特許第6341720号(P6341720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6341720テープフィーダ及びこのテープフィーダの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341720
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】テープフィーダ及びこのテープフィーダの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-66632(P2014-66632)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-191953(P2015-191953A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】北沢 秀郎
(72)【発明者】
【氏名】岩嵜 達也
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−042029(JP,A)
【文献】 実開昭55−068016(JP,U)
【文献】 実開昭58−148610(JP,U)
【文献】 特開2009−283525(JP,A)
【文献】 特開2009−130092(JP,A)
【文献】 特開2003−124687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
G01D 5/26 − 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転をギヤ部を介してスプロケットに伝達させることにより前記スプロケットを回転させ、部品を保持するテープに所定間隔毎に設けられたテープ送り用の送り穴が前記スプロケットの歯に嵌合されることにより前記スプロケットの回転に伴って前記テープを移動させて前記部品を搬送するテープフィーダにおいて、
前記モータの一回転における予め定められた特定の位置を原点位置として特定する原点特定部と、
前記ギヤ部によって前記モータの回転で送られる前記スプロケットの前記歯毎に、前記歯を次位の前記歯に送るときの前記モータの回転量と、前記原点位置までの前記モータの回転量とを記憶する記憶部と、
所定位置の前記スプロケットの前記歯を特定する歯特定部と、
を備え、
前記歯特定部は、前記スプロケットと同軸上にあるいは前記スプロケットと同じ角速度で回転する前記ギヤ部の歯車と同軸上に設けられた円盤の円盤面又は円筒の筒部周面に、前記円盤面又は前記筒部周面を光学的に読み取った時に読み取り位置によりデータが変化する指標が設けられており、
前記スプロケットは、一歯送られるとき前記モータが一回転以上回転するようにギヤ比が設定されている、
ことを特徴とするテープフィーダ。
【請求項2】
前記歯特定部は、濃度又は線幅が段階的又は連続的に変化する指標と、前記指標が設けられた前記円盤面又は前記筒部周面を挟んであるいは前記円盤面又は前記筒部周面に対向して、発光素子と受光素子を有していることを特徴とする請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項3】
前記歯特定部は、濃度又は形状が連続的又は断続的に変化する指標と、前記指標が設けられた前記円盤面又は前記筒部周面に対向して、前記指標を撮像するための撮像素子を有していることを特徴とする請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項4】
前記歯特定部の前記指標の読み取りデータと、前記スプロケットの前記各歯は一対一の関係で対応していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテープフィーダ。
【請求項5】
モータの回転をギヤ部を介してスプロケットに伝達させることにより前記スプロケットを回転させ、部品を保持するテープに所定間隔毎に設けられたテープ送り用の送り穴が前記スプロケットの歯に嵌合されることにより前記スプロケットの回転に伴って前記テープを移動させて前記部品を搬送するテープフィーダであって、前記スプロケットは一歯送られるとき前記モータが一回転以上回転するようにギヤ比が設定されているテープフィーダの制御方法であって、
前記歯毎に設定された番地に対応して次の番地に送るときの前記モータの回転量を第一のパルス数として記憶させ、前記歯毎に設定された番地から前記モータの一回転における予め定められた原点位置までの前記モータの回転量を第二のパルス数として記憶させ、
読み取り位置によりデータが変化する指標からデータを読み取ることにより前記スプロケットの所定位置の歯を特定するようにし、
前記モータを回転させ前記原点位置を特定後、前記第一のパルス数及び前記第二のパルス数に基づいて、前記モータの回転量を示すパルス数が前記原点位置から前記次の番地までのパルス数を計測したとき前記モータの回転を停止させるようにしたことを特徴とするテープフィーダの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が保持されたテープをスプロケットの回転によって移動させることにより部品を搬送するテープフィーダ及びこのテープフィーダの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術文献として、特開2007一73632号公報がある。この公報には、電子部品を収納したテープが巻回されたリ一ルが取り付けられ、リ一ルからテープを繰り出していくことによって部品の搬送を行うテープフィーダが記載されている。この公報に記載されたテープフィーダにはテープを送り出すテープ送り機構が設けられており、このテープ送り機構は、駆動源としての送りモータと、複数のギヤと、テープの送り穴が嵌合されるスプロケットとを備えている。スプロケットの側面には着磁部分が所定のパタ一ンで形成されており、テープフィーダ本体部の側板には上記着磁部分を検出する磁気センサが設けられており、上記スプロケットと磁気センサとでスプロケットの絶対位置を検出するアブソリュート型のエンコーダが構成されている。
【0003】
この公報に記載されたテープフィーダは、スプロケットの各歯の画像デ一タに基づいて各歯のテープ送り方向におけるずれとその補正量を演算し、この補正量に基づいてスプロケットの目標位置を補正する。このように、スプロケットの目標位置を補正してスプロケットの回転位置をフィ一ドバック制御することにより、スプロケットの歯を正規位置で停止させることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007一73632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようなテープフィーダにおいては、電子部品を精度よく搬送するために、スプロケットの歯を停止させる位置について高い精度が求められている。しかしながら、実際はギヤ及びスプロケットの歯の寸法誤差やバックラッシュによって、歯を停止させる位置の精度が低下しているという問題がある。
【0006】
そこで、前述したテープフィーダでは、スプロケットと磁気センサとで構成されるアブソリュートエンコーダの分解能を高めることによって歯の停止位置の精度を高めているが、このようにアブソリュートエンコーダの分解能を高めると、測定値のずれが発生し易く正確な制御がしづらいという問題を発生させる虞がある。また、分解能が高い光学式のアブソリュートエンコーダは、数多くのスリットが設けられているため大型化されているという問題がある。更に、分解能が高い磁気式のアブソリュートエンコーダは、磁気自体が不安定になり易いため、より制御を難しくしてしまう可能性があるという問題がある。さらに、分解能が高いアブソリュートエンコーダは価格が高いという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、高価なアブソリュートエンコーダを使用せずに、小型で安価な構成で正確な制御を行うことができるテープフィーダ及びこのテープフィーダの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のテープフィーダは、モータの回転をギヤ部を介してスプロケットに伝達させることにより前記スプロケットを回転させ、部品を保持するテープに所定間隔毎に設けられたテープ送り用の送り穴が前記スプロケットの歯に嵌合されることにより前記スプロケットの回転に伴って前記テープを移動させて前記部品を搬送するテープフィーダにおいて、前記モータの一回転における予め定められた特定の位置を原点位置として特定する原点特定部と、前記ギヤ部によって前記モータの回転で送られる前記スプロケットの前記歯毎に、前記歯を次位の前記歯に送るときの前記モータの回転量と、前記原点位置までの前記モータの回転量とを記憶する記憶部と、所定位置の前記スプロケットの前記歯を特定する歯特定部と、を備え、前記歯特定部は、前記スプロケットと同軸上にあるいは前記スプロケットと同じ角速度で回転する前記ギヤ部の歯車と同軸上に設けられた円盤の円盤面又は円筒の筒部周面に、前記円盤面又は前記筒部周面を光学的に読み取った時に読み取り位置によりデータが変化する指標が設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明においては、前記歯特定部は、濃度又は線幅が段階的又は連続的に変化する指標と、前記指標が設けられた前記円盤面又は前記筒部周面を挟んであるいは前記円盤面又は前記筒部周面に対向して、発光素子と受光素子を有していることが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記歯特定部は、濃度又は形状が連続的又は断続的に変化する指標と、前記指標が設けられた前記円盤面又は前記筒部周面に対向して、前記指標を撮像するための撮像素子を有していることが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記歯特定部の前記指標の読み取りデータと、前記スプロケットの前記各歯は一対一の関係で対応していることが好ましい。
【0012】
また、本発明のテープフィーダの制御方法は、モータの回転をギヤ部を介してスプロケットに伝達させることにより前記スプロケットを回転させ、部品を保持するテープに所定間隔毎に設けられたテープ送り用の送り穴が前記スプロケットの歯に嵌合されることにより前記スプロケットの回転に伴って前記テープを移動させて前記部品を搬送するテープフィーダの制御方法であって、前記歯毎に設定された番地に対応して次の番地に送るときの前記モータの回転量を第一のパルス数として記憶させ、前記歯毎に設定された番地から前記モータの一回転における予め定められた原点位置までの前記モータの回転量を第二のパルス数として記憶させ、読み取り位置によりデータが変化する指標からデータを読み取ることにより前記スプロケットの所定位置の歯を特定するようにし、前記モータを回転させ前記原点位置を特定後、前記第一のパルス数及び前記第二のパルス数に基づいて、前記モータの回転量を示すパルス数が前記原点位置から前記次の番地までのパルス数を計測したとき前記モータの回転を停止させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高価なアブソリュートエンコーダを使用せずに、小型で安価な構成で正確な制御を行うことができるテープフィーダ及びこのテープフィーダの制御方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るテープフィーダの一実施形態を示す側面図である。
図2図1に示すテープフィーダのモータ部分の拡大図である。
図3図1に示すテープフィーダのモータ部分の拡大断面図である。
図4】本発明に係るテープフィーダのスプロケット、ギヤ部及びモータの一例を示す側面図である。
図5図4に示すテープフィーダのスプロケット、ギヤ部及びモータの斜視図である。
図6】本発明に係るテープフィーダのスプロケット、ギヤ部及びモータの他例を示す側面図である。
図7図6に示すテープフィーダのスプロケット、ギヤ部及びモータの斜視図である。
図8】筒部周面に線幅が連続的に変化する指標を設けた例を示す斜視図である。
図9】記憶部のマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のテープフィーダは、モータの回転をギヤ部を介してスプロケットに伝達させることによりスプロケットを回転させ、部品を保持するテープに所定間隔毎に設けられたテープ送り用の送り穴がスプロケットの歯に嵌合されることによりスプロケットの回転に伴ってテープを移動させて部品を搬送するテープフィーダにおいて、モータの一回転における予め定められた特定の位置を原点位置として特定する原点特定部と、ギヤ部によってモータの回転で送られるスプロケットの歯毎に、歯を次位の歯に送るときのモータの回転量と、原点位置までのモータの回転量とを記憶する記憶部と、所定位置のスプロケットの歯を特定する歯特定部と、を備え、歯特定部は、スプロケットと同軸上にあるいはスプロケットと同じ角速度で回転するギヤ部の歯車と同軸上に設けられた円盤の円盤面又は円筒の筒部周面に、円盤面又は筒部周面を光学的に読み取った時に読み取り位置によりデータが変化する指標が設けられる。
【0016】
上記のテープフィーダは、ギヤ部によってモータの回転でスプロケットの歯が送られるようになっているので、モータの回転はギヤで減速されてスプロケットに伝達される。よって、モータを記憶部に記憶されているスプロケットの歯に応じた回転量で回転させ、この回転をギヤで減速させることにより、スプロケットの歯の停止位置を精度よく調整することが可能となるため、歯の停止位置の精度を高めることができる。また、記憶部は、スプロケットの歯毎に歯を次位の歯に送るときのモータの回転量と、スプロケットの歯毎に原点位置までのモータの回転量を記憶している。このように、記憶部は、スプロケットやギヤ列の寸法誤差やバックラッシュを加味したモータの回転量を予め歯毎に記憶している。
【0017】
更に、歯特定部が所定位置にある歯を特定すれば、その歯に応じて記憶部に記憶されている回転量でモータを回転させていくので、スプロケットの歯の位置を検出するアブソリュートエンコーダを用いずに、スプロケットの歯の停止位置の精度を高めることができる。また、予め記憶されている回転量だけモータを回転させるようにして歯の停止位置の精度を高めているので、アブソリュートエンコーダを必要とせず、装置が大型化する問題や制御が困難になる問題は発生せず、正確な制御をすることが可能となっている。
【0018】
また、本発明において好ましくは、歯特定部は、濃度が段階的に変化して透過光量が変化する指標と、指標が設けられた円盤面又は筒部周面を挟んで発光素子と受光素子を有しているようにする。
【0019】
このような構成にすることにより、読み取りデータが段階的に変化するため、読み取ったデータと歯との対応が容易となる。
【0020】
また、本発明において好ましくは、歯特定部は、線幅が連続的に変化して透過光量が変化する指標と、指標が設けられた円盤面又は筒部周面を挟んで発光素子と受光素子を有しているようにする。
【0021】
このような構成にすることにより、分解能を高めることができ正確な歯の特定が可能となる。
【0022】
また、本発明において好ましくは、歯特定部は、濃度が段階的に変化して光の反射量が変化する指標と、指標が設けられた円盤面又は筒部周面に対向して発光素子と受光素子を有しているようにする。
【0023】
このような構成にすることにより、読み取りデータが段階的に変化するため、読み取ったデータと歯との対応が容易となるとともに、発光素子と受光素子を一方に設けることにより装置の小型化を図れる。
【0024】
また、本発明において好ましくは、歯特定部は、線幅が連続的に変化して光の反射量が変化する指標と、指標が設けられた円盤面又は筒部周面に対向して発光素子と受光素子を有しているようにする。
【0025】
このような構成にすることにより、分解能を高めることができ正確な歯の特定が可能となるとともに、発光素子と受光素子を一方に設けることにより装置の小型化を図れる。
【0026】
また、本発明において好ましくは、歯特定部は、形状が連続的に変化する指標と、指標が設けられた円盤面又は筒部周面に対向して指標の形状を撮像するための撮像素子を有しているようにする。
【0027】
このような構成にすることにより、撮像素子を設けるだけでよいので構成を簡略化できる。
【0028】
また、本発明において好ましくは、歯特定部は、形状が断続的に変化する指標と、指標が設けられた円盤面又は筒部周面に対向して指標の形状を撮像するための撮像素子を有しているようにする。
【0029】
このような構成にすることにより、撮像素子を設けるだけでよいので構成を簡略化できるとともに、各種形状が指標として使用可能となる。
【0030】
また、本発明において好ましくは、歯特定部の指標の読み取りデータと、スプロケットの各歯は一対一の関係で対応しているようにする。
【0031】
このような構成にすることにより、読み取りデータによる各歯の特定が容易となる。
【0032】
また、本発明のテープフィーダの制御方法は、モータの回転をギヤ部を介してスプロケットに伝達させることによりスプロケットを回転させ、部品を保持するテープに所定間隔毎に設けられたテープ送り用の送り穴が前記スプロケットの歯に嵌合されることによりスプロケットの回転に伴ってテープを移動させて部品を搬送するテープフィーダの制御方法であって、歯毎に設定された番地に対応して次の番地に送るときのモータの回転量を第一のパルス数として記憶させ、歯毎に設定された番地からモータの一回転における予め定められた原点位置までのモータの回転量を第二のパルス数として記憶させ、読み取り位置によりデータが変化する指標からデータを読み取ることによりスプロケットの所定位置の歯を特定するようにし、モータを回転させ原点位置を特定後、第一のパルス数及び第二のパルス数に基づいて、モータの回転量を示すパルス数が原点位置から次の番地までのパルス数を計測したときモータの回転を停止させる。
【0033】
より具体的には、例えば上記記載の本発明のテープフィーダを用い、記憶部に、歯毎に設定された番地に対応して次の番地に送るときのモータの回転量を第一のパルス数として記憶させ、歯毎に設定された番地から原点位置までのモータの回転量を第二のパルス数として記憶させ、また、歯特定部の指標を読み取ったデータによりスプロケットの所定位置の歯を特定するようにし、モータを回転させ原点特定部が原点位置を特定後に、記憶部に記憶されている歯特定部が特定した番地の次の番地に対応する第一のパルス数及び歯特定部が特定した番地から原点位置までに対応する第二のパルス数に基づいて、モータの回転量を示すパルス数が原点位置から次の番地までのパルス数を計測したときモータの回転を停止させる。
【0034】
記憶部には、スプロケットの歯毎に歯を次位の歯に送るときのモータの回転量を第一のパルス数として記憶させ、またスプロケットの歯毎に原点位置までのモータの回転量を第二のパルス数として記憶させる。そして、歯特定部が所定位置の歯の番地を特定した後、モータを回転させて原点位置の特定を行い、ついで歯特定部が特定した番地の次の番地に対応する第一のパルス数と原点位置までの第二のパルス数とを参照して、原点位置から所定のパルス数だけモータを回転させる。このように、モータの原点位置から次の番地に対応するパルス数だけモータを回転させることにより、歯の停止位置の精度向上が可能となっている。
【実施例】
【0035】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るテープフィーダ及び制御方法の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0036】
歯特定部に、360度にわたり濃度が段階的に変化して透過光量が変化する指標が設けられた円盤面を挟んで発光素子と受光素子が設けられている例を図1図5及び図9に基づいて説明する。
図1に示すようにテープフィーダ1は、基板に、レジスタ、コンデンサ、IC、トランジスタ、等の小片状の電子部品を実装する表面実装機に対して着脱可能に装着されて利用される。テープフィーダ1には、上記の電子部品を保持したテープ3が巻き付けられたリ一ル2が装着されている。このリ一ル2からは、テープ繰り出し機構10によってテープ3が間欠的に1ピッチずつ繰り出される。そして、テープ3の電子部品は、テープ繰り出し機構10の上部の部品取出部4に繰り出され、表面実装機のヘッドユニット(不図示)によって吸着され、そして、吸着された電子部品は表面実装機のヘッドによって基板に実装される。
【0037】
テープ3には、テープ3の延在方向において所定間隔毎に設けられたテープ送り用の送り穴(不図示)が設けられており、テープ3の送り穴にスプロケット30の歯31(図4参照)が嵌合される。テープ3の送り穴にスプロケット30の歯31が嵌合された状態でスプロケット30が1ピッチずつ送られることにより、テープ3が移動して電子部品が搬送される。
【0038】
テープフィーダ1のテープ繰り出し機構10は、テープ繰り出し機構10を制御するCPU、ROM若しくはRAM又は両方を有する制御基板11と、制御基板11からの制御信号を受けて動作するモータ20と、テープ3を1ピッチずつ送るスプロケット30と、モータ20の回転駆動力をスプロケット30に伝達させるギヤ列(ギヤ部)40(図4図5参照)とを備えている。そして、制御基板11からの制御信号は、フレキシブルプリント回路基板14を通ってモータ20に出力される。
【0039】
図2及び図3に示すように、モータ20は、モータ軸25に固定されたロータマグネット24を有するロータ27と、ロータマグネット24の外周面に対向するコイル26bを有するステ一タ26とを備えている。ステ一タ26は、コイル26bと、コイル26bが巻回されたコア26aとを備えている。ロータ27は、ステ一タ26のコイル26bに供給される制御基板11からのパルスで、一定の角度だけ回転する。ロータ27と共に回転するモータ軸25は、円筒状のベアリング29の軸穴に挿入されている。モータ20のロータ27は、例えば500パルスで一回転する。なお、以下の本実施例ではモータ20のロータ27は、500パルスで一回転するものとして説明する。また、モータ20は、ロータ27の回転位置を検出するエンコーダ機能を有する光学エンコーダ21と、モータ20のロータ27の回転方向及び回転速度を検出するホ一ル素子群22と、モータ20のロータ27の原点位置を特定する原点特定用ホ一ル素子(原点特定部)23とを備えている。
【0040】
図3に示すように、光学エンコーダ21は、エンコーダスリット板21aと、投/受光型光学素子21bと、を備えたインクリメンタル型の光学式エンコーダである。エンコーダスリット板21aは、モータ20のモータ軸25に固定されている円盤状の部材であり、周方向にスリットパタ一ンが形成されている。光学エンコーダ21の投/受光型光学素子21bは、エンコーダスリット板21aに対面する位置に配置されている。
【0041】
投/受光型光学素子21bは、エンコーダスリット板21aに向かって光を照射し、エンコーダスリット板21aのスリットで透光された光を受光せず、反射された光のみを受光する。投/受光型光学素子21bは、エンコーダスリット板21aによって透光された光を受光せず反射された光のみを受光することで反射光のオン/オフを検出し、このオン/オフに伴う検出信号をフレキシブルプリント回路基板14を介して制御基板11に出力する。制御基板11では、光学エンコーダ21からの検出信号によってモータ20のロータ27の回転位置が分かるようになっている。
【0042】
図2に示すように、ロータマグネット24は、N極とS極とが周方向に交互に形成されたマグネットである。ロータマグネット24には、ホ一ル素子群22と原点特定用ホ一ル素子23が対面している。ホ一ル素子群22は、周方向に並設された3個のホ一ル素子22a,22b,22cを備えている。各ホ一ル素子22a,22b,22cは、モータ20のロータ27の回転による磁界の変化に応じた信号を制御基板11に出力する。制御基板11では、各ホ一ル素子22a,22b,22cからの信号によってロータ27の回転速度や回転方向を検出できるようになっており、検出した回転速度や回転方向に基づいて制御基板11がモータ20の駆動制御を行う。
【0043】
制御基板11は、原点特定用ホ一ル素子23からの信号の波形からロータ27が360度回転する間の特定の回転位置を原点位置として定め、後で説明するようにこの原点位置を基準としてロータ27を回転させることとなる。
【0044】
また、モータ20が駆動されると、それに伴いギヤ列40を構成する各ギヤが回転する。図4に示すように、ギヤ列40は、モータ20のモータ軸25と同軸でモータ軸25と共に回転する第1平歯ギヤ41と、第1平歯ギヤ41に噛合する第2平歯ギヤ42と、第2平歯ギヤ42と同軸で第2平歯ギヤ42と共に回転する第3平歯ギヤ43と、第3平歯ギヤ43に噛合する第4平歯ギヤ44と、第4平歯ギヤ44と同軸で第4平歯ギヤ44と共に回転する第5平歯ギヤ45と、第5平歯ギヤ45と噛合する第6平歯ギヤ46とを備えている。
【0045】
スプロケット30は、第6平歯ギヤ46と同軸で第6平歯ギヤ46と共に回転する。また、前述したように、モータ20のロータ27は500パルスで一回転する。なお、スプロケット30は歯31が一歯送られるときモータ20のロータ27が一回転かまたはそれ以上回転するようにギヤ列40のギヤ比が設定されている。なお、本実施例ではモータ20のロータ27が一回転すると、スプロケット30の歯31が一歯送られるように構成されている。スプロケット30は、例えば30個の歯31を有しており、それぞれの歯31には、制御基板11が各歯31を識別するための番地が設定されている(図9参照)。また、歯特定部は、スプロケット30のテープ3の送り穴に嵌合する所定位置Aの歯31を特定するための歯特定手段50を備えている。
【0046】
歯特定部の歯特定手段50は、図4図5に示すように、スプロケット30と同軸で回転する円盤の円盤面51に指標として360度にわたり濃度が段階的に変化して透過光量が変化する段階的変化指標52が設けられ、この円盤面51を挟んで設けられた発光素子53と受光素子54を備えている。また、受光素子54で検出された透過光量のデータに基づき所定位置にある歯31を特定できるように、各々の歯と透過光量が関連付けられている。発光素子53と受光素子54は公知のものが使用でき、また透過型フォトセンサーを用いてもよい。なお、透過光量を段階的に変化させるために、指標の濃度を段階的に変化させることに代え、円盤面51の厚さを段階的に変化させ、透過光量が変化するようにしてもよい。
【0047】
そして受光素子54で透過光量を検出することにより、制御基板11では、所定位置Aにどの歯31があるかを特定できるようになっている。なお、段階的変化指標52は、濃度が段階的に変化することにより受光素子54で検出される透過光量が段階的に変化すればよい。また、その変化の段数はスプロケット30の歯数以上であれば任意に選択可能であるが、変化の段数とスプロケット30の歯数を同じにして一対一の関係で対応させてもよい。一対一の関係で対応させておけば、スプロケット30の歯の特定が容易となる。また、スプロケット30が歯31と次位の歯31の間の中間地点に近いような位置にある場合でも、必ずどちらかの歯31を所定位置Aにあるものとして特定する。後で説明するように、この所定位置Aにある歯31の特定は、その特定した歯31から次位の歯31へ回転させるために必要となるモータ20のパルス数を知るために利用するだけであり、歯31の正確な停止位置の識別までは必要としないからである。
【0048】
また、図1に示すように、制御基板11には、モータ20の動作を制御するためのプログラムが記憶されており、記憶されているプログラムとして、スプロケット30の歯31のある番地から次の番地へ回転させるためのモータ20の回転量を示す第一のパルス数と、スプロケット30の歯31のある番地とその番地に対応する原点位置までのモータ20の回転量を示す第二のパルス数とを示すマップM(図9参照)を記憶する記憶部12と、モータ20のロータ27の回転制御を行うモータ回転制御部13と、が設けられている。
【0049】
図9に示すように、記憶部12は、スプロケット30の歯31の番地毎に、所定位置Aの歯31を次位の歯31に送るときのモータ20のロータ27の回転量を記憶している。ところで、前述したように、モータ20のロータ27は500パルスの信号を受けて一回転する構成であるため、本来であれば所定位置Aの歯31を次位の歯31に送るときのモータ20のロータ27の回転量は500パルスで全て等しいはずである。しかし、スプロケット30及びギヤ列40の寸法誤差やバックラッシュの影響により、単純にモータ20のロータ27の一回転で歯31を一歯ずつ送ろうとすると、部品取出部4(図1参照)に対する歯31の停止位置が微妙にずれてしまう問題が発生し、歯31の停止位置の精度が低下するという問題が発生する。特に、近年では電子部品の小型化が進んでいるため、歯31の停止位置の精度が低いと、テープ3が保持する電子部品を上手く吸着できないという問題を生じさせてしまう。
【0050】
そこで、本発明では歯31の停止位置の精度を高めるため、歯31毎に歯31の停止位置を微妙に変えており、記憶部12に、予め歯31毎にモータ20のロータ27の回転量の情報を第一のパルス数として記憶させる。そして、モータ回転制御部13により、歯特定手段50によって特定された歯31の番地に対応するマップMのパルス数の信号をモータ20に出力して、所定パルス数ロータ27を回転させるようにする。
【0051】
また、歯31とその歯31に対応する原点位置も同様に必ずしも一定とはならないため、記憶部12に、予め歯31毎に原点位置までのモータ20のロータ27の回転量の情報を第二のパルス数として記憶させる。その結果、後述するように、アブソリュートエンコーダを使用することなくスプロケット30の各歯31を正確な位置で停止させることができるようになる。
【0052】
また、図4に示すように、ギヤ列40は、スプロケット30と同軸の第6平歯ギヤ46と、第6平歯ギヤ46と噛み合う第5平歯ギヤ45とを備えており、歯特定手段50は、スプロケッ30の軸上に設けられている。このように、本実施例のテープフィーダ1では、スプロケット30の軸に歯特定手段50を設けているので、ギヤに歯特定手段50を設ける場合と比べて構成を簡易にすることができる。
【0053】
次に、テープフィーダ1の電源オン時の初期設定の動作について説明する。
まず、テープフィーダ1に電源が投入されると、その直後に歯特定部の歯特定手段50が所定位置Aの歯31の番地を特定する。スプロケット30が歯31と次位の歯31の間の中間地点に近いような位置にある場合であっても、必ずどちらかの歯31を所定位置Aにあるものとして特定する。その後、モータ回転制御部13は、モータ20を駆動させて、スプロケット30の歯31を送る。このとき、原点特定用ホ一ル素子23は、検出した磁界に応じた信号を制御基板11に出力し、制御基板11がモータ20の原点位置の特定を行う。なお、モータ20の原点位置を検出する前に、歯特定手段50が次位の歯31が所定位置Aに到達したことを認識したときは、その認識した次位の歯31の番地を基準として続けて原点位置の特定を行う。
【0054】
その後、モータ回転制御部13は、歯特定手段50が特定した歯31の次の番地に対応するマップMの第一のパルス数と歯特定手段50が特定した歯31から原点位置までの対応するマップMの第二のパルス数を参照して、原点位置からの所定のパルス数だけモータ20のロータ27を回転させて停止させる。すなわち、歯特定手段50が特定した歯31から原点位置までの第二のパルス数を歯特定手段50が特定した歯31の次の番地に対応するマップMの第一のパルス数から減らしたパルス数だけ原点位置からモータ20のロータ27を回転させる。こうして、初期設定としてマップMによって歯31の停止位置を調整した後に、表面実装機のヘッドユニットによってテープ3からの電子部品の吸着が行われる。そして、制御基板11は、モータ20のロータ27を回転させるモータ回転信号を表面実装機から受信すると、再度、歯31の番地の特定、原点位置の特定、及び原点位置からのロータ27の回転を繰り返す。
【0055】
以下、この初期設定の調整方法をさらに詳述する。例えば、図9に示すように、電源投入直後に歯特定手段50が特定した歯31の番地が2番地であるとすると、モータ回転制御部13はモータ20のロータ27を回転させて歯31を1ピッチ送るようにする。そして、原点特定用ホ一ル素子23によって原点位置の特定を行う。原点位置の特定が行われた後に、モータ回転制御部13は、3番地に対応する503パルスを参照して原点位置からモータ20のロータ27を回転させる。ただし、歯31を2番地から3番地に回転させるに際し2番地から原点位置まで回転させるのに要するモータのパルス数の100パルスを503パルスから減らす。その結果、原点位置から403パルスだけモータ20のロータ27を回転させる。そうすると、3番地の歯31が正確に所定位置で停止することとなる。
【0056】
なお、歯31を2番地から3番地へ1ピッチ送る間に原点位置の特定が行われなかった場合は、モータ20のロータ27を引き続き回転させて3番地の歯31を基準として歯31を1ピッチ送るようにする。この場合は、モータ回転制御部13は、4番地に対応する510パルスを参照して原点位置からモータ20のロータ27を回転させる。ただし、歯31を3番地から4番地に回転させるに際し3番地から原点位置まで回転させるのに要するモータのパルス数の103パルスを510パルスから減らす。その結果、原点位置から407パルスだけモータ20のロータ27を回転させる。そうすると、4番地の歯31が正確に所定位置で停止することとなる。
【0057】
以上のように動作するテープフィーダ1では、ギヤ列40によってモータ20のロータ27の回転でスプロケット30の歯31が送られ、モータ20のロータ27の回転はギヤ列40で減速されてスプロケット30に伝達される。よって、モータ20のロータ27をマップMに記憶されているスプロケット30の歯31に応じた回転量で回転させ、この回転をギヤ列40で減速させることにより、スプロケット30の歯31の停止位置を細かく調整することが可能となる。よって、歯31の停止位置の精度を高めることができる。また、記憶部12のマップMは、スプロケット30の歯31の番地毎に、歯31を次位の歯31に送るときのモータ20のロータ27の回転量と原点位置までのモータ20のロータ27の回転量を予め記憶している。このように、記憶部12は、スプロケット30やギヤ列40の寸法誤差やバックラッシュを加味したモータ20のロータ27の回転量を予め歯31毎に記憶している。
【0058】
よって、歯特定手段50が所定位置Aの歯31の番地を特定し、モータ20のロータ27を回転させて原点位置の特定を行った後に、モータ回転制御部13は、歯特定手段50が特定した番地の次の番地に対応する第一のパルス数と原点位置までの第二のパルス数を参照して原点位置からモータ20のロータ27を回転させる。このように、モータ20のロータ27の原点位置から次の番地に対応するパルス数だけモータ20のロータ27を回転させることにより、歯31の停止位置の精度向上を可能としている。したがって、歯特定手段50は所定位置Aの歯31の番地を特定できれば、原点位置から次の番地に対応するパルス数だけモータ20のロータ27を回転させることにより、歯31は正確な位置に停止することとなり、歯特定手段50の分解能を高めなくても、歯31の停止位置の精度を高めることができる。
【0059】
なお、初期設定完了後も、歯特定部の歯特定手段50が所定位置Aに到達した次位の歯31の番地を特定し、モータ20のロータ27を回転させて原点位置の特定を行った後に、モータ回転制御部13は、歯特定手段50が特定した番地の次の番地に対応する第一のパルス数と原点位置までの第二のパルス数を参照して原点位置からモータ20のロータ27を回転させる。次位の歯31へ送るたびに歯31の特定と原点位置の検出を行い、所定のパルス数だけモータ20のロータ27を回転させるようにしたので、歯31を非常に正確に所定位置で停止できることとなる。
【0060】
すなわち、テープフィーダ1は、予めマップMに記憶されている回転量でモータ20のロータ27を回転させて歯31の停止位置の精度を高めているので、歯特定手段50の分解能を高める必要が無く、光学式のアブソリュートエンコーダを用いた場合における装置の大型化の問題や、磁気式のアブソリュートエンコーダを用いた場合における制御が困難となる問題は発生しない。従って、テープフィーダ1では、装置の大型化を回避すると共に、正確な制御をし易くすることが可能となっている。
【0061】
また、電源のオン直後の停止状態で所定位置Aの歯31の特定ができ、また初期設定時にテープフィーダ1の通常の動作と切り離して歯31の停止位置の調整を行えるので、歯31の停止位置調整のための動作がテープフィーダ1の通常の動作に影響を与えないようにすることができる。
【0062】
なお、上記実施例では円盤面51に濃度が段階的に変化して透過光量が変化する段階的変化指標52を設け、円盤面51を挟んで発光素子53と受光素子54を設けた例を示したが、円盤面に濃度が段階的に変化して光の反射量が変化する指標を設け、その指標が設けられた円盤面に対向させて発光素子と受光素子を設けてもよい。また、この場合は反射型フォトセンサーを用いることもできる。発光素子と受光素子を同じ側に設けることができるので、装置の小型化が可能となる。
【実施例2】
【0063】
歯特定部に、360度にわたり線幅が連続的に変化して透過光量が変化する指標が設けられた円盤面を挟んで発光素子と受光素子が設けられている例を図6図7に基づいて説明する。なお、以下実施例1と異なる構成についてのみ説明する。
【0064】
歯特定部の歯特定手段150は、図6図7に示すように、スプロケット30と同軸で回転する円盤の円盤面151に指標として360度にわたり線幅が連続的に変化して透過光量が変化する連続的変化指標152が設けられ、この円盤面151を挟んで設けられた発光素子153と受光素子154を備えている。また、受光素子154で検出された透過光量に基づき所定位置にある歯を特定できるように、各々の歯と透過光量のデータが関連付けられている。発光素子153と受光素子154は公知のものが使用でき、また透過型フォトセンサーを用いてもよい。なお、連続的変化指標152の線幅の変化量は任意に選択可能である。
【0065】
なお、上記実施例では円盤面151に線幅が連続的に変化して透過光量が変化する連続的変化指標152を設け、円盤面151を挟んで発光素子153と受光素子154を設けた例を示したが、円盤面に線幅が連続的に変化して光の反射量が変化する指標を設け、その指標が設けられた円盤面に対向させて発光素子と受光素子を設けてもよい。また、この場合は反射型フォトセンサーを用いることもできる。発光素子と受光素子を同じ側に設けることができるので、装置の小型化が可能となる。
【実施例3】
【0066】
次に、指標を撮像素子で読み取る例について説明する(図面については省略する。)。 なお、実施例1と実施例2と異なる構成についてのみ説明する。
円盤面には、撮像素子で読み取り可能な指標が設けられ、またこの指標を読み取るための撮像素子が設けられている。指標は360度にわたり形状が連続的に変化したり、あるいは360度にわたり形状が断続的に変化するものであってもどちらでもよい。指標を撮像素子で読み取った結果、スプロケット30の所定位置Aの歯31を特定できれば、どのような形状であってもよい。
【実施例4】
【0067】
上記実施例2の歯特定手段で、円盤に代えて円筒を使用した例を図8に基づいて説明する。なお、実施例1及び実施例2と異なる構成についてのみ説明する。
図8に示すように、指標は円盤に代えて円筒55に設けられている。そして、円筒55の筒部周面56に360度にわたり線幅が連続的に変化して透過光量が変化する連続的変化指標57が設けられている。そして、この筒部周面56を挟んで設けられた発光素子と受光素子(不図示)を備えている。なお、連続的変化指標57を設ける筒部周面56は図示した外周面のほか、内周面であってもよい。また、円筒55の大きさも任意に選択可能である。
【0068】
なお、線幅が連続的に変化して透過光量が変化する連続的変化指標57に代え、実施例1と同様に360度にわたり濃度が段階的に変化して透過光量が変化する段階的変化指標52でもよい。また、指標を反射型のものとして発光素子と受光素子を同じ側に設けることも可能である。筒部の内周面に反射型の指標を設けると発光素子と受光素子も円筒55の中に収納されることとなり、円筒55の外に余計なものが配置されず装置の小型化が図れる。また、実施例3と同様に撮像素子で読み取り可能な指標を設けてもよい。
【実施例5】
【0069】
歯特定手段が、スプロケットと同軸上でなく、ギヤ部の他の歯車と同軸上に設けられている例について説明する(図面については省略する。)。なお、実施例1及び実施例2と異なる構成についてのみ説明する。
この場合、歯特定手段が設けられている歯車はスプロケットと同じ角速度で回転する必要がある。なお、回転方向についてはスプロケットと歯特定手段が設けられた歯車は逆回転であってもよい。このようにすると、スプロケット30から歯特定手段50を離すことができ、スプロケット30周辺の構造の厚みを抑えると共にスプロケット30周辺の構造を簡易にすることができる。
【0070】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、下記のような種々の変形が可能である。
【0071】
初期設定として所定位置Aの歯31の停止位置を調整した後に、テープ3から電子部品の吸着が行われ、その後に制御基板11がモータ回転信号を表面実装機から受信したが、制御基板11によるモータ回転信号の受信タイミングは、電源投入直後に歯特定手段50が歯31を特定した後であればいつでもよい。
【0072】
上記では、歯特定部の歯特定手段50による歯31の番地の特定と、モータ20のロータ27の回転及び原点位置の特定と、原点位置から所定パルス数だけのモータ20のロータ27の回転と、が繰り返される処理について説明した。しかしながら、番地の特定と原点位置の特定は、電源オン直後の初回実行時にのみ行って、2回目以降は行わないようにしてもよい。このように、2回目以降は番地の特定及び原点位置の特定を行わないようにしても、番地は1ずつ増えていくので、マップMのパルス数に基づいてモータ回転制御部13がモータ20のロータ27を順次回転させていけば、歯31を正確な停止位置に停止させることが可能である。
【0073】
図2に示されるように、モータ20は、エンコーダ機能を有する光学エンコーダ21と、原点を特定する原点特定用ホ一ル素子23とを備えていたが、光学エンコーダ21に原点特定機能を持たせることも可能であり、この場合、原点特定用ホ一ル素子23を省略できる。また、ホ一ル素子群22がモータ20のロータ27の回転位置を検出するエンコーダ機能を有していてもよく、この場合、光学エンコーダ21を省略できる。なお、エンコーダ機能は、磁気式エンコーダで実現させてもよいし、光学式エンコーダで実現させてもよい。
【0074】
また、上記実施例では、モータ20のロータ27が500パルスで一回転したが、モータ20のロータ27が一回転するのに必要なパルス数は上記に限定されない。スプロケット30の歯31の数は30であったが、スプロケット30の歯31の数も上記に限定されない。更に、上記実施例では、ロータ27の一回転で歯31が一歯ずつ送られたが、例えばロータの二回転で歯を一歯ずつ送る等、歯を一歯ずつ送るときのロータの回転量は上記に限定されない。また、上記実施例では、歯31を一歯ずつ送ったが、例えばロータの一回転で0.5歯ずつ送る等、歯を送る単位についても上記に限定されない。
【0075】
歯特定手段50がテープ3の送り穴に嵌合する所定位置Aにある歯31を特定したが、他の位置の歯31を特定してもよい。
【0076】
ギヤ列にはギヤが6枚設けられていたが、設定するギヤ比に応じてギヤの枚数は適宜変更できる。
【0077】
記憶部12とモータ回転制御部13は同一の制御基板11に設けられていたが、別々の制御基板に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 テープフィーダ
3 テープ
11 制御基板
12 記憶部
13 モータ回転制御部
20 パルスモータ(モータ)
23 原点特定用ホ一ル素子(原点特定部)
30 スプロケット
31 歯
40 ギヤ列(ギヤ部)
46 第6平歯ギヤ
50 歯特定手段
51 円盤面
52 段階的変化指標
53 発光素子
54 受光素子
55 円筒
56 筒部周面
57 連続的変化指標
150 歯特定手段
151 連続的変化指標
152 円盤面
153 発光素子
154 受光素子
A 所定位置
M マップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9