特許第6341912号(P6341912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341912
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】加熱エレメントの機械的支持用端子
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/06 20060101AFI20180604BHJP
   H05B 3/64 20060101ALI20180604BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20180604BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20180604BHJP
   C30B 25/10 20060101ALI20180604BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   H05B3/06 A
   H05B3/64
   C23C16/46
   C23C16/44 B
   C30B25/10
   H01L21/205
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-525775(P2015-525775)
(86)(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公表番号】特表2015-531962(P2015-531962A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】EP2013002336
(87)【国際公開番号】WO2014023413
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】13/568,928
(32)【優先日】2012年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040486
【氏名又は名称】プランゼー エスエー
(73)【特許権者】
【識別番号】507414535
【氏名又は名称】ビーコ・インスツルメンツ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】プランケンシュタイナー、アルノ
(72)【発明者】
【氏名】ファイスト、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ボグスラフスキー、ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】ガレイ、アレクサンダー アイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャーン、チュヨンホゥーン パウル
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−189227(JP,A)
【文献】 特開2002−203664(JP,A)
【文献】 実開昭60−005089(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02− 3/18
H05B 3/40− 3/82
C30B 1/00−35/00
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱エレメント(100)の機械的支持用端子(10)であって、
基礎装置(30)と、前記加熱エレメント(100)を支えるように構成された取付装置(20)と、前記基礎装置(30)を前記取付装置(20)へ接続する支持装置(40)と、を備え、
前記支持装置(40)が、前記加熱エレメント(100)の変位を主弾性方向に沿って許容し、
前記支持装置(40)がリーフスプリングであり、
前記リーフスプリングは、同じ方向へほぼ平行に配置された2以上のリーフを備える、
端子。
【請求項2】
前記支持装置(40)は、半径方向軸に沿った前記加熱エレメント(100)の変位を許容し、接線方向軸及び軸線方向軸のいずれか又は両方に沿った前記加熱エレメント(100)の変位を約10%以下に抑制する、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
当該端子(10)の材料に、少なくとも90重量%の耐熱金属を含む、請求項1又は2に記載の端子。
【請求項4】
前記耐熱金属は、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、レニウム、及びこれらの合金から選択される、請求項に記載の端子。
【請求項5】
前記耐熱金属は、タングステン、タングステンの合金、モリブデン、及びモリブデンの合金から選択される、請求項又は請求項に記載の端子。
【請求項6】
加熱エレメント(100)を少なくとも1つ備えると共に、請求項1〜のいずれか1項に記載の端子(10)を少なくとも2つ備えた、ヒータ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記端子(10)の前記支持装置(40)に、安定姿勢で初期張力をかけてある、請求項に記載のヒータ。
【請求項8】
前記支持装置(40)の初期張力は、前記加熱エレメント(100)の加熱使用中に前記支持装置(40)のスプリング張力を減少させることができるように適用される、請求項に記載のヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの加熱エレメントを備えたヒータと、加熱エレメントの機械的支持用端子に関する。
【背景技術】
【0002】
MOCVD(metal organic vapor deposition:有機金属気相成長法)反応炉のヒータ用に加熱エレメントが周知である。加熱エレメントは、化合物半導体のエピタキシャル成長のためにMOCVD反応炉内においてウェハキャリア(サセプタ)を加熱するために使用される。MOCVD反応炉のヒータの加熱エレメントを確実に適正配置するために、各種の機械的支持構造が知られている。一般的には、MOCVD反応炉のヒータの加熱エレメントを支持する端子が使用され、予め決められた姿勢に加熱エレメントを維持する。
【0003】
加熱エレメントの機械的支持に用いられる既存の端子にある問題に、端子自体と加熱エレメントの熱変形に起因する問題がある。当該問題の一つが、ヒータの加熱エレメントの材料における機械的ストレスの生成である。反応炉内でのMOCVDプロセスにおいて、ヒータは1000〜2200℃まで昇温される。したがって、MOCVD成長プロセス用の基板がMOCVD反応炉に搭載される状況(室温)と成長過程における状況との間で大きな温度差が発生する。この温度差は、一つの結果として、加熱エレメントの熱膨張を引き起こす。通常、加熱エレメントは端子によって適所に維持されるので、該端子は、室温において予め決められた姿勢に加熱エレメントを維持するように働く。2200℃に至る昇温過程において、加熱エレメントはその形態を拡張しようとするので、熱ストレスが加熱エレメントの材料中に生じる。
【0004】
固定式端子にある問題を克服するべく、許容方向への膨張は許す一方、好ましくない方向への変形は制限するように設計された各種のフレキシブルエレメントが使用される。フレキシブルエレメントは、加熱エレメントの変形に伴って増加する、したがって温度に伴って増加する機械的負荷を、加熱エレメント内に生成する。耐熱金属の強度及び耐クリープ性は、温度と共に低下し、1200〜1400℃以上で急落する。このような状況において、好ましくない変形を抑制するように設計されたフレキシブルエレメントは、加熱エレメントの減少した強度に匹敵するストレスを生成するために、それ自体がそのような好ましくない変形の新たな根源になる。
【0005】
加熱エレメント内のこのような熱ストレスを部分的に補償するように端子を構成することが知られている。この既知の端子は、加熱エレメントと端子との間の接続姿勢の変動を許容することを可能にする各種のU字形スプリングを備え、これによって、加熱エレメント内部の熱ストレスを減らしている。しかし、この種の既知の端子には、加熱エレメント自体の2以上の方向への膨張を許す不利益がある。このため、加熱システムや自身の他の部品と接触するリスクを生じ、短絡が生じ得る。さらに言えば、スプリングのU字形に起因して、加熱エレメントの材料内で2方向に機械的ストレスが発生する。したがって、加熱エレメントの材料がストレス耐性によりいっそう優れていなければならず、より高価になる。機械工学の観点からすると、既知の端子は、2以上の変形の方向において加熱エレメントに変動を許してしまう。このために、加熱エレメントの材料内に少なくとも1つの曲げモーメントが生じ、短絡のリスクが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一つは、現在最新の端子にある上記問題の少なくともいくつかを解決することにある。具体的には、加熱エレメント内部の熱ストレスを使用中に抑制できるようにした、特にMOCVD反応炉のヒータの、加熱エレメントを機械的に支持する端子、そして、特にMOCVD反応炉用であって、少なくとも1つの加熱エレメント及び少なくとも2つの端子を備えたヒータ、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、好適にはMOCVD反応炉のヒータの、加熱エレメントの機械的支持用端子によって、そして、好適にはMOCVD反応炉用であって、少なくとも1つの加熱エレメントと本願において開示する特徴を有する少なくとも2つの端子とを備えたヒータによって、解決される。従属請求項に関連して述べられる本発明のさらなる特徴及び態様は、本発明に係る端子及びヒータと自由に組み合わせ可能であることはもちろん、互いに自由に組み合わせることもできる。
【0008】
本発明によれば、好適にはMOCVD反応炉の、ヒータの加熱エレメントに対する機械的支持用端子は、加熱エレメントを支えるように構成された取付装置を備える。さらに、基礎に端子を固定する基礎装置と支持装置とが設けられ、支持装置は、半径方向軸に関して加熱エレメントの変位を許容すると共に、接線方向軸又は軸線方向軸、あるいは接線方向軸及び軸線方向軸に関して加熱エレメントの変位を10%程度以下に抑える。この半径方向、接線方向、軸線方向(の軸)は、決められた向きの姿勢で取付装置に取り付けられたときの加熱エレメントの平面的広がりにより画定される。
【0009】
具体的には、支持装置は、取付装置と基礎装置との間の力の通路内に位置する。さらに、支持装置は、ほぼ半径方向に沿って配向される1つの主スプリング方向を有し、当該半径方向は、決められた向きの姿勢で取付装置に取り付けられたときの加熱エレメントの平面的広がりにより画定される。加熱エレメントは、直線状か又は湾曲している。半径方向、軸線方向、及び接線方向は、取付装置における加熱エレメントの到達部分をほぼ真っ直ぐな形状とし得ることに加えた、加熱エレメントの全体的幾何学構造によって、画定することが可能である。詳細には、本発明に係る端子は、湾曲して到達する加熱エレメントを取り付ける取付装置を備え、したがって半径方向、軸線方向、及び接線方向が、決められた向きの姿勢で取付装置に取り付けられたときの加熱エレメントの湾曲によって画定される。また、本発明に係る端子は、直線状の加熱エレメントを取り付ける取付装置を備えることも可能で、この場合、半径方向は、決められた向きの姿勢で取付装置に取り付けられたときの加熱エレメントの平面的広がりによって画定される。
【0010】
事実上平面にあって、特に湾曲して到達する加熱エレメントは、具体的には、円で囲むことのできる延伸部を備え得る。したがって、加熱エレメントの異なる曲線の又は直線の部位は、その円の囲いの中に位置させることができる。この加熱エレメント自体は、加熱エレメントの昇温過程で加熱エレメントの熱変形を起こそうとすることを前提として、端子の取付装置に到達する。この熱変形は、端子の基礎装置に対する加熱エレメント及び取付装置の変動を引き起こす。加熱エレメントの昇温過程におけるこのような変動に対抗して、特に支持装置が1つの主スプリング方向を有する。
【0011】
本発明の意味にける「主スプリング方向」は、主弾性方向と称してもよい。この方向は、支持装置の材料及び形状のいずれか又は両方が主要な弾力性をもつ方向である。これは、具体的に言えば、端子の、特に支持装置の、異なる3方向の座標系との関連で理解される。このような座標系において、3座標の1つが1つの主スプリング方向を画定し、当該座標は実質的に、加熱エレメントの主な熱変形方向でもある。この理解によれば、本発明に係る端子は、取付装置における加熱エレメントの基礎装置に対する実質的に1つの単方向のみ、例えば半径方向又は半径方向軸への変動を、それぞれ減少させる能力をもつ。さらに、加熱エレメント材料内の熱ストレスを抑制する能力も得られる。特に、曲げモーメントが抑制され得る。これにより、加熱エレメントに、より安価で少ない材料を使用することができるようになり、そして加熱エレメントの寿命が向上する。
【0012】
本発明に係る端子は、好適にはMOCVD反応炉のヒータの、加熱エレメントに対する機械的支持用であることを意味する。したがってこの端子は、本発明に係るMOCVD反応炉ヒータ端子と呼ぶこともできる。
【0013】
本発明に係る端子は、加熱エレメントの機械的支持のみ、あるいは、加熱エレメントの機械的支持及び電気的支持を組み合わせた支持に、使用することができる。特に、同じ1つの端子が両方の種類の支持に使用され得る。本端子は、具体的に、加熱エレメントが湾曲した加熱エレメントである場合に、主スプリング方向において加熱エレメントの直径の2%までの加熱エレメントの変動が可能であるように構成される。特に、その支持装置が、湾曲加熱エレメントの直径の1%の加熱エレメントの変動を許容し、この構成は、室温と、1000〜2200℃の加熱エレメント動作温度との間における加熱エレメントの半径方向の熱変形を許容するのに十分なサスペンションである。
【0014】
端子、特にその支持装置は、1方向、すなわち主スプリング方向に関してフレキシブルである。そして、変形の3方向のうちの他の2方向については安定している。例えば3方向、すなわち半径方向(軸)、軸線方向(軸)、及び接線方向(軸)の1方向、を与える座標系において、半径方向においてのみ、フレキシビリティが付与される。したがって、当該態様の場合、半径方向が、支持装置の主スプリング方向であり、加熱エレメントの熱変形の一方向である。
【0015】
平面内で到達する加熱エレメントは、好適には湾曲して到達する加熱エレメントである。このエレメントは、少なくとも取付装置に到達する部位で湾曲構造の加熱エレメントとして理解される。この構造は、加熱エレメントの半径方向変動が起こるように加熱エレメントが熱によって変形を誘発させられる状況をもたらす。該加熱エレメントの半径方向変動は、半径方向に1つである主スプリング方向に従って端子により許容される。基礎装置は、具体的には、反応炉筐体の剛体基礎又はそれ自体が基礎板であり得る。基礎装置は、特に、MOCVD反応炉の他の部品に端子を取り付けることができるように構成される。
【0016】
用語「力の通路」は、基礎装置と取付装置との間の通路で、加熱エレメントの取付部位から基礎へ力を導く通路と理解される。「ほぼ半径方向に沿う」との言い回しは、半径方向に対して±10°の偏差を含む意味である。
【0017】
本発明に係る端子が、少なくとも1つの他のスプリング方向と支持装置の主スプリング方向との間の関係が10%以下であり、他の変形方向から1つの変形方向が事実上切り離されるという特徴をもつと、有利である。すなわち、スプリング半径方向に対するスプリング接線方向と、スプリング半径方向に対するスプリング軸線方向との関係が、10%以下になるという利点が得られる。これは、支持装置の他のスプリング方向に対する最大しきい値として理解される。特定の態様によれば、最大しきい値がもっと小さいと有利である。特に、相対的に長い支持装置を使用した場合、さらに小さい、例えば上記定義に従う5%又は1%の最大しきい値が有利である。
【0018】
本発明に係る端子は、支持装置がスプリングを備えるという特徴をもつことも可能である。具体的に、支持装置はリーフスプリングであり、当該リーフスプリングは、同じ方向へほぼ平行に配置された2以上のリーフ(板バネ)を備え得る。少なくとも2つのリーフスプリングを使用することで、端子全体を安価で簡素な構造とすることができる。さらに、リーフスプリングは、比較的大きな断面をもつことから、高い値の力を出す能力がある。リーフスプリングの形態は、具体的には、幅方向で10〜40mm、高さで100〜150mm、厚さで0.1〜1mmである。すべてのリーフスプリングは、特にその材料と寸法長のいずれか又は両方について統一することが、有益である。リーフスプリングは、少なくともほぼ平行に整列させることが有益である。少なくとも平行に配置したリーフスプリングを使用することで、平行四辺形が端子全体の機械的剛性マトリックスに構築されるという利点がある。剛性マトリックスの中において、半径方向だけがフレキシビリティの方向、つまり主スプリング方向である。この方向は他のスプリング方向、すなわち、接線及び軸線変形方向などの他の変形方向から切り離されている。リーフスプリングは、好適には、実質的に平板の形状である。
【0019】
本発明に係る端子は、加熱エレメントへ電力供給するように構成されるという特徴をもつこともできる。この場合、異種の外形とし得る。具体的には、端子の各要素、すなわち例えば取付装置、支持装置及び基礎装置のいずれか1つ以上が、取付装置へ電力を伝送できるような、したがって加熱エレメントへ電力を供給できるような、断面をもってつくられる。このような端子が少なくとも2つ、MOCVD反応炉内に配設されることで、本発明に係る当該端子の一方又は両方により正負の電気的接続が担われる。機械的支持と電気的支持という2つの要求に1つの端子が適合していると、有益である。
【0020】
本発明に係る端子は、支持装置と取付装置との間の接続と基礎装置との接続が事実上平坦な接続域でなされるという特徴をもつことが、有益である。この特徴により、特に断面の増加に応じて、電力の良好な供給が可能になる。さらに、例えば金属シートと一緒にしたネジなどの機械的固定を、簡単な方法で実施できる。加えて、事実上平坦な接続域は、力の通路に沿った、したがって支持装置に沿った及びこれを通した、力の良好な誘導を実現する。
【0021】
本発明に係る端子は、端子材料が少なくとも90重量%の耐熱金属を含むという特徴をもつと、有益である。具体的には、耐熱金属は、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、レニウム、及びこれらの合金から選択される。さらに言うと、耐熱金属は、タングステン、タングステンの合金、モリブデン、及びモリブデンの合金から選択される。特に、端子の全部品に、殊に支持装置に、同一材料が使用される。当材料の一例が、タングステン、又は真空蒸着タングステン合金として知られるタングステンの合金(少なくとも90重量%のタングステン)である。当材料のもう一つの例は、モリブデン、又はモリブデンの合金(少なくとも90重量%のモリブデン)である。
【0022】
本発明に係る端子は、取付装置が、取付装置と支持装置との間の接続部位から加熱エレメントの取付部位を引き離す延長部を備えるという特徴をもつことにより、さらなる利点を得られる。この特徴により、取付部位と支持装置への接続部位との間に距離を設けることができる。この距離は、加熱エレメントと基礎板との間に断熱スペースを提供する。
【0023】
本発明に係る端子は、支持装置の断面に対し、前記延長部の断面が小さいという特徴をもつこともできる。これら断面は、両者の全体的断面である。取付装置、支持装置及び基礎装置のいずれか1つ以上の外形線の内側に、延長部の外形線が位置しているという意味である。延長部の広がりに対して断熱材料中の穴を減らすことができる。
【0024】
当然のことながら、加熱エレメントを取付装置へ接続する方法は数多くある。例えば、クランプ、溶接、ねじ止め、ボルト止めなどである。加熱エレメントへの電力は、多くの場合、取付装置を通し流れるので、加熱エレメントを取付装置へ接続するために選択される方法は、取付装置と加熱エレメントとの間に十分な面接続を確保し、取付装置と加熱エレメントとの間に適切な電気的接続を確保するものである必要がある。
【0025】
本発明のさらなる目的の一つに、好適にはMOCVD反応炉用であり、少なくとも1つの加熱エレメントと本発明に係る少なくとも2つの端子とを備えたヒータを提供するという目的がある。このような本発明に係るヒータは、本発明に係る端子に関して詳細に上述したとおりの利点を達成する。
【0026】
本発明に係るヒータは、各加熱エレメントが2つの端子を備え、該端子が、加熱エレメントへ電力供給し且つ加熱エレメントの両端に配置されることを特徴とし得る。この特徴は、加熱過程中、過熱エレメントのほとんど全ての材料を使用することを可能にする。2つの端子を通した電力供給で昇温が行われる。当然ながらさらに端子を加えることも可能であり、これは特に、加熱エレメントの機械的支持用であり、加熱エレメントの両端に対し、電力供給用の2つの端部端子の間に、配置される。給電端子は、好適には、加熱エレメントを機械的に支持するようにも構成される。
【0027】
本発明に係るヒータは、少なくとも1つの端子の支持装置が、その安定(昇温されていない、つまり室温の)姿勢において予め張力(初期張力)をかけてあることを特徴とし得る。この特徴は、その初期張力が、特に、加熱エレメント使用時の支持装置の変動と同じ方向にあるという利点を生む。本発明がほぼ円形に延伸するヒータに使用される場合、初期張力は外方、すなわち半径方向へ向けられる。加熱エレメントは端子を適所に維持し、これにより初期張力の力を予め決められた状況に維持する。したがって、初期張力の方向は、特に、予想される熱変形の方向、すなわち主要な熱変形の方向である。この方向は、特に、支持装置の主スプリング方向、すなわち半径方向とも一致する。
【0028】
本発明に係るヒータは、支持装置の上記初期張力が、動作温度において加熱エレメントのスプリング張力を減少させることができるように適用してあるという特徴をもつことができる。ストレスは、具体的には、約2000°の明確な温度における加熱エレメントの降伏強度よりも低い値まで減少する。本発明のヒータを使用する温度は、特に、1000〜2200℃の温度範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下の図面を参照して本発明をさらに説明する。
図1】本発明に係る端子を概略的に示す。
図2】加熱エレメントを取り付けた図1の端子を概略的に示す。
図3図3aは、高温状況における図1の端子の具体例を概略的に示し、図3bは、図3aの状況を別の視点において概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図3bは、本発明に係る端子10の一実施形態を示す。この実施形態に係る端子10は、取付装置20と基礎装置30とを備える。基礎装置30は、例えば、支持板(図示せず)上に、ネジやその他の機械的固定手段を用いて固定されている。
【0031】
図2には、加熱エレメント100が取付装置20に取り付けられていることが示されている。そのために、取付装置20は延長部22を備える。該延長部22の頂部において、湾曲した加熱エレメント100が取付装置に取り付けられる。好適な加熱エレメント100の一例が、2012年8月7日出願の米国特許出願13/568,915「HEATING ELEMENT FOR A PLANAR HEATER OF A MOCVD REACTOR」(その内容はここに援用される)に示されている。
【0032】
取付装置20と基礎装置30との間には支持装置40が配設される。支持装置40は、基礎装置30と取付装置20との間の力の伝達経路中に位置するように配置される。言い換えると、加熱エレメント100により印加される力、又は加熱エレメント100に印加される力は、取付装置20から力の通路に沿って、すなわち支持装置40を通り、基礎板30へ、したがって例えばさらに支持板へ、導かれる。
【0033】
本実施形態の支持装置40は、スプリングであり得る。このスプリングは、少なくとも2つのリーフスプリングからなる。本発明の当実施形態では、3つのリーフスプリング42a,42b,42cが備えられている。リーフスプリング42a,42b,42cは、ほぼ平行にして同方向に配列される。これにより、幾何学的意味における平行四辺形に従ったスプリング要素の偏り(ふれ)が可能となる。
【0034】
図3a及び図3bは、その支持装置40が偏っている状況の一例を示す。この状況は、加熱エレメント100の加熱中に発生する。本発明に係る端子10がMOCVD反応炉に使用される場合、加熱エレメント100は1000〜2200℃まで昇温される。図2に示すように、加熱エレメント100は比較的大きい形態である。前記プロセス温度への昇温後又は昇温中、加熱エレメント100は、熱変形による影響を受ける。具体的には、加熱エレメント100の形態が長くなって、これに従い半径方向外方へ変位しようとする。加熱エレメント100内部の熱ストレスを減少させるべく、本発明に係る端子10は、基礎装置30に対する加熱エレメント100の変動を許容する。この変動は、図3a及び図3bに概略的に示すように、支持装置40に対抗して起こる。
【0035】
取付装置20は、基礎装置30に対する取付装置20の平行移動により、基礎装置30との関係で位置をずらす。このために、各リーフスプリング42a,42b,42cが変位して湾曲する。リーフスプリング42a,42b,42cが事実上平行に配置されているので、これらは1つの主スプリング方向を有する。図2に示すように、この主スプリング方向は、決められた向きの姿勢で取付装置に取り付けられたときの加熱エレメントに関する半径方向に向いている。したがって、半径方向の変形方向は、加熱エレメント100の及び端子10の他の変形方向から切り離される。当該切り離しは、具体的には、半径方向の変形により、他の変形方向、例えば加熱エレメント100の外接線方向又は軸線方向における変形が10%以下となるように、実施される。
【符号の説明】
【0036】
10 端子
20 取付装置
22 延長部
30 基礎装置
40 支持装置
42a リーフスプリング
42b リーフスプリング
42c リーフスプリング
100 加熱エレメント
図1
図2
図3a
図3b