラブヘッドのリーディングエッジは鋭角である角度を含んでいる―現開示ではリーディングエッジ170は角度357を含んでいる。角度357が鋭角であるので、角度357に近接する領域の材料は特に可撓性が小さい。よって、「薄い」当たりのショット―即ち従来のゴルフクラブヘッドのフェース低くに当たったショット―は、薄いショットと中心フェースに当たったショットの間のCOR差が特に大きいために、特に乏しい飛距離を経験する。現開示の実施形態では、CORF300及び現開示の他のCORFは、大抵は剛性であるリーディングエッジ170がそれに見られるはずの可撓性よりも大きい可撓性を持てるようにし、薄いショットのCORが典型的なゴルフクラブヘッドで見られるよりもはるかに中心フェース打撃のCORに近くなるようにしている。
【0083】
ゴルフクラブヘッドの別の実施形態500が
図7の断面図に見られる。
図7の断面図は、ゴルフクラブヘッド500について、
図2のゴルフクラブヘッド100についてと同じ平面に沿って取られている。ゴルフクラブヘッド500は、多くの点でゴルフクラブヘッド100と実質的に類似している。開示の簡潔さを期して、機構が類似して描かれている場合及び/又は共通の参照識別子で識別されている場合、1つの実施形態の機構はその様な機構の包含が現開示の他の要素と矛盾しない場合には別の実施形態に含まれることもあり得る、ということが当業者には理解されよう。ここに記載されている幾つかの例示としての実施形態に参照識別子が含まれていない場合であっても、当業者には理解される様に、類似して描かれている機構はそれら幾つかの実施形態の間で一致しているものとし、但し、開示がその様な想定を否定している場合又はそのためにその様な想定が一部の明示的な開示に相反することになる場合はその限りではない。
【0084】
ゴルフクラブヘッド500は、形状と機構がゴルフクラブヘッド100と類似している。ゴルフクラブヘッド500の重りパッド550は、ゴルフクラブヘッド100の重りパッド350よりも、ゴルフクラブヘッド500の低い前方の場所へ詰められている。現実施形態では、重りパッド550は、約9.5mmの厚さ547を含んでいる。様々な実施形態では、厚さ547は8−10mmであってもよい。様々な実施形態では、厚さ547は6−12mmであってもよい。現実施形態での厚さ547は厚さ347より大きい。但し、重りパッド550の長さ590は約26.5mmであり、重りパッド350の長さ290より小さい。様々な実施形態では、長さ590は24−30mmであってもよい。様々な実施形態では、長さ590は21−33mmであってもよい。CORF800を見ることができ、CORF300と実質的に類似している。重りパッド550の端573が破断図に見られる(更なる詳細は
図9に見られる)。端573は重量配分及び製造可能性のために傾斜が付いている。
【0085】
少なくとも幾つかの間での1つの着目される違いは、ゴルフクラブヘッド500が、現実施形態のCG600をゴルフクラブヘッドの低い前方の場所に配置させるように設計されていることである。ゴルフクラブヘッド500についてΔ
zは約12.9mmである。様々な実施形態では、Δ
zは11−13mmであってもよい。様々な実施形態では、Δ
zは10−13.5mmであってもよい。様々な実施形態では、Δ
zは14.5mmまでであってもよい。ゴルフクラブヘッド500についてΔ
1は約7mmである。様々な実施形態では、Δ
1は6.5−7.5mmであってもよい。様々な実施形態では、Δ
1は6−11mmであってもよい。様々な実施形態では、Δ
1は12mmまでであってもよい。ゴルフクラブヘッド100についてのΔ
1をゴルフクラブヘッド500についてのΔ
1に比較すると、Δ
1は、ゴルフクラブヘッド100よりもゴルフクラブヘッド500の方が小さいことに気付かれよう。Δ
zは、ゴルフクラブヘッド100よりもゴルフクラブヘッド500の方が大きいが、差はさほどでもない。
【0086】
分かる様に、CG600のフェース110上への投影505は、CFにある原点205の場所とは目立って異なる投影点510を生じさせる。現実施形態では、投影点510は、TFP235内で測定して約1mmの距離だけ原点205より下にある。様々な実施形態では、投影点510は1.5mmだけ原点205より下にあってもよい。様々な実施形態では、投影点510は3mmまでを限度に原点205より下にあってもよい。低くてより前方のCG600は、ゴルフクラブヘッド500のプレー特性を変える設計をもたらす。以上に説明されている様に、(CG400の様な)低いCGは、様々な設計では、CFに投影点を含んでいることもあれば、CFより上の投影点を含んでいることすらある。現実施形態では、CG600が低くて比較的前方の場所にあるために、投影点510はCFより下である。先に述べられているCG場所の効果はここに当て嵌る。驚くべきことに幾つかの利点が見いだされている。第1に、Δ
1が比較的小さいので、動的ロフティングが低減され、それにより、ひいては距離を縮めるスピンが低減される。その上、CG600の投影点がCFより下であるので、ギヤ効果が、ゴルフボールがCG600の投影に向かって回転するのを付勢する―又は換言すれば前方スピンを掛ける。これに、バックスピンを与えるゴルフクラブヘッド500のロフトが対抗する。全体としての効果は比較的低いスピンプロファイルである。但し、CG600はz軸206に沿って測定してCFより下(ひいては理想インパクト場所より下)であるので、ゴルフボールはインパクト時により高く上がる傾向にあろう。結果は、きれいな打撃のショットでの高い打ち出しではあるが低いスピンのゴルフショットとなり、距離の伸びた(スピンに失われるエネルギーの少ない)より優れたボール飛行(より高くよりソフトな着地)につながる。
【0087】
ゴルフクラブヘッド500の現実施形態について、CG
yは、Δ
1に13.25mmの距離241を足したものに等しい。現実施形態では、Δ
1は公称で約7mmであるので、CG
yは約20.25mmである。先に述べられている様に、Δ
zは約12.9mmである。よって、CG
effはCG
yとΔ
zの積に等しく、現実施形態について、CG
effは約261mm
2である。現開示の様々な実施形態では、CG
effは260−275mm
2であってもよい。様々な実施形態では、CG
effは255−300mm
2であってもよい。様々な実施形態では、CG
effは245−275mm
2であってもよい。様々な実施形態では、現開示のCG
effは大きくとも275mm
2であってもよい。様々な実施形態では、現開示のCG
effは大きくとも250mm
2であってもよい。様々な実施形態では、現開示のCG
effは大きくとも225mm
2であってもよい。様々な実施形態では、現開示のCG
effは大きくとも200mm
2であってもよい。D
CGは、以上にゴルフクラブヘッド100に関して述べられている様に求められる。約15度のロフト(θ)及び20.25のCG
yの現実施形態についてのD
CGは約19.5mmである。様々な実施形態では、D
CGは15−25mmであってもよい。様々な実施形態では、D
CGは10−30mmであってもよい。様々な実施形態では、D
CGは、ここに記載されているゴルフクラブヘッド500の他の物理的態様から確定されよう。
【0088】
当業者には、CG
eff測定はフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドでは実現するのが特に難しいことが理解されるはずである。例えば、低CG
eff数が、ハイブリッド型式ゴルフクラブヘッド、特にアイアン型式ゴルフクラブヘッドに見られるであろう。よって、当業者には理解されるであろうが、ここに組み合わされている様々な測定値はフェアウェイウッド型式又はドライバー型式ゴルフクラブヘッドには当て嵌ろうが、ハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドには当て嵌らないこともある。
【0089】
これらの効果は分かりはしても、反発係数機構を含んでいるゴルフクラブヘッド内にその様な設計要素を実装するのはこれまでは不可能であった。参考文献としてここにそっくりそのまま援用されている、2010年6月1日出願の米国特許出願第12/791,025号及び2011年12月27日出願の米国特許出願第13/338,197号に記載の反発係数を増大させるための機構の設計は、それらの設計の反発係数機構を構成する物理的要素を含んでいるので、大量の質量を反発係数機構の近傍にゴルフクラブヘッドのフェースに近接して配置させるのは無理であろう。よって、これまでの設計に記載されている反発係数機構と一体となって低い前方のCG場所を作り出すのは無理であろう。その様な組合せは現開示の多くの中の1つの発明要素である。
【0090】
図8を参照して分かる様に、CORF800は、現実施形態については、様々な寸法及び面が本開示の先の実施形態の場合と類似していることから、それら実施形態の場合と実質的に同じである。但し幾つか違いがある。具体的には、重りパッド550は、現実施形態では、CORF800にほぼすっぽり被さる張り出し部分567を含んでいる。z軸206(本図には示さず)の方向に測定して約6.1mmの厚さ572が見られるが、それは厚さ372より目立って大きい。様々な実施形態では、厚さ572は5.5−7mmであってもよい。様々な実施形態では、厚さ572は4−10mmであってもよい。様々な実施形態では、厚さ572は12.5mmまでであってもよい。現実施形態では、張り出し部分567は、フェース110(又は、より適確には、本図には示されていないTFP235)にほぼ平行である傾斜端574を含んでいる。約4.5mmの離隔距離576が、TFP235に直交に測定した、フェース110の内側面112と張り出し部分567の傾斜端574の間の距離として見られる。様々な実施形態では、離隔距離576は4−5mmであってもよい。様々な実施形態では、離隔距離576は3−6mmであってもよい。張り出し部分567は、張り出し部分567のy軸207の方向に測定してリーディングエッジ170に向かって最も遠い点である最もフェース寄りの点581を含んでいる。
【0091】
先に論じられている様に、オフセット距離392、オフセットから地面までの距離393、及び垂直面高さ394、のそれぞれの対厚さ572(又は厚さ372)比は、1より小さいか又は1に等しい。現実施形態では、オフセット距離392、オフセットから地面までの距離393、及び垂直面高さ394、のそれぞれの対厚さ572比は、0.5より小さいか、又は幾つかの実施形態では0.33より小さい。様々な実施形態では、CORF300は、先に論じられている様に、CORF質量密度比を実現する終端面から地面までの距離397の観点で特徴付けられよう。現実施形態については、CORF質量密度比は、約0.55より小さく、張り出し部分567及びゴルフクラブヘッド500の機構の、終端面から地面までの距離397を最小化させられる厚さに依存して、様々な実施形態では0.40より小さくてもよく、様々な実施形態では、0.50より小さくてもよく、また様々な実施形態では0.60より小さくてもよい。
【0092】
現実施形態では、ゴルフクラブヘッド500の重量は約215グラムであり、様々な実施形態では180グラムから260グラムの間のどこかであってもよい。現実施形態では、重りパッド550は、ゴルフクラブヘッド500の重量の約43%−44%を占め、即ち約93グラムである。様々な実施形態では、重りパッド550は、ゴルフクラブヘッド500の重量の約35%−50%であってもよい。当業者には理解されようが、ゴルフクラブヘッドの特定の場所にちょうどそれだけの質量を配置させることには特定のゴルフクラブヘッドのCG場所への劇的な効果がある。
【0093】
図9に見られる様に、ゴルフクラブヘッド500は重りパッド550を含んでいる。重りパッド550は、パッド550のx軸208に沿って測定した最も大きい長さである寸法571を含んでいる。寸法571は、現実施形態では、79.5mmである。様々な実施形態では、寸法571は75−85mmであってもよい。様々な実施形態では、寸法571は70−90mmであってもよい。現実施形態の重りパッド550は、スカート140と接触するその縁まで延びている。現図では、重りパッド550とヒール190側スカート140の間の接触の区域は視界外である。接触の場所は測定される通りである。また、現実施形態の重りパッド550は、その端全てについてスカート140で終端しているわけではない。現実施形態では、端573はソール130の内側面の中へ入って終端している。
【0094】
ヒール応力逃がしパッド584及びトゥ応力逃がしパッド586を、張り出し部分567の下のCORF300の端434、436に近接して見ることができる。応力逃がしパッド584、586は、様々な実施形態では、CORF300のひび割れを防止するための材料の厚さの増大した領域である。重りパッド550がCORF300に張り出しているので、重りパッド550のCORF300近傍の領域は、先の実施形態に見られた様に実質的に補強されている必要はない。重りパッド550の(傾斜端574を含む)フェース端592は、現実施形態では、概ねCORF300の湾曲をなぞっている。CORF300の端434、436に近接して、フェース端592の窪み594、596が起こっている。それ以外は重りパッド550のフェース端592は概ねフェース110の湾曲をなぞっている。ゴルフクラブヘッド500の更なる図が
図10に見られる。
【0095】
ゴルフクラブヘッドの別の実施形態1000が
図11に示されている。ゴルフクラブヘッド1000は形状及び機構がゴルフクラブヘッド500に実質的に類似している。幾つかの実質的な違いがある。但し、先に述べられている様に、開示の簡潔さを期して、機構が類似して描かれている場合及び/又は共通の参照識別子で識別されている場合、1つの実施形態の機構はその様な機構の包含が現開示の他の要素と矛盾しない場合には別の実施形態に含まれることもあり得る、ということが当業者には理解されよう。ここに記載されている幾つかの例示としての実施形態に参照識別子が含まれていない場合であっても、当業者には理解される様に、類似して描かれている機構はそれら幾つかの実施形態の間で一致しているものとし、但し、開示がその様な想定を否定している場合又はそのためにその様な想定が一部の明示的な開示に相反することになる場合はその限りではない。
【0096】
現実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000は、Δ
z及びΔ
1に設定されているCG1400、その投影1505及び投影点1510、を含んでいる。現実施形態では、CG1400、Δ
z、Δ
1、投影1505、及び投影点1510は、全て、先に
図7に関連付けて説明されているゴルフクラブヘッド500についてのCG600、Δ
z、Δ
1、投影505、及び投影点510とほぼ同じであるが、現実施形態のその様な機構は公称的には異なっていよう。重りパッド1350は重りパッド550とほぼ同質量であるが、重りパッド550の様々な機構は以下に説明されている様に異なっている。ゴルフクラブヘッド1000は、CORF800及びCORF300と一致する多くの機構を含むCORF1300を含んでいる。
【0097】
図12を参照して分かる様に、現実施形態のCORF1300はCORF800と同様の形状をしている。幾つかの実質的な違いがある。第1に、CORF1300は、保定機構1325を含んでいる。現実施形態の保定機構1325は、重りパッド1350中に画定されているチャネルである。保定機構1325は、保定機構1325がCORF1300の全体的な輪郭をなぞることよって画定されている。本図には終端面1390が見られる。終端面1390は、y軸207(
図12には示さず)方向に対して角度1391に配置されている。重りパッド1350は、傾斜端1374を有する張り出し部分1367を含んでいる。傾斜端1374は、フェース110の内側面に対して角度1396に配置されている。張り出し部分1367の上縁に隅肉1397が見られる。張り出し部分1367のz軸206方向に測定した厚さ1372は約5.4mmであり、それは、角度1391が張り出し部分1367をテーパさせているので、張り出し部分1367の最も大きい厚さである。様々な実施形態では、厚さ1372は5.5−7mmであってもよい。様々な実施形態では、厚さ1372は4−8mmであってもよい。様々な実施形態では、厚さ1372は12.5mmまでであってもよい。
【0098】
先に論じられている様に、オフセット距離1392対厚さ1372(又は厚さ372、572)の比は1より小さいか又は1に等しい。現実施形態では、オフセット距離1392対厚さ1372の比は0.5より小さい。様々な実施形態では、この比は0.4より小さくてもよい。様々な実施形態では、この比は0.33より小さくてもよい。様々な実施形態は、CORF300は、先に論じられている様に、CORF質量密度比を実現する終端面から地面までの距離397の観点で特徴付けられよう。現実施形態については、終端面から地面までの距離397は終端面の最も低い点1347から測定されている。現実施形態について、CORF質量密度比は、約0.55より小さく、張り出し部分567及びゴルフクラブヘッド500の機構の、終端面から地面までの距離397を最小化させられる厚さに依存して、様々な実施形態では0.40より小さくてもよく、様々な実施形態では、0.50より小さくてもよく、また様々な実施形態では0.60より小さくてもよい。
【0099】
先の実施形態とは違い、張り出し部分1367は、TFP235に直交に張り出し部分1397の最もフェース寄りの点1381から第1ソール部分1355の端までを特定した実質的な張り出し1382を含んでいる。最もフェース寄りの点1381は、張り出し部分1367のy軸207の方向に測定してリーディングエッジ170に向かって最も遠い点である。張り出し1382は、現実施形態では、約0.75mmである。様々な実施形態では、張り出し1382は0.5−1.5mmであってもよい。実質的な張り出し1382に因り、角度1391は、比較的粘性のポリウレタン施栓材料の注入時に当該材料がCORF1300の中へ流れ込むのを可能にする。
【0100】
先に(特にCORF300に関連付けて)説明されている様に、現開示のゴルフクラブヘッド(ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド500、ゴルフクラブヘッド1000)は、CORF300、800、1300の中へ注入された施栓材料を含んでいる。施栓材料は、様々な実施形態では、所望の性能に依存して様々な材料であってよい。現実施形態では、施栓材料はポリウレタンであるが、エラストマーゴム、ポリマー、各種ゴム、発泡体、及び充填材を含め、様々な比較的低弾性率の材料が使用されてもよい。現実施形態では、施栓材料はポリウレタン反応型接着剤である。現実施形態の施栓材料は250°Fで適用されている。現実施形態の施栓材料は、16,000cpsの粘度を有しているが、様々な実施形態では、施栓材料は7,000−16,000cpsの粘度であってもよく、様々な実施形態では、20,000cpsまでであってもよい。現実施形態の施栓材料は、47のショアD硬度を有している。様々な実施形態ではショアD硬度は45−50であってもよい。様々な実施形態では、ショアD硬度は35−55であってもよい。現実施形態の施栓材料は、3,300psiの弾性率を有している。様々な実施形態では、弾性率は2,850−5,600psiであってもよい。現実施形態の施栓材料は、3,200psiの極限引張強さを有している。様々な実施形態では、施栓材料は2,750−3,900psiの極限引張強さを有していてもよい。現実施形態の施栓材料は、600−860%の破断伸びを有していてもよい。現実施形態の施栓材料には挙げられている範囲が適用される。この開示の中で述べられている様に、様々な材料が施栓材料として使用され、それらは現実施形態に関して一覧に掲げられている以外の特性を有していることもある。設計目標が変われば、所望の設計目標を実現するべく施栓材料を変えるのが適切であろう。
【0101】
施栓材料は、実質的に、ゴルフクラブヘッド100の変形、特にフェース110の変形を防げてはならない。使用中、現開示のゴルフクラブヘッド(ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド500、ゴルフクラブヘッド1000)は、2,000ポンドより大きいピーク力を経験する。その様な環境下に、クラブヘッドのフェース110は先にCORに関連付けて論じられている様に変形する。現開示のゴルフクラブヘッド(ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド500、ゴルフクラブヘッド1000)のフェース110はロール半径及びバルジ半径を含んでいるので、フェース110の変形はエッジを拡張させる。これは、特にCORF300、800、1300の領域で、第1ソール部分355をz軸206(
図12には示さず)の方向に下向きに拡張させる。その結果、第1ソール部分355は終端面1390から遠ざかってゆく。幾つかの実施形態及び材料の幾つかの組合せでは、施栓材料は、フェース110変形時、具体的には第1ソール部分355変形時に、緩んでしまうことがある。そういうわけで、保定機構1325が空隙を作り出し、その中へ施栓材料を流し込んで機械的な干渉を作り出すことで、施栓材料がCORF1300から離脱してしまうのを防いでいる。様々な実施形態では、保定機構1325は、質量を再配分する、製造可能性を支援する、又は施栓材料との結合を改善するうえで、様々な形状、大きさであってよく、及び/又は様々な機構を含んでいてもよい。更に、最もフェース寄りの点1381と低点384の間のz軸206の方向に測定したオフセット距離1392は、先の実施形態で見られるよりも大きく、様々な実施形態では約2.3mmであってもよい。様々な実施形態では、オフセット距離1392は1−3mmであってもよい。様々な実施形態では、オフセット距離1392は、0.5mmほどに小さくてもよく、約12.5mmまでであってもよい。施栓材料は粘性であるので、様々な実施形態では、施栓材料はCORF(300、800、1300)及び/又は保定機構1325を完全に充填しているとは限らないことに留意されたい。様々な実施形態では、施栓材料はCORF(300、800、1300)及び/又は保定機構1325を完全に充填していてもよい。但し、様々な機構は、少なくとも、施栓材料を部分的に保定するように含まれている。
【0102】
図13を参照して、現実施形態の重りパッド1350は、重りパッド550に類似する全体寸法を含んでいる。重量パッド1350は、窪み594、596ほど実質的ではない窪み1394、1396を含んでいる。ゴルフクラブヘッドの別の図が
図14に見られる。
【0103】
少なくとも1つの例としての試験で、CORF300及び現開示の他のCORFを、同一ではあるがCORFを持たないゴルフクラブヘッドと比較した。
図15を参照して分かる様に、現開示の、CORF(CORF300、CORF800、CORF1300)を有するゴルフクラブヘッド(ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド500、ゴルフクラブヘッド1000)を、CORF無し同一ヘッドを対照に、CORについて試験した。CORについて試験されたインパクトは、CF(CF)、TFP235内でCFより5mm上(5高)、TFP235内でCFより5mm下(5低)、TFP235内でCFからx軸208に沿ってヒール寄り7.5mm(7.5ヒール)、TFP235内でCFからx軸208に沿ってトゥ寄り7.5mm(7.5トゥ)、の場所で測定した。集められたCORデータは、以下に測定されている様に、それぞれの場所についてのCORにおける標準からの変化を示している。
【0105】
分かる様に、現開示のCORF(CORF300、CORF800、CORF1300)の包含は、フェースの全ての場所でのCOR増加及びCF内打撃から中心外れ打撃まででより一貫したCORをもたらした。
【0106】
図16A及び
図16Bに見られる様に、CORF800、1300に施栓材料801、1301がそれぞれ見いだされる。施栓材料801、1301は、他にも考えられる組立及び製造の方法はあろうが中でも、所定場所に成形する、CORF800、1300の中へ注入する、又はそれ以外のやり方でCORF800、1300に設置することができよう。
図16Aを参照して分かる様に、施栓材料801はCORF800中に、外側面804がソール130の表面とほぼ面一になるようにして、第1端806が第1ソール部分355とほぼ面一になり、第2端808が第1重りパッド部分365とほぼ面一でGPと殆ど接触する状態で、設置されている。第1端806は、第1ソール部分355の外側面と一致して、地面から約0.72mm上の距離809に配置されている。距離809は、様々な実施形態では、0.5−1.0mmであってもよい。距離809は、様々な実施形態では、0−1.5mmであってもよい。距離809は、様々な実施形態では、2mmまでであってもよい。施栓材料801の内側面811は、最もフェース寄りの点581を越して延びて、表面積及び機械的保定性を提供するのを支援している。様々な実施形態では、施栓材料801は最もフェース寄りの点581を越して延びていないこともあろうし、又は別の構成と関連付けられる別の利点を有していることもあろう。分かる様に、現実施形態の施栓材料801は、垂直面385から終端面390までの移行部に完全に係合しているわけではなく、その代わりに、施栓材料801と、垂直面385と終端面390の接合部との間には気泡があってもよい。様々な実施形態では、施栓材料はCORF全体に完全に係合している。
【0107】
図16Bを参照して分かる様に、施栓材料1301はCORF1300中に、外側面1304がソール130の表面から内方に配置されるようにして設置されている。外側面804とは対照的に、外側面1304は、斜375の端とほぼ面一である第1端1306及び第2端1308を含んでいる。第1端1306は、GPより上に約1.30mmの距離1309に配置されている。様々な実施形態では、距離1309は1−2mmであってもよい。様々な実施形態では、距離1309は0.5−1.5mmであってもよい。様々な実施形態では、距離1309は4mmまでであってもよい。第2端1308はGPより上に約0.92mmの距離1307に配置されている。様々な実施形態では、距離1307は0.75−1.5mmであってもよい。様々な実施形態では、距離1307は0.5−2mmであってもよい。様々な実施形態では、距離1307は3mmまでであってもよい。施栓材料1301の内側面1311は最もフェース寄りの点1381を越して延びて、表面積及び機械的保定性を提供するのを支援している。様々な実施形態では、施栓材料1301は最もフェース寄りの点1381を越して延びていないこともあろうし、又は別の構成と関連付けられる別の利点を有していることもあろう。
【0108】
分かる様に、現実施形態の施栓材料1301は、保定機構1325の中へ延びている。但し、現実施形態の施栓材料1301は、保定機構1325に完全に係合しているわけではない。代わりに、施栓材料1301とCORF1300の間には様々な気泡があってもよい。但し、フェース110及びゴルフクラブヘッド1000の極度の変形下でさえ施栓材料1301をCORF1300の内側に保定するという恩恵を提供するのに十分な体積の施栓材料1301が保定機構1325に係合している。様々な実施形態では、施栓材料はCORF全体に完全に係合している。当業者には理解されるであろうが、
図16A及び
図16Bに関連する機構及び解説は2つの実施形態の間で入れ替えることができ、どれ1つの要素もそれが一方の図に描かれているという理由で現開示の実施形態の何れかの実施形態に結びつくものと考えられてはならない。
【0109】
ゴルフクラブヘッドの別の実施形態1500が
図17A−
図17Dに見られ、それは現開示のゴルフクラブの先の実施形態(100、500、1000)と一致する数々の機構を含んでいる。ゴルフクラブヘッド1500は、一定した半径であるCORF1800を含んでいる。現実施形態では、CORF1800の一定した半径は約44mmである。様々な実施形態では、一定した半径は38−50mmであってもよい。様々な実施形態では、一定した半径は30−60mmであってもよい。様々な実施形態では、一定した半径は80mmより小さくてもよい。
【0110】
クラウン高さ1862が示されており、それはz軸206に平行に測定してGPからクラウン120の最も高い点までの高さとして測定されている。現実施形態では、クラウン高さ1862は約41mmである。様々な実施形態では、クラウン高さ1862は38−43mmであってもよい。様々な実施形態では、クラウン高さは30−50mmであってもよい。ゴルフクラブヘッド1500は、更に、z軸206に平行に測定したフェース110の高さである有効フェース高さ1863を有している。現実施形態では、フェース高さ1863は約39mmである。フェース高さ1863は、様々な実施形態では、クラウン高さより2−5mm小さくてもよい。フェース高さ1863は、様々な実施形態では、クラウン高さより1−10mm小さくてもよい。フェース高さ1863は、フェース110上の最も高い点からフェース110のリーディングエッジ170に近接する最も低い点までを測定したものである。クラウン120とフェース110の間には移行部が存在しており、そのため、フェース110上の最も高い点は実施形態の間で僅かに異なろう。現実施形態では、フェース110上の最も高い点とフェース110上の最も低い点は、フェース110の湾曲が実質的にロール半径から逸れている点である。幾つかの実施形態では、その様な点を特徴付けるずれは曲率半径の10%変化とすることができる。最後に、有効フェース位置高さ1864は、z軸206の方向に測定したGPからフェース110の最も低い点までの高さである。現実施形態では、有効フェース位置高さ1864は約1mmである。様々な実施形態では、有効フェース位置高さ164は約0−4mmであってもよい。
【0111】
図18を参照して分かる様に、ゴルフクラブヘッド1500は、重りパッド1850を含んでいる。重りパッド1850は、先の実施形態同様に重量を配分する。但し、パッド1850は張り出し部分を有していない。重りパッド1850の長さ1890は長さ590とほぼ同じであるが、重りパッド1850は張り出し部分を含んでおらず、そのため重りパッド1850の中心はゴルフクラブヘッド1500の更に後寄りに位置する。よって、CG1900の場所は先の類似の実施形態よりも更に後方、更に高くなる。Δ
1及びΔ
zは、ゴルフクラブヘッド500及び1000よりもゴルフクラブヘッド1500の方が大きい。CG1900のTFP235上への投影点はほぼ原点205(CF)にある。CORF1800の厚さは、CORF800及びCORF1300とほぼ同じである。現実施形態の原点205(CF)は先の実施形態の原点205に比べGPからより遠くにあることに注目されたいが、それはクラウン高さ1862がクラウン高さ162よりも大きいからである。
【0112】
図19を参照して分かる様に、CORF1800は、先の実施形態には見られない機構を幾つか含んでいる。第1ソール部分2355がCORF1800に向けて延びていて、CORF1800を画定している。CORF1800は、その他端が第1重りパッド部分2365によって画定されている。分かる様に、現実施形態にはCORF1800の丸縁2375(2375a、2375bとして図示)が含まれている。第1ソール部分2355は、第1ソール部分2355の厚肉領域又はボスである内側レッジ部分2380を含んでいる。
【0113】
重りパッド1850は、現実施形態のゴルフクラブヘッド1500では、
図20を参照して分かる様に、更に後寄りに配置されている。重りパッド1850の長さ2290は現実施形態では約20mmであり、長さ590よりほんの少し短い。様々な実施形態では、長さ2290は18−24mmであってもよい。様々な実施形態では、長さ2290は12−30mmであってもよい。また一方、現実施形態の重りパッド1850はヒール延長部2234とトゥ延長部2236を含んでいる。重りパッド1850のヒール延長部2234及びトゥ延長部2236までの間を測定した距離2310は現実施形態では約22.5mmである。様々な実施形態では、距離2310は20−25mmであってもよい。様々な実施形態では、距離は15−30mmであってもよい。重りパッド1850はCORFカウンタ2247を画定している。CORFカウンタ2247は、CORF1800の湾曲をほぼなぞる空隙を提供している。重りパッド1850の寸法2271は現実施形態では約75mm、即ち寸法571より少し小さくなっている。様々な実施形態では、寸法2271は70−80mmであってもよい。様々な実施形態では、寸法2271は60−85mmであってもよい。
【0114】
CORF1800の全体的な寸法は
図21を参照して分かる。距離2452が、トゥ方向端2436とヒール方向端2434の間をx軸208の方向に測定したものとして示されている。現実施形態では、距離2452は48−50mmである。様々な実施形態では、距離2452は45−44mmであってもよい。様々な実施形態では、距離2452は40−60mmであってもよい。様々な実施形態では、距離2452は現実施形態について示されている範囲より大きいこともあれば小さいこともあろう。CORF1800は、y軸207の方向に測定した距離2454を含んでいる。現実施形態では、距離2454は9−10mmである。様々な実施形態では、距離2454は8−11mmであってもよい。様々な実施形態では、距離2454は7−14mmであってもよい。様々な実施形態では、距離は、現実施形態について示されている範囲より大きいこともあれば小さいこともあろう。
【0115】
少なくとも1つの例としての試験で、現開示のCORF1800を、同一ではあるがCORFを持たないゴルフクラブヘッドと比較した。現試験の位置は
図15を参照して見られる通りである。CORについて試験されたインパクトを、CF(CF)、TFP235内でCFより5mm上(5高)、TFP235内でCFより5mm下(5低)、TFP235内でCFからx軸208に沿ってヒール寄り7.5mm(7.5ヒール)、TFP235内でCFからx軸208に沿ってトゥ寄り7.5mm(7.5トゥ)、の場所で測定した。集められたCORデータは、以下に測定されている様に、それぞれの場所についてのCORにおける標準からの変化を示している。
【0117】
分かる様に、CORF1800の包含は、一方の試験のフェースの1か所以外の全ての場所でCOR増加をもたらした。CORは、更に、フェースに亘ってより一貫していた。
【0118】
ゴルフクラブヘッド1500の平衡点で追加のCOR測定を行った。上表中の平均数は、下に示されている平衡点での測定を勘定に入れなかった。
【0120】
上表を参照して分かる様に、CORF1800はそれぞれの試験でフェース上の実質的に全ての点でCORを増加させた。
【0121】
ゴルフクラブヘッドの別の実施形態2000が
図22を参照すると見られる。ゴルフクラブヘッド2000は、現開示の他のゴルフクラブヘッド(100、500、1000、1500)に類似する多くの機構を含んでいる。但し、ゴルフクラブヘッド2000は、CORF2300の様々な機構を含むソールラップインサート(sole wrap insert)2700を含んでいる。CORF2300は、形状はCORF300、800に類似している。但し、CORF2300はソールラップインサート2700上に含まれている。
【0122】
多くのゴルフクラブヘッドでは、(フェース110の様な)フェースはゴルフクラブ本体とは別に製造される部品である。フェースは、典型的には、ゴルフクラブ本体へ、溶接されるか又はそれ以外にゴルフボールを打撃するのに適した方法で接合される。幾つかのゴルフクラブヘッドでは、フェースはゴルフクラブ本体とは異なった材料である。例えば、費用を削減するために、ゴルフクラブ本体は低品質の鋼で作られ、一方フェースはフェースが薄くてもインパクトに耐えられる高品質の鋼で作られている、ということがある。現開示の実施形態―また、ここに開示されている様なCORFでここに記載されている重量再配分機構を持たないCORFの実装を模索している実施形態―では、(ゴルフクラブヘッド2000)の様なゴルフクラブヘッドを、当該ゴルフクラブ本体へ溶接されるインサートであって単なるフェースインサートではなくゴルフクラブヘッドのソールを包む部片中にCORFを含んでいるインサートと一体に組み上げるのが好都合であろう。CORFの設計における1つの課題は、CORFの様々な機構の応力集中である。先に述べられている様に、現開示に記載されている或る特定の機構はゴルフクラブヘッドを失陥させる潜在性を低減又は排除するべくCORF及び周囲の機構の応力集中に対処している。ソールラップインサート2700を含んでいる実施形態では、ソール130までを通しフェース110全体が典型的にはフェースインサートにしか使用されない高強度材料である。例えば、1つの実施形態では、伸び11%で降伏強さ20,000MPaを有する高ニッケル含有量鋼合金がソールラップインサート2700を製作するのに使用されてもよく、そうすればより大きな材料強度を有するより薄い構造が可能になる。鋼合金は、ニッケル約18−19%、コバルト約8−9.5%、モリブデン約4.5−5.1%、チタン約0.5−1.0%、アルミニウム0.05−0.15%、炭素、リン、ケイ素、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、硫黄、及びホウ素、それぞれ0.10%未満、から成る組成を含んでおり、組成の残余は鉄である。ソールラップインサート2700を製作するのに使用される鋼合金は、16%−20%の間の高ニッケル含有量を有するマルエージング鋼とすることができる。他の実施形態では、14%−17%のニッケル含有量を有する鋼合金を使用することができる。鋼合金は、より高い降伏強さを実現するように熱処理されてもよい。ソールラップインサート2700は、ゴルフクラブ本体の残部である17−4ステンレス鋼―又はCarpenter(登録商標)によるCustom630Steel、Carpenter(登録商標)によるCustom455、Carpenter(登録商標)によるCustom475、の様な様々な他の種類の材料―へ接合される。何れかの所与の熱処理について、本体鋼を高強度ソールラップインサート2700鋼に比較すると、ソールラップインサート2700鋼の室温での最大極限引張強さは本体鋼の最大極限引張強さよりも約20%−50%大きい。例えば、何れかの所与の熱処理について、Custom630の室温での最大極限引張強さは、上述の高ニッケル含有量鋼の2000MPaに比べて、約1365MPaである。而して、室温での最大極限引張強さにおける46%増加が高ニッケル含有量鋼によって実現されている。同様の恩恵は、高強度又は高性能チタン合金ソールラップインサート2700を、より従来型(及び恐らくは低費用の)チタン合金ゴルフクラブ本体と一体に使用した場合に見られる。現開示の様々な実施形態では、ここに記載されている様々な材料は、フェース110及びソールラップインサート2700を使用していない先の実施形態のゴルフクラブ本体へ持ちこまれてもよい。
【0123】
高強度材料をより従来型のゴルフクラブヘッド材料と関連付けて使用することには多数の利点がある。高強度材料はより薄くすることができ、特にその様な材料がゴルフクラブ本体の打撃区域近傍に連結されていない場合にはインパクト時により大きな撓みを経験できる。これは、小さいフェースインサート又は低い品質の材料の場合に見込まれるよりも、より高いCOR及びより少ない材料の使用を可能にする。第2に、低費用材料ゴルフクラブヘッドへの連結は、並はずれた性能特性を維持しながらも費用全体を縮小させる。様々な実施形態では、CORF無しのソールラップインサートが使用され、現出願と関連付けられる恩恵の幾つかが目にされることであろう。
【0124】
ゴルフクラブヘッドの別の実施形態2500が
図23に示されている。ゴルフクラブヘッド2000は、現開示のゴルフクラブヘッドの先の実施形態(100、500、1000、1500、2000)と類似の機構を含んでいる。開示の簡潔さを期して、機構が類似して描かれている場合及び/又は共通の参照識別子で識別されている場合、1つの実施形態の機構はその様な機構の包含が現開示の他の要素と矛盾しない場合には別の実施形態に含まれることもあり得る、ということが当業者には理解されよう。ここに記載されている幾つかの例示としての実施形態に参照識別子が含まれていない場合であっても、当業者には理解される様に、類似して描かれている機構はそれら幾つかの実施形態の間で一致しているものとし、但し、開示がその様な想定を否定している場合又はそのためにその様な想定が一部の明示的な開示に相反することになる場合はその限りではない。
【0125】
ゴルフクラブヘッド2500はCORF2800を含んでいる。CORF2800は、現開示のCORFの先の実施形態(CORF300、800、1300、1800、2300)に類似している。ゴルフクラブヘッド2500は、現開示の重りパッドの先の実施形態(350、550、1350、1850)に類似する重りパッド2550を含んでいる。
【0126】
図24を参照して分かる様に、現開示のCORF2800は、現実施形態では、先には斜375が見られた所に丸縁2875(2875a、2875bとして図示)を含んでいる。重りパッド2550は張り出し部分2867を含んでいる。張り出し部分2867は、面取り縁2892を含んでいる。面取り縁2892は、(施栓材料801、1301の様な)施栓材料のCORF2800の中への流れを促し、CORF2800の追加機構のための追加のクリアランスを提供することができよう。
【0127】
具体的には、第1ソール部分2855は、第1ソール部分2855からz軸206の方向に延ばされた厚肉領域又はボスである応力パッド2901を含んでいる。使用中、現開示のCORF(300、800、1300、1800、2300、2800)は、現開示のゴルフクラブヘッド(100、500、1000、1500、2000、2500)がゴルフボールに当たったときに法線方向の剪断及び多様な捩じれを経験する。当業者には理解される様に、CORF(300、800、1300、1800、2300、2800)の領域のフォンミーゼス応力は、CORF(300、800、1300、1800、2300、2800)の幾何学形状の応力集中のせいで、材料の極限応力を超過しかねない。よって、CORF(300、800、1300、1800、2300、2800)の応力集中は、極めて高いフォンミーゼス応力に因るゴルフクラブヘッドの失陥を引き起こさないとも限らない。その様な応力集中と戦ううえで、ゴルフクラブヘッドの実施形態2500は幾つかの恩恵をもたらす。
【0128】
様々な実施形態では、第1ソール部分355の厚肉化は力が印加される区域を増加させ、それにより、応力の凝集化を軽減し、CORF(300、800、1300、1800、2300、2800)の失陥の可能性を低減する。しかしながら、意外なことに、第1ソール部分355全体を単純に厚肉化するとゴルフクラブヘッドのCORが小さくなることが判明した。よって、第1ソール部分355を修正して第1ソール部分2855を創出した。応力パッド2901がCORF2800の領域の材料の厚さ加増を提供しているが、第1ソール部分2855のフェース110に密に近接している領域は応力パッド2901より薄いままである。意外なことに、応力パッド2901の導入はCORへの悪影響無しに応力集中を軽減させることが判明した。様々な実施形態では、応力パッド2901の導入は、第1ソール部分2855の応力パッド2901領域の厚さを二倍にする。分かる様に、応力パッド2901は、フェース110の少なくとも一部分についてフェース110と応力パッド2901の間に溝2903を画定しており、更なる図を参照すると分かるはずである。様々な実施形態では、応力パッド2901は直線状であり、その結果、溝2903は直線状の端を有している。現実施形態では、応力パッド2901は曲線部2907によって画定されている。曲線部2907は正弦波のほぼ二分の一の形状である。様々な実施形態では、円、方形、丸み、面取り、及び様々な数学関数を含め、曲線部2907の様々な形状が使用されるであろう。
【0129】
応力パッド2901の様々な実施形態が
図25A及び
図25Bに示されている。
図25Aを参照して分かる様に、応力パッド2901aは、z軸206の方向に測定してほぼ一定した厚さであって、x軸208方向にフェース110の輪郭をなぞっていてもよい。応力パッド2901の形状は、y軸207方向に、またその長さに亘っても、ほぼ一定であってよい。応力パッドの第2の実施形態2901bが
図25bを参照して見られる。フェース110の輪郭をなぞる形状ではなしに、応力パッド2901bはテーパしている。応力パッド2901bは、フェース110から離れるにつれて厚さ(z軸206方向に測定)が減少してゆく。よって、2901bは、その端付近がCF近傍よりも実質的に薄くなっている。
【0130】
応力パッド2901a、2901bは、更に、
図26A及び
図26Bを参照して見られる。現実施形態の応力パッド2901aは、CORF2800の幅より小さい側方範囲2915aを有している。現実施形態では、側方範囲2915aは中央部分422の幅より小さい。様々な実施形態では、側方範囲2915aは、中央部分422の幅又は距離452よりも大きいこともあれば、小さいこともあろうし、又は等しいこともあろう。応力パッド2901aは、更に、応力パッド2901aの断面が変化していない全厚範囲2917aを含んでいる。分かる様に、応力パッド2901bは、中央部分422の幅より実質的に小さい側方範囲2915bを有している。また、全厚範囲2917bは全厚範囲2917aより実質的に小さい。応力パッド2901bの断面形状はその側方範囲2915bに亘って変化しており、そのため応力パッド2901bの断面で同じ断面形状を含んでいるものは殆ど無い。分かる様に、応力パッド2901bの最も外側の縁が半径2919に画定されている。先に述べられている様に、応力パッド2901bはテーパしている。応力パッド2901bのテーパは約20−22mmである半径2919にある。様々な実施形態では、半径2919は18−24mmであってもよい。様々な実施形態では、半径2919は40mmまでであってもよい。
【0131】
ゴルフクラブヘッド3000が
図27に関連付けて示されている。ゴルフクラブヘッド3000は、飛行制御技術を含んでいるゴルフクラブヘッド3500の一部である。
図27は、スリーブ3204内にスリーブ孔3245(
図28Dに示す)を持つフェルール3202を有する脱着式シャフトシステムを描いている。シャフト(図示せず)はスリーブ孔の中へ挿入され、スリーブ3204へ機械的に固定又は結合されてゴルフクラブへと組み立てられる。スリーブ3204は、更に、スリーブ3204の遠位先端の回転防止部分3244と、クラブヘッド3000に画定されているソール開口部3212の中へ挿入されるねじ3210を係合させるねじの切られた孔3206と、を含んでいる。1つの実施形態では、ソール開口部3212は、ソールの非アンダーカット部分に直接隣接している。スリーブ3204の回転防止部分3244は、ゴルフクラブヘッド3000のホーゼル3150内に結合又は溶接されている回転防止カラー3208である。調節可能ロフト角、ライ角、及びフェース角システムは、米国特許出願第12/687,003号(現在US特許第8,303,431号)に記載されており、同特許出願をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。ゴルフクラブ組立体3500は、重りポート240用の重り3240を含んでいる。ゴルフクラブ組立体3500の一部として、図示されていないが、シャフト及びグリップが含まれていてもよい。
【0132】
図27に示されている実施形態は、ロフト角、ライ角、又はフェース角を、互いに組み合わせても、又は互いから独立させても、調節できるようにした、調節可能ロフト角、ライ角、又はフェース角システムを含んでいる。米国特許出願第13/686,677号に詳細に記載されている様に、調節可能なソール部片を調節可能ロフト角、ライ角、又はフェース角システムと組み合わせて使用することができ、同特許出願の全てを参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。例えば、スリーブ3204の第1部分3243、スリーブ孔3242、及びシャフトは、一体で、組立体の長手方向軸3246を画定している。スリーブ3204は、シャフトを、長手方向軸3248からオフセット角3250だけオフセットした長手方向軸3246に沿って支持するのに実効性を発揮する。長手方向軸3248はSA(
図28Bに見られる)と整列させることを意図している。スリーブ3204は、0度から4度の間で増分0.25度とされる単一のオフセット角3250を提供することができる。例えば、オフセット角は、1.0度、1.25度、1.5度、1.75度、2.0度、又は2.25度、とすることができる。スリーブ3204は、米国特許出願第12/687,003号(現米国特許第8,303,431号)に記載されている様にゴルフクラブヘッド組立体3500に様々な調節を施すべく回転させることができる。当業者には、現ゴルフクラブ組立体3500に関して説明されているシステムは、現開示のゴルフクラブヘッドの様々な実施形態と共に実施できることが理解されよう。
【0133】
図28A−
図28Dを参照して分かる様に、ゴルフクラブヘッド3000はCORF3300を含んでいる。様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッド3000はドライバー型式ゴルフクラブヘッドである。現開示の先の実施形態と比較すると、ゴルフクラブヘッド3000は、先の実施形態よりも大きいクラウン高さ3162を有している。現実施形態では、クラウン高さ3162は約62mmである。様々な実施形態では、クラウン高さ3162は55−70mmであってもよい。様々な実施形態では、クラウン高さ3162は45−75mmであってもよい。フェース110は約52mmの有効フェース高さ3163を含んでいる。様々な実施形態では、有効フェース高さ3162は47−57mmであってもよい。様々な実施形態では、有効フェース高さ3162は45−60mmであってもよい。ゴルフクラブヘッド3000の有効フェース位置高さ3164は約4.5mmである。様々な実施形態では、有効フェース位置高さ3164は3−7mmであってもよい。様々な実施形態では、有効フェース位置高さ3164は12.5mmまでであってもよい。
【0134】
図29及び
図30を参照して分かる様に、現実施形態のゴルフクラブヘッド3000はソールに近接して重りパッドを含んでいない。現実施形態のゴルフクラブヘッド3000はドライバー型式ゴルフクラブヘッドであるので、重量は最小量まで縮小化が図られ、体積は最大化を図られるものである。よって、現実施形態のゴルフクラブヘッド3000は、重量再配置無しのCORF3300を含んでいる。様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッド3000は、様々な重量再配置の仕組みを含んでいる。CORF3300は、面取り3371を含む張り出し部分3367を含んでいる。CORF3300は、斜、丸み、又は面取りを含んでいない。CORF3300に近接する様々な機構の大きさは、先の実施形態に比べると縮小されている。当業者には理解される様に、開示の様々な部分は置き換え可能であり、CORF3300は開示の様々な実施形態では、先の実施形態と一体になって含まれていてもよい。加えて、開示の様々な実施形態の様々な機構はゴルフクラブヘッド3000と一体になって含まれていてもよい。機構はどれ1つとして何れかの特定の実施形態へ限定を課すものと考えられてはならず、当業者には理解される様に、様々な実施形態の様々な機構、利点、及び要素は、ここに挙げられている様々な設計目標を実現するうえで必要に応じて、再配置し、最構成し、又は組み合わせることができる。
【0135】
指摘しておくべきこととして、他にもあろうが中でもとりわけ、原文の「can」、「could」、「might」、又は「may」の対訳である「〜できる」、「〜できよう」、「〜し得る」、「〜てもよい」の様な条件語句は、他に特に指定のない限り、又は用いられている文脈内で別様に理解されない限り、概して、或る特定の実施形態が或る特定の機構、要素、及び/又は工程を含んでおり、他の実施形態は当該の機構、要素、及び/又は工程を含んでいない、ということを伝えることを意図している。而して、その様な語句は、概して、当該の機構、要素、及び/又は工程が何らかのやり方で1つ又はそれ以上の特定の実施形態にとって必須であるということを示唆するものでもなければ、当該1つ又はそれ以上の特定の実施形態が、ユーザー入力又はユーザープロンプティング有り又は無しに、これらの機構、要素、及び/又は工程が何れかの特定の実施形態に含まれているかどうか又は何れかの特定の実施形態で遂行されるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含んでいることを示唆するものでもない。
【0136】
以上に記載されている実施形態は実施形の考えられ得る例にすぎず、単に本開示の原理の明快な理解のために示されていることを強調しておきたい。流れ図中の何れかのプロセス記述又はブロックは、プロセス中の特定の論理機能又は工程を実施するための1つ又はそれ以上の実行可能な命令を含んでいるコードのモジュール、セグメント、又は部分を表しているものと理解されるべきであり、本開示の技術分野の当業者であれば理解される様に、機能が一切含まれていない又は実行されない代わりの実施形態、機能が関与する機能性に依存して実質的に同時又は逆順を含め示されている又は論じられている順序から脱して実行されている代わりの実施形も含まれる。以上に記載の(単数又は複数の)実施形態には、本開示の精神及び原理から実質的に逸脱することなく、多くの変型及び修正がなされる余地がある。また、本開示の範囲は、以上に論じられている全ての要素、機構、又は態様のありとあらゆる組合せ及び部分的組合せを網羅するものとする。全てのその様な修正及び変型は、ここに、本開示の範囲内として含まれるものとし、要素又は工程の個別の態様又は組合せに対する全ての考えられ得る請求は本開示によって支持されるものとする。