(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、非自発光型表示ユニットが液晶モジュールユニット等のように回路基板によって駆動制御される表示ユニットである場合、当該表示ユニットと、バックライトユニットとは、FPC(Flexible printed circuits)を介して接続されることもある。そして、FPCを介して両ユニットを接続する場合、FPCは通常、屈曲された状態で両ユニットを接続するため、両ユニットの間には、屈曲されたFPCに起因する反発力が働く。それゆえ、このような反発力は、ユニットと両面粘着部材との貼着界面を引き剥がす力として強く作用する。
【0005】
また、バックライトユニットを構成する樹脂基板として、ポリカーボネート基板が用いられる場合、高温環境下ではポリカーボネート材料からアウトガス(水分、残存モノマーなどに起因するガス)が発生しやすい。このため、バックライトの被着面(ポリカーボネート基板)に貼り付けられる両面粘着部材を構成する粘着剤層に発泡をきたし、装置不良、表示品質の低下を生じさせることがある。それゆえ、上述したFPCに起因する反発力がさらに加わると共に、表示装置が高温環境下にも曝されるといった条件が重なると、特に、バックライトユニットと、両面粘着部材との貼着界面において剥がれが生じやすくなる。
【0006】
一方、両面粘着部材を用いてユニット同士を貼着する際には、両面粘着部材を所望の形状や長さに切断したり、両面粘着部材をユニットの表面に接着して固定するなどの貼着作業が必要になる。したがって、両面粘着部材には、これらの貼着作業が容易かつ確実に行える特性も要求される。
【0007】
本発明は、上記事情にも鑑みてなされたものであり、樹脂からなる被着面に対して剥がれが生じにくく、且つ、貼着時の作業性にも優れた遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物、遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物を用いた遮光性両面粘着部材、および、遮光性両面粘着部材を用いた画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
本発明の遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物は、ホモポリマーを構成した際のガラス転移温度が0℃〜80℃であり、且つ、架橋性官能基を有していない
(a)アクリル系モノマーを10〜30重量%と、
(b)カルボキシル基を含有するモノマーを2〜7重量%と
、(c1)前記アクリル系モノマーおよび前記カルボキシル基を含有するモノマー以外の低分子量のモノマーおよび(c2)重合可能な官能基を持つ数平均分子量3,000〜10,000の高分子量のモノマー(マクロモノマー)を0.5〜5重量%を含む(c)その他のモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られたアクリル系ポリマーを含み、
架橋性官能基を有していないアクリル系モノマーは、炭素数1〜7のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、炭素数3〜7のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートモノマー、および、炭素数7〜9のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーであり、カルボキシル基を有するモノマーはアクリル酸であり、アクリル系ポリマーの重量平均分子量が75万〜125万であ
り、下記条件で測定したボールタック試験による値Xが6以上15以下である、ことを特徴とする。
ボールタック試験による値Xは、J.Dow法に基づき測定されたものであり、傾斜角30度の傾斜面の上側から、X/32インチ(但し、Xは1〜32の範囲内の整数)の径を持つスチールボールを助走させた後に、傾斜面に取付けられたアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層の粘着面上を滑走させた際に、粘着面内で滑走を停止したスチールボールの最大径に対応する値Xから求め、この際、助走距離:10cm、滑走距離:10cm、温度:23℃、湿度:65%RH、粘着剤層の幅10cm、PET剥離フィルムの片面に形成した粘着剤層をPET剥離フィルムから剥離して傾斜面に取付けるまでの熟成時間:7日、とした。
【0009】
本発明の遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物の一実施形態は、被着面がポリカーボネート樹脂からなる部材に対する貼着に使用されることが好ましい。
【0010】
本発明の遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物の他の実施形態は、ロジンエステル樹脂をさらに含むことが好ましい。
【0011】
本発明の遮光性両面粘着部材は、フィルム状の基材と、基材の少なくとも片面側に設けられ、且つ、本発明の遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物を含む粘着剤層と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の画像表示装置は、非自発光型表示ユニットと、バックライトユニットと、非自発光型表示ユニットとバックライトユニットとの間に配置された本発明の遮光性両面粘着部材と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像表示装置の一実施形態は、非自発光型表示ユニットが、液晶表示モジュールユニットであることが好ましい。
【0014】
本発明の画像表示装置の他の実施形態は、バックライトユニットの遮光性両面粘着部材と接触する側の面が、ポリカーボネート樹脂からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、樹脂からなる被着面に対して剥がれが生じにくく、且つ、貼着時の作業性にも優れた遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物、遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物を用いた遮光性両面粘着部材、および、遮光性両面粘着部材を用いた画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態の遮光性両面粘着部材用
のアクリル系粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」と略す場合がある)は、ホモポリマーを構成した際のガラス転移温度が0℃〜80℃であり、且つ、架橋性官能基を有していないアクリル系モノマーを10〜30重量%と、カルボキシル基を含有するモノマーを2〜7重量%とを含むモノマー混合物を共重合させて得られたアクリル系ポリマーを含み、アクリル系ポリマーの重量平均分子量が75万〜125万であることを特徴とする。
【0018】
本実施形態の粘着剤組成物には、アクリル系ポリマーが主成分として含まれる。このアクリル系ポリマーのGPC(Gel Permeation Chromatography)法により測定される重量平均分子量は75万〜125万であり、80万〜120万が好ましく、90万〜100万がさらに好ましい。重量平均分子量が75万未満では、本実施形態の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を備えた遮光性両面粘着部材において、粘着剤層が過度にべたつき易い。このため、遮光性両面粘着部材を所望の形状あるいは長さに切断することが困難となる。また、重量平均分子量が125万を超えると、粘着剤層が硬くなり過ぎるため、タック性が大幅に低下する。すなわち、重量平均分子量が75万〜125万の範囲外では、遮光性両面粘着部材の切断加工時および貼着時における作業性が低下する。
【0019】
また、アクリル系ポリマーの共重合に用いられる(a)アクリル系モノマーは、架橋性官能基を有しておらず、また、ホモポリマーを構成した際のガラス転移温度が0℃〜80℃である。ガラス転移温度を0℃以上とすることで、樹脂からなる被着面に対する剥がれが生じにくくなり、特に、高温環境下においてアウトガスを発生し易いポリカーボネート樹脂からなる被着面に対しても剥がれが生じにくくなる。また、ガラス転移温度を80℃以下とすることにより、粘着剤層が過度に硬くなることでタック性が低下することを防止できるため、貼着時の作業性が低下するのを回避できる。ガラス転移温度は、0℃〜50℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。なお、本願明細書において、「架橋性官能基」とは、具体的には、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、シアノ基、チオール基などが挙げられる。
【0020】
上述した(a)アクリル系モノマーとしては、メチルアクリレートを好適に用いることができる。また、その他にも炭素数1〜7のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーや、炭素数3〜7のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートモノマー、炭素数7〜9のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートモノマーのうち、ガラス転移温度が0℃〜80℃の範囲内のモノマーなども挙げられる。これらのアクリレートモノマーの具体例としては、たとえば、上述のメチルアクリレートの他、イソブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。
【0021】
一方、アクリル系ポリマーの共重合に用いられる(b)カルボキシル基を含有するモノマーとしては、分子内にカルボキシル基を含有するものであれば如何様なモノマーでも特に制限無く用いることができるが、通常は、アクリル酸を用いることが特に好適である。
【0022】
アクリル系ポリマーは、(a)アクリル系モノマーを10〜30重量%と、(b)カルボキシル基を含有するモノマーを2〜7重量%とを含むモノマー混合物を共重合させて得られるものである。(a)アクリル系モノマーと、(b)カルボキシル基を含有するモノマーとを、組み合わせて用いることで、アクリル系ポリマーを粘着剤として機能させることができる。
【0023】
また、(a)アクリル系モノマーの配合割合を10重量%以上とすることで、樹脂からなる被着面に対する剥がれが生じにくくなり、特に、高温環境下においてアウトガスを発生し易いポリカーボネート樹脂からなる被着面に対しても剥がれが生じにくくなる。また、(a)アクリル系モノマーの配合割合を30重量%以下とすることで、得られる粘着剤層を過度に硬質なものにすることなく、適度なタック性を有する持たせることができる。さらに、(b)カルボキシル基を含有するモノマーの配合割合を2重量%以上とすることで、得られる粘着剤層に適度な凝集性を付与し、良好な定荷重剥離耐性を持たせることができる。また、(b)カルボキシル基を含有するモノマーの配合割合を7重量%以下とすることにより、貼着作業に適したタック性を得ることができる。なお、(a)アクリル系モノマーの配合割合は10〜25重量%が好ましく、(b)カルボキシル基を含有するモノマーの配合割合は3〜6重量%が好ましい。
【0024】
また、アクリル系ポリマーの共重合には、上記(a)アクリル系モノマーおよび(b)カルボキシル基を含有するモノマー以外の(c)その他のモノマーが併用され、モノマー混合物中における(c)その他のモノマーの配合割合は、(a)アクリル系モノマーの配合量および(b)カルボキシル基を含有するモノマーの配合量を除いた残量、すなわち、63〜88重量%である。(c)その他のモノマーとしては、粘着性のポリマーの共重合に用いられる公知のモノマー(但し、(a)アクリル系モノマーおよび(b)カルボキシル基を含有するモノマーに該当するものを除く)の中から適宜選択することができるが、たとえば、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アクリルアミド等を挙げることができる。
【0025】
また、(c)その他のモノマーとしては、上述した一般的な低分子量のモノマーと共に、重合可能な官能基を持つ高分子量のモノマー(マクロモノマー)を少量用いることも好ましい。このようなマクロモノマーとしては、末端官能基として、メタクリロイル基および/またはジヒドロキシル基等を有し、セグメントとしてメチルメタクリレート、スチレン−アクリロニトリルまたはブチルアクリレート等を有し、数平均分子量が3000〜10000程度のモノマーが挙げられる。なお、マクロモノマーを用いる場合、モノマー混合物中における配合割合は、0.5〜5重量%程度が好ましい。
【0026】
なお、本実施形態の粘着剤組成物には、アクリル系ポリマー以外に、必要に応じてその他の成分が含まれていてもよい。この場合、その他の成分としては、粘着付与樹脂としてロジンエステル樹脂を用いることが好ましく、特に重合ロジンエステル樹脂を用いることがさらに好ましい。粘着剤組成物を構成する成分としてアクリル系ポリマー以外にロジンエステル樹脂を併用することで、例えば、一般にアクリル系粘着剤にとっての難接着被着体である、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系被着体に対しても良好な接着性(粘着性)を発揮することができることや、得られる粘着剤層の定荷重剥離耐性を向上させることができる。その他の成分としてロジンエステル樹脂を用いる場合、アクリル系ポリマー100重量部に対するロジンエステル樹脂の配合量は、0重量部を超え35重量部が好ましく、5〜25重量部がより好ましく、15〜25重量部がさらに好ましい。
【0027】
また、本実施形態の粘着剤組成物は、少なくとも遮光機能を有する遮光性両面粘着部材を構成する粘着剤層に用いられるものであるため、その他の成分として黒色系色材等の遮光性を有する物質が粘着剤層の機能を阻害しない範囲で適量含まれていてもよい。また、遮光性両面粘着部材が、遮光機能に加えて、反射機能もさらに備える場合は、その他の成分として白色系色材や銀色系色材等の反射性を有する物質が粘着剤層の機能を阻害しない範囲で適量含まれていてもよい。
【0028】
以上に説明した本実施形態の粘着剤組成物は、各種の固体表面への貼着に利用することができるが、被着面が樹脂からなる部材(樹脂基板等)に対する貼着に用いることが好ましく、特に、被着面がポリカーボネート樹脂からなる部材(ポリカーボネート基板等)に対する貼着に用いることが特に好ましい。
【0029】
次に、本実施形態の粘着剤組成物を用いた遮光性両面粘着部材について以下に説明する。本実施形態の遮光性両面粘着部材(以下、単に、「粘着部材」と略す場合がある)は、フィルム状の基材と、本実施形態の粘着剤組成物を含む粘着剤層と、を少なくとも備える。また、本実施形態の粘着部材では、基材の両面に粘着剤層が設けられるが、これら2つの粘着剤層のうち、少なくとも一方の粘着剤層に本実施形態の粘着剤組成物が含まれていればよい。しかしながら、通常は、表裏の区別無く粘着部材を利用できるようにする観点から、基材の両面に各々設けられた粘着剤層に本実施形態の粘着剤組成物が含まれていることが特に好ましい。
【0030】
また、本実施形態の粘着部材は、一方の面側から他方の面側、および、その逆方向への光の透過を遮断する遮光機能を少なくとも備える。この遮光機能は、基材のみにより発揮されてもよく、基材の両面側あるいは片面側に設けられた粘着剤層のみにより発揮されてもよく、基材と、基材の両面側あるいは片面側に設けられた粘着剤層との組み合わせにより発揮されてもよい。さらに、本実施形態の粘着部材は、遮光機能に加えて、一方の面側から入射した光を反射する反射機能を備えていてもよい。この反射機能は、基材のみにより発揮されてもよく、基材の一方の面側のみに設けられた粘着剤層のみによって発揮されてもよく、基材と、基材の一方の面側のみに設けられた粘着剤層との組み合わせによって発揮されてもよい。
【0031】
基材の層構造は特に限定されるものでは無く、単層構造でも、2層以上の多層構造であってもよい。基材の厚さも特に制限されるものではないが、たとえば、1〜3000μmの範囲から適宜選択することができる。基材には、樹脂フィルム、金属フィルム、パルプ繊維等の繊維状物質から構成されるフィルム等のフィルム状部材が少なくとも用いられ、また、必要に応じてこのフィルム状部材の片面または両面に印刷層や金属層などを適宜設けることができる。
【0032】
ここで、フィルム状部材としては特に樹脂フィルムを用いることが好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど、公知の樹脂フィルムを適宜用いることができる。なお、通常の樹脂フィルムは十分な遮光性および反射性を有さない。このため、樹脂フィルム自体に遮光性を付与する場合は、樹脂フィルムマトリックス中に、黒色顔料などの黒色系色材を分散含有させ、樹脂フィルム自体に反射性を付与する場合は、樹脂フィルムマトリックス中に、白色顔料などの白色系色材あるいは銀色顔料などの銀色系色材を分散含有させればよい。なお、樹脂フィルム自体に遮光性および反射性を同時に付与する場合は、遮光性を有する樹脂フィルムと、反射性を有する樹脂フィルムとを積層して用いることができる。
【0033】
遮光性や反射性を付与するために用いる色材としては公知の顔料や染料等を適宜用いることができるが、具体的には以下に例示する色材が挙げられる。まず、黒色系色材としては、たとえば、カーボンブラック、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、二硫化モリブデン、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などが挙げられる。これらの黒色系色材は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、黒色系色材と同様の遮光性を得るために、黒色系色材の代わりに、減法混色を利用して、シアン、マゼンタ、イエローの3色の色材を混合して得られた混合色材を用いることもできる。
【0034】
白色系色材としては、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機の白色系色材や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素−ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機の白色系色材などが挙げられる。白色系色材として、蛍光増白剤を用いることもでき、該蛍光増白剤としては、公知の蛍光増白剤から適宜選択することができる。これらの白色系色材は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
また、銀色系色材としては、たとえば、銀や、アルミニウムなどの光輝性の金属や、フレーク状のガラス粒子などの薄片状粒子の表面に金属膜や金属酸化物膜をコーティングすることで光輝性を持たせた光輝性顔料なども挙げられる。これらの銀色系色材は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
また、樹脂フィルムの片面または両面に印刷層を設けることで、基材に遮光性、あるいは、遮光性と共に反射性を付与することもできる。たとえば、樹脂フィルムの一方の面に黒色系色材を分散含有するインクを用いて遮光性の印刷層(遮光層)を形成し、さらに、必要に応じてもう他方の面に、白色系色材あるいは銀色系色材分散含有するインクを用いて反射性の印刷層(反射層)を形成することができる。また、樹脂フィルムの片面または両面にアルミニウムなどの金属を蒸着等することで形成した金属層を設けてもよい。たとえば、樹脂フィルムの片面に銀やアルミニウムからなる金属層を設けた場合、この金属層により反射性を得ることもできる。
【0037】
本実施形態の粘着部材は、基本的に、粘着剤層、基材、粘着剤層の順に積層された層構造を有するものであればよいが、通常は、両側の粘着剤層の表面を覆う剥離フィルムがさらに設けられる。但し、この剥離フィルムは、粘着部材の使用に際して剥離される。剥離フィルムとしては、少なくとも粘着剤層と接する側の面が剥離性を有する樹脂フィルムが適宜利用できる。また、遮光性両面粘着部材を構成する各層の厚みや、色材を用いる場合における色材の使用量は、遮光性や、必要に応じてさらに付与される反射性が発揮できるように適宜選択することができる。なお、十分な遮光性を確保するために、本実施形態の粘着部材の透過率は、0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましい。また、遮光性両面粘着部材に反射性も付与する場合、本実施形態の粘着部材の反射率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
【0038】
図1〜
図4は、本実施形態の粘着部材の層構造の一例を示す模式断面図である。
図1に示す粘着部材10A(10)は、基材20A(20)の両面に、本実施形態の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層30が設けられ、さらに、各々の粘着剤層30の基材20Aが設けられた側と反対側の面を覆うように樹脂フィルム製の剥離シート40が設けられる。ここで、基材20Aは、遮光層として機能する黒色系色材を含有する樹脂フィルム(遮光性樹脂フィルム)からなる。また、
図2に示す粘着部材10B(10)は、基材20の層構造が異なる点を除けば、
図1に示す粘着部材10Aと同様の層構造を有する。ここで、
図2中に示す基材20B(20)は、黒色系色材を含有する樹脂フィルム(遮光性樹脂フィルム22S(遮光層))と、白色系色材あるいは銀色系色材を含有する樹脂フィルム(反射性樹脂フィルム22R(反射層))とを積層した積層体からなる。
【0039】
また、
図3に示す粘着部材10C(10)は、基材20の層構造が異なる点を除けば、
図1に示す粘着部材10Aと同様の層構造を有する。ここで、
図3中に示す基材20C(20)は、通常の遮光性や反射性を持たない樹脂フィルム24Tと、この樹脂フィルム24Tの一方の面に設けられ、黒色系色材を含むインクを用いて形成された印刷層からなる遮光層24Sと、樹脂フィルム24Tの他方の面に設けられ、白色系色材もしくは銀色系色材を含むインクを用いて形成された印刷層、または、アルミニウム等の金属を蒸着等することで形成した金属層からなる反射層24Rと、からなる積層体である。また、
図4に示す粘着部材10D(10)は、基材20の層構造が異なる点を除けば、
図3に示す粘着部材10Cと同様の層構造を有する。ここで、
図4中に示す基材20D(20)は、通常の遮光性や反射性を持たない樹脂フィルム24Tと、この樹脂フィルム24Tの両面に設けられ、黒色系色材を含むインクを用いて形成された印刷層からなる遮光層24Sと、からなる積層体である。
【0040】
本実施形態の粘着部材の平面方向の形状は特に限定されるものでなく、例えば、帯状(テープ状)、方形状などの単純な形状以外にも、貼着対象物の被着面の輪郭形状に略対応する外周形状を持つ環状などでもよい。
【0041】
本実施形態の粘着部材は、通常、非自発光型画示ユニット、特に、液晶表示モジュールユニットと、バックライトユニットとの貼着に用いられることが好ましいが、貼着対象となる2つの部材間を少なくとも遮光することが要求される用途であれば、上述した用途以外にも利用できる。また、非自発光型画示ユニットと、バックライトユニットとの貼着に用いる本実施形態の粘着部材が、
図2、
図3に例示したように反射性も有する場合は、バックライトユニットの輝度をさらに向上させるため、光が反射される側の面をバックライトユニットに貼り付ける。
【0042】
バックライトユニットの非自発光型表示ユニットが配置される側の面(被着面)は、通常、ポリカーボネート基板等の樹脂基板が用いられる。本実施形態の粘着部材を用いて作製される画像表示装置は、非自発光型表示ユニットと、バックライトユニットと、これら両ユニットとの間に配置された本実施形態の粘着部材(但し、貼着前の状態で剥離フィルムを有する場合は、この剥離フィルムを除く)とを少なくとも備えるが、非自発光型表示ユニットが液晶表示モジュールユニットなどのように電源駆動されるユニットである場合は、両ユニットに接続されるFPCなどの駆動回路をさらに備える。この場合、たとえば、両ユニットが屈曲させたFPCの一端と他端とにそれぞれ接続されると、たとえば、スマートフォン、携帯電話、タブレットPC、ノートブックパソコン、ウェアラブル端末などの電子機器に搭載される画像表示装置では、屈曲させたFPCにより両ユニットを互いに引き剥がそうとする強い反発力が作用し易い。しかしながら、本実施形態の粘着部材では、粘着剤層の被着面(特に、高温環境下でアウトガスが発生しやすいポリカーボネート基板)に対する耐剥がれ性に優れるため、仮に両ユニットに強い反発力が加わっても、両ユニットが互いに剥がれてしまうのを防止できる。
【実施例】
【0043】
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは無い。
【0044】
(1)粘着剤組成物の調製用の使用原料
粘着剤組成物の調製に際しては、以下に示す原料を用いた。以下に使用原料の略称、物質名等を示す。
【0045】
<モノマー>
(a)アクリル系モノマー(ホモポリマーのガラス転移温度が0℃〜80℃且つ架橋性官能基を有さないアクリル系モノマー)
・MA:メチルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度:10℃)
【0046】
(b)カルボキシル基を含有するモノマー
・AA:アクリル酸(ホモポリマーのガラス転移温度:106℃)
【0047】
(c)その他のモノマー(上記(a)、(b)に該当しないモノマー)
・2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度:−70℃)
・BA:アクリル酸ブチル(ホモポリマーのガラス転移温度:−54℃)
・2−HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度:−15℃)
・M1:(数平均分子量:6000のメタクリロイル基を有するマクロモノマー、ホモポリマーのガラス転移温度:100℃)
【0048】
<粘着付与樹脂>
・TF1(軟化点135℃の重合ロジンエステル系粘着付与樹脂)
・TF2(軟化点160℃の重合ロジンエステル系粘着付与樹脂)
・アクリル系TF3(下記に示す手順により作製された粘着付与樹脂)
【0049】
−アクリル系TF3の調製手順−
メタクリル酸シクロヘキシル[ホモポリマー(ポリメタクリル酸シクロヘキシル)のガラス転移温度:66℃]:92重量部、メタクリル酸n−ブチル:4 重量部、アクリル酸:4重量部、2−メルカプトエタノール:15重量部、アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部、および重合溶媒としてトルエン:100重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、70℃に昇温し、3時間反応させ、さらに、75℃で2時間反応させて、固形分濃度が50重量%のアクリル系TF3を含む溶液を得た。なお、この溶液中のアクリル系TF3の重量平均分子量は7000であった。
【0050】
<硬化剤>
・L−45(イソシアネート系硬化剤、綜研化学株式会社製)
【0051】
(2)粘着部材の作製
<実施例1>
−粘着剤層形成用塗工液の調製−
窒素置換可能な4ツ口フラスコに、2−EHA、MA、AA、2−HEAおよびM1を表1に示す割合で配合したモノマー混合物100重量部および酢酸エチル150重量部を投入し、窒素置換下で68℃まで加熱し、さらに、アゾビスイソブチロニトリル0.07重量部を投入して、重合を開始した。重合開始から2時間後にアゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を10分で滴下投入し、更に重合開始から6時間30分後に酢酸エチルを100重量部追加投入して重合を終了させ、アクリル系ポリマーを含むポリマー溶液を得た。得られたアクリル系ポリマーの重量平均分子量MwをGPC法にて測定したところ、95万であった。
【0052】
次に、このポリマー溶液に、粘着付与樹脂(TF1)と、硬化剤(L−45)とをさらに混合することで、粘着剤層形成用塗工液を調整した。なお、この際、ポリマー溶液中に含まれる固形分(アクリル系ポリマー)100重量部に対して、粘着付与樹脂(TF1)を20重量部、および、硬化剤(L−45)を0.7重量部の割合で混合した。
【0053】
−粘着部材の作製−
図3に示す層構造を有する粘着部材10Cを以下の手順にて作成した。まず、樹脂フィルム24Tとして、厚み12μmのPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、M310E12)の一方の面に、10
−2Paの条件下でアルミニウムを蒸着膜厚が50nmとなるように蒸着させることで、反射層24Rを形成した。次に、PETフィルムの他方の面に、東洋紡績(株)製ポリエステル樹脂バイロン20SSを100重量部と、寿化工(株)製黒色染料BM1500を30重量部と、日本ポリウレタン工業(株)製コロネートLを2重量部と、を混合した黒色インクを印刷して5μm厚の黒色印刷層からなる遮光層24Sを形成した。これにより、反射層24Rと、樹脂フィルム24Tと、遮光層24Sとをこの順に積層した積層体からなる基材20Cを得た。
【0054】
次に、剥離PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製、MRF38)の剥離処理面に、ドクターブレードにより粘着剤層形成用塗工液を乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗工することで、剥離シート40の片面に粘着剤層30が形成されたシートを得た。そして、このシートを、基材20Cの両面に貼り合せた後、室温にて7日間熟成させることで、
図3に示す粘着部材10Cを得た。
【0055】
なお、得られた粘着部材10Cから剥離シート40を剥がした状態で反射率および透過率を測定したところ、JIS Z 8730に準拠し測定した反射層24Rが設けられた側の面における550nm波長光の反射率は60%以上であり、JIS K 7361に準拠し測定した全光線透過率は0.5%以下であり、十分な反射性および遮光性を有することが確認された。
【0056】
<実施例2〜7、比較例1〜6>
粘着剤層形成用塗工液の調整に用いた各種原料の種類および配合割合を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして粘着部材を作製した。但し、アクリル系ポリマーを合成する際の重合時間は、所望の重量平均分子量が得られるように必要に応じて適宜調整した。実施例2〜6および比較例1〜6の粘着部材について、実施例1と同様にして反射率および全光線透過率を評価したところ、いずれの実施例および比較例においても反射率:60%以上、かつ、全光線透過率:0.5%以上であり、十分な反射性および遮光性を有することが確認された。
【0057】
(3)各種の測定および試験方法
<GPC測定方法>
測定装置:HLC−8120GPC(東ソー(株)社製)
GPCカラム構成:以下の5連カラム(すべて東ソー(株)社製)
(1)TSK−GEL HXL−H (ガードカラム)
(2)TSK−GEL G7000HXL
(3)TSK−GEL GMHXL
(4)TSK−GEL GMHXL
(5)TSK−GEL G2500HXL
サンプル濃度:1.0mg/cm
3となるように、テトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0cm
3/min
カラム温度:40℃。
【0058】
<定荷重剥離試験>
厚み25μmのPETフィルムの片面に、各実施例および比較例の粘着部材を作製した場合と同様の条件にて粘着剤層を形成し、次に、形成された粘着剤層の表面とPET剥離フィルムとを貼り合せて7日間熟成させた後、最後に20×50mmの大きさに裁断して試験片を作製した。続いて、PET剥離フィルムを剥離した試験片を、表裏面が水平方向と平行を成すように配置されたポリカーボネート基板の下面側に貼り合わせた。次に、ポリカーボネート基板に貼り付けられた試験片の長手方向の一端側の端部に、鉛直方向下方側に100gの荷重を加えた状態で、温度85℃にて180分間放置したときの試験片の長手方向における剥がれ距離(mm)又は落下までの時間(min)を測定した。なお、良判定(○判定)は、剥がれ距離が10.0mm以下である。
【0059】
<ボールタック試験>
J.Dow法により測定した。具体的には、定荷重剥離試験において作製したものと同様の層構成を持つ試験片(但し、幅10cmに裁断した試験片)からPET剥離フィルムを剥がした粘着シートを、粘着剤層が露出するように傾斜角30度の傾斜面に取り付けた。次に、スチールボールを傾斜面の上側から助走させた後に、粘着面(粘着剤層表面)上を滑走させた。この際の助走距離は10cm、滑走距離は10cmとした。また、温度23℃、湿度65%RHとした。そして、スチールボールの径を変えながら滑走テストを行い、粘着面内で滑走を停止したスチールボールの最大径を求めた。なお、使用したスチールボールの径は、X/32インチ(但し、Xは1〜32の範囲内の整数)であり、表1中に示す数値はXの値を意味する。なお、良判定(○判定)は、X値が6以上である。
【0060】
<カット性>
各実施例および比較例の粘着部材をカッター刃により30回打ち抜き作業を行い、カッター刃への粘着剤の付着と切断面を目視により観察した。
○:カッター刃への粘着剤の付着が全くなく、切断面が荒れていない。
×:カッター刃への粘着剤の付着が確認され、切断面が荒れている。
【0061】
【表1】