(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2搬送手段は連続運転され、前記循環移動経路における前記第1昇降カムが下降端に達する位置が、前記循環移動経路における前記第2昇降カムが下降端に達する位置よりも循環移動方向上流側となることを特徴とする請求項1に記載の物品移載装置。
請求項1〜2の何れか一項に記載の物品移載装置を備える物品搬送システムであって、前記物品搬送システムが、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段を更に備えることを特徴とする物品搬送システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の物品移載装置を用いた搬送システムの部分的なレイアウトを示す平面図である。
【0013】
第1実施形態の物品移載装置10は、供給コンベヤ12(第1搬送手段)上を搬送される物品Sを排出コンベヤ(第2搬送手段)14上に移載する装置であり、物品Sを保持するための所定数の第1保持ヘッドH11〜H14と所定数の第2保持ヘッドH21〜H24とを備える。第1保持ヘッドH11〜H14および第2保持ヘッドH21〜H24は、例えば円形の循環移動経路CPに沿って例えば等間隔で交互に配置され、所定の速度で循環移動される。すなわち、第2保持ヘッドH21〜H24は、第1保持ヘッドH11〜H14の循環移動経路における移動方向上流側に各々設けられる。なお、第1保持ヘッドH11〜H14および第2保持ヘッドH21〜H24の循環移動経路CPに沿った配置は不等間隔とすることも可能である。
【0014】
図1に例示されるレイアウトでは、供給コンベヤ12と排出コンベヤ14は略直交するようにL字形に配置される。すなわち、供給コンベヤ12と排出コンベヤ14は、循環移動経路CPの直交する2本の接線に沿って配置され、第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24は、供給コンベヤ12および排出コンベヤ14の上を循環移動するように配置される。また、排出コンベヤ14の下流側の側辺には、搬送コンベヤ16が密接して同レベルで並設され、プッシャ18を用いて、排出コンベヤ14上に移載された物品Sが搬送コンベヤ16へと移載される。
【0015】
供給コンベヤ12は、例えば一定の速度で連続運転され、例えば上流側に接続される横ピロー包装機(図示せず)において個包装され1列に整列された物品Sを矢印V1に沿って所定のピッチで搬送する。物品Sは、取り上げ位置P0において第1保持ヘッドH11〜H14または第2保持ヘッドH21〜H24により供給コンベヤ12から取り上げられ、循環移動経路CPに沿って図中反時計回りに排出コンベヤ14に向けて移動される。このとき第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24は自転され、例えば物品Sの向きを取り上げ位置P0における向きと同じに維持する。なお、取り上げ位置P0は、第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24が供給コンベヤ12と略並走する位置に設定される。
【0016】
一方、排出コンベヤ14は、例えばその搬送面に、物品Sの幅に合わせて搬送方向V2に沿って所定間隔でコンベヤ幅方向に亘る桟14Fが設けられたベルトコンベヤであり、物品移載装置10によって、隣り合う一対の桟14Fで区画される空間(以下バケット)に物品Sが載置される。第1実施形態において、第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24から物品Sを排出コンベヤ14に載置する載置位置P1は、第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24が排出コンベヤ14と略並走する位置に設定される。排出コンベヤ14は、後述するように載置位置P1に位置するバケットに複数の物品Sを重ね置きするために間欠運転される。
【0017】
なお本実施形態では、2段重ねで物品Sが各バケットに載置され、第1保持ヘッドH11〜H14が下段の物品Sを移送し、第2保持ヘッドH21〜H24が上段の物品Sを移送する。
図1では、重ね置きされた際に下段に配置される物品Sが白抜きの矩形で示され、上段に配置される物品Sが斜線を付した矩形で示される。また、
図1においては、第1保持ヘッドH11〜H14に斜線が施され、第2保持ヘッドH21〜H24は白抜きで示されている。
【0018】
搬送コンベヤ16は、例えばカートニングマシン(不図示)に物品Sを送出するベルトコンベヤである。搬送コンベヤ16には、例えば搬送方向V1に沿って排出コンベヤ14と同様の間隔でコンベヤ幅方向に亘る桟16Fが設けられる。搬送コンベヤ16は排出コンベヤ14と同期して間欠運転され、搬送コンベヤ16において隣り合う桟16Fによって区画されるバケットは、プッシャ18による移載が行えるように、排出コンベヤ14の各バケットに位置合わせされた状態で移動される。
【0019】
次に
図2、
図3を参照して、本実施形態の物品移載装置10の構成について説明する。
図2、
図3は、
図1のA−A線に沿った物品移載装置10の断面図であり、
図2は第1保持ヘッドが同断面にあるとき、
図3は第2保持ヘッドが同断面にあるときの様子を示す。すなわち、第1、第2保持ヘッドが、取り上げ位置P0、載置位置P1にあるときの断面図である。
【0020】
物品移載装置10は、基台などの固定部にベアリング20を介して略鉛直に軸支され、回転軸Xの周りに回転するシャフト22を備える。シャフト22はギヤトレーン24を介してモータ26に接続され、モータ26によって所望の回転速度で回転駆動される。シャフト22の上端には円盤状の回転プレート28が設けられ、シャフト22とともに一体的に回転される。回転プレート28の外周部には、第1保持ヘッドH11〜H14の各々に対応する外軸30A、第2保持ヘッドH21〜H24の各々に対応する外軸30Bが、ブッシュ32を介して略直立して軸支され、その上下方向への移動はブッシュ32により規制される。
【0021】
外軸30A、30Bには、例えばスプライン加工などが施された内軸34A、34Bが外軸30A、30Bの各々の下端から嵌挿され、内軸34A、34Bは、外軸30A、30Bに対して昇降自在、かつとも周りするように接続される。そして内軸34A、34Bの下端には、第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24がそれぞれ設けられる。
【0022】
内軸34A、34Bは、所定の高さにおいて、ブッシュ36により回転自在に軸支されるとともにブッシュ36に対する上下方向の移動が規制される。内軸34A、34Bの各々に係合するブッシュ36は、それぞれアーム38A、38Bを介してカムフォロワ40A、40Bに連結される。カムフォロワ40A、40Bは、基台等に固定されるステイ42に固定された固定プレート44に保持される第1昇降カム46A、第2昇降カム46Bにそれぞれ係合する。なお、固定プレート44とシャフト22の間にはブッシュ45が介装される。
【0023】
第1、第2昇降カム46A、46Bは、回転軸Xの周りに同心的にその全周に亘り設けられ、第1昇降カム46Aは、第1保持ヘッドH11〜H14の上下動を制御し、第2昇降カム46Bは、第2保持ヘッドH21〜H24の上下動を制御する。
【0024】
すなわち、モータ26により回転プレート28が回転されると、外軸30A、30B、内軸34A、34B、第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24、カムフォロワ40A、40Bが、一体的に回転軸Xの周りに回転される。そして、外軸30A、30B、内軸34A、34Bおよびその先端に設けられた第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24は、後述する自転機構により自転し、内軸34A、34Bおよび第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24は、更に第1、第2昇降カム46A、46Bに形状に沿って上下動される。なお、下段の物品Sを移送する第1昇降カム46Aは、上段の物品Sを移送する第2昇降カム46Bよりも下側に配置される。
【0025】
第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24には、その先端に物品Sの頂面に当接して物品Sを負圧により吸着する吸着パッド48が設けられる。外軸30A、30Bの各々の上端は、エア配管50を介して負圧源(図示せず)に接続され、第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24における吸引は、エア配管50に連通される外軸30A、30B、内軸34A、34B内に設けられた吸引経路(図示せず)を通して行われる。なおエア配管50は、ロータリジョイント52を介して外軸30A、30Bに接続され、外軸30A、30Bの自転によりエア配管50が捩じられるのが防止される。
【0026】
なお、外軸30A、30Bの自転は、例えばシャフト22の上端に、シャフト22と一体的に回転するセンタープーリ54を設けるとともに、外軸30A、30Bの各々にセンタープーリ54と同じ歯数を有する上下一対のプーリ56、58を一体的に設け、これらをタイミングベルトで連結することにより行われる。例えば、センタープーリ54と8本の外軸30A、30Bの中の1本の外軸の下側プーリ56とをタイミングベルトでまず連結する。そして、当該外軸の上側プーリ58を隣(例えば搬送方向上流側)の外軸の上側プーリ58に別のタイミングベルトで連結し、同様に下側スプロケット、上側スプロケットと順次交互に次の外軸の上下スプロケットにそれぞれタイミングベルトを掛け回す。本実施形態のようにセンタープーリ54と、外軸30A、30Bの上下プーリ56、58の歯数を同じにする場合、保持ヘッドの方向は常に同じ方向を向くことになるため、物品は供給コンベヤ12上を搬送されたままの姿勢から回転されることがない。
【0027】
なお、本実施形態では、物品移載装置10の保持ヘッドの周速度は、供給コンベヤ12の搬送速度に同期される。
【0028】
以上のように、第1実施形態によれば、供給コンベヤを所定搬送速度で連続運転しながら、供給コンベヤの所定の取り上げ位置で、循環移動する下降位置の異なる第1、第2保持ヘッドを交互に用いて物品を取り上げることで、搬送方向の異なる排出コンベヤの載置位置に物品を重ねて載置することができる。また、第1、第2保持ヘッドの上下動が、カムを用いて行われているのでその構成が簡略となり、かつ物品を載置する際の衝撃も抑えることができる。
【0029】
次に
図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、排出コンベヤ14を間欠運転して物品Sを段積みしたが、第2実施形態では、排出コンベヤ14を連続運転しながら物品Sの段積みを行う。そのため第2実施形態では、第1実施形態における物品Sの排出コンベヤ14への載置位置P1が変更されている。以下、第1実施形態とはその構成が異なる排出コンベヤ14への物品Sの載置位置の変更に係る構成に関してのみ説明を行う。
【0030】
第2実施形態では、排出コンベヤ14上において下段に載置される物品S1は第1実施形態の載置位置P1よりも上流側の載置位置P2で排出コンベヤ14上に受け渡され、下段の物品S1の上に重ねて載置される上段の物品S2は載置位置P1よりも下流側の載置位置P3において排出コンベヤ14上に受け渡される。すなわち、第1保持ヘッドH11〜H14が循環移動経路CPにおいて載置時の下降端に達する位置P2は、循環移動経路Cにおいて第2保持ヘッドH21〜H24が載置時の下降端に達する位置P3よりも循環移動方向下流側(排出コンベヤ14の下流側に対応)となるように、第1昇降カム46A、第2昇降カム46Bのカム曲線が設定される。
【0031】
載置位置P2、P3は、例えば段積みされる物品S1、S2のずれをなくすために、排出コンベヤ14の搬送方向が循環移動経路CPの動径方向と直交する載置位置P1を中心に、排出コンベヤ14の搬送方向に対して前後等距離、すなわち対称に配置される。
【0032】
図4(a)は、第1保持ヘッドH11の中心が、排出コンベヤ14上の載置位置P2、すなわち下段の物品S1を排出コンベヤ14上に載置する位置にあり、同物品S1の受け渡しが行われるときの配置を示す部分的な平面図である。一方、
図4(b)は、第2保持ヘッドH21の中心が、排出コンベヤ14上の載置位置P3、すなわち下段の物品S1の上に上段の物品S2を載置する位置にあり、同物品S2の受け渡しが行われるときの配置を示す部分的な平面図である。
【0033】
図4(a)の状態において第1保持ヘッドH11により物品S1が排出コンベヤ14上に載置されると、
図4(a)の第2保持ヘッドH21の中心C21が、循環移動経路CPに沿って反時計回りに載置位置P3まで移動される。また、これと並行して排出コンベヤ14は、図面左側に向けて一定速度V
Eで駆動されて物品S1を収容したバケットの中心が載置位置P3へ移動するまで駆動され、
図4(b)の状態となる。
【0034】
図4(b)の状態において、第2保持ヘッドH21により物品S2が物品S1の上に重ねて載置されると、
図4(b)の第1保持ヘッドH12の中心C12が、循環移動経路CPに沿って反時計回りに載置位置P2まで移動される。また、これと並行して排出コンベヤ14は、図面左側に向けて一定速度V
Eで駆動されて物品S1、S2を収容したバケットに隣接する上流側のバケットの中心Cが載置位置P2へ移動するまで駆動され、再び
図4(a)のような配置となる。そして、第1ヘッドH12が保持する物品S3が排出ベルト14へと受け渡される。
【0035】
なお、
図4(a)の状態から
図4(b)の状態へと移行するとき、排出コンベヤ14は、一定の速度V
Eで、P2、P3間の距離D1を移動し、その間に第2保持ヘッドH21の中心C21が載置位置P3まで、角度θ2回転移動される。一方、
図4(b)の状態から
図4(a)の状態へと移行するときには、排出コンベヤ14は、一定の速度V
Eで、C、P2間の距離D2を移動し、その間に第1保持ヘッドH12の中心C12が載置位置P2まで、角度θ1回転移動される。
【0036】
したがって、排出コンベヤ14の搬送速度を一定にする場合には、
図4(a)の状態から
図4(b)の状態に移るときと、
図4(b)の状態から
図4(a)の状態へ移るときとで、第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24の移動速度、すなわち回転プレート28(
図2、3参照)の回転速度を変更する必要が一般的には生じる。したがって、本実施形態では、モータ26の回転を制御して、回転プレート28を加減速し、第2保持ヘッドH21〜H24が載置位置P3へ移動するとき速度を、第1保持ヘッドH11〜H14が載置位置P2へ移動するときよりも高速にする。なお、時間的な余裕がある場合などには、載置する瞬間の第1、第2保持ヘッドH11〜H14、H21〜H24の循環移動経路CPに沿った接線速度を排出コンベヤ14の搬送速度V
Eと一致するように制御して、保持ヘッドの速度とバケットの搬送速度を一致させることも可能である。
【0037】
以上のように第2実施形態においても、第1実施形態と略同様の効果が得られる。また第2実施形態では、排出コンベヤを連続運転することができるので、搬送効率をより高めることができる。
【0038】
なお本実施形態では、縦長の物品Sの向きを変えずに90°搬送方向の異なる排出コンベヤ14へと移載しているため、供給コンベヤ12では、縦並びであった物品Sが排出コンベヤ14では横並びとなるため、その搬送ピッチが縮小される。したがって、排出コンベヤ14の搬送速度は、供給コンベヤ12の搬送速度よりもその分遅く設定される。
【0039】
本実施形態では保持ヘッドの数を8個としたが、保持ヘッドの数はこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、循環移動経路を円形としたが、循環移動経路の形状はこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、供給コンベヤ、排出コンベヤを略L字形に配置したが、両コンベヤは循環移動経路の任意の2本の接線に沿って配置されればよく、それに適合して各保持ヘッドの公転に対する自転の割合を設定してもよい。本実施形態では、自転機構をシャフトの回転をベルト伝動を用いて順次外軸に伝達する構成としたが、同構成はこれに限定されるものではなく、自転用の動力を別途採用することも可能である。また、本実施形態では、物品を2段積みとしたため、2組の保持ヘッド(第1、第2保持ヘッド)を用いたが、n組の保持ヘッド(第1〜第n保持ヘッド)と、これに対応するn個の昇降カムを用いて、物品をn段積みとすることもできる。
【0040】
なお、第2実施形態の排出コンベヤを一定速度V
Eで連続走行させる場合においても、D2<D1の条件下では、第1、第2保持ヘッド間の角度、保持ヘッドの回転半径、保持ヘッドのP2−P1、P1−P3間におけるそれぞれの回転角、排出コンベヤ14における物品の搬送ピッチ等の間の関係を調整して、第1、第2保持ヘッドの回転速度を同じ一定の回転速度ωとしてもよい。例えば、第1、第2保持ヘッド間角度θ、保持ヘッドの回転半径R、保持ヘッドのP2−P1、P1−P3間におけるそれぞれの回転角δ、排出コンベヤ14における物品の搬送ピッチPtとするとき、Pt=4θRsinδ/(θ+2δ)に設定すれば、第1、第2保持ヘッドの回転速度ωを一定とすることができる。