【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動端末が送信する通信ログには、無線通信品質及び位置情報に加えて、データトラヒック量に関する情報を更に含めることもできる。また、これら大量の通信ログを収集した管理装置は、「当該移動端末が、何処のエリアで、どの程度のデータトラヒック量を発生させたか?」を知ることができる。これら情報を集計することによって、エリア毎に、移動端末数や、呼接続数や、発生したデータトラヒック量を知ることもできる。即ち、エリア側からみたデータトラヒック量を、監視することができる。
【0006】
ここで、本願の発明者らは、全ての移動端末から全ての通信ログを収集した場合、移動端末の負荷(計算量、電池消費等)が増大すると考えた。即ち、一部の移動端末の一部の通信ログのみを収集するだけで、空間的・時間的に、各基地局のデータトラヒック量を表示したエリアマップを作成することができれば、移動端末の負荷を軽減しつつ、設備設計やサービス品質を向上させることができると考えた。
【0007】
しかしながら、一部の移動端末の一部の通信ログだけでは、空間的・時間的な密度が疎になる。そのために、各基地局のデータトラヒック量を表示したエリアマップを作成したり、何処のエリアでどの程度のデータトラヒック量が発生したかを知ることは難しい。
勿論、基地局毎に、例えば、後述する基地局統計情報によって、単位時間内に発生した全てのエリアに対する総データトラヒック量は知ることはできる。しかし、基地局は、データトラヒックが何れのエリアから多く発生しているか?を知ることは難しい。そのために、通信事業者としては、データトラヒックの収容の観点から、全体的なエリア設計をすることが難しいとする問題がある。
【0008】
通信事業者は、例えば前述の「基地局統計情報」に加え、「サービスエリア情報」及び「ログ分布情報」を管理しているものとする。
「基地局統計情報」は、基地局毎・時間帯毎の総データトラヒック量である。しかし、この情報からは、移動端末がトラヒックを発生させた位置が不明であるために、エリア毎のトラヒック分布を推定することはできない。
「サービスエリア情報」は、エリアシミュレータ等により、各基地局がカバーするサービスエリアを推定したものである。エリアシミュレータを用いる代わりに、多数の移動端末の通信ログを収集し、各基地局がカバーするサービスエリアを推定したものであってもよい。しかし、各基地局がカバーするサービスエリアからでは、エリア毎又は時間帯毎に、データトラヒック量を推定することはできない。
「ログ分布情報」は、一部の移動端末の一部の通信ログを収集し、移動端末の分布を推定したものである。しかし、一部の移動端末の一部の通信ログの分布からは、当該エリアについて、そのデータトラヒック量を推定することはできない。
【0009】
そこで、本発明によれば、エリア毎にデータトラヒック量を推定する装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、エリアi毎に、各基地局mのデータトラヒック量Tmiを推定するトラヒック推定装置であって、
基地局m毎に、基地局トラヒック量Tmを蓄積する基地局トラヒック量蓄積手段と、
エリアi毎に、移動端末の総ログ数Liを蓄積するログ数蓄積手段と、
エリアi毎に、各基地局mにおける移動端末のログ数Lmiを用いて、各基地局mの接続率Bmiを蓄積する基地局接続率蓄積手段と、
総ログ数Li及び接続率Bmiを用いて、基地局m毎に、各エリアiのログ割合Rmiを算出するログ割合算出手段と、
エリアi毎に、基地局トラヒック量Tm及びログ割合Rmiを用いて、各基地局mにおける当該エリアiのデータトラヒック量Tmiを算出するエリアトラヒック量推定手段と
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のトラヒック推定装置における他の実施形態によれば、
移動端末の総ログ数Liは、移動端末が生成したコール数、又は、コールを生成した移動端末数であることも好ましい。
【0012】
本発明のトラヒック推定装置における他の実施形態によれば、
移動端末の総ログ数Liは、エリアi毎に、所定条件の一部の移動端末、及び/又は、所定条件の一部の通信、によって生成されたものであることも好ましい。
【0013】
本発明のトラヒック推定装置における他の実施形態によれば、
データトラヒック量Tmiを用いて、当該エリアiにおける総データトラヒック量Tiを算出する総トラヒック量推定手段を
更に有することも好ましい。
【0014】
本発明のトラヒック推定装置における他の実施形態によれば、
移動端末のログには、更に時刻が対応付けられており、
基地局トラヒック量蓄積手段は、基地局m及び時間帯tの組毎に、基地局トラヒック量Tmtを対応付けて蓄積し、
ログ数蓄積手段は、エリアi及び時間帯tの組毎に、移動端末の総ログ数Litを対応付けて蓄積し、
ログ割合算出手段は、基地局m毎に、エリアi及び時間帯tの各組のログ割合Rmitを算出し、
エリアトラヒック量推定手段は、エリアi及び時間帯tの組毎に、基地局トラヒック量Tmt及びログ割合Rmitを用いて、各基地局mにおけるデータトラヒック量Tmitを算出することも好ましい。
【0015】
本発明のトラヒック推定装置における他の実施形態によれば、
時間帯は、「時刻」又は「日付+時刻」であることも好ましい。
【0016】
本発明のトラヒック推定装置における他の実施形態によれば、
ログ数蓄積手段は、平日/休日別に、移動端末の総ログ数Liを蓄積し、
ログ割合算出手段は、平日/休日別に、各エリアiのログ割合Rmiを算出する
ことも好ましい。
【0017】
本発明のトラヒック推定装置における他の実施形態によれば、
2次元(x−y)領域を区分したエリアi毎に、各基地局mのデータトラヒック量Tmiをz軸方向に描画した3次元のトラヒックマップを生成するトラヒックマップ生成手段を更に有することも好ましい。
【0018】
本発明のトラヒック推定装置における他の実施形態によれば、
地図に、トラヒックマップを重畳して表示するトラヒックマップ表示手段を更に有することも好ましい。
【0019】
本発明によれば、エリアi毎に、各基地局mのデータトラヒック量Tmiを推定する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
基地局m毎に、基地局トラヒック量Tmを蓄積する基地局トラヒック量蓄積手段と、
エリアi毎に、移動端末の総ログ数Liを蓄積するログ数蓄積手段と、
エリアi毎に、各基地局mにおける移動端末のログ数Lmiを用いて、各基地局mの接続率Bmiを蓄積する基地局接続率蓄積手段と、
総ログ数Li及び接続率Bmiを用いて、基地局m毎に、各エリアiのログ割合Rmiを算出するログ割合算出手段と、
エリアi毎に、基地局トラヒック量Tm及びログ割合Rmiを用いて、各基地局mにおける当該エリアiのデータトラヒック量Tmiを算出するエリアトラヒック量推定手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、装置を用いて、エリアi毎に、各基地局mのデータトラヒック量Tmiを推定する方法であって、
装置は、
基地局m毎に、基地局トラヒック量Tmを蓄積する基地局トラヒック量蓄積部と、
エリアi毎に、移動端末の総ログ数Liを蓄積するログ数蓄積部と、
エリアi毎に、各基地局mにおける移動端末のログ数Lmiを用いて、各基地局mの接続率Bmiを蓄積する基地局接続率蓄積部と
を有し、
装置は、
総ログ数Li及び接続率Bmiを用いて、基地局m毎に、各エリアiのログ割合Rmiを算出する第1のステップと、
エリアi毎に、基地局トラヒック量Tm及びログ割合Rmiを用いて、各基地局mにおける当該エリアiのデータトラヒック量Tmiを算出する第2のステップと
を有することを特徴とする。