【文献】
安全確保に向けた取組について,内閣府原子力委員会 第3回 東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長期措置検討専門部会の配布資料,日本,東京電力株式会社,2011年 9月14日,炉心燃料取出しまでの作業イメージ(3/3),資料第1号の添付資料2,URL,http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei/siryo/sochi3/siryo1.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、膜ろ過に限らず、放射性物質を吸着可能な吸着材を筐体内に収容してなる吸着モジュール等も含め、捕集フィルタと総称する。なお、捕集フィルタは、少なくとも後述するろ過モジュール及び吸着モジュールのいずれか一方を含み構成される。また、以下の実施例において、ろ過モジュールは、例えば、ろ紙又は不織布を筐体内に収容し、放射性物質を含む気体を上記ろ紙又は不織布によりろ過する。また、活性炭、ゼオライト、チタン、シリカ又はアルミを構成材とする吸着材を、例えば、複数の微細孔を有する構造あるいはハニカム形状を有する構造とし、ステンレス鋼製の容器に収容し吸着モジュールを構成する。
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1に、本発明の一実施例に係る実施例1の放射性物質除去装置を原子炉建屋内に設置した状態を示す。
【0019】
まず、原子炉建屋21内には、原子炉圧力容器22及び原子炉圧力容器22を収容する原子炉格納容器23が備えられている。原子炉格納容器23は、上端部に原子炉格納容器上蓋(図示せず)が取り付けられて密封されている。原子炉格納容器23は、内部に形成されたドライウェル及び冷却水が充填された圧力抑制プール31が内部に形成された圧力抑制室(ウェットウェル)30を有する。ドライウェルに連絡されるベント通路32の一端が、圧力抑制室30内の圧力抑制プール31の冷却水中に浸漬されている。原子炉格納容器上蓋(図示せず)の真上に複数に分割された放射線遮蔽体であるシールドプラグ26が配置され、これらのシールドプラグ26が、原子炉建屋21の運転床(オペレーションフロア)に設置されている。
【0020】
また、原子炉建屋21には、原子炉格納容器23の上部に、原子炉停止時に原子炉圧力容器22の蓋を開けて燃料集合体(図示せず)を取り出し、隣接する使用済燃料貯蔵プール24へ移す際に通すプールであって、放射線の遮蔽等のために水を張るための原子炉ウェル(図示せず)が設けられている。なお、燃料集合体の取り出し及び使用済燃料貯蔵プール24への移送は、図示しない燃料交換機にて行われる。この原子炉ウェルを挟み込むように、ドライヤ・セパレータプール25及び使用済みの燃料を一時的に保管する使用済燃料貯蔵プール24が設けられている。ドライヤ・セパレータプール25は、例えば、定期検査時等に蒸気乾燥器や気水分離器といった炉内構造物27を仮置きする場所として使われる。
【0021】
原子炉圧力容器22内には、通常状態において、炉内構造物27として、核燃料物質を含む複数の燃料集合体が装荷された炉心、気水分離器、及び蒸気乾燥器が配されている。炉心内に装荷された各燃料集合体は、下端部が炉心支持板(図示せず)によって支持され、上端部が上部格子板(図示せず)によって保持される。気水分離器は炉心の上端部に位置する上部格子板よりも上方に配置され、蒸気乾燥器が気水分離器の上方に配置される。ここで、燃料集合体は、図示しない核燃料物質として例えばMOX燃料のペレットを、Zr合金製の被覆管内にその軸方向に複数充填された燃料棒を有する。複数の燃料棒を横断面四角形状のチャンネルボックス内に正方格子状に配列して燃料集合体が形成されている。また、原子炉圧力容器22は、原子炉格納容器23内の底部に設けられたコンクリートマット29上に設けられた筒状のペデスタル28上に据え付けられている。
【0022】
上記のような原子炉建屋21において、何らかのトラブルにより原子炉圧力容器22が万が一破損した場合、原子炉圧力容器22の底面(下鏡面)あるいは、原子炉格納容器23のコンクリーマット29上に燃料デブリが存在することが想定される。そのため、
図1に示すように、原子炉格納容器23内を水張することで、燃料デブリより発生する放射線を遮蔽する対策が取られる。また、気水分離器あるいは蒸気乾燥器等の炉内構造物27を解体し撤去する場合や、原子炉圧力容器22そのものを解体する場合には、水位を調節して、水没した状態で解体する、あるいは気中で解体する方法のいずれかがか選択される。
【0023】
そして、
図1に示されるように、解体アーム35を挿入可能とする貫通口が形成されたシールドプラグ26の上面を覆うよう設置された作業台33、及び解体アーム35の一端を保持し作業台33上を水平方向に移動可能とする移動装置34を設置する。原子炉格納容器22の上部より解体アーム35を挿入し、解体アーム35の先端に設けられた把持機構又は切削機構等により、水中あるいは気中にて、炉内構造物27の解体及び撤去作業が行われる。しかしこの場合、水位に依らず原子炉圧力容器22及び原子炉格納容器23の上部は気相空間が存在するため、解体作業で炉内構造物27をハンドリングする際、放射性ダストとして放射性物質が気相へ飛散する可能性が高い。
【0024】
そこで、上記気相へ飛散する放射性物質を除去するための、本発明の放射性物質除去装置1は、排風機(ブロア)2、ろ過モジュール3、吸着モジュール4、これらを接続する管路11、管路11の一端に設けられた吸気口5、管路11の他端に設けられた吐出口6、及び排風機(ブロア)2を制御する制御部7より構成される。制御部7は、例えば、運転床(オペレーションフロア)に設置され、入力部8及び表示部9を備える。
図1中、点線矢印にて示す信号線により制御部7は、排風機(ブロア)2及び移動装置34と電気的に接続されている。なお、ここで、制御部7は、例えば、各種プログラムを格納するROM、演算過程のデータを一時的に格納あるいは演算結果を格納するRAM、HDD等の記憶装置及び、ROMに格納される各種プログラムを読み出し実行するCPU等のプロセッサ等により構成される。
【0025】
吸気口5は、水張りされた原子炉圧力容器22内の気中に配置され、制御部7により所望の風量(流量)となるよう制御される排風機(ブロア)2により、原子炉圧力容器22内の空気を吸引する。吸引された空気は、予め使用済燃料貯蔵プール24内に水没させた捕集フィルタを構成する、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4を、管路11を介して通流する。ろ過モジュール3及び吸着モジュール4を通流後の空気は、排風機(ブロア)2を通過し、再び吐出口6より水張りされた原子炉格納容器23内の気中へ戻される。ここで、捕集フィルタを構成する、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4を、使用済燃料貯蔵プール24に替えてドライヤ・セパレータプール25内に水没するよう設置しても良い。
【0026】
図2に、捕集フィルタを構成する、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4の概略構成を示す。捕集フィルタを構成するろ過モジュール3は、ろ紙又は不織布を、例えば、ステンレス鋼製の容器に水密に収容してなる。また、吸着モジュール4は、複数の吸着材40を、例えば、ステンレス鋼製の容器に水密に収容してなる。吸着材40は、例えば、活性炭、ゼオライト、チタン、シリカ、又はアルミを粒子状又は円柱状あるいは円筒状に成形されたものが用いられる。なお、吸着モジュール4内に収容される吸着材40を、複数の微細孔を有する円柱状、あるいはハニカム形状を有する構造としても良い。
【0027】
吸気口5より吸引された空気は、管路11を介してろ過モジュール3に導入され、矢印にて示すように、ろ紙又は不織布等で形成されるろ過膜を透過する。その際、吸引された空気中の放射性ダスト等の粒子状放射性物質は、ろ過膜を透過できずに、ろ過膜に捕捉される。ろ過後の空気は、管路11を介してろ過モジュール3より流出し、吸着モジュール4へ導入される。吸着モジュール4に導入された空気は、矢印に示すように吸着材40を通流する。この際、前段のろ過モジュール3内のろ過膜に捕捉されず、ろ過膜を透過した空気中の放射性物質は吸着材40に吸着され除去される。吸着モジュール4により放射性物質が除去された空気は、管路11を流れ、排風機(ブロア)2を通過し吐出口6より排出される。
【0028】
ここで、捕集フィルタを構成する、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4は、それぞれ耐圧容器に格納されており、容器は水没状態で使用済燃料貯蔵プール24に設置されているが、内部は気相である。ろ過モジュール3及び吸着モジュール4は、使用により放射性物質が付着しているため、ろ過膜表面及び吸着材40表面はもちろんのこと、容器外表面でも線量率が高くなる恐れがある。しかし、本実施例では、これらろ過モジュール3及び吸着モジュール4を水中に保管するものであるため、遮蔽効果が得られ、運転床(オペレーションフロア)上、すなわち、気中で作業する作業者への線量の影響を大幅に低減することが可能となる。
【0029】
また、一定期間以上使用すると、ろ過膜の目詰まり及び吸着材40の吸着性能低下により、吸気口5より吸引される空気中の放射性ダスト等の放射性物質を除去することが困難となる。そのため、未使用のろ過モジュール3及び吸着モジュール4に交換する作業が必要となる。
図2に示すように、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4を、管路11との接続部より切り離すことで、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4、それぞれの容器内部を密閉することが可能な、例えば、ジョイント部を備えた封止弁等で接続部を形成している。なお、ここで、管路11は、所定の強度を有し変形(弾性変形)可能な、例えば、蛇腹状のホース等で構成される。
【0030】
図3に、交換後のろ過モジュール3及び吸着モジュール4の保管状態を示す。
図3に示すように、水で満たされた使用済燃料貯蔵プール24内に、管路11との接続部より切り離され、内部が密閉された使用後のろ過モジュール3及び吸着モジュール4を貯蔵する。このように、使用後のろ過モジュール3及び吸着モジュール4は、使用済燃料貯蔵プール24内に水没させて保管することで、交換作業による被曝を防止することができる。
【0031】
図4に、捕集フィルタを構成するろ過モジュール3及びスクラバー10の概略構成を示す。吸気口5より吸引された空気は、管路11を介してスクラバー10へ導入され、スクラバー10内の水に放射性ダスト等の粒子状放射性物質を含む空気はスクラビングされる。粒子状放射性物質を含む空気は気泡となり、スクラバー10内の水面へと上昇する間に、粒子状放射性物質の一部は水に捕捉される。水に捕捉され低濃度となった粒子状放射性物質を含む空気は、スクラバー10内の気相部へ水面より移動し、その後、管路11を介してろ過モジュール3へ導入される。ここで、スクラバー10は、一端が吸気口5に接続される管路11と連通し、内部に水が満たされた水密性の容器の底部へと延伸する配管の先端に散気管を備える。散気管は、例えば、容器底面に略平行に延在し、中空の円盤状であって、その外周面に複数の微細開孔を有する。なお、散気管は、円盤状に限らず、中空の円筒状であって、その外周面に複数の微細開孔を有するものとしても良い。
【0032】
図4に示すように、ろ過モジュール3の前段にスクラバー10を配する構成とすることで、高濃度の放射性ダストが飛散している場合であっても、後段に配されるろ過モジュール3に導入される空気中の放射性物質の濃度を低減することが可能となる。これにより、ろ過モジュール3の使用可能期間を延長でき、ろ過モジュール3の交換頻度を低減することができる。なお、スクラバー10の使用可能期間は、ろ過モジュール3に比べ長く、また、スクラビングされる放射性ダストの濃度に依存しない。
【0033】
図5に、捕集フィルタを構成する、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4に加え、水素再結合器12を、使用済燃料貯蔵プール24内に水没させて配置する構成を示す。
【0034】
何らかの理由により、炉心に装荷される燃料集合体内に正方格子状に配置される燃料棒の被覆管が溶融し、Zr合金製の被覆管内に複数充填された核燃料物質が漏洩する場合を想定する。この場合、被覆管の構成材料であるZrは、原子炉圧力容器22及び/又は原子炉格納容器23内に満たされた水と以下の式(1)に示す化学反応を生じる。
【0035】
Zr+2H
2O → ZrO
2+2H
2 ・・・・(1)
式(1)及び放射線により水素ガスが発生するため、原子炉建屋21内の気中において、放射性ダスト等の粒子状放射性物質に加え、水素ガスの除去が必要となる。
【0036】
そこで、本実施例では、
図5に示すように、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4との間に、水素再結合器12を配し、これらを管路11にて接続すると共に、使用済燃料貯蔵プール24内に水没させて設置する構成としている。水素再結合器12は、水密性の容器内に、例えば、パラジウム膜により形成される水素透過膜13を所定の間隔にて2段離間配置し、酸素導入口14に一端が接続され、離間配置された2段の水素透過膜13の間に他端が接続される配管、2段の水素透過膜13の間に一端が接続され、他端が排気口15に接続される配管を有する。前段のろ過モジュール3より放射性ダスト等の粒子状放射性物質の一部が除去された空気は、管路11を介して水素再結合器12に導入される。水素再結合器12に導入される空気は、放射性物質の濃度が低減されているものの、上述のとおり式(1)に示す化学反応により発生した水素ガスが含まれている。水素ガスは、上段側の水素透過膜13を透過し、2段の水素透過膜13間に酸素導入口14より供給される酸素と結合し水となる。水素ガスとの結合に供されない余剰の酸素及び水分は、排気口15より使用済燃料貯蔵プール24の上方の気中へと排気される。排気される余剰酸素及び水分は、放射性物質を含んでおらず、運転床上で作業する作業者へ影響を及ぼすことは無い。すなわち、放射線の影響を受けることなく作業できる環境が実現される。本実施例では、水素透過膜13としてパラジウム膜を用いる場合を説明したが、これに限らず、例えば、Pt、Au等の膜を用いても良い。また、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4は、
図2と同様であるため説明を省略する。
【0037】
次に、本実施例の放射性物質除去装置1を、原子炉建屋21内に設置し放射性ダスト等の粒子状放射性物質を除去する工程について説明する。
(1)準備工程
先ず、準備工程について説明する。
図1に示すように、水張された原子格納容器23の上部開口を封止するシールドプラグ26に、ドリル等の加工機械により、解体アーム35が挿入可能な複数の円形の貫通口を形成する。形成される円形の貫通口の直径は、解体アーム35の最大外径よりも大きければ良く、僅かに大きいことが望ましい。これは、貫通口と解体アーム35の外表面との間隙から放射性物質がシールドプラグ26の上方へ侵入することを低減できるからである。なお、シールドプラグ26に形成する貫通口は、円形が望ましいが、必ずしもこれに限らず、解体アーム35がその貫通口内で水平方向に微動可能な矩形状の開口としても良い。
【0038】
シールドプラグ26に複数の貫通口を形成後、シールドプラグ26の上面を覆うよう作業台33を設置する。その後、収縮状態にある解体アーム35の一端を保持する移動装置34を、作業台33上に載置する。作業台33の上面、すなわち、移動装置34の載置面には、図示しないレール等が敷設されており、移動装置34は、レールに沿って作業台33上を水平方向に移動可能とされる。
【0039】
また、運転床上に入力部8及び表示部9を有する制御部8を設置すると共に、水張された使用済燃料貯蔵プール24に、捕集フィルタを構成するろ過モジュール3及び吸着モジュール4を水没させた状態で設置する。吸気口5を水張りされた原子炉圧力容器22内の気中に配置し、吐出口6を水張りされた原子炉格納容器23の気中に配置する。吸気口5、ろ過モジュール3、吸着モジュール4、排風機(ブロア)2及び吐出口6の順に、これらを管路11にて接続する。
【0040】
次に排風機(ブロア)2及び移動装置34を、
図1に点線矢印で示す信号線により、制御部7に電気的に接続し、準備工程が完了する。
(2)放射性物質除去装置の稼働工程
放射性物質除去装置1の稼働工程について説明する。制御部7は、排風機(ブロア)2へ所望の風量(流量)の動作指令を、信号線を介して出力する。動作指令を受け排風機(ブロア)2が稼働し、放射性ダスト等の粒子状放射性物質を含む空気を、原子炉圧力容器22の気中に配置された吸気口5より吸引する。吸気口5より吸引された放射性ダスト等の粒子状放射性物質を含む空気は、管路11を流れろ過モジュール3に流入する。
【0041】
ろ過モジュール3内で、粒子状放射性物質はろ過膜を透過できずに、ろ過膜に捕捉される。ろ過膜を透過した放射性物質を含む空気は、管路11を流れ後段に配置された吸着モジュール4に流入する。
【0042】
吸着モジュール4内の吸着材40は、流入する空気中の放射性物質を吸着する。吸着モジュール4内で放射性物質が除去された空気は、管路11を流れ排風機(ブロア)2を通過し、原子炉格納容器23の気中に配置された吐出口6より排出される。このように、原子炉圧力容器22及び原子炉格納容器23の気相中の放射性物質を含む空気は、排風機(ブロア)2の稼働により、吸気口5、ろ過モジュール3、吸着モジュール4、排風機(ブロア)2及び吐出口6の順に循環する。これにより、原子炉圧力容器22及び原子炉格納容器23内の空気中の放射性物質は除去される。なお、ここでは捕集フィルタとして、
図2に示すろ過モジュール3及び吸着モジュール4を用いる場合を例に説明したが、これに替え、上述の
図4に示すスクラバー10とろ過モジュール3との組み合わせ、又は、
図5に示すろ過モジュール3、水素再結合器12と吸着モジュール4との組み合わせとしても良い。
【0043】
また、上述のとおり放射性物質除去装置1が稼働中において、入力部8は、作業員による操作入力を受け付け、制御部7より移動装置34へ、作業台33上での水平方向の移動量を出力する。移動装置34は、入力された水平方向の移動量に応じて、収縮された解体アーム35を保持した状態で作業台33上を移動する。これにより解体アーム35は、シールドプラグ26に形成された複数の貫通口のうち、所望の貫通口の直上に位置付けられる。なお、作業員は、図示しないカメラ等の画像取得装置より得られ表示部9の画面上に表示される、解体アーム35の先端部を含む周囲の画像を目視により確認しつつ入力部8を操作し、所望の貫通口の直上に解体アーム35の先端部が位置するよう、移動装置34を位置決め操作できる。
【0044】
その後、同様に、作業員は、表示部9の画面上に表示される画像を確認しつつ入力部8を操作し、収縮状態にある解体アーム35を伸長させることで下降させ、シールドプラグ26の貫通口を通過し、原子炉圧力容器22内の炉内構造物27に位置付ける。その後、解体アーム35の先端部に取り付けられた把持機構あるいは、アブレッシブウォータージェット装置等の切削機構を操作し、炉内構造物27の切断または搬出を行う。なお、同様の操作により、解体アーム35の先端部に取り付けられた把持機構あるいは切削機構を操作し、原子炉圧力容器22の底面(下鏡)あるいは、原子炉格納容器23内のコンクトートマット29上に存在する燃料デブリの切断または搬出を行う。また、原子炉建屋21内の構造物の解体作業及び搬出作業についても同様である。
【0045】
本実施例では、放射性物質除去装置1を構成する捕集フィルタとして、それぞれ、
図2、
図4及び
図5に示す構成を説明したが、これら、
図2、
図4、
図5に示す構成を適宜組み合わせても良く、また、例えば、ろ過モジュール3等のそれぞれの構成部材については、適宜所望の数量を用いても良い。また交換後の処置についても、使用済燃料貯蔵プール24内で水中保管することに替えて、遮蔽容器を準備し、当該遮蔽容器内に交換後のろ過モジュール3等の捕集フィルタを構成する構成部材を水中にて収容し、原子炉建屋21外へ搬出することも可能である。
【0046】
以上のとおり、本実施例によれば、燃料デブリの除去作業または原子炉建屋内構造物の解体により発生する空気中放射性物質を効率的に除去可能な放射性物質除去方法及び放射性物質除去装置を実現できる。
【0047】
また、本実施例によれば、原子炉建屋21内の作業エリアで飛散した放射性ダスト等の粒子状放射性物質は、放射性物質除去装置1を構成する捕集フィルタにより捕捉されると共に、仮に、多量の放射性ダストが飛散した場合であっても、捕集フィルタは予め水中に設置されているため、水による遮蔽効果により作業エリアの線量率を低減することが可能となる。そのため、作業中に捕集フィルタの周辺に、特に遮蔽体を設けること無く、運転床上、すなわち、気中で作業する作業者への線量の影響を大幅に低減することが可能となる。
【0048】
また、捕集フィルタ交換時、水張された使用済燃料貯蔵プール24内で交換作業が行えることから、特に、遮蔽体を設置することなく、交換作業による被曝を抑制することが可能となる。
【実施例2】
【0049】
図6は、本発明の他の実施例に係る実施例2の放射性物質除去装置を原子炉建屋内に設置した状態を示す概要図である。実施例1にて述べた
図1から
図5に示す構成要素と、同一の構成要素に同一符号を付し、以下、重複する説明を省略する。本実施例では、原子炉建屋21内の領域毎に、空気中に含まれる放射性ダスト等の粒子状放射性物質の濃度が異なることに着目した点が実施例1と異なる。なお、
図6において、制御部7からの信号線は図面の見やすさを考慮し省略している。
【0050】
図6に示すように、原子炉建屋21内で、空気中に含まれる放射性ダスト等の粒子状放射性物質の濃度が最も高い領域は、原子炉圧力容器22内の領域(以下、第1領域と称する)である。次に濃度が高い領域は、原子炉圧力容器22の直上であって、シールドプラグ26の上面を覆うよう設置された作業台33上に設けられた第1の作業ハウス36内の領域(以下、第2領域と称する)である。また、その次に濃度が高い領域は、使用済燃料貯蔵プール24、作業台33及びドライヤ・セパレータプール25の上面を覆い、第1の作業ハウス36を内包するよう運転床上に設けられた第2の作業ハウス37内の領域(以下、第3領域と称する)である。最も濃度が低い領域は、第2の作業ハウス37の外部であって、原子炉建屋21内の領域(以下、第4領域と称する)である。
【0051】
ここで、第1の作業ハウス36は、例えば、鉄骨のフレームにて直方体形状をなし、このフレームに放射線又は放射性ダストを遮蔽可能なビニールシートにて、天井面、床面及び四方の側面を覆うよう囲まれ、遮蔽空間が形成される、なお、軽量化の点からビニールシートにより側面及び天井面を覆うことが望ましいが、これに限らず、躯体強度の点から、ビニールシートに替えて天井面及び四方の4つの側壁をパネルにて形成しても良い。また、気密性が確保され、軽量であればコンクリート製で形成しても良い。
【0052】
第2の作業ハウス37についても、同様に、例えば、鉄骨のフレームにて直方体形状をなし、その四方の側面及び天井面にパネルをはめ込み、放射線を遮蔽する遮蔽空間を形成してなる。この第2の作業ハウス37は、後述するように、その天井面の外表面上に捕集フィルタを構成するろ過モジュール3及び吸着モジュール4を載置するため、第1の作業ハウス36に比べ、躯体強度を高くすることが望ましい。また、同様に、気密性が確保され軽量であれば、コンクリート製にて形成しても良い。
【0053】
本実施例の放射性物質除去装置1は、
図6に示すように、水張りされた原子炉圧力容器22内(第1領域)の気中に配される吸気口5、吸気口5と圧力調整バルブ16を介して管路11により接続され、使用済燃料貯蔵プール24に水没させた状態で設置されるろ過モジュール3、同様に、使用済燃料貯蔵プール24に水没させた状態で設置され、管路11にてろ過モジュールと接続される吸着モジュール4、排風機(ブロア)2、水張りされた原子炉格納容器23の気中に配される吐出口6、及び原子炉格納容器23の気中に設置され、第1領域の内部気圧を計測する第1領域用圧力計19aを備える。ここで、圧力調整フィルタ17は、例えば、HEPAフィルタ等が用いられる。
【0054】
また、放射性物質除去装置1は、第1の作業ハウス36(第2領域)内に配される吸気口5、吸気口5と圧力調整バルブ16を介して管路11により接続され、ドライヤ・セパレータプール25に水没させた状態で設置されるろ過モジュール3、同様に、ドライヤ・セパレータプール25に水没させた状態で設置され、管路11にてろ過モジュール3と接続される吸着モジュール4、排風機2、第2領域内に設置される吐出口6、第2領域の内部気圧を計測する第2領域用圧力計19b、吸気口5が配される第1の作業ハウス36の側面と異なる側面の外部に配される圧力調整バルブ16、及び当該圧力調整バルブ16に接続される圧力調整フィルタ17を備える。
【0055】
また、更に、放射性物質除去装置1は、第2の作業ハウス37内(第3領域)に配される吸気口5、吸気口5と管路11を介して接続され、第2の作業ハウス37の天井面の外表面上に設置されるろ過モジュール3、管路11にてろ過モジュール3と接続され、第2の作業ハウス37の天井面の外表面上に設置される吸着モジュール4、排風機(ブロア)2、第3領域内に設置される吐出口6、第3領域の内部気圧を計測する第3領域用圧力計19c、第2の作業ハウス37の天井面の外部に配される圧力調整バルブ16、及び当該圧力調整バルブ16に接続され第4領域内に配される圧力調整フィルタ17を備えている。
図6に示すように、これら、排風機(ブロア)2、捕集フィルタを構成するろ過モジュール3及び吸着モジュール4、圧力調整バルブ16、と圧力調整フィルタ17は、第4領域内に設置されている。特に、第3領域内の放射性ダスト等の粒子状放射性物質を除去するためのろ過モジュール3及び吸着モジュール4を、気中である第4領域に設置する理由は、第3領域内の放射性物質の濃度が低いことによる。一方、上述の第2領域内の粒子状放射性物質を除去するためのろ過モジュール3及び吸着モジュール4を、ドライヤ・セパレータプール25内に水没設置する理由は、第2領域内の放射性物質の濃度が高いことによる。また、同様に、第1領域内の粒子状放射性物質を除去するためのろ過モジュール3及び吸着モジュール4を使用済燃料貯蔵プール24内に水没設置する理由は、第1領域内の放射性物質の濃度が最も高いことによる。
【0056】
また、更に、放射性物質除去装置1は、第4領域の内部気圧を計測する第4領域用圧力計19d、原子炉建屋21外の気圧、すなわち大気圧を計測するための大気圧計測用圧力計19e、第3領域内に設置され入力部8及び表示部9を有する制御部7を備えている。制御部7は、第1領域、第2領域及び第3領域内の放射性物質を、それぞれ領域毎に設けられたろ過モジュール3及び吸着モジュール4からなる捕集フィルタにより除去するため、各排風機(ブロア)2を所望の風量(流量)となるよう制御すると共に、各圧力調整バルブ16を制御する。
【0057】
具体的には、第1領域用圧力計19a〜大気圧計測用圧力計19eにより計測値を取り込み、制御部7は、各領域内の圧力が以下の関係となるよう、各排風機(ブロア)2の風量(流量)及び各圧力調整バルブ16の開度を制御する。
【0058】
P
1<P
2<P
3<P
4<P
大気圧
ここで、P
1は第1領域の内部気圧、P
2は第2領域の内部気圧、P
3は第3領域の内部気圧、P
4は第4領域の内部気圧であり、P
大気圧は、原子炉建屋21外における大気圧である。
【0059】
例えば、排風機(ブロア)2の風量(流量)を大きくすれば、当該領域の内部気圧が低下する。一方、第2領域の外部に設置される圧力調整バルブ16の開度を調整することで、圧力調整フィルタ17を通して第3領域内の空気が第2領域へ流入することにより、隣り合う第2領域及び第3領域の気圧差を小さくすることができる。同様に、第3領域の外部に設置される圧力調整バルブ16の開度を調整することで、圧力調整フィルタ17を通して第4領域内の空気が第3領域内へ流入することにより、第3領域及び第4領域の気圧差を小さくすることができる。従って、制御部7は、第1領域用圧力計19a〜大気圧計測用圧力計19eにより計測値を取り込み、各排風機(ブロア)2の風量(流量)及び圧力調整バルブ16の開度をフィードバック制御することで、上述のように、第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域と、放射性物質濃度が段階的に低下する領域に対し、段階的に内部気圧が高くなるよう調整される。これにより、最も高濃度の放射性ダスト等の粒子状放射性物質を含む空気が存在する第1領域より、放射性物質が原子炉建屋21外へ漏洩することを抑制することが可能となる。
【0060】
次に、本実施例による放射性物質除去装置1を、原子炉建屋21内に設置し、放射性ダスト等の粒子状放射性物質を除去する工程について説明する。
(1)準備工程
先ず、準備工程において、上述の実施例1の工程に加え以下の工程を行う。収縮状態にある解体アーム35の一端を保持する移動装置34を作業台33に載置した後、第1の作業ハウス36を作業台33上に設営する。また、第1の作業ハウス36の設営後、使用済燃料貯蔵プール24、作業台33及びドライヤ・セパレータプール25の上面を覆い、第1の作業ハウス36を内包するよう、第2の作業ハウス37を設営する。
【0061】
また、第1領域の気中に吸気口5を配し、水張りされた使用済燃料貯蔵プール24に水没設置されたろ過モジュール3と吸気口5を接続する管路11の途中に、圧力調整バルブ16を取付ける。同様に、水張りされたドライヤ・セパレータプール25内に水没設置されたろ過モジュール3と第2領域の気中に配される吸気口5を接続する管路11の途中に圧力調整バルブ16を取付ける。また、第3領域内の空気を第2領域内に流入可能とするため、圧力調整フィルタ17及び圧力調整バルブ16を、第1の作業ハウス36の1つの側面に外部より設置する。
【0062】
その後、第2の作業ハウス37の天井面の外表面に、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4を載置し、排風機(ブロア)2、第3領域内の気中に配される吸気口5及び吐出口6を管路11にて接続する。また、第2作業ハウス37の天井面の外部に、第4領域内の空気を第3領域内に流入可能とするため、圧力調整フィルタ17及び圧力調整バルブ16を設置する。
【0063】
第1領域から第4領域及び原子炉建屋21の外部に、それぞれ、第1領域用圧力計19a、第2領域用圧力計19b、第3領域用圧力計19c、第4領域用圧力計19d、及び大気圧計測用圧力計19eを設置し、これら圧力計と制御部7とを信号線を介して電気的に接続する。また、移動装置34、各排風機(ブロア)2及び各圧力調整バルブ16と制御部7とを信号線により電気的に接続し、準備工程を終了する。その他、実施例1と同様の工程については説明を省略する。
(2)放射性物質除去装置の稼働工程
上述の実施例1にて説明した工程に加え、以下の工程を行う。制御装置7は、第1領域用圧力計19a〜大気圧測定用圧力計19eより、計測された第1領域の内部気圧、第2領域の内部気圧、第3領域の内部気圧、第4領域の内部気圧及び大気圧を取り込む。取り込まれた計測値に基づき、上述の各領域間での圧力勾配(P
1<P
2<P
3<P
4<P
大気圧)が形成されるよう、各排風機(ブロア)2へ所定の風量(流量)の動作指令を出力すると共に、各圧力調整バルブ16へ所定の開度となるよう動作指令を出力する。なお、計測される各領域の内部気圧と、各排風機(ブロア)2の流量(流量)及び各圧力調整バルブ16の開度との関係については、予め制御部7の記憶装置(図示せず)に格納されている。その他の工程については、実施例1と同様であるため以下説明を省略する。
【0064】
本実施例では、放射性物質除去装置1を構成する捕集フィルタとして、それぞれ、
図2、
図4及び
図5に示す構成を説明したが、これら、
図2、
図4、
図5に示す構成を適宜組み合わせても良く、また、例えば、ろ過モジュール3等のそれぞれの構成部材については、適宜所望の数量を用いても良い。また交換後の処置についても、使用済燃料貯蔵プール24内で水中保管することに替えて、遮蔽容器を準備し、当該遮蔽容器内に交換後のろ過モジュール3等の捕集フィルタを構成する構成部材を水中にて収容し、原子炉建屋21外へ搬出することも可能である。
【0065】
以上のとおり、本実施例によれば、実施例1による効果に加え、最も高濃度の放射性ダスト等の粒子状放射性物質を含む空気が存在する第1領域より、放射性物質が原子炉建屋21外へ漏洩することを抑制することが可能となる。
【実施例3】
【0066】
図7は、本発明の他の実施例に係る実施例3の放射性物質除去装置を原子炉建屋内に設置した状態を示す概要図である。実施例1にて述べた
図1から
図5に示す構成要素及び実施例2にて述べた
図6に示す構成要素と同一の構成要素に同一符号を付し、以下、重複する説明を省略する。
図7に示すように、本実施例では、第3領域内に配される排風機(ブロア)2と吸着モジュール4とを接続する管路11の途中に冷却器18を設けると共に、第4領域内に配される排風機(ブロア)2と吸着モジュール4とを接続する管路11の途中に冷却器18を設ける点が、実施例2と異なる。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0067】
図7に示すように、本実施例の放射性物質除去装置1は、第2領域内に配される吸気口5、圧力調整バルブ16、ドライヤ・セパレータプール25内に水没設置されるろ過モジュール3、同様にドライヤ・セパレータプール25内に水没設置される吸着モジュール4、冷却器18、排風機(ブロア)2及び第2領域内に配される吐出口6を備え、これらは管路11にて接続されている。
【0068】
また、放射性物質除去装置1は、第3領域内に配される吸気口5、第4領域内に配されるろ過モジュール3、吸着モジュール4、冷却器18、排風機(ブロア)2、及び第3領域内に配される吐出口6を備え、これらは管路11にて接続されている。その他の構成は、上述の実施例2と同様である。
【0069】
原子炉建屋21外の気温が高い夏季において、第2領域内は第1の作業ハウス36により閉塞的な空間とされているため、第1の作業ハウス36内の室温、すなわち第2領域内の気温は上昇することになる。また、同様に、第3領域内は第2の作業ハウス37により閉塞的な空間とされているため、第2の作業ハウス37内の室温、すなわち第3領域内の気温は上昇することになる。
【0070】
第2領域内の放射性物質を含む空気は、吸気口5より吸引され、圧力調整バルブ16及び管路11を介して、水張りされたドライヤ・セパレータプール25内に水没設置されたろ過モジュールに流入する。ろ過モジュール3内のろ過膜を透過した放射性物質を含む空気は、管路11を介して吸着モジュール4へ流入する。吸着モジュール4内の吸着材40に放射性物質が吸着され除去された後の空気は、吸着モジュール4を流出し管路11を介して冷却器18に流入する。冷却器18は、管路11を介して流入する放射性物質除去後の清浄な空気を所望の温度(適切な温度)に調整する。所望の温度に調整後の空気は排風機(ブロア)2を通過し、吐出口6より第2領域内へ排気される。ここで、冷却器18として、例えば、エアコン等の空気調和機が用いられる。
【0071】
また、第3領域内の放射性物質を含む空気は、吸気口5より吸引され、管路11を介して第4領域内に設置されたろ過モジュール3に流入する。ろ過モジュール3内のろ過膜を透過した放射性物質を含む空気は、管路11を介してろ過モジュール3の後段に設置された吸着モジュール4へ流入する。吸着モジュール4内の吸着材40に放射性物質が吸着され除去された後の空気は、吸着モジュール4を流出し管路11を介して冷却器18へ流入する。上述のように、冷却器18により所望の温度(適切な温度)に調整後の空気は、排風機(ブロア)2を通過し、吐出口6より第3領域内へ排出される。これにより、作業エリアである第3領域内の気中にて作業する作業者への線量の影響を大幅に低減することが可能となる。更に、第3領域内の気温が適切に調整されることにより、作業者への身体的負担を軽減することもできる。
【0072】
なお、冬季においては、冷却器18に替えて加熱器を設けることで、第2領域及び第3領域内の気温を適切に調整することが可能となる。
【0073】
本実施例では、放射性物質除去装置1を構成する捕集フィルタとして、それぞれ、
図2、
図4及び
図5に示す構成を説明したが、これら、
図2、
図4、
図5に示す構成を適宜組み合わせても良く、また、例えば、ろ過モジュール3等のそれぞれの構成部材については、適宜所望の数量を用いても良い。また交換後の処置についても、使用済燃料貯蔵プール24内で水中保管することに替えて、遮蔽容器を準備し、当該遮蔽容器内に交換後のろ過モジュール3等の捕集フィルタを構成する構成部材を水中にて収容し、原子炉建屋21外へ搬出することも可能である。
【0074】
以上のとおり、本実施例によれば、実施例2による効果に加え、季節あるいは外気温の変動に依ることなく、作業エリアである第2領域及び第3領域内の気温が適切に調整されることから、作業者への身体的負担を軽減することも可能となる。
【実施例4】
【0075】
図8は、本発明の他の実施例に係る実施例4の放射性物質除去装置を原子炉建屋内に設置した状態を示す概要図である。
図8において、
図1から
図7に示す構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付し、以下では重複する説明を省略する。本実施例では、吸気口5により空気を吸引する領域と、吸引された空気を、ろ過モジュール3及び吸着モジュール4より構成される捕集フィルタを通流し放射性物質除去後の空気を吐出口6より排気する領域とを異なる領域とした点、第4領域に設置するろ過モジュール3を直列に2段接続し、吸着モジュール4、排風機(ブロア)2を通過後の清浄な空気を大気に放出する排気塔38を設けた点が、実施例1乃至実施例3と異なる。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0076】
図8に示されるように、本実施例の放射性物質除去装置1は、第1領域の気中に配される吸気口5、圧力調整バルブ16、水張りされた使用済燃料貯蔵プール24内に水没設置されるろ過モジュール3及び吸着モジュール4、排風機(ブロア)2、及び第2領域内に配される吐出口6を備え、これらは管路11にて接続されている。また、放射性物質除去装置1は、第2領域内に配される吸気口5、圧力調整バルブ16、水張りされたドライヤ・セパレータプール25内に水没設置されるろ過モジュール3及び吸着モジュール4、排風機(ブロア)2、及び第3領域内に配され吐出口6を有し、これらは管路11にて接続されている。更に、放射性物質除去装置1は、第3領域内に配される吸気口5、第4領域内に配され、直列に2段接続されるろ過モジュール3、吸着モジュール4、排風機(ブロア)2、排気塔38を備え、これらは管路11にて接続されている。第4領域内に配される排風機(ブロア)2と排気塔38とを接続する管路11の途中であって、原子炉建屋21外に放射能モニタ20を取付けている。
【0077】
本実施例の放射性物質除去装置1では、放射性ダスト等の放射性物質の濃度が最も高い第1領域内より吸引される空気は、捕集フィルタを通流後、第2領域に排出される。また第2領域内より吸引される空気は、捕集フィルタを通流後、第3領域に排出され、第3領域より吸引される空気は捕集フィルタ通流後、排気塔38を介して大気へ排出される。
【0078】
排気塔38は、放射能モニタ20により放射能濃度が監視される。また、第4領域に設置されるろ過モジュール3のみを直列2段の構成とすることにより、排気塔38を介して大気に排出される空気を確実に清浄化するためである。
【0079】
第1領域は吸引のみが行われるため、最も低い気圧とすることができ、第2領域との境界部分からインリークすることで気圧が調整される。第2領域は、第1領域から排気された空気量+気圧調整分を吸引すれば良く、第1領域<第2領域<第3領域の順に、排風機(ブロア)2による排気量を大きくすれば良い。これにより、各領域間での圧力勾配を、P
1<P
2<P
3<P
4<P
大気圧とできる。また、第4領域内には吐出口6より排気される構成を備えていないが、大気圧以下となるように排気塔38へ排気することが望ましい。
【0080】
準備工程及び放射性物質除去装置1の稼働工程については、実施例2と同様であるため説明を省略する。
【0081】
本実施例では、放射性物質除去装置1を構成する捕集フィルタとして、それぞれ、
図2、
図4及び
図5に示す構成を説明したが、これら、
図2、
図4、
図5に示す構成を適宜組み合わせても良く、また、例えば、ろ過モジュール3等のそれぞれの構成部材については、適宜所望の数量を用いても良い。また交換後の処置についても、使用済燃料貯蔵プール24内で水中保管することに替えて、遮蔽容器を準備し、当該遮蔽容器内に交換後のろ過モジュール3等の捕集フィルタを構成する構成部材を水中にて収容し、原子炉建屋21外へ搬出することも可能である。
【0082】
以上のとおり、本実施例によれば、実施例2による効果に加え、第1領域乃至第4領域の内部気圧の調整を容易に行うことが可能となる。
【0083】
なお、実施例2乃至実施例4では、第1領域乃至第4領域内の空気を吸引するため、領域毎にそれぞれ排風機(ブロア)2を設ける構成としたが、これに限らず、例えば、以下に説明する構成としても良い。
【0084】
図9に、本発明の放射性物質除去装置1を構成するろ過モジュール3及び吸着モジュール4並びに排風機(ブロア)2を接続する管路11の横断面図を示す。
図9に示すように、管路11の内部であって横断面略中央部に、円板状の抵抗体41を配し、一端が管路11の内周面に固定される4本の支持部材42a、42b、42c、42dの他端を抵抗体41の外周部に接続することで抵抗体41を支持する。
【0085】
例えば、1つの排風機(ブロア)2に接続される管路11を分岐させ、分岐後の管路11の一方を、
図6に示す使用済燃料貯蔵プール24内に水没設置されるろ過モジュール3及び吸着モジュール4に接続する。他方を、
図6に示すドライヤ・セパレータプール25内に水没設置されるろ過モジュール3及び吸着モジュール4に接続する。そして、分岐後の管路11の一方の内部に
図9に示す抵抗体41を配する。これにより、排風機(ブロア)2により所定の風量(流量)にて第1領域及び第2領域内の空気を吸引する際、内部に抵抗体41を有する管路11では抵抗体41が流路抵抗として機能することで、内部に抵抗体41を有さない管路11との間で、吸引圧及び吐出圧が異なり、個別に排風機(ブロア)2を設けることなく、第1領域及び第2領域の内部気圧を異なる気圧に調整することが可能となる。これにより、部品点数の低減及び排風機(ブロア)2に対する制御の簡略化が図られる。なお、
図9では、抵抗体41の形状を円板状としたが、これに限らず、矩形状あるいは多角形状の板としても良い。また、抵抗体41を4本の支持部材(42a、42b、42c、42d)にて支持する構成としたが、これに限らず、3本の支持部材等で支持する構成としても良い。
【0086】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。