(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記作業灯は、前記周壁部分のうち、後方上方側箇所の周壁部分に位置し、かつ照射光の光軸が前記凹部底面部分に沿う前方下方向き姿勢で設けられている請求項1又は2記載の作業車。
前記凹部の凹入方向における前記周壁部分の深さは、前記作業灯を備えた側の周壁部分が、その周壁部分と前記凹部の口径方向で相対向する側の周壁部分よりも深くなるように形成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に示す従来の構造では、エンジンボンネットの前方側の下端部近くに作業灯の取付部を設けて、作業灯をエンジンボンネットに装備させた取付部材に連結している。
このように構成すると、作業灯をエンジンボンネットの前端近くで地面に近く位置させることができる点で有用である。しかしながら、この構造では、作業灯の一部が低い位置で自走機体の前部もしくは横側方へはみ出た状態となるため、作物や雑草などの接触による早期の汚れや損傷を招く虞がある点で改善の余地がある。
【0005】
上記[2]に示す従来の構造では、エンジンボンネット前方側の側面グリルの上側に、側面グリルとエンジンボンネットとで囲まれた開口を形成している。そして、その開口に作業灯を嵌め込んで、エンジンボンネット、あるいは機体フレームから立設された支持体などに装備させた取付部材によって作業灯を支持している。
このように、側面グリルに隣接した状態で作業灯を配置することによって、作業灯が作物や雑草などと接触する度合いを低減し易い点で有用なものであるが、作業灯の取付構造が複雑化し易い点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、ボンネット前部に作業灯を取り付けるにあたり、作業灯が作物や雑草などと接触する度合いを低減しながら、その取付構造も簡素化し易くしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明における作業車の技術手段は、機体前部に配備されたエンジンボンネットと、前記エンジンボンネットの前部に配備された前照灯と、前記エンジンボンネットの横側面箇所に、その横側面から前記エンジンボンネットの内方側に向けて凹入する凹部とを備え、前記凹部は、前記横側面よりも前記エンジンボンネットの内方側に位置する凹部底面部分と、その凹部底面部分の周縁と前記横側面に形成された凹部入口開口の周縁とに連なる周壁部分とを備え、前記周壁部分に前方下方を照射する作業灯が配備されているということである。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1にかかる本発明の構成によると、エンジンボンネットの内方側に向けて凹入する凹部を、エンジンボンネットの横側面箇所に形成し、その凹部の周壁部分に前方下方を照射する作業灯を配備したので、作業灯が自走機体の前方側や横側外方へ突出することを回避し易い。
しかも、凹部を形成する際に必然的に生じる周壁部分を作業灯の取付箇所として利用するので、作業灯をエンジンボンネットの内方側へ入り込ませて取り付けるための取付構造を簡素化しやすい。
これによって、作業灯が作物や雑草等と接触する可能性を低減しながら、簡単な構造で配備し易いという利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業灯は、前記横側面よりも横外方側へ突出しない姿勢で前方下方向きに取り付けられているということである。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2によれば、作業灯がエンジンボンネットの横側面よりも横外方側へ突出しない姿勢で前方下方向き取り付けられるので、その作業灯がエンジンボンネットの横側面よりも横外方側へ突出した状態で取り付けられる場合に比べて、エンジンボンネットの左右方向での幅寸法をコンパクトに構成し得るとともに、他物との接触を回避し易い点でも有利である。
【0011】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業灯は、前記周壁部分のうち、後方上方側箇所の周壁部分に位置し、かつ照射光の光軸が前記凹部底面部分に沿う前方下方向き姿勢で設けられているということである。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3によれば、凹部のうちの、後方上方側箇所の周壁部分に作業灯が位置し、その作業灯の照射光の光軸が通気板部分に沿って前方下方に向けられている。
したがって、横側面から凹入する凹部の後方上方側箇所の周壁部分に設置した作業灯の前方下方側に、照射光を遮らない凹部底面部分を広範囲にわたって位置させることができ、横側面から凹入する凹部に設置した作業灯の照射光を無理なく前方下方へ向けることができる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記凹部の凹入方向における前記周壁部分の深さは、前記作業灯を備えた側の周壁部分が、その周壁部分と前記凹部の口径方向で相対向する側の周壁部分よりも深くなるように形成されているということである。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4によれば、作業灯を備えた側の周壁部分が、凹部の口径方向で相対向する側の周壁部分よりも深くなるように形成されているので、作業灯が横側面から横外方へ突出しないように取り付け易くなり、適切な取り付け状態に設置し易いという利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記凹部底面部分が、多数の通気孔が形成された通気用のグリルによって構成されているということである。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5によれば、作業灯は凹部のうち、通気孔が形成された通気用グリル部分ではなく、周壁部分に装備されている。
したがって、エンジンボンネットの前部における凹部で、通気可能な範囲である通気用グリル部分の通気面積を狭めることなく作業灯を配備し得る利点がある。
【0017】
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記通気用のグリルが前記横側面部分とは別体の通気板部材で構成され、前記作業灯には、その作業灯の支持部材と、前記通気板部材との夫々に対して、各別に着脱可能な連結部が形成されているということである。
【0018】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6によれば、作業灯がエンジンボンネットに対する通気板部材の連結手段としての役割も果たし、通気板部材をエンジンボンネットや作業灯との位置関係を適切に維持した状態で装着し易いという利点もある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
尚、以下の実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。つまり、機体の作業走行時における前進側の進行方向(
図2における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(
図2における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(
図2における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(
図2における矢印L参照)が「左」である。
【0021】
〔全体構成〕
図1は、本発明における作業車の一例であるトラクタの全体側面を示している。
このトラクタは、機体フレーム10の前部に左右一対の前車輪11を駆動及び操向操作自在に備え、後部に左右一対の後車輪12を駆動自在に備えて、走行自在に構成された自走機体1に、図外の作業装置を連結するための連結装置2を備えたものである。
機体フレーム10は、エンジンEを取り付け可能なエンジン搭載フレーム10Aと、エンジンEの後部側に一体連結されたクラッチハウジングCと、後部側のミッションケースMと、前記クラッチハウジングCとミッションケースMとを連結する伝動ケース10Bと、を一体的に連結したモノコック構造で構成されている。
【0022】
この機体フレーム10に対して、前部側にエンジンEを装備した原動部3が設置されている。そして、原動部3よりも後部側の機体フレーム10上に、ステアリングハンドル13及び運転座席14を有した運転部が装備されている。
運転部の後端部では、運転座席14の後側近くに配置された状態でロプスフレーム17が機体フレーム10に連結固定されている。また、前記機体フレーム10の後部を構成するミッションケースMの後部側には、ロータリ耕耘装置などの各種の作業装置(図示せず)を連結して昇降操作可能な前記連結装置2が装備されている。
【0023】
連結装置2は、ミッションケースMの後端側の下部に横軸心x1回りで上下揺動可能に連結された左右一対のロワーリンク20と、そのロワーリンク20を、前記横軸心x1回りで揺動させて作業装置を昇降操作するように吊り持ちする左右一対のリフトアーム21とを備えている。リフトアーム21は、ミッションケースMの上部に配設された単動型の油圧シリンダ22によって横軸心x2回りで左右同時に上下揺動可能に構成されている。
このように構成された連結装置2は、連結した作業装置の対機体高さを変更あるいは調節可能な昇降リンク機構として用いられるものである。
【0024】
ミッションケースMの後端側からは、前記エンジンEの駆動力を作業装置等に伝達するためのリヤPTO軸23が、後方側へ向けて突出するように配設されている。
リヤPTO軸23には、前述したロータリ耕耘装置などの、機体後方側に連結される各種作業装置へ動力が伝達され、ミッドPTO軸24には、前車輪11側へ動力を伝達するための前輪駆動軸25など、ミッションケースMよりも前方側に装備される各種装置に対して動力が伝達される。
【0025】
〔エンジンボンネット〕
原動部3には、水冷式のエンジンEを内装するエンジンボンネット30が設けられている。
エンジンボンネット30の内部空間であるエンジンルームには、前記エンジンEの他、図示はしないがラジエータ、エアクリーナ、作動油冷却用のオイルクーラ、バッテリ、などの各種エンジン関連機器が収容されている。
エンジンボンネット30の後部側には、前記各種エンジン関連機器が収容されるエンジンルームの外側に位置させて、ステアリングハンドル13を装備した操縦部パネル15が、運転座席14との間に運転部ステップ16を介在させた状態で連設されている。
【0026】
エンジンボンネット30は、エンジン搭載フレーム10Aの横側部に固定された左右一対の側部カバー31と、エンジン搭載フレーム10Aの前部に固定された前部カバー32とを備えている。前部カバー32には、エンジンルームの前側に相当する箇所で、通気可能な前面グリル32A及び前照灯34が設けられている。
また、前記側部カバー31及び前部カバー32の上縁側は、天井カバー33に連なり、これらの側部カバー31、前部カバー32、及び天井カバー33によって、エンジンE、及び各種エンジン関連機器が収容されるエンジンルームを構成するエンジンボンネット30が構成されている。
【0027】
前記側部カバー31は、エンジンルームの左右両側に位置する下部カバー31Dと、その下部カバー31Dの上縁側に下端縁側が重なる状態で設けられた上部カバー31Uとの対で構成されている。したがって、この下部カバー31Dと上部カバー31Uとで一連の面を形成するように設けられた側部カバー31の横外側面31aが、エンジンボンネット30の横側面を構成することになる。
そして、側部カバー31のうち、下部カバー31Dはその下端側がエンジン搭載フレーム10Aと、後述する後フレーム35とに固定されている。
側部カバー31のうち、上部カバー31Uは、前述したように前部カバー32、及び天井カバー33と一体に構成されて、
図1に仮想線で示すように、後部側の横軸心x3回りで前端側を上下揺動可能に構成されている。したがって、エンジンボンネット30のうち、上部カバー31U、前部カバー32、及び天井カバー33が一体に構成された部分が、前記下部カバー31Dとは別に、前記横軸心x3回りで揺動可能に構成されている。
【0028】
下部カバー31Dは、上部カバー31Uよりも前後方向長さの短いもので構成され、エンジンルーム内で後方寄りに配設されているエンジンEの横側方に対向して後部側寄りに位置している。上部カバー31Uは、下部カバー31Dよりも前後方向長さの長いもので構成され、下部カバー31Dの前端よりもさらに前方側に延出されている。この上部カバー31Uは下部カバー31Dとは別部材で構成されている。
そして、上部カバー31Uのうち、下部カバー31Dの前端と、前部カバー32の後端との間に位置する部位に、上下方向に幅広の通気用開口部4(凹部に相当する)が形成されている。
【0029】
エンジンボンネット30の後端部には、左右の下端側がエンジン搭載フレーム10Aに固定された状態でアーチ状の後部フレーム35が立設されている。この後部フレーム35の上部に、前記天井カバー33の後部側が前記横軸心x3回りで揺動可能であるように枢支連結されている。
また、エンジンボンネット30の前部内面側には、後部フレーム35よりも低いアーチ形の前部フレーム36(
図1、
図7参照)が、上部カバー31U、及び天井カバー33と一体に設けられている。
この前部フレーム36は、アーチ形の形状によってエンジンボンネット30を内面側から支えていると共に、下端側がエンジン搭載フレーム10Aに載置支持され、エンジンボンネット30の重量をエンジン搭載フレーム10Aで支持するように構成されている。
【0030】
〔通気用開口部〕
側部カバー31に形成される凹部としての通気用開口部4は、次のように構成されている。
図4乃至
図6に示されるように、側部カバー31のうち、上部カバー31Uの横外側面31a(横側面に相当する)の一部が、エンジンボンネット30の内方側に向けて凹入した状態に形成され、その凹入した部分によって通気用開口部4が構成されている。
つまり、
図4乃至
図6に示すように、板金製の上部カバー31Uの一部が、プレス及び打ち抜き加工により横外側からエンジンボンネット30の内方側へ向けて凹入形成されている。これによって、上部カバー31Uの横外側面31aと面一な箇所では、通気用開口部4には、エンジンボンネット30の横外方に向く側が開放された状態の凹部入口開口40が形成された状態となる。同時に、通気用開口部4のうち、凹部入口開口40よりもエンジンボンネット30の内方側へ向けて凹入形成された最奥箇所には凹部底面部分41が形成される。
【0031】
通気用開口部4は、凹部底面部分41の周縁とその凹部底面部分41よりも横外方側の凹部入口開口40の周縁とにわたるように設けられた周壁部分42を備えている。
また、凹部底面部分41には、その凹部底面部分41を貫通して、エンジンボンネット30の内部空間を外部に連通させる連通開口41Aが設けられている。この連通開口41Aは、凹部底面部分41の周縁に沿って細幅の周部接続片41Bが残るように、凹部底面部分41の全体よりは小面積の開口で形成されている。
そして、凹部底面部分41と同一形状で同一寸法の通気板部材43が、前記周部接続片41Bの外側に重ねられ、周部接続片41Bに対して装着されることにより、この通気板部材43と、連通開口41A及び周部接続片41Bによって、凹部底面部分41が構成されている。
通気板部材43は、エンジンボンネット30の内外方向での通気が可能であるように、多数の通気孔43aを備えた合成樹脂製の成型品からなるグリルで構成されている。
【0032】
通気板部材43は、
図4乃至
図6に示されているように、全体としては概ね扁平板状であるが、厳密には、通気用開口部4の中央付近に相当する箇所が周辺近くよりも少し横外側に膨出した球面状に湾曲形成されている。これによって完全に扁平な板状体で構成した場合に比べ、板面に交差する方向での剛性を増している。
また、通気板部材43のエンジンルーム内方側に向く内向き面43Aには、格子状のリブ43bが一体に形成され、このリブ43bによっても通気板部材43の剛性が、さらに増大されている。
【0033】
通気板部材43の内向き面43Aには、
図5に示すように、その外周辺近くの6箇所に止めピン43cが一体形成されている。この止めピン43cは、
図4乃至
図6に示すように、通気用開口部4の凹部底面部分41の周辺に形成されている周部接続片41Bの連結孔41Baに対して挿抜可能に設けてある。この連結孔41Baに止めピン43cを挿入した状態で、エンジンルーム側に突出した止めピン43cに止め金具43dを装着することで、通気板部材43を上部カバー31Uの通気用開口部4の内奥側に位置固定するように構成してある。
【0034】
また、通気板部材43の内向き面43A部分には、その上部後方側に相当する2箇所に、ボルト装着部44が一体形成されている。このボルト装着部44は、筒状部分の内部に雌ネジ部分(図示せず)を備えたものであり、後述する作業灯5の前方取付腕51(連結部に相当する)に対して、連結ボルト45を介して連結可能であるように、連結ボルト45を螺合可能な前記雌ネジ部分を備えたものである。
【0035】
通気板部材43には、その後方上方側に相当する箇所に、後述する作業灯5の位置決め用段部50aに対して嵌め込み可能な作業灯挿入部46が一体形成されている。
この作業灯挿入部46は通気板部材43の外向き面43Bよりもさらに横外側に向けて屈曲形成され、通気板部材43の外向き面43Bに対して交差するように起立した姿勢で作業灯5を装着可能に構成されている。
【0036】
前記周壁部分42のうち、通気用開口部4の後方上方側箇所に相当部分が、凹部底面部分41に形成されている連通開口41Aと連なる状態で部分的に切除されている。この部分的に切除された箇所は、作業灯5を嵌め込み装着するための嵌め込み凹部42Aを構成している。この嵌め込み凹部42Aが形成された箇所の周壁部分42は、その箇所の周壁部分42における通気用開口部4の凹入方向での深さが、凹部入口開口40の口径方向で対向する側に存在する箇所の周壁部分42よりも深く形成されている。
【0037】
〔作業灯〕
作業灯挿入部46に対して装着される作業灯5は次のように構成されている。
作業灯5は、エンジンボンネット30の前部に設けられる前照灯34とは別に設けられる。この作業灯5は、自走機体1の前部で、特に、前車輪11の直前位置付近を照射して、自走機体1の前車輪11の直前位置を目視し易くするように前方下方を照射するためのものであり、LEDランプによって構成されている。
【0038】
作業灯5には、
図6及び
図8に示すように、照明本体50の前面側の外周近くの全周に段部50aが形成されている。この段部50aは、前記周壁部分42の嵌め込み凹部42A、及び前記通気板部材43の作業灯挿入部46に対して、エンジンボンネット30の内方側から段部50aの前方側を差し込み嵌入可能であるように形成されている。
このとき、周壁部分42の嵌め込み凹部42A周辺の上部カバー31Uは、
図6に示すように、照明本体50の前面側部分と、通気板部材43の作業灯挿入部46との間に挟み込まれた状態に位置している。
【0039】
作業灯5の照明本体50は、前方下方側へ延出された2本の前方取付腕51と、後方上方側へ延出された1本の後方取付腕52(連結部に相当する)とを備えている。
前方取付腕51は、通気板部材43の上部後方側の2箇所に備えた止めボルト装着部43eに対して、連結ボルト45を介して連結固定される。
後方取付腕52は、エンジンボンネット30の内面側に設けられた前部フレーム36の途中位置に対して、取付ステー37を介して連結固定されている。つまり、前部フレーム36と取付ステー37とが作業灯5の支持部材として用いられているものであり、この支持部材に対して作業灯5の上部側が連結され、同時に作業灯5と連結される通気板部材43の上部をも支持されている。
【0040】
このように取り付けられた作業灯5は、その光軸L0が
図1乃至
図3に示すように、前方下方に向くように設けられている。
つまり、側面視及び平面視では、
図1及び2に示すように、照射範囲が前車輪11の接地点近くから走行車体の直前方に及ぶように、光軸Lcは直進状態の前車輪11の直前方箇所近くに向けられた状態に設定されている。このとき、照射範囲のうちの後端位置Lrは前車輪11の接地点近くに向き、照射範囲のうちの前端位置Lfは前車輪11よりもかなり前方側に向いている。
また、正面視では、
図3に示すように、照射範囲が前車輪11よりも機体内方側のエンジンボンネット30の横外側面31aの直下方近くから、前車輪11よりも横外側に及ぶように、光軸Lcは直進状態の前車輪11の轍が通過する予定箇所の外側近くに向けられた状態に設定されている。
このとき、照射範囲のうちの内側端位置Liは前車輪11の接地点よりも内側でエンジンボンネット30の横外側面31aの直下方近くに向き、照射範囲のうちの外側端位置Loは前車輪11よりもかなり横外側に向いている。
【0041】
〔ステアリング軸の支持構造〕
運転部において、上端側にステアリングハンドル13を装着したステアリング軸6の構造について説明する。
図9に示すように、ステアリング軸6は、ステアリングハンドル13の回転操作を、マニュアル操作式のステアリング機構7に伝えるように構成されている。
ステアリング機構7は、操作ボックス70の上面側に操作入力軸71を備え、操作入力軸71の回転操作に伴って、ステアリング用油圧シリンダ72を伸縮作動させ、タイロッド73(
図3参照)を左右方向に移動させて、前車輪11のステアリング操作を行うように構成されたものである。
【0042】
ステアリング軸6は、その上端部がステアリングハンドル13に対して、スプライン嵌合、及び止め付けナット6aでステアリングハンドル13と一体回動するように固定されている。
そして、ステアリング軸6の下端部は、操作ボックス70の上面側で上方に突出する操作入力軸71に対して、突き合わせ状態で対向し、カプラー60によって同心状に連結されている。つまり、ステアリング軸6の下端部と操作入力軸71とは、それぞれがカプラー60の内周面側に形成された内側スプラインに係合するスプライン部6b,71aを備えていて、カプラー60の軸線方向で相対移動可能で、かつ、一体回転するように嵌合連結されている。
【0043】
ステアリング軸6に外嵌するステアリングポスト61は、丸パイプ状の直管部分61Aと、その下端側に外嵌状態で溶接固定された筒状の外管部分61Bと、外管部分61Bの下端側に溶接固定された平板状の取付基板62とを備えている。取付基板62が連結ボルト63を介して操作ボックス70の上面側に連結固定されることにより、操作ボックス70の上面にステアリングポスト61が立設された状態で取り付けられている。
【0044】
ステアリング軸6は、下端側の小径段部6cがボールベアリング64を介して直管部分61Aの下端部に回転自在に支持され、直管部分61Aの上端部近くでラバーブッシュ65によって回転自在に支持されている。
また、ステアリングポスト61の外管部分61Bの下端側と操作ボックス70の上面との間にシール材66を挟み込んである。
【0045】
これによって、ステアリングハンドル13とステアリング機構7との組み付けに際しての僅かな組み付け誤差は、ステアリング軸6の軸線方向では、カプラー60とステアリング軸6との相対移動によって許容し、ステアリング軸6の径方向では、ラバーブッシュ65の弾性変形によって許容することができるので、組み付け構造の簡素化と、組み付け工数の削減とを図ることができる。
【0046】
〔別実施形態の1〕
上記の実施形態では、作業灯5を配備する凹部として、エンジンボンネット30の内方側に向けて凹入した通気用開口部4を備えた構造のものを示したがこれに限られるものではない。
例えば、
図10に符号4で示すように、エンジンボンネット30の上部カバー31Uの横外側面31aに無孔の凹部が形成され、その無孔の凹部の上部側に作業灯5が配備された構造のものであってもよい。
この場合、無孔の凹部の凹部底面部分41の周縁と上部カバー31Uの横外側面31aの凹部入口開口40とにわたる周壁部分42に対して、作業灯5をエンジンボンネット30の内方側から、あるいは外方側から嵌め込み可能な構造にして取り付けるようにすればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0047】
〔別実施形態の2〕
上記の実施形態では、通気用開口部4の通気板部材43として、通気用開口部4の中央付近に相当する箇所が周辺近くの箇所よりも少し横外側に膨出した球面状に湾曲形成された構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、この通気板部材43を完全な扁平面で構成してもよく、もっと曲率の大きい湾曲面で構成してもよい。また、通気板部材43を備えない無孔の凹部における凹部底面部分41に相当する箇所についても同様である。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0048】
〔別実施形態の3〕
上記の実施形態では、通気用開口部4として、エンジンボンネット30と一体の周壁部分42とは別体で、脱着可能な通気板部材43で構成された凹部底面部分41を備える構造のものを示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、図示はしないが、エンジンボンネット30と一体の周壁部分42に対して、一体に連続する凹部底面部分41を備え、その凹部底面部分41に通気孔43aを形成してグリルを構成するものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0049】
〔別実施形態の4〕
上記の実施形態では、周壁部分42とは別体で、脱着可能な通気板部材43として、合成樹脂材で構成されたグリルを示したが、これに限らず、板金製のパンチングメタルなどで構成したものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0050】
〔別実施形態の5〕
上記の実施形態では、作業灯5として、LEDランプで構成された構造のものを示したが、これに限らず、白熱電球などの適宜発光体を用いた構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。