特許第6341715号(P6341715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341715
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】折板葺きの屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/362 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   E04D3/362 D
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-63221(P2014-63221)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-183487(P2015-183487A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】592063249
【氏名又は名称】シンコユニ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】福本 富雄
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−293856(JP,A)
【文献】 実開平02−121519(JP,U)
【文献】 実開昭60−174722(JP,U)
【文献】 特開平08−035292(JP,A)
【文献】 実開昭52−113514(JP,U)
【文献】 特開2010−112136(JP,A)
【文献】 特開2003−201752(JP,A)
【文献】 特開2003−184230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/362
E04D 3/36
E04D 3/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物側に固定される山形部を有するタイトフレームと、該タイトフレームの山形部に固定される吊り子部材と、両側に係合縁部を有し、隣り合う係合縁部同士を相互に係合させるようになっているとともに、上記吊り子部材を介して上記タイトフレームに取り付けられるハゼ型の折板とからなる折板葺きの屋根構造であって、上記折板の相互に係合する係合縁部は、いずれか一方側のものが他方側のものに弾性的に変形して上方側から下方側に嵌合されるキャップ型構造のものに形成されている一方、上記吊り子部材は、その下部を上記タイトフレームの山形部両側に取り付けられ、かつ上部は上記タイトフレームの山形部の上面から所望の高さ上方に起立し、該起立部の上端に上記折板のキャップ型構造の係合縁部を嵌合係止する嵌合係止部を備えてなり、該嵌合係止部は、上記折板のキャップ型構造の係合縁部の左右両片を、嵌合時には拡がり方向に弾性変形させながら上方側から下方側に嵌合させるテーパー面よりなる左右両側の嵌合ガイド面と嵌合後は上記折板のキャップ型構造の係合縁部の左右両片を係止固定する左右両側の係止部とを有して構成されていると共に、上記吊り子部材の両側および上記折板の両側には、上記折板の嵌合係止時において、相互に係合する段部構造の係合部が設けられていることを特徴とする折板葺きの屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、例えば工場、倉庫、体育館等の建物の屋根に使用される折板葺きの屋根構造に関するものであり、特に同折板葺きの屋根構造おける折板のタイトフレームに対する取り付け構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば工場や倉庫、体育館等の大容積、広面積の建物では、一般に折板と呼ばれる鋼板製の屋根部材が多く使用されている。この折板は、軽量、かつ高強度で、形状の加工や施工も容易であり、それらの建物の屋根部材としてスタンダードなものとなっている。
【0003】
このような折板葺きの屋根構造では、一般に当該建物の梁部材上に折板取り付け用の断面山形状(台形状)に曲成されたタイトフレームを溶接固定し、同タイトフレームの山形部(台形部)に対して吊り子部材を介してハゼ型の折板を固定する折板取り付け構造が採用されていた。
【0004】
その一例として、たとえば上記タイトフレームの山形部の頂面中央部に竪型単板構造の吊り子部材を立設するとともに、同吊り子部材の上端に、左又は右いずれか一方側水平方向(直角)に折り曲げた係止片を設け、該係止片部分に左右両側の隣り合うハゼ型構造の折板の係合縁部(断面コの字形状等に曲げ加工した係合縁部)を相互に係合させた状態でカシメ付けることにより、タイトフレームに対して折板を係止するようにした係合方式の取り付け構造が知られている(たとえば特許文献1の構成を参照)。
【0005】
しかし、このような構成の場合、吊り子部材を用いるために、タイトフレーム上部に吊り子部材を立設するための吊り子部材設置作業(ボルトナット等による吊り子部材の取り付け作業)が必要となり、しかも、同吊り子部材の上端側係止片部分で左右両側の折板の係合縁部同士を確実に係合させた上で係止しなければならないので、施工に手間がかかる。
また同構成の場合、折板はタイトフレームの山形部上面に立設された単板構造の吊り子部材を介し、その上端側の一部を左又は右いずれか一方側水平方向に(直角に)折り曲げただけの係止片に係合、係止されて取り付けられているだけなので、吊り強度に欠け、曲げ変形(座屈)が生じやすく、台風等に対する動風圧強度に弱い難点がある。
【0006】
このような事情から、一部には、上記タイトフレームの山形部の左右両面側に上下2段構造の係合爪(切り起し片)を設ける一方、取り付けられるハゼ型構造の折版の左右両面側に同係合爪に係合する上下2段構造の係合凹部(成形段部)を設け、上記上下2段構造の係合爪を有するタイトフレームに対して、上記上下2段構造の係合凹部(成形段部)を有する折板を嵌合し、上方側から押圧することにより、上記タイトフレーム山形部の左右両面側の上下2段構造の係合爪に、上記折板左右両面側の2段構造の係合凹部を上方から下方にスライド状態でスムーズに合させて取り付けるようにした吊り子レス嵌合方式の折板取り付け構造も提供されている。
【0007】
このような嵌合方式の折板の取り付け構造によると、上述のような吊り子部材を用いないので、部品点数が減少するとともに、面倒な吊り子かけ作業が不要になり、施工作業が容易になる。
しかも、嵌合後は、各折板の左右両面側に設けた2段構造の係合凹部が、タイトフレーム山形部の左右両面側に設けた上下2段構造の係合爪に係合されるので、タイトフレームに対する取り付け強度が向上し、台風等に対する動風圧強度も高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−272199号公報(明細書の段落〔0002〕と図5を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記吊り子レス嵌合方式の取り付け構造の場合、タイトフレームと折板が直接的に係合されるとともに、係合部の数が増えるので、相互の結合強度はアップする。また、吊り子部材を用いないので、吊り子作業が不要で、タイトフレームの係合爪に対して折板の係合凹部を上方側から嵌合し、下方に押さえつけることによって、係合させることができるので、施工作業も容易になる。
【0010】
しかし、同構成の場合、嵌合が容易であるとは言っても、少なくともハゼ型構造の折板相互の係合縁部の係合構造は、例えば相互にコの字型形状に加工した係合縁部同士をシール性良く係合させ、その後タイトフレーム上に嵌合させる必要があり、決して各々の折板を上方から下方(垂直方向)にストレートに嵌合し、その後、踏みつければ全体を簡単に嵌合できるというわけではない。
【0011】
また、タイトフレームの一部を切り起こして上下2段の係合爪を形成している。そのためにタイトフレームには各々切り欠き穴が形成されて、強度が低下し、座屈変形しやすくなる欠点を有している。
【0012】
また、吊り子部材がないために、隣り合う折板の縁部同士を係合させるときに、当該折板両側の係合縁部を仮係止しておく治具機能がなく、タイトフレーム間の距離が大きく、折板の長さが長い場合には、正確な縁部同士の係合、連結を行うことができない大きな問題がある。したがって、人手も多く要り、施工時の作業能率が悪い。
【0013】
また、吊り子部材を備え、それら折板両側の係合縁部同士を同吊り子部材の上端側で係合させる場合に比べて、雨水等の侵入を防ぐために折板係合縁部の水深高を高くとる必要があり、シール機能の維持にも特に注意を払わなければならない。
【0014】
この出願の発明は、このような課題を解決するためになされたもので、吊り子部材を用い、同吊り子部材自体の構造および折板の係合縁部の係合構造を改良することにより、折板とタイトフレームとの取り付け強度を有効に向上させるとともに、折板をタイトフレームに対して上方から下方にストレートに踏みつけるだけで、吊り子部材との係合部や折板相互の係合部を含めて全体を容易に、かつ確実に嵌合できるようにした嵌合方式の折板葺きの屋根構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この出願の発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段では、建物側に固定される山形部を有するタイトフレームと、該タイトフレームの山形部に固定される吊り子部材と、両側に係合縁部を有し、隣り合う係合縁部同士を相互に係合させるようになっているとともに、上記吊り子部材を介して上記タイトフレームに取り付けられるハゼ型の折板とからなる折板葺きの屋根構造であって、上記折板の相互に係合する係合縁部は、いずれか一方側のものが他方側のものに弾性的に変形して上方側から下方側に嵌合されるキャップ型構造のものに形成されている一方、上記吊り子部材は、その下部を上記タイトフレームの山形部両側に取り付けられ、かつ上部は上記タイトフレームの山形部の上面から所望の高さ上方に起立し、該起立部の上端に上記折板のキャップ型構造の係合縁部を嵌合係止する嵌合係止部を備えてなり、該嵌合係止部は、上記折板のキャップ型構造の係合縁部の左右両片を、嵌合時には拡がり方向に弾性変形させながら上方側から下方側に嵌合させるテーパー面よりなる左右両側の嵌合ガイド面と嵌合後は上記折板のキャップ型構造の係合縁部の左右両片を係止固定する左右両側の係止部とを有して構成されていると共に、上記吊り子部材の両側および上記折板の両側には、上記折板の嵌合係止時において、相互に係合する段部構造の係合部が設けられている
ことを特徴としている。
【0016】
このような構成の場合、まず隣り合う折板の相互に係合する係合縁部が、いずれか一方側のものが他方側のものに弾性的に変形して上方側から下方側に嵌合されるキャップ型構造のものに形成されているから、それら相互の係合は、いずれか一方側のものを下にして他方側のものを上方側から下方に弾性的に拡がり方向に変形させて嵌合させれば簡単に係合させることができ、その嵌合後の係合状態も相互に逆方向の弾性圧を伴った安定したものになるので、折板同士のハゼ部での正確、かつ確実な係合作業が著しく容易になる。
他方、吊り子部材は、その下部がタイトフレームの山形部の両側に跨って確実、かつ堅固に固定して取り付けられるようになっていることから、折板を支持する吊り子部材自体が強固な支持構造のものとなる。その結果、同吊り子部材の上端部に形成される上記折板の係合縁部を嵌合係止する嵌合係止部も安定した支持強度のものに形成される。
【0017】
そして、同安定した支持強度を有して所望の高さ上方に起立する吊り子部材上端の嵌合係止部は、上記折板の相互に係合するキャップ型構造の係合縁部(具体的には最初に嵌合される下側の係合縁部)の左右両片を当該嵌合係止部に嵌合させる時には、まず上方側から下方側に相互の間隔が拡がるように弾性変形させながら、上方側から下方側にスムーズにガイドして嵌合させる下降傾斜面よりなる左右両側の嵌合用ガイド面を備えている一方、嵌合させた後には、上記嵌合された折板のキャップ型構造の係合縁部の左右両片を分離できないように確実に係止固定する左右両側の係止部を備えている。
【0018】
なお、これら左右両側の嵌合用ガイド面および係止部は、たとえば2枚の吊り子片の途中を相互に接合して一体化する一方、それらの上端側をそれぞれ左右に逆V字状に折り曲げて断面矢印構造のものとし、それら折り曲げ片(矢片)の上面側を嵌合用ガイド面、下端側を係止部に構成しても良いし、また1枚の吊り子板を断面三角形状に曲げ加工して、その左右上面側を嵌合用ガイド面、左右下端側を係止部に構成するようにしても良い。
【0019】
このような構成の場合、上記隣り合う折板の相互に係合するキャップ型構造の係合縁部の内の下側に位置することになる係合縁部は、上記タイトフレームへの取り付け時に、上記吊り子部材上端側の嵌合係止部に対して、弾圧変形を伴って、上方側から下方側にストレートに、かつスムーズに嵌合され、同嵌合後は相互に係合された状態で確実に係止されて分離不可能となる。そして、それに応じて、その上に嵌合された上記隣り合う折板の相互に係合するキャップ型構造の係合縁部の内の上部側に位置する係合縁部も、同下側の折板のキャップ型構造の係合縁部を介する形で、全く同様に上記吊り子部材側の嵌合係止部に嵌合係止される。
【0020】
したがって、同構成の折板取り付け構造を採用した場合、タイトフレーム間に並設された複数枚の折板のうちの隣り合う折板のキャップ型構造の係合縁部同士を、上記吊り子部材の嵌合係止部の上部に位置して、上下に重ね合わせながら、同重ね合わせた部分を順次上方から下方に踏みつけて付けてゆくと、同キャップ型構造の係合縁部の下側のものが、上記吊り子部材側の嵌合係止部に嵌合されて係止されるとともに、さらに、その上に上側折板のキャップ型構造の係合縁部が弾圧変形を伴って嵌合、係止され、最終的には隣り合う各折板の係合縁部が長手方向の全体に亘って確実に重合、係止された状態で相互に連結される。
【0021】
したがって、以上の構成の場合、基本的にはタイトフレームの山形部間に多数枚の折板を並設し、それら各々の両側の係合縁部同士を吊り子部材の嵌合係止部上に位置させて(具体的には、まず下側のものを載せかけて)配置し、それら各折板の両側の係合縁部の重ね合わせ部を上方から下方に順次踏みつけてゆくだけで、多数枚の折板を比較的簡単にタイトフレーム側の吊り子部材の嵌合係止部に嵌合、係止してゆくことができ、吊り子部材による折板係合時の仮止めも可能で、施工作業がきわめて簡単になる。
また、嵌合、係止された折板は、吊り子部材の折板係合縁部嵌合係止用の嵌合係止部の係止機能によって確実に係止され、仮に吊り子部材の嵌合係止部だけの係止であっても、十分に取り付け強度の高いものとなる。
【0022】
また、同吊り子部材の嵌合、係止機能を有する折板係合縁部嵌合係止用の嵌合係止部は、タイトフレームの山形部上面に位置して、所望の高さ上方に起立したものとなっており、しかも、嵌合される折板側の係合縁部はキャップ型構造に成形されている。したがって、所望の水深高を得ることができるとともに、係合縁部でのシール機能が高く、雨水侵入等の恐れが生じない。
【0023】
さらに、この発明の課題解決手段では、それに加えて、上記吊り子部材の両側および上記折板の両側には、上記折板の嵌合係止時において相互に係合する段部構造の係合部が設けられている。
【0024】
したがって、同構成によれば、上述した折板縁部の係合部での係合に加えて、同吊り子部材の両側および折板の両側の係合部での係合の3か所で折板が係合されるようになるので、上記タイトフレームに対する折板の取り付け強度が大きく向上し、台風等に対する動風圧強度も高くなる。
【0025】
しかも、これら係合部同士の係合も、上記折板の係合縁部の嵌合、係止の場合と同様に、同係合部を上方から下方に踏みつけてゆくだけで、容易に係合させることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の結果、この出願の発明によると、吊り子部材を用いながらも、折板のタイトフレームに対する取り付け強度を有効に向上させることができるとともに、取り付けに際しては、折板をタイトフレームに対して上方から下方にストレートに踏みつけるだけで、吊り子部材との係合部や折板相互の係合部を含めて折板の全体を容易に嵌合、係止することができ、きわめて施工性の良い嵌合方式の折板葺きの屋根構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この出願の発明を実施するための形態に係る折板葺きの屋根構造の施工状態の構造を示す断面図である・
図2】同形態に係る折板葺きの屋根構造の要部の構成を示す拡大断面図である。
図3】同形態に係る折板葺きの屋根構造における折板の構成を示す拡大断面図である。
図4】同形態に係る折板葺きの屋根構造の要部の構成の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1図3は、この出願の発明に係る折板葺きの屋根構造を実施するための一つの形態における具体的な構成について示している。図1は、同形態に係る折板葺き屋根構造の施工状態における概略的な構成を示す断面図、図2は、同折板葺き屋根構造の施工状態における要部の構成を示す拡大断面図、図3は、同折板葺き屋根構造の折板(ルーフ)部分の全体的な構成を示す断面図である。
【0029】
<タイトフレームの構成>
まず、図1において、符号1は、例えば工場、倉庫、体育館などの鉄骨製建物の柱体上部に所定の間隔を置いて並設された複数本の梁部材2、2・・の上部面に設置される所定の板厚、所定の幅、所定の剛性強度の鉄製金属板よりなる折版取り付け用のタイトフレームである。このタイトフレーム1は、図示のように、断面台形状(山形状)の曲げ加工部が上下方向に交互に凹凸部を形成する状態で長手方向に所定の長さ連続する構成となっており、その下方に凸、上方に凹の台形部の下面1a、1a・・を上記梁部材2、2・・の長手方向の上面2a、2a・・に順次溶接することによって固定されている。
【0030】
<吊り子部材の構成>
次に、符号3は、上記タイトフレームの上方に凸の台形部の上面1b、1b・・に上部側が載置状態で支持されるとともに、下部側が側面1c、1c・・に固定状態で支持されていて、その上方側に折板(ルーフ)4が嵌合され、同折板4が相互に係合する状態で固定される吊り子部材である。この吊り子部材3は、上記タイトフレーム1の板幅に対応した板幅の左右一対の吊子片31、31よりなり、同左右一対の吊り子片31,31の下端側偏平部31a、31aを上記タイトフレーム1の上方に凸の台形部の側面1c、1c・・に固定して支持されている一方、同偏平部31a、31aの上部側には側方に所定の高さ張り出した段部構造の第1の係合部31b、31b、同第1の係合部31b、31bの上部側には同第1の係合部31b、31bの上端から上記タイトフレーム1の台形部の上面1aの中央部に略水平に延びる折板支持部31c、31c、同折板支持部31c、31cの中央部側延設端には上方に向けてストレートに起立した第2の係合部形成用の起立部31d、31d、同起立部31d、31dの上端には同起立部31d、31d上端の一部を相互に逆方向の外側方に折り曲げて形成したフック片構造の係止部31e、31eがそれぞれ設けられている。
【0031】
上記第2の係合部形成用の起立部31d、31dは、相互に対向する拝み状態に重ね合わされて、二重壁構造に形成されているが、これら起立部31d、31dの重合部は必要に応じてスポット溶接等の手段で接合一体化される。また、上記起立部31d、31d上端の一部を相互に逆方向の外側方に折り曲げて形成したフック片構造の係止部31e、31eは、たとえば図2から明らかなように、水平な状態(直角な状態)から所定角下方に(鋭角状態に)大きく曲げられて、それぞれ上面側に下降傾斜した上方から下方へのスライドガイド面を形成している一方、下方から上方への移動を阻止する係止機能の高い係止片となっている。
【0032】
上記左右一対の吊子片31、31の偏平部31a、31aのタイトフレーム1への固定は、この実施の形態の場合、図示のように、ボルト5aおよびナット5bを使用して締結するようにしているが、これは例えばスポット溶接等により固定するようにしても良い。
【0033】
<折板部分の構成>
次に、符号4、4・・は、上記のように構成された吊り子部材3の段部構造の第1の係合部31b、31b、第2の係合部31fを利用して、上記所定の間隔を置いて並設されたタイトフレーム1、1・・上に取り付けられる複数枚の折板(ルーフ)である。これら複数枚の折板4、4・・は、例えば強度の高い鋼板よりなっている。そして、該折板4、4・・は、例えば図3に単体の状態で示しているように、それぞれが全体として、上記タイトフレーム1の下方に凸、上方に凹の台形部上面(逆台形の凹部面)部分に嵌め合わせた状態(図1参照)で設置できるように同じく下方に凸、上方に凹の逆台形形状に成形されている。
【0034】
そして、その左右両側の側板41、41部分(底板40の両側から斜め上方に延びた部分)には、上記吊り子部材3両側の段部構造の第1の係合部31b、31bに係合する同じく段部構造の第1の係合部41a、41a、また同側板4b、4bの第1の係合部41a、41aの上端側には,同上端から上記吊り子部材3の起立部31d、31d部分まで延び、上記吊り子部材3の折板支持部31c、31c上に重合状態で支持される傘面部41b、41b、同傘面部41b、41bの端部から、小径の縊れ部41c、41cを介して上方に延び、同上方に延びた部分で上下に長い断面三角形状をしたキャップ構造の係合縁部41d、41dがそれぞれ形成されている。
【0035】
上記キャップ構造の係合縁部41d、41dは、上記縊れ部41c、41cの内側が下方側に開口され、同開口部の左右両側の側壁部はそれぞれ上方から下方にかけて内側に向けてC字形に凹んだアール面となっており、また外端側の側壁部は同外端側外方に弾性的に拡開可能となっている。
【0036】
さらに、同キャップ構造の係合縁部41d、41dは、上述のように上下に長い断面三角形状のものとなっていて、その内側両側部の下端部が、上記起立部31d、31dおよび左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eよりなる吊り子部材3側第2の係合部31fの上記フック片状の係止部(係止片)31e、31eの係止部(係止面)41e、41eとなっている。
【0037】
上記吊り子部材3側第2の係合部31fに係合する上記断面三角形状のキャップ構造の係合縁部41d、41dは、図3に示すように、左側または右側いずれか一方側の断面形状寸法が他方側のものよりも小さい相似形状に構成されており、図2に示すように、隣り合ういずれか一方側の折板4の大寸法の係合縁部41dが他方側の折板4の小寸法の係合縁部41dに嵌合されることにより、同左右の折板4、4の両側が相互に上下に嵌合し、水平方向に係合された状態で連結、係止されてゆくようになっている。
【0038】
また、同左右の折板4,4は、上記のようにして左右両側のキャップ構造の係合縁部41d、41dが上下に嵌合され、相互に係合されると同時に、同キャップ構造の係合縁部41d、41d部分は、図2に示すように、上記起立部31d、31dおよび左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eよりなる上記吊り子部材3側の第2の係合部31fに対して、上方から下方にストレートに嵌合され、嵌合後は上記吊り子部材3の上記左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eが、上記係合縁部41d、41dの係止部(内側係止面)41e、41eに深く係合して、上記係合縁部41d、41dをガタツキなく確実に係止する。
【0039】
しかも、この場合、上記折板4、4側の係合縁部41d、41dは、折板4、4の両側を上下に長い断面三角形状のキャップ構造に成形することにより形成されているとともに、その下端側の嵌合用の開口部は、断面C字形のアール面構造の縊れ部(ネック部)41c、41cに形成されており、上記吊り子部材3側の上記起立部31d、31dおよび左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eよりなる第2の係合部31fに対して、上記開口部を介して上方から下方に嵌合する場合に、可能な限り摩擦力の作用を排してスムーズに嵌合できるようにしているとともに、同嵌合用開口部の外端側の断面C字形状の側壁部が外方に弾性変形し、同嵌合用開口部の幅を拡大させて、よりスムーズな嵌合を可能としている。
【0040】
また、それとともに、上記対応する吊り子部材3側第2の係合部31fの左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eは、上述のように、水平な状態(直角な状態)から所定角下方に(鋭角状態に)大きく曲げられて、それぞれ上面側に下降傾斜した上方から下方への嵌合用ガイド面を形成している。
【0041】
したがって、上記折板4、4側のキャップ構造の係合縁部41d、41dを嵌合する場合には、同左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eが障害になるようなことはなく、上記上方から下方に傾斜した上方から下方への嵌合用ガイド面(下降傾斜面)を利用してスムーズに嵌合される。他方、それでいながら、嵌合後は、上記下方側に大きく曲げられた左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eの下端が突っ張り剛性の高い高機能の係止部材として機能して、上記嵌合された折板係合縁部41d,41d左右両片の下方から上方への移動を確実に阻止するようになる。
【0042】
<施工方法>
このような構成の場合、まず梁部材2、2・・の上部にタイトフレーム1,1・・を溶接固定し、その後、同タイトフレーム1,1・・の台形部上に左右一対の吊り子片31、31の下端側扁平部31a、31aを固定し、同左右一対の吊り子片31、31の上部側折板支持部31c、31cをタイトフレーム1の台形部上面に支持させ、さらに上記起立部31d、31d部分を拝み合わせて一体化することによって二重壁構造体として、タイトフレーム1の台形部両側に堅固に取り付けられた吊り子部材3を形成する一方、同二重壁構造体上部の左右両側で下方側に向けて大きく逆V字形状に曲げ加工された左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eと合わせて、左右両側の折板4,4の係合縁部41d、41dを嵌合固定するための断面矢印構造の第2の係合縁部31fを形成する。
【0043】
そして、その後、上記タイトフレーム1の隣り合う台形部間に、図3に示すような、下方側に凸の断面台形状で、左右両側に上下に長い断面略三角形状の係合縁部41d、41d、左右両側の途中に段部構造の係合部41a、41aを有する折板4、4を嵌装し、同折板4、4の上記係合縁部41d、41dおよび係合部41a、41a部分を各々上下に対応させ、順次上方側から下方側に踏み込むだけで、同折板4の上部側上記キャップ構造の係合縁部41d、41dが上記左右一対の吊り子部材31、31の中央部上端側に相互の起立部を重合させて形成された上記二重壁構造の第2の係合部31fに上方から下方に嵌合され、嵌合後は同係合縁部41a、41aの下端部内側の係止部(係止端面)41e、41eが当該第2の係合部31fの左右一対のフック片状の係止部(係止片)31e、31eに係合されて係止されるとともに、途中の段部構造の係合部41a,41aが上記左右一対の吊り子片31、31の下部側段部構造の第1の係合部31b、31bに上方から下方に嵌合されて、折板4、4の全体が、図2図1に示すように固定されて施工が完了する。
【0044】
したがって、この実施の形態に係る折板葺き屋根構造の構成では、上記のように各折板4、4・・側の所定の係合部を吊り子部材3側の所定の係合部に対して上下に対応させ、折板4,4・・を上方から下方に踏みつけてゆくだけでタイトフレーム1側に組み付けることができ、その施工作業自体がきわめて簡単であるにもかかわらず、折板4,4・・は、上記のようにタイトフレーム1の台形部両側に対して堅固に固定して取り付けられた吊り子部材3上部側の上記第2の係合部31f部分での強固な取り付けに加えて、同吊り子部材の下部側第1の係合部31b、31b部分2か所での係合の合計3か所での安定した取り付けにより、より強固に取り付けられる。その結果、台風等に対する動風圧強度も十分に高くなる。
【0045】
また、上記吊り子部材3側の折板4、4の係合縁部41d、41d嵌合用の第2の係合部31fは、上記タイトフレーム1の台形部上に位置して、所定の高さ上方に起立したものとなっており、しかも、嵌合される折板4,4側の係合縁部41d、41dは断面三角形状のキャップ構造に成形されている。したがって、所望の水深高を得ることができるとともに、係合縁部でのシール機能が高く、雨水侵入等の恐れも生じない。
【0046】
<変形例>
なお、以上の実施の形態における構成では、折板4、4両側のキャップ構造の係合縁部41d、41dを嵌合して係止固定する吊り子部材3側の第2の係合部31fを,左右一対の相互に独立した吊り子片3l、31を用い、それらをタイトフレーム1の台形部上で相互に対向する状態で組み合わせ、その下端側偏平部31a、31aを同タイトフレーム1の台形部両側に固定するとともに、上端側起立部31d,31d部分を相互に拝み合わせることによって二重壁化する一方、それら各起立部31d、31dの上端側の一部をそれぞれ外方側に折り曲げることによって左右両側に逆V字形状の折板4、4両側の係合縁部41d、41d固定用の係止部(係止片)31e、31eを形成するようにしている。
しかし、これは例えば図4に示すように、起立部31d,31dおよび係止部31e、31eの全体を連続する1枚の板で構成し、上記拝み合わせた起立部31d、31dの上部に断面三角形状の閉断面構造の嵌合用ガイド部を構成し、その左右両側の下降傾斜面G、Gを嵌合用のスライドガイド面とするとともに、同ガイド面下端側左右の鋭角部を嵌合後の係止部31e、31eとする構成に変更しても良い。
【0047】
このような構成にすると、吊り子部材3側の係合部31fの強度(支持剛性)自体が大きく向上するとともに、嵌合用ガイド部下端側の係止部31e、31eによる嵌合後の係止力(係止強度)が大きく向上することはもちろん、断面三角形状の閉断面構造の嵌合用ガイド部の全体(3面全体)で重合状態の係合縁部41d、41dの全体を嵌合支持するので、より折板4、4の取り付け状態が安定し、ガタツキのないものとなる。
【0048】
しかも、同嵌合用のガイド部は、その左右両側に、傾斜角度が大きく、しかも弾性変形のない安定した下降傾斜面G、Gを有しているので、折板4,4嵌合時の嵌合方向へのガイド作用がよりスムーズになり、折板4,4の嵌合作業が一層スムーズになる。
【0049】
また、同構成の場合、左右一対の吊り子片31、31の下部を別々にタイトフレーム1に取り付けて、その後、上端側起立部31d、31d同士を拝み合わせる構造を採用した場合に比べて、吊り子部材3の組み付け作業が遥かに簡単になる。もちろん、上記実施の形態では、事前に起立部31d、31d同士を溶接等で接合一体化しておく吊り子構造も任意に採用され、その場合には、少なくとも上記組み付け作業自体は、この変形例の場合と略同等に容易になるが、事前の溶接等が必要になる点で、この変形例よりも作業工数の増加を伴う。
【0050】
さらに、上記嵌合用ガイド部は、上記のように三角形状の閉断面構造になっているために、雨水等の侵入も完全に遮断することができる。
この変形例の構成の場合、上記吊り子部材の材料としては、通常の鋼製材料のほか、例えばアルミ製のものの採用が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1はタイトフレーム、2は梁部材、3は吊り子部材、31、31は吊り子部材3の左右一対の吊り子片、31a、31aは吊り子片31,31下端側の偏平部、31b、31bは吊り子片31、31の第1の係合部、31c、31cは吊り子片31,31の上端側折板支持部、31d、31dは吊り子片31,31の起立部、31e、31eは吊り子部材3の第2の係合部31fのフック片状の係止部、31fは吊り子部材3の第2の係合部、4は折板、41、41は折板4の左右一対の側板、41a、41aは折板4の左右一対の側板41,41の第1の係合部、41b、41bは折板4の左右一対の側板41、41の傘面部、41c、41cは折板4の左右一対の側板41,41の縊れ部、41d、41dは折板4の左右一対の側板41,41の係合縁部、41e、41eは折板4の左右一対の側板41,41の係合縁部41d、41dの係止部、G、Gは変形例における第2の係合部31fの嵌合用ガイド部の下降傾斜面である。
図1
図2
図3
図4