(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341713
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】外部共振器レーザ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/14 20060101AFI20180604BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
H01S5/14
G02B6/12 336
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-62361(P2014-62361)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-185765(P2015-185765A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月9日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/Tバンド、Oバンドによる大波長空間利用技術の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(73)【特許権者】
【識別番号】394023182
【氏名又は名称】光伸光学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501392361
【氏名又は名称】株式会社 オプトクエスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】津田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】友松 泰則
(72)【発明者】
【氏名】須藤 誠
【審査官】
吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−346023(JP,A)
【文献】
特開2009−198594(JP,A)
【文献】
特開2013−179266(JP,A)
【文献】
特開2008−270585(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0119270(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
G02B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体利得チップと、
前記半導体利得チップの外部に配置される外部光学系と、
を有し、
前記外部光学系の波長選択素子はアレイ導波路回折格子であり、
前記アレイ導波路回折格子を前記半導体利得チップに光学的に結合する複数の結合導波路と、
前記半導体利得チップに対する前記結合導波路の配列の相対位置を前記結合導波路の配列方向に沿って変える駆動装置、
と、をさらに有し、
前記半導体利得チップに対する前記配列方向に沿った前記結合導波路の相対位置を変えることにより、前記複数の結合導波路の中から前記半導体利得チップと光学的に結合する結合導波路を選択することを特徴とする外部共振器レーザ。
【請求項2】
前記半導体利得チップの活性層は、InAs量子ドットないしInGaAs量子ドットを含むことを特徴とする請求項1に記載の外部共振器レーザ。
【請求項3】
前記アレイ導波路回折格子に接続される複数の分光出力導波路、
をさらに有し、
前記半導体利得チップは、複数の波長で同時に発振することを特徴とする請求項1または2に記載の外部共振器レーザ。
【請求項4】
前記半導体利得チップと前記外部光学系の間に配置されるレンズ系、
をさらに有し、
前記半導体利得チップの前記外部光学系と対向する側の端面のモードフィールド径は、前記レンズ系の像倍率により、前記外部光学系の前記半導体利得チップと対向する側の端面のモードフィールド径と近似するように調節されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の外部共振器レーザ。
【請求項5】
前記外部光学系の前記半導体利得チップと対向する側の端面は、前記アレイ導波路回折格子が形成される面内で、前記半導体利得チップからの入射光の方向に対する垂線から一定の角度で傾斜していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の外部共振器レーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部共振器を有する半導体レーザに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の外部共振器型半導体レーザを示す。
図1(A)では、ヒートシンク202上の半導体利得チップ201Aの一方の端面にミラーコーティング203が施され、他方の端面に低反射コーティング204が施されてる。ミラーコティング203と回折格子206の間で共振器が構成され、レンズ系205によって帰還光が導かれる。半導体利得チップ201Aに電流が注入され利得が高くなると、回折格子206によって選択された波長でレーザ発振が起こり、ミラーコーティング203側からレーザ光が出力される。
【0003】
図1(B)では、ヒートシンク202上の半導体利得チップ201Bの一方の端面に低反射コーティング204が施され、他方の端面に高反射ミラーコーティング207が施されている。先球光ファイバ208の中に、グレーティング構造209が形成されている。この構成では、高反射ミラーコーティング207とグレーティング構造209の間で共振器が構成される。半導体利得チップ201Bに電流が注入され利得が高くなると、グレーティング構造209によって選択された波長でレーザ発振が起こり、レーザ光が出力される。
【0004】
図1(C)では、InP基板210上に、InGaAsPをコア層とする単一モード導波路211と、スラブ導波路213と、導波路アレイ212と、分光出力導波路214と、InGaAsPを活性槽とする半導体光増幅器215が形成されている。スラブ導波路213の間に延びる導波路アレイ212は、隣接する導波路の光路長が一定の長さだけ変化する単一モード導波路アレイである。導波路アレイ212とスラブ導波路213で、アレイ導波路解説講師が構成される。InP基板210の半導体光増幅器215側に高反射ミラーコーティング216が施され、導波路211側にミラーコーティング217が施されている。この構成では、高反射ミラーコーティング216とミラーコーティング217の間で共振器が構成される。半導体光増幅器215に電流が注入され利得が高くなると、アレイ導波路回折格子によって選択された波長でレーザ発振が起こり、レーザ光が出力される。複数の半導体光増幅器を配置してそれぞれに電流を注入すると、複数の波長でレーザ発振する。
【0005】
図1(A)の構成では、回折格子206の波長選択性能が不十分なので、単一縦モード発振が困難である。この構成では、波長分解能の高いエタロン板などを共振器内に配置して回折格子206と連動して動作させる必要があり、装置の大型化、発光効率の低下、動作が不安定になりやすいなどの問題がある。
【0006】
図1(B)の構成では、グレーティング構造209の波長設定精度が低いため、所望の波長でのレーザ発振が困難である。また、可変波長動作ができない。
【0007】
図1(C)の構成は、InP基板210上に導波路や光素子が集積されているので小型であり、安定性にも優れる。しかしながら、共振器内の損失が大きく、高出力にできない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「レーザ入門」、p111、著者:多幸敏治/大井みさほ 出版社:共立出版、ISBN4-320-03224-1
【非特許文献2】「FTTHを支える光受動部品」金森弘雄、2011年7月、SEIテクニカルレビュー、第179号、p17-24
【非特許文献3】"An Integrated Coupled-Cavity 16-Wavelength Digitally Tunable Laser", J.H. den Besten, et al. IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 14, NO. 12, D3eceiber, 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の外部共振器型半導体レーザにおける問題点に鑑みて、本発明では、波長選択性率に優れ小型化に適した高出力の外部共振器レーザを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の外部共振器レーザでは、半導体利得チップと、前記半導体利得チップの外部に配置される外部光学系と、を有し、前記外部光学系の波長選択素子がアレイ導波路回折格子であることを特徴とする。
【0011】
良好な構成例では、半導体利得チップの活性層はInAs量子ドットまたはInGaAs量子ドットを有する。
【発明の効果】
【0012】
波長選択性に優れかつ小型化に適した高出力の外部共振器レーザが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来の外部共振器型半導体レーザの構成例を示す図である。
【
図2】第1実施形態の外部共振器レーザの概略構成図である。
【
図4】
図2の結合導波路の基板端部近傍の状態を示す図である。
【
図6】半導体利得チップのx方向およびy方向のモードフィールド径と、結合導波路のx方向およびy方向のモードフィールド径の関係を示す図である。
【
図9】第2実施形態の外部共振器レーザの概略構成図である。
【
図10】第3実施形態の外部共振器レーザの概略構成図である。
【
図11】第4実施形態の外部共振器レーザの概略構成図である。
【
図13】第5実施形態の外部共振器レーザの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下で、図面を参照して発明の実施形態を説明する。実施形態では、利得チップに高利得で利得帯域幅の広い量子ドット活性層を利用して発振可能波長帯域を拡大し、波長選択性に優れるアレイ導波路回折格子を用いて小型化を実現する。また、利得チップと外部光学系の結合導波路端面のモードフィールド形状を一致させることで、結合損失を低減して発振閾値をさげ、高出力を実現する。さらに、発振波長の制御と同時に、複数の波長での発振を可能とする。
【0015】
以下の実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[第1実施形態]
図2は、第1実施形態の外部共振器レーザ10Aの概略構成図である。外部共振器レーザ10Aは、半導体利得チップ101Aと、波長選択素子110を有する外部光学系30Aを有する。半導体利得チップ101Aと外部光学系30の間に配置されるレンズ系105も外部光学系30Aの一部に含めてもよい。
【0016】
半導体利得チップ101Aは、後述するように量子ドットを用いた利得チップであり、ヒートシンク102上に配置されている。半導体利得チップ101Aの光出射側の端面にミラーコーティング103が施され、反対側の端面に反射防止コーティング104が施されている。
【0017】
外部光学系30は、導波路基板106に形成された結合導波路111、第1スラブ導波路107、第2スラブ導波路109、第1スラブ導波路107と第2スラブ導波路109の間に延びる導波路アレイ108、および分光出力導波路112を有する。第1スラブ導波路107と、第2スラブ導波路109と、導波路アレイ108で、アレイ導波路回折格子110を構成する。アレイ導波路回折格子110は、波長選択素子として機能する。
【0018】
導波路基板106の半導体利得チップ101Aと対向する(レンズ系105を介して)側の端面には、反射防止コーティング113が施され、反対側の端面にはミラーコーティング114が施されている。
【0019】
ミラーコーティング103とミラーコーティング114を反射器とする外部共振器レーザ10Aが構成される。半導体利得チップ101Aに電流が注入されて反転分布が生じ、ミラーコーティング103から反射防止コーティング104に至る損失を上回る利得が生じると、アレイ導波路回折格子110により選択された波長でレーザ発振が起こる。レーザ光は、ミラーコーティング103が施された端面から出力される。
【0020】
図3は、半導体利得チップ101Aの拡大図である。光の進行方向をz方向、半導体利得チップ101Aの高さ方向をy方向としている。半導体利得チップ101Aは、GaAsのn型基板115上に、n型AlGaAs層116、活性層117、p型AlGaAs層118、GaAsコンタクト層119がこの順に積層された積層体で構成される。基板115の底面と積層体の上面に、Ti/Pt/Au電極120と121がそれぞれ形成されている。
【0021】
活性層117は、図示はしないが、量子ドット、量子ドットをカバーするカバー層とで構成される。量子ドットは、たとえばInGaAs、InAsなどの量子ドットである。カバー層は、たとえばGaAsのカバー層である。InAs量子ドットを形成する場合は、InAs量子ドットへのキャリア注入効率の低下を抑制するために、InAs量子ドットとGaAsカバー層の間にInGaAs緩和層を挿入してもよい。
【0022】
量子ドット活性層117を用いることで、発振可能波長帯域を拡大することができる。
【0023】
図4は、結合導波路111の導波路端の近傍での拡大図である。この例では、結合導波路111−a、111−b、111−c(適宜、「結合導波路111」と総称する)が形成されているが、結合導波路111の数は3本に限定されず、目的、用途に応じて適切な数の結合導波路111が形成される。
【0024】
各結合導波路111の導波路基板106のエッジ側の端部は、その幅がテーパ状に広げられている。矢印で示すように、半導体利得チップ101Aのミラーコーティング103で反射された光は、レンズ系105によって結合導波路111に導かれる。
【0025】
導波路基板106の端面は、端面での反射光Lrefが外部光学系30Aから外れるように、入射光Linの方向に対して垂直から角度θだけ傾けてある。通常はθの値は8度程度である。結合導波路111の光軸も、入射光Linの方向から僅かに傾けて屈折光の伝搬方向と合うように設定されている。
【0026】
図5は、
図4のX−X'断面であり、結合導波路111の導波路端近傍での配置構成を示す。結合導波路111はGe等がドープされた石英導波路であり、ドープされていない石英の導波路クラッド122の中に配置されている。導波路クラッド122は、シリコン(Si)あるいは石英の基板123上に配置され、基板123と導波路クラッド122で導波路基板106が構成される。
【0027】
結合導波路111は導波路基板106の端面近くで導波路幅をテーパ状に広げているが、半導体利得チップ101Aからの放射光のモードフィールドの楕円率と、結合導波路111の基板端面における基本モードの楕円率は、ほぼ等しくなっている。
【0028】
図6は、半導体利得チップ101Aの端面と、結合導波路111の端面のモードフィールド径の調整を示す図である。半導体利得チップ101Aや石英導波路の基本モードをガウスビームで近似することができる。
図6に示すように、半導体利得チップ101Aのx方向(幅方向)のモードフィールド径をG
x、y方向(高さ方向)のモードフィールド径をG
y、導波路基板106に形成された結合導波路111端面のx方向のモードフィールド径をS
x、y方向モードフィールド径をS
yとすると、式(1)が成立する。
【0029】
【数1】
また、レンズ系105の像倍率をm(m>1)とすると、式(2)が成立する。
【0030】
【数2】
すなわち、半導体利得チップ101Aの出力面のモードフィールド形状をレンズ系105によってm倍に拡大し、結合導波路111の端面のモードフィールド形状と一致させて結合損失を低減する。これによって、共振器内損失が低減し、結果として、外部共振器レーザの発振しきい値を下げ、高出力化することが可能である。
【0031】
導波路基板106は、微動可能な状態で配置されている。図示しない駆動装置により導波路基板106を微動して、半導体利得チップ101Aに光学的に結合する結合導波路111(111−a、111−b、111−cなど)を選択する。これにより、アレイ導波路回折格子110で分光及び集光された異なる波長での発振が可能となる。
【0032】
図7及び
図8は、波長選択の仕組みを説明するための図である。
図7において、アレイ導波路回折格子110のフリースペクトラルレンジ(FSR)を、半導体利得チップ101Aの利得帯域幅と同程度以上にして、利得帯域幅内の発振波長選択を可能とする。
【0033】
たとえば、半導体利得チップ101Aの利得帯域幅(半値全幅)が100nmとすれば、FSRを100nm以上に設定する。これにより、結合導波路111−a、111―b、111−cのスペクトルの組がひとつだけ、半導体利得チップ101Aの半値全幅の範囲内に出現する。結合導波路111−a、111―b、111−cのいずれかの導波路が光学的に接続されることで、対応する発振波長が選択される。
【0034】
図8は、
図7の波長スペクトルの拡大図である。
図8では、結合導波路111−aの透過スペクトルAの近傍の共振器縦モードにおいてレーザ発振する。共振器縦モード間隔は0.02nm程度、結合導波路111−aの透過スペクトルの半値全幅は0.2nm程度である。
【0035】
このように隣接する次数のスペクトルとの干渉を防止して、半導体利得チップ101Aの利得帯域幅内で、複数の波長から所望の波長を選択することができる。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態の外部共振器レーザ10Bの概略構成図である。第2実施形態では、レーザ出力光を、導波路基板106側から取り出す。
【0036】
外部共振器レーザ10Bは、半導体利得チップ101Bと、外部光学系30Bを含む。、半導体利得チップ101Bの導波路基板106側の端面に反射防止コーティング104が施され、反対側の端面にミラーコーティング124が施されている。導波路基板106の半導体利得チップ101B側の端面に、反射防止コーティング113が施され、反対側の端面にミラーコーティング125が施されている。
【0037】
導波路基板106の分光出力導波路112は、光りファイバ接続台126を介して光ファイバ127に接続されている。光ファイバ127に挿入された光アイソレータ128により一方向の出力光が取り出される。
【0038】
第2実施形態の構成は、第1実施形態と比較して、光出力を取り出す光学系が簡易になる。
【0039】
第1実施形態と同様に、導波路基板106の半導体利得チップ101Bに対向する端面は、入射光に対する垂直面から一定角度で斜めに形成され、各結合導波路111の端部のテーパ状部分も、入射光の方向からわずかに角度をなして形成されている。波長選択動作やその他の構成は第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態の外部共振器レーザ10Cの概略構成図である。第3実施形態では、結合導波路111を1本にして、第1スラブ導波路107への入力導波路129を複数にしている。また、結合導波路111と入力導波路129の間に、結合導波路111に光学的に結合する入力導波路129を選択する光スイッチ130が配置されている。光スイッチ130は、既知の熱光学効果を用いたマッハツェンダー干渉型光スイッチを組み合わせて構成可能である。半導体利得チップ101Cの構成は、第1実施形態の半導体利得チップ101Aと同じである。
【0040】
第3実施形態では、導波路基板106を駆動せずに、光スイッチ130を用いて波長選択できるので、安定な動作と小型化が可能となる。
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態の外部共振器レーザ10Dの概略構成図である。第4実施形態では、結合導波路111を1本にして、分光出力導波路131を複数にしている。
【0041】
外部共振器レーザ10Dは、半導体利得チップ101Dと、外部光学系30Dを含む。半導体利得チップ101Dの活性層の量子ドットは、第1〜第3実施形態で用いた量子ドットと同様である。第4実施形態では、分光出力導波路131−a、131−b、131−bに対応する複数の波長が選択されると、複数の波長で独立にレーザ発振する。分光出力導波路131の数は3本に限られず、目的、用途に応じて適切な数の分光出力導波路131を形成することができる。
【0042】
図12は、第4実施形態での波長選択の仕組みを示す図である。各分光出力導波路を伝搬する光の透過スペクトルD、E、Fのピークが3箇所有り、その透過ピークの波長近傍でレーザ発振する。
[第5実施形態]
図13は、第5実施形態の外部共振器レーザ10Eの概略構成図である。第5実施形態の構成は、第4実施形態の構成で、出力光を導波路基板106側から取り出す。複数の分光出力導波路131は、ファイバアレイ接続第132を介して光ファイバ127に接続され、光アイソレータ128から一方向の光が取り出される。
【0043】
第5実施形態の構成は、第4実施形態と比較して、光出力を取り出す光学系が簡易である。
【0044】
以上の実施形態で開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)波長選択素子としてアレイ導波路回折格子110を利用しているため、導波路基板106内で屈曲して回折格子を構成できるので、外部共振器レーザ10A〜10Eを小型に構成できる。
(2)量子ドット活性層117を利用し、アレイ導波路回折格子110の複数波長選択性を用いて、同時に複数の波長でレーザ発振することが可能であり、また、各々のレーザ発振は互いに影響しない。
(3)半導体利得チップ101とアレイ導波路回折格子110の結合導波路111端でのモードフィールド形状を相似形とするように、結合導波路111にテーパ構造を設けている。さらに、半導体利得チップ101とアレイ導波路回折格子110を結合するレンズ系105の像倍率を調整して、共振器内損失を低減し、外部共振器レーザ10A〜10Eの発振しきい値を下げ、高出力化することができる。
(4)導波路基板106を微動して、半導体利得チップ101と結合する結合導波路111を選択することによって発振波長を選択することが可能である。
(5)石英導波路による光スイッチ130を集積して、光スイッチ130によって共振器構成を変更し、発振波長を選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の外部共振器レーザは、光伝送システムや光計測システムに利用される。
【符号の説明】
【0046】
10A〜10E 外部共振器レーザ
30A〜30E 外部光学系
101 半導体利得チップ
103、114 ミラーコーティング
105 レンズ系
106:導波路基板
110 アレイ導波路回折格子
111 結合導波路
112、131 分光出力導波路
117 活性層