特許第6341847号(P6341847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341847
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】パージ装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/05 20160101AFI20180604BHJP
   F02M 26/06 20160101ALI20180604BHJP
   F02M 26/34 20160101ALI20180604BHJP
   F02M 26/52 20160101ALI20180604BHJP
【FI】
   F02M26/05
   F02M26/06 311
   F02M26/34
   F02M26/52
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-249455(P2014-249455)
(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-109089(P2016-109089A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100124752
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 真司
(72)【発明者】
【氏名】角南 一男
(72)【発明者】
【氏名】小林 高史
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−156229(JP,A)
【文献】 特開2012−122337(JP,A)
【文献】 実開昭59−017260(JP,U)
【文献】 実開昭55−114349(JP,U)
【文献】 実開平01−139066(JP,U)
【文献】 特開2014−129812(JP,A)
【文献】 特開平08−177646(JP,A)
【文献】 特開平08−082257(JP,A)
【文献】 特開平07−091327(JP,A)
【文献】 米国特許第5785030(US,A)
【文献】 国際公開第2007/062682(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/05
F02M 26/06
F02M 26/34
F02M 26/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(3)の吸気通路(8)と排気通路(10)とを接続して前記排気通路(10)から前記吸気通路(8)に排気ガスの一部を導くEGR通路(15、18)を備え、前記内燃機関(3)の停止後に、前記EGR通路(15、18)に残留する排気ガスをパージして前記EGR通路(15、18)を空気に置換する車両用のパージ装置(1)において、
少なくとも2つのポートを有し、前記2つのポートの内の一方のポート(30a)を経由して前記EGR通路(15、18)から排気ガスを吸引するとともに他方のポート(30b)から吐出したり、前記他方のポート(30b)から空気を吸引するとともに前記一方のポート(30a)を経由して前記EGR通路(15、18)に注入したりするポンプ(30)と、
前記内燃機関(3)の停止後に前記ポンプ(30)を動作させて前記EGR通路(15、18)の排気ガスをパージするパージモードを有する制御手段(25)と、
前記吸気通路(8)および前記排気通路(10)とは別に設けられる通路であり、前記一方のポート(30a)と前記EGR通路(15、18)とを接続し、前記パージモードの実行により排気ガスまたは空気が流れるパージ通路(31)とを備えるパージ装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のパージ装置(1)において、
前記EGR通路(15、18)の開度調整を行うEGRバルブ(16、19)を備え、
前記制御手段(25)は、前記内燃機関(3)が運転している間、前記EGRバルブ(16、19)が開側に駆動されるか否かを監視し、前記EGRバルブ(16、19)が開側に駆動されたことを確認した場合に前記パージモードを実行することを特徴とするパージ装置(1)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパージ装置において(1)、
前記ポンプ(30)は、前記EGR通路(15、18)から排気ガスをパージする機能とは別の機能を有する別機器(33)の駆動源を兼ねており、
前記制御手段(25)は、前記内燃機関(3)の運転中に前記ポンプ(30)を動作させて前記別機器(33)を駆動する通常モードを有し、
この通常モードの実行によって前記別機器(33)に空気を注入したり、前記別機器(33)から空気を吸引したりすることで、前記別機器(33)が動作することを特徴とするパージ装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載のパージ装置(1)において、
前記他方のポート(30b)と前記別機器(33)とを接続し、前記内燃機関(3)が運転している時に前記別機器(33)の動作に伴って空気が流れる機器動作通路(35)と、
前記パージ通路(31)に設けられ、前記制御手段(25)により制御されて前記一方のポート(30a)と前記EGR通路(15、18)との間の連通および遮断を切り替える第1弁装置(40)と、
前記機器動作通路(35)に設けられ、前記制御手段(25)により制御されて前記他方のポート(30b)と前記別機器(33)との間の連通および遮断を切り替える第2弁装置(45)とを備え、
前記第1弁装置(40)は、
大気に開かれた第1大気開放口(41)を有する第1大気開放路(43)が接続しており、前記一方のポート(30a)、前記EGR通路(15、18)、および、前記第1大気開放口(43)の3つの連通状態を切り替える三方切換弁として設けられ、
前記一方のポート(30a)と前記EGR通路(15、18)との間が連通するとともに、前記一方のポート(30a)および前記EGR通路(15、18)と前記第1大気開放口(41)との間が遮断される開弁状態と、
前記一方のポート(30a)と前記第1大気開放口(41)との間が連通するとともに、前記一方のポート(30a)および前記第1大気開放口(41)と前記EGR通路(15、18)との間が遮断される閉弁状態とを切り換え、
前記第2弁装置(45)は、
大気に開かれた第2大気開放口(46)を有する第2大気開放路(47)が接続しており、前記他方のポート(30b)、前記別機器(33)、および、前記第2大気開放口(46)の3つの連通状態を切り替える三方切換弁として設けられ、
前記他方のポート(30b)と前記別機器(33)との間が連通するとともに、前記他方のポート(30b)および前記別機器(33)と前記第2大気開放口(46)との間が遮断される開弁状態と、
前記他方のポート(30b)と前記第2大気開放口(46)との間が連通するとともに、前記他方のポート(30b)および前記第2大気開放口(46)と前記別機器(33)との間が遮断される閉弁状態とを切り換え、
前記制御手段(25)は、前記パージモードの実行時に前記第1弁装置(40)を開弁させるとともに前記第2弁装置(45)を閉弁させ、前記通常モードの実行時に前記第1弁装置(40)を閉弁させるとともに前記第2弁装置(45)を開弁させることを特徴とするパージ装置(1)。
【請求項5】
請求項3に記載のパージ装置(1)において、
前記パージ通路(31)に設けられ、前記制御手段(25)により制御されて前記一方のポート(30a)と前記EGR通路(15、18)との間の連通および遮断を切り替える弁装置(50)を備え、
前記他方のポート(30b)は大気に開かれており、
前記弁装置(50)は、
前記別機器(33)に接続する機器接続路(52)が接続しており、前記一方のポート(30a)、前記EGR通路(15、18)、および、前記別機器(33)の3つの連通状態を切り替える三方切換弁として設けられ、
前記一方のポート(30a)と前記EGR通路(15、18)との間が連通するとともに、前記一方のポート(30a)および前記EGR通路(15、18)と前記別機器(33)との間が遮断される開弁状態と、
前記一方のポート(30a)と前記別機器(33)との間が連通するとともに、前記一方のポート(30a)および前記別機器(33)と前記EGR通路(15、18)との間が遮断される閉弁状態とを切り換え、
前記制御手段(25)は、前記パージモードの実行時に前記弁装置(50)を開弁させ、前記通常モードの実行時に前記弁装置(51)を閉弁させることを特徴とするパージ装置(1)。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載のパージ装置(1)において、
前記EGR通路(15、18)は、
前記排気通路(10)に設けられたフィルタの排気上流側、もしくは、前記排気通路(10)に設けられた触媒(11)の排気上流側と、前記吸気通路(8)に設けられたスロットルバルブ(12)の吸気下流側とを連通する高圧EGR通路(15)、
または、
前記フィルタの排気下流側、もしくは、前記触媒(11)の排気下流側と、前記スロットルバルブ(12)の吸気上流側とを連通する低圧EGR通路(18)であることを特徴とするパージ装置(1)。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の内のいずれか1つに記載のパージ装置(1)において、
前記ポンプ(30)は、前記制御手段(25)により動作を制御される電動モータ(32)を有し、この電動モータ(32)の動作により気体を吸引したり、吐出したりすることを特徴とするパージ装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載のパージ装置(1)において、
前記電動モータ(32)は、車両に設けられる冷凍サイクルを構成して冷媒を圧縮するコンプレッサ(36)の駆動源、車両を走行させるトルクを発生する走行モータ、または、前記内燃機関(3)を始動するスタータを構成するスタータモータを兼ねることを特徴とするパージ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGR通路をパージする車両用のパージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸排気システムにおいては、NOx低減、燃費向上を図るべく内燃機関の吸気通路と排気通路とを連通して排気ガスの一部であるEGRガスを導くEGR通路を備えるものが知られている。
上記EGR通路を備える内燃機関の吸排気システムにおいては、内燃機関停止後にEGR通路内に停留する排気ガス中の水分が冷えて結露することにより、燃料等に混入する塩素や硫黄等に起因する塩酸や硫酸を含む強酸性の凝縮水が発生する。そして、この発生した強酸性の凝縮水はEGR通路を形成する通路壁やEGR通路に配された部品、例えば、EGRクーラやEGRバルブ、に悪影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
そこで、従来から、内燃機関停止後に、ポンプを用いEGR通路内に空気を送り込むことで、EGR通路から内部の気体を押し出し、EGR通路を空気に置換する車両用のパージ装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、上記車両用のパージ装置においては、ポンプによって空気の送り込まれるパージ通路が吸気通路に接続されているため、一旦吸気通路を経由してEGR通路に空気を送り込まなければならなくなっており、ポンプ負荷が大きくなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−156229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、EGR通路をパージする車両用のパージ装置において、ポンプ負荷を減らすことにある。
【0006】
本願第1発明の車両用のパージ装置は、内燃機関の吸気通路と排気通路とを接続して排気通路から吸気通路に排気ガスの一部を導くEGR通路を備え、内燃機関の停止後に、EGR通路に残留する排気ガスをパージしてEGR通路を空気に置換する。
そして、パージ装置は、以下に詳説するポンプ、制御手段、および、パージ通路を備えている。
【0007】
ポンプは、少なくとも2つのポートを有し、2つのポートの内の一方のポートを経由してEGR通路から排気ガスを吸引するとともに他方のポートから吐出したり、他方のポートから空気を吸引するとともに一方のポートを経由してEGR通路に注入したりする。
制御手段は、内燃機関の停止後にポンプを動作させてEGR通路の排気ガスをパージするパージモードを有する。
パージ通路は、吸気通路および排気通路とは別に設けられる通路であり、一方のポートとEGR通路とを接続し、パージモードの実行により排気ガスまたは空気が流れる。
【0008】
これにより、パージ通路がEGR通路に接続されているため吸気通路を経由せずともEGR通路内に空気を直接吐出、または、EGR通路内の気体を直接吸引することができる。
このため、EGR通路をパージする車両用のパージ装置において、ポンプの負荷を減らすことができる。
【0009】
本願第2発明の車両用のパージ装置は、EGR通路の開度調整を行うEGRバルブを備えている。
そして、制御手段は、内燃機関が運転している間、EGRバルブが開側に駆動されるか否かを監視し、EGRバルブが開側に駆動されたことを確認した場合にパージモードを実行する。
これにより、EGR通路にEGRガスが流れた場合にのみ、制御手段はパージモードを実行することができる。
このため、ポンプの無駄な動作を抑制でき、ポンプの動作を必要最小限とすることができ、ポンプの負荷をさらに減らすことができる。
【0010】
本願第3発明の車両用のパージ装置において、ポンプは、EGR通路から排気ガスをパージする機能とは別の機能を有する別機器の駆動源を兼ねている。
そして、制御手段は、内燃機関の運転中にポンプを動作させて別機器を駆動する通常モードを有し、この通常モードの実行によって別機器に空気を注入したり、別機器から空気を吸引したりすることで、別機器が動作する。
これにより、内燃機関の運転中においてもポンプを別機器の駆動源とすることができる。
このため、別機器を駆動させる駆動源を別途備える必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】過給機を有する内燃機関吸排気システムの概略図である(実施例1)。
図2】パージモードに至るプロセスについてのフローチャート(実施例1)。
図3】過給機を有する内燃機関吸排気システムの概略図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
〔実施例1〕
実施例1のパージ装置1を含む内燃機関吸排気システム2を、図1を用いて説明する。
内燃機関吸排気システム2は、内燃機関3に吸入される吸入空気を過給機4により内燃機関3に過給する吸排気システムとなっており、高圧EGR装置5と低圧EGR装置6とが設けられている。
なお、この実施例に示す内燃機関3は、車両駆動用のガソリンエンジンであり、吸気を吸気口7から取り込み気筒に導く吸気通路8と、気筒内で発生した排気ガスを排気口9から大気に排出する排気通路10とを備える。
【0014】
高圧EGR装置5は、触媒11の排気上流側で高い排気圧の発生する範囲の排気通路10の内部とスロットルバルブ12の吸気下流側で、高い吸気負圧の発生する範囲の吸気通路10の内部を接続して、多量のEGRガスを内燃機関3へ戻すことを得意とする排気ガス再循環装置である。
高圧EGR装置5は、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路8に戻す高圧EGR通路15を備えている。
図1に示す高圧EGR装置5において、高圧EGR通路15は、排気通路側がエキゾーストマニホールドに接続され、吸気通路側がインテークマニホールドに接続されている。
【0015】
また、高圧EGR装置5には、高圧EGR通路15の途中に、高圧EGR通路15の開度を調整することでEGRガスの流量調整を行う高圧EGRバルブ16と、吸気通路8に戻されるEGRガスの冷却を行う高圧EGRクーラ17とが設けられている。
【0016】
低圧EGR装置6は、触媒11の排気下流側で低い排気圧が発生する範囲の排気通路10の内部と、スロットルバルブ12の吸気上流側で低い吸気負圧の発生する範囲の吸気通路8の内部とを接続して、少量のEGRガスを内燃機関3に戻すことを得意とする排気ガス再循環装置である。そして、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路8に戻す低圧EGR通路18を備えている。
【0017】
より具体的には、低圧EGR通路18は、過給器4のタービン4aおよび触媒11を通過した排気ガスの一部を過給器4のコンプレッサ4bに導くように排気通路側が触媒11より排気下流側の排気通路10に接続され、吸気通路側が過給器4のコンプレッサ4bより吸気上流側の吸気通路8に接続されている。
【0018】
低圧EGR装置6には、低圧EGR通路18の途中に、低圧EGR通路18の開度を調整することでEGRガスの流量調整を行う低圧EGRバルブ19と、吸気通路8に戻されるEGRガスの冷却を行う低圧EGRクーラ21とが設けられている。
【0019】
スロットルバルブ12、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19は、それぞれシャフトの軸を回動中心とするバタフライ弁であり、それぞれ制御手段であるECU25からの制御信号によって回動駆動され開度が調整されている。
そして、ECU25は、スロットルバルブ12、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19の開度をそれぞれに設けられた回転角センサ等の値を所定の時間間隔で取得し記憶することによって、それぞれのバルブの開度を監視している。
【0020】
本願発明のパージ装置1について図1を用いて説明する。
パージ装置1は、高圧EGR通路15および低圧EGR通路18(以下、EGR通路15、18と呼ぶことがある。)とを備え、内燃機関3停止後に、EGR通路15、18に残留する排気ガスをパージしてEGR通路15、18を空気に置換するものである。
そして、パージ装置1は、以下に詳説するポンプ30、制御手段であるECU25、および、パージ通路31を備えている。
【0021】
ポンプ30は、2つのポートを有し、2つのポートの内の一方のポート30aを経由してEGR通路15、18から排気ガスを吸引するとともに他方のポート30bから吐出したり、他方のポート30bから空気を吸引するとともに一方のポート30aを経由してEGR通路15、18に注入したりする。
ECU25は、内燃機関3の停止後にポンプ30を動作させてEGR通路15、18の排気ガスをパージするパージモードを有している。
なお、ポンプ30は、ECU25により動作の制御される電動モータ32を有しており、この電動モータ32の動作によりポート30a、30bから気体を吸引したり吐出したりすることができる。
【0022】
また、ポンプ30は、EGR通路15、18から排気ガスをパージする機能とは別の機能を有する別機器であるブレーキブースタ33を駆動する負圧(大気圧より低い圧力)を供給している。
このブレーキブースタ33は、他方のポート30bと機器動作通路35によって接続され、内燃機関3の運転中にポンプ30により駆動され動作している。
【0023】
なお、ECU25は、内燃機関3の運転中に電動モータ32の動作を制御することでポンプ30の動作を制御し、ブレーキブースタ33を駆動する通常モードを有している。
すなわち、ECU25は、内燃機関3の運転中における通常モードの実行により、電動モータ32の動作を制御することでブレーキブースタ33から機器動作通路35を介して空気を吸引する(負圧を供給させる)ことで、ブレーキブースタ33を動作させている。
なお、この電動モータ32は、車両に設けられる冷凍サイクルを構成して冷媒を圧縮するコンプレッサ36の駆動源を兼ねている。
【0024】
パージ通路31は、吸気通路8および排気通路10とは別に設けられる通路であり、一方のポート30aとEGR通路15、18とを接続し、パージモードの実行により排気ガスまたは空気が流れる。
なお、一方のポート30aは、パージ通路31を途中で2つに分岐させることで、高圧EGR通路15および低圧EGR通路18のそれぞれに接続している。
【0025】
パージ通路31には、ECU25により制御され、一方のポート30aとEGR通路15、18との間の連通および遮断を切り替える第1弁装置40が設けられる。
この第1弁装置40は、大気に開かれた第1大気開放口41を有する第1大気開放路43が接続しており、一方のポート30a、EGR通路15、18、および、大気開放口41の3つの連通状態を切り替える三方切換弁となっている。
【0026】
そして、第1弁装置40は、一方のポート30aとEGR通路15、18との間が連通するとともに、一方のポート30aおよびEGR通路15、18と第1大気開放口41との間が遮断される開弁状態と、一方のポート30aと第1大気開放口41との間が連通するとともに、一方のポート30aおよび第1大気開放口41とEGR通路15、18との間が遮断される閉弁状態とを切り換えることができる。
【0027】
機器動作通路35には、ECU25により制御され、他方のポート30bとブレーキブースタ33との間の連通および遮断を切り替える第2弁装置45が設けられる。
この第2弁装置45は、大気に開かれた第2大気開放口46を有する第2大気開放路47が接続しており、他方のポート30b、ブレーキブースタ33、および、第2大気開放口46の3つの連通状態を切り替える三方切換弁となっている。
【0028】
そして、第2弁装置45は、他方のポート30bとブレーキブースタ33との間が連通するとともに、他方のポート30bおよびブレーキブースタ33と第2大気開放口46との間が遮断される開弁状態と、他方のポート30bと第2大気開放口46との間が連通するとともに、他方のポート30bおよび第2大気開放口46とブレーキブースタ33との間が遮断される閉弁状態とを切り換えることができる。
【0029】
そして、ECU25は、パージモード実行時には、第1弁装置40を開弁させるとともに第2弁装置45を閉弁させる。
一方、通常モード実行時には、第1弁装置40を閉弁させるとともに第2弁装置45を開弁させる。
【0030】
ここで、パージモード実行に至るプロセスについて、図2のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、S100において、内燃機関3の停止条件を満たすか否かの判定が行われる。
内燃機関3の停止条件を満たす場合には、S110に移行する。
内燃機関3の停止条件を満たさない場合には、処理を終了する。
ここで、内燃機関の3の停止条件を満たす場合には、イグニッションスイッチをオフする場合だけではなく、車両が、いわゆるアイドルストップ状態に移行した場合や、車両が走行モータのみで走行する、いわゆるEV走行モードに移行した状態を含めるものとする。
【0031】
S110において、ECU25に記憶される高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19の開閉履歴から内燃機関が運転している間に、高圧EGRバルブ16または低圧EGRバルブ19が開側に駆動されたか否かが判定される。
内燃機関が運転している間に、高圧EGRバルブ16または低圧EGRバルブ19が開側に駆動された場合には、S120に移行する。
内燃機関が運転している間に、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19が開側に駆動されていない場合には、処理を終了する。
そして、S120においてパージモードを実行し、処理を終了する。
なお、本実施例においては、高圧EGRバルブ16または低圧EGRバルブ19のいずれか一方のみが開側に駆動された場合にもECU25はパージモードを実行している。
【0032】
ここで、パージモードの具体例について図1を用いて説明する。
先ず、ECU25は、第1弁装置40を開弁し、第2弁装置45を閉弁する。
次いで、スロットルバルブ12を閉じ、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19を開く。
そして、ポンプ30を動作させ、第2大気開放路47の第2大気開放口46から空気を吸入し、一方のポート30aから吐出させ、パージ通路31を通じて空気をEGR通路15、18内に送り込むことでEGR通路15、18内の気体を吸気口7および排気口9から大気に排出する。
【0033】
そして、ECU25は、所定期間ポンプ30を動作させた後、ポンプ30を停止することでEGR通路15、18内の気体は空気に置換される。
そして、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19を閉じるとともに、第1弁装置40を閉弁し、パージモードを終了する。
【0034】
なお、内燃機関3の運転中に行われる通常モードにおいては、第1弁装置40を閉弁し、第2弁装置45を開弁し、ポンプ30を動作させることで、ブレーキブースタ33内部の気体が第2ポート30bから吸引され第1ポート30aから吐出され、第1大気開放路43を通じて大気に排出される。
【0035】
〔実施例1の効果〕
実施例1のパージ装置1において、ECU25は、内燃機関3の停止後にポンプ30を動作させてEGR通路15、18の排気ガスをパージするパージモードを有する。
パージ通路31は、吸気通路8および排気通路10とは別に設けられる通路であり、一方のポート30aとEGR通路15、18とを接続し、パージモードの実行により排気ガスまたは空気が流れる。
【0036】
これにより、パージ通路31がEGR通路15、18に接続されているため吸気通路8を経由せずともEGR通路15、18内に空気を直接吐出、または、EGR通路15、18内の気体を直接吸引することができる。
このため、EGR通路15、18をパージする車両用のパージ装置1において、ポンプ30の負荷を減らすことができる。
【0037】
実施例1のパージ装置1は、EGR通路15、18の開度調整を行う高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19を備えている。
そして、ECU25は、内燃機関3が運転している間、高圧EGRバルブ16または低圧EGRバルブ19が開側に駆動されるか否かを監視し、高圧EGRバルブ16または低圧EGRバルブ19が開側に駆動されたことを確認した場合にパージモードを実行する。
これにより、高圧EGR通路15または低圧EGR通路18にEGRガスが流れた場合にのみ、ECU25は、パージモードを実行することができる。
このため、ポンプ30の無駄な動作を抑制でき、ポンプ30の動作を必要最小限とすることができ、ポンプ30の負荷をさらに減らすことができる。
【0038】
実施例1のパージ装置1において、ポンプ30は、EGR通路15、18から排気ガスをパージする機能とは別の機能を有するブレーキブースタ33の駆動源を兼ねている。
そして、ECU25は、内燃機関3の運転中にポンプ30を動作させてブレーキブースタ33を駆動する通常モードを有し、この通常モードの実行によってブレーキブースタ33から空気を吸引することで、ブレーキブースタ33が動作する。
これにより、内燃機関3の運転中においてもポンプ30をブレーキブースタ33の駆動源とすることができる。
このため、ブレーキブースタ33を駆動させる駆動源を別途備える必要がなくなる。
【0039】
実施例1のパージ装置1において、パージ通路31は、一方のポート30aと、排気通路10に設けられた触媒11の排気上流側と吸気通路8に設けられたスロットルバルブ12の吸気下流側とを連通する高圧EGR通路15とを接続している。
そして、パージ通路31は、一方のポート30aと、触媒11の排気下流側とスロットルバルブ12の吸気上流側とを連通する低圧EGR通路18とを接続している。
これにより、いわゆる高圧EGR通路15、または、いわゆる低圧EGR通路18に対して本発明を適用することができる。
【0040】
実施例1のパージ装置1において、ポンプ30は、ECU25により動作を制御される電動モータ32を有し、この電動モータ32の動作により気体を吸引したり、吐出したりする。
これにより、ポンプ30は電動モータ32によって動作するため、内燃機関3停止時においても動作することができる。
【0041】
実施例1のパージ装置1において、電動モータ32は、車両に設けられる冷凍サイクルを構成して冷媒を圧縮するコンプレッサ36の駆動源を兼ねている。
これにより、コンプレッサ36の駆動源の電動モータ32をポンプ30の駆動源とすることができる。
【0042】
〔実施例2〕
実施例2のパージ装置1を図3に示す。なお、実施例1と同一機能物には同一符号を付して示している。
また、実施例2においても、別機器としてブレーキブースタ33を用いており、電動モータ32は、車両に設けられる冷凍サイクルを構成して冷媒を圧縮するコンプレッサ36の駆動源ともなっている。
なお、実施例2においても、ECU25は、内燃機関3が運転している間、高圧EGRバルブ16または低圧EGRバルブ19が開側に駆動されるか否かを監視し、高圧EGRバルブ16または低圧EGRバルブ19が開側に駆動されたことを確認した場合にパージモードを実行している。
【0043】
本実施例におけるパージ装置1のパージ通路31には、ECU25により制御されて一方のポート30aとEGR通路15、18との間の連通および遮断を切り替える弁装置50が設けられている。
他方のポート30bは大気に開かれている。
この弁装置50は、ブレーキブースタ33に接続する機器接続路52が接続しており、一方のポート30a、EGR通路15、18および、ブレーキブースタ33の3つの連通状態を切り替える三方切換弁となっている。
【0044】
そして、弁装置50は、一方のポート30aとEGR通路15、18との間が連通するとともに、一方のポート30aおよびEGR通路15、18とブレーキブースタ33との間が遮断される開弁状態と、一方のポート30aとブレーキブースタ33との間が連通するとともに、一方のポート30aおよびブレーキブースタ33とEGR通路15、18との間が遮断される閉弁状態とを切り換えることができる。
そして、ECU25は、パージモードの実行時に弁装置50を開弁させ、通常モードの実行時に弁装置50を閉弁させる。
【0045】
ここで、パージモードの具体例について図3を用いて説明する。
先ず、ECU25は、弁装置50を開弁する。
次いで、スロットルバルブ12を閉じ、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19を開く。
そして、ポンプ30を動作させ、他方のポート30bから空気を吸入し、一方のポート30aから吐出させ、パージ通路31を通じて空気をEGR通路15、18内に送り込むことでEGR通路15、18内の気体を吸気口7および排気口9から大気に排出する。
【0046】
そして、ECU25は、所定期間ポンプ30を動作させた後、ポンプ30を停止することでEGR通路15、18内の気体は空気に置換される。
そして、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19を閉じるとともに、弁装置50を閉弁し、パージモードを終了する。
【0047】
なお、内燃機関3の運転中に行われる通常モードにおいては、弁装置50を閉弁し、ポンプ30を動作させることで、ブレーキブースタ33内部の気体が一方のポート30aから吸引され、他方のポート30bから吐出され大気に排出される。
【0048】
〔実施例2の効果〕
実施例2の構成によっても、実施例1と同様にEGR通路15、18の内部を空気に置換することができる。
なお、この場合、弁装置50を1つとしても、実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0049】
[変形例]
本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
実施例1、2においては、パージモードにおいて、スロットルバルブ12は、ECU25によって閉じられるように制御されていたが、スロットルバルブ12を開くように制御してもよい。この場合、パージ通路31を通じて空気がEGR通路15、18に注入された際に、吸気口7から触媒11を通過していない排気ガスが放出される可能性があるため吸気口7において処理を行った後に大気に排出する。
【0050】
実施例1、2においては、内燃機関3の運転中に行われる通常モードにおいてポンプ30は負圧を供給し、別機器であるブレーキブースタ33を駆動するものであったが、別機器を正圧(大気圧より高い圧力)により駆動されるもの、例えばエアオペレーションバルブとして、ポンプ30の正圧供給により駆動させてもよい。
なお、ポンプ30が、例えば回転羽根式ポンプである場合、回転羽根の駆動方向を切り替えることで容易に正圧、負圧供給を切り替えることができる。
【0051】
実施例1においては、パージ装置1は、他方のポート30bから空気を吸引するとともに一方のポート30aを経由してEGR通路15、18に注入していたが、一方のポート30aを経由して、EGR通路15、18から排気ガスを吸引するとともに他方のポート30bから吐出する構成としてもよい。
【0052】
具体的には、パージ装置1は、パージモードにおいて、ECU25によって第1弁装置40を開弁し、第2弁装置45を閉弁する。
そして、スロットルバルブ12、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19を開く。
そして、ポンプ30を動作させ、一方のポート30aからパージ通路31を通じてEGR通路15、18内の気体を吸入することで、EGR通路15、18内に吸気口7および排気口9を通じて空気が入り込むとともに、EGR通路15、18内の気体が他方のポート30bから吐出され、第2大気開放路47の第2大気開放口46から大気に排出される。
【0053】
そして、ECU25は、所定期間ポンプ30を動作させた後、ポンプ30を停止することでEGR通路15、18内の気体は空気に置換される。
この場合、第2大気開放口46から触媒11を通過していない排気ガスが放出される可能性があるため、第2大気開放口46において処理を行った後に大気に排出する。
なお、この場合、内燃機関3の運転中に行われる通常モードにおいては、別機器はポンプ30により負圧が供給され駆動されるものであっても正圧が供給され駆動されるものであってもよい。
【0054】
実施例2においては、パージ装置1は、他方のポート30bから空気を吸引するとともに一方のポート30aを経由してEGR通路15、18に注入していたが、一方のポート30aを経由して、EGR通路15、18から排気ガスを吸引するとともに他方のポート30bから吐出する構成としてもよい。
【0055】
具体的には、パージ装置1は、パージモードにおいて、ECU25によって弁装置50を開弁する。
そして、スロットルバルブ12、高圧EGRバルブ16および低圧EGRバルブ19を開く。
そして、ポンプ30を動作させ、一方のポート30aからパージ通路31を通じてEGR通路15、18内の気体を吸入することで、EGR通路15、18内に吸気口7および排気口9を通じて空気が入り込むとともに、EGR通路15、18内の気体が他方のポート30bから吐出され大気に排出される。
【0056】
そして、ECU25は、所定期間ポンプ30を動作させた後、ポンプ30を停止することでEGR通路15、18内の気体は空気に置換される。
この場合、他方のポート30bから触媒11を通過していない排気ガスが放出される可能性があるため他方のポート30bにおいて処理を行った後に大気に排出する。
なお、この場合、内燃機関3の運転中に行われる通常モードにおいては、別機器はポンプ30により負圧が供給され駆動されるものであっても正圧が供給され駆動されるものであってもよい。
【0057】
実施例1、2においては、電動モータ32は、車両に設けられる冷凍サイクルを構成して冷媒を圧縮するコンプレッサ36の駆動源を兼ねていたが、電動モータ32は、車両を走行させるトルクを発生する走行モータ、または、内燃機関3を始動するスタータを構成するスタータモータを兼ねていてもよい。
【0058】
実施例1、2においては、パージモードにおいて高圧EGR通路15および低圧EGR通路18双方のパージが行われていたが、パージモードにおいて高圧EGR通路15または低圧EGR通路18のいずれか一方のみパージを行ってもよい。
また、低圧EGR通路18の方が低温の排気ガスが流れ、より強酸性の凝縮水が発生しやすいため、低圧EGR通路18の方を優先的にパージする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 パージ装置 3 内燃機関 8 吸気通路 10 排気通路
15 高圧EGR通路(EGR通路) 18 低圧EGR通路(EGR通路)
25 ECU(制御手段) 30 ポンプ 30a 一方のポート
30b 他方のポート 31 パージ通路
図1
図2
図3