(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガイドブッシュ(11)を回転駆動するガイドブッシュモータ(12)と、該ガイドブッシュモータ(12)を駆動制御する制御手段(17)とを備え、該制御手段(17)による前記ガイドブッシュモータ(12)の駆動制御によってガイドブッシュ(11)の回転制御を行うガイドブッシュ制御装置において、
前記制御手段(17)は、前記ガイドブッシュの調整を行う際に、前記ガイドブッシュモータ(12)を回転停止の状態で励磁することによって、前記ガイドブッシュ(11)を回転不能に固定して回転停止の状態に保持する固定手段として機能するガイドブッシュ制御装置。
前記制御手段(17)が、前記ガイドブッシュ(11)の回転が指令された際に、ガイドブッシュ(11)の回転数を0とするように規制する回転規制手段(61)を備え、前記固定手段が、該回転規制手段(61)の作動状態で、前記ガイドブッシュモータ(12)を励磁するように構成された請求項1に記載のガイドブッシュ制御装置。
手動操作によって前記ガイドブッシュモータ(12)を駆動する信号を発生させる手動操作手段(48)を備え、前記制御手段(17)が、前記手動操作手段(48)に基づく信号を無効化する手動操作規制手段(59)を備え、前記固定手段が、該手動操作規制手段(59)の作動状態で、前記ガイドブッシュモータ(12)を励磁するように構成された請求項1又は2に記載のガイドブッシュ制御装置。
前記ガイドブッシュ(11)が、工作機械(1)のカバー(2)内に配置され、前記固定手段が、前記カバー(2)に設けられた開閉自在なドア(3)の閉状態で、前記ガイドブッシュモータ(12)の励磁を開始するように構成された請求項1乃至3のいずれか1つに記載のガイドブッシュ制御装置。
前記ガイドブッシュ(11)が、工作機械(1)の主軸(6)を駆動する主軸モータ(9)に基づいて駆動され、前記主軸モータ(9)を励磁することによって、ガイドブッシュ(11)を回転不能に固定するように構成された請求項1乃至4のいずれか1つに記載のガイドブッシュ制御装置。
前記ガイドブッシュモータ(12)と前記主軸モータ(9)とを各別に設け、前記ガイドブッシュモータ(12)が、前記主軸モータ(9)と同期して駆動されるように構成された請求項5に記載のガイドブッシュ制御装置。
前記主軸モータ(9)がガイドブッシュモータ(12)を兼用し、主軸モータ(9)によって主軸と一体的にガイドブッシュ(11)が回転駆動されるように構成された請求項5に記載のガイドブッシュ制御装置。
ガイドブッシュ(11)を回転駆動するガイドブッシュモータ(12)と、該ガイドブッシュモータ(12)を駆動制御する制御手段(17)とを備え、該制御手段(17)による前記ガイドブッシュモータ(12)の駆動制御によって前記ガイドブッシュ(11)が回転制御されるガイドブッシュ装置のガイドブッシュの調整方法において、
前記ガイドブッシュ(11)の調整を行う際に、前記制御手段(17)による駆動制御により、前記ガイドブッシュモータ(12)を回転停止の状態で励磁することによって、前記ガイドブッシュ(11)を回転不能に固定して回転停止の状態に保持するガイドブッシュの調整方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ガイドブッシュは、ガイドブッシュスリーブに挿入され、後端に調整ナットが螺合されている。前記ガイドブッシュは、例えば前記調整ナットを回転させることによって、前記ガイドブッシュスリーブに対して軸線方向に移動し、テーパ部によって内径が調整される。しかし前記ガイドブッシュは、いわゆるロータリガイドブッシュであり、前記ガイドブッシュスリーブと一体的に回転するため、前記調整ナットを回転させる際には、スパナ等で前記ガイドブッシュの回転を規制した状態で、前記調整ナットを回転させる必要があり、前記ガイドブッシュの調整作業が容易ではないという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のガイドブッシュ制御装置は、ガイドブッシュ11を回転駆動するガイドブッシュモータ12と、該ガイドブッシュモータ12を駆動制御する制御手段17とを備え、該制御手段17による前記ガイドブッシュモータ12の駆動制御によってガイドブッシュ11の回転制御を行うガイドブッシュ制御装置において、前記制御手段17
は、
前記ガイドブッシュの調整を行う際に、前記ガイドブッシュモータ12を回転停止の状態で励磁することによって、前記ガイドブッシュ11を回転不能に固定
して回転停止の状態に保持する固定手段
として機能することを第1の特徴とする。
【0006】
第2に、前記制御手段17が、前記ガイドブッシュ11の回転が指令された際に、ガイドブッシュ11の回転数を0とするように規制する回転規制手段61を備え、前記固定手段が、該回転規制手段61の作動状態で、前記ガイドブッシュモータ12を励磁するように構成されたことを特徴とする。
【0007】
第3に、手動操作によって前記ガイドブッシュモータ12を駆動する信号を発生させる手動操作手段48を備え、前記制御手段17が、前記手動操作手段48に基づく信号を無効化する手動操作規制手段59を備え、前記固定手段が、該手動操作規制手段59の作動状態で、前記ガイドブッシュモータ12を励磁するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
第4に、前記ガイドブッシュ11が、工作機械1のカバー2内に配置され、前記固定手段が、前記カバー2に設けられた開閉自在なドア3の閉状態で、前記ガイドブッシュモータ12の励磁を開始するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
第5に、前記ガイドブッシュ11が、工作機械1の主軸6を駆動する主軸モータ9に基づいて駆動され、前記主軸モータ9を励磁することによって、ガイドブッシュ11を回転不能に固定するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
第6に、前記ガイドブッシュモータ12と前記主軸モータ9とを各別に設け、前記ガイドブッシュモータ12が、前記主軸モータ9と同期して駆動されるように構成されたことを特徴とする。
【0011】
第7に、前記主軸モータがガイドブッシュモータを兼用し、主軸モータによって主軸と一体的にガイドブッシュが回転駆動されるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のガイドブッシュの調整方法は、ガイドブッシュ11を回転駆動するガイドブッシュモータ12と、該ガイドブッシュモータ12を駆動制御する制御手段17とを備え、該制御手段17による前記ガイドブッシュモータ12の駆動制御によって前記ガイドブッシュ11が回転制御されるガイドブッシュ装置のガイドブッシュの調整方法において、前記ガイドブッシュ11の調整を行う際に、前記制御手段17による駆動制御により、前記ガイドブッシュモータ12を回転停止の状態で励磁することによって、前記ガイドブッシュ11を回転不能に固定
して回転停止の状態に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成される本発明の構造によると、前記固定手段によって、前記ガイドブッシュモータが回転停止の状態で励磁され、前記ガイドブッシュが回転不能に固定されるため、前記ガイドブッシュの回転を規制して作業者が作業を行う場合等において、前記ガイドブッシュの回転の規制を、従来のようにスパナ等によって、作業者が行う必要がない。前記ガイドブッシュの回転規制を前記固定手段によって容易に行い、前記ガイドブッシュの内径調整等の作業を容易に行うことができるという効果がある。
【0014】
特に前記ガイドブッシュモータの励磁が、前記回転規制手段又は前記手動操作規制手段が作動した状態で行われるように構成することによって、誤動作等で前記制御手段から前記ガイドブッシュモータに所定の回転数での回転指令が発生した場合であっても、前記ガイドブッシュモータの回転は規制されるため、前記固定手段により、前記ガイドブッシュが回転不能に固定された状態における前記ガイドブッシュ誤回転が防止されるという効果があり、前記ガイドブッシュの内径調整等の作業の安全性等を確保することができる。
【0015】
さらに工作機械のカバー内にガイドブッシュが配置された場合は、前記カバーに設けられた開閉自在なドアの閉状態で、前記ガイドブッシュモータの励磁を開始するように構成することによって、前記ガイドブッシュモータの励磁開始を、前記ドアを開く前に行うことができる。これにより前記ドアを開けて前記ガイドブッシュの内径調整等の作業を行う前に、前記ガイドブッシュモータの励磁を開始することができる。
【0016】
この場合、前記ガイドブッシュの内径調整等の作業に際して、例えば前記ガイドブッシュが停止している状態を確認してから、前記ドアを開き、前記調整作業等を行うことができる。これにより、作業の安全性等を向上させることができ、前記ガイドブッシュの誤回転等の悪影響を防止することができる。
【0017】
なお主軸を駆動する主軸モータと前記ガイドブッシュモータとが各別に設けられている場合、前記ガイドブッシュモータを直接的に励磁する他、特に前記主軸モータと前記ガイドブッシュモータとが同期して駆動されると、前記主軸モータを励磁することによって間接的に前記ガイドブッシュモータを励磁することも可能となる。
【0018】
また1つの主軸モータによって前記主軸と前記ガイドブッシュとを回転駆動する場合は、前記主軸モータが前記ガイドブッシュモータを兼用することになり、前記主軸モータを回転停止の状態で励磁することによって、前記ガイドブッシュを回転不能に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1A、
図1Bは、本発明のガイドブッシュ制御装置を備えた工作機械である自動旋盤1の正面図である。自動旋盤1のカバー2には、開閉自在に加工室ドア3と主軸側ドア5(以下、単に「ドア3,5」という)が設けられている。カバー2内に形成された加工室4に、
図2に示される主軸6やガイドブッシュ装置7、刃物台8等が設けられている。
【0021】
図3に示されるように、主軸6は主軸モータ9によって、ガイドブッシュ装置7に設けられたガイドブッシュ11はガイドブッシュモータ12によって各々回転駆動される。刃物台8や主軸6が搭載された主軸台(図示しない)は、X軸モータ13、Y軸モータ14、Z軸モータ16等によって移動駆動される。各モータは、NC装置からなる制御手段17によって制御される。
【0022】
制御手段17には、制御手段17の操作等を行う操作パネル18が設けられている。操作パネル18には、手動パルスハンドル48、各種スイッチ、モニタ49等が設けられ、制御手段17側に接続されている。制御手段17内には、予め加工プログラム19が入力されている。制御手段17は、加工プログラム19に基づき各モータ9,12,13,14,16の駆動手段となるモータアンプ9a,12a,13a,14a,16aを制御して各モータ9,12,13,14,16の駆動制御を行い、主軸6、ガイドブッシュ11、刃物台8等を制御することができる。
【0023】
前記主軸6は後方から挿入される棒状の材料23を把持する。主軸6によって把持された材料23は、ガイドブッシュ11に挿入される。ガイドブッシュ11は、材料の径に応じて内径が調整され、ガイドブッシュモータ12によって回転駆動されながら、材料23を軸線方向の移動及び回転を許容してガイドする。
【0024】
本自動旋盤1は、制御手段17の自動運転モードで、加工プログラム19に応じて、材料23をガイドブッシュ11でガイドしながら、刃物台8に装着された工具24によって、自動的に材料23に対して所定の加工を行うことができる。制御手段17の手動実行モードでは、手動パルスハンドル48の回転操作に応じて発生するパルス信号に従って加工プログラム19を実行し、材料23の加工作動を手動で実行させることができる。
【0025】
ガイドブッシュ装置7は、自動旋盤1のベッド側に立設されるガイドブッシュ支持台26に取り付けられ、ガイドブッシュ支持台26に着脱自在に固定されるアウタースリーブ27を外装として構成されている。アウタースリーブ27内に、軸受け28を介してガイドブッシュスリーブ29が回転自在に支持されている。ガイドブッシュ11はガイドブッシュスリーブ29内に挿入されている。
【0026】
ガイドブッシュスリーブ29に、ガイドブッシュ11のテーパ面に対応するテーパ面が形成されている。ガイドブッシュ11は、テーパ面同士が当接するように、ガイドブッシュスリーブ29内に配置されている。ガイドブッシュ11は、キー31によってガイドブッシュスリーブ29に対して回り止めされている。ガイドブッシュ11の後端部には調整ナット32が螺合されている。
【0027】
調整ナット32を回転させることによって、ガイドブッシュスリーブ29に対してガイドブッシュ11が軸線方向に移動する。ガイドブッシュ11は、移動によるテーパ面同士の押圧状態に応じて内径寸法が調整される。調整ナット32には、後端部外径を拡開させるボルト33が螺合されている。ボルト33を締め込むことによって、調整ナット32は、後端部の外径が拡開されて、ガイドブッシュスリーブ29の内壁に押圧され、ガイドブッシュスリーブ29に対して位置決め固定される。
【0028】
調整ナット32を所定の回転角度位置でガイドブッシュスリーブ29に対して位置決め固定することによって、ガイドブッシュ11が所定の内径寸法に調整されて固定される。ボルト33を緩めることによって、調整ナット32の後端部の外径が戻り、調整ナット32が回転可能となり、ガイドブッシュ11の内径寸法を調節することができる。
【0029】
ガイドブッシュスリーブ29の後端側には、キー34を介して一体的にタイミングプーリ36が取り付けられている。ガイドブッシュモータ12はガイドブッシュ支持台26に取り付けられている。ガイドブッシュモータ12の回転軸に、タイミングプーリ38が固定されている。
【0030】
両タイミングプーリ36,38の間にはタイミングベルト39が掛け回されている。ガイドブッシュモータ12の駆動によって、ガイドブッシュ11がガイドブッシュスリーブ29と一体的に回転駆動される。本ガイドブッシュ装置7は、ガイドブッシュ11がガイドブッシュモータ12によって回転駆動されるロータリガイドブッシュである。
【0031】
図4に示されるように、調整ナット32を操作する調整治具41がガイドブッシュ装置7に対して着脱自在に準備されている。
図5A、
図5Bに示されるように、調整治具41には、フランジ42と切欠き部43とが形成されている。調整治具41の先端面には調整ピン44が突設されている。調整治具41には、ボルト33(
図2参照)を回転操作するボルト用治具46が設けられている。
【0032】
調整治具41は、調整ナット32を操作する際に、フランジ42の外周面をガイドにしてアウタースリーブ27内に後方側から挿入される。調整ナット32の後端面には、調整ピン44が挿入されるピン穴47が形成されている。調整治具41をアウタースリーブ27に挿入することによって、調整ピン44をピン穴47に挿入することができる。
【0033】
ボルト用治具46を回転させてボルト33を緩め、調整ピン44をピン穴47に挿入し、調整治具41を回転させることによって、調整ナット32を回転させ、ガイドブッシュ11の内径調整を行うことができる。調整治具41は、ガイドブッシュ11の内径調整後は、アウタースリーブ27から抜かれる。調整治具41は、切欠き部43にワーク23を通すことによって、ガイドブッシュ11にワークが挿入された状態で着脱できる。
【0034】
制御手段17は、ドア3,5の開閉を規制するドアロック51のON,OFFを制御している。ドア3,5は、ドアロック51がOFF(解除)の状態で開くことができる。ドア3,5は、ドアロック51がONの状態では閉じており、開くことはできない。
【0035】
操作パネル18には、ドア開許可キー52とドアロック解除ボタン53が設けられている。ドア開許可キー52は、開位置と閉位置とに切り換え可能に設けられている。制御手段17は、ドア開許可キー52が開位置の状態でドアロック解除ボタン53がONされることによってドアロック51を解除する。
【0036】
ドア開許可キー52が閉位置の状態では、ドアロック解除ボタン53がONされてもドアロック51は解除されない。作業者は、ドア3やドア5を開くことによって、ガイドブッシュ11の内径調整等の作業や調整、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【0037】
制御手段17は、運転のモードとして、前記自動運転モードや手動運転モードの他、自動旋盤1の調整等を行うための運転準備モードを有する。各モードは、操作パネル18のモードスイッチ54によって選択的に切り換えられる。各モードに応じてモニタ49のメニューバー56には複数のメニューが表示される。
【0038】
操作パネル18には、各種メニューを選択することができるメニューキー57と、メニューキー57によって選択されたメニューを開始させる開始スイッチ58が設けられている。本制御手段17は、運転準備モードの際に、メニューとして[ガイドブッシュ励磁]([GB励磁])をメニューキー57によって選択することができるように構成されている。
【0039】
本制御手段17には、ハンドル規制手段59と回転規制手段61とが設けられている。ハンドル規制手段59によって、手動パルスハンドル48に基づく信号を無効化することができる。ハンドル規制手段59を作動させることによって、手動パルスハンドル48を回転させた場合のガイドブッシュモータ12や主軸モータ9等の回転駆動が規制される。
【0040】
回転規制手段61は、各モータに対して回転が指令された際に、モータの回転数を強制的に0に変更するように構成されている。回転規制手段61を作動させることによって、加工プログラム19等により、ガイドブッシュモータ12や主軸モータ9に所定の回転数で回転が指令されても、強制的に回転数を0として対応するモータアンプ12a,9aが駆動され、ガイドブッシュモータ12や主軸モータ9の回転が規制される。
【0041】
ハンドル規制手段59の作動を停止させることによって、作業者が手動で、手動パルスハンドル48を回転操作して加工プログラム19を実行させ、自動旋盤1を手動で操作することが可能となる。回転規制手段61の作動を停止させることによって、前記加工プログラム19等により指令された回転数で、各モータが回転駆動される。
【0042】
制御手段17はガイドブッシュモータ12と主軸モータ9との同期の入り切りを選択的に切り換えることができる。ガイドブッシュモータ12は主軸モータ9と同期した状態の場合、主軸モータ9と一体的に駆動制御される。ガイドブッシュモータ12は主軸モータ9と非同期状態の場合、単独で駆動制御される。
【0043】
ガイドブッシュモータ12と主軸モータ9とを同期させることによってガイドブッシュ11と主軸6とを同期して回転駆動することができる。ガイドブッシュモータ12と主軸モータ9とを非同期とすることによって、ガイドブッシュ11と主軸6とを別々に回転駆動することができる。
【0044】
ガイドブッシュモータ12が回転停止の状態で励磁されると、ガイドブッシュモータ12のロータの停止位置を保とうとする保持トルクが得られる。ガイドブッシュモータ12を回転停止の状態で励磁することによって、ガイドブッシュモータ12の回転軸に仮に外力が作用しても、前記保持トルクによってガイドブッシュモータ12の回転停止状態が保持される。本ガイドブッシュ装置7は、ガイドブッシュモータ12の回転軸とタイミングプーリ36とが、タイミングベルト39によって連結されているため、ガイドブッシュモータ12を回転停止の状態で励磁することによって、ガイドブッシュ11は、回転不能な状態で固定される。
【0045】
例えば、ガイドブッシュモータ12を速度0で回転させる「0速度回転指令」や、ガイドブッシュモータ12の停止状態を所定の回転角度で維持させる「C軸制御指令」を制御手段17からモータアンプ12aに対して行うことによって、ガイドブッシュモータ12を回転停止の状態で励磁することができる。
【0046】
「0速度回転指令」や「C軸制御指令」は、ガイドブッシュモータ12と主軸モータ9とが同期している場合は、ガイドブッシュモータ12(モータアンプ12a)に対する指令の他、主軸モータ9(モータアンプ9a)に対してのみ指令することによっても、ガイドブッシュモータ12を励磁状態で停止させることができる。
【0047】
制御手段17が主軸モータ9のモータアンプ9aやガイドブッシュモータ12のモータアンプ12aに対して、「0速度回転指令」や「C軸制御指令」を行うことによって、ガイドブッシュモータ12を回転停止の状態で励磁し、ガイドブッシュ11を回転不能に固定することができる。
【0048】
本制御手段17は、ガイドブッシュモータ12と主軸モータ9とを同期させると、両モータ9,12が励磁された状態になるように構成されている。本実施形態においては、制御手段17が主軸モータ9のモータアンプ9a及びガイドブッシュモータ12のモータアンプ12aに対して、「同期指令」を行うことによっても、ガイドブッシュ11を回転不能に固定することができる。
【0049】
本自動旋盤1のガイドブッシュ装置7は、ロータリガイドブッシュとなっているため、調整治具41によるガイドブッシュ11の調整(例えば内径調整)は、ガイドブッシュ11の回転を規制した状態で行う必要がある。制御手段17は、作業者が、ガイドブッシュ11の調整を行うために、制御手段17を運転準備モードに切り換え、メニューの[ガイドブッシュ励磁]を選択し、開始スイッチ58をONすると、
図6、
図7のフローチャートに示されるガイドブッシュ固定制御に基づいて作動する。
【0050】
制御手段17は、前記ガイドブッシュ固定制御に基づいて作動することにより、ガイドブッシュ11の調整の際に、ガイドブッシュモータ12を励磁することによってガイドブッシュ11を回転不能に固定するガイドブッシュ固定手段として機能するように構成されている。作業者はガイドブッシュ固定手段によってガイドブッシュ11の回転を規制することにより、ガイドブッシュ11の調整を容易に行うことができる。
【0051】
図6、
図7に示されるように、前記ガイドブッシュ固定制御は、まずステップS1で開始スイッチ58のONをチェックし、ステップS2,S3で運転準備モードとメニューとして[ガイドブッシュ励磁]が選択されていることを確認する。ガイドブッシュモータ12の励磁は、運転準備モードにおいて[ガイドブッシュ励磁]が選択されている場合に行われるため、運転準備モードではない場合や、[ガイドブッシュ励磁]が選択されていない場合は終了する。
【0052】
運転準備モードにおいてメニューとして[ガイドブッシュ励磁]が選択されている場合は、ステップS4で、ドアロック51の確認を行う。ドアロック51がONの場合は、ドア3,5が閉じていると判断し、ステップS5、ステップS6に進み、ハンドル規制手段59と回転規制手段61を作動させてS7に進む。
【0053】
ステップS4でドアロック51がOFFの場合は、ドア3,5を開くことができる状態と判断し、ドアロック51がONとなるまでチェックを繰り返す。ステップS7に進むと、ガイドブッシュモータ12のモータアンプ12a又は主軸モータ9のモータアンプ9aに対して「0速度回転指令」や「C軸制御指令」、「同期指令」を行うことによって、ガイドブッシュモータ12を回転停止の状態で励磁し、ガイドブッシュ11を回転不能に固定する。
【0054】
ガイドブッシュモータ12が回転停止の状態で励磁された後は、ステップS8において、ドアロック解除ボタン53の状態を確認し、ドアロック解除ボタン53がONされると、ステップS9に進み、ドア開許可キー52の状態をチェックする。ステップS9において、ドア開許可キー52が開となっている場合は、作業者がドア3,5を開くことができるように、ステップS10に進み、ドアロック51を解除する。
【0055】
ガイドブッシュ11は回転不能に固定されるため、作業者はドア3,5を開け、調整治具41によって調整ナット32を回転させ、ガイドブッシュ11の調整を容易に行うことができる。ステップS9において、ドア開許可キー52が開となっていない場合は、ステップS11に進み、ドアロック51が継続されるため、作業者がドア3,5を開くためには、ドア開許可キー52を開に切り換える必要がある。
【0056】
その後ステップS12で、運転モードをチェックし、運転準備モードの場合には、ステップS13に進み、メニューキー57の選択状態をチェックする。ステップS13で、メニューの選択状態が[ガイドブッシュ励磁]のままであれば、ステップS8にリターンし、ドアロック解除ボタン53の状態を確認し、以降を繰り返す。
【0057】
ステップS12で運転準備モード以外のモードであった場合、ステップS13でメニュ
ーとして[ガイドブッシュ励磁]以外が選択されていた場合は、ステップS14、ステップS15、ステップS16、ステップS17に順に進み、[ガイドブッシュ励磁]の選択を解除し、ガイドブッシュモータ12の励磁を切り、ハンドル規制手段59と回転規制手段61の作動を停止して終了する。
【0058】
ガイドブッシュモータ12の励磁後、運転モードを運転準備モード以外に切り換えたり、メニューキー57で[ガイドブッシュ励磁]以外を選択することによって、ガイドブッシュ11の固定を解除し、通常の自動運転等を行うことができるように制御手段17を復帰させることができる。
【0059】
運転準備モードにおいて、メニューキー57で[ガイドブッシュ励磁]を選択し、開始スイッチ58をONすることによって、ドア3,5が閉じてドアロック51がONされていれば、ガイドブッシュモータ12の励磁によって、ガイドブッシュ11が回転不能に固定される。
【0060】
これにより調整治具41によってガイドブッシュ調整を行う際、従来のようにスパナ等によって、作業者がガイドブッシュ11の回転を規制する必要がなく、ガイドブッシュ11の調整を容易に行うことができる。ガイドブッシュモータ12の励磁開始は、ドア3,5がロックされて閉じた状態で行われるため、作業者は、誤動作等でガイドブッシュ11が回転した状態ではないことを確認してから、ドア3,5を開け、ガイドブッシュ調整を行うことができる。
【0061】
ガイドブッシュモータ12の励磁開始が、ドア3,5を開け、調整治具41を使用してガイドブッシュ11を調整する前となり、ガイドブッシュの調整作業に際して、例えばガイドブッシュ11が停止している状態を確認してから、ドア3,5を開き、調整作業を行うことができる。これにより、作業の安全性等を向上させることができ、ガイドブッシュ11の誤回転等の悪影響が防止される。
【0062】
ガイドブッシュモータ12の励磁は、ハンドル規制手段59と回転規制手段61が作動した状態で行われるため、誤動作等で制御手段17からガイドブッシュモータ12に所定の回転数での回転指令が発生した場合であっても、ガイドブッシュモータ12の回転は規制されるため、ガイドブッシュ調整の際のガイドブッシュ誤回転は防止される。
【0063】
なお上記実施形態のように各別に設けられたガイドブッシュモータ12と主軸モータ9によって、主軸6とガイドブッシュ11とを各々回転駆動する自動旋盤1の他、主軸とガイドブッシュとが連係され、主軸とガイドブッシュとを共通の主軸モータで駆動する自動旋盤が知られている。
【0064】
主軸とガイドブッシュとを共通の主軸モータで駆動する上記自動旋盤の場合は、主軸モータのモータアンプに対して前記「0速度回転指令」や、「C軸制御指令」を行うことによって、主軸モータを回転停止の状態で励磁し、ガイドブッシュを回転不能に固定することができる。
【0065】
本願は、2013年3月18日に日本国特許庁に出願された特願2013−54732号に基づく優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。