(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電荷蓄積層および前記電荷蓄積層の上に配置された表面層を有するフォトダイオードと、第1ゲート電極とフローティングディフュージョンを有し、前記電荷蓄積層の電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、を有する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板の主面に前記第1ゲート電極を形成する工程、
(b)前記第1ゲート電極の一端側に第1導電型の前記電荷蓄積層を形成する工程、
(c)前記電荷蓄積層内に、前記第1導電型とは反対導電型である第2導電型の表面層を形成する工程、
を有し、
前記工程(b)では、平面視において、前記電荷蓄積層の一部が前記第1ゲート電極と重なるように前記電荷蓄積層を形成し、
前記工程(c)は、
(c1)前記第1ゲート電極をマスクとして、前記半導体基板主面の法線に対して前記フローティングディフュージョン側に第1角度で傾斜した方向から、第2導電型の第1不純物を前記電荷蓄積層内にイオン注入して第1サブ領域を形成する工程、
(c2)前記第1ゲート電極をマスクに、前記半導体基板主面の法線に対して前記フローティングディフュージョン側に第2角度で傾斜した方向から、第2導電型の第2不純物を前記電荷蓄積層内にイオン注入して第2サブ領域を形成する工程、
を有し、
前記第1不純物の不純物濃度は、前記第2不純物の不純物濃度よりも低く、前記第1角度は前記第2角度よりも小である、半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態1の半導体装置の構造および製造工程について詳細に説明する。本実施の形態1では、半導体装置が、半導体基板の表面側から光を入射する表面照射型のCMOSイメージセンサである例について説明する。
【0015】
<半導体装置の構成>
図1は、本実施の形態1の半導体装置の構成例を示す回路ブロック図である。
図2は、画素の構成例を示す回路図である。なお、
図1では、アレイ状(行列状)に配置された4行4列(4×4)の16個の画素を示すが、画素の配列数はこれに限定されず、種々変更可能であり、例えば、実際にカメラなどの電子機器に使用される画素数は数百万のものがある。
【0016】
図1に示す画素領域1Aには、複数の画素PUがアレイ状に配置され、その周囲には破線で囲んだ周辺回路領域2Aがあり、周辺回路領域2Aには、垂直走査回路VSCや水平走査回路HSCなどの駆動回路、列回路CLC、スイッチSWTおよび出力アンプAPが含まれる。各画素(セル、画素ユニット)PUは、選択線SLおよび出力線OLの交点に配置されている。選択線SLは垂直走査回路VSCと接続され、出力線OLはそれぞれ列回路CLCと接続されている。列回路CLCはスイッチSWTを介して出力アンプAPと接続されている。各スイッチSWTは水平走査回路HSCと接続され、水平走査回路HSCにより制御される。
【0017】
例えば、垂直走査回路VSCおよび水平走査回路HSCにより選択された画素PUから読み出された電気信号は、出力線OLおよび出力アンプAPを介して出力される。
【0018】
画素PUの構成は、例えば、
図2に示されるように、フォトダイオードPDと、4つのトランジスタRST,TX,SEL,AMIとで構成される。これらのトランジスタRST,TX,SEL,AMIは、それぞれnチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)により形成される。このうち、トランジスタRSTはリセットトランジスタ(リセット用トランジスタ)であり、トランジスタTXは転送トランジスタ(転送用トランジスタ)であり、トランジスタSELは選択トランジスタ(選択用トランジスタ)であり、トランジスタAMIは増幅トランジスタ(増幅用トランジスタ)である。なお、転送トランジスタTXは、フォトダイオードPDにより生成された電荷をノードN1に転送する転送用トランジスタである。また、これらのトランジスタの他に、他のトランジスタや容量素子などの素子が組み込まれることもある。また、これらのトランジスタの接続形態には種々の変形・応用形態がある。
【0019】
図2に示す回路例においては、接地電位GNDとノードN1との間にフォトダイオードPDと転送トランジスタTXとが直列に接続されている。ノードN1と電源電位(電源電位線)VDDとの間にはリセットトランジスタRSTが接続されている。電源電位VDDと出力線OLとの間には、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが直列に接続されている。この増幅トランジスタAMIのゲート電極はノードN1に接続されている。また、リセットトランジスタRSTのゲート電極はリセット線LRSTに接続されている。また、選択トランジスタSELのゲート電極は選択線SLと接続され、転送トランジスタTXのゲート電極は転送線(第2選択線)LTXと接続されている。
【0020】
例えば、転送線LTXおよびリセット線LRSTを立ち上げ(Hレベルとし)、転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタRSTをオン状態とする。この結果、フォトダイオードPDの電荷が抜かれて空乏化される。その後、転送トランジスタTXをオフ状態とする。
【0021】
この後、例えば、カメラなどの電子機器のメカニカルシャッターを開くと、シャッターが開いている間、フォトダイオードPDにおいて、入射光によって電荷が発生し、蓄積される。つまり、フォトダイオードPDは、入射光を受光して電荷を生成する。
【0022】
次いで、シャッターを閉じた後、リセット線LRSTを立ち下げ(Lレベルとし)、リセットトランジスタRSTをオフ状態とする。さらに、選択線SLおよび転送線LTXを立ち上げ(Hレベルとし)、選択トランジスタSELおよび転送トランジスタTXをオン状態とする。これにより、フォトダイオードPDにより生成された電荷が転送トランジスタTXのノードN1側の端部(後述の
図3のフローティングディフュージョンFDに対応)に転送される。このとき、フローティングディフュージョンFDの電位は、フォトダイオードPDから転送された電荷に応じた値に変化し、この値が、増幅トランジスタAMIにより増幅され出力線OLに表れる。この出力線OLの電位が、電気信号(受光信号)となり、列回路CLCおよびスイッチSWTを介して出力アンプAPから出力信号として読み出される。
【0023】
図3は、本実施の形態1の半導体装置の画素に含まれるフォトダイオードPDと転送トランジスタTXを示す平面図である。
【0024】
図3に示されるように、本実施の形態1の半導体装置の画素PUに含まれるフォトダイオードPDと転送トランジスタTXとは、活性領域AcTP内に形成されている。
【0025】
平面視において、活性領域AcTPを横切るようにゲート電極Gtが配置され、ゲート電極Gtの両側のうちの一方には、フォトダイオードPDが配置され、他方には、フローティングディフュージョンFDが配置されている。フォトダイオードPDは、PN接合ダイオードであり、例えば、複数のn型およびp型の不純物拡散領域(半導体領域)により構成されるが、
図3では、フォトダイオードPDのp型半導体領域である表面層を構成するサブ領域PR1、PR2を図示している。また、フローティングディフュージョンFDは、電荷蓄積部または浮遊拡散層としての機能を有しており、例えば、n型の不純物拡散領域(半導体領域)で構成される。このフローティングディフュージョンFD上にはプラグPfdが配置され、ゲート電極Gt上にプラグPtgが配置されている。
【0026】
プラグPfd,Ptgおよび複数の配線層(例えば後述する
図5に示される配線M1〜M3)により、転送トランジスタTXおよびフォトダイオードPDを他のトランジスタと接続することにより、
図2に示される回路を形成することができる。
【0027】
図4は、本実施の形態1の半導体装置の周辺回路領域2Aに形成されるトランジスタを示す平面図である。
【0028】
周辺回路領域2Aには、論理回路を構成するトランジスタとして、複数のnチャネル型MISFETと複数のpチャネル型MISFETとが形成されているが、
図4には、論理回路を構成するトランジスタのうちの一つのnチャネル型MISFETを周辺トランジスタLTとして示されている。
【0029】
図4に示されるように、周辺回路領域2Aには、活性領域AcLが形成され、この活性領域AcLを横切るように周辺トランジスタLTのゲート電極Gltが配置され、ゲート電極Gltの両側であって、活性領域AcLの内部には、後述するn
+型半導体領域SDを含む周辺トランジスタLTのソース・ドレイン領域が形成されている。また、周辺トランジスタLTのソース・ドレイン領域上には、プラグPt1、Pt2が配置されている。
【0030】
図4においては、1つの周辺トランジスタLTのみを示しているが、実際には、周辺回路領域2Aには、複数のトランジスタが配置されている。これらの複数のトランジスタのソース・ドレイン領域上のプラグまたはゲート電極Glt上のプラグを複数の配線層(後述の配線M1〜M3)により接続することで、論理回路を構成することができる。また、MISFET以外の素子、例えば、容量素子や他の構成のトランジスタなどが論理回路に組み込まれる場合もある。
【0031】
なお、以下では、周辺トランジスタLTがnチャネル型MISFETである例を説明するが、周辺トランジスタLTはpチャネル型MISFETであってもよい。
【0032】
<画素領域および周辺回路領域の素子構造>
次に、本実施の形態1の半導体装置の断面図(
図5および
図6)を参照しながら、本実施の形態1の半導体装置の構造を説明する。
図5および
図6は、本実施の形態1の半導体装置の断面図であり、
図5は、
図3のA−A線に沿った断面図にほぼ対応し、
図6は、
図4のB−B線での断面図にほぼ対応している。
【0033】
図5に示されるように、半導体基板SBの画素領域1Aの活性領域AcTPには、フォトダイオードPDと転送トランジスタTXとが形成されている。フォトダイオードPDは、半導体基板SBに形成されたp型ウエルPW1、n型半導体領域(n型ウエル)NWおよびp型半導体領域PRからなる。また、
図6に示されるように、半導体基板SBの周辺回路領域2Aの活性領域AcLには、周辺トランジスタLTが形成されている。
【0034】
半導体基板SBは、例えば、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物(ドナー)が導入されたn型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)である。他の形態として、半導体基板SBを、いわゆるエピタキシャルウエハとすることもできる。半導体基板SBをエピタキシャルウエハとする場合、例えば、n型不純物(例えばヒ素(As))が導入されたn
+型の単結晶シリコン基板の主面上に、n型不純物(例えばリン(P))が導入されたn
−型単結晶シリコンからなるエピタキシャル層を成長させることにより、半導体基板SBを形成することができる。
【0035】
活性領域AcTPの外周には、絶縁体からなる素子分離領域LCSが配置されている。このように、素子分離領域LCSで囲まれた半導体基板SBの露出領域が、活性領域AcTPおよび活性領域AcLなどの活性領域となる。
【0036】
半導体基板SBの主面から所定の深さにわたって、p型ウエル(p型半導体領域)PW1,PW2が形成されている。p型ウエルPW1は、活性領域AcTP全体にわたって形成されている。すなわち、p型ウエルPW1は、フォトダイオードPDが形成されている領域と、転送トランジスタTXが形成されている領域とにわたって形成されている。また、p型ウエルPW2は、活性領域AcL全体にわたって形成されている。すなわち、p型ウエルPW2は、周辺トランジスタLTが形成される領域に形成されている。p型ウエルPW1およびp型ウエルPW2は、いずれも、ホウ素(B)などのp型不純物が導入されたp型の半導体領域である。p型ウエルPW1とp型ウエルPW2とは、互いに、独立した領域であり、電気的にも独立である。
【0037】
図5に示されるように、活性領域AcTPの半導体基板SBにおいて、p型ウエルPW1に内包されるように、n型半導体領域(n型ウエル)NWが形成されている。n型半導体領域NWは、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物が導入されたn型の半導体領域である。
【0038】
n型半導体領域NWは、フォトダイオードPDを形成するためのn型半導体領域であるが、転送トランジスタTXのソース領域でもある。すなわち、n型半導体領域NWは、主として、フォトダイオードPDが形成されている領域に形成されているが、n型半導体領域NWの一部は、転送トランジスタTXのゲート電極Gtと平面的に(平面視で)重なるような位置に、形成されている。n型半導体領域NW(の底面)の深さは、p型ウエルPW1(の底面)の深さよりも浅く形成されている。
【0039】
n型半導体領域NWの表面の一部には、p型半導体領域PRが形成されている。p型半導体領域PRは、ホウ素(B)などのp型不純物が高濃度で導入(ドープ)されたp型の半導体領域であり、p型半導体領域PRの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型ウエルPW1の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。このため、p型半導体領域PRの導電率(電気伝導率)は、p型ウエルPW1の導電率(電気伝導率)よりも高い。
【0040】
p型半導体領域PR(の底面)の深さは、n型半導体領域NW(の底面)の深さよりも浅い。p型半導体領域PRは、主として、n型半導体領域NWの表層部分(表面部分)に形成される。このため、半導体基板SBの厚さ方向に見ると、最上層のp型半導体領域PRの下にn型半導体領域NWが存在し、n型半導体領域NWの下にp型ウエルPW1が存在する状態となる。
【0041】
また、n型半導体領域NWが形成されていない領域において、p型半導体領域PRの一部はp型ウエルPW1に接している。すなわち、p型半導体領域PRは、直下にn型半導体領域NWが存在してそのn型半導体領域NWに接する部分と、直下にp型ウエルPW1が存在してそのp型ウエルPW1に接する部分とを有している。
【0042】
p型ウエルPW1とn型半導体領域NWとの間には、PN接合が形成される。また、p型半導体領域PRとn型半導体領域NWとの間には、PN接合が形成される。p型ウエルPW1(p型半導体領域)とn型半導体領域NWとp型半導体領域PRとによって、フォトダイオード(PN接合ダイオード)PDが形成される。フォトダイオードPDは、受光素子であり、光電変換素子である。フォトダイオードPDは、入力された光を光電変換して電荷を生成し、生成した電荷を蓄積する機能を有する。n型半導体領域NWには、フォトダイオードPDで光電変換された電荷が蓄積されるので、n型半導体領域NWはフォトダイオードPDの電荷蓄積層と呼ぶことができる。また、p型半導体領域PRは、半導体基板SBの主面側に形成されていることから、表面層と呼ぶことができる。
【0043】
表面層(p型半導体領域PR)は、半導体基板SBの表面に多数形成されている界面準位に基づく電子の発生を抑制する目的で形成されている。すなわち、半導体基板SBの表面領域では、界面準位の影響により、光が照射されていない状態でも電子が発生し、暗電流の増加を引き起こす場合がある。このため、電子を多数キャリアとするn型半導体領域NWの表面に、正孔(ホール)を多数キャリアとするp型半導体領域PRである表面層を形成することにより、光が照射されていない状態での電子の発生を抑制し、暗電流の増加を抑制することができる。従って、表面層は、フォトダイオード最表面から湧き出る電子をそのp型半導体領域のホールと再結合させて、暗電流または暗時白欠陥を減少させる役割がある。
【0044】
本実施の形態1の半導体装置では、表面層は、p型半導体領域であるサブ領域PR1とp型半導体領域であるサブ領域PR2とで構成されている。サブ領域PR2の不純物濃度は、サブ領域PR1の不純物濃度よりも高い。半導体基板SBの深さ方向において、サブ領域PR1の底面は、サブ領域PR2の底面よりも深い位置に形成されており、サブ領域PR1がn型半導体領域である電荷蓄積層(n型半導体領域NW)と接している。また、半導体基板SBの主面に沿う方向において、サブ領域PR1は、サブ領域PR2よりも、後述するゲート電極GtまたはフローティングディフュージョンFDに近い側に配置されている。
【0045】
転送トランジスタTXは、フォトダイオードPDで発生し、蓄積された電荷をフォトダイオードPDから転送する際のスイッチとしての役割を有している。
【0046】
また、n型半導体領域NWの一部と平面的に重なるように、ゲート電極Gtが形成されている。このゲート電極Gtは、転送トランジスタTXのゲート電極であり、半導体基板SB上にゲート絶縁膜GOXを介して形成(配置)されている。転送トランジスタTXのフローティングディフュージョンFD側には、ゲート電極Gtの側壁上に、オフセットスペーサOSを介して、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSWが形成されている。
【0047】
活性領域AcTPの半導体基板SB(p型ウエルPW1)において、ゲート電極Gtの両側のうちの一方の側には、n型半導体領域NWが形成されており、他方の側には、n型半導体領域NRが形成されている。n型半導体領域NRは、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物が高濃度で導入(ドープ)されたn
+型半導体領域であり、p型ウエルPW1内に形成されている。n型半導体領域NRは、フローティングディフュージョン(浮遊拡散層)FDとしての半導体領域であり、転送トランジスタTXのドレイン領域でもある。
【0048】
n型半導体領域NWは、フォトダイオードPDの電荷蓄積層であり、転送トランジスタTXのソース用の半導体領域としても機能することができる。すなわち、転送トランジスタTXのソース領域は、n型半導体領域NWにより形成される。このため、n型半導体領域NWとゲート電極Gtとは、ゲート電極Gtの一部(ソース側)が、n型半導体領域NWの一部と平面的に(平面視で)重なるような位置関係となっている。n型半導体領域NWとn型半導体領域NRとは、転送トランジスタTXのチャネル形成領域(ゲート電極Gtの直下の基板領域に対応)を挟んで互いに離間するように形成されている。
【0049】
フォトダイオードPD(
図5参照)の表面、すなわち表面層上には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。このオフセットスペーサOSは、半導体基板SBの表面特性、すなわち界面特性を良好に保つために形成される。このオフセットスペーサOS上には、酸化シリコン膜からなる反射防止膜ARFが形成されている。すなわち、反射防止膜ARFは、n型半導体領域NWおよび表面層の上に、オフセットスペーサOSを介して形成されている。反射防止膜ARFおよびオフセットスペーサOSの一部(端部)は、ゲート電極Gt上に乗り上げている。
【0050】
一方、
図6に示されるように、活性領域AcLのp型ウエルPW2上には、ゲート絶縁膜GOXを介して、周辺トランジスタLTのゲート電極Gltが形成されており、ゲート電極Gltの両側の側壁上には、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールスペーサSWが形成されている。また、ゲート電極Gltの両側のp型ウエルPW2中には、周辺トランジスタLTのソース・ドレイン領域が形成されている。周辺トランジスタLTのソース・ドレイン領域は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、n型の低濃度半導体領域であるn
−型半導体領域NMと、n型の高濃度半導体領域であるn
+型半導体領域SDとからなる。さらに、周辺トランジスタLTのゲート電極Glt、ソース・ドレイン領域を構成するn
+型半導体領域SDの表面には金属シリサイド層を形成してもよい。
【0051】
図5および
図6に示されるように、半導体基板SB上には、ゲート電極Gt、反射防止膜ARFおよびゲート電極Gltを覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されている。層間絶縁膜IL1は、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aを含む半導体基板SBの主面全体上に形成されている。層間絶縁膜IL1は、例えば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料とした酸化シリコン膜により形成されている。層間絶縁膜IL1には、プラグPfd,Ptg,Pt1,Pt2などの導電性のプラグPGが埋め込まれている。例えば、
図5に示されるように、フローティングディフュージョンFDとしてのn型半導体領域NR上にプラグPGとしてプラグPfdが形成されており、このプラグPfdは、層間絶縁膜IL1を貫通してn型半導体領域NRに達しており、n型半導体領域NRと電気的に接続されている。
【0052】
プラグPfd,Ptg,Pt1,Pt2などの導電性のプラグPGは、層間絶縁膜IL1に形成されたコンタクトホールに、例えば、バリア導体膜とバリア導体膜上に形成されたタングステン膜とを埋め込むことにより形成されている。そのバリア導体膜は、例えば、チタン膜と該チタン膜上に形成された窒化チタン膜との積層膜(すなわちチタン/窒化チタン膜)からなる。
【0053】
プラグPG(Pfd,Ptg,Pt1,Pt2)が埋め込まれた層間絶縁膜IL1上には、例えば、層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2に配線M1が形成されている。
【0054】
層間絶縁膜IL2は、例えば酸化シリコン膜により形成されるが、これに限定されるものではなく、酸化シリコン膜よりも誘電率の低い低誘電率膜により形成することもできる。低誘電率膜としては、例えば、SiOC膜を挙げることができる。
【0055】
配線M1は、例えば、銅配線により形成されており、ダマシン法を用いて形成することができる。なお、配線M1は、銅配線に限定されるものではなく、アルミニウム配線により形成することもできる。配線M1が埋込銅配線(ダマシン銅配線)の場合(
図5および
図6はこの場合に対応)は、その埋込銅配線は、層間絶縁膜IL1に形成された配線溝内に埋め込まれているが、配線M1がアルミニウム配線の場合は、そのアルミニウム配線は、層間絶縁膜上に形成された導電膜をパターニングすることにより形成される。
【0056】
配線M1を形成した層間絶縁膜IL2上には、例えば、酸化シリコン膜や低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL3が形成されており、この層間絶縁膜IL3に配線M2が形成されている。また、配線M2を形成した層間絶縁膜IL3上には、層間絶縁膜IL4が形成されており、この層間絶縁膜IL4に配線M3が形成されている。配線M1〜M3は、配線層を形成している。配線M1〜M3は、フォトダイオードと平面的に重ならないように形成されている。これは、フォトダイオードに入射する光が配線M1〜M3によって遮られないようにするためである。
【0057】
さらに、配線M3を形成した層間絶縁膜IL4上には、マイクロレンズMLが搭載されている。なお、マイクロレンズMLと層間絶縁膜IL4との間にカラーフィルタが設けられていてもよい。
【0058】
図5において、光が画素PU(
図1参照)に照射されると、まず、入射光は、マイクロレンズMLを通過する。その後、可視光に対して透明な層間絶縁膜IL4〜IL1を通過した後、反射防止膜ARFに入射する。反射防止膜ARFでは、入射光の反射が抑制されて充分な光量の入射光がフォトダイオードPDに入射する。フォトダイオードPDでは、入射光のエネルギーがシリコンのバンドギャップよりも大きいため、光電変換により入射光が吸収されて正孔電子対が生成される。このとき生成された電子は、n型半導体領域NWに蓄積される。そして、適切なタイミングで、転送トランジスタTXをオンする。具体的には、転送トランジスタTXのゲート電極Gtにしきい値電圧以上の電圧を印加する。すると、転送トランジスタTXのゲート絶縁膜GOX直下のチャネル形成領域にチャネル領域が形成され、転送トランジスタTXのソース領域としてのn型半導体領域NWと、転送トランジスタTXのドレイン領域としてのn型半導体領域NRとが、電気的に導通することになる。この結果、n型半導体領域NWに蓄積された電子は、チャネル領域を通ってドレイン領域(n型半導体領域NR)に達し、ドレイン領域(n型半導体領域NR)からプラグPfdおよび配線層を伝わって外部回路に取り出される。
【0059】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造方法について、
図5〜
図24を参照して説明する。図面簡略化のために
図23および
図24に続く製造工程は、
図5および
図6を用いて説明する。
【0061】
本実施の形態1の半導体装置を製造するために、まず、
図7のS1工程に示されるように、半導体基板(半導体ウエハ)SBを用意(準備)する。
【0062】
半導体基板SBは、例えば、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物が導入されたn型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)である。他の形態として、半導体基板SBを、いわゆるエピタキシャルウエハとすることもできる。半導体基板SBをエピタキシャルウエハとする場合、例えば、n型不純物(例えばヒ素(As))が導入されたn
+型の単結晶シリコン基板の主面上に、n型不純物(例えばリン(P))が導入されたn
−型単結晶シリコンからなるエピタキシャル層を成長させることにより、半導体基板SBを形成することができる。
【0063】
次に、
図9および
図10は、半導体基板SBに素子分離領域LCSを形成する工程(
図7のS2工程)を示している。
【0064】
素子分離領域LCSは、酸化膜などの絶縁膜からなる。例えば、半導体基板SBのうち、活性領域AcTPおよび活性領域AcL等の活性領域となる領域を窒化シリコン膜で覆った状態で、半導体基板SBを熱酸化することにより、窒化シリコン膜で覆われていない領域の半導体基板SBの主面に、熱酸化膜からなる素子分離領域LCSを形成することができる。このような素子分離領域の形成法をLOCOS(Local oxidation of silicon)法という。素子分離領域LCSにより、活性領域AcTPおよび活性領域AcL等の活性領域が区画(規定)される。
【0065】
LOCOS法に代えてSTI(Shallow Trench Isolation)法を用いて素子分離領域LCSを形成してもよい。STI法を用いた場合、素子分離領域LCSは、半導体基板SBの溝内に埋め込まれた絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)からなる。例えば、半導体基板SBのうち、活性領域AcTPおよび活性領域AcL等の活性領域となる領域を窒化シリコン膜で覆う。そして、その窒化シリコン膜をエッチングマスクとして半導体基板SBをエッチングすることにより、半導体基板SBに素子分離用の溝を形成し、その後、その素子分離用の溝内に酸化シリコン膜などの絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離領域LCSを形成することができる。
【0066】
なお、活性領域AcTPは、画素領域1Aに形成され、活性領域AcLは、周辺回路領域2Aに形成される。
【0067】
次に、
図11および
図12は、画素領域1Aの半導体基板SBにp型ウエル(p型半導体領域)PW1を形成する工程、周辺回路領域2Aの半導体基板SBにp型ウエル(p型半導体領域)PW2を形成する工程(
図7のS3工程)を示している。
【0068】
p型ウエルPW1は、フォトダイオードPDを形成するためのp型半導体領域であり、また、nチャネル型の転送トランジスタTXを形成するためのp型ウエル領域でもある。p型ウエルPW2は、nチャネル型の周辺トランジスタLTを形成するためのp型ウエル領域である。
【0069】
p型ウエルPW1,PW2は、それぞれ、半導体基板SBの主面から所定の深さにわたって形成される。p型ウエルPW1,PW2は、半導体基板SBに、例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。
【0070】
p型ウエルPW1は、画素領域1Aにおいて、フォトダイオードPDが形成される領域と、転送トランジスタTXが形成される領域とにわたって形成される。すなわち、画素領域1Aにおいて、活性領域AcTP全体にp型ウエルPW1が形成される。p型ウエルPW2は、周辺回路領域2Aに形成される。p型ウエルPW1を形成するためのイオン注入と、p型ウエルPW2を形成するためのイオン注入とは、異なるイオン注入工程で行うか、あるいは、同じイオン注入工程で行う。
【0071】
p型ウエルPW1,PW2の導電型はp型であり、半導体基板SBの導電型であるn型とは反対の導電型である。p型ウエルPW1,PW2は、半導体基板SBの主面を基準として、素子分離領域LCSよりも深い。
【0072】
次に、
図13および
図14は、ゲート電極Gt、Gltの形成工程(
図7のS4工程)を示している。画素領域1Aにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜GOXを介して転送トランジスタTX用のゲート電極Gtを形成し、周辺回路領域2Aにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上にゲート絶縁膜GOXを介して周辺トランジスタLT用のゲート電極Gltを形成する。
【0073】
すなわち、まず、半導体基板SBの主面を洗浄処理などにより清浄化してから、半導体基板SBの主面にゲート絶縁膜GOX用の絶縁膜を形成する。このゲート絶縁膜GOX用の絶縁膜は、例えば酸化シリコン膜からなり、熱酸化法などを用いて形成することができる。他の形態として、ゲート絶縁膜GOX用の絶縁膜として、酸窒化シリコン膜や、あるいは、金属酸化物膜(例えばハフニウム酸化物膜)などの高誘電率絶縁膜を用いることもできる。それから、半導体基板SB上、すなわちゲート絶縁膜GOX用の絶縁膜上に、ゲート電極用の導電膜(例えば多結晶シリコン膜)をCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて形成した後、このゲート電極用の導電膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングする。これにより、パターニングされた導電膜(例えば多結晶シリコン膜)からなるゲート電極Gt,Gltを形成することができる。ゲート電極Gt,Gltの下に残存するゲート絶縁膜GOX用の絶縁膜が、ゲート絶縁膜GOXとなる。また、本実施の形態では、このゲート電極用の導電膜をパターニングするためのドライエッチング、あるいはそのドライエッチングの後のウェットエッチングにより、ゲート電極Gt,Gltで覆われていない領域のゲート絶縁膜GOX用の絶縁膜は除去される場合を例示している。しかしながら、ゲート電極Gt,Gltで覆われていない領域の絶縁膜GOXを除去せずに、後の工程で行われるイオン注入の際に保護膜として用いるために残しても良い。
【0074】
ゲート電極Gtは、転送トランジスタTXのゲート電極として機能し、画素領域1Aにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜GOXを介して形成される。ゲート電極Gtの下のゲート絶縁膜GOXが、転送トランジスタTXのゲート絶縁膜として機能する。ゲート電極Gltは、周辺トランジスタLTのゲート電極として機能し、周辺回路領域2Aにおいて、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上にゲート絶縁膜GOXを介して形成される。ゲート電極Gltの下のゲート絶縁膜GOXが、周辺トランジスタLTのゲート絶縁膜として機能する。
【0075】
次に、
図15および
図16は、n型半導体領域NWの形成工程(
図7のS5工程)を示している。画素領域1Aの半導体基板SBに、n型半導体領域NWを形成する。n型半導体領域NWは、画素領域1Aの半導体基板SBにリン(P)またヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することによって、形成することができる。
【0076】
n型半導体領域NWは、フォトダイオードPDを形成するためのn型半導体領域であり、n型半導体領域NW(の底面)の深さは、p型ウエルPW1(の底面)の深さよりも浅く、n型半導体領域NWは、p型ウエルPW1に内包されるように形成される。n型半導体領域NWは、p型ウエルPW1に内包されるように形成されるため、n型半導体領域NWの底面と側面とは、p型ウエルPW1に接している。
【0077】
n型半導体領域NWは、画素領域1Aの活性領域AcTP全体に形成されるのではなく、活性領域AcTPの半導体基板SBにおけるゲート電極Gtの両側の領域のうち、一方の側(ソース側)に形成され、他方側(ドレイン側)には形成されない。
【0078】
n型半導体領域NWは、具体的には、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、
図15および
図16に示されるように、まず、半導体基板SB上にレジスト層としてフォトレジストパターン(フォトレジスト層)RS1を、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。フォトレジストパターンRS1は、画素領域1Aの活性領域AcTPにおけるゲート電極Gtの両側のうちの一方の側(ソース側)を開口(露出)する開口部OP1を有しており、画素領域1Aの活性領域AcTPにおけるゲート電極Gtの両側のうちの他方の側(ドレイン側)は、フォトレジストパターンRS1で覆われている。それから、このフォトレジストパターンRS1をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、半導体基板SBにn型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、画素領域1Aにおいて、開口部OP1に平面視で重なる位置の半導体基板SBにn型不純物がイオン注入され、それによって、画素領域1Aの活性領域AcTPの半導体基板SBに、p型ウエルPW1に内包されるように、n型半導体領域NWが形成される。その後、フォトレジストパターンRS1は除去される。
【0079】
また、ゲート電極Gtとn型半導体領域NWとのオーバーラップ量を十分に確保するために、半導体基板SBの主面の法線に対して、例えば、10°〜20°程度の傾斜を有する斜めイオン注入をしても良い。斜めイオン注入の向きは、転送トランジスタTXのソース側からチャネル形成領域に向かう方向である。
【0080】
なお、n型半導体領域NWを形成するためのイオン注入工程においては、
図16に示されるように、周辺回路領域2A全体にフォトレジストパターンRS1が形成されている。すなわち、周辺回路領域2A全体において、ゲート電極Gltを覆うように半導体基板SB上にフォトレジストパターンRS1が形成されている。このため、n型半導体領域NWを形成するためのイオン注入工程においては、周辺回路領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)では、フォトレジストパターンRS1がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、イオン注入されない。つまり、n型半導体領域NWを形成するためのイオン注入の際には、n型半導体領域NW形成領域以外の半導体基板SBは、フォトレジストパターンRS1で覆っておき、n型半導体領域NW形成領域に選択的にn型不純物をイオン注入するのである。
【0081】
次に、
図17および
図18は、p型半導体領域PRを形成する工程(
図7のS6工程)を示している。
【0082】
p型半導体領域PRは、例えば、ホウ素(B)等の不純物を半導体基板SBにイオン注入することによって形成する。p型半導体領域PRは、低不純物濃度のサブ領域PR1と、サブ領域PR1よりも高不純物濃度のサブ領域PR2とで構成されている。
【0083】
サブ領域PR1の不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型ウエルPW1の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。サブ領域PR1(の底面)の深さは、サブ領域PR2(の底面)の深さよりも深い、サブ領域PR1(の底面)の深さは、n型半導体領域NW(の底面)の深さよりも浅い。つまり、サブ領域PR1がn型半導体領域NWと接している。p型半導体領域PRは、主として、n型半導体領域NWの表層部分(表面領域)に形成される。このため、半導体基板SBの厚さ方向に見ると、最上層のp型半導体領域PRを構成するサブ領域PR2とサブ領域PR1の下にn型半導体領域NWが存在し、n型半導体領域NWの下にp型ウエルPW1が存在する状態となる。
【0084】
p型半導体領域PRは、具体的には、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、
図17および
図18に示されるように、まず、半導体基板SB上にレジスト層としてフォトレジストパターン(フォトレジスト層)RS2を、フォトリソグラフィ技術を用いて形成する。フォトレジストパターンRS2は、画素領域1Aの活性領域AcTPにおけるp型半導体領域PR形成領域を開口(露出)する開口部OP2を有している。
図17に示すように、フォトレジストパターンRS2は、フローティングディフュージョンFD形成領域を完全に覆って、ゲート電極Gtを一部覆っている。開口部OP2を構成するフォトレジストパターンRS2の一方の側壁はゲート電極Gt上に位置しており、他方の側壁は素子分離領域LCS上に位置している。それから、このフォトレジストパターンRS2をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板SBに、ホウ素(B)等の不純物をイオン注入する。これにより、画素領域1Aにおいて、p型ウエルPW1の表層部分およびn型半導体領域NWの表層部分にp型半導体領域PRが形成される。その後、フォトレジストパターンRS2は除去される。
【0085】
サブ領域PR1は、半導体基板SBの主面の法線NLに対して、注入角度θ1(10°〜20°)の傾きを持つ斜めイオン注入法により、ホウ素(B)等の不純物を半導体基板SBに導入する。この時の、不純物の注入量は、例えば、1×10
13cm
−2であり、注入エネルギーは5keVである。サブ領域PR2は、半導体基板SBの主面の法線NLに対して、注入角度θ2(30°)の傾きを持つ斜めイオン注入法により、ホウ素(B)等の不純物を半導体基板SBに導入する。なお、斜めイオン注入は、p型半導体領域PRをゲート電極Gtからオフセットさせるために実施されているので、注入角度θ1、θ2は、法線NLに対してドレイン側に傾斜している。また、サブ領域PR2を形成するイオン注入において、不純物の注入量は、例えば、2×10
13cm
−2であり、注入エネルギーは5keVである。サブ領域PR1、PR2の斜めイオン注入において、フォトレジストパターンRS2は、ゲート電極Gtのソース側(左端、フォトダイオードPDを形成する側)の肩部から離れているので、サブ領域PR1、PR2の形成位置は、ゲート電極Gtのソース側の肩部によって決まる。なお、サブ領域PR1、PR2の形成は、どちらが先であっても良い。
【0086】
サブ領域PR2の不純物注入量が、サブ領域PR1の不純物注入量よりも大であり、サブ領域PR2には、サブ領域PR1形成用の不純物も注入されるので、サブ領域PR2は、サブ領域PR1よりも高濃度である。また、半導体基板SBの深さ方向において、サブ領域PR1はサブ領域PR2よりも深く形成されており、サブ領域PR1の底面は、サブ領域PR2の底面よりも深い(下側に位置する)ので、サブ領域PR1がn型半導体領域NWに接している。
【0087】
また、サブ領域PR1は、サブ領域PR2よりもゲート電極Gt(または、フォローティングディフュージョン)に近い側に配置されている。サブ領域PR2のゲート電極Gt側の端部は、サブ領域PR1で覆われており、サブ領域PR1のゲート電極Gt側の端部は、n型半導体領域NWで覆われている。
【0088】
なお、p型半導体領域PRを形成するためのイオン注入工程においては、
図18に示されるように、周辺回路領域2A全体にフォトレジストパターンRS2が形成されている。すなわち、周辺回路領域2A全体において、活性領域AcLを覆うように半導体基板SB上にフォトレジストパターンRS2が形成されている。このため、p型半導体領域PRを形成するためのイオン注入工程においては、周辺回路領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)には、イオン注入されない。
【0089】
また、n型半導体領域NWが形成されていない領域において、p型半導体領域PRの一部はp型ウエルPW1に接している。すなわち、p型半導体領域PRは、直下にn型半導体領域NWが存在してそのn型半導体領域NWに接する部分と、直下にp型ウエルPW1が存在してそのp型ウエルPW1に接する部分とを有している。
【0090】
p型ウエルPW1は、フォトダイオードPDを形成するためのp型半導体領域であり、n型半導体領域NWは、フォトダイオードPDを形成するためのn型半導体領域であり、p型半導体領域PRは、フォトダイオードPDを形成するためのp型半導体領域である。p型ウエルPW1(p型半導体領域)とn型半導体領域NWとp型半導体領域PRとによって、フォトダイオード(PN接合ダイオード)PDが形成される。p型ウエルPW1とn型半導体領域NWとの間には、PN接合が形成され、また、p型半導体領域PR(サブ領域PR1)とn型半導体領域NWとの間には、PN接合が形成される。
【0091】
また、p型半導体領域PRをイオン注入によって形成した後、結晶欠陥(主としてイオン注入に起因した結晶欠陥)を回復させるためのアニール処理、すなわち熱処理を行うことが好ましい。このアニール処理により、n型半導体領域NWおよびp型半導体領域PRの結晶欠陥を回復させることができる。
【0092】
このアニール処理(熱処理)は、例えば、レーザアニール、マイクロ波アニール、RTA(Rapid thermal anneal)、またはファーネスアニール、あるいは、それらの組み合わせにより、行うことができる。このイオン注入後に行うアニール処理(熱処理)の温度は、例えば300〜1200℃程度とすることができる。ここで、レーザアニールは、レーザを照射することによるアニール(熱処理)であり、マイクロ波アニールは、マイクロ波を照射することによるアニール(熱処理)であり、RTAは、ランプ加熱などを用いた短時間アニールであり、ファーネスアニールは、アニール炉で加熱することによるアニール(熱処理)である。
【0093】
次に、
図19および
図20は、オフセットスペーサOSおよびn
−型半導体領域NMを形成する工程(
図7のS7工程および
図8のS8工程)を示している。
【0094】
まず、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aにおいて、ゲート電極Gtおよびゲート電極Gltを覆うようにオフセットスペーサOSを形成する。オフセットスペーサOSは、例えば、窒化シリコン膜または酸化シリコン膜からなる。次に、画素領域1Aを覆い、周辺回路領域2Aを露出するパターンを有するフォトレジストパターンRS3を形成し、オフセットスペーサOSに異方性ドライエッチを施す。その結果、周辺回路領域2Aにおいて、ゲート電極Gltの側壁上に選択的にオフセットスペーサOSが形成される。
【0095】
次に、周辺回路領域2Aにおいて、ゲート電極Gltの両側の半導体基板SB(p型ウエルPW2)中に、n
−型半導体領域(ソース・ドレインエクステンション領域)NMを形成する。
【0096】
n
−型半導体領域NMは、半導体基板SB上に周辺回路領域2Aを開口(露出)するフォトレジストパターンRS3をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、周辺回路領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)に、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物をイオン注入する。この際、周辺回路領域2Aでは、ゲート電極GltおよびオフセットスペーサOSがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、n
−型半導体領域NMは、ゲート電極GltおよびオフセットスペーサOSに対して自己整合で形成される。その後、フォトレジストパターンRS3は除去される。
【0097】
なお、n
−型半導体領域NMを形成するためのイオン注入工程では、
図19に示されるように、画素領域1Aにおいて、ゲート電極Gtの表面を含めて半導体基板SB上に、フォトレジストパターンRS3が形成されている。すなわち、n
−型半導体領域NMを形成するためのイオン注入工程においては、画素領域1Aにはイオン注入されない。
【0098】
次に、
図21および
図22は、画素領域1Aの半導体基板SB上に、反射防止膜ARFおよびサイドウォールスペーサSWを形成する工程(
図8のS9工程)を示している。
【0099】
反射防止膜ARFおよびサイドウォールスペーサSWは、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、まず、半導体基板SBの主面上に、ゲート電極Gt,GltおよびオフセットスペーサOSを覆うように、絶縁膜ZM1を形成する。この絶縁膜ZM1は、反射防止膜ARF形成用の絶縁膜とサイドウォールスペーサSW形成用の絶縁膜とを兼ねている。次に、反射防止膜ARFを形成する領域の絶縁膜ZM1上に、フォトレジストパターンRS4を形成する。フォトレジストパターンRS4は、転送トランジスタTXのソース側を完全に覆っている。つまり、転送トランジスタTXのソース側に設けられたn型半導体領域NWおよびp型半導体領域PRを完全に覆っている。
図21に示すように、フォトレジストパターンRS4の一端はゲート電極Gt上に位置し、他端は素子分離領域LCS上に位置している。また、フォトレジストパターンRS4は、転送トランジスタTXのゲート電極Gtの一部であるドレイン領域および周辺回路領域2Aを露出している。なお、反射防止膜ARFを構成する絶縁膜ZM1は、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなり、これらを積層した膜で構成することも可能である。また、本実施の形態ではオフセットスペーサOSを残しているが、絶縁膜ZM1にオフセットスペーサOSを除去しても良い。
【0100】
このフォトレジストパターンRS4をマスク(エッチングマスク)として用いて、絶縁膜ZM1をRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性ドライエッチングによりエッチバックする。これにより、ゲート電極Gt,Gltの側壁上に絶縁膜ZM1を局所的に残すことにより、サイドウォールスペーサSWを形成するとともに、フォトレジストパターンRS4の下に絶縁膜ZM1を残すことにより、反射防止膜ARFを形成する。反射防止膜ARFは、n型半導体領域NWおよびp型半導体領域PR上にオフセットスペーサOSを介して形成され、反射防止膜ARFの一部(端部)は、ゲート電極Gt上に乗り上げている。
【0101】
ゲート電極Gltの両側壁上には、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールスペーサSWが形成されるが、ゲート電極Gtについては、ゲート電極Gtの両側壁上のうち、ドレイン側(フローティングディフュージョンFD側)の側壁上に、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールスペーサSWが形成される。ゲート電極Gtのソース側の側壁は、オフセットスペーサOSを介して反射防止膜ARFで覆われる。異方性ドライエッチングの後、フォトレジストパターンRS4は除去される。
【0102】
次に、
図23および
図24は、n型半導体領域NRの形成工程(
図8のS10工程)を示している。画素領域1Aの活性領域AcTPにおいて、ゲート電極Gtの両側のうちの他方の側(ドレイン側)の半導体基板SB(p型ウエルPW1)中に、リン(P)またはヒ素(As)の不純物をイオン注入することによりn型半導体領域NRを形成する。なお、ドレイン側は、n型半導体領域NWが形成されている側とは反対側に対応している。
【0103】
n型半導体領域NRを形成するイオン注入工程では、反射防止膜ARFおよびゲート電極Gtがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、半導体基板SBにおける反射防止膜ARFおよびゲート電極Gtの直下の領域では、不純物の注入が防止される。これにより、
図23に示されるように、転送トランジスタTXのゲート電極Gtの両側のうちの他方の側(ドレイン側、すなわちn型半導体領域NWが形成されている側とは反対側)の半導体基板SB(p型ウエルPW1)中に、n型半導体領域NRを形成することができる。
【0104】
n型半導体領域NWとn型半導体領域NRとは、転送トランジスタTXのチャネル形成領域(ゲート電極Gtの直下の基板領域に対応)を挟んで互いに離間するように形成される。n型半導体領域NRは、転送トランジスタTXのドレイン領域として機能するn型の高濃度半導体領域である。n型半導体領域NRは、転送トランジスタTXのドレイン領域として機能するが、フローティングディフュージョン(浮遊拡散層)FDとみなすこともできる。
【0105】
また、周辺回路領域2Aにおいて、ゲート電極Glt、オフセットスペーサOSおよびサイドウォールスペーサSWの合成体の両側の半導体基板SB(p型ウエルPW2)中に、イオン注入によりn
+型半導体領域SDを形成する。n
+型半導体領域SDを形成するイオン注入の際には、ゲート電極Gltとその側壁上のオフセットスペーサOSおよびサイドウォールスペーサSWとがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。このため、周辺回路領域2Aの半導体基板SB(p型ウエルPW2)におけるゲート電極Glt、オフセットスペーサOSおよびサイドウォールスペーサSWに対して自己整合的に、n
+型半導体領域SDが形成される。
【0106】
n
+型半導体領域SDは、n
−型半導体領域NMと同じ導電型(ここではn型)の半導体領域であるが、n
−型半導体領域NMよりも、不純物濃度(n型不純物濃度)が高く、かつ、深さ(接合深さ)が深い。これにより、周辺回路領域2Aにおいて、周辺トランジスタLTのソースまたはドレインとして機能する半導体領域(ソース・ドレイン領域)が、n
+型半導体領域SDおよびn
−型半導体領域NMにより形成される。従って、周辺トランジスタLTのソース・ドレイン領域は、LDD構造を有している。
【0107】
なお、n型半導体領域NRとn
+型半導体領域SDとは、同じイオン注入工程により形成することができるが、別々のイオン注入により形成することも可能である。
【0108】
次に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う(
図8のS11工程)。
【0109】
以上の工程により、半導体基板SBの各画素領域1Aに、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXが形成される。また、半導体基板SBの周辺回路領域2Aに、MISFETとしての周辺トランジスタLTが形成される。
【0110】
以下、層間絶縁膜IL1〜IL4、プラグPGおよび配線M1〜M4等は、
図5および
図6の完成断面図を参照しながら説明する。
【0111】
まず、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、層間絶縁膜IL1およびプラグPGを形成する工程を実施する(
図8のS12工程〜S14工程)。すなわち、ゲート電極Gt,Glt、サイドウォールスペーサSWおよび反射防止膜ARFを覆うように、半導体基板SB上に層間絶縁膜IL1を形成する(
図8のS12工程)。層間絶縁膜IL1として、例えば、TEOS(tetra ethyl ortho silicate)ガスを原料ガスとしたCVD法により酸化シリコン膜を半導体基板SB上に堆積することができる。
【0112】
層間絶縁膜IL1の成膜後、層間絶縁膜IL1の表面(上面)をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により研磨して、層間絶縁膜IL1の上面を平坦化する。
【0113】
次に、層間絶縁膜IL1上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、層間絶縁膜IL1をドライエッチングすることにより、層間絶縁膜IL1にコンタクトホール(貫通孔、孔、開口部)CTを形成する(
図8のS13工程)。コンタクトホールCTは、層間絶縁膜IL1を貫通するように形成される。コンタクトホールCTは、例えば、n型半導体領域NR上や、n
+型半導体領域SD上などに形成される。n型半導体領域NR上に形成されたコンタクトホールCTの底部では、n型半導体領域NRの表面の一部が露出される。また、n
+型半導体領域SD上に形成されたコンタクトホールCTの底部では、n
+型半導体領域SDの表面の一部が露出される。
【0114】
次に、コンタクトホールCT内に、接続用の導電体部として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する(
図8のS14工程)。プラグPGは、例えば次のようにして形成することができる。
【0115】
プラグPGを形成するには、まず、コンタクトホールCTの内部(底面および内壁上)を含む層間絶縁膜IL1上に、バリア導体膜を形成する。このバリア導体膜は、例えば、チタン膜とチタン膜上に形成された窒化チタン膜との積層膜(すなわちチタン/窒化チタン膜)からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。それから、タングステン膜などからなる主導体膜を、CVD法などによってバリア導体膜上にコンタクトホールCTを埋めるように形成する。その後、コンタクトホールCTの外部(層間絶縁膜IL1上)の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。これにより、層間絶縁膜IL1の上面が露出し、層間絶縁膜IL1のコンタクトホールCT内に埋め込まれて残存するバリア導体膜および主導体膜により、プラグPGが形成される。なお、図面の簡略化のために、
図5および
図6では、プラグPGを構成するバリア導体膜と主導体膜とを一体化して示してある。
【0116】
プラグPGには、プラグPfd,Pt1,Pt2がある。このうち、プラグPfdは、n型半導体領域NR上に形成されたコンタクトホールCTに埋め込まれており、層間絶縁膜IL1を貫通してn型半導体領域NRに達して、n型半導体領域NRと電気的に接続されている。また、プラグPt1,Pt2のそれぞれは、n
+型半導体領域SD上に形成されたコンタクトホールCTに埋め込まれており、n
+型半導体領域SDと電気的に接続されている。
【0117】
次に、プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2〜IL4および配線M1〜M3を形成する工程を実施する。
【0118】
例えば、層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2として窒化シリコン膜と窒化シリコン膜上の酸化シリコン膜との積層膜を、CVD法などを用いて形成してから、その積層膜に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて配線溝を形成する。それから、配線溝の内部(底面および内壁上)を含む層間絶縁膜IL2上に、バリア導体膜を形成する。このバリア導体膜は、例えば、タンタル(Ta)膜と該タンタル膜上の窒化タンタル(TaN)膜との積層膜からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。それから、バリア導体膜上にシード膜として薄い銅膜をスパッタリング法などで堆積してから、電解めっき法によりシード膜上に主導体膜として銅めっき膜を堆積し、この銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝の外部(層間絶縁膜IL2上)の不要な銅めっき膜、シード膜およびバリア導体膜をCMP法などにより除去することにより、配線溝内に、銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。なお、
図5および
図6では、配線M1を構成する銅めっき膜、シード層およびバリア導体膜を一体化して示してある。このように、配線溝の内部にバリア膜、シード膜および銅めっき膜を埋め込むことにより、配線M1を形成することができる。
【0119】
更に、同様にして、配線M1を形成した層間絶縁膜IL2上に層間絶縁膜IL3を形成し、層間絶縁膜IL3中に配線M2を形成し、配線M2を形成した層間絶縁膜IL3上に層間絶縁膜IL4を形成し、層間絶縁膜IL4中に配線M3を形成する。配線M1は、シングルダマシン法により形成したが、配線M2および配線M3は、シングルダマシン法またはデュアルダマシン法により形成することができる。
【0120】
なお、層間絶縁膜IL3中には、配線M2と配線M1との間に配置されて配線M2と配線M1とを接続するビア部も形成され、層間絶縁膜IL4中には、配線M3と配線M2との間に配置されて配線M3と配線M2とを接続するビア部も形成される。配線M2をデュアルダマシン法により形成した場合は、配線M2と配線M1とを接続するビア部は、配線M2と一緒に配線M2と一体的に形成されるが、配線M2をシングルダマシン法により形成した場合は、配線M2と配線M1とを接続するビア部は、配線M2とは別々に形成される。同様に、配線M3をデュアルダマシン法により形成した場合は、配線M3と配線M2とを接続するビア部は、配線M3と一緒に配線M3と一体的に形成されるが、配線M3をシングルダマシン法により形成した場合は、配線M3と配線M2とを接続するビア部は、配線M3とは別々に形成される。
【0121】
次に、
図5に示されるように、最上層の層間絶縁膜IL4上に、フォトダイオードPDを構成するn型半導体領域NWと平面視において重なるように、オンチップレンズとしてのマイクロレンズMLを取り付ける。なお、マイクロレンズMLと層間絶縁膜IL4との間にカラーフィルタを設けてもよい。また、不要であれば、マイクロレンズMLの取り付けは、省略することもできる。
【0122】
以上の工程により、本実施の形態1の半導体装置を製造することができる。
【0123】
<本実施の形態1の主要な特徴と効果について>
フォトダイオードPDの電荷蓄積層上の表面層を低濃度のサブ領域PR1と高濃度のサブ領域PR2とで構成し、低濃度のサブ領域PR1を高濃度のサブ領域PR2よりも転送トランジスタTXのゲート電極Gt(または、フローティングディフュージョンFD)に近い側に配置した。フォトダイオードPDが形成される領域の半導体基板SBの主面に、広範囲にわたって(特に、ゲート電極Gtの近くに)表面層(p型半導体層PR)を形成することができるので、暗電流および暗時白欠陥を低減できる。
【0124】
また、ゲート電極Gtに近い側を低濃度のサブ領域PR1としたことで、フォトダイオードPDの電荷蓄積層から転送トランジスタTXのフローティングディフュージョンFDに転送される電荷の転送特性が劣化するのを防止できる。
【0125】
また、フォトダイオードPDの電荷蓄積層上の表面層を低濃度のサブ領域PR1と高濃度のサブ領域PR2とで構成し、低濃度のサブ領域PR1を高濃度のサブ領域PR2よりも深く形成し、低濃度のサブ領域PR1がn型半導体領域NWと接する構造としたことで、電荷蓄積層であるn型半導体領域NWの飽和電荷の低減を防止することができる。
【0126】
また、サブ領域PR1、PR2を、ゲート電極Gtをマスクとして、異なる注入角度を用いた斜めイオン注入により形成することで、サブ領域PR1、PR2の位置精度を向上することができる。
【0127】
また、サブ領域PR1、PR2を形成するイオン注入において、ゲート電極Gtを共通(同一)のマスクとして使用するため、製造工程数を低減することができる。
【0128】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、実施の形態1の変形例に相当する。本実施の形態2では、フォトダイオードPDの表面層がサブ領域PR1、PR2、PR3で構成されている。
図25は、本実施の形態2の半導体装置の画素に含まれるフォトダイオードPDと転送トランジスタTXを示す平面図である。実施の形態1の場合と同様に、フォトダイオードPDのp型半導体領域である表面層を構成するサブ領域PR1、PR2、PR3を図示している。
図26は、本実施の形態2の半導体装置の断面図であり、
図25のA−A線に沿った断面図に対応している。
【0129】
図25および
図26に示すように、フォトダイオードPDの表面層がサブ領域PR1、PR2、PR3で構成されている。サブ領域PR3は、p型半導体領域であり、その不純物濃度は、サブ領域PR1よりも低濃度である。半導体基板SBの主面方向および深さ方向において、サブ領域PR3は、サブ領域PR1を覆うように配置されている。サブ領域PR3の底面は、サブ領域PR1の底面よりも深く、サブ領域PR3のゲート電極Gt側の端部は、サブ領域PR1のゲートGt側の端部よりもゲート電極Gt(または、フローティングディフュージョンFD)に近く配置されており、サブ領域PR3のゲート電極Gt側の端部がゲート電極Gtの下に入り込んでいる。そして、ゲート電極Gtの下部において、サブ領域PR3は、n型半導体領域NWで覆われている。つまり、サブ領域PR3とp型ウエルPW1との間には、n型半導体領域NWが配置されている。
【0130】
図27は、サブ領域PR3を形成する工程を示す断面図であり、実施の形態1のp型半導体領域PRを形成する工程(
図7のS6工程)に対応している。つまり、実施の形態1のサブ領域PR1、PR2の形成の後に、サブ領域PR3を形成する。サブ領域PR3は、半導体基板SBの主面の法線NLに対して、注入角度θ3(2°〜4°)の傾きを持つ斜めイオン注入法により、ホウ素(B)等の不純物を半導体基板SBに導入する。この時の、不純物の注入量は、例えば、2×10
12cm
−2であり、注入エネルギーは5keVである。ただし、注入角度θ3は、サブ領域PR1、PR2の注入角度θ1、θ2とは、逆方向に傾斜しており、法線NLに対して、ソース側に傾斜している。なお、フォトレジストパターンRS2は、サブ領域PR1、PR2の形成時のものをそのまま使用できる。サブ領域PR3の注入角度θ3を、サブ領域PR1の注入角度θ1よりも小とすることで、サブ領域PR3の深さをサブ領域PR1の深さよりも深くしている。なお、サブ領域PR3は、サブ領域PR1及びサブ領域PR2よりも低濃度であるため、実質的に作用するのはサブ領域PR1及びサブ領域PR2が形成されていないゲート電極Gtの近傍のみとなる。
【0131】
本実施の形態2によれば、実施の形態1に記載した効果の他に、次の効果を得ることができる。
【0132】
サブ領域PR3をサブ領域PR1よりもゲート電極Gtに近い位置に、低濃度で形成したことにより、転送トランジスタTXの電荷の転送特性が劣化するのを防止できる。
【0133】
また、サブ領域PR1のゲート電極Gt側にp型半導体領域であるサブ領域PR3を設けたことにより、暗電流および暗時白欠陥を低減できる。
【0134】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、実施の形態1の変形例に相当する。本実施の形態3では、フォトダイオードPDの表面層がサブ領域PR1、PR2、PR4で構成されている。
図28は、本実施の形態3の半導体装置の画素に含まれるフォトダイオードPDと転送トランジスタTXを示す平面図である。実施の形態1の場合と同様に、フォトダイオードPDのp型半導体領域である表面層を構成するサブ領域PR1、PR2、PR4を図示している。
図29は、本実施の形態3の半導体装置の断面図であり、
図28のA−A線に沿った断面図に対応している。
図30は、本実施の形態3の半導体装置の製造工程を示す断面図であり、
図28のA−A線に沿った断面図に対応している。
【0135】
図28および
図29に示すように、フォトダイオードPDの表面層がサブ領域PR1、PR2、PR4で構成されている。半導体基板SBの主面方向および深さ方向において、サブ領域PR4はサブ領域PR2に覆われ、サブ領域PR2はサブ領域PR1に覆われている。サブ領域PR4は、p型半導体領域であり、その不純物濃度は、サブ領域PR1またはサブ領域PR2よりも高濃度である。サブ領域PR4の底面は、サブ領域PR2の底面よりも浅い位置に形成されている。さらに、サブ領域PR4のゲート電極Gt側の端部は、サブ領域PR1およびサブ領域PR2のゲート電極Gt側の端部よりもゲート電極Gt(または、フローティングディフュージョンFD)から遠く配置されている。
【0136】
図30は、サブ領域PR4を形成する工程を示す断面図であり、実施の形態1のp型半導体領域PRを形成する工程(
図7のS6工程)に対応している。つまり、実施の形態1のサブ領域PR1、PR2の形成の後に、サブ領域PR4を形成する。サブ領域PR4は、半導体基板SBの主面の法線NLに対して注入角度θ4の傾きを持つ斜めイオン注入法により、ホウ素(B)等の不純物を半導体基板SBに導入する。注入角度θ4は注入角度θ2よりも大きい角度である。この時の、不純物の注入量は、例えば、2×10
12cm
−2であり、注入エネルギーは5keVである。なお、フォトレジストパターンRS2は、サブ領域PR1、PR2の形成時のものをそのまま使用できる。サブ領域PR4を形成するイオン注入の注入角度を、サブ領域PR2形成用の注入角度θ2よりも大きくすることで、サブ領域PR4の深さをサブ領域PR2の深さよりも浅くしている。また、サブ領域PR4を形成するための不純物注入量は、サブ領域PR2を形成するための不純物注入量(2×10
13cm
−2)およびサブ領域PR1を形成するための不純物注入量(1×10
13cm
−2)よりも低濃度であるが、サブ領域PR4は、サブ領域PR1およびサブ領域PR2と重なる領域であるため、サブ領域PR4の不純物濃度は、サブ領域PR2の不純物濃度よりも高濃度となる。
【0137】
本実施の形態3によれば、実施の形態1に記載した効果の他に、次の効果を得ることができる。
【0138】
また、サブ領域PR4を設けたことにより、ゲート電極Gt側に近い位置により低濃度のサブ領域PR2、サブ領域PR1が形成されているため、暗電流および暗時白欠陥を低減できる。
【0139】
フォトダイオードPD領域の中央部から転送トランジスタTXのゲート電極Gtに向けて表面層を構成するp型半導体領域の不純物濃度を徐々に低減することにより、フォトダイオードPDの電荷蓄積層の電荷が転送トランジスタTX側に移動しやすくなる。
【0140】
(実施の形態4)
本実施の形態4は、実施の形態1の変形例に相当する。本実施の形態4では、フォトダイオードPDの表面層がサブ領域PR1、PR2、PR5で構成されている。
図31は、本実施の形態4の半導体装置の画素に含まれるフォトダイオードPDと転送トランジスタTXを示す平面図である。実施の形態1の場合と同様に、フォトダイオードPDのp型半導体領域である表面層を構成するサブ領域PR1、PR2、PR5を図示している。
図32は、本実施の形態4の半導体装置の断面図であり、
図31のC−C線に沿った断面図に対応している。
【0141】
図31および
図32に示すように、フォトダイオードPDの表面層がサブ領域PR1、PR2、PR5で構成されている。サブ領域PR5は、p型半導体領域であり、その不純物濃度は、サブ領域PR2よりも高濃度であり、サブ領域PR2よりも浅い。一対のサブ領域PR5は、転送トランジスタTXのゲート幅方向において、フォトダイオードPD形成領域の両端に形成されている。つまり、転送トランジスタTXのチャネル幅方向においては、サブ領域PR5、サブ領域PR2、サブ領域PR5の順に配置されている。したがって、転送トランジスタTXのゲート幅方向においては、フォトダイオードPDの周辺に位置する電荷が中央部に向かって移動しやすいポテンシャル分布となっている。また転送トランジスタTXのゲート長方向においては、フォトダイオードPDの周辺部では、ゲート電極Gtに向かって、サブ領域PR5、サブ領域PR2、サブ領域PR1の順に配置され、フォトダイオードPDの中央部では、ゲート電極Gtに向かって、サブ領域PR2、サブ領域PR1の順に配置されている。つまり、ゲート長方向においては、電過蓄積層の電荷が、ゲート電極Gtに向かって移動しやすいポテンシャル分布となっている。したがって、フォトダイオードPDの電荷蓄積層の電荷を、無駄なく、効率的に転送トランジスタTXによりフローティングディフュージョンンFDへ転送することができる。
【0142】
本実施の形態4によれば、実施の形態1に記載した効果の他に、上記の効果を得ることができる。
【0143】
(実施の形態5)
本実施の形態5は、実施の形態1の半導体装置の製造方法に関する変形例に相当する。実施の形態1では、
図17を用いて説明したように、表面層であるp型半導体領域PRを構成するサブ領域PR1、PR2を異なるイオン注入工程を用いて形成した(
図7のS6工程)。本実施の形態5では、表面層を構成するサブ領域PR6、PR7を一回のイオン注入工程で形成する。
【0144】
本実施の形態5の半導体装置の製造方法では、実施の形態1の
図7のS4〜S6の工程の画素領域1Aの製造方法を、以下の通りに置き換える。
図33〜
図38は、本実施の形態5の半導体装置の画素領域1Aの製造工程断面図である。
【0145】
図33は、絶縁膜ZM2の形成工程を示している。
図7のS3工程を完了した後、
図33に示すように半導体基板SBの主面に絶縁膜ZM2を形成する。絶縁膜ZM2は、例えば、酸化シリコン膜からなり、その膜厚は、転送トランジスタTXのゲート絶縁膜GOXの膜厚と等しいか、またはそれ以上とする。次に、絶縁膜ZM2上にフォトレジストパターン(フォトレジスト層)RS5を形成する。
【0146】
次に、
図34に示すように、フォトレジストパターンRS5をマスクとして用い、絶縁膜ZM2に、例えば、ドライエッチングを施し、半導体基板SBの主面上にパターニングされた絶縁膜ZM2を形成する。パターニングされた絶縁膜ZM2は、転送トランジスタTXのゲート長方向に一端と他端とを有する。ドライエッチングが完了したのち、フォトレジストパターンRS5を除去する。
【0147】
図35は、転送トランジスタTXのゲート絶縁膜GOXの形成工程、
図36は、転送トランジスタTXのゲート電極Gtの形成工程を示している。実施の形態1の
図13(
図7のS4工程)に対応している。
図35に示すように、半導体基板SBの主面に所望の膜厚を有するゲート絶縁膜GOXを形成する。ゲート絶縁膜GOXは、例えば、半導体基板SBの主面を酸化することによって形成するため、ゲート絶縁膜GOXは、絶縁膜ZM2と半導体基板SBの主面との間にも形成される。したがって、絶縁膜ZM2が存在する領域は、ゲート絶縁膜GOXと絶縁膜ZM2の積層構造となり、絶縁膜ZM2が存在しない領域に比べて、絶縁膜の膜厚が大となっている。
【0148】
図36は、ゲート電極Gtの形成工程を示している。
図13で説明したように、絶縁膜ZM2およびゲート絶縁膜GOX上にゲート電極Gtを形成するが、ゲート電極Gtは、絶縁膜ZM2の一端を露出するように配置される。なお、前述の実施の形態1と同様に、ゲート電極Gtで覆われていない領域の絶縁膜GOXを除去せずに、残しておいても良い。
【0149】
図37は、n型半導体領域NWの形成工程(
図7のS5工程に相当)を示している。
図15を用いて説明した通り、画素領域1Aの半導体基板SBにリン(P)またヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することによって、n型半導体領域NWを形成する。フォトレジストパターンRS1も
図15で説明したものと同様である。
【0150】
図38は、フォトダイオードPDの表面層となるp型半導体領域PRを形成する工程(
図7のS6工程に相当)を示している。半導体基板SB上に、
図17を用いて説明したフォトレジストパターンRS2を形成し、半導体基板SBに、ホウ素(B)等の不純物をイオン注入する。イオン注入は、半導体基板SBの主面の法線方向から実施する。このイオン注入により、画素領域1Aにおいて、サブ領域PR6とサブ領域PR7で構成されたp型半導体領域PRが形成される。半導体基板SBの主面上の単層絶縁膜(ゲート絶縁膜GOX)を透過した不純物で形成されたサブ領域PR7の不純物濃度は、半導体基板SBの主面上の積層絶縁膜(ゲート絶縁膜GOXと絶縁膜ZM2)を透過した不純物で形成されたサブ領域PR6の不純物濃度よりも大となる。また、ゲート電極Gt側に積層絶縁膜が配置されているので、低不純物濃度のサブ領域PR6は、高不純物濃度のサブ領域PR7よりゲート電極Gt側で、サブ領域PR7よりも浅く形成される。
【0151】
この後、
図7に示すS7工程以降を実施することで、実施の形態5の半導体装置が完成する。
【0152】
本実施の形態5によれば、実施の形態1に記載した効果の他に、次の効果を得ることができる。
【0153】
このように、異なる膜厚の絶縁膜を用いて、イオン注入を実施することにより、一回のイオン注入で異なる不純物濃度を有する領域を同時に形成することができる。
【0154】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0155】
例えば、本発明の実施形態は、裏面照射型のCMOSイメージセンサにも適用できる。