特許第6341753号(P6341753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341753
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】転写装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20180604BHJP
   B65H 15/00 20060101ALI20180604BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20180604BHJP
   B41J 3/60 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   B65H29/70
   B65H15/00 A
   B41J2/325 A
   B41J3/60
【請求項の数】8
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-106968(P2014-106968)
(22)【出願日】2014年5月23日
(65)【公開番号】特開2015-221711(P2015-221711A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104721
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 俊明
(72)【発明者】
【氏名】相原 裕一
(72)【発明者】
【氏名】清水 直樹
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−362755(JP,A)
【文献】 特開2002−316761(JP,A)
【文献】 特開平09−025040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/325
B41J 3/60
B65H 15/00
B65H 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写若しくは保護フィルムの転写面をカード状記録媒体の片面または両面に転写する転写手段と、
両面転写時に前記記録媒体の表裏面を反転させる反転手段と、
前記転写手段で前記転写面が転写された前記記録媒体の反りを矯正する矯正手段と、
前記矯正手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、片面転写時の前記矯正手段による前記記録媒体に対する矯正量をA、両面転写時の前記矯正手段による前記記録媒体のいずれか一方の面に対する矯正量をB1、両面転写時の前記矯正手段による前記記録媒体のいずれか他方の面に対する矯正量をB2としたときに、A>B1>0、かつ、A>B2>0となるように前記矯正手段を制御することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記制御手段は、片面転写時の前記矯正手段による前記記録媒体に対する矯正量よりも両面転写時の前記矯正手段による前記記録媒体のそれぞれの面に対する矯正量の総和(B1+B2)が小さくなるように前記矯正手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記矯正手段は、前記転写手段で前記転写面が転写された前記記録媒体の面とは反対側の面を押圧することで前記記録媒体の反りを矯正し、
前記制御手段は、前記矯正手段による前記反対側の面を押圧する時間および前記矯正手段による前記反対側の面に対する押し込み量の少なくとも一方を変化させることで前記矯正量を変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記記録媒体の種類または材質情報を取得する第1の取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の取得手段で取得された前記記録媒体の種類または材質情報に応じて前記矯正量を決定することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項5】
インクリボンを介して前記転写フィルムの転写面に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段で形成される画像の画像データを取得する第2の取得手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2の取得手段で取得された画像データの階調に応じて前記矯正量を決定することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項6】
前記インクリボンおよび前記転写フィルムの少なくとも一方の種類情報を取得する第3の取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第3の取得手段で取得された前記インクリボンおよび前記転写フィルムの少なくとも一方の種類情報に応じて前記矯正量を決定することを特徴とする請求項に記載の転写装置。
【請求項7】
環境温度を検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段で検出された環境温度に応じて前記矯正量を決定することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項8】
前記転写手段は、前記転写若しくは保護フィルムの転写面を前記記録媒体に熱定着させる熱定着体を有しており、
前記制御手段は、前記熱定着体の定着温度および定着速度の少なくとも一方に応じて前記矯正量を決定することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転写装置に係り、特に、カード状記録媒体に画像を転写する転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートローラ(HR)を用いて、転写フィルムに形成された画像(鏡像)をカードに転写する転写装置が広く知られている。この種の転写装置では、一般に、転写フィルムの転写面とは反対側の面にヒートローラを押し当てて転写フィルムとカードとを同時に(同速で)搬送する構成が採られている。
【0003】
このような転写装置では、カードにヒートローラからの熱が加わることで、カードの素材(例えば、PVC)が膨張し、外側に広がる力と転写フィルムの転写面から画像を剥離する際のヒートローラによる巻き込み力とによって、カードに反り(カール)が発生する。このため、転写装置はカードの反りを矯正するデカール機構を備えており、カードに画像を転写した後、デカール機構を用いてカードの反りを矯正するためのデカール処理が行われる。
【0004】
例えば、特許文献1には、デカール処理を行う際に、カードをデカール機構に搬送して中央到達時点で停止させ、デカールユニット(押圧部材)を押し下げてユーザにより設定された時間、カードに対してデカール処理を行う技術が開示されている。この技術では、図23(A)に示すように、一面(図では下面)側に画像が転写され反りのあるカードの他面(図では上面)側をデカール機構を構成する押圧部材で所定時間(A秒)押圧することでカードの反りを矯正し(取り除き)、カードを180°回動(表裏面を反転)させて、図23(B)に示すように、他面(図では下面)側に画像が転写され反りのあるカードの一面(図では上面)側を押圧部材で同様に所定時間(A秒)押圧することでカードの反りを矯正する。すなわち、特許文献1の技術では、カードの片面のみに画像を転写する場合(図23(A))でもカードの両面に画像を転写する場合(図23(B)参照)でも、ともに同じ時間(A秒)デカールユニットでカードを押圧することでカードの反りを矯正し、取り扱いや見栄えに優れたカードを提供していた。
【0005】
なお、本発明に関連する技術として、特許文献2には、シートに対してジャム等の搬送不良を防止するための両面記録装置が開示されている。この装置では、シートを湾曲させながら通過させることでシートのカール状態を変化させる案内手段を備え、案内手段を通過させる時間を変化させることでシートのカール状態を矯正している。案内手段を通過させる時間は、用紙サイズ、紙厚、装置の周囲温度、湿度、任意設定、熱定着手段の定着温度、用紙温度に応じて決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−136783号公報(段落「0032」、「0053」〜「0055」参照)
【特許文献2】特開平9−025040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の技術では、両面転写の際に、カードの反りが一部相殺されることを考慮せず、カードの表裏面(一面および他面)に対しそれぞれ同じ時間(A秒)デカール処理を行っていた。カードの反りが表裏面で相殺されることを考慮していない点は、図23(C)〜(E)に示すように、デカール処理を施さない(デカール機構を有していない)場合と対比するとより鮮明になる。
【0008】
図23(C)は、片面転写および両面転写の場合に、一面(図では下面)側に画像が転写され反りのあるカードの他面(図では上面)側に対して押圧部材で押圧しない場合(デカール時間0秒)を示したもので、カードの反り量は大きい。図23(D)は、両面転写の場合に、図23(C)で示した反り量の大きなカードの表裏面を反転させて、他面(図では下面)側にヒートローラHRで画像を転写することにより、カードの反りが反対方向に形成された状態、すなわち、カードの他面および一面側の反り量が一部相殺され反り量が小さくなった状態を示している。図23(E)は、両面転写の場合に、他面(図では下面)側に画像が転写され反り量の小さいカードの一面(図では上面)側に対して押圧部材で押圧しない場合(デカール時間0秒)を示したものである。
【0009】
図23(D)に示すように、両面転写の際にカードの反り量が一部相殺されることを考慮すると、両面転写時にカードの他面側(図22(A)参照)および一面側(図22(B)参照)に対して必要以上にデカール処理を行っていたことが把握できる。また、両面転写時には、カードの両面に対してそれぞれ反対方向にデカール処理を施すため、カードに対する矯正量(特に押し込み量)が大きくなれば、デカール処理によってカードの劣化やカードに内蔵されたIC等の機能不全を惹起するおそれもある(図22(F)参照)。
【0010】
なお、特許文献2には、シートの材質や環境温度等に応じてデカール時間を変える技術が開示されているが、カードに対するものではなく、また、片面転写と両面転写とで矯正量を変えることについては開示されていない。
【0011】
本発明は上記事案に鑑み、カード状記録媒体の反りを効率的に矯正できるとともに記録媒体の劣化を防止可能な転写装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、転写装置であって、転写若しくは保護フィルムの転写面をカード状記録媒体の片面または両面に転写する転写手段と、両面転写時に前記記録媒体の表裏面を反転させる反転手段と、前記転写手段で前記転写面が転写された前記記録媒体の反りを矯正する矯正手段と、前記矯正手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、片面転写時の前記矯正手段による前記記録媒体に対する矯正量をA、両面転写時の前記矯正手段による前記記録媒体のいずれか一方の面に対する矯正量をB1、両面転写時の前記矯正手段による前記記録媒体のいずれか他方の面に対する矯正量をB2としたときに、A>B1>0、かつ、A>B2>0となるように前記矯正手段を制御することを特徴とする。第1の態様において、制御手段は、片面転写時の矯正手段による記録媒体に対する矯正量よりも両面転写時の矯正手段による記録媒体のそれぞれの面に対する矯正量の総和(B1+B2)が小さくなるように矯正手段を制御することが好ましい。
【0014】
本発明において、矯正手段は、転写手段で転写面が転写された記録媒体の面とは反対側の面を押圧することで記録媒体の反りを矯正し、制御手段は、矯正手段による反対側の面を押圧する時間および矯正手段による反対側の面に対する押し込み量の少なくとも一方を変化させることで矯正量を変化させるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明において、記録媒体の種類または材質情報を取得する第1の取得手段をさらに備え、制御手段は、第1の取得手段で取得された記録媒体の種類または材質情報に応じて矯正量を決定するようにしてもよい。さらに、インクリボンを介して転写フィルムの転写面に画像を形成する画像形成手段と、画像形成手段で形成される画像の画像データを取得する第2の取得手段と、を備え、制御手段は、第2の取得手段で取得された画像データの階調に応じて矯正量を決定するようにしてもよい。このとき、インクリボンおよび転写フィルムの少なくとも一方の種類情報を取得する第3の取得手段をさらに備え、制御手段は、第3の取得手段で取得されたインクリボンおよび転写フィルムの少なくとも一方の種類情報に応じて矯正量を決定するようにしてもよい。さらに、環境温度を検出する検出手段を備え、制御手段は、検出手段で検出された環境温度に応じて矯正量を決定するようにしてもよい。また、転写手段は、転写若しくは保護フィルムの転写面を記録媒体に熱定着させる熱定着体を有しており、制御手段は、熱定着体の定着温度および定着速度の少なくとも一方に応じて矯正量を決定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制御手段が、片面転写時の矯正手段による記録媒体に対する矯正量よりも両面転写時の片面に転写面が転写された際の矯正手段による記録媒体に対する矯正量B1またはB2が小さくなるように矯正手段を制御するので、効率的にカード状記録媒体の反りを矯正するとともに記録媒体の劣化を防止することができ、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明が適用可能な実施の形態の印刷装置を含む印刷システムの外観図である。
図2】実施形態の印刷装置の概略構成図である。
図3】ピンチローラとフィルム搬送ローラとが離反、プラテンローラとサーマルヘッドとが離反している待機ポジションにおけるカムによる制御状態の説明図である。
図4】ピンチローラとフィルム搬送ローラとが当接、プラテンローラとサーマルヘッドとが当接している印刷ポジションにおけるカムによる制御状態の説明図である。
図5】ピンチローラとフィルム搬送ローラとが当接、プラテンローラとサーマルヘッドとが当接している搬送ポジションにおけるカムによる制御状態の説明図である。
図6】印刷装置の待機ポジションの状態を説明する動作説明図である。
図7】印刷装置の搬送ポジションの状態を説明する動作説明図である。
図8】印刷装置の印刷ポジションの状態を説明する動作説明図である。
図9】フィルム搬送ローラとプラテンローラとその周辺部分を印刷装置に組み込むのに一体化した第1のユニットの構成を示す外観図である。
図10】ピンチローラおよびその周辺部分を印刷装置に組み込むのに一体化した第2のユニットの構成を示す外観図である。
図11】サーマルヘッドを印刷装置に組み込むのに一体化した第3のユニットの外観図である。
図12】実施形態の印刷装置のデカール機構のデカール動作を模式的に示す説明図であり、(A)は押圧部材が支持部材から離間した退避位置に位置した状態、(B)は押圧部材が支持部材に進出したデカール状態、(C)は(B)のデカール状態のうち支持部材に対し押圧部材を最も押し込んだ状態を示す。
図13】実施形態の印刷装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
図14】実施形態の印刷装置の制御部のマイコンのCPUが実行するカード発行ルーチンのフローチャートである。
図15】カード発行ルーチンのデカール処理の詳細を示すデカール処理サブルーチンのフローチャートである。
図16】デカール処理サブルーチンのデカール時間決定処理の詳細を示すデカール時間決定処理サブルーチンのフローチャートである。
図17】デカール処理サブルーチンのデカール押し込み量決定処理の詳細を示すデカール押し込み量決定処理サブルーチンのフローチャートである。
図18】他の実施形態の印刷装置の制御部のマイコンのCPUが実行するカード発行ルーチンのデカール処理の詳細を示すデカール処理サブルーチンのフローチャートである。
図19】さらに他の実施形態の印刷装置の制御部のマイコンのCPUが実行するカード発行ルーチンのデカール処理の詳細を示すデカール処理サブルーチンのフローチャートである。
図20】別の実施形態の印刷装置の制御部のマイコンのCPUが実行するカード発行ルーチンのデカール処理の詳細を示すデカール処理サブルーチンのフローチャートである。
図21】さらに別の実施形態の印刷装置の制御部のマイコンのCPUが実行するカード発行ルーチンのデカール処理の詳細を示すデカール処理サブルーチンのフローチャートである。
図22】実施形態の印刷装置のデカール機構によるデカール動作を模式的に示す説明図であり、(A)は片面転写時および両面転写時の一面に画像が転写されたカードの他面に対するデカール時間、(B)は両面転写時に一面に画像が転写されたカードの他面に画像を転写した際のカードの反り、(C)は両面転写時のカードの他面にも画像が転写されたカードの一面に対するデカール時間、(D)は両面転写時の一面に画像が転写されたカードの他面に対する押し込み量、(E)は両面転写時のカードの他面にも画像が転写されたカードの一面に対する押し込み量を示す。
図23】従来のデカール動作を模式的に示す説明図であり、(A)は片面転写時および両面転写時の一面に画像が転写されたカードの他面に対する従来のデカール動作、(B)は両面転写時のカードの他面にも画像が転写されたカードの一面に対する従来のデカール動作、(C)は片面転写時および両面転写時にデカール機構を有しない場合のカードの反り、(D)は両面転写時に一面に画像が転写されたカードの他面にも画像を転写した際のカードの反り、(E)は両面転写時にデカール機構を有しない場合のカードの反り、(F)はデカール動作によるカードの劣化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、カード(カード状記録媒体)に文字や画像を印刷記録するとともに、カードに磁気的ないし電気的な情報記録を行う印刷装置に適用した実施の形態について説明する。
【0019】
<システム構成>
図1および図13に示すように、本実施形態の印刷装置1は印刷システム200の一部を構成している。すなわち、印刷システム200は、大別して、上位装置201(例えば、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ)と、印刷装置1とで構成されている。
【0020】
印刷装置1は、図示を省略したインターフェースを介して、上位装置201に接続されており、上位装置201から印刷装置1に画像データや磁気的ないし電気的記録データ等を送信して、記録動作等を指示することが可能である。なお、印刷装置1は、オペパネ部(操作表示部)5を有しており(図13参照)、上位装置201からの記録動作指示の他、オペパネ部5からの記録動作指示も可能である。
【0021】
上位装置201には、デジタルカメラやスキャナ等の画像入力装置204、上位装置201に命令やデータを入力するためのキーボードやマウス等の入力装置203、上位装置201によって生成されたデータ等の表示を行なう液晶ディスプレイ等のモニタ202が接続されている。
【0022】
<印刷装置>
図2に示すように、印刷装置1はハウジング2を有しており、ハウジング2内に情報記録部Aと、印刷部Bと、媒体収容部Cと、収容部Dと、回動ユニットFとを備えている。
【0023】
(情報記録部)
情報記録部Aは、磁気記録部24と、非接触式IC記録部23と、接触式IC記録部27とで構成されている。
【0024】
(媒体収容部)
媒体収容部Cは、複数枚のカードを立位姿勢で整列して収納しており、その先端には分離開口7が設けられており、ピックアップローラ19で最前列のカードから順次繰り出して供給する。
【0025】
(回動ユニット)
繰り出されたブランクのカードは、搬入ローラ22で回動ユニットFに送られる。回動ユニットFはハウジング2に回動可能に軸支された回動フレーム80と、このフレームに支持された2つのローラ対20、21で構成されている。そして、ローラ対20、21は回動フレーム80に回転自在に軸支持されている。
【0026】
回動ユニットFが回動する外周には、上述した磁気記録部24、非接触式IC記録部23および接触式IC記録部27が配置されている。そして、ローラ対20、21は、これらの情報記録部23、24、27のいずれかに向けてカードを搬送するための媒体搬送路65を形成し、これらの記録部でカードには磁気的若しくは電気的にデータが書き込まれる。なお、回動ユニットFの近傍には、環境温度(外気温)を検出するサーミスタ等の温度センサThが配置されている。
【0027】
(印刷部)
印刷部Bは、カードの表裏面に顔写真、文字データなど画像を形成するもので、媒体搬送路65の延長上にカードを移送する媒体搬送経路P1が設けられている。また、媒体搬送経路P1にはカードを搬送する搬送ローラ29、30が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。
【0028】
印刷部Bはフィルム状媒体搬送機構を有しており、この搬送機構により搬送される転写フィルム46に対して、サーマルヘッド40で画像を形成する画像形成部B1と、続いてヒートローラ33により媒体搬送経路P1上のカードの表面に転写フィルム46に形成された画像を転写する転写部B2とを備えている。
【0029】
印刷部Bの下流側には、媒体搬送経路P1の延長線上に、収容スタッカ60に印刷後のカードを移送する媒体搬送経路P2が設けられている。媒体搬送経路P2にはカードを搬送する搬送ローラ対37、38が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。
【0030】
搬送ローラ対37と搬送ローラ対38の間にはデカール機構10が配置されている。デカール機構10は、搬送ローラ対37、38で両端部が挟持(ニップ)されたカードの中央部を押圧することにより、ヒートローラ33による熱転写でカードに生じた反りを矯正する。デカール機構10は偏心カム36を含む構成により図2に示す上下方向で進退可能に構成されているが、その詳細については後述する。
【0031】
(収容部)
収容部Dは、印刷部Bから送られたカードを収容スタッカ60に収容するように構成されている。収容スタッカ60は、昇降機構61にて図2で下方に移動するように構成されている。
【0032】
(印刷部詳細)
次に、上述した印刷装置1の全体構成の中で印刷部Bについて、さらに詳しく説明する。
【0033】
転写フィルム46は、カードの幅方向より若干大きな幅を有する帯状を呈しており、上から順に、インクリボン41のインクを受容するインク受容層、インク受容層の表面を保護する透明の保護層、加熱によりインク受容層および保護層を一体に剥離を促進するための剥離層、基材(ベースフィルム)の順で積層されて形成されている。
【0034】
転写フィルム46は、モータMr2、Mr4の駆動により転写フィルムカセット内の回転する巻取ロールと操出ロールにそれぞれ巻き取りないし繰り出される。すなわち、転写フィルムカセット内には、巻取ロールの中心に巻取スプール47、操出ロールの中心に供給スプール48が配されており、巻取スプール47には図示しないギアを介してモータMr2の回転駆動力が伝達され、供給スプール48には図示しないギアを介してモータMr4の回転駆動力が伝達される。フィルム搬送ローラ49は、転写フィルム46を移送する主要な駆動ローラであり、このローラ49の駆動を制御することで転写フィルム46の搬送量および搬送停止位置が決まる。このフィルム搬送ローラ49は不図示のステッピングモータに連結されている。フィルム搬送ローラ49の駆動時にモータMr2、Mr4も駆動するが、巻取スプール47、供給スプール48のいずれ一方から繰り出された転写フィルム46をいずれか他方で巻き取るためのものであって、転写フィルム46を搬送の主体となって駆動するものではない。なお、モータMr2およびモータMr4には正逆転可能なDCモータが用いられている。
【0035】
フィルム搬送ローラ49の周面には、ピンチローラ32aとピンチローラ32bとが配置されている。ピンチローラ32a、32bは、図2では示されていないが、フィルム搬送ローラ49に対して進出および退避するよう移動可能に構成されており、図の状態はフィルム搬送ローラ49に進出して圧接することで転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に巻き付けている。これにより、転写フィルム46はフィルム搬送ローラ49の回転数に応じた距離の正確な搬送が行われる。
【0036】
インクリボン41はインクリボンカセット42に収納され、このカセット42にインクリボン41を供給する供給スプール43とインクリボン41を巻き取る巻取スプール44との間で張架された状態で収容されており、巻取スプール44はモータMr1の駆動力で回転し、供給スプール43はモータMr3の駆動力で回転する。モータMr1およびモータMr3には正逆転可能なDCモータが用いられている。また、モータMr1、Mr3の間には、モータMr1、Mr3の雰囲気温度を測定するサーミスタ等の温度センサThが配置されている。
【0037】
インクリボン41は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のカラーリボンパネルとBk(ブラック)リボンパネルとを長手方向に面順次に繰り返すことで構成されている。また、インクリボン41の終端部には、インクリボン41の使用限界を表すエンプティマークが付されている。図2に示すSe2は、このエンプティマークを検出するための透過型センサである。
【0038】
プラテンローラ45とサーマルヘッド40とは画像形成部B1を構成しており、プラテンローラ45に対向する位置にサーマルヘッド40が配置されている。サーマルヘッド40は主走査方向に列設された複数の加熱素子を有しており、これらの加熱素子はヘッドコントロール用IC(図示せず)により印刷データに従って選択的に加熱制御され、インクリボン41を介して転写フィルム46に画像を印刷する。なお、冷却ファン39はサーマルヘッド40を冷却するためのものである。
【0039】
転写フィルム46への印刷が終了したインクリボン41は、剥離コロ25と剥離部材28とで転写フィルム46から引き剥がされる。剥離部材28はインクリボンカセット42に固設されており、剥離コロ25は印刷時に剥離部材28に当接して両者で転写フィルム46とインクリボン41とを挟持することで剥離が行われる。そして、剥離されたインクリボン41はモータMr1の駆動力で巻取スプール44に巻き取られ、転写フィルム46はフィルム搬送ローラ49により、プラテンローラ31とヒートローラ33とを有する転写部B2まで搬送される。
【0040】
転写部B2では、転写フィルム46はカードとともにヒートローラ33およびプラテンローラ31とで挟持されて、転写フィルム46上の画像がカード表面に転写される。なお、ヒートローラ33は、転写フィルム46を介してプラテンローラ31に圧接・離間するように昇降機構(不図示)に取り付けられている。
【0041】
画像形成部B1の構成をその作用とともにさらに詳しく説明する。図3図5に示すように、ピンチローラ32a、32bはピンチローラ支持部材57の上端部と下端部にそれぞれ支持されており、ピンチローラ支持部材57はその中央部を挿通する支持シャフト58に回動自在に支持されている。支持シャフト58は、図10に示すように、両端部がピンチローラ支持部材57に形成された長穴76、77に架け渡されているとともに、中間部でブラケット50の固定部78にて固定されている。また、長穴76、77は支持シャフト58に対して水平方向および垂直方向に空間を持たせている。これにより、後述するフィルム搬送ローラ49に対するピンチローラ32a、32bの調整が可能となる。
【0042】
支持シャフト58にはバネ部材51(51a、51b)が装着されており、ピンチローラ支持部材57のピンチローラ32a、32bが装着される側の端部は、それぞれバネ部材51と接してそのバネ力によりフィルム搬送ローラ49の方向へ付勢されている。
【0043】
ブラケット50は、カム受81でカム53のカム作動面と当接しており、駆動モータ54(図10参照)の駆動力で回動するカム軸82を支点とするカム53の矢印方向への回動に応じてフィルム搬送ローラ49に対して図で左右方向に移動するように構成されている。従って、ブラケット50がフィルム搬送ローラ49に向けて進出したとき(図4および図5)、ピンチローラ32a、32bはバネ部材51に抗して転写フィルム46を挟んでフィルム搬送ローラ49に圧接し、転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に巻き付ける。
【0044】
このとき、ブラケット50の回動支点となる軸95から遠い位置にあるピンチローラ32bがまずフィルム搬送ローラ49を圧接し、続いてピンチローラ32aが圧接する。このように、回動支点である軸95をフィルム搬送ローラ49より上方に配置することで、ピンチローラ支持部材57は平行移動ではなく回動しながらフィルム搬送ローラ49と当接することになり、平行移動させるよりも幅方向のスペースが少なくてすむ利点がある。
【0045】
また、ピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49へ圧接したときの圧接力は、バネ部材51により転写フィルム46の幅方向の対して均一となる。その際、ピンチローラ支持部材57の両側に長穴76、77が形成され支持シャフト58は固定部78で固定されているために、ピンチローラ支持部材57を3方向に調整することができ、フィルム搬送ローラ49の回転により転写フィルム46はスキューを起こすことなく正しい姿勢にて搬送される。なお、ここで言う3方向の調整とは、(i)フィルム搬送ローラ49に対してピンチローラ32a、32bの軸方向の圧接力を均一にするために、フィルム搬送ローラ49の軸に対するピンチローラ32a、32bの軸の水平方向の平行度を調整すること、(ii)フィルム搬送ローラ49に対するピンチローラ32aの圧接力とフィルム搬送ローラ49に対するピンチローラ32bの圧接力とを均一にするために、フィルム搬送ローラ49に対するピンチローラ32aとピンチローラ32bとの移動距離を調整すること、および(iii)フィルム進行方向に対してピンチローラ32a、32bの軸が垂直になるように、フィルム搬送ローラ49の軸に対するピンチローラ32a、32bの軸の垂直方向の平行度を調整することである。
【0046】
さらに、ブラケット50には、ブラケット50がフィルム搬送ローラ49に向けて進出したとき、転写フィルム46のフィルム搬送ローラ49に巻き付けられていない部分と当接する張力受け部材52とが設けられている。
【0047】
張力受け部材52は、ピンチローラ32a、32bが転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に圧接した際に生じる転写フィルム46の張力により、ピンチローラ32a、32bがそれぞれバネ部材51の付勢力に抗してフィルム搬送ローラ49から退避するのを防止するために設けられている。このため、張力受け部材52は、ピンチローラ32a、32bより図で左の位置で転写フィルム46と当接するようブラケット50の回動側端部の先端に取り付けられている。図2は張力受け部材52が転写フィルム46と当接している状態を示している。
【0048】
これにより、転写フィルム46の弾性から生じる張力は張力受け部材52を通してカム53にて直接受け止めることができる。従って、この張力によりピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49から退避してピンチローラ32a、23bの圧接力が弱まることが防止されるので、転写フィルム46のフィルム搬送ローラ49への密着した巻き付け状態が維持されて正確な搬送を行うことができる。
【0049】
転写フィルム46の横幅方向に沿って配置されたプラテンローラ45は、図9に示すように、軸71を支点として回動自在な一対のプラテン支持部材72に支持されている。一対のプラテン支持部材72はプラテンローラ45の両端を支持している。プラテン支持部材72はそれぞれ、軸71を共通の回動軸とするブラケット50Aの端部にバネ部材99を介して接続されている。
【0050】
ブラケット50Aは、基板87と、この基板87からのプラテン支持部材72の方向に折り曲げて形成されたカム受支持部85とを有しており、カム受支持部85でカム受84を保持している。基板87とカム受支持部85との間には、駆動モータ54にて駆動するカム軸83を支点に回動するカム53Aが配設されており、カム作動面とカム受84とが当接するよう構成されている。従って、カム53Aの回動によりブラケット50Aがサーマルヘッド40の方向へ進出すると、プラテン支持部材72も移動してプラテンローラ45はサーマルヘッド40に圧接する。
【0051】
このようにブラケット50Aとプラテン支持部材72との間にバネ部材99とカム53Aとを上下に配置することにより、このプラテン移動ユニットはブラケット50Aとプラテン支持部材72との間隔内に収めることができる。また、幅方向はプラテンローラ45の幅内に収めることができ省スペース化を図ることができる。
【0052】
また、カム受支持部85は、プラテン支持部材72に形成した穿孔部72a、72b(図9参照)に嵌合しているため、カム受支持部85をプラテン支持部材72の方向に突設しても、ブラケット50Aとプラテン支持部材72との間隔が広がることがなく、その面でも省スペース化を図ることができる。
【0053】
プラテンローラ45はサーマルヘッド40に圧接したとき、それぞれのプラテン支持部材72に接続されたバネ部材99は、それぞれ転写フィルム46の幅方向への圧接力が均一となるように作用する。このため、転写フィルム46がフィルム搬送ローラ49により搬送されるときスキュー(斜行)が防止され、転写フィルム46の印刷領域が幅方向にずれることがなくサーマルヘッド40による転写フィルム46への画像形成を正確に行うことができる。
【0054】
ブラケット50Aの基板87には、剥離コロ25の両端を支持する一対の剥離コロ支持部材88がバネ部材97を介して設けられており、剥離コロ25は、ブラケット50Aがカム53Aの回動によりサーマルヘッド40に対し進出したとき、剥離部材28と当接して両者で挟持された転写フィルム46とインクリボン41とを剥離する。剥離コロ支持部材88もプラテン支持部材72と同様に剥離コロ25の両端にそれぞれ設けられており、剥離部材28に対する幅方向の圧接力が均一となるように構成されている。
【0055】
ブラケット50Aの軸支59側の端部と反対側の端部には、張力受け部材52Aが設けられている。張力受け部材52Aは、プラテンローラ45と剥離コロ25とをサーマルヘッド40と剥離部材28とにそれぞれ圧接する際に生じる転写フィルム46の張力を吸収するように設けられている。バネ部材99とバネ部材97は、転写フィルム46の幅方向への圧接力を均一にするために設けられるが、逆にバネ部材99、97が転写フィルム46の張力に負けて転写フィルム46への圧接力が弱まってしまわないように、張力受け部材52Aにより転写フィルム46からの張力を受けている。なお、張力受け部材52Aも上述の張力受け部材52と同様にブラケット50Aに固定されているため、転写フィルム46の張力はブラケット50Aを介してカム53Aで受けることになるので、転写フィルム46の張力に負けることはない。これにより、サーマルヘッド40とプラテンローラ45との圧接力および、剥離部材28と剥離コロ25との圧接力が保たれるので、良好な印刷および剥離を行うことができる。また、フィルム搬送ローラ49の駆動時に転写フィルム46の搬送量に誤差を生じることがなく、印刷領域の長さ分が正確にサーマルヘッド40に搬送されて精度よく印刷できる。
【0056】
カム53とカム53Aとは、ベルト98(図3参照)が張架されており同一の駆動モータ54により駆動される。
【0057】
印刷部Bが図6に示す待機ポジションにあるときカム53およびカム53Aは図3に示す状態にあり、ピンチローラ32a、32bはフィルム搬送ローラ49に圧接しておらず、またプラテンローラ45はサーマルヘッド40に圧接していない。換言すると、待機ポジションにあるときは、プラテンローラ45とサーマルヘッド40とは両者が離間した離間位置に位置している。
【0058】
そして、カム53およびカム53Aが連動して回転して図4に示す状態となると、印刷部Bは図7に示す印刷ポジションに移行する。その際、まずピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49に転写フィルム46を巻き付けるとともに、張力受け部材52は転写フィルム46と当接する。その後プラテンローラ45がサーマルヘッド40に圧接する。この印刷ポジションでは、プラテンローラ45がサーマルヘッド40に向けて移動して転写フィルム46とインクリボン41を挟み圧接して、剥離ローラ25が剥離部材28と接している。
【0059】
この状態で、フィルム搬送ローラ49の回転により転写フィルム46の搬送が開始されると、同時にインクリボン41もモータMr1の動作により巻取スプール44により巻き取られて同じ方向に搬送される。この搬送の間、転写フィルム46に設けた位置出し用マークがセンサSe1を通過して所定量移動し、転写フィルム46が印刷開始位置に到達した時点で、転写フィルム46の所定領域にサーマルヘッド40による印刷が行われる。特に印刷中は転写フィルム46の張力が大きくなるため、転写フィルム46の張力はフィルム搬送ローラ46からピンチローラ32a、32bを離間させる方向および、剥離部材28とサーマルヘッド40から剥離コロ25とプラテンローラ45とを離間させる方向に働く。しかし、上述したように、転写フィルム46の張力は張力受け部材52、52Aが受けているため、ピンチローラ32a、32bの圧接力が弱くなることがなく、正確なフィルム搬送を行うことができ、サーマルヘッド40とプラテンローラ45との圧接力および、剥離部材28と剥離コロ25との圧接力も弱くなることがないため、正確な印刷および剥離を行うことができる。印刷終了後のインクリボン41は転写フィルム46から引き剥がされて巻取スプール44に巻き取られる。
【0060】
転写フィルム46の搬送による移動量、すなわち印刷が施される印刷領域の搬送方向の長さは、フィルム搬送ローラ49に設けられたエンコーダ(不図示)で検出され、それに応じてフィルム搬送ローラ49の回転が停止し、同時にモータMr1の動作による巻取スプール44による巻き取りも停止する。これにより、転写フィルム46の印刷領域への最初のインクパネルのインクによる印刷が終了する。
【0061】
次に、カム53およびカム53Aが連動してさらに回転し図5に示す状態となると、印刷部Bは図8に示す搬送ポジションに移行して、プラテンローラ45はサーマルヘッド40から退避する方向に復帰する。この状態では依然として、ピンチローラ32a、32bはフィルム搬送ローラ49に転写フィルム46を巻き付けて、張力受け部材52は転写フィルム46と接しており、フィルム搬送ローラ49の逆方向の回転により転写フィルム46は初期位置にまで逆搬送される。このときも転写フィルム46の移動量はフィルム搬送ローラ49の回転によって制御されるが、印刷が施された印刷領域の搬送方向の長さ分が逆搬送される。なお、インクリボン41もモータMr3により所定量巻き戻され、次に印刷するインクのインクパネルを初期位置(頭出し位置)に待機させる。
【0062】
そして、カム53、53Aによる制御状態は再び図4に示す状態となって図7に示す印刷ポジションとなり、プラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接させ、フィルム搬送ローラ49が再び正方向への回転を行って転写フィルム46を印刷領域の長さ分移動させると、サーマルヘッド40にて次のインクパネルのインクによる印刷が行われる。
【0063】
このように、印刷ポジションと搬送ポジションでの動作は全てまたは所定のインクパネルのインクによる印刷が終了するまで繰り返される。そして、サーマルヘッド40による印刷が終了すると、転写フィルム46に画像形成された領域をヒートローラ33まで搬送するが、このときカム53および53Aは図3に示す状態に移動して、転写フィルム46への圧接を解除する。その後、巻取スプール47の駆動で転写フィルム46を搬送しながらカードへの転写が行われる。
【0064】
このような印刷部Bは、3つのユニット90、91、92に分割されている。
【0065】
図9に示すように、第1のユニット90は、ユニット枠体75にモータ54(図10参照)の駆動により回転する駆動軸70を装架しており、駆動軸70にフィルム搬送ローラ49を装着している。フィルム搬送ローラ49の下方には、ブラケット50Aと一対のプラテン支持部材72とが配置されており、これら部材はユニット枠体75の両側板に装架される軸71に回動自在に支持されている。
【0066】
図9では、プラテン支持部材72に形成した穿孔部72a、72bからブラケット50Aの一部である一対のカム受支持部85が現れている。カム受支持部85は、その後方に配置される一対のカム受84を保持する。そして、カム受84のさらに後方には、ユニット枠体75を挿通しているカム軸83に装着されるカム53Aが配置されている。カム軸83はユニット枠体75の両側板に装架される。
【0067】
上述したサーマルヘッド40は、転写フィルム46とインクリボン41の搬送パスを挟みプラテンローラ45と対向する位置に配置されている。図11に示すように、サーマルヘッド40、加熱に関する部材および冷却ファン39は第3のユニット92に一体化しており、第1のユニット90に対向して配置されている。
【0068】
第1のユニット90は、移動可能なブラケット50Aにより、印刷動作で位置が変動するプラテンローラ45と剥離コロ25と張力受け部材52Aとを一括して保持することで、これら部材間の位置調整が不要となる。しかも、カム53の回動によりブラケット50Aを移動させることでこれら部材を所定の位置にまで移動させることができる。また、ブラケット50Aを設けたことで、固定のフィルム搬送ローラ49と同一のユニットに収納でき、転写フィルムを精度良く搬送しなければならないフィルム搬送ローラ49による搬送駆動部分と、プラテンローラ45による転写位置規制部分とが同じユニットに含まれるために両者間の位置調整が不要となる。
【0069】
図10に示すように、第2のユニット91は、ユニット枠体55にカム53が装着されるカム軸82を挿通させて、カム軸82を駆動モータ54の出力軸に連結している。そして、第2のユニット91は、カム53と当接するようブラケット50をユニット枠体55に移動自在に支持しており、ブラケット50には、ピンチローラ支持部材57を回動自在に支持している支持シャフト58と張力受け部材52とが固設されている。
【0070】
ピンチローラ支持部材57には、支持シャフト58にバネ部材51a、51bが取り付けられており、その端部をピンチローラ32a、32bを支持するピンチローラ支持部材57の両端にそれぞれ当接させて、フィルム搬送ローラ49の方向へ付勢している。ピンチローラ支持部材57は、長穴76、77に支持シャフト58が挿入されており、支持シャフト58は中央部でブラケット50に固定支持されている。
【0071】
ブラケット50とピンチローラ支持部材57との間には、ピンチローラ支持部材57をブラケット50に向けて付勢するバネ89が設けられている。このバネ89によりピンチローラ支持部材57は第1のユニット90のフィルム搬送ローラ49から後退する方向に付勢されるため、転写フィルムカセットを印刷装置1にセットするときに第1のユニット90と第2のユニット91の間に転写フィルム46を容易に通すことができる。
【0072】
第2のユニット91は、印刷動作に応じて位置が変動するピンチローラ32a、32bと張力受け部材52とをブラケット50Aで保持し、カム53の回動によりブラケット50Aを移動させることでピンチローラ32a、32bと張力受け部材52とを移動させるため、両者間の位置調整やピンチローラ32a、32bとフィルム搬送ローラ49との位置調整が簡略化される。このような第2のユニット91は、転写フィルム46を挟み第1のユニット90に対向して配置されている。
【0073】
このようにユニット化することで第1のユニット90、第2のユニット91および第3のユニット92は、転写フィルム46やインクリボン41の各カセットと同様に、それぞれ印刷装置1の本体から引き出すことも可能となる。従って、転写フィルム46やインクリボン41の消耗によるカセットの交換時にこれらユニット90、91、92も必要に応じてユニットを取り出しておけばカセット挿入時の転写フィルム46やインクリボン41を簡単に装置内に装架することができる。
【0074】
上述したように、プラテンローラ45とブラケット50Aとカム53Aとプラテン支持部材72とを一体化した第1のユニット90と、ピンチローラ32a、32bとブラケット50とカム53とバネ部材51とを一体化した第2のユニット91とを組み合わせるとともに、サーマルヘッド40が取り付けられた第3のユニット92をプラテンローラ45に対向して配置して組み付けることで、印刷装置の製造時における組み立てやメンテナンス時の調整を容易且つ正確に行うことができる。また、一体化したことで装置からの取り外しも容易に行え、印刷装置の取扱い性が向上する。
【0075】
(デカール機構詳細)
次に、上述したデカール機構10の詳細について説明する。図12に示すように、デカール機構10は、偏心カム36と、凸状に湾曲した面を有する押圧部材34と、押圧部材34の湾曲した面に対応する凹状に湾曲した面を有する支持部材35とを有して構成されている。
【0076】
図12(A)に示すように、デカール機構10の非動作時には、押圧部材34は退避位置に位置付けられており、押圧部材34と支持部材35とは媒体搬送経路P2(図2も参照)を介して対峙するように離間して配置されている。押圧部材34には、凸状に湾曲した面とは反対側の面の中央部にコロが固着しており、このコロが偏心カム36の周面に当接している。偏心カム36の軸芯(図2も参照)には複数のギア(不図示)を介して図示しないモータからの回転駆動力が伝達される。
【0077】
搬送ローラ対37、38で両端部を挟持されたカードに対して、図示しないモータからの回転駆動力を偏心カム36の軸芯に伝達し偏心カム36を回動させることで、図12(B)に示すように、押圧部材34は媒体搬送路P2を越えて支持部材35側に進出する。従って、本実施形態では、カードは、支持部材35の凹状に湾曲した面と押圧部材34の凸状に湾曲した面との間に挟まれ、カードの反りとは反対の反りが押圧部材34および支持部材35から加えられることで矯正される。
【0078】
図12(C)は、図12(B)に示したデカール状態のうち支持部材35に対し押圧部材34を最も押し込んだ状態を示している。支持部材35と搬送ローラ対37、38をそれぞれ構成する従動ローラ(図12(C)の下側のローラ)は、図12(C)の矢印に示すように媒体搬送経路P2と交差する方向(図12(C)の上下方向)にスライド可能に設けられており、バネ14、15で押圧部材34側に付勢されている。なお、支持部材35は搬送ローラ対37、38の従動ローラ側の軸受に固定されている。
【0079】
次に、印刷装置1の制御および電気系統について説明する。図13に示すように、印刷装置1は、印刷装置1全体の動作制御を行う制御部100と、商用交流電源から各機構部および制御部等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部120とを有している。
【0080】
(制御部)
図13に示すように、制御部100は、印刷装置1の全体の制御処理を行うマイクロコンピュータ102(以下、マイコン102と略称する。)を備えている。マイコン102は、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、印刷装置1のプログラムやプログラムデータが記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAM、およびこれらを接続する内部バスで構成されている。
【0081】
マイコン102には外部バスが接続されている。外部バスには、上位装置201との通信を行うための図示を省略したインターフェース、カードに印刷すべき印刷データやカードの磁気ストライプや収容ICに磁気的ないし電気的に記録すべき記録データ等を一時的に格納するバッファメモリ101が接続されている。
【0082】
また、外部バスには、各種センサからの信号を制御するセンサ制御部103、各モータに駆動パルスや駆動電力を供給するモータドライバ等を含むアクチュエータ制御部104、サーマルヘッド40を構成する発熱素子への熱エネルギを制御するためのサーマルヘッド制御部105、オペパネ部5を制御するための操作表示制御部106および上述した情報記録部Aが接続されている。
【0083】
(電源部)
電源部120は、制御部100、サーマルヘッド40、ヒートローラ33、オペパネ部5および情報記録部A等に作動/駆動電源を供給している。
【0084】
<デカール処理>
次に、図22を参照して、本実施形態の印刷装置1のデカール機構10によるデカール処理(動作)について説明する。なお、一般にカードには両面転写(両面印刷)が多く行われることから、以下では両面転写の場合を中心に説明する。
【0085】
図22(A)は、一面(図では下面、例えば表面)側に画像が転写された反りのあるカードの他面(図では上面)側に対してデカール機構10でデカール処理を施す場合の時間(デカール時間)を模式的に示したものである。ここで、デカール時間とは、本来、押圧部材34の凸状に湾曲した面の最下端がカードに接触(当接)するときを開始時刻としカードとの接触が解除されるときを終了時刻として開始時刻と終了時刻との間の時間をいうが、カードの種類等によって反りの状態が区々となり開始時刻が変動することから、本実施形態では、反りのない(水平な)カードに対して押圧部材34の凸状に湾曲した面の最下端がカードの中央部に当接するときを開始時刻とし押圧部材34の凸状に湾曲した面の最下端がカードの中央部に当接した位置に戻るときを終了時刻として開始時刻と終了時刻との間の時間として設定されている。本実施形態では、片面転写時のデカール時間はA秒、両面転写時のデカール時間はA’秒に設定されている。ここで、A’は0≦A’<Aの関係にある。図22(B)は、両面転写の場合に、図22(A)で示したデカール処理の後のカードを回動ユニットFで180°回動(表裏面を反転)させて、他面(図では下面、例えば裏面)側にヒートローラ33で画像を転写することにより、カードの反りが反対方向に形成された状態を示している。図22(C)は、両面転写の場合に、図22(B)に示したカードの反りを矯正するために、カードの一面(図では上側)に対してデカール機構10でデカール処理を施す場合のデカール時間を模式的に示したものである。本実施形態では、デカール時間はB’秒に設定されている。ここで、0<(A’+B’)<Aの関係にある。
【0086】
すなわち、本実施形態の印刷装置1では、両面転写時のデカール機構10によるデカール時間は次のように設定されている。
(1)片面転写時のデカール時間A(秒)よりも、両面転写時の他面に対するデカール時間A’(秒)が小さく(短く)(図22(A)参照)、
(2)片面転写時のデカール時間A(秒)よりも、両面転写時の両面(一面および他面)併せてのデカール時間(A’+B’)(秒)が小さい(短い)(図22(C)参照)。
【0087】
上記はデカール時間を変化させることでデカール量(矯正量)を変化させる場合であるが、デカール機構10(押圧部材34)によるカードに対する押し込み量を変化させることでデカール量を変化させるようにしてもよい。ここで、押し込み量とは、本来、押圧部材34の凸状に湾曲した面の最下端がカードに接触(当接)する位置を基準としカードに対して最も押し込んだ位置までの距離をいうが、カードの種類等によって反りの状態が区々となり接触する位置が変動することから、本実施形態では、反りのない(水平な)カードに対して押圧部材34の凸状に湾曲した面の最下端がカードの中央部に当接する位置を基準としてカードに対して何mmカードの反りとは反対方向(下方向)へ押し込んだかを示す量として設定されている。図22(D)、(E)はこのような態様を示したものであり、それぞれ図22(A)、(C)に対応している。この押込み量は偏心カム36の形状と回転量によって変化する。
【0088】
すなわち、図22(D)、(E)に示す態様では、両面転写時のデカール機構10による押し込み量が次のように設定されている。
(3)片面転写時の押し込み量a(mm)よりも、両面転写時の他面に対する押し込み量a’(mm)が小さく(図22(D)参照)、
(4)片面転写時の押し込み量a(mm)よりも、両面転写時の両面(一面および他面)併せての押し込み量(a’+b’)(mm)が小さい(図22(E)参照)。
【0089】
なお、上述したように、デカール量を変化させるにはデカール時間を変化させても押し込み量を変化させてもよいが、デカール時間および押し込み量をそれぞれ変化させるようにしてもよい。A’、B’のデカール時間やa’、b’の押し込み量は、それぞれ後述するようにカードの種類等によって決定される。
【0090】
<動作>
次に、フローチャートを参照して、本実施形態の印刷装置1によるカード発行動作について、マイコン102のCPU(以下、単にCPUという。)を主体としてデカール機構10に対する制御を中心に説明する。なお、印刷装置1を構成する各部材はホーム(初期)位置に位置付けられ(例えば、図2に示す状態)、ROMに格納されたプログラムおよびプログラムデータをRAMに展開する初期設定処理が終了し、上位装置201から印刷データ等を受信済みのものとして説明する。すなわち、CPUは、上位装置201から一面(片面印刷の場合)または一面および他面(両面印刷の場合)用の印刷データ(Bkの印刷データ、Y、M、Cの色成分印刷データ)並びに磁気ないし電気的記録データを受信しバッファメモリ101に格納しているものとして説明する。また、印刷部B(画像形成部B1、転写部B2)の動作については既に説明したので、重複を避けるために簡単に説明する。
【0091】
図14に示すように、カード発行ルーチンでは、ステップ302において、画像形成部B1で、転写フィルム46の転写面の所定領域に一面(例えば表面)用の画像(鏡像)を形成する一次転写処理を行う。すなわち、バッファメモリ101に格納されたY、M、Cの色成分印刷データおよびBkの印刷データに従って画像形成部B1のサーマルヘッド40を制御することで、転写フィルム46にインクリボン41のY、M、CおよびBkインクによる画像を形成する。CPUは、サーマルヘッド制御部105を介して印刷データを1ラインごとにサーマルヘッド40側に出力することで、主走査方向に列設された発熱素子を選択的に加熱させてサーマルヘッド40を駆動する。
【0092】
ステップ302での一次転写処理と並行して、ステップ304において、CPUは、媒体収容部Cからカードを繰り出し、磁気ないし電気的記録データに基づいて、情報記録部Aを構成する磁気記録部24、非接触式IC記録部23、接触式IC記録部27のうちいずれかまたは複数でカードの対する記録処理を行った後、カードを転写部B2に搬送する。
【0093】
次のステップ306では、転写部B2において、転写フィルム46の転写面に形成された画像をカードの一面に転写する二次転写処理を行う。なお、CPUは、この二次転写処理に先だって、ヒートローラ33(熱定着体)を構成するヒータの温度が所定温度に到達しているように制御するとともに、カードと転写フィルム46の転写面に形成された画像とが同期して転写部B2に到着するように制御する。
【0094】
次いで、ステップ308では、カードの他面側を押圧部材34で押圧することでカードの反りを矯正するデカール処理を実行する(図22(A)、(D)も参照)。図15はデカール処理の詳細を示すデカール処理サブルーチンを示したものである。デカール処理サブルーチンでは、まず、ステップ332において、カードの一面に画像が転写されたカードをデカール機構10に搬送する。厳密には、カードの長手方向中央が押圧部材34の湾曲した面の最下端に対応する位置まで搬送する。次にステップ334において、デカール時間およびデカール押し込み量を決定する。図16はデカール時間決定処理サブルーチン、図17はデカール押し込み量決定サブルーチンを示したものである。
【0095】
図16に示すように、デカール時間決定処理サブルーチンでは、ステップ342において、カードの一面に画像が転写された場合に対するデカール処理か否かを判断し、否定判断のとき(カードの他面に画像が転写された場合に対するデカール処理のとき)は、ステップ344において、カードの種類または材質がPVC、PET−G(ポリエステル樹脂)、剥離シート(剥離可能な粘着シート)、PCのいずれかを判断し、PVCの場合にはデカール時間をB’秒(例えば、2秒)に決定し(ステップ346)、PET−Gの場合にはデカール時間をB’秒(例えば、2秒)に決定し(ステップ348)、剥離シートの場合にはデカール時間をB’秒(例えば、0秒)に決定し(ステップ350)、PCの場合にはデカール時間をB’秒(例えば、2秒)に決定して(ステップ352)、図15のステップ334に戻る。なお、カードの種類または材質情報は予め上位機器201側からユーザが入力してもオペパネ部5から入力するようにしてもよい。
【0096】
一方、ステップ342で肯定判断のときは、ステップ354において、カードの他面に対するデカール処理を行う必要がないか否かを判断し、否定判断のとき(カードの一面に画像が転写された場合に対するデカール処理のとき)は、ステップ354において、カードの種類または材質がPVC、PET−G、剥離シート、PCのいずれかを判断し、PVCの場合にはデカール時間をA’秒(例えば、0秒)に決定し(ステップ358)、PET−Gの場合にはデカール時間をA’秒(例えば、0秒)に決定し(ステップ360)、剥離シートの場合にはデカール時間をA’秒(例えば、5秒)に決定し(ステップ362)、PCの場合にはデカール時間をA’秒(例えば、0秒)に決定して(ステップ364)、図15のステップ334に戻る。なお、両面転写の場合には、図14のステップ308のデカール処理はステップ356〜364の処理を経ることとなる。
【0097】
ステップ354で肯定判断のときは、ステップ366において、カードの種類または材質がPVC、PET−G、剥離シート、PCのいずれかを判断し、PVCの場合にはデカール時間をA秒(例えば、5秒)に決定し(ステップ368)、PET−Gの場合にはデカール時間をA秒(例えば、5秒)に決定し(ステップ370)、剥離シートの場合にはデカール時間をA秒(例えば、8秒)に決定し(ステップ372)、PCの場合にはデカール時間をA秒(例えば、3秒)に決定して(ステップ374)、図15のステップ334に戻る。なお、片面転写の場合には、図14のステップ308のデカール処理はステップ366〜374の処理を経ることとなる。
【0098】
図17に示すように、デカール押し込み量決定サブルーチンでは、ステップ382において、カードの一面に画像が転写された場合に対するデカール処理か否かを判断し、否定判断のとき(カードの他面に画像が転写された場合に対するデカール処理のとき)は、ステップ384においてデカール押し込み量をb’mm(例えば、4mm)に決定して図15のステップ334に戻り、肯定判断のときは、ステップ384において、カードの他面に対するデカール処理を行う必要がないか否かを判断し、否定判断のとき(カードの一面に画像が転写された場合に対するデカール処理のとき)は、ステップ388において、デカール押し込み量をa’mm(例えば、0mm)に決定して図15のステップ334に戻り、ステップ384での判断が肯定判断のときは、ステップ390において、デカール押し込み量をamm(例えば、8mm)に決定して図15のステップ334に戻る。なお、両面転写の場合には、図14のステップ308のデカール処理は、ステップ388の処理を経ることとなり、片面転写の場合には、ステップ390の処理を経ることとなる。
【0099】
図14のステップ310では、両面転写か否かを判断し、否定判断のときはステップ320に進み、肯定判断のときは、ステップ312において、画像形成部B1で、転写フィルム46の転写面の次の所定領域に、ステップ302と同様に、他面(例えば裏面)用の画像(鏡像)を形成する一次転写処理を行ってステップ316に進む。
【0100】
CPUは、ステップ312での一次転写処理と並行して、ステップ314において、搬送ローラ対37、38に挟持されてデカール機構10に位置付けられているカードを媒体搬送経路P2、P1を経由して回動ユニットFに搬送し、両端部をローラ対20、21で挟持されたカードを180°回動(表裏面を反転)させる。次のステップ316では、ステップ306と同様に、転写部B2において、転写フィルム46に形成された画像をカードの他面に転写する二次転写処理を行う(図22(B)も参照)。
【0101】
次いで、ステップ318では、カードの一面側を押圧部材34で押圧することでカードの反りを矯正するデカール処理を実行する(図22(C)、(E)も参照)。ステップ308と同様に、このデカール処理も図15に示すデカール処理サブルーチンと同様に実行され、図16に示すデカール時間決定サブルーチンではステップ344〜352の処理を経ることとなり、図17に示すデカール押し込み量決定処理サブルーチンではステップ384の処理を経ることとなる。
【0102】
そして、次のステップ320では、収容スタッカ60に向けてカードを排出してカード発行ルーチンを終了する。
【0103】
<効果等>
次に、本実施形態の印刷装置1の効果等について説明する。
【0104】
本実施形態の印刷装置1では、制御部100により、片面転写時のカードに対するデカール量(矯正量)よりも両面転写時の片面(一面)に転写面が転写された際のカードに対するデカール量が小さくなるように決定される(図22(A)、(D)参照)。また、片面転写時のカードに対するデカール量よりも両面転写時のカードのそれぞれの面に対する矯正量の総和が小さくなるように決定される(図22(C)、(E)参照)。このため、本実施形態の印刷装置1によれば、効率的にカード状記録媒体の反りを矯正するとともに記録媒体の劣化を防止することができる。
【0105】
ところで、上記実施形態では、両面転写時に両面のうちいずれか一方の面に画像が転写されたカードに対する矯正を行わず、いずれか他方の面に画像が転写されたカードに対する矯正が行われる場合が部分的に含まれる(例えば、図16のステップ358のA’=0、図17のステップ388のa’=0参照)が、原則的にはカードの両面に対してデカール処理を行うものである。ここで、図23(D)に示したように、両面転写の際にカードの反りが一部相殺されることを考慮し、図22(A)、(E)および上記<デカール処理>に示したように、A’=0(ただし、B’ ≠0)、a’=0(ただし、b’ ≠0)とすれば、一面に画像が転写されたカードに対するデカール処理は不要となる。また、これとは逆に、B’=0(ただし、A’ ≠0)、b’=0(ただし、a’ ≠0)とすれば、他面に画像が転写されたカードに対するデカール処理は不要となる。このような態様では、両面転写時に両面のうちいずれか一方の面に画像が転写されたカードに対する矯正を行わず、いずれか他方の面に画像が転写されたカードに対する矯正のみを行えばよいため、より効率的にカード状記録媒体の反りを矯正するとともに記録媒体の劣化を防止することができる。
【0106】
なお、本実施形態では、デカール量(デカール時間、押し込み量)をカードの種類または材質によって決定する例を示したが、本発明はこれに限ることなく、温度センサThで検出した周囲温度(環境温度)、ヒートローラ33の転写温度(定着温度)、ヒートローラ33の転写速度、転写フィルム46に転写される画像の印刷データの階調値、インクリボン41の種類、転写フィルム46の種類に応じて、または、これらの組み合わせによりデカール量を決定するようにしてもよい。
【0107】
例えば、周囲温度が低い場合には、画像が転写されたカードとの温度差が大きいためカードが反りやすい。このため、周囲温度が低温の場合には、デカール時間を長くすることが好ましい。図18は、温度センサThで検出した周囲温度でデカール時間を決定する例を示したものである。図18において、「低温」とは15°C以下、「常温」とは15°Cを超え30°C以下、「高温」とは31°Cを超える周囲温度を示している。例えば、両面転写時の一面側への転写でカードに生じた反りに対し、低温のときには、カード搬送に影響が出ない程度にデカール処理をする必要があるため、デカール時間が2秒に設定されている。
【0108】
また、転写温度(ヒートローラ33の熱定着温度)が高い場合にはカードが反りやすい。このため、転写温度が高い場合にはデカール時間を長くすることが好ましい。図19は、ヒートローラ33の転写温度でデカール時間を決定する例を示したものである。図19において、「低温」とは175°C以下、「常温」とは175°Cを超え185°C以下、「高温」とは185°Cを超える転写温度を示している。
【0109】
また、転写部B2における転写速度が低速の場合には高速の場合に比べてカードにヒートローラ33からの熱が加わり反りやすい。このため、転写速度が低い場合にはデカール時間を長くすることが好ましい。図20は、ヒートローラ33の転写速度でデカール時間を決定する例を示したものである。図20において、「低速」とは15mm/s以下、「中速」とは15mm/sを超え30mm/s以下、「高速」とは45mm/sを超える転写速度を示している。なお、本実施形態の印刷装置1では、オペパネ部5を操作することでユーザが転写温度や転写速度を手入力可能となっており、使用の想定されたカードやフィルム(インクリボン41、転写フィルム46)の種類以外のものを用いる際にユーザが変更できる構成とされている。
【0110】
さらに、転写画像が濃い場合(高階調の場合)にもカードが反りやすい。このため、高階調、中間階調、低階調に分類してデカール時間を決定することが好ましい。図21は、転写画像を構成する画素の平均階調値でデカール時間を決定する例を示したものである。このような平均階調値の算出は、上記実施形態では、例えば、印刷データをバッファメモリ101に格納した後、図14のステップ302の前に行われる。図21において、「低階調」とは平均階調値が85以下、「中間階調値」とは平均階調値が85を超え170以下、「高階調」とは平均階調値が171を超え(256以下の)階調値を示している。なお、このような態様では平均階調値に限る必要はなく、例えば、転写画像を構成する画素数のうちの高階調の画素数の割合に応じてデカール時間を決定するようにしてもよい。
【0111】
さらに、インクリボン41の種類や転写フィルム46の種類に応じてデカール時間を決定するようにしてもよい。インクリボン41を構成するY、M、C、Bkのインク材料によって転写画像に濃淡が現れる(階調が変動する)場合があり、また、転写フィルム46を構成するインク受容層の構造(例えば、かさ密度)によっても転写画像に濃淡が現れるからである。このような種類情報は、上位機器201側からユーザが入力してもオペパネ部5から入力してもよい。さらには、インクリボン41や転写フィルム46が種類情報を記憶したICや回路(例えば、所定抵抗値の抵抗で構成される回路)を備えていれば、ユーザが手入力をしなくても制御部100がその種類情報または抵抗値を読み出すことにより種類情報を取得することができる。
【0112】
上記の組み合わせによりデカール量を決定する場合には、例えば、個別に得たデカール時間や押し込み量のうち最も大きい値のデカール時間や押し込み量により、若しくは平均値により、または、個別に得たデカール時間や押し込み量に重み付けをする等、カードの反りを矯正するために適宜対応するようにすればよい。
【0113】
また、本実施形態では、デカール時間および押し込み量をそれぞれ決定する例を示したが(図15のステップ334参照)、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、押し込み量を一定としておき、デカール時間を変更することによってデカール量を変更したり、これとは逆に、デカール時間を一定としておき、押し込み量を変更することよってデカール量を変更したりするようにしてもよい。
【0114】
さらに、本実施形態では、押圧部材34をカード側へ進出させてカードの反りを矯正するデカール機構10を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、デカール機構がカードの中央部の上方または下方位置に配された不動の棒状の部材で構成されており、カードの両端部を挟持した搬送ローラ対37、38を図2の上側または下側方向に移動させることでデカール処理を行うようにしてもよい。
【0115】
また、本実施形態では、Y、M、C、Bkのリボンパネルが面順次に繰り返されたインクリボン41を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、Bkの後に保護層(OT)を設けるようにしてもよい。このような態様では、Y、M、C、Bkで画像を形成した後、転写部B2でカードに形成された画像を保護層でコートする。この際にもカードの反りが発生するので、その反りを矯正できる。これに代えて、転写フィルム46のカセットを保護フィルムで構成されたカセットと交換して転写部B2でカードに形成された画像を保護フィルムでコートするようにしてもよい。この際にもカードの反りが発生するので、その反りを矯正できる。
【0116】
また、本実施形態では、デカール時間の設定について、反りのない(水平な)カードに対して押圧部材34の凸状に湾曲した面の最下端がカードの中央部に当接するときを開始時刻とし押圧部材34の凸状に湾曲した面の最下端がカードの中央部に当接した位置に戻るときを終了時刻として開始時刻と終了時刻との間の時間として設定する例を示したが、押圧部材34を最も押し込んだ位置に位置づけたタイミングを開始時刻とし、そこから設定されたデカール時間分押圧を続け、その時間が経過したら押圧部材34を退避位置に移動させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上述べたとおり、本発明は、カード状記録媒体の反りを効率的に矯正できるとともに記録媒体の劣化を防止可能な転写装置を提供するものであるため、転写装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0118】
1 印刷装置(転写装置)
10 デカール機構(デカール手段)
33 ヒートローラ(熱定着体)
41 インクリボン
46 転写フィルム
100 制御部(制御手段、第1〜第3の取得手段)
B1 画像形成部(画像形成手段)
B2 転写部(転写手段)
F 回動ユニット(反転手段)
Th 温度センサ(検出手段)
図1
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