特許第6341826号(P6341826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341826
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】スクイズ計量容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   B65D47/20 220
   B65D47/20 300
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-202189(P2014-202189)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-69055(P2016-69055A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−091289(JP,A)
【文献】 実開平04−100459(JP,U)
【文献】 特開2002−068250(JP,A)
【文献】 特開2002−068251(JP,A)
【文献】 特開2014−144813(JP,A)
【文献】 実開昭60−089151(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液の収容空間に繋がる口部を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着された計量キャップとを備え、前記容器本体をスクイズして前記内容液を前記計量キャップの計量室に導入することで、前記内容液を計量し、前記計量室から注出可能なスクイズ計量容器において、
前記計量キャップは、前記計量室の周面を区画する周壁部と、前記計量室の底面を区画する底壁部と、該底壁部にそれぞれ立設された第1筒部及び第2筒部とを備え、
前記第1筒部は、前記容器本体のスクイズにて前記内容液を前記収容空間から前記計量室に導入する一方、前記容器本体のスクイズ解除にて第1の液面高さを超えて導入された前記内溶液を前記収容空間に回収させる第1開口部を備え、
前記第2筒部は、開閉体によって開閉可能な第2開口部を備え、
前記開閉体は、上方への付勢力を付与された開閉部と、該開閉部から上方に延びるロッド部とを備え、
前記開閉部は、前記付勢力に抗する前記ロッド部の押し下げにて前記第2開口部を開放する一方、前記押し下げの解除にて前記第2開口部を閉止し、
前記第2開口部は、前記開閉体による開放時に、第1の液面高さより低い第2の液面高さを超えて導入された前記内溶液を前記収容空間に回収させることを特徴とするスクイズ計量容器。
【請求項2】
前記計量キャップは、前記容器本体の口部に装着されると共に前記周壁部を有するキャップ本体と、該キャップ本体と前記口部との間に挿入されると共に前記底壁部、前記第1筒部及び前記第2筒部を有する中栓とを備える、請求項1に記載のスクイズ計量容器。
【請求項3】
内容液の収容空間に繋がる口部を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着された計量キャップとを備え、前記容器本体をスクイズして前記内容液を前記計量キャップの計量室に導入することで、前記内容液を計量し、前記計量室から注出可能なスクイズ計量容器において、
前記計量キャップは、前記容器本体の口部に装着されると共に前記計量室の周面を区画する周壁部を有するキャップ本体と、該キャップ本体と前記口部との間に挿入されると共に、前記計量室の底面を区画する前記底壁部並びに該底壁部にそれぞれ立設された第1筒部及び第2筒部を有する中栓とを備え、
前記第1筒部は、前記容器本体のスクイズにて前記内容液を前記収容空間から前記計量室に導入する一方、前記容器本体のスクイズ解除にて第1の液面高さを超えて導入された前記内溶液を前記収容空間に回収させる第1開口部を備え、
前記第2筒部は、開閉体によって開閉可能な第2開口部を備え、
前記第2開口部は、前記開閉体による開放時に、第1の液面高さより低い第2の液面高さを超えて導入された前記内溶液を前記収容空間に回収させることを特徴とするスクイズ計量容器。
【請求項4】
前記開閉体は、上方への付勢力を付与された開閉部と、該開閉部から上方に延びるロッド部とを備え、
前記開閉部は、前記付勢力に抗する前記ロッド部の押し下げにて前記第2開口部を開放する一方、前記押し下げの解除にて前記第2開口部を閉止する、請求項に記載のスクイズ計量容器。
【請求項5】
前記計量キャップは、前記計量室の上面を区画する上壁部を備え、
前記上壁部には、計量された内溶液の注出口と、前記ロッド部が貫通する貫通孔とが形成されている、請求項1、2又は4に記載のスクイズ計量容器。
【請求項6】
前記上壁部には、前記貫通孔を取り囲む案内筒が垂設されており、
前記ロッド部には、前記案内筒内を液密に摺動する環状突起が形成されている、請求項に記載のスクイズ計量容器。
【請求項7】
前記上壁部の上面に固着され、前記貫通孔と前記ロッド部の上端を覆う膜体を備える、請求項に記載のスクイズ計量容器。
【請求項8】
前記第2筒部は、前記第2開口部を形成する環状の頂壁部を備え、
前記ロッド部は、前記第2開口部との間に隙間を空けつつ前記第2開口部を貫通しており、
前記開閉部は、前記第2開口部の縁部に下方から着座する弁体である、請求項1、2、4〜7のいずれか一項に記載のスクイズ計量容器。
【請求項9】
前記開閉体は、前記開閉部に前記付勢力を付与する弦巻ばね部と、前記底壁部に固定され、前記弦巻ばね部の下端を支持する固定部とを備える、請求項に記載のスクイズ計量容器。
【請求項10】
前記開閉体は、前記ロッド部、前記開閉部、前記弦巻ばね部及び前記固定部を一体に備える合成樹脂製の一体成型品である、請求項に記載のスクイズ計量容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部に装着された計量キャップを備え、容器本体をスクイズして内容液を計量キャップの計量室に導入することで、内容液を計量し、計量室から注出可能なスクイズ計量容器に関し、特に、予め設定された複数の分量の間の任意の分量に正確に計量して注出することを可能にしようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスクイズ計量容器として、例えば特許文献1に記載されるようなものが知られている。特許文献1では、計量キャップに2つの計量室を設け、第1の計量室を用いると第1の分量に計量でき、第2の計量室を用いると第1の分量より少ない第2の分量に計量できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5103302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来のスクイズ計量容器では、第1の分量と第2の分量との間の任意の分量に計量することは困難であった。
【0005】
本発明は、前記の現状に鑑み開発されたもので、予め設定された複数の分量の間の任意の分量に正確に計量して注出することを可能にするスクイズ計量容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.内容液の収容空間に繋がる口部を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着された計量キャップとを備え、前記容器本体をスクイズして前記内容液を前記計量キャップの計量室に導入することで、前記内容液を計量し、前記計量室から注出可能なスクイズ計量容器において、
前記計量キャップは、前記計量室の周面を区画する周壁部と、前記計量室の底面を区画する底壁部と、該底壁部にそれぞれ立設された第1筒部及び第2筒部とを備え、
前記第1筒部は、前記容器本体のスクイズにて前記内容液を前記収容空間から前記計量室に導入する一方、前記容器本体のスクイズ解除にて第1の液面高さを超えて導入された前記内溶液を前記収容空間に回収させる第1開口部を備え、
前記第2筒部は、開閉体によって開閉可能な第2開口部を備え、
前記開閉体は、上方への付勢力を付与された開閉部と、該開閉部から上方に延びるロッド部とを備え、
前記開閉部は、前記付勢力に抗する前記ロッド部の押し下げにて前記第2開口部を開放する一方、前記押し下げの解除にて前記第2開口部を閉止し、
前記第2開口部は、前記開閉体による開放時に、第1の液面高さより低い第2の液面高さを超えて導入された前記内溶液を前記収容空間に回収させることを特徴とするスクイズ計量容器。
2.前記計量キャップは、前記容器本体の口部に装着されると共に前記周壁部を有するキャップ本体と、該キャップ本体と前記口部との間に挿入されると共に前記底壁部、前記第1筒部及び前記第2筒部を有する中栓とを備える、前記1のスクイズ計量容器。
3.内容液の収容空間に繋がる口部を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着された計量キャップとを備え、前記容器本体をスクイズして前記内容液を前記計量キャップの計量室に導入することで、前記内容液を計量し、前記計量室から注出可能なスクイズ計量容器において、
前記計量キャップは、前記容器本体の口部に装着されると共に前記計量室の周面を区画する周壁部を有するキャップ本体と、該キャップ本体と前記口部との間に挿入されると共に、前記計量室の底面を区画する前記底壁部並びに該底壁部にそれぞれ立設された第1筒部及び第2筒部を有する中栓とを備え、
前記第1筒部は、前記容器本体のスクイズにて前記内容液を前記収容空間から前記計量室に導入する一方、前記容器本体のスクイズ解除にて第1の液面高さを超えて導入された前記内溶液を前記収容空間に回収させる第1開口部を備え、
前記第2筒部は、開閉体によって開閉可能な第2開口部を備え、
前記第2開口部は、前記開閉体による開放時に、第1の液面高さより低い第2の液面高さを超えて導入された前記内溶液を前記収容空間に回収させることを特徴とするスクイズ計量容器。
【0007】
.前記開閉体は、上方への付勢力を付与された開閉部と、該開閉部から上方に延びるロッド部とを備え、
前記開閉部は、前記付勢力に抗する前記ロッド部の押し下げにて前記第2開口部を開放する一方、前記押し下げの解除にて前記第2開口部を閉止する、前記のスクイズ計量容器。
【0008】
.前記計量キャップは、前記計量室の上面を区画する上壁部を備え、
前記上壁部には、計量された内溶液の注出口と、前記ロッド部が貫通する貫通孔とが形成されている、前記1、2又は4のスクイズ計量容器。
【0009】
.前記上壁部には、前記貫通孔を取り囲む案内筒が垂設されており、
前記ロッド部には、前記案内筒内を液密に摺動する環状突起が形成されている、前記のスクイズ計量容器。
【0010】
.前記上壁部の上面に固着され、前記貫通孔と前記ロッド部の上端を覆う膜体を備える、前記のスクイズ計量容器。
【0011】
.前記第2筒部は、前記第2開口部を形成する環状の頂壁部を備え、
前記ロッド部は、前記第2開口部との間に隙間を空けつつ前記第2開口部を貫通しており、
前記開閉部は、前記第2開口部の縁部に下方から着座する弁体である、前記1、2、4〜7のいずれかのスクイズ計量容器。
【0012】
.前記開閉体は、前記開閉部に前記付勢力を付与する弦巻ばね部と、前記底壁部に固定され、前記弦巻ばね部の下端を支持する固定部とを備える、前記のスクイズ計量容器。
【0013】
10.前記開閉体は、前記ロッド部、前記開閉部、前記弦巻ばね部及び前記固定部を一体に備える合成樹脂製の一体成型品である、前記のスクイズ計量容器。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容器本体のスクイズにて、容器本体の内容液の収容空間から、内溶液を、第1筒部の第1開口部を通じて計量室に導入する一方、容器本体のスクイズ解除にて、第1の液面高さを超えて導入された内溶液を、前記第1開口部を通じて前記収容空間に回収させることができるため、第1の液面高さに対応する第1の分量に正確に計量することが可能となる。また、第2筒部の第2開口部を開閉体によって開放することで、第1の液面高さより低い第2の液面高さを超えて導入された内溶液を、前記第2開口部を通じて前記収容空間に回収させることができるため、第2の液面高さに対応する、第1の分量より少ない第2の分量に正確に計量することが可能となる。さらに、開閉体による前記第2開口部の開放を途中で適宜解除することで、第1の分量と第2の分量の間の任意の分量に正確に計量することが可能となる。
【0016】
したがって、本発明によれば、予め設定された複数の分量の間の任意の分量に正確に計量して注出することを可能にするスクイズ計量容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るスクイズ計量容器の縦断面図であり、不使用時の状態を示す。
図2図1のスクイズ計量容器の縦断面図であり、第1の分量に計量した状態を示す。
図3図1のスクイズ計量容器の縦断面図であり、分量の調節時の状態を示す。
図4図1のスクイズ計量容器の縦断面図であり、第2の分量に計量した状態を示す。
図5】本発明の他の実施形態に係るスクイズ計量容器の縦断面図であり、不使用時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係るスクイズ計量容器1について詳細に例示説明する。
なお、本明細書において、上下方向とは、スクイズ計量容器1の不使用時の正立状態を基準とし、上方とは計量室Mが位置する側(すなわち、図1における上方)を意味し、下方とは容器本体3の内溶液Rの収容空間Sが位置する側(すなわち、図1における下方)を意味するものとする。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るスクイズ計量容器1は、内容液Rの収容空間Sに繋がる口部2を有する容器本体3と、該容器本体3の口部2に装着されると共に計量室Mが形成された計量キャップ4とを備えている。なお、内容液Rとしては、例えば、入浴剤や農薬など、原液を薄めて用いる液体を想定しているが、その他の液体を内溶液Rとしてもよい。また、容器本体3は、本例では、口部2、胴部及び底部を有するボトル状をなしており、胴部をスクイズ(圧搾)可能に構成されている。
【0020】
計量キャップ4は、容器本体3の口部2に装着されたキャップ本体5と、該キャップ本体5と容器本体3の口部2との間に挿入された中栓6とを備えている。なお、キャップ本体5及び中栓6は、それぞれ、合成樹脂の一体成形品とすることが好ましい。キャップ本体5は、容器本体3の口部2にねじによって取り付けられた円筒状の装着筒部7を備えている。なお、装着筒部7は、ねじに代え、アンダーカット嵌合などによって取り付けるようにしてもよい。装着筒部7の上部には、段部8を介して縮径された円筒状の周壁部9が立設されている。周壁部9は、計量室Mの周面を区画している。周壁部9の上部には、計量された内溶液Rの注出口10と、貫通孔11とが形成された上壁部12が連設されている。上壁部12は、計量室Mの上面を区画している。
【0021】
また、周壁部9の上部には、ヒンジ13を介して回動することで、注出口10を開閉可能なオーバーキャップ14が連設されている。オーバーキャップ14は、ヒンジ13が連結された円筒状の外周壁部15と、外周壁部15の上部を閉塞する天面壁部16とを備えており、天面壁部16には、注出口10に嵌合して注出口10を封止する外側嵌合筒17が垂設されている。
【0022】
中栓6は、平面視円形をなす周縁部18がキャップ本体5の段部8と容器本体3の口部2との間に挿入され、固定された底壁部19を備えている。底壁部19は、計量室Mの底面を区画している。底壁部19には、第1筒部20が立設されている。第1筒部20は、容器本体3のスクイズにて内容液Rを収容空間Sから計量室Mに導入する一方、容器本体3のスクイズ解除にて第1の液面高さL1(後掲図2参照)を超えて導入された内溶液Rを収容空間Sに回収させる第1開口部21を備えている。
【0023】
図1に示したように、第1筒部20は、本例では、周方向に間隔を空けて形成された複数の開口からなる第1開口部21を上部に有する有頂円筒状をなしている。また、前述したオーバーキャップ14の天面壁部16には、オーバーキャップ14の閉止時に、第1筒部20に嵌合して第1開口部21と計量室Mとの連通を遮断する内側嵌合筒22が垂設されている。第1筒部20の内周面には、容器本体3の底部付近まで垂下するパイプ23の上部が嵌合により固定されている。
【0024】
また、底壁部19には、第2筒部24が立設されている。第2筒部24は、開閉体25によって開閉可能な第2開口部26を備えている。第2開口部26は、開閉体25による開放時(後掲図3参照)に、第1の液面高さL1より低い第2の液面高さL2(後掲図4参照)を超えて導入された内溶液Rを収容空間Sに回収させるようになっている。第2筒部24は、本例では、第2開口部26を形成する環状の頂壁部27を備える有頂円筒状をなしている。
【0025】
図1に示したように、開閉体25は、上方への付勢力を付与された開閉部28と、該開閉部28から上方に延びるロッド部29とを備えている。開閉部28は、前記付勢力に抗するロッド部29の押し下げにて第2開口部26を開放する一方、前記押し下げの解除にて第2開口部26を閉止するようになっている。開閉部28は、本例では、第2開口部26の縁部に下方から着座する弁体で構成されている。また、ロッド部29は、第2開口部26との間に隙間を空けつつ第2開口部26を貫通している。
【0026】
また、開閉体25は、開閉部28に前記付勢力を付与する弦巻ばね部30と、底壁部19に固定され、弦巻ばね部30の下端を支持する固定部31とを備えている。本例では、ロッド部29と開閉部28とは合成樹脂の一体成形品として構成され、弦巻ばね部30は金属製の別部材として構成されている。なお、弦巻ばね部30は、金属製に限らず、樹脂製とすることも可能である。また、固定部31は、本例では、更なる別部材として構成された合成樹脂の一体成形品である。なお、固定部31は、円環状の底板部32の外周縁から立ち上がる環状壁部33が、第2筒部24の内周面に嵌め込まれ、アンダーカットにより固定されている。
【0027】
また、ロッド部29は、前述した上壁部12の貫通孔11を貫通している。上壁部12には、貫通孔11を取り囲む案内筒34が垂設されており、ロッド部29には、案内筒34内を液密に摺動する逆向きスカート状の環状突起35が形成されている。
【0028】
かかる構成になる本実施形態に係るスクイズ計量容器1によれば、図1に示したスクイズ計量容器1の正立状態から、オーバーキャップ14を開き、容器本体3をスクイズすることで、容器本体3の内容液Rの収容空間Sから、内溶液Rを、第1筒部20の第1開口部21を通じて計量室Mに導入する一方、容器本体3のスクイズ解除にて、第1の液面高さL1を超えて導入された内溶液Rを、第1開口部21を通じて収容空間Sに回収させることができるため、図2に示すように、第1の液面高さL1に対応する第1の分量に正確に計量することが可能となる。
【0029】
また、図3に示すように、第2筒部24の第2開口部26を開閉体25によって開放することで、第1の液面高さL1より低い第2の液面高さL2を超えて導入された内溶液Rを、第2開口部26を通じて収容空間Sに回収させることができるため、図4に示すように、第2の液面高さL2に対応する、第1の分量より少ない第2の分量に正確に計量することが可能となる。
【0030】
さらに、開閉体25による第2開口部26の開放を途中で適宜解除することで、第1の分量と第2の分量の間の任意の分量に正確に計量することが可能となる。なお、第1の液面高さL1と第2の液面高さL2との間には、分量を表示する目盛を設けることが好ましい。このような目盛を設ける場合には、例えば、周壁部9の内周面に目盛を設けてもよいし、周壁部9を透明に構成し、該周壁部9の外周面に目盛を設けてもよい。
【0031】
このように、スクイズ計量容器1によれば、予め設定された複数の分量の間の任意の分量に正確に計量して注出することを可能にすることができる。
【0032】
また、スクイズ計量容器1によれば、開閉体25のロッド部29を上方への付勢力に抗して押し下げることで第2開口部26を開放させる一方、前記押し下げの解除にて第2開口部26を閉止させることができ、簡単な操作で分量を調節することが可能となる。
【0033】
また、スクイズ計量容器1によれば、開閉体25のロッド部29が上壁部12の貫通孔11を貫通しているため、上壁部12の上側からロッド部29を操作することができ、分量調節のための操作をより一層簡単なものとすることができる。
【0034】
また、スクイズ計量容器1によれば、ロッド部29には、貫通孔11を取り囲む案内筒34内を液密に摺動する環状突起35が形成されているため、容器本体3を傾けて、計量済みの内溶液Rを注出する際に、内溶液Rが貫通孔11とロッド部29との隙間から漏れ出ることを防止することができる。このため、操作部となるロッド部29の上端に内溶液Rが付着することを防止することができる。したがって、スクイズ計量容器1によれば、ロッド部29を押し下げるための操作部を清潔に保つことができる。
【0035】
また、スクイズ計量容器1によれば、ロッド部29は、第2開口部26との間に隙間を空けつつ第2開口部26を貫通しており、開閉部28は、第2開口部26の縁部に下方から着座する弁体で構成したので、分量調節のための構成を簡素化することができる。
【0036】
また、スクイズ計量容器1によれば、開閉体25は、開閉部28に上方への付勢力を付与する弦巻ばね部30と、底壁部19に固定され、弦巻ばね部30の下端を支持する固定部31とを備えているため、開閉部28に上方への付勢力を付与するための構成を簡素化することができる。
【0037】
さらに、スクイズ計量容器1によれば、計量キャップ4は、容器本体3の口部2に装着されると共に周壁部9を有するキャップ本体5と、該キャップ本体5と前記口部2との間に挿入されると共に底壁部19、第1筒部20及び第2筒部24を有する中栓6とを備えているため、計量キャップ4の部品点数を抑制し、低コスト化を図ることができる。
【0038】
次に、図5を参照して、本発明の他の実施形態に係るスクイズ計量容器1’について詳細に例示説明する。
図5に示すように、本実施形態に係るスクイズ計量容器1’は、図1図4を用いて説明した実施形態の場合とは、開閉体25’の構成、及び開閉体25’のロッド部29’の上部周辺の構成が異なる他は、同一の構成となっている。
【0039】
本実施形態では、開閉体25’は、ロッド部29’、開閉部28’、弦巻ばね部30’及び固定部31’を一体に備える合成樹脂製の一体成型品となっている。また、上壁部12’の上面には、貫通孔11とロッド部29’の上端を覆う、軟性材料からなるドーム状の膜体36が固着されている。なお、膜体36は、2材成形によってキャップ本体5’と一体に成形することが好ましい。また、本実施形態では、ロッド部29’には、前述した実施形態では設けられていた環状突起35は設けられていない。また、そのため、案内筒34’の径寸法も縮小されている。
【0040】
かかる構成になる本実施形態に係るスクイズ計量容器1’によれば、開閉体25’がロッド部29’、開閉部28’、弦巻ばね部30’及び固定部31’を一体に備える合成樹脂製の一体成型品として構成されているため、部品点数が低減され、低コスト化を図ることができる。また、弦巻ばね部30’を合成樹脂で構成することができるため、内溶液Rを、調味料などの飲食料品とすることも可能になる。
【0041】
また、スクイズ計量容器1’によれば、上壁部12’の上面に固着され、貫通孔11とロッド部29’の上端を覆う膜体36を備えているので、膜体36を介してロッド部29’を押し下げることができる。したがって、容器本体3を傾けて、計量済みの内溶液Rを注出する際に、内溶液Rが貫通孔11とロッド部29’との隙間から漏れ出たとしても、ロッド部29’を押し下げるための操作部となる膜体36の上面には、内溶液Rが付着することはない。したがって、スクイズ計量容器1’によれば、ロッド部29’を押し下げるための操作部を清潔に保つことができる。
【0042】
前述したところは、本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、図1図4を用いて説明した実施形態では、第2筒部24及び開閉体25は、1組設けられているが、2組以上設けてもよい。この場合には、複数の第2筒部24に設けられる第2開口部26が対応する液面高さを相互に異なるものとすることで、複数の液面高さに対応する複数の分量への調節を容易化することができる。なお、この点は、図5を用いて説明した実施形態の場合においても、同様である。
【符号の説明】
【0043】
1,1’ スクイズ計量容器
2 口部
3 容器本体
4 計量キャップ
5,5’ キャップ本体
6 中栓
7 装着筒部
8 段部
9 周壁部
10 注出口
11 貫通孔
12,12’ 上壁部
13 ヒンジ
14 オーバーキャップ
15 外周壁部
16 天面壁部
17 外側嵌合筒
18 周縁部
19 底壁部
20 第1筒部
21 第1開口部
22 内側嵌合筒
23 パイプ
24 第2筒部
25,25’ 開閉体
26 第2開口部
27 頂壁部
28,28’ 開閉部
29,29’ ロッド部
30,30’ 弦巻ばね部
31,31’ 固定部
32 底板部
33 環状壁部
34,34’ 案内筒
35 環状突起
36 膜体
R 内容液
S 収容空間
M 計量室
L1 第1の液面高さ
L2 第2の液面高さ
図1
図2
図3
図4
図5