(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動壁体は、前記スリーブの外表面に形成された雄ネジ部に螺合して前記スリーブの軸方向に進退する雌ネジ部を備えることを特徴とする請求項2に記載の分岐部構造。
前記移動壁体は、それぞれ別体の前記雌ネジ部を備える螺合部材と、前記ゴム輪に直接又は間接的に当接する当接部材とで構成したことを特徴とする請求項3に記載の分岐部構造。
前記ゴム輪の下端部は、前記スリーブのカシメ止め前の状態において、前記更生管の内壁に沿った略鞍型の端面形状を有することを特徴とする請求項2〜4いずれか1項に記載の分岐部構造。
前記スリーブの一端側端部は、前記カシメ止め前の状態において、前記更生管の内壁に沿った略鞍型の端面形状を有することを特徴とする請求項2〜5いずれか1項に記載の分岐部構造。
【背景技術】
【0002】
従来、水や燃油などの液状流体を移送するための手段として、複数の配管を連設して構成した配管設備が広く用いられている。
【0003】
このような配管設備の例としては、例えば、地中に水道管を埋設して構成される水道設備が挙げられる。
【0004】
水道設備に使用される水道管は、最初の施工時に地中に埋設された後、長年に亘りそのままの状態で水を流通させ続けるため、管の内周面が徐々に経年劣化する。
【0005】
老朽化した配管設備の配管は漏水などのおそれが高くなるため何らかの手当が必要となるが、配管自体を新規のものに取り替えるとなると多額の費用を要してしまう。また、新規配管への取り替え工事は工期が長く、水道のように生活の基盤となる設備が長期に亘り機能を停止することは好ましくない。
【0006】
そこで、配管自体はそのままに、硬化性を有する樹脂等を塗着させた可撓性の管(以下、更生管ともいう。)を配管の内周面に貼着して硬化させ、老朽化した配管の内周面を補強する修繕が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
このような修繕方法によれば、比較的少ない工費と工期で配管の機能維持を図ることができる。
【0008】
ところで、水道管に拘わらず、配管設備に使用される配管には、主管を流れる液状流体の一部を分取するために枝管が形成されている場合がある。
【0009】
このような配管の分岐部には、内部流路をT字状としつつ一体的に形成した所謂T字管の如き分岐管が用いられている。
【0010】
分岐管の内部も長年の使用で経年劣化するのであるが、上述の修繕方法で主管の内周面を補強すると、更生管によって主管から枝管への接続開口部分が閉塞されてしまうこととなる。
【0011】
勿論、枝管の流路側からドリル等を挿入して更生管の表面を穿孔すれば、主管(更生管)内を流れる液状流体を枝管側に導くことは可能となるが、更生管は必ずしも主管の管壁全周に亘って密着しているとは限らないため、主管と更生管との間への水漏れを防ぐ必要がある。
【0012】
しかしながら、従来、この部分の水漏れを防止しつつ更生管の分岐を行うのは困難であった。
【0013】
そこで本発明者らは鋭意研究を行い、比較的容易に分岐可能でありながら、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管の分岐方法及び分岐部構造を開発し、過去に特許出願を行っている(特許文献2参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、本発明者らが過去に出願した更生管の分岐方法及び分岐部構造は、施工の際に更生管に対し負担をかけてしまう場合もあった。
【0016】
すなわち、過去の出願に係る方法及び構造では、更生管の穿孔部に装着した水密性を確保するためのゴム輪を変形させるに際し、ゴム輪を更生管の外表面に押し付ける必要があるため、可撓性を有する更生管を変形させてしまうおそれがあった。
【0017】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、比較的容易に分岐可能でありながら、ゴム輪を圧縮変形させるに際し、更生管に可及的負担をかけることのない更生管の分岐方法及び分岐部構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る更生管の分岐方法では、
主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法であって、前記枝管よりドリル刃を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、
円筒状のスリーブと、同スリーブの一端側外周に装着された円筒状のゴム輪と、前記ゴム輪の装着位置よりも前記スリーブの他端寄りに設けられ同スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体と、を備える分岐ユニットが前記更生管の穿孔部に装着された状態とし、前記ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させると共に、前記スリーブの一端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させる分岐ユニット装着工程と、前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記スリーブの一端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記スリーブをカシメ止めし固定壁体を形成する拡径工程と、前記移動壁体を前記固定壁体に接近させ、同壁体間で前記ゴム輪を圧縮することにより、同ゴム輪の周壁を前記穿孔部周縁に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、を有することとした。
【0019】
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造であって、前記更生管に穿設された穿孔部と、円筒状のスリーブと、同スリーブの一端側外周に装着された円筒状のゴム輪と、前記ゴム輪の装着位置よりも前記スリーブの他端寄りに設けられ同スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体とを有し、前記ゴム輪の下端と前記スリーブの一端とが前記更生管内部に露出した状態で前記穿孔部に装着された分岐ユニットと、を備え、前記スリーブの一端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記スリーブをカシメ止めしてなる固定壁体が形成され、前記ゴム輪は前記移動壁体と前記固定壁体との間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部が形成されていることとした。
【0020】
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、前記移動壁体は、前記スリーブの外表面に形成された雄ネジ部に螺合して前記スリーブの軸方向に進退する雌ネジ部を備えることにも特徴を有する。
【0021】
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、前記移動壁体は、それぞれ別体の前記雌ネジ部を備える螺合部材と、前記ゴム輪に直接又は間接的に当接する当接部材とで構成したことにも特徴を有する。
【0022】
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、前記ゴム輪の下端部は、前記スリーブのカシメ止め前の状態において、前記更生管の内壁に沿った略鞍型の端面形状を有することにも特徴を有する。
【0023】
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、前記スリーブの一端側端部は、前記カシメ止め前の状態において、前記更生管の内壁に沿った略鞍型の端面形状を有することにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に係る更生管の分岐方法によれば、
主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法であって、前記枝管よりドリル刃を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、
円筒状のスリーブと、同スリーブの一端側外周に装着された円筒状のゴム輪と、前記ゴム輪の装着位置よりも前記スリーブの他端寄りに設けられ同スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体と、を備える分岐ユニットが前記更生管の穿孔部に装着された状態とし、前記ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させると共に、前記スリーブの一端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させる分岐ユニット装着工程と、前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記スリーブの一端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記スリーブをカシメ止めし固定壁体を形成する拡径工程と、前記移動壁体を前記固定壁体に接近させ、同壁体間で前記ゴム輪を圧縮することにより、同ゴム輪の周壁を前記穿孔部周縁に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、を有することとしたため、比較的容易に分岐可能でありながら、ゴム輪を圧縮変形させるに際し、更生管に可及的負担をかけることのない更生管の分岐方法を提供することができる。
【0025】
また、請求項2に係る更生管の分岐部構造によれば、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造であって、前記更生管に穿設された穿孔部と、円筒状のスリーブと、同スリーブの一端側外周に装着された円筒状のゴム輪と、前記ゴム輪の装着位置よりも前記スリーブの他端寄りに設けられ同スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体とを有し、前記ゴム輪の下端と前記スリーブの一端とが前記更生管内部に露出した状態で前記穿孔部に装着された分岐ユニットと、を備え、前記スリーブの一端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記スリーブをカシメ止めしてなる固定壁体が形成され、前記ゴム輪は前記移動壁体と前記固定壁体との間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部が形成されていることとしたため、比較的容易に分岐可能でありながら、ゴム輪を圧縮変形させるに際し、更生管に可及的負担をかけることのない更生管の分岐部構造を提供することができる。
【0026】
また、請求項3に係る更生管の分岐部構造によれば、前記移動壁体は、前記スリーブの外表面に形成された雄ネジ部に螺合して前記スリーブの軸方向に進退する雌ネジ部を備えることとしたため、移動壁体を比較的安価に実現することができる。
【0027】
また、請求項4に係る更生管の分岐部構造によれば、前記移動壁体は、それぞれ別体の前記雌ネジ部を備える螺合部材と、前記ゴム輪に直接又は間接的に当接する当接部材とで構成したため、螺合部材を進退させるべくスリーブの軸周り方向に回動させた際に、この回動力がゴム輪に伝わることを抑制することができる。また、螺合部材と当接部材とをそれぞれ異なる素材にて形成することができる。
【0028】
また、請求項5に係る更生管の分岐部構造によれば、前記ゴム輪の下端部は、前記スリーブのカシメ止め前の状態において、前記更生管の内壁に沿った略鞍型の端面形状を有することとしたため、更生管内肉盛部における水密性を堅実なものとすることができる。
【0029】
また、請求項6に係る更生管の分岐部構造によれば、前記スリーブの一端側端部は、前記カシメ止め前の状態において、前記更生管の内壁に沿った略鞍型の端面形状を有することとしたため、更生管内肉盛部における水密性をより堅実なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法を提供するものである。
【0032】
特に、本実施形態に係る更生管の分岐方法では、前記枝管よりドリル刃を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、円筒状のスリーブと、同スリーブの一端側外周に装着された円筒状のゴム輪と、前記ゴム輪の装着位置よりも前記スリーブの他端寄りに設けられ同スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体とを備える分岐ユニットが前記更生管の穿孔部に装着された状態とし、前記ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させると共に、前記スリーブの一端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させる分岐ユニット装着工程と、前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記スリーブの一端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記スリーブをカシメ止めし固定壁体を形成する拡径工程と、前記移動壁体を前記固定壁体に接近させ、同壁体間で前記ゴム輪を圧縮することにより、同ゴム輪の周壁を前記穿孔部周縁に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、を有する。
【0033】
また、本発明では、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造を提供するものでもある。
【0034】
特に、本実施形態に係る更生管の分岐部構造では、前記更生管に穿設された穿孔部と、円筒状のスリーブと、同スリーブの一端側外周に装着された円筒状のゴム輪と、前記ゴム輪の装着位置よりも前記スリーブの他端寄りに設けられ同スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体とを有し、前記ゴム輪の下端と前記スリーブの一端とが前記更生管内部に露出した状態で前記穿孔部に装着された分岐ユニットと、を備え、前記スリーブの一端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記スリーブをカシメ止めしてなる固定壁体が形成され、前記ゴム輪は前記移動壁体と前記固定壁体との間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部が形成されている。
【0035】
そして、このような分岐方法や分岐部構造とすることにより、比較的容易に分岐可能でありながら、ゴム輪を圧縮変形させるに際し、更生管に可及的負担をかけることがない。
【0036】
以下、本実施形態に係る更生管の分岐方法及び更生管の分岐部構造について、図面を参照しつつ施工手順を追いながら説明する。なお、以下では、配管が水道管である場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、主管を流れる液状流体としての水を枝管側に流す例を示すが、枝管から主管側に液状流体を流す(合流させる)場合も本発明の概念に含まれるのは言うまでもない。
【0037】
図1は、水道配管10の分岐部分11に配置された分岐管12を示す説明図である。分岐管12は、図面の左右方向に伸延する主管13と、同主管13より上方に伸延する枝管14とを備えている。
【0038】
枝管14は、図中上方の連結側端部に備えられた連結端開口15の周縁にフランジ(以下、枝管側フランジ16という。)が形成されており、例えば消火栓や延長配管などの連結部材17に備えられた連結部材側フランジ18を対向させて連結することにより、主管13と連結部材17との間で枝管14を介して水を流通可能に構成している。なお、
図1に示す状態において連結部材17は、主管13から枝管14を介して水が供給され消火の用に供される消火栓17aであり、この消火栓17aの本体部分は省略して記載している。また、符号16a及び16bは、枝管14に連結部材17を取り付けるための連結ボルト及びナットである。
【0039】
また枝管14は、主管13の壁部(以下、主管壁部19という。)に対して、内径及び外径共にラッパ状に拡開しながら主管13の伸延方向に略直角に連結しており、その連結された主管13の流路(以下、主管流路13aという。)と枝管14の流路(以下、枝管流路14aという。)との分流部分(合流部分)を枝管14と主管13との間で水を流通させるための接続開口20としている。なお、以下の説明において、一定の径で伸延する枝管14の壁部を枝管壁部21と称し、同枝管壁部21から主管壁部19に連結するラッパ状の壁部を頚部22と称する。
【0040】
また、主管流路13aには、老朽化した管内を修繕するための更生管23が配設されており、水はこの更生管23の内部に形成された流路(以下、更生管流路23aという。)を流れるようにしている。
【0041】
そして、この
図1に示すような状態にあっては、主管流路13aに敷設された更生管23によって接続開口20が閉塞されているため、更生管流路23aを流れる水を枝管14側に分流させることはできない。
【0042】
そこでまず、本実施形態に係る分岐方法では、枝管14よりドリル刃を挿入して更生管23の外面側から穿孔する(更生管穿孔工程)。
【0043】
具体的には、連結ボルト16a及びナット16bを緩めて枝管側フランジ16に接続されている消火栓17aを取り外し、
図2に示すように、枝管側フランジ16に、連結部材側フランジ18を備える連結部材17としてのドリル装置17bを連結させる。
【0044】
ドリル装置17bは、図示しないモータに連動連結されたドリル軸24aを備えており、このドリル軸24aは枝管流路14a内で軸周りに回転可能、かつ、軸線方向に昇降可能に構成されている。
【0045】
また、ドリル軸24aの下方には、枝管14の内径よりもやや小さめの外径を有する円筒状で下端縁部に複数の切っ先24cが形成されたドリル刃24bが同軸状に配設されており、モータを駆動させてドリル軸24aを回転させることにより、ドリル刃24bの切っ先24cが回転するよう構成している。なお、符号24dは、更生管23に穿孔する際にセンタリングを行うための先端ドリルである。
【0046】
そして、ドリル軸24aを回転させつつ降下させて、先端ドリル24dを更生管23の管壁に貫通させ、その後ドリル刃24bを更生管23の管壁に接触させることにより、
図2に示すように、更生管23に穿孔部25を形成する。
【0047】
次に、枝管14の枝管側フランジ16よりドリル装置17bを取り外し、穿孔部25に分岐ユニット80を装着する分岐ユニット装着工程を行う。
【0048】
図3は、穿孔部25に装着される分岐ユニット80の軸線方向断面図を示している。分岐ユニット80は、円筒状のスリーブ33と、同スリーブ33の一端側外周(
図3中では下端側外周)に装着された円筒状のゴム輪26と、このゴム輪26の装着位置よりもスリーブ33の他端寄り(
図3中では上端寄り)に設けられた移動壁体としての移動圧縮体81とを備えている。
【0049】
図4は、ゴム輪26の構成を示した説明図であり、
図4(a)は平面図、
図4(b)は正面図、
図4(c)は側面図、
図4(d)は底面図、
図4(e)は
図4(a)におけるP−P切断線断面図、
図4(f)は
図4(a)におけるQ−Q切断線断面図である。
【0050】
ゴム輪26は、前述したように略円筒状の形状を有しており、
図4(e)や
図4(f)の断面図に示すように、上端部27から下端部28に至るまで、同ゴム輪26の外周面をゴム輪外周面部29、内周面をゴム輪内周面部30としている。
【0051】
ゴム輪外周面部29は、上端部27から下端部28へ向けてそれぞれ段差を設けつつ順に、ワッシャ嵌着部29aと、肉盛形成部29bと、穿孔部装着部29cとが形成されている。
【0052】
ワッシャ嵌着部29aは、後述する保護ワッシャ83が装着される部位であり、このワッシャ嵌着部29aにおけるゴム輪26の外径は、上端部27近傍において保護ワッシャ83のゴム輪装着部83bの内径と略同径又は装着可能な程度に遊びを有する径であって、保護ワッシャ83を装着した状態でゴム輪26を軸線方向に圧縮した際に、ワッシャ嵌着部29aがゴム輪装着部83bの内周面に圧着される径としており、下端部28方向に向かうに従い僅かに半径方向外方へ直径が拡開するようなテーパーが設けられている。このワッシャ嵌着部29aのテーパーは、保護ワッシャ83を装着しゴム輪26を圧縮した際に、保護ワッシャ83の弾性周壁部83d(後述)を半径方向外方へ押圧して弾性変形させるために設けられている。
【0053】
肉盛形成部29bは、ゴム輪26を軸線方向に圧縮した際に、後述する更生管外肉盛部39を形成させるための部位であり、同肉盛形成部29b部分のゴム輪26の外径は、穿孔部25への装着の際に更生管23内へ脱落してしまわぬよう、穿孔部25の径よりも大きな径としている。また、肉盛形成部29b部分のゴム輪26の壁厚は、圧縮によって更生管外肉盛部39を形成可能な程度の厚みとしている。
【0054】
穿孔部装着部29cは、穿孔部25に装着しつつ更生管23の内部にその下端部28を露出させるための部位であり、同穿孔部装着部29cの外径は、穿孔部25の径と略同径又は装着可能な程度に遊びを有する径であって、後述する更生管外肉盛部39と更生管内肉盛部43とを形成した際に、圧縮力によって穿孔部装着部29cが穿孔部25の内周面に圧着される径としている。
【0055】
また、肉盛形成部29bと穿孔部装着部29cとの間には、両者の径の差によって係止段差部29dが形成されており、この係止段差部29dを穿孔部25の周縁に当接させることで、ゴム輪26の更生管23内部への落ち込みが防止される。なお、この係止段差部29dは、肉盛形成部29bの下部形状を穿孔部25の外面周縁部立体形状にフィットする形状とすることにより、略鞍型に形成している。このような構成とすることにより、ゴム輪26を圧縮して穿孔部25の周縁に更生管外肉盛部39を形成する際、ゴム輪26による穿孔部25周縁への押圧力を全周に亘り略均等とすることができる。
【0056】
一方、ゴム輪内周面部30は、上端部27から下端部28にかけて、上部内周面部30aと、湾曲テーパ部30bと、下部内周面部30cと、湾曲凸面部30dで構成している。
【0057】
上部内周面部30aは、後述するスリーブ33を装着するための部位であり、その内径は、スリーブ33の外径と略同径又はスリーブ33を装着可能な程度に遊びを有する径であって、スリーブ33が装着された状態でゴム輪26が圧縮された際に、スリーブ33の外面に上部内周面部30aが圧着できる径としている。
【0058】
湾曲テーパ部30bは、次に述べる下部内周面部30cにスリーブ33の先端を円滑に誘導するための部位であり、下方へ向けて上部内周面部30aの内径から下部内周面部30cの内径に至るまで漸次縮径し、かつ、後述するスリーブ33の湾曲端部33dと同様の略鞍型の形状に沿って軸線方向に上下湾曲させたテーパ形状としている。
【0059】
下部内周面部30cは、スリーブ33を挿入させることによりゴム輪26を半径方向外方へ向けて拡開変形させるための部位である。具体的には、下部内周面部30cにスリーブ33を挿入することにより、肉盛形成部29bの厚肉部分29eを半径方向外方へ膨出させて、後述の更生管外肉盛部39を形成しやすくすると共に、係止段差部29dを同様に半径方向外方へ位置させて、ゴム輪26の更生管23内への落ち込みを防止する。また、スリーブ33が楔のように機能するため、ゴム輪26が穿孔部25に装着された状態において穿孔部装着部29cもまた半径方向外方へ膨らみ、穿孔部25におけるゴム輪26との隙間を十分に充填して漏水を防止しつつ、穿孔部25からのゴム輪26の脱落を堅実に防止することができる。
【0060】
湾曲凸面部30dは、下部内周面部30cの下端、すなわち、ゴム輪26の下端部28の位置に設けられた湾曲状凸部31の内周面によって構成される部位であり、ゴム輪26が穿孔部25に装着された状態でゴム輪26の内部空間にスリーブ33が挿入されることにより、更生管23内で湾曲状凸部31を外方へ反転させて後述するカシメ止め41が形成されることにより更生管内肉盛部43を形成する。
【0061】
また、湾曲凸面部30d(湾曲状凸部31)は、更生管内肉盛部43を形成する際に、更生管23の内側の穿孔部25の周縁形状にフィットするよう、略鞍型の立体形状に形成している。
【0062】
スリーブ33は、
図5に示すように、略円筒状の部材であり、上下方向に伸延する円筒状の筒状体33aと、同筒状体33aの中途下方寄りの外周面に形成された雄ネジ部33bと、後述のカシメ止め41を形成した際に更生管23の内壁に沿った略鞍型となる端面形状に形成した湾曲端部33dとを備えている。
【0063】
スリーブ33を構成する素材は、めくり状態で折曲される(後述)湾曲端部33dが塑性変形可能な素材であれば特に限定されるものではないが、例えば本実施形態では全体を金属で形成している。
【0064】
筒状体33aは、前述のゴム輪26の上部内周面部30aの内径と略同じ外径を備える円筒状の部位であり、主管13(更生管23)より分流させた水を枝管14側に導く流路を形成する役割を果たすものである。
【0065】
また、筒状体33aの下部となる湾曲端部33dは、後に詳述する拡径工程によってカシメ止めを構成し、固定壁体として機能する部位でもある。
【0066】
また、筒状体33aは、ゴム輪26のゴム輪内周面部30を挿通させることにより、前述したように、肉盛形成部29bの厚肉部分29eを半径方向外方膨出させて、更生管外肉盛部39を形成しやすくすると共に、係止段差部29dを同様に半径方向外方へ位置させて、ゴム輪26の更生管23内への落ち込みを防止し、また、穿孔部25におけるゴム輪26との隙間を十分に充填して漏水を防止する役割も有している。なお
図5中における符号33cは、後述の拡径工程において所定の治具(例えば、拡径治具17c)を用いてカシメ止めを形成するにあたり、治具に係止させてゴム輪26や更生管23に対しスリーブ33が回転するのを防止するための切欠部である。
【0067】
図6は、移動圧縮体81の構成を示した説明図である。移動圧縮体81は、スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体として機能する部材であり、本実施形態では、
図6(a)に示した螺合部材として機能する圧縮ナット82と、
図6(b)に示した当接部材として機能する保護ワッシャ83とで構成している。
【0068】
圧縮ナット82は、内周面に雌ネジが形成されたナット状の金属製部材であり、その上端面には、後述する圧縮治具90と噛合する治具噛合部82aが形成されている。
【0069】
また、圧縮ナット82の内周面には雌ネジ部82bと係止部82cとが形成されている。
【0070】
雌ネジ部82bは、スリーブ33の外周面に形成した雄ネジ部33bと螺合可能に形成しており、雄ネジ部33bに螺合させた状態で圧縮ナット82を回動させることにより、圧縮ナット82をスリーブ33の軸線方向に移動可能としている。また、螺合機構の特性上、圧縮ナット82は、スリーブ33の軸線方向に沿った外力によっては容易に移動しない。換言すれば、この螺合機構は、螺合部材(移動壁体)の移動手段のみならず、係止手段としても機能する。なお、螺合部材(移動壁体)は、スリーブ33の表面軸線方向への移動手段と、スリーブ33表面での係止手段とを備えるのが望ましいが、これは必ずしも螺合機構によるものでなくとも良いのは勿論である。
【0071】
係止部82cは、その内径を雄ネジ部33b部分の最大径(雄ネジ部33bのねじ山部分の径)よりも小さく筒状体33aと略同径としており、圧縮ナット82の治具噛合部82a側の開口からスリーブ33の湾曲端部33d側を挿入し螺合させた際に、雄ネジ部33bの下端部分にこの係止部82cが当接することで圧縮ナット82の移動が規制されるよう構成している。
【0072】
保護ワッシャ83は、樹脂にて形成したリング状の部材であり、それぞれ内径の異なるスリーブ挿通部83aと、ゴム輪装着部83bとがその内周に形成され、スリーブ挿通部83aとゴム輪装着部83bとの間に形成された段差をゴム輪当接部83cとしている。
【0073】
スリーブ挿通部83aは、スリーブ33を挿通させるための部位であり、その内径はスリーブ33の筒状体33aの外径と略同径に形成している。
【0074】
ゴム輪装着部83bは、ゴム輪26を圧縮した際にワッシャ嵌着部29aを収容する部位であり、その壁部である弾性周壁部83dは、圧縮されたゴム輪26のワッシャ嵌着部29aの変形に追従して半径方向外方へ僅かに撓むことでゴム輪26の変形を円滑なものとする。なお、保護ワッシャ83自体の形成素材は金属であっても良いが、この弾性周壁部83dを効率的に撓ませるためには、樹脂等によって形成しても良い。換言すれば、保護ワッシャ83を樹脂にて形成する場合、この弾性周壁部83dがゴム輪26の変形に追従して弾性変形可能な樹脂を選択するのが望ましい。
【0075】
ゴム輪当接部83cは、ゴム輪26を圧縮する際に、ゴム輪26の上端部27と当接させて押圧するための部位である。
【0076】
このように、本実施形態における移動壁体としての移動圧縮体81は、雌ネジ部82bを備える螺合部材としての圧縮ナット82と、ゴム輪26に直接又は間接的に当接する当接部材としての保護ワッシャ83との、それぞれ別体のパーツを組み合わせて構成している。
【0077】
なお、以下の説明では、この圧縮ナット82と保護ワッシャ83とで構成した移動圧縮体81を移動壁体として用いた例を示すが、これらは必ずしも別体である必要はない。例えば、
図6(c)に示すように、螺合部材と移動部材とを一体に、すなわち、圧縮ナット82の機能や構成と保護ワッシャ83の機能や構成とを一体的とした移動圧縮体81aを用いても良い。一体的な移動圧縮体81aとした場合には、パーツの点数を減らすことができ、構成をより容易なものとすることができる。一方、圧縮ナット82と保護ワッシャ83とが別体の移動圧縮体81とした場合には、例えば、圧縮ナット82を金属で形成し、保護ワッシャ83を樹脂にて形成するなど、それぞれを目的に適した素材にて形成することが容易となる。また、圧縮ナット82を回動させて保護ワッシャ83を介してゴム輪26を押圧するに際し、圧縮ナット82が保護ワッシャ83との当接面にて滑動することにより、圧縮ナット82の回動力が保護ワッシャ83を介してゴム輪26に伝達されることがなく、圧縮の際の回転力によるゴム輪26への負担を軽減することができる。
【0078】
そして、分岐ユニット80は、
図5に示すスリーブ33の下方側から、圧縮ナット82を挿通して螺合させ、次いで保護ワッシャ83を挿通させ、スリーブ33の下端部にゴム輪26を装着して、
図3に示したように組み立てる。このとき、ゴム輪26のスリーブ33への装着は、スリーブ33の湾曲端部33dの鞍型形状と、ゴム輪26の湾曲状凸部31の鞍型形状とが一致するように装着する。
【0079】
このようにして形成した分岐ユニット80は、本分岐ユニット装着工程にて穿孔部25に装着される。
【0080】
本実施形態では、
図7に示すように、連結部材17としての拡径治具17cを枝管側フランジ16に取り付けることにより、分岐ユニット装着工程と後述の拡径工程を行うこととしており、次にこの拡径治具17cの構成について簡単に説明する。なお、拡径治具17cの具体的な構造等については、本出願人が先に出願したPCT/JP2014/058140に詳しい。ただし、分岐ユニット装着工程や拡径工程を行うにあたっては、必ずしも拡径治具17cを用いる必要はなく、同様の操作を行うことが可能であれば治具は特に限定されることなく適用可能である。
【0081】
本実施形態に係る分岐方法にて使用する拡径治具17cは、穿孔部25に分岐ユニット80を装着したり、更生管23内でスリーブ33の下部を外方へめくり状態で折曲させてカシメ止めを形成するための治具であり、図示しない主軸と副軸とを備えたステム35を備えている。
【0082】
このステム35は、枝管14の内径やスリーブ33の内径よりも細径に形成されており、これらを介して同ステム35の下部を更生管23内に露出可能に構成している。
【0083】
また、ステム35の中途部には、スリーブ33の切欠部33cと噛合してスリーブ33の回動を規制する回動規制体36が設けられている。
【0084】
また、ステム35の下部には、後述の拡径工程にてカシメ止め41を形成するための拡径部37が備えられている。この拡径部37はステム35に対して、
図7にて一点鎖線で示す副軸線38bの軸周りに回動、固定可能、且つ、副軸線38b方向に昇降、固定可能に構成している。
【0085】
また、ステム35自体も、枝管側フランジ16に固定された拡径治具17cに対して、
図7にて一点鎖線で示す主軸線38aの軸周りに回動可能、且つ、主軸線38a方向に昇降、固定可能に構成している。
【0086】
そして本分岐ユニット装着工程では、拡径治具17cの連結部材側フランジ18を枝管側フランジ16に取付固定した状態でステム35を枝管14内に進入させ、ステム35の先端に配設した分岐ユニット80を穿孔部25に装着する。
【0087】
具体的には、
図8に示すように、分岐ユニット80を構成するゴム輪26の係止段差部29dを、更生管23に穿設された穿孔部25の外表面側周縁に当接させることで、分岐ユニット80を穿孔部25に装着して分岐ユニット装着工程を行う。なお、このとき、係止段差部29dの鞍型形状が、穿孔部25の外表面側周縁形状にフィットするように分岐ユニット80を装着する。
【0088】
これに伴い、スリーブ33の下端をゴム輪26の下端から更生管23の内部に露出させると共に、ゴム輪26の湾曲状凸部31が外方へ反転させられ、また、肉盛形成部29b部分が拡径してゴム輪26の更生管23内への落ち込みが防止される。
【0089】
次に、分岐ユニット80を穿孔部25に装着した状態で拡径工程が行われる。拡径工程では、まず、ステム35の下部に設けられた拡径部37を副軸線38bの軸周りに例えば約180度反転させて(
図9参照。)、拡径部37に配された拡径ローラ40をスリーブ33の下端部に当接可能な状態とする。なお、以下の説明においてこのような拡径部37の状態を突出状態と称し、
図8に示す拡径部37の状態を収納状態と称する。
【0090】
次いで、拡径部37を突出状態としたまま副軸線38bの軸周り方向への回動を規制しつつ、ステム35に対して同拡径部37を副軸線38bの軸線方向上方へ引き上げることにより、拡径ローラ40をスリーブ33の下端に当接させる。
【0091】
この状態で、スリーブ33の下部を塑性変形可能な程度の引上力を副軸線38bの軸線方向上方への拡径部37の引き上げによって付与しつつ、ステム35を拡径治具17cの本体部分に対して主軸線38aの軸線周りに回動させる。
【0092】
拡径ローラ40には、スリーブ33の下端部を半径方向外方へめくり状態で折曲させる曲面が形成されており、スリーブ33の下端部は、更生管23内に露出させたゴム輪26の一部を巻き込みつつ拡開し、カシメ止め41が形成される(
図9及び
図10(a)参照。)。付言すれば、回動規制体36と拡径ローラ40との間でスリーブ33の回動を規制しつつ圧縮し、ゴム輪26の一部を巻き込みつつスリーブ33の下端部をラッパ状に折曲してカシメ止め41を形成する。なお、このようにして形成されたカシメ止め41は、移動壁体として機能する移動圧縮体81(移動圧縮体81a)と共にゴム輪圧縮手段として機能する固定壁体としての役割を果たす。
【0093】
また、これと同時に、カシメ止め41によって巻き込まれたゴム輪26の一部は、更生管23の内側における穿孔部25の周縁にて更生管内肉盛部43を形成する。
【0094】
なお、
図10(a)に示すように、この時点においてゴム輪26の穿孔部25周縁への密着度合いは十分ではない。そこで次に、分岐ユニット80を構成するゴム輪26を穿孔部25の周縁に密着させるゴム輪圧縮工程を行う。
【0095】
本実施形態では、
図10(b)に示す圧縮治具90を用いることにより、移動圧縮体81を移動させてゴム輪圧縮工程を行うこととしている。ただし、この圧縮治具90は一例であって、ゴム輪圧縮工程を行うにあたっては、必ずしも圧縮治具90を用いる必要はなく、移動圧縮体81をスリーブ33上においてゴム輪26を圧縮する方向に進出可能であれば治具は特に限定されることなく適用可能である。
【0096】
圧縮治具90は、円筒状の治具本体90aの上部に棒状の圧縮ハンドル90bを配設して構成しており、治具本体90aの下部端面には、圧縮ナット82の治具噛合部82aと噛合する噛合突起90cが形成されている。
【0097】
そして、
図11(a)に示すように、この圧縮治具90を枝管流路14a内に挿入し、噛合突起90cを治具噛合部82aと噛合させて、圧縮ハンドル90bを回動させることにより、圧縮ナット82を下方へ移動させる。
【0098】
これに伴い、ゴム輪26は移動壁体としての移動圧縮体81によって、すなわち、圧縮ナット82の移動により保護ワッシャ83を介して、固定壁体としてのカシメ止め41との間で徐々に圧縮され、厚肉部分29eが肉盛状に圧縮変形されて更生管外肉盛部39が形成される。この更生管内肉盛部43と、前述の更生管外肉盛部39とは、圧縮されたゴム輪26の弾性力による更生管23の外方からの力(図中下向きの力)と、ゴム輪26の弾性力によりスリーブ33が上方へ戻ろうとする際のカシメ止め41から受ける更生管23の内方からの上向きの力とで更生管23の管壁を挟持する穿孔周縁止水部44を形成する。
【0099】
また、保護ワッシャ83の弾性周壁部83dが、肉盛形成部29bに比して薄肉状であるワッシャ嵌着部29aの座屈変形を抑制しつつも、膨張方向に追従して変形し、安定したゴム輪26の圧縮が実現される。
【0100】
このようにして、
図11(b)に示すように、分岐部Aが形成されることとなる。特に、本実施形態に係る分岐方法及び分岐部構造によれば、ゴム輪を変形させるに際し、従来の如くゴム輪を更生管の外表面に押し付ける必要がないため、可撓性を有する更生管の変形を防止することができる。
【0101】
そして引き続き実際上は、
図12に示すように、枝管側フランジ16に連結部材17を取り付ける工程が行われる。なお、
図12に示す状態において連結部材17は、更生管流路23a中の空気を抜いたり、更生管流路23a中に空気を流入させるための空気弁17fであり、この空気弁17fの本体部分は省略して記載している。
【0102】
特に本実施形態では、枝管流路14aと連結部材17(空気弁17f)の連結部材流路17dとの間に漏水防止構造91を介設している点においても特徴的である。
【0103】
この漏水防止構造91は、ベースプレート92と振止ワッシャ93、スリーブシールリング94、フランジシールリング95、押さえプレート96によって構成している。
【0104】
ベースプレート92は、
図13(a)に示すように、略円板状の部材であり、枝管側フランジ16及び/又は連結部材側フランジ18の直径と略同径とした基板92aの中央部に形成された孔部92bと、枝管側フランジ16と連結部材側フランジ18とを連結する連結ボルト16aの挿通位置に形成されたボルト挿通孔92cとが穿設されている。
【0105】
また、枝管側フランジ16と対向する基板92aの面(以下、単に下面といい、この下面と反対側の面、すなわち
図13(a)の上図で示す面を上面という。)には、孔部92bと同心円状にフランジシール取付溝92dが刻設されており、弾性体にて形成された環状のフランジシールリング95を取付可能としている。このフランジシール取付溝92dに取り付けられるフランジシールリング95は、ベースプレート92と枝管側フランジ16との間の水密性を確保するためのものである。
【0106】
孔部92bは、下面側から上面側に向かって階段状に拡開する空間により構成しており、スリーブ挿通部92e、スリーブシールリング取付部92f、ワッシャ取付部92gを備えている。
【0107】
スリーブ挿通部92eは、スリーブ33の外径と略同径又は装着可能な程度に遊びを有する径にて穿設された部位であり、枝管側フランジ16よりも上方へ突出させたスリーブ33を挿通させるための部位である。
【0108】
スリーブシールリング取付部92fは、スリーブ33の外径と略同径の内径を備えるスリーブシールリング94を装着するための部位であり、次に述べる振止ワッシャ93により押圧してスリーブシールリング94を圧縮変形させることにより、スリーブ33の外周面に密着させてスリーブ33周縁の水密性を確保する。
【0109】
ワッシャ取付部92gは、
図13(b)に示す振止ワッシャ93を装着するための部位である。
【0110】
振止ワッシャ93は、円板状のワッシャ基板93aの中央部に、スリーブ33の外径と略同径又は装着可能な程度に遊びを有する径を有する孔部93bを穿設して形成しており、枝管側フランジ16と連結部材側フランジ18とで漏水防止構造91を挟み込んだ際に、この振止ワッシャ93でスリーブシールリング94を圧縮する役割を果たす。
【0111】
押さえプレート96は、
図14に示すように、ベースプレート92の外径と略同径の円板状の部材であり、基板96aの中央部に形成された孔部96bと、枝管側フランジ16と連結部材側フランジ18とを連結する連結ボルト16aの挿通位置に形成されたボルト挿通孔96cとが穿設されている。
【0112】
そして、
図12に示したように、分岐部Aが形成された分岐管12の枝管側フランジ16上に、スリーブシールリング94、フランジシールリング95、振止ワッシャ93をそれぞれ装着したベースプレート92を載置して、枝管側フランジ16よりも上方に突出したスリーブ33の突出部分を孔部92bに挿通させた状態とし、さらにこのベースプレート92上に押さえプレート96を載置し、連結ボルト16a及びナット16bにより連結部材側フランジ18を連結することで、枝管側フランジ16と連結部材側フランジ18との間に漏水防止構造91を介在させる。
【0113】
このような分岐部Aと漏水防止構造91とを備える分岐接続構造Xによれば、比較的容易に分岐可能でありながら、主管と更生管との間への漏水を防止することができ、しかも、ゴム輪を圧縮変形させるに際し、更生管に可及的負担をかけることのない更生管の分岐を行うことができる。
【0114】
しかも、漏水防止構造91を備えることにより、連結部材17側の水がスリーブ33と枝管壁部21との間の隙間に流れ込むことを防止することができる。
【0115】
併せて、例えば地震等により主管流路13a内で更生管23が多少ずれた場合であっても、漏水防止構造91ではスリーブ33の軸線に直交する方向への動きは規制しつつも軸線方向への動きは比較的自由度が高いため、スリーブ33の端部をフランジ接続部分近傍にて強固に固定した場合に比して、漏水等のトラブルを可及的防止することができる。
【0116】
上述してきたように、本実施形態に係る分岐方法によれば、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法であって、前記枝管よりドリル刃を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、円筒状のスリーブと、同スリーブの一端側外周に装着された円筒状のゴム輪と、前記ゴム輪の装着位置よりも前記スリーブの他端寄りに設けられ同スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体とを備える分岐ユニットが前記更生管の穿孔部に装着された状態とし、前記ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させると共に、前記スリーブの一端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させる分岐ユニット装着工程と、前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記スリーブの一端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記スリーブをカシメ止めし固定壁体を形成する拡径工程と、前記移動壁体を前記固定壁体に接近させ、同壁体間で前記ゴム輪を圧縮することにより、同ゴム輪の周壁を前記穿孔部周縁に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、を有することとしたため、比較的容易に分岐可能でありながら、主管と更生管との間への漏水を防止することができ、しかも、ゴム輪を圧縮変形させるに際し、更生管に可及的負担をかけることのない更生管の分岐方法を提供することができる。
【0117】
また、本実施形態に係る更生管の分岐部構造によれば、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造であって、前記更生管に穿設された穿孔部と、円筒状のスリーブと、同スリーブの一端側外周に装着された円筒状のゴム輪と、前記ゴム輪の装着位置よりも前記スリーブの他端寄りに設けられ同スリーブの外表面にて軸方向に沿って移動する移動壁体とを有し、前記ゴム輪の下端と前記スリーブの一端とが前記更生管内部に露出した状態で前記穿孔部に装着された分岐ユニットと、を備え、前記スリーブの一端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記スリーブをカシメ止めしてなる固定壁体が形成され、前記ゴム輪は前記移動壁体と前記固定壁体との間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部が形成されていることとしたため、比較的容易に分岐可能でありながら、主管と更生管との間への漏水を防止することができ、しかも、ゴム輪を圧縮変形させるに際し、更生管に可及的負担をかけることのない更生管の分岐部構造を提供することができる。
【0118】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0119】
例えば、スリーブ33の長さは、施工現場の状況に応じて適宜変更可能であることは勿論である。
【0120】
具体的には、主管13が地中深部にある場合、
図15に示すように、スリーブ97の如く長尺に形成しても良い。このとき、連結部材17としては、延長管17eを複数接ぐことで、深部までの枝管流路14aを形成することが可能である。