【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する像側の面が非球面の第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、開口絞りと、正の屈折力を有する第4レンズとから成り、前記第1レンズと前記第2レンズをプラスチック材料で構成し、以下の条件式(1)、(2)を満足する。
(1)−65.0<f1/f<−17.0
(2)0.04<f2/f1<0.14
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f1は第1レンズの焦点距離、f2は第2レンズの焦点距離である。
【0013】
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、負、負、正、正の屈折力の配列とし、第1レンズと第2レンズとからなる前方の凹レンズ群と、第3レンズと第4レンズとからなる後方の凸レンズ群とで構成された、いわゆるレトロフォーカスタイプになっている。これにより、撮影画角の広角化、周辺光量およびバックフォーカスの確保に加え、撮像素子へ入射する光線のテレセントリック性の確保に有利な構成としている。
【0014】
本発明のように4枚という少ないレンズ構成で、第1レンズと第2レンズにプラスチック材料を採用しながらも、広角化と良好な光学性能を実現するためには、第1レンズ及び第2レンズの凹レンズ群で発生する軸外光線の収差量を抑えることが特に重要になる。すなわち、像側に位置する第3レンズと第4レンズとで構成される凸レンズ群は、主に非点収差および像面湾曲といった軸外光線の収差補正に加え、球面収差、コマ収差の補正をも担う事になるが、この凸レンズ群の収差補正に係る負担をいかに小さなものとした凹レンズ群に構成するかが重要になる。そこで、本発明では第1レンズの像側の面と第2レンズの物体側および像側の面に適切な非球面を形成することでバランスのとれた収差補正を実現し光学性能を向上させている。
【0015】
上記構成において、第1レンズは、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有するレンズとし、広い範囲の光線をとらえて撮影画角の広角化を図る。また、像側の面の非球面形状は、第1レンズにおける偏角を極力小さくして軸外収差の発生を抑制するとともに、第2レンズへの入射角が大きくならないよう制御する。
【0016】
第2レンズは、像側の面を凹形状とした負の屈折力を有するレンズであり、両面に非球面を形成することにより、第2レンズを通過する光線の偏角を極力小さくして軸外収差の発生を抑制しつつ、第3レンズへ導くことで撮影画角の広角化を容易にする。
【0017】
正の屈折力を有する第3レンズおよび第4レンズは、撮像レンズの小型化を図るとともに光学系における諸収差の補正を担っており、球面収差、コマ収差、非点収差、および像面湾曲を良好に補正する。また、第3レンズは第1レンズおよび第2レンズで発生する色収差の補正、第4レンズは撮像素子への主光線入射角度の制御も担う。
【0018】
開口絞りは、第3レンズと第4レンズの間に配置することにより、撮影画角の広角化に伴って増大する収差の補正を容易にする。
【0019】
条件式(1)は、全系の焦点距離に対する第1レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものであり、軸外光線における収差の発生量を抑えながら広角化を図るための条件である。条件式(1)の上限値を上回る場合、第1レンズの負の屈折力が強まるため、第1レンズにおける偏角が大きくなり広角化には有利になるが、後方の凸レンズ群で補正しきれないほどの軸外収差が発生してしまう。一方、条件式(1)の下限値を下回る場合、第1レンズの負の屈折力が弱まるため、軸外収差の発生を抑えるには有利だが、第1レンズにおける偏角が小さくなりすぎて、広角化が困難になる。
【0020】
条件式(2)は、第2レンズの成型性を確保しつつ、凹レンズ群で発生する軸外収差を抑制して良好な光学性能を得るための条件である。条件式(2)の上限値を上回る場合、凹レンズ群における第2レンズの負の屈折力が相対的に弱くなるため、第1レンズの負の屈折力を強めることで広角化を図ることになるが、その場合、第1レンズの偏肉比(レンズ中心部の厚みに対するレンズ周辺部の厚みの比)が小さくなりやすく、成型性は向上するものの、第1レンズにおける軸外収差が増大してしまう。一方、条件式(2)の下限値を下回る場合、凹レンズ群における第2レンズの負の屈折力が相対的に強くなるため、第2レンズの偏肉比が大きくなりやすく、成型性が悪化する傾向になる。さらに、第2レンズにおける軸外収差が増大するため、この場合も良好な光学性能を得ることが困難となる。
【0021】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第3レンズは少なくとも1面が非球面の像側に凹面を向けたメニスカス形状であり、第4レンズは少なくとも1面が非球面の物体側と像側に凸面を向けた両凸形状であることであることが望ましい。
【0022】
第3レンズは、少なくとも1面に非球面を形成し、像側の面を凹形状としたメニスカスレンズにすることで、コマ収差、非点収差、像面湾曲、および、色収差の補正をより良好なものとする。さらに、通過する光線にテレセントリック性を持たせながら第4レンズへ導く役割を果たしている。第4レンズは、物体側と像側に凸面を向けた両凸形状とし、強い正の屈折力を物体側の面と像側の面とで分配させることで製造誤差感度の上昇を抑えながら、撮像レンズの小型化を図る。さらに、少なくとも1面に非球面を形成することによって、球面収差、非点収差、および像面湾曲の補正をより良好なものとしながら、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲内に制御する。
【0023】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第3レンズおよび第4レンズはプラスチック材料で構成することが望ましい。
【0024】
第3レンズおよび第4レンズをプラスチック材料で構成することによって、更なる低価格化を図るとともに、各レンズ面に最適な非球面の形成が容易に行えるため、より良好な収差補正を可能にする。
【0025】
また、本発明の撮橡レンズにおいて、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)
6.09≦f3/f<10.0
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0026】
条件式(3)は、全系の焦点距離に対する第3レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものであり、撮像レンズの小型化を図りつつ、軸外収差、コマ収差、および色収差を良好に補正するための条件である。さらに、条件式(3)は、第3レンズから射出する光線にテレセントリック性を持たせるための条件でもある。条件式(3)の上限値を上回る場合、第3レンズの正の屈折力が弱くなりすぎ、第3レンズにおける球面収差の発生量を抑えることができるが、第1レンズおよび第2レンズで発生する軸外収差、コマ収差および色収差を良好に補正することが困難になる。また、撮像レンズの小型化が困難になるとともに、射出光線のテレセントリック性が不十分になるため、第4レンズで撮像素子への主光線入射角を適切に制御することが困難になる。一方、条件式(3)の下限値を下回る場合、第3レンズの正の屈折力が強くなりすぎ、撮像レンズの小型化には有利だが、この場合も諸収差を良好に補正することが困難になる。さらに、第3レンズにおける球面収差やコマ収差の増大を招き、良好な光学性能を得ることが困難となる。
【0027】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)
2.03≦f4/f<3.0
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f4は第4レンズの焦点距離である。
【0028】
条件式(4)は、全系の焦点距離に対する第4レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものであり、撮像レンズの小型化を図り、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲内に制御しながら良好な光学性能を得るための条件である。条件式(4)の上限値を上回る場合、第4レンズの正の屈折力が弱くなりすぎ、撮像レンズの小型化が困難になるとともに、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲内に制御することが困難となる。さらに、凹レンズ群で発生する軸外収差および第3レンズで発生する球面収差の補正も困難になる。一方、条件式(4)の下限値を下回る場合、第4レンズの正の屈折力が強くなりすぎ、撮像レンズの小型化には有利になるが、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲に制御することが困難になる。また、この場合も凹レンズ群で発生する軸外収差および第3レンズで発生する球面収差の補正が困難になる。
【0029】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)14.4<TTL/f<24.4
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、TTLは第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離(フィルタは空気換算長)である。
【0030】
条件式(5)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、適切なバックフォーカスを確保するための条件である。条件式(5)の上限値を上回る場合、バックフォーカスの確保には有利となるが、光学全長が長くなりすぎ、撮像レンズの小型化が困難となる。一方、条件式(5)の下限値を下回る場合、撮像レンズの小型化には有利だが、光学全長が短くなりすぎ、フィルタ等の挿入物を配置するスペースの確保が困難となる。