特許第6341746号(P6341746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341746
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】弾頭
(51)【国際特許分類】
   F42B 10/14 20060101AFI20180604BHJP
   F42B 10/38 20060101ALI20180604BHJP
   G01S 19/18 20100101ALN20180604BHJP
【FI】
   F42B10/14
   F42B10/38
   !G01S19/18
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-92596(P2014-92596)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2015-210038(P2015-210038A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 正明
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05370057(US,A)
【文献】 特開平04−015500(JP,A)
【文献】 特開2012−007798(JP,A)
【文献】 特開2011−231965(JP,A)
【文献】 実開平05−061693(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 10/02 − 10/58
G01S 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体の先端部に取り付けられた状態で飛翔し、該飛翔体から分離した後に単独で飛翔する弾頭であって、
本体部と、
先端が前記本体部の進行方向後端に取り付けられ、かつ後端が前記本体部の進行方向後方に向けて展開する展開部と、
前記本体部又は前記展開部の機軸回りの周方向端部に設けられ静安定余裕を確保するフレアと、を備え、
前記展開部は、それぞれが一列になるように連結しており、かつ段階的に前記展開を行う複数の部分展開部からなり、前記展開時において前記先端から前記後端に向けて外径が縮径している、ことを特徴とする弾頭。
【請求項2】
前記フレアは、前記複数の部分展開部のうち前記後端側に位置する部分展開部における前記機軸回りの周方向端部に設けられた尾翼であり、
前記尾翼は、前記展開時において前記周方向の外方に向けて展開する、ことを特徴とする請求項に記載の弾頭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔体の先端部に取り付けられた状態で飛翔し、飛翔体から分離した後に単独で飛翔する弾頭に関する。
【背景技術】
【0002】
飛翔体が打ち上げられて飛翔した後に、先端部分のみを分離させて目標に向けて飛翔させる弾頭が一般的に知られている。
この弾頭は、例えば、目標に対して攻撃を行う場合に用いられる。
【0003】
このような弾頭として、例えば特許文献1が既に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−6898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、従来の飛翔体及び弾頭の説明図である。図1(A)は、弾頭が飛翔体に取り付けられている状態における飛翔体及び弾頭の図であり、図1(B)は、飛翔体から分離した後の弾頭の図である。なおこの図において、弾頭に取り付けられている翼は省略している。
【0006】
一般に上述したような弾頭は、目標に向けて確実に飛翔を行うために飛翔姿勢を安定させる必要がある。
この飛翔姿勢の安定を実現させるため、飛翔中の弾頭が空力を受ける中心である空力中心が、弾頭の重心よりも弾頭の進行方向後方に位置する状態(以下、静安定余裕が確保された状態)を維持する必要がある。
【0007】
そのため、例えば図1に示すように、弾頭40と飛翔体50との分離位置(弾頭40の進行方向後端位置)において、弾頭40の本体よりも機軸回りの周方向端部の径が大きいフレア32が設けられているものが一般的である。
このフレア32を有する構成によって、フレア32が弾頭40の進行方向前方からの空力を受けることになる。そのため、弾頭40の空力中心31bを弾頭40の重心31aよりもその進行方向後方に位置させることが可能になり、弾頭40の静安定余裕を確保することが可能になる。
【0008】
しかし、弾頭にフレアを設けることによって、静安定余裕を確保することが可能になる一方で、フレアが空力を受けることによる抵抗係数が増加することになる。
そのため、弾頭全体として進行方向前方から受ける空気抵抗が増加することによって、弾頭の飛翔速度が低下し、さらには弾頭の射程距離が短縮してしまうおそれがあった。
【0009】
そこで本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、飛翔中において弾頭の静安定余裕を確保し、かつ空力による抵抗係数の増大を抑える弾頭を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、飛翔体の先端部に取り付けられた状態で飛翔し、該飛翔体から分離した後に単独で飛翔する弾頭であって、
本体部と、
先端が前記本体部の進行方向後端に取り付けられ、かつ後端が前記本体部の進行方向後方に向けて展開する展開部と、
前記本体部又は前記展開部の機軸回りの周方向端部に設けられ静安定余裕を確保するフレアと、を備え、
前記展開部は、それぞれが一列になるように連結しており、かつ段階的に前記展開を行う複数の部分展開部からなり、前記展開時において前記先端から前記後端に向けて外径が縮径している、ことを特徴とする弾頭が提供される。
【0012】
前記フレアは、前記複数の部分展開部のうち前記後端側に位置する部分展開部における前記機軸回りの周方向端部に設けられた尾翼であり、
前記尾翼は、前記展開時において前記周方向の外方に向けて展開する。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明によれば、先端が本体部の進行方向後端に取り付けられ、かつ後端が本体部の進行方向後方に向けて展開する展開部を有し、さらに展開部がその展開時において先端から後端に向けて外径が縮径していることにより、本体部にフレアを設けられていても、弾頭の周囲(特に進行方向後方付近)の空気の流れを整流することができる。そのため、これによって弾頭全体の空力による抵抗係数の増大を抑えることが可能になる。
【0015】
よって、飛翔中において弾頭の静安定余裕を確保し、かつ空力による抵抗係数の増大を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術の説明図である。
図2】本発明による弾頭の第1実施例の説明図である。
図3】本発明による弾頭の第2実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図2は、本発明による弾頭の第1実施例の説明図である。また、図2(A)は、展開部展開前の弾頭の断面図であり、図2(B)は、展開部展開後の弾頭の説明図である。
【0019】
本発明における弾頭30は、本体部10と、展開部20とを有している。
以下、弾頭30の構成について詳細に説明する。
【0020】
本発明における弾頭30は、飛翔体との分離前においては飛翔体の先端部に取り付けられた状態であり、この状態で目的に応じた飛翔を行う。その後弾頭30は、目標に対して攻撃を行う場合等の目的に応じたタイミングで飛翔体から分離し、単独で飛翔を開始する。
【0021】
弾頭30の本体部10は、例えば図2(A)に示すように、先端部1と、航法誘導装置2と、操舵装置3とからなるものを想定している。
この本体部10は、弾頭30の飛翔時において空力による抵抗係数を抑えるために、進行方向前方側の端部の外径が縮径している形状になっている。
また詳細については後述するが、本体部10又は展開部20の機軸回りの周方向端部に静安定余裕を確保するフレア12が設けられているものを想定している。
【0022】
先端部1は、例えばGPS受信機(図示しない)を搭載したものであって、GPS衛星(図示しない)から送信される信号を受信することによって、自己の位置情報を得るためのものであってよい。
また、弾頭30が目標に対する攻撃を目的としたものである場合には、例えば先端部1に目標物を破壊するための爆薬を搭載し、弾頭30を目標物に着弾させることによって目標物を破壊するものであってよい。
【0023】
航法誘導装置2は、例えば先端部1において取得したGPS信号に基づいて自己の現在の位置情報を算出し、操舵装置3を制御して飛翔方向を修正するものである。
具体的には、例えばGPS信号に基づいて算出した自己の現在の位置情報と、予め取得している現在の飛翔予定位置とを比較して、これに差異がある場合にこの情報に基づいて操舵装置3を制御し、現在の位置情報と飛翔予定位置との差異を解消するものであってよい。
なお、航法誘導装置2がGPS信号を受信するためのGPS受信機を有している構成であってもよく、また、別途弾頭30に搭載された速度センサ、加速度センサ又はジャイロ等から取得した情報に基づいて操舵装置3を制御するものであってもよい。
【0024】
操舵装置3は、上述したように、航法誘導装置2からの制御によって弾頭30の飛翔方向を制御するものである。
具体的には、弾頭30に設けられた複数の翼(図示しない)の角度をそれぞれ制御することによって、弾頭30の飛翔方向を制御するものであってよい。なお、操舵装置3と翼(図示しない)とは、例えばアクチュエータによって連結されているものを想定している。
【0025】
展開部20は、先端が本体部10の進行方向後端に取り付けられ、かつ後端がその進行方向後方に向けて展開するものであり、さらにその展開時においてその先端からその後端に向けて外径が縮径している形状を有している。
さらにこの例における展開部20は、図2(B)に示すように、複数の部分展開部11a〜11eから構成されている。この複数の部分展開部11a〜11eは、展開時においては、本体部10の進行方向に沿うようにそれぞれが一列になるように連結している。
【0026】
ここで従来においては、図1(B)のように弾頭40の後端部の外径が段階的に縮径される形状ではなかったため、弾頭40の周囲(特に進行方向後方付近)において乱流が発生していた。そのため、弾頭40全体として空力による空気抵抗が増大してしまうおそれがあった。
【0027】
これに対し、本発明においては上記構成を有することによって、弾頭30の飛翔時において、弾頭30の周囲(特に進行方向後方付近)の空気の流れを整流させ(乱流の発生を防止し)、弾頭30全体の空力による抵抗係数の増大を抑えることが可能になる。
【0028】
なお、この例における複数の部分展開部11a〜11eは、本体部10の進行方向後端に位置するものほど外径は縮径しているため、展開部20全体として先端から後端に向けて外径が縮径する形状を構成するようになっている。
【0029】
また、この例においては、部分展開部11eは、部分展開部11dの内部に収容可能であり、部分展開部11dは、部分展開部11cの内部に収容可能であり、最終的に部分展開部11b〜11eは、部分展開部11aの内部に全て収容可能な構成であることが好ましい。
【0030】
この構成によって、図2(A)に示すように、展開前においては部分展開部11aのみが露出可能な状態に収容させておくことが可能になり、展開部20の展開前の飛翔の妨げになることを防止することができる。
【0031】
なお、この例において展開部20は、5つの部分展開部11a〜11eからなる場合について説明したが、4つ以下又は6つ以上の部分展開部からなるものであってもよい。
【0032】
また、複数の部分展開部11a〜11eのうち機軸回りの周方向端部の最大径が最大のもの(図2(B)においては部分展開部11a)は、その最大径が本体部10の機軸回りの周方向端部の最大径よりも小さい大きさを有していることが好ましい。
【0033】
この例における弾頭30に設けられたフレア12は、複数の部分展開部11a〜11eのうち後端側に位置する部分展開部11eにおける機軸回りの周方向端部に設けられた尾翼12である。
この尾翼12は、この例においては、展開部20の展開時においてその周方向の外方に向けて展開するようになっているが、展開部20の展開後、所定のタイミングに単独で展開するものであってもよい。
【0034】
この展開部20に尾翼12が設けられている構成によって、上述したように弾頭30全体の空力による抵抗係数の増大を抑えながら、さらに弾頭30全体としての静安定余裕を確保することが可能になる。
【0035】
なお、この例におけるフレア12は、最も本体部10の進行方向後方に位置する部分展開部11eに取り付けられている場合について説明を行ったが、抵抗係数の増大を抑え、かつ静安定余裕を確保することが可能であれば、これ以外の部分展開部に取り付けるものであってもよいし、本体部10の機軸回りの周方向端部に取り付けるものであってもよい。
【0036】
図3は、本発明による弾頭の第2実施例の説明図である。
この実施例における展開部20は、フレア12と、バリュート13とを有しているものを想定している。
なお、この例におけるフレア12は、本体部10に固定されて取り付けられているものでもよく、展開部20の展開前に展開されるものであってもよい。
【0037】
この例におけるバリュート13は、伸縮性を有する袋体であって内部に気体を導入することによって膨張するものである。具体的には、ケブラー繊維等からなるものを想定している。
【0038】
このバリュート13を展開させることによって、弾頭30の飛翔時における弾頭30の周囲(特に進行方向後方付近)の空気の流れを整流する(乱流の発生を防止する)ことが可能になり、フレア12を設けることによる抵抗係数の増大を抑えることが可能になる。
【0039】
なお、このバリュート13は、展開前においては、例えば本体部10の内部に設けられたバリュート格納部14に格納しておく構成であってよい。
さらに、バリュート13の展開を行うために、本体部10内部にガス(図示しない)を搭載しておく構成であってもよく、または、外部から取り込んだ外気によってバリュート13の展開を行う構成であってもよい。
【0040】
また、このバリュート13は、展開時において抵抗係数を増大させることを防止するために、展開時における本体部10の機軸回りの周方向端部の最大径が、フレア12の機軸回りの周方向端部の最大径よりも小さい大きさを有していることが好ましい。
【0041】
上記本発明によれば、先端が本体部10の進行方向後端に取り付けられ、かつ後端が本体部10の進行方向後方に向けて展開する展開部20を有し、さらに展開部20がその展開時において先端から後端に向けて外径が縮径していることにより、本体部10にフレア12を設けられていても、弾頭30の周囲(特に進行方向後方付近)の空気の流れを整流することができる。そのため、これによって弾頭30全体の空力による抵抗係数の増大を抑えることが可能になる。
【0042】
よって、飛翔中において弾頭の静安定余裕を確保し、かつ空力による抵抗係数の増大を抑えることが可能になる。
【0043】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 先端部、2 航法誘導装置、3 操舵装置、10 本体部、
11a〜11e 部分展開部、12 フレア(尾翼)、13 バリュート、
14 バリュート格納部、20 展開部、30 弾頭
図1
図2
図3