(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341840
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】車両用視認装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/12 20060101AFI20180604BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20180604BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20180604BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
B60R1/12 A
B60R1/06 D
B60Q1/24 D
B60Q1/00 G
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-232002(P2014-232002)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-94122(P2016-94122A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】横山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】大橋 正継
(72)【発明者】
【氏名】荒井 誠弘
【審査官】
宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0161379(US,A1)
【文献】
特開平01−195154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/12
B60Q 1/00−1/56
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員の視認を補助する視認手段と、
前記視認手段が収容される収容体と、
前記収容体内に設けられ、前記収容体外方側に突出されると共に、像を投射する投射手段と、
前記収容体内に設けられ、光を放出する放出手段と、
出射部が設けられ、前記放出手段が放出した光を案内して前記出射部から前記収容体外方側に出射すると共に、前記出射部が前記出射部からの光の出射方向において前記投射手段の突出先端位置又は前記投射手段より前記収容体外方側に配置される案内手段と、
を備えた車両用視認装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記投射手段からの像の投射範囲の外側に配置される請求項1記載の車両用視認装置。
【請求項3】
前記出射部から出射される光を拡散する拡散手段を備えた請求項1又は請求項2記載の車両用視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員の視認を視認手段が補助する車両用視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の照明モジュールでは、ハウジングに回路要素が支持されており、回路要素にプロジェクティングLED及び地面照明LEDが設けられている。さらに、プロジェクティングLEDがハウジングのレンズ保持部に収容されており、レンズ保持部はハウジング外側に突出されている。
【0003】
ここで、このような照明モジュールでは、地面照明LEDから放出された光にレンズ保持部による影が発生することを抑制できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0130674号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、放出手段から放出された光に投射手段による影が発生することを抑制できる車両用視認装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両用視認装置は、車両の乗員の視認を補助する視認手段と、前記視認手段が収容される収容体と、前記収容体内に設けられ、前記収容体外方側に突出されると共に、像を投射する投射手段と、前記収容体内に設けられ、光を放出する放出手段と、出射部が設けられ、前記放出手段が放出した光を案内して前記出射部から前記収容体外方側に出射すると共に、前記出射部が前記出射部からの光の出射方向において前記投射手段の突出先端位置又は前記投射手段より前記収容体外方側に配置される案内手段と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の車両用視認装置は、請求項1に記載の車両用視認装置において、前記案内手段は、前記投射手段からの像の投射範囲の外側に配置される。
【0008】
請求項3に記載の車両用視認装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用視認装置において、前記出射部から出射される光を拡散する拡散手段を備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の車両用視認装置では、収容体に視認手段が収容されており、視認手段は車両の乗員の視認を補助する。また、収容体内に投射手段が設けられており、投射手段は、収容体外方側に突出されると共に、像を投射する。さらに、収容体内に放出手段が設けられており、放出手段は光を放出する。しかも、案内手段に出射部が設けられており、放出手段が放出した光を案内手段が案内して出射部から収容体外方側に出射する。
【0010】
ここで、案内手段の出射部が、出射部からの光の出射方向において、投射手段の突出先端位置又は投射手段より収容体外方側に配置されている。このため、放出手段から放出された光に投射手段による影が発生することを抑制できる。
【0011】
請求項2に記載の車両用視認装置では、案内手段が投射手段からの像の投射範囲の外側に配置される。このため、投射手段から投射された像に案内手段による影が発生することを抑制できる。
【0012】
請求項3に記載の車両用視認装置では、案内手段の出射部から出射される光を拡散手段が拡散する。このため、出射部からの光の出射範囲を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る車両用ドアミラー装置における照射装置を示す車幅方向外側から見た断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る車両用ドアミラー装置における照射装置を示す車幅方向外側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る車両用視認装置としての車両用ドアミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0015】
本実施形態に係る車両用ドアミラー装置10は、車両のドアとしてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の上下方向中間部かつ車両前側端に設けられて、車両外側に配置されている。
【0016】
図1に示す如く、車両用ドアミラー装置10は、設置部材としてのステー12を備えており、ステー12の車幅方向内側端がサイドドア(車体側)に固定されることで、車両用ドアミラー装置10がサイドドアに設置されている。
【0017】
ステー12の車幅方向外側部分には、収容体としての略直方体形容器状のバイザ14が支持されており、バイザ14は、ステー12の車幅方向外側に配置されている。バイザ14の車両後側壁には、略矩形状の開口16が貫通形成されており、開口16は、バイザ14内を車両後側に開放させている。バイザ14の下壁には、略円状の貫通孔18が貫通形成されており、貫通孔18は、バイザ14内を下側に開放させている。
【0018】
バイザ14内には、開口16近傍において、視認手段としての略矩形板状のミラー20が配置されており、ミラー20は、ステー12に支持されると共に、全周及び車両前側面をバイザ14によって被覆されている。ミラー20の鏡面20Aは、車両後側へ向けられており、これにより、ミラー20が、車両の乗員(特に運転手)の車両後側の視認を可能にして、乗員の視認を補助している。
【0019】
バイザ14内には、貫通孔18の上側において、照射装置22が収容されている。
【0020】
図2に示す如く、照射装置22の下端には、外部材としての円板状のアウタレンズ24が設けられており、アウタレンズ24は、透明にされて、光を透過可能にされている。アウタレンズ24は、バイザ14の貫通孔18周囲に固定されており、アウタレンズ24は、貫通孔18を閉鎖している。
【0021】
照射装置22には、収容部材としての略円柱形容器状のハウジング26が設けられており、ハウジング26の下面は、開口されている。ハウジング26の下側には、アウタレンズ24が固定されており、アウタレンズ24は、ハウジング26の下面開口を閉鎖している。
【0022】
ハウジング26内の上部には、配置部材としての円板状の回路基板28が設けられており、回路基板28は、上下方向に垂直に配置されている。
【0023】
回路基板28の中心側部分の下側には、投射手段としてのプロジェクタ30が固定されており、プロジェクタ30は、回路基板28から下側(バイザ14の外側及びハウジング26の外側)に突出されている。
【0024】
プロジェクタ30には、光放出手段としてのプロジェクタLED32が設けられており、プロジェクタLED32は、回路基板28の中心部の下面に固定されている。プロジェクタLED32は、回路基板28に電気的に接続されており、プロジェクタLED32は、第1機会に発光可能(光を放出(放射)可能)にされている。
【0025】
プロジェクタ30には、略逆円錐台形容器状でレンズユニット34が設けられており、レンズユニット34の上面は、開口されている。レンズユニット34は、回路基板28の下面に同軸上に固定されており、レンズユニット34内の上端には、プロジェクタLED32が同軸上に収容されている。レンズユニット34は、透明にされており、レンズユニット34は、プロジェクタLED32が発光した光を、下側に通過及び透過させて、下端から下側にかつ同軸上の円錐状に放射(照射)する。
【0026】
レンズユニット34内には、像部材としてのシート状の図柄フィルム(図示省略)が設けられており、図柄フィルムには、像としての図柄(図示省略)が設けられている。図柄フィルムは、光を透過可能にされており、図柄フィルムには、レンズユニット34を下側に通過される光が透過される。
【0027】
プロジェクタ30には、突出部材としての略円柱形容器状のケース36が設けられており、ケース36の上面は、開口されている。ケース36は、回路基板28の下面に同軸上に固定されており、ケース36内には、レンズユニット34が同軸上に収容されている。ケース36は、光を透過不能にされており、ケース36の下壁には、投射部としての円状の投射孔38が同軸上に貫通形成されている。このため、レンズユニット34の下端から下側に放射された光が、投射孔38を通過されて、アウタレンズ24を透過されることで、当該光が地面に到達して、図柄フィルムの図柄が地面に投射(投影)される。なお、プロジェクタ30による光の放射範囲(図柄の投射範囲)を、
図2に符号Pで示している。
【0028】
回路基板28の外周部分の下面には、プロジェクタ30の径方向外側において、放出手段としての照明LED40が所定数(本実施形態では2個)固定されており、照明LED40は、回路基板28の周方向に等間隔に配置されている。照明LED40は、回路基板28に電気的に接続されており、照明LED40は、第2機会に発光可能(光を放出(放射)可能)にされている。
【0029】
回路基板28の外周部分の下面には、案内手段としての円筒状のガイド体42が所定数(本実施形態では2個)固定されており、ガイド体42の軸方向は、上下方向に平行に配置されている。ガイド体42内の上端には、照明LED40が同軸上に収容されており、ガイド体42は、下端(出射部)がプロジェクタ30のケース36下面の下側に配置されると共に、プロジェクタ30による光の放射範囲Pの外側に配置されている。ガイド体42は、不透明にされており、ガイド体42は、照明LED40が発光した光を、内部(中空部)において下側に案内して(通過させて)、下端から下側にかつ同軸上の円錐状に放射(出射、照射)する。このため、ガイド体42の下端から下側に放射された光が、アウタレンズ24を透過されて、地面に到達することで、地面(乗員の足元)が照明される。
【0030】
ガイド体42の内周面全体には、反射手段としての反射膜44が固定されており、反射膜44は、ガイド体42内の光を効果的に反射して、照明LED40が発光した光を効果的に下側に案内する。
【0031】
ガイド体42の下面には、拡散手段としての円形シート状の拡散フィルム46が固定されており、拡散フィルム46は、ガイド体42の下面開口を被覆している。拡散フィルム46は、透明にされており、拡散フィルム46は、ガイド体42の下端から下側に放射される光が透過されることで、当該光を拡散して、当該光の放射角を拡大させる。
【0033】
以上の構成の車両用ドアミラー装置10では、照射装置22のハウジング26内において、プロジェクタ30が回路基板28から下側に突出されており、プロジェクタ30は、図柄を地面に投射する。さらに、回路基板28の下面に照明LED40及びガイド体42が固定されており、照明LED40が光を発光して、ガイド体42が内部において当該光を下側に案内することで、ガイド体42が下端から当該光を下側に放射して、地面が照明される。
【0034】
ここで、ガイド体42の下端が、光の放射方向(放射軸方向である上下方向)において、プロジェクタ30(ケース36の下面)より下側に配置されている。このため、プロジェクタ30(ケース36の下面)より上側に照明LED40が配置される場合でも、ガイド体42の下端から放射された光の進行がプロジェクタ30(ケース36)に制限されることを抑制でき、地面を照明する光にプロジェクタ30(ケース36)による影が発生することを抑制できて、地面を照明する光の見栄えを向上できる。しかも、照明LED40をプロジェクタ30に水平方向において接近させた場合でも、地面を照明する光にプロジェクタ30による影が発生することを抑制できるため、回路基板28及びハウジング26の水平方向寸法を小さくできて、照射装置22を小型化できると共に、照射装置22のコストを低減できる。
【0035】
さらに、ガイド体42の下面に拡散フィルム46が固定されており、ガイド体42の下端から放射される光を拡散フィルム46が拡散する。このため、ガイド体42の下端から放射される光の放射範囲を拡大でき、地面が照明される範囲を拡大できる。
【0036】
また、ガイド体42がプロジェクタ30による光の放射範囲Pの外側に配置されている。このため、プロジェクタ30(ケース36の下面)より下側にガイド体42の下端が配置される場合でも、プロジェクタ30から放射された光の進行がガイド体42に制限されることを抑制でき、地面に投射された図柄にガイド体42による影が発生することを抑制できて、地面に投射された図柄の見栄えを向上できる。
【0037】
なお、本実施形態では、ガイド体42の内周面に反射膜44を固定した。しかしながら、ガイド体42の内周面に反射膜44を固定しなくてもよい。
【0038】
さらに、本実施形態では、ガイド体42の下面に拡散フィルム46を固定した。しかしながら、ガイド体42の下面に拡散フィルム46を固定しなくてもよい。
【0039】
[第2実施形態]
図3には、本発明の第2実施形態に係る車両用視認装置としての車両用ドアミラー装置50における照射装置22が車幅方向外側から見た断面図にて示されている。
【0040】
本実施形態に係る車両用ドアミラー装置50は、上記第1実施形態と同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0041】
本実施形態に係る車両用ドアミラー装置50では、照射装置22において、ガイド体42が略円柱状のライトガイドにされている。ガイド体42の上面には、収容部としての円柱状の凹部42Aが同軸上に形成されており、凹部42A内の上端には、照明LED40が同軸上に収容されている。ガイド体42は、透明にされており、ガイド体42は、照明LED40が発光した光を、内部(中実部)において下側に案内して(透過させて)、下端(出射部)から下側にかつ同軸上の円錐状に放射(出射、照射)する。このため、ガイド体42の下端から下側に放射された光が、アウタレンズ24を透過されて、地面に到達することで、地面(乗員の足元)が照明される。
【0042】
ガイド体42の下面には、拡散手段としてのシボ(図示省略)が形成されており、ガイド体42の下面には、シボによって微小な凹凸が形成されている。シボは、ガイド体42の下端から下側に放射される光が透過されることで、当該光を拡散して、当該光の放射角を拡大させる。
【0043】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、ガイド体42の下面にシボを形成した。しかしながら、ガイド体42の下面にシボを形成しなくてもよい。
【0045】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、ガイド体42の下端を光の放射方向(放射軸方向である上下方向)においてプロジェクタ30(ケース36の下面)より下側に配置した。しかしながら、ガイド体42の下端からの光の放射範囲の外側にプロジェクタ30(ケース36)が配置されればよく、例えば、ガイド体42の下端を光の放射方向(放射軸方向である上下方向)においてプロジェクタ30の突出先端位置(ケース36の下面)に配置してもよい。
【0046】
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、プロジェクタ30のケース36とガイド体42とを別体にした。しかしながら、プロジェクタ30のケース36とガイド体42とを一体にしてもよい。
【0047】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、本発明の車両用視認装置を車両用ドアミラー装置10、50にした。しかしながら、本発明の車両用視認装置を他の車両用ミラー装置(車両外部の他の車両用アウタミラー装置(例えば車両用フェンダミラー装置)又は車両内部の車両用インナミラー装置)や車両用カメラ装置(撮像することで乗員の視認を補助するもの)等にしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 車両用ドアミラー装置(車両用視認装置)
14 バイザ(収容体)
20 ミラー(視認手段)
30 プロジェクタ(投射手段)
40 照明LED(放出手段)
42 ガイド体(案内手段)
46 拡散フィルム(拡散手段)
50 車両用ドアミラー装置(車両用視認装置)
P 放射範囲(投射範囲)