(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0014】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
(実施の形態1)
《中継システムの概略》
図1は、本発明の実施の形態1による中継装置において、それを適用した中継システムの構成例を示す概略図である。
図1に示す中継システムは、例えば、複数の中継装置(スイッチ装置)SW1〜SW5と、複数のネットワーク網NW1,NW2と、を備える。ネットワーク網NW1には、中継装置SW1〜SW3が接続され、ネットワーク網NW2には、中継装置SW1,SW4,SW5が接続される。特に限定はされないが、中継装置SW1を基準として、ネットワーク網NW1は、下位側(例えばユーザ側)のネットワーク網となり、ネットワーク網NW2は上位側(例えば通信事業者側)のネットワーク網となる。
【0017】
中継装置SW1〜SW5のそれぞれは、例えば、OSI参照モデルに基づくレイヤ2(L2)の処理を行うL2スイッチ装置や、加えてレイヤ3(L3)の処理を行うL3スイッチ装置等である。本実施の形態では、中継装置SW1〜SW5のそれぞれは、L2スイッチ装置である場合を例とする。中継装置SW1〜SW5のそれぞれは、イーサネットOAMの機能を備え、中継装置SW1〜SW5のそれぞれには、イーサネットOAMに基づく監視ポイント(すなわちMEP)が設定されている。
【0018】
図1の例では、中継装置SW1には、MEP12〜MEP15が設定され、中継装置SW2,SW3,SW4,SW5には、それぞれ、MEP21,MEP31,MEP41,MEP51が設定される。MEP12は、MEP21との間を監視区間12とし、MEP13は、MEP31との間を監視区間13とし、MEP14は、MEP41との間を監視区間14とし、MEP15は、MEP51との間を監視区間15とする。
【0019】
例えば、監視区間を挟んだMEP間でイーサネットOAMのCC機能に基づき疎通性の監視を行う場合、各MEP(例えばMEP12)は、対向MEP(例えばMEP21)との間で、CCMフレーム等を定期的に送信および受信する。例えばMEP12は、MEP21からのCCMフレームを所定の期間(例えばCCMフレームの送信間隔の3.5倍)内に受信しない場合、MEP21をLOC(Loss Of Continuity)状態と判定し、MEP21からの受信経路に疎通性が無いことを認識する。
【0020】
また、この場合、MEP12は、MEP21に向けてCCMフレームを送信する際に、当該CCMフレームに含まれるRDI(Remote Defect Indication)ビットにフラグを立てた状態で送信する。本明細書では、RDIビットにフラグが立てられたCCMフレームをCCM(RDI有)フレームを呼ぶ。CCM(RDI有)フレームを受けたMEP21は、MEP12をRDI状態と判定し、MEP12に向けた送信経路に疎通性が無いことを認識する。
【0021】
ここで、特に限定はされないが、例えば、中継装置SW1のように、ネットワーク網の境界に配置される中継装置では、多数のMEPを設定可能であることが求められる。このような要求を満足するため、後述する本実施の形態の中継装置を用いることが有益となる。なお、本実施の形態では、イーサネットOAMのCC機能に基づき疎通性の監視を行う場合を例とするが、必ずしもCC機能に限定されるものではない。イーサネットOAMでは、CC機能のほかに、MEPを用いたLB(Loop Back)機能やLT(Link Trace)機能等も規定されており、これらの機能に関しても同様に適用可能である。
【0022】
《中継装置の概略》
図2は、本発明の実施の形態1による中継装置において、その構成例および動作例を示す概略図である。
図2に示す中継装置(スイッチ装置)SWは、例えば、
図1における中継装置SW1〜SW5のいずれかに対応する。当該中継装置SWは、複数(ここでは4枚)のラインカードLC[1]〜LC[4]と、管理カード(第1カード)MC[1]と、を備え、これらが一つの筐体内に搭載されたシャーシ型のスイッチ装置となっている。ラインカードLC[1]〜LC[4]のそれぞれは、n個の外部ポートP[1]〜P[n]を持つ。ただし、ラインカードLC[1]〜LC[4]のそれぞれは、単数または複数の外部ポートを持てばよく、各ラインカード毎の外部ポートの数も同じである必要はない。
【0023】
また、複数のラインカードLC[1]〜LC[4]は、ラインカード間でフレームを中継するための中継用の通信経路21で互いに接続されている。当該通信経路21は、
図2では簡略化して示されているが、実際には、各ラインカード間をメッシュ状に接続する通信回線で構成される場合や、あるいはファブリックカードで構成される場合がある。後者の場合、複数のラインカードLC[1]〜LC[4]のそれぞれは、ファブリックカードとの間で通信回線を介して接続され、ファブリックカードを介して他のラインカードとの間でフレームを中継する。
【0024】
ここで、複数のラインカードLC[1]〜LC[4]の中のいずれか一枚が持つ外部ポートと、他のいずれか一枚が持つ外部ポートは、同じLAGのメンバポートに設定される。
図2の例では、ラインカードLC[2]が持つ外部ポートP[1]と、ラインカードLC[3]が持つ外部ポートP[1]は、ラインカード跨ぎでLAG1のメンバポートに設定される。LAG1のメンバポートは、仮想的には(論理的には)1個のポートとみなされる。ここでは、2枚のラインカードを跨いでLAGが設定されているが、2枚に限らず3枚以上であってもよい。
【0025】
管理カード(第1カード)MC[1]は、複数のラインカードLC[1]〜LC[4]に、それぞれ管理用の通信回線20を介して接続され、当該通信回線20を介して複数のラインカードLC[1]〜LC[4]を管理する。一例として、管理カードMC[1]は、装置外部からの命令に基づいて、各ラインカードLC[1]〜LC[4]に対してVLAN(Virtual LAN)の設定や、フレームの通過可否を定めるフィルタの設定等を行う。あるいは、管理カードMC[1]は、各ラインカードLC[1]〜LC[4]の障害状況を監視し、当該障害状況を各ラインカードLC[1]〜LC[4]で共有させる。なお、このような管理機能は、例えば、管理カードMC[1]に搭載された図示しないプロセッサ部(CPU)によって行われる。
【0026】
管理カードMC[1]は、このような管理機能に加えて、イーサネットOAMの処理を行うOAM処理部23と、LAGテーブル24と、を備える。OAM処理部23は、必ずしも限定はされないが、プロセッサ部(CPU)とは異なる専用のハードウェアで構成される。LAGテーブル24は、LAG(ここではLAG識別子(LAGID))と、当該LAGのメンバポート(ここではメンバポートのポート識別子(ポートID))と、の対応関係を保持する。さらに、ここでは、LAGテーブル24は、必ずしも限定はされないが、各メンバポート毎に割り当てた分散識別子(分散ID)を保持する。ポートIDは、ラインカードの識別子と外部ポートの識別子とによって構成される。
【0027】
図2のLAGテーブル24の例では、LAG1がラインカードLC[2]の外部ポートP[1]およびラインカードLC[3]の外部ポートP[1]によって構成されることが示される。なお、LAGテーブル24において、例えば、{LAG1}は、LAG1の識別子(ID)を表し、以降、本明細書では、{AA}は、「AA」の識別子(ID)を表すものとする。また、
図2のLAGテーブル24の例では、ラインカードLC[2]の外部ポートP[1]は分散ID=1に割り当てられ、ラインカードLC[3]の外部ポートP[1]は分散ID=2に割り当てられることが示される。
【0028】
このような構成において、
図2の中継装置SWは、LAG1にMEP1を設定し、ラインカードLC[4]のポートP[n]にMEP2を設定している。ここでは、
図2の中継装置SWが
図1の中継装置SW1である場合を例とし、MEP1が
図1のMEP14に該当し、MEP2が
図2のMEP12に該当する場合を想定する。この場合、LAG1のメンバポートとなるラインカードLC[2]の外部ポートP[1]およびラインカードLC[3]の外部ポートP[1]は、それぞれ、通信回線(例えばイーサネット回線)22を介して中継装置SW4に接続される。また、ラインカードLC[4]の外部ポートP[n]は、通信回線22を介して中継装置SW2に接続される。
【0029】
管理カードMC[1]のOAM処理部23は、MEP1(すなわちLAG1のメンバポート)と装置外部(中継装置SW4のMEP41)との間の疎通性を監視する際に、CCMフレーム(第1監視用フレーム)CFo1を生成する。そして、OAM処理部23は、生成したCCMフレームCFo1を、LAG1のメンバポートを持つラインカード(LC[2],LC[3])に向けて送信する。この際に、本実施の形態1では、OAM処理部23は、LAG1のメンバポートを持つラインカードLC[2],LC[3]の中からいずれか一枚を選択し、CCMフレームCFo1を、当該選択したラインカード(ここではLC[2])に向けて送信する。
【0030】
具体的には、OAM処理部23は、CCMフレームCFo1に、LAG1のメンバポートの中のいずれか一つの外部ポートを示すポート識別子(ここでは{LC[2]}/{P[1]})を付加し、当該フレームを、ポート識別子に対応するラインカード(LC[2])に向けて定期的に送信する。この際に、OAM処理部23は、CCMフレームCFo1に付加するポート識別子を、LAGテーブル24に基づき選択する。
【0031】
一方、LAG1のメンバポートを持つラインカードの中のいずれか一枚(ここではLC[2])は、管理カードMC[1]から定期的に受信したCCMフレームCFo1を、LAG1のメンバポートに設定される自身の外部ポート(P[1])から装置外部(対向MEP)に向けて送信する。なお、CCMフレームCFo1を送信する外部ポートは、LAG1のメンバポートのいずれか1個に固定されてもよく、LAG1のメンバポートの中で順次変更されてもよい。後者の場合、OAM処理部23は、CCMフレームCFo1を、例えば、その送信間隔毎に、ラインカードLC[2],LC[3]に向けて交互に送信する。OAM処理部23は、ラインカードLC[3]に向けて送信する際には、CCMフレームCFo1にポート識別子{LC[3]}/{P[1]}を付加する。
【0032】
また、LAG1のメンバポートを持つラインカードLC[2],LC[3]のそれぞれは、LAG1のメンバポートに設定される自身の外部ポートで装置外部からのMEP1宛てのCCMフレーム(第2監視用フレーム)を受信した際に、当該CCMフレームを管理カードMC[1]に向けて送信する。すなわち、ラインカードLC[2]は、自身の外部ポートP[1]でCCMフレーム(第2監視用フレーム)CFi1を受信した際に、それを管理カードMC[1]に向けて送信する。同様に、ラインカードLC[3]も、自身の外部ポートP[1]でCCMフレーム(第2監視用フレーム)CFi2を受信した際に、それを管理カードMC[1]に向けて送信する。
【0033】
管理カードMC[1]のOAM処理部23は、所定の期間内に、CCMフレームCFi1およびCCMフレームCFi2のいずれか一方を受信した場合、MEP1と対向MEPとの間を疎通性有りと判定する。一方、OAM処理部23は、所定の期間内に、CCMフレームCFi1およびCCMフレームCFi2のいずれも受信しない場合、MEP1と対向MEPとの間を疎通性無し(すなわち対向MEPをLOC状態)と判定する。この場合、OAM処理部23は、CCMフレームCFo1としてCCM(RDI有)フレームを送信する。
【0034】
前述したMEP1の場合と同様に、管理カードMC[1]のOAM処理部23は、MEP2(すなわちLAGのメンバポートに設定されない外部ポートP[n])と装置外部(中継装置SW2のMEP21)との間の疎通性を監視する際に、CCMフレーム(第3監視用フレーム)CFo2を生成する。この際に、OAM処理部23は、CCMフレームCFo2に、ポート識別子{LC[4]}/{P[n]}を付加する。
【0035】
そして、OAM処理部23は、ポート識別子が付加されたCCMフレームCFo2を、ラインカードLC[4]に向けて送信する。ラインカードLC[4]は、当該ポート識別子に基づき、CCMフレームCFo2を、外部ポートP[n]から装置外部(対向MEP)に向けて送信する。一方、ラインカードLC[4]は、外部ポートP[n]で装置外部からのMEP2宛てのCCMフレームCFi3を受信した際に、それを管理カードMC[1]に向けて送信する。OAM処理部23は、CCMフレームCFi3の受信状況に基づき、MEP2と対向MEPとの間の疎通性の有無を判定する。
【0036】
《ラインカードの構成および動作》
図3は、
図2の中継装置において、そのラインカードの概略構成例を示すブロック図である。
図4は、
図3の中継装置において、ユーザフレームに対する動作例を示す説明図であり、
図5は、
図3の中継装置において、CCMフレームに対する動作例を示す説明図である。
【0037】
図3に示すラインカード(例えば
図2のLC[2])は、複数の外部ポートP[1]〜P[n]と、外部インタフェース部30と、フレーム処理部31と、プロセッサ部CPUと、アドレステーブルFDBと、LAGテーブル32と、内部インタフェース部33と、複数の内部ポートと、を備える。複数の内部ポートは、管理カード用ポートM[1]と、ラインカード用ポートL[1],L[3],L[4]と、を含む。
【0038】
図2に示したように、管理カード用ポートM[1]は、通信回線20を介して管理カードMC[1]に接続される。ラインカード用ポートL[1],L[3],L[4]は、それぞれ、
図2の通信経路21に該当する通信回線36を介してラインカードLC[1],LC[3],LC[4]に接続される。通信回線20,36は、例えば、各カードを着脱するためのスロットが実装された配線基板(バックプレーン)に設けられる。なお、中継装置SWがファブリックカードを備える場合には、ラインカード用ポートの代わりにファブリックカード用ポートが設けられる。
【0039】
外部インタフェース部30は、複数の外部ポートP[1]〜P[n]との間でフレーム(ユーザフレームやCCMフレーム等)の送信および受信を行う。内部インタフェース部33は、複数の内部ポート(M[1],L[1],L[3],L[4])との間でフレーム(ユーザフレームやCCMフレーム等)の送信および受信を行う。
【0040】
外部インタフェース部30は、複数の外部ポートP[1]〜P[n]のいずれかでフレームを受信した際に、当該フレームに、当該フレームを受信した外部ポートのポート識別子(受信ポート識別子と呼ぶ)を付加して、フレーム処理部31に送信する。また、外部インタフェース部30は、宛先の外部ポートを表す宛先ポート識別子が付加されたフレームをフレーム処理部31から受信した際に、当該フレームを、当該宛先ポート識別子が示す外部ポートに向けて送信する。なお、受信ポート識別子および宛先ポート識別子のそれぞれは、ラインカードの識別子および外部ポートの識別子によって構成される。
【0041】
フレーム処理部31は、分散処理部34およびOAM処理部35を備え、主に、フレームの中継処理を担う。フレーム処理部31は、外部インタフェース部30からユーザフレームを受信した場合、当該ユーザフレームの送信元MACアドレスを、当該ユーザフレームに付加されている受信ポート識別子に対応付けてアドレステーブルFDBに学習する。この際に、フレーム処理部31は、LAGテーブル32に基づき受信ポート識別子がLAGのメンバポートである場合、ユーザフレームに付加される受信ポート識別子をLAG識別子に変更し、当該LAG識別子を用いてアドレステーブルFDBの学習を行う。なお、LAGテーブル32は、
図2に示したLAGテーブル24と同様の情報を保持する。
【0042】
また、フレーム処理部31は、外部インタフェース部30からユーザフレームを受信した場合、当該ユーザフレームの宛先MACアドレスに対応するポート識別子をアドレステーブルFDBから検索し、当該ポート識別子を宛先ポート識別子として当該ユーザフレームに付加する。この際には、宛先ポート識別子として、LAG識別子が得られる場合がある。この場合、フレーム処理部31の分散処理部34は、LAGテーブル32を参照し、当該LAGのメンバポートの中からいずれか1個の外部ポートを所定の分散規則に基づき選択し、当該選択した外部ポートのポート識別子を宛先ポート識別子に定める。
【0043】
フレーム処理部31は、宛先ポート識別子が自身のラインカードを示す場合、ユーザフレームを外部インタフェース部30に向けて送信する。一方、フレーム処理部31は、宛先ポート識別子が他のラインカードを示す場合、ユーザフレームを内部インタフェース部33に向けて送信する。
【0044】
さらに、フレーム処理部31は、内部インタフェース部33から受信ポート識別子および宛先ポート識別子が付加されたユーザフレームを受信した場合、当該ユーザフレームの送信元MACアドレスを、受信ポート識別子に対応付けてアドレステーブルFDBに学習する。フレーム処理部31は、当該ユーザフレームを外部インタフェース部30に向けて送信し、外部インタフェース部30は、当該ユーザフレームを、それに付加される宛先ポート識別子に対応する外部ポートに向けて送信する。
【0045】
図4には、ラインカードLC[1]の外部ポートP[1]で受信したユーザフレームUFを、ラインカードLC[2]の外部ポートP[1](LAG1のメンバポート)に中継する場合の動作例が示されている。ラインカードLC[1]の外部インタフェース部30は、ユーザフレームUFに受信ポート識別子{LC[1]}/{P[1]}を付加してフレーム処理部31に向けて送信する。フレーム処理部31は、ユーザフレームUFの送信元MACアドレスを、受信ポート識別子{LC[1]}/{P[1]}に対応付けてアドレステーブルFDBに学習する。
【0046】
また、フレーム処理部31は、ユーザフレームUFの宛先MACアドレスに対応するポート識別子をアドレステーブルFDBから検索した結果、LAG識別子{LAG1}を得る。分散処理部34は、LAG1のメンバポートの中からいずれか1個の外部ポートを選択し、それを示す宛先ポート識別子(ここでは{LC[2]}/{P[1]})をユーザフレームUFに付加して内部インタフェース部33に向けて送信する。内部インタフェース部33は、当該宛先ポート識別子に基づき、ユーザフレームUFを、ラインカード用ポートL[2]および通信回線36を介してラインカードLC[2]に中継する。
【0047】
ラインカードLC[2]の内部インタフェース部33は、ラインカード用ポートL[1]で受信した、ラインカードLC[1]からのユーザフレームUFを、フレーム処理部31に向けて送信する。フレーム処理部31は、ユーザフレームUFの送信元MACアドレスを、それに付加された受信ポート識別子{LC[1]}/{P[1]}に対応付けてアドレステーブルFDBに学習する。フレーム処理部31は、ユーザフレームUFを外部インタフェース部30に向けて送信し、外部インタフェース部30は、ユーザフレームUFを、それに付加された宛先ポート識別子{LC[2]}/{P[1]}に基づき外部ポートP[1]に向けて送信する。
【0048】
また、
図3において、フレーム処理部31内のOAM処理部35は、CCMフレームの識別等を代表に、イーサネットOAMに伴う各種処理を行う。
図5には、MEPがDownMEPである場合の動作例が示される。なお、
図2においても、MEP1,MEP2がDownMEPである場合を例としている。DownMEPとは、主に外部ポートから装置外部に向かう経路を監視区間とするためのMEPであり、UpMEPとは、当該経路に加えて装置内部での中継経路も監視区間とするためのMEPである。
【0049】
図5において、管理カードMC[1]は、対向MEPを宛先とするCCMフレームCFoを生成し、それに宛先ポート識別子{LC[2]/P[1]}を付加してラインカードLC[2]に向けて送信する。当該CCMフレームCFoには、例えば、
図2のMEP1に対応する送信元MACアドレスと、対向MEPに対応する宛先MACアドレス(マルチキャストアドレスまたはユニキャストアドレス)と、CCMフレームを表す所定のフレーム識別子と、MEP1に対応するMEP識別子やMEGレベル等が含まれる。
【0050】
ラインカードLC[2]の内部インタフェース部33は、管理カード用ポートM[1]で受信したCCMフレームCFoをフレーム処理部31に向けて送信する。フレーム処理部31のOAM処理部35は、フレーム識別子等に基づきCCMフレームCFoを認識し、DownMEP/UpMEPの判別等を行う。特に限定はされないが、OAM処理部35は、MEP識別子やMEGレベル等に基づいて、DownMEP/UpMEPの判別を行う。この例では、判別結果はDownMEPである。この場合、OAM処理部35は、CCMフレームCFoを外部インタフェース部30に向けて送信する。外部インタフェース部30は、CCMフレームCFoを、それに付加された宛先ポート識別子{LC[2]}/{P[1]}に基づき外部ポートP[1]に向けて送信する。
【0051】
また、その逆方向に関し、ラインカードLC[2]の外部インタフェース部30は、外部ポートP[1]で対向MEPからのCCMフレームCFiを受信した際に、それに受信ポート識別子{LC[2]}/{P[1]}を付加してフレーム処理部31に向けて送信する。OAM処理部35は、例えば、CCMフレームCFiのフレーム識別子や宛先MACアドレス等に基づき、CCMフレームCFiを認識し、DownMEP/UpMEPの判別等を行う。
【0052】
特に限定はされないが、OAM処理部35は、CCMフレームCFiに含まれるMEP識別子やMEGレベル等に基づいて、DownMEP/UpMEPの判別を行う。この例では、判別結果はDownMEPである。この場合、OAM処理部35は、CCMフレームCFiに宛先ポート識別子{M[1]}を付加し、それを内部インタフェース部33に向けて送信する。内部インタフェース部33は、CCMフレームCFiを、宛先ポート識別子{M[1]}に基づき管理カードMC[1]に向けて送信する。
【0053】
ここで、MEPがUpMEPである場合の動作について簡単に説明する。一例として、
図2のラインカードLC[1]の外部ポートP[n]にUpMEPが設定され、対向MEPが、ラインカードLC[4]の外部ポートP[1]の先に存在するような場合を想定する。この場合、
図5の場合と同様に、管理カードMC[1]からラインカードLC[1]の外部ポートP[n]に向けてCCMフレームが送信される。ここで、ラインカードLC[1]のOAM処理部35は、MEPがUpMEPであると判別する。この場合、OAM処理部35は、特に限定はされないが、当該CCMフレームの宛先MACアドレスに対応する宛先ポートをアドレステーブルFDBから検索し、ユーザフレームの場合と同様に、当該宛先ポート(LC[4]/P[1])に向けて当該CCMフレームを中継する。
【0054】
また、その逆方向に関し、ラインカードLC[4]のOAM処理部35は、外部ポートP[1]でCCMフレームを受信する。当該OAM処理部35は、当該CCMフレームに含まれるMEP識別子やMEGレベル等に基づいて、当該CCMフレームの宛先MEPが自身のラインカードに設定されたMEP宛てでは無いことを認識する。この場合、OAM処理部35は、当該CCMフレームをユーザフレームとして取り扱い、当該CCMフレームの宛先MACアドレスに対応する宛先ポートをアドレステーブルFDBから検索し、その結果得られた宛先ポート(LC[1]/P[n])に向けて当該CCMフレームを中継する。ラインカードLC[1]のOAM処理部35は、当該CCMフレームを受け、そのMEP識別子やMEGレベル等から自身のラインカードに設定されたUpMEP宛てのCCMフレームであることを認識し、当該CCMフレームを、当該宛先ポート(LC[1]/P[n])の代わりに管理カードMC[1]に向けて送信する。
【0055】
図3のプロセッサ部CPUは、フレーム処理部31と連携してフレーム処理部31(すなわちハードウェア)では処理し難いフレームに対してソフトウェアによる処理を行ったり、あるいは、自身のラインカードの管理等を行う。具体的には、プロセッサ部CPUは、例えば、IPマルチキャストの処理やフレームのフィルタリング等を代表とする各種フレーム処理を行ったり、自身のラインカードの各種設定情報や装置内部の障害状況等の管理を行ったり、各種冗長化プロトコルの制御などを行う。
【0056】
《中継装置(比較例)の概略》
図8は、
図2の比較例となる中継装置の構成例および動作例を示す概略図である。
図8の中継装置SW’は、
図2に示したように管理カードが主体となってイーサネットOAMの処理を行う方式とは異なり、各ラインカードが主体となってイーサネットOAMの処理を行う方式となっている。
図8では、装置跨ぎのLAG1が設定されるラインカードLC’[2],LC’[3]の中の予め定めたいずれか1枚(ここではLC’[2])が備えるプロセッサ部CPUが、CCMフレームCFo4を生成し、OAM処理部45を介して装置外部に向けて送信する。
【0057】
一方、ラインカードLC’[2],LC’[3]がそれぞれ装置外部からLAG1で受信したCCMフレームCFi1,CFi2は、ラインカードLC’[2],LC’[3]のOAM処理部45にそれぞれ送信される。ラインカードLC’[2],LC’[3]のOAM処理部45は、プロセッサ部CPUの制御を受けながら、それぞれ、CCMフレームCFi1,CFi2を受信回数を定期的にカウントする。ラインカードLC’[2],LC’[3]のプロセッサ部CPUは、それぞれ、OAM処理部45によるカウント値を定期的に管理カードMC’[1]に通知する。
【0058】
管理カードMC’[1]のOAM処理部46は、このラインカードLC’[2],LC’[3]からそれぞれ通知されたカウント値を合算し、この合算結果に基づいて疎通性の有無(LOC状態か否か)を判定する。すなわち、装置外部の対向MEPは、MEP1が設定されるLAG1に対してCCMフレームを所定の送信間隔で送信する。そうすると、LAG1の各メンバポート(LC’[2]/P[1]およびLC’[3]/P[1]のそれぞれ)は、仮にLAG1に対して平均的な負荷分散が行われる場合、CCMフレームを当該送信間隔の2倍の間隔で受信する。ただし、必ずしも平均的な負荷分散が行われるとは限らない。したがって、各ラインカードLC’[2],LC’[3]では疎通性の有無を判定できず、管理カードMC’[1]によって判定を行う必要がある。
【0059】
ここで、例えば、管理カードMC’[1]のOAM処理部46によってLOC状態の判定が行われた場合、対向MEPに向けてCCM(RDI有)フレームを送信する必要がある。したがって、OAM処理部46は、疎通性の監視結果を、CCMフレームの生成元となる各ラインカードLC’[2],LC’[3]のプロセッサ部CPUに向けて通知する必要がある。
【0060】
《本実施の形態の効果等》
以上、
図2等に示した本実施の形態1の中継装置を用いることで、例えば、
図8の場合と比較して、各ラインカードにおける処理負荷を低減でき、これに伴い、イーサネットOAMに基づく監視ポイント(すなわちMEP)の増大が実現可能になる。具体的に説明すると、例えば、各ラインカードにおいて、外部装置の収容能力を向上させたい(例えば外部ポートの数を増大させたい)場合、これに応じて、MEPの設定数も増大させることが望まれる。
【0061】
こうした中、
図8の比較例では、各ラインカードは、一般的なフレームの中継処理に加えて、イーサネットOAMの処理を主体的に行っている。このため、各ラインカードでは、外部装置の収容能力を増大させるにつれてフレームの中継処理に伴う処理負荷が増大し、さらに、MEPの設定数を増大させるにつれてイーサネットOAMの処理に伴う処理負荷も増大する。そうすると、各ラインカードの処理能力が限られた中では、例えば、外部装置の収容能力を増大させたものの、MEPの設定数を増大させることが困難になるといった状況が生じ得る。
【0062】
特に、各ラインカードのプロセッサ部CPUは、
図3で述べたように、フレームの中継処理として、ハードウェアでは処理し難い複雑な処理を行う必要がある。これに加えて、
図8の比較例では、各ラインカードのプロセッサ部CPUは、イーサネットOAMの処理として、CCMフレームの定期的な生成や、管理カードMC[1]に向けたカウント値の定期的な通知や、管理カードMC[1]から通知された監視結果の反映等の処理を行う必要がある。その結果、
図8の比較例では、特に、プロセッサ部CPUのリソースに制約されて、MEPの設定数が制限される事態が生じ得る。
【0063】
一方、
図2および
図3の中継装置では、イーサネットOAMの処理を管理カードが主体的に行っており、各ラインカードでは、
図8の場合と比較して、イーサネットOAMの処理に要する処理負荷が非常に小さくなる。特に、各ラインカードのプロセッサ部CPUでは、
図8の場合のようなCCMフレームの定期的な生成やカウント値の定期的な通知等の処理が不要となるため、リソース不足の問題が解決できる。また、
図2のラインカードLC[4]のように、LAGのメンバポートに設定されない外部ポートをMEPとするイーサネットOAMの処理も管理カードが主体的に行うことで、各ラインカードのプロセッサ部CPUでの処理負荷をより低減できる。
【0064】
これらの結果、MEPの設定数を増大させることが可能になる。さらに、管理カードMC[1]では、
図8の場合のようなカウント値の合算処理を行うことなく疎通性の有無を判定することが可能になるため、処理の簡素化等が図れる。また、管理カードMC[1]が主体となってイーサネットOAMの処理を行うことで、その監視結果も自ずと管理カードMC[1]に集約されるため、例えば、各ラインカードが監視を行いその監視結果を管理カードMC[1]に通知するような場合と比較して、処理の効率化が図れる。
【0065】
(実施の形態2)
《中継装置(変形例)の概略》
図6は、本発明の実施の形態2による中継装置において、その構成例および動作例を示す概略図である。
図6に示す中継装置(スイッチ装置)SWは、
図2(および
図3)に示した中継装置と同様の構成を備えるが、
図2(および
図3)とはイーサネットOAMの処理方法が若干異なっている。以下、この相違点に着目して説明を行う。
【0066】
図6において、管理カード(第1カード)MC[1]のOAM処理部40は、
図2の場合と同様にCCMフレームを生成する。ただし、OAM処理部40は、
図2の場合と異なり、生成したCCMフレームを、LAG1のメンバポートを持つ全てのラインカードLC[2],LC[3]に向けてそれぞれ送信する。ここでは、OAM処理部40は、CCMフレーム(第1監視用フレーム)CFo3aを生成し、それをラインカードLC[2]に向けて送信し、さらに、CCMフレーム(第1監視用フレーム)CFo3bを生成し、それをラインカードLC[3]に向けて送信する。
【0067】
この際に、OAM処理部40は、LAGテーブル24に基づき、LAG識別子(ID)および分散識別子(ID)を定める。そして、OAM処理部40は、生成したCCMフレーム(第1監視用フレーム)CFo3a,CFo3bのそれぞれに、定めたLAG識別子{LAG1}および分散識別子(ここでは「1」)を付加し、当該各識別子を付加したCCMフレームCFo3a,CFo3bをラインカードLC[2],LC[3]に向けて送信する。
【0068】
ラインカードLC[2],LC[3]のそれぞれは、
図3に示したように、フレーム処理部31およびLAGテーブル32を備える。各ラインカードLC[2],LC[3]のフレーム処理部31(例えば
図3のOAM処理部35)は、
図3および
図5で述べたような各種処理に加えて、LAGテーブル32と、CCMフレームCFo3a,CFo3bに付加されたLAG識別子および分散識別子と、に基づき、CCMフレームの送信要否を判定する。
【0069】
具体的には、フレーム処理部31(OAM処理部35)は、CCMフレームCFo3a,CFo3bに付加されたLAG識別子{LAG1}を基づいて、LAGテーブル32を参照する。そして、フレーム処理部31(OAM処理部35)は、LAG1のメンバポートに設定される自身の外部ポートに対して予め割り当てられた分散識別子と、CCMフレームCFo3a,CFo3bに付加された分散識別子とが一致した場合に、CCMフレームを送信要と判定し、自身の外部ポートから装置外部に向けて送信する。
【0070】
ここでは、CCMフレームCFo3a,CFo3bに付加された分散識別子は「1」であり、LAGテーブル32に基づき、分散識別子「1」に対応するメンバポートは、ラインカードLC[2]の外部ポートP[1]である。このため、ラインカードLC[2]は送信要と判定し、CCMフレームCFo3aを外部ポートP[1]から装置外部に向けて送信する。一方、ラインカードLC[3]は、送信不要と判定し、CCMフレームCFo3bを破棄する。
【0071】
なお、装置外部からのCCMフレームCFi1,CFi2を受信した場合の動作に関しては、
図2の場合と同様である。また、CCMフレームCFo3a,CFo3bに付加される分散識別子は、常に固定であっても、順次変更されてもよい。後者の場合、分散識別子は、例えば、CCMフレームの送信間隔毎に、交互に「1」と「2」に定められる。
【0072】
ここで、前述した
図4を例として、仮に、ラインカードLC[1]においてアドレステーブルFDBの検索結果にミスヒットが生じた場合、特許文献1の場合と同様の仕組みでフラッディングを行うことができる。具体的には、例えば、ラインカードLC[1]は、フラッディング対象のユーザフレームに分散識別子を付加し、それを、装置跨ぎのLAG1が設定されるラインカードLC[2],LC[3]に向けてそれぞれ送信する。ラインカードLC[2],LC[3]のそれぞれは、当該分散識別子とLAGテーブル32とに基づいて、当該ユーザフレームの送信要否を判定する。このようなフラッディングの仕組みを備えた構成の場合、この仕組みを利用して、
図6で述べた動作を容易に実現できる。
【0073】
以上、本実施の形態2の中継装置を用いることでも、実施の形態1で述べたような各種効果が得られる。
図2の方式と
図6の方式とを比較すると、MEPが設定されるLAGの数や、各LAGを構成するメンバポートの数が多い場合には、管理カードMC[1]から送信されるCCMフレームに伴い、通信回線20の帯域が圧迫される恐れがあるため、この観点では、
図2の方式が望ましい。
【0074】
(実施の形態3)
《中継装置(応用例)の概略》
図7は、本発明の実施の形態3による中継装置において、その構成例および動作例を示す概略図である。
図7に示す中継装置(スイッチ装置)SWは、
図2(および
図3)に示した中継装置と同様の構成を備え、さらに加えて、管理カードMC[2]を備えている。以下、
図2(および
図3)との相違点に着目して説明を行う。
【0075】
管理カードMC[2]は、管理カードMC[1]と同様に、複数のラインカードLC[1]〜LC[4]に、それぞれ管理用の通信回線20を介して接続される。
図7の例では、管理カードMC[1]はアクティブ状態ACTであり、管理カードMC[2]はスタンバイ状態SBYとなっている。管理カードとしての所定の機能は、アクティブ状態ACTの管理カードが担う。スタンバイ状態SBYの管理カードMC[2]は、アクティブ状態ACTの管理カードMC[1]に障害が生じた場合に、当該管理カードに代わってアクティブ状態ACTに遷移する。
【0076】
図7において、管理カードMC[1]と、装置跨ぎのLAGが設定されたラインカードLC[2],LC[3]と、の間のCCMフレームの通信は、
図2(および
図3)の場合と同様にして行われる。ただし、この際に、ラインカードLC[2],LC[3]のOAM処理部35は、LAG1で受信したCCMフレームCFi1,CFi2を、管理カードMC[1]に加えて管理カードMC[2]に向けても送信する。
【0077】
また、管理カードMC[2]は、管理カードMC[1]の場合と同様に、管理カードMC[1]とは独立してCCMフレームを生成し、当該CCMフレームを、管理カードMC[1]と同じラインカード(ここではLC[2])に向けて送信する。この際に、管理カードMC[2]は、管理カードMC[1]の場合と同様に、CCMフレームに宛先ポート識別子{LC[2]}/{P[1]}を付加する。
図7の例では、管理カードMC[1]は、ラインカードLC[2]に向けてCCMフレームCFo1aを定期的に送信し、管理カードMC[2]も、ラインカードLC[2]に向けてCCMフレームCFo1bを定期的に送信する。
【0078】
ここで、ラインカードLC[2]のOAM処理部35は、受信したCCMフレームCFo1a,CFo1bの中からいずれか一つを選択して、当該選択したCCMフレームを外部ポートP[1]に向けて送信する。この際に、OAM処理部35は、アクティブ状態ACTの管理カードから送信されたCCMフレームを選択する。
図7の例では、管理カードMC[1]がアクティブ状態ACTであるため、OAM処理部35は、CCMフレームCFo1aを選択し、CCMフレームCFo1bを破棄する。なお、管理カードMC[1]の障害に伴い管理カードMC[2]がアクティブ状態ACTに遷移した場合、OAM処理部35は、CCMフレームCFo1bを選択し、CCMフレームCFo1aを破棄する。
【0079】
このため、ラインカードLC[2]を含めて各ラインカードLC[1]〜LC[4]は、どの管理カードがアクティブ状態ACTであるか(言い換えれば管理カードの障害有無)を認識する機能を持つ。当該機能は、特に限定はされないが、各ラインカードLC[1]〜LC[4]と管理カードMC[1]との間、および各ラインカードLC[1]〜LC[4]と管理カードMC[2]との間で、それぞれ内部監視用フレームを用いて疎通性テストを実行し、当該テスト結果を各カード間で共有すること等で実現される。
【0080】
図7のような動作例を用いると、管理カードMC[1]に加えて管理カードMC[2]も、自身が主体となってCCMフレームの送信および受信を行っているように認識する。これにより、管理カードMC[1],MC[2]は、実質的に、CCMフレームの処理を常に同期した状態で行うことが可能になる。その結果、例えば、管理カードに障害が発生し、アクティブ状態ACTの遷移が行われた場合であっても、CCMフレームの通信を、中断することなく、そのまま継続することができる。
【0081】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0082】
例えば、
図7では、
図2の構成に対して複数の管理カードが搭載される場合を例としたが、勿論、
図6の構成に対して複数の管理カードが搭載される場合も、
図7と同様の方式を適用可能である。また、例えば、
図2では、管理カード(第1カード)MC[1]は、LAGテーブル24を備えたが、CCMフレームを送信する外部ポートを常に固定する方式を用いる場合、必ずしもLAGテーブル24を備える必要性は無い。ただし、この固定した外部ポートを持つラインカードに障害が生じた際などで、CCMフレームを送信する外部ポートを他のラインカードの外部ポートに変更することが望ましい場合がある。このような場合には、LAGテーブル24が必要となる。
【0083】
さらに、ここでは、複数のラインカードを管理する管理カードを用いてイーサネットOAMの処理を行ったが、必ずしも管理カードに限定されるものではない。すなわち、複数のラインカードにそれぞれ接続される第1カードを用いてイーサネットOAMの処理を行えばよい。第1カードは、管理カードに限らず、例えば、イーサネットOAMの処理を行う専用のカードであったり、場合によっては、ファブリックカード等であってもよい。ただし、専用のカードを用いる場合には、別途、ハードウェアの追加が必要となり、ファブリックカードを用いる場合には、各ラインカードとの間でユーザフレームのために確保される広い通信帯域を更に拡張する必要性が生じ得る。これらの観点から、中継装置が予め管理カードを備える場合には、管理カードを用いることが望ましい。