特許第6341712号(P6341712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341712
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20180604BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   G02B13/04 D
   G02B13/18
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-61066(P2014-61066)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-184498(P2015-184498A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】391014055
【氏名又は名称】カンタツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】米澤 友浩
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−025499(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/203720(WO,A1)
【文献】 特開2010−181484(JP,A)
【文献】 特開2008−281859(JP,A)
【文献】 米国特許第07446955(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する像側の面が非球面の第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、開口絞りと、正の屈折力を有する第4レンズとから成り、前記第1レンズと前記第2レンズをプラスチック材料で構成し、以下の条件式(1)、(2)、(3)、および(4)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(1)−65.0<f1/f<−17.0
(2)0.04<f2/f1<0.14
(3)6.09≦f3/f<10.0
(4)2.03≦f4/f<3.0
ただし、
f :撮像レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズの焦点距離
f2:第2レンズの焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
f4:第4レンズの焦点距離
【請求項2】
前記第3レンズは、少なくとも1面が非球面の像側に凹面を向けたメニスカス形状であり、前記第4レンズは、少なくとも1面が非球面の物体側と像側に凸面を向けた両凸形状であることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記第3レンズと前記第4レンズをプラスチック材料で構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(5)14.4<TTL/f<24.4
ただし、
TTL:第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離
f :撮像レンズ全系の焦点距離
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の撮像装置に使用されるCCDセンサやC-MOSセンサの固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズに係り、特に、車載カメラやゲーム機、セキュリティカメラ、PCなどの情報端末機器等、さらにはカメラ機能が付加された家電製品等に搭載される撮像装置に内蔵する撮像レンズに関するものである。
【0002】
本発明において、レンズの面形状についての凸面、凹面とは近軸(光軸近傍)における形状を指すものとする。また、偏角とはレンズを通過する光線の入射角と射出角のなす角度を指すものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、自動車をはじめとする車両や家電製品には、安全性や利便性の向上を目的としてカメラ機能が搭載されることが一般的になっている。例えば、後方を撮影するカメラが搭載された車両では、運転者が車両後方の状況をモニタで確認できるため、安全に車両を後退させることができる。さらには、前後左右4方向を撮影するカメラが搭載された車両も登場しており、あたかも車両上部から観た状況をモニタで確認できるため、極めて高い視認性と安全性を実現している。また、家電製品においては、エアコンを例にすると、搭載したカメラによって室内の状況や人数を把握し、風向や風量等を調節することで節電運転を行う等、高い利便性を実現している。上述したようなカメラ機能を融合させた商品の需要は今後もますます高まり、それに伴う製品開発が急速に進むと予想される。
【0004】
上述したような製品に搭載される撮像レンズには、製品の機能を満足するための広い画角を確保しながら、小型であり、画面全体にわたって良好な結像性能を有することが求められる。また、ますます低価格な製品開発が進む中、撮像レンズにも低価格に対応することが強く求められている。
【0005】
従来の技術における広い画角に対応した撮像レンズとしては、例えば、以下の特許文献1や特許文献2が知られている。
【0006】
特許文献1には、物体側から順に負の屈折力を持つ第1群、正の屈折力を持つ第2群、および正の屈折力を持つ第3群で構成し、第1群は物体側より順に物体側に凸面を向けた負のメニスカス形状の第1のレンズ、物体側に凸面を向けた負のメニスカス形状の第2のレンズ、および像面側に強い屈折面を向けた両凹の第3のレンズから構成され、第2群は物体側に強い屈折面を向けた正の第4のレンズ、絞り、正の第5のレンズ、両凹形状の第6のレンズ、および正の第7レンズからなる接合レンズから構成され、第3群は物体側に強い屈折面を向けた第8のレンズから構成される魚眼レンズ系が開示されている。
【0007】
特許文献2には、物体側から順に像側に凹面を向けた負メニスカス形状の第1レンズと、像側に凹面を向けた負メニスカス形状の第2レンズと、正の屈折力をもつ第3レンズと、開口絞りと、正の屈折力をもつ第4レンズとで構成されているとともに、前記第2レンズは片面非球面形状とし、前記第4レンズは両面非球面形状とした広角レンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−128654号公報
【特許文献2】特開2010−276752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載の撮像レンズは、F2.8で比較的明るく、8枚のレンズを用いることにより全画角が210°以上の、高い光学性能を有する魚眼レンズ系を実現している。しかし、レンズ枚数が多いことやガラスレンズを多用していること、及び接合レンズを用いていることから製造コストの増加を招く。また、光学全長が20mm以上であり、小型化には限界がある。
【0010】
上記特許文献2に記載の撮像レンズは、4枚という少ないレンズ枚数で構成し、F2.6で比較的明るく、全画角が190°以上の、良好な光学性能を有する小型の広角レンズを実現している。第1レンズと第3レンズにガラス材料を用い、第2レンズと第4レンズにプラスチック材料を用いた構成で、比較的低価格化を図れるレンズ系になっている。しかし、最も物体側に配置された負メニスカス形状の第1レンズは、レンズ径が大きいうえに、ガラス材料では加工の難易度が高い形状のため、製造コストを抑制するには限界がある。また、当該撮像レンズにおいて、第1レンズにプラスチック材料を用いた場合、第3レンズと第4レンズで補正しきれないほどの像面湾曲や非点収差が発生するため、良好な光学性能を得ることが困難である。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、低価格でありながら全画角で約180°の撮影画角と良好な光学性能を実現した小型の撮像レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する像側の面が非球面の第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、開口絞りと、正の屈折力を有する第4レンズとから成り、前記第1レンズと前記第2レンズをプラスチック材料で構成し、以下の条件式(1)、(2)を満足する。
(1)−65.0<f1/f<−17.0
(2)0.04<f2/f1<0.14
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f1は第1レンズの焦点距離、f2は第2レンズの焦点距離である。
【0013】
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、負、負、正、正の屈折力の配列とし、第1レンズと第2レンズとからなる前方の凹レンズ群と、第3レンズと第4レンズとからなる後方の凸レンズ群とで構成された、いわゆるレトロフォーカスタイプになっている。これにより、撮影画角の広角化、周辺光量およびバックフォーカスの確保に加え、撮像素子へ入射する光線のテレセントリック性の確保に有利な構成としている。
【0014】
本発明のように4枚という少ないレンズ構成で、第1レンズと第2レンズにプラスチック材料を採用しながらも、広角化と良好な光学性能を実現するためには、第1レンズ及び第2レンズの凹レンズ群で発生する軸外光線の収差量を抑えることが特に重要になる。すなわち、像側に位置する第3レンズと第4レンズとで構成される凸レンズ群は、主に非点収差および像面湾曲といった軸外光線の収差補正に加え、球面収差、コマ収差の補正をも担う事になるが、この凸レンズ群の収差補正に係る負担をいかに小さなものとした凹レンズ群に構成するかが重要になる。そこで、本発明では第1レンズの像側の面と第2レンズの物体側および像側の面に適切な非球面を形成することでバランスのとれた収差補正を実現し光学性能を向上させている。
【0015】
上記構成において、第1レンズは、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有するレンズとし、広い範囲の光線をとらえて撮影画角の広角化を図る。また、像側の面の非球面形状は、第1レンズにおける偏角を極力小さくして軸外収差の発生を抑制するとともに、第2レンズへの入射角が大きくならないよう制御する。
【0016】
第2レンズは、像側の面を凹形状とした負の屈折力を有するレンズであり、両面に非球面を形成することにより、第2レンズを通過する光線の偏角を極力小さくして軸外収差の発生を抑制しつつ、第3レンズへ導くことで撮影画角の広角化を容易にする。
【0017】
正の屈折力を有する第3レンズおよび第4レンズは、撮像レンズの小型化を図るとともに光学系における諸収差の補正を担っており、球面収差、コマ収差、非点収差、および像面湾曲を良好に補正する。また、第3レンズは第1レンズおよび第2レンズで発生する色収差の補正、第4レンズは撮像素子への主光線入射角度の制御も担う。
【0018】
開口絞りは、第3レンズと第4レンズの間に配置することにより、撮影画角の広角化に伴って増大する収差の補正を容易にする。
【0019】
条件式(1)は、全系の焦点距離に対する第1レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものであり、軸外光線における収差の発生量を抑えながら広角化を図るための条件である。条件式(1)の上限値を上回る場合、第1レンズの負の屈折力が強まるため、第1レンズにおける偏角が大きくなり広角化には有利になるが、後方の凸レンズ群で補正しきれないほどの軸外収差が発生してしまう。一方、条件式(1)の下限値を下回る場合、第1レンズの負の屈折力が弱まるため、軸外収差の発生を抑えるには有利だが、第1レンズにおける偏角が小さくなりすぎて、広角化が困難になる。
【0020】
条件式(2)は、第2レンズの成型性を確保しつつ、凹レンズ群で発生する軸外収差を抑制して良好な光学性能を得るための条件である。条件式(2)の上限値を上回る場合、凹レンズ群における第2レンズの負の屈折力が相対的に弱くなるため、第1レンズの負の屈折力を強めることで広角化を図ることになるが、その場合、第1レンズの偏肉比(レンズ中心部の厚みに対するレンズ周辺部の厚みの比)が小さくなりやすく、成型性は向上するものの、第1レンズにおける軸外収差が増大してしまう。一方、条件式(2)の下限値を下回る場合、凹レンズ群における第2レンズの負の屈折力が相対的に強くなるため、第2レンズの偏肉比が大きくなりやすく、成型性が悪化する傾向になる。さらに、第2レンズにおける軸外収差が増大するため、この場合も良好な光学性能を得ることが困難となる。
【0021】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第3レンズは少なくとも1面が非球面の像側に凹面を向けたメニスカス形状であり、第4レンズは少なくとも1面が非球面の物体側と像側に凸面を向けた両凸形状であることであることが望ましい。
【0022】
第3レンズは、少なくとも1面に非球面を形成し、像側の面を凹形状としたメニスカスレンズにすることで、コマ収差、非点収差、像面湾曲、および、色収差の補正をより良好なものとする。さらに、通過する光線にテレセントリック性を持たせながら第4レンズへ導く役割を果たしている。第4レンズは、物体側と像側に凸面を向けた両凸形状とし、強い正の屈折力を物体側の面と像側の面とで分配させることで製造誤差感度の上昇を抑えながら、撮像レンズの小型化を図る。さらに、少なくとも1面に非球面を形成することによって、球面収差、非点収差、および像面湾曲の補正をより良好なものとしながら、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲内に制御する。
【0023】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第3レンズおよび第4レンズはプラスチック材料で構成することが望ましい。
【0024】
第3レンズおよび第4レンズをプラスチック材料で構成することによって、更なる低価格化を図るとともに、各レンズ面に最適な非球面の形成が容易に行えるため、より良好な収差補正を可能にする。
【0025】
また、本発明の撮橡レンズにおいて、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)6.09≦f3/f<10.0
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0026】
条件式(3)は、全系の焦点距離に対する第3レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものであり、撮像レンズの小型化を図りつつ、軸外収差、コマ収差、および色収差を良好に補正するための条件である。さらに、条件式(3)は、第3レンズから射出する光線にテレセントリック性を持たせるための条件でもある。条件式(3)の上限値を上回る場合、第3レンズの正の屈折力が弱くなりすぎ、第3レンズにおける球面収差の発生量を抑えることができるが、第1レンズおよび第2レンズで発生する軸外収差、コマ収差および色収差を良好に補正することが困難になる。また、撮像レンズの小型化が困難になるとともに、射出光線のテレセントリック性が不十分になるため、第4レンズで撮像素子への主光線入射角を適切に制御することが困難になる。一方、条件式(3)の下限値を下回る場合、第3レンズの正の屈折力が強くなりすぎ、撮像レンズの小型化には有利だが、この場合も諸収差を良好に補正することが困難になる。さらに、第3レンズにおける球面収差やコマ収差の増大を招き、良好な光学性能を得ることが困難となる。
【0027】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)2.03≦f4/f<3.0
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f4は第4レンズの焦点距離である。
【0028】
条件式(4)は、全系の焦点距離に対する第4レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものであり、撮像レンズの小型化を図り、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲内に制御しながら良好な光学性能を得るための条件である。条件式(4)の上限値を上回る場合、第4レンズの正の屈折力が弱くなりすぎ、撮像レンズの小型化が困難になるとともに、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲内に制御することが困難となる。さらに、凹レンズ群で発生する軸外収差および第3レンズで発生する球面収差の補正も困難になる。一方、条件式(4)の下限値を下回る場合、第4レンズの正の屈折力が強くなりすぎ、撮像レンズの小型化には有利になるが、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲に制御することが困難になる。また、この場合も凹レンズ群で発生する軸外収差および第3レンズで発生する球面収差の補正が困難になる。
【0029】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)14.4<TTL/f<24.4
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、TTLは第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離(フィルタは空気換算長)である。
【0030】
条件式(5)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、適切なバックフォーカスを確保するための条件である。条件式(5)の上限値を上回る場合、バックフォーカスの確保には有利となるが、光学全長が長くなりすぎ、撮像レンズの小型化が困難となる。一方、条件式(5)の下限値を下回る場合、撮像レンズの小型化には有利だが、光学全長が短くなりすぎ、フィルタ等の挿入物を配置するスペースの確保が困難となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、低価格でありながら全画角で約180°の撮影画角と良好な光学性能を実現した小型の撮像レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例1の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図2】実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図3】実施例2の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図4】実施例2の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図5】実施例3の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図6】実施例3の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図7】実施例4の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図8】実施例4の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図9】実施例5の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図10】実施例5の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1図3図5図7および図9はそれぞれ、本実施形態の実施例1から5に係る撮像レンズの概略構成図を示している。いずれも基本的なレンズ構成は同様であるため、ここでは主に実施例1の概略構成図を参照しながら、本実施形態の撮像レンズ構成について説明する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズL1と、負の屈折力を有する第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、開口絞りSTと、正の屈折力を有する第4レンズL4とで構成される。
【0036】
なお、本実施形態においては、第4レンズL4と像面IMとの間にはフィルタ類を配置していないが、必要に応じて赤外線カットフィルタやカバーガラスなどのフィルタ類を配置しても良い。
【0037】
上記4枚構成の撮像レンズにおいて、第1レンズL1は物体側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカスレンズである。物体側の面に曲率が極めて小さい凸形状を形成し、広い範囲から入射する光線を取り込ませることで広角化を図っている。また、第1レンズL1の像側の面には非球面が形成されており、第1レンズL1における光線の偏角を極力小さくして軸外収差の発生を抑制している。なお、非球面は両面に形成してもよく、その場合には、偏角の調整が容易となり、軸外収差の発生をさらに効果的に抑制することができる。実施例2は、第1レンズL1の両面に非球面を形成した例である。
【0038】
第2レンズL2は、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカスレンズであり、第1レンズL1を通過した後の広い範囲の光線を、両面に形成した非球面で偏角を極力小さく保ちながら軸外収差の発生を抑制し、第3レンズL3へ導いている。なお、第2レンズL2は上記の形状に限定されるものではなく、例えば、実施例5のように両凹形状であってもよい。第2レンズL2を両凹形状とする場合、負の屈折力を物体側の面と像側の面とに分配させて像側の曲率を小さくできるため、レンズの成型性が向上する。
【0039】
第3レンズL3は、像側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカスレンズであり、撮像レンズの小型化を図りつつ、通過する光線にテレセントリック性を持たせながら第4レンズL4へ導いている。また、両面に形成した非球面によって、第1レンズL1と第2レンズL2で発生する軸外収差、コマ収差、および、色収差を良好に補正している。
【0040】
第4レンズL4は、正の屈折力を有する両凸形状のレンズであり、物体側、および像側の面の凸面に強い正の屈折力を発生させることで、製造誤差感度の上昇を抑えながら撮像レンズの小型化を図っている。また、両面に形成した非球面によって、第1レンズL1と第2レンズL2で発生する軸外収差、および、第3レンズL3で発生する球面収差を良好に補正するとともに、撮像素子への主光線入射角度を適切な範囲内に制御している。
【0041】
また、図1において開口絞りSTの位置は、第3レンズL3と第4レンズL4との間に配置されており、撮影画角の広角化における収差補正を容易にしている。
【0042】
本実施の形態に係る撮像レンズは、全てのレンズにプラスチック材料を採用しているが、上述した構成を採ることによって、第1レンズL1と第2レンズL2とからなる凹レンズ群における軸外収差の発生量が抑制され、第3レンズL3と第4レンズL4とからなる凸レンズ群が担う収差補正の負担を軽減することで、良好な光学性能を実現している。
【0043】
なお、採用するレンズ材料は、プラスチック材料に限定されるものではなく、更なる高性能化を目指す場合や温度変化の激しい環境において使用される場合、最も強い屈折力を有するレンズにガラス材料を採用しても良い。また、それぞれのレンズ面は要求される性能に応じて、製造が容易な球面を採用しても良い。
【0044】
本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1)から(5)を満足することにより、好ましい効果を奏するものである。
(1)−65.0<f1/f<−17.0
(2)0.04<f2/f1<0.14
(3)6.09≦f3/f<10.0
(4)2.03≦f4/f<3.0
(5)14.4<TTL/f<24.4
ただし、
f :撮像レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f4:第4レンズL4の焦点距離
TTL:第1レンズL1の物体側の面から像面IM までの光軸X上の距離(フィルタは空気換算長)
【0045】
本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1)から(5)を満足することにより、好ましい効果を奏するものである。
(1a)−56.0<f1/f<−19.0
(2a)0.05<f2/f1<0.13
(3a)6.09≦f3/f<8.5
(4a)2.03≦f4/f<2.7
(5a)16.0<TTL/f<22.5
ただし、各条件式の符号は前の段落での説明と同様である。
【0046】
さらに、本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1b)から(5b)を満足することにより、特に好ましい効果を奏するものである。
(1b)−50.76≦f1/f≦−21.63
(2b)0.06≦f2/f1≦0.12
(3b)6.09≦f3/f≦7.64
(4b)2.03≦f4/f≦2.41
(5b)18.01≦TTL/f≦20.34
ただし、各条件式の符号は前々段落での説明と同様である。
【0047】
本実施形態において、レンズ面の非球面に採用する非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸に直交する方向の高さをH、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたとき数式1により表わされる。
【0048】
【数1】
【0049】
次に、本実施形態に係る撮像レンズの実施例を示す。各実施例において、fは撮像レンズ全系の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角を、ihは最大像高をそれぞれ示す。また、iは物体側から数えた面番号、rは曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、Ndはd線(基準波長)の屈折率、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示す。なお、非球面に関しては、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示す。
【実施例1】
【0050】
基本的なレンズデータを以下の表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例1の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)から(5)を満たしている。
【0053】
図2は実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。球面収差図は、F線(486nm)、d線(588nm)、C線(656nm)の各波長に対する収差量を示している。また、非点収差図にはサジタル像面S、タンジェンシャル像面Tにおけるd線の収差量をそれぞれ示している(図4図6および図8においても同じ)。図2に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0054】
また、全てのレンズをプラスチック材料で構成しており、低価格化が図られている。撮影画角は全画角で約180°を達成し、光学全長TTLが約11mmの小型の撮像レンズ系が実現されている。
【実施例2】
【0055】
基本的なレンズデータを以下の表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例2の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)から(5)を満たしている。
【0058】
図4は実施例2の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図4に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0059】
また、全てのレンズをプラスチック材料で構成しており、低価格化が図られている。撮影画角は全画角で約180°を達成し、光学全長TTLが約12mmの小型の撮像レンズ系が実現されている。
【実施例3】
【0060】
基本的なレンズデータを以下の表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
実施例3の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)から(5)を満たしている。
【0063】
図6は実施例3の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図6に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0064】
また、全てのレンズをプラスチック材料で構成しており、低価格化が図られている。撮影画角は全画角で約180°を達成し、光学全長TTLが約12mmの小型の撮像レンズ系が実現されている。
【実施例4】
【0065】
基本的なレンズデータを以下の表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
実施例4の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)から(5)を満たしている。
【0068】
図8は実施例4の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図8に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0069】
また、全てのレンズをプラスチック材料で構成しており、低価格化が図られている。撮影画角は全画角で約180°を達成し、光学全長TTLが約12mmの小型の撮像レンズ系が実現されている。
【実施例5】
【0070】
基本的なレンズデータを以下の表5に示す。
【0071】
【表5】
【0072】
実施例5の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)から(5)を満たしている。
【0073】
図10は実施例5の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図10に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0074】
また、全てのレンズをプラスチック材料で構成しており、低価格化が図られている。撮影画角は全画角で約180°を達成し、光学全長TTLが約12mmの小型の撮像レンズ系が実現されている。
【0075】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る撮像レンズは、低価格化を達成しながら全画角で約180°の撮影画角と良好な光学性能を有する、光学全長TTLが13mm以下の小型の光学系を実現する。
【0076】
表6に実施例1から5に係る条件式(1)から(5)の値を示す。
【0077】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る4枚構成の撮像レンズによれば、低価格でありながら、全画角で約180°の広角化を図りつつ、良好な光学性能を備える小型の撮像レンズを実現することができる。特に車載カメラやゲーム機、セキュリティカメラ、PCなどの情報端末機器等、さらにはカメラ機能が付加された家電製品等に搭載される撮像装置へ適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10