(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341915
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】椎骨間インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-529925(P2015-529925)
(86)(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公表番号】特表2015-526249(P2015-526249A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】US2013056791
(87)【国際公開番号】WO2014035962
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月2日
(31)【優先権主張番号】13/595,137
(32)【優先日】2012年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ガーマン,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ニェミェク,マーシン
(72)【発明者】
【氏名】ポール,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】イオット,アンドルー
【審査官】
寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−505068(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/011078(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0093072(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0249628(US,A1)
【文献】
特表2010−504162(JP,A)
【文献】
特表2010−538684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面から下面へ延伸する第一の開口部を備える本体を含み、患者の椎骨間の空隙部内に適合するようなサイズおよび寸法を有し、所定時間、2つの隣接椎骨の分離を維持するように構成された、少なくとも1つの連結部と、
前記患者に挿入可能な少なくとも1つの剛性ガイド物体と、前記少なくとも1つの剛性ガイド物体および前記少なくとも1つの連結部はMIS法を使用して、前記患者に挿入可能なサイズを有する剛性ガイド物体と、
前記少なくとも1つの連結部の一端と前記少なくとも1つの剛性ガイド物体の一端との間に連結される少なくとも1つの回転軸とを備える患者の治療用処置のための椎骨間スペーサーシステムであって、
前記少なくとも1つの回転軸は、前記少なくとも1つの連結部のうちの前記1つと前記少なくとも1つの剛性ガイド物体のうちの前記1つの、角度の向きの相対範囲を制限するように構成され、前記少なくとも1つの回転軸は、前記少なくとも1つの剛性ガイド物体から前記少なくとも1つの連結部に挿入力を伝達するように構成され、前記少なくとも1つの連結部を前記椎骨間の空隙部内に進めるものであり、
隣接した連結部間を連結する旋回接合部と、
貫通した第二の開口部を備える本体を含む隣接した連結部に備えられたフック要素と係合するように構成された防振歯止めとをさらに備える、スペーサーシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの連結部のうちの1つに連結される第三の連結部をさらに備え、連結部は、互いに対して、第一の相対的にほぼ直線上の向きにおいて、本体内に挿入可能であり、前記椎骨間の空隙部では、曲線状に整列するように形成可能であり、各連結部が少なくとも一部、前記椎骨間の空隙部内の皮質骨にわたり配置可能である、請求項1に記載のスペーサーシステム。
【請求項3】
前記旋回接合部は、
前記少なくとも1つの連結部の隣接する1つ同士の間に延伸し、かつ前記少なくとも1つの連結部の隣接する1つに連結される可撓性コネクタと、
前記少なくとも1つの連結部の前記隣接した1つが、互いに対して所定の角度に対して旋回するとき、前記少なくとも1つの連結部の隣接した1つ同士の間での角度の付いた変位を保持するために動作するラッチ機構とを備える、請求項1に記載のスペーサーシステム。
【請求項4】
前記ラッチ機構は、フックと歯止め、フックとループ、磁気要素および機械式ラッチからなる群から選択される、請求項3に記載のスペーサーシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの旋回接合部のうちの少なくとも1つに隣接する停止突起部をさらに備え、前記停止突起部は、前記少なくとも1つの連結部の隣接する1つ同士の間の角度の付いた変位の範囲を制限するように構成されている、請求項1に記載のスペーサーシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの連結部のうちの少なくとも1つが、そこから前記患者の骨が成長する可能性のある1つ以上の開口部を備える、請求項1に記載のスペーサーシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの連結部のうちの少なくとも1つが、治癒、抗菌成長および骨成長の少なくとも1つを促進するように機能する治療用物質を含む、請求項1に記載のスペーサーシステム。
【請求項8】
少なくとも2つの前記少なくとも1つの連結部があり、前記少なくとも2つの連結部が実質的に異なる形状を有する、請求項1に記載のスペーサーシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの連結部のうちの少なくとも1つのうちの少なくとも1つの端部に形成された開口部を更に備え、前記連結部が前記椎骨間の空隙部内にあり、前記患者の外側に延伸するとき、前記開口部は、前記開口部の中から通過可能である柔軟ラインを通過させることができるサイズであり、それによって、前記ラインに加わる力は、操作可能であり、前記椎骨間の空隙部内で前記スペーサーシステムの位置を変更できる、請求項1に記載のスペーサーシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのガイド物体は、前記少なくとも1つの連結部の連続した1つである、請求項1に記載のスペーサーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎骨間の空隙部に関し、より詳細は、カニューレを介して所定の位置に挿入し、ガイドし得る椎骨間スペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
骨および骨構造は、支持体および構造を提供する能力に影響を及ぼすおそれのある様々な脆弱性を有し得る。骨構造の脆弱性は、変性疾患、腫瘍、亀裂および脱臼など、多数の潜在的原因を有する。医学および工学の進歩により、これらの欠点を緩和または治癒するための複数のデバイスおよび技術が医師に提供されている。
【0003】
場合によっては、脊柱は、このような欠点に対処するために、さらなる支持を必要とする。支持体を提供するための1つの技術は、スペーサーを隣接した椎骨間に挿入することである。椎間板空間の形成には、わずかな空間に切断工具を移動させることを含む。前述の疾患およびその他の疾病は、例えば、腹腔鏡的手法において、最小の切開部を介した体内組織の除去または成形かが有用なこともあり、この場合、工具は、体内の小さい開口部を介して通過するために、十分に小型である必要がある。一旦、椎骨間の空隙部に近づくと、スペーサーは、椎骨間の空隙部に挿入される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示により、患者の治療用処置のための椎骨間スペーサーは、患者の椎骨間スペーサー内に適合するようなサイズおよび寸法を有し、所定時間、2つの隣接椎骨の分離を維持するように構成された少なくとも1つの連結部と、患者に挿入可能な少なくとも1つの剛性ガイド物体と、この少なくとも1つの剛性ガイド物体および少なくとも1つの連結部はMIS法を使用して、患者に挿入なサイズを有する剛性ガイド物体と、少なくとも1つの連結部の一端と少なくとも1つの剛性ガイド物体の一端との間に接続される少なくとも1つの多軸回転軸と、少なくとも1つの連結部の1つおよび少なくとも1つの剛性ガイド物体の1つの角度のある向きの最大相対範囲を制限するように構成された少なくとも1つの回転軸と、少なくとも1つの連結部を椎骨間の空隙部に進めるために、少なくとも1つの剛性ガイド物体から少なくとも1つの連結部に挿入力を伝達するように構成された少なくとも1つの回転軸とを備える。
【0005】
椎骨間スペーサーの実施形態では、本体の外に延在可能な基端部および少なくとも1つの回転軸に接続可能な本体に延在可能な本体の外側の先端部を有する長尺状のガイド部材と、長尺状のガイド部材の先端部コネクタに解放可能に噛合可能な機械式コネクタを有する少なくとも1つの回転軸のうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの連結部のうちの少なくとも1つ内のチャンバ内で回転可能な少なくとも1つの回転軸のうちの少なくとも1つとを更に備える。
【0006】
別の実施形態では、少なくとも1つの回転軸のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの回転軸のうちの少なくとも1つの機械式コネクタを支持する半ナットと、少なくとも1つの連結部のうちの少なくとも1つ内で回動可能に支持可能なピンと、このピン内の、チャンバ内で回転可能な半ナットの半径と噛合可能な内部表面を有するチャンバと、ナットがチャンバ内にあり、ピンが、少なくとも1つの連結部のうちの少なくとも1つ内で枢動可能に支持されるとき、ナットによって支持される噛合機械式コネクタと連結可能な長尺状のガイド部材の機械式コネクタとを備える。さらに別の実施形態では、スペーサーは更に、少なくとも1つの連結部のうちの少なくとも1つのうちの少なくとも1つの端部に沿って形成されたテーパー状の端部を備える。
【0007】
本開示の別の実施形態によれば、患者の治療用処置のための椎骨間スペーサーは、患者の椎骨間の空隙部内に適合するサイズおよび寸法を有する複数の可撓に連結された連結部を備え、所定時間、2つの隣接した椎骨の分離を維持するように構成され、連結部は、サイズを縮小したMIS切開を用いて、チューブを介して患者に挿入可能であり、それぞれ複数の連結部の隣接した1つ同士の間の可撓性連結を形成する複数の回転軸と、互いに対して隣接した連結部間の相対的運動範囲を制限するように構成された複数の回転軸と、複数の連結部を患者の椎骨間の空隙部内で皮質骨に対応する半径形状に形成されるための協働する複数の回転部とを備える。
【0008】
その実施形態では、複数の回転軸は、鎖を椎骨間の空隙部内に進めるために押込み可能な先導連結部および後続連結部を有する、複数の連結部の鎖を形成するように構成され、先導連結部は、鎖を患者の椎骨間の空隙部に対応する曲線形状にガイドするために引き寄せることができる。
【0009】
別の実施形態では、複数の連結部は、複数の回転部の1つによって、互いに連結された少なくとも3つの連結部を備え、少なくとも3つの連結部は、互いに対して第一のほぼ相対的に整列された方向で本体に挿入可能であり、椎骨間の空隙において、曲線状に整列するように形成可能であり、複数の連結部は、椎骨間の空隙部中において、少なくとも一部、皮質骨にわたり配置可能である。
【0010】
その他の実施形態は、本体内を通過し、複数の連結部を椎骨間の空隙部に押し込むように構成された長尺状のガイド部材を備え、長尺状のガイド部材は、患者の身体の外側から患者の身体に延伸し、椎骨間の空隙部内の複数の連結部を押込むように構成されている。
【0011】
一実施形態では、複数の回転軸は、ギア、可撓性繊維、エラストマー系連結部、プレートおよびピン、ならびにピンからなる群から選択される連鎖部からなる。別の実施形態では、複数の回転軸は、複数の連結部の隣接した連結部間に延在し、連結させる可撓性コネクタと、複数の連結部の隣接した1つが、互いに対して所定の角度に対して旋回するとき、複数の連結部の隣接した1つ間での角度の付いた変位を保持するために動作するラッチ機構とを備える。これらの変更形態では、ラッチ機構は、フック、歯止め、フックおよびループ、磁気要素、ならびに機械式ラッチからなる群から選択される。
【0012】
更なる実施形態では、スペーサーとしては、複数の回転軸の少なくとも1つに隣接した停止突起部が挙げられ、停止部は、複数の連結部の隣接した1つ同士の間の角度の付いた変位の範囲を制限するように構成され、複数の連結部の少なくとも1つは、そこから患者の骨が成長する可能性のある1つ以上の開口部を備え、複数の連結部の少なくとも1つは、少なくとも1つの治癒、抗菌成長および骨成長を促進するように機能する治療用物質を含み、複数の連結部の少なくとも2つは、実質的に異なる形状を有し、また、スペーサーとしては、複数の連結部の少なくとも1つのうちの少なくとも1つの末端部に形成された開口部が挙げられ、開口部は、連結部が患者の外側に延伸するために、椎骨間の空隙部内にあるとき、開口部から通過可能な可撓性ラインの通過が可能であるサイズであり、連結部は、力がライン上に印加されると、椎骨間の空隙部内で回転するように構成される。
【0013】
本開示の各種方法によって、スペーサーの実施形態は、いずれも、患者の身体の外側から患者の身体の内側に延在するチューブを介して身体内に挿入してもよい。更に、この方法には、複数の連結部の少なくとも1つの先導末端部に形成された開口部を介して可撓性ラインを通過させることを含み得る。先導末端部は、第一に椎骨間の空隙部に進んだ末端部として画定され、ラインは、患者の身体の外側から開口部および患者の身体の外側の背部を介して通過し、複数の連結部が椎骨間の空隙部内に進むとき、ラインは、先導末端部に力が印加されることによって、先導部をガイドするための十分な強度を有する。
【0014】
本発明をさらに完全な理解、ならびに付随する利点およびこれらの特徴は、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、添付図面と共に考慮すると、さらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】椎骨間の空隙部中に挿入される本開示のスペーサーの断面図を示す。
【
図2】実質的に椎骨間の空隙部中の適切な位置にある
図1のスペーサーを示す。
【
図2A】
図2のスペーサーの一部を示す拡大図であり、本開示のスペーサーに付随するラッチ機構を示す。
【
図3】椎骨間の空隙部内の
図1のスペーサーおよび本体から取り外されるガイドラインを示す。
【
図4】サイズおよび形状の変更可能な連結部を示す、本開示の代替スペーサーを示す。
【
図6】椎骨間に埋め込んだ本開示のスペーサーの斜視図を示す。
【
図7】本開示の連結部およびガイド工具の代替的実施形態を示す。
【
図16】
図2の一部のスペーサーの拡大図であり、相対角度を変更するための、本開示による連続的連結部のギア機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
必要に応じて、詳細な実施形態が本明細書に開示されているが、開示した実施形態は、例に過ぎず、以下に記載されたシステムおよび方法が、様々な形態を含むことができることは理解される。したがって、本明細書にて開示された特定の構造的および機能的詳細は、限定するものとして解釈されるのではなく、適切かつ詳細な構造および機能において、事実上、様々に本発明の主題を採用するために、単に特許請求の範囲の基準として、および当業者に教示するための代表的基準として、解釈される。更に、本明細書で使用する用語および語句は、限定すること意図するものではなく、むしろ、理解できる概念の説明を提供するものである。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「a」または「an」は、1つまたは2つ以上として定義される。用語「複数の」は、本明細書で使用する場合、2つまたは3つ以上として定義される。用語「別の」は、本明細書で使用する場合、少なくとも2番目以降のものとして定義される。用語「を含む(including)」および「を有する(having)」は、本明細書で使用する場合、「を含む(comprising)」(すなわち、オープンランゲージ)として定義される。
【0018】
図1に関して、椎骨間のケージまたはスペーサー200は、患者の椎骨100の椎体102のかなりの部分にかかり、最小限の侵襲性切開および方法を介して、身体内および椎骨間の空隙部に入れる。より具体的には、スペーサー200は、一連の連結部202を含む狭くて長尺状の輪郭を形成する。
図1に示すように、連結部202は、最も幅の広い連結部202の幅と同一の、またはより小さい幅を有し得る切開部から通過させるために、直線的に整列させることができる。
【0019】
本開示の一実施形態では、チューブ、ガイドチャネルまたはカニューレ300は、切開部から、スペーサー200を埋め込む椎骨間の空隙部に隣接した位置まで通過させる。カニューレ300は、連結部202の直線形状が入り、皮膚およびカニューレ300または長尺状のスペーサー200よりも狭い、身体を介する通路の他の体内組織(図示せず)を伸展させ得るようなサイズとする。代替形態として、開創器または開創システムは、そこからスペーサー200を通過させることができる椎骨間の部位への通路を形成するために使用される。
【0020】
スペーサー200は、腰椎椎体間術またはTLIF(経椎間孔的腰椎椎体間固定)術を用いて挿入できる。一旦スペーサー200を挿入すると、ループになり、隣接した椎骨間の接触領域の大部分となる。より具体的には、骨質と椎体ケージの沈降率との間に高い相関関係がある。したがって、長期安定化の確率を上げるには、特に例えば疾患が原因で低骨質であるとき、スペーサー200は、一旦治療的に配置されると表面積は大きいが、身体に通過させることができ、輪郭を想定して形成し、小さいまたは狭い輪郭に形成される。輪郭を狭くすることにより、MIS(低侵襲手術)法が可能になり、非標的解剖の破壊を最小限に抑える。一実施形態では、スペーサー200は、椎体102の皮質骨104および海綿骨106のいずれにもかかる。
【0021】
更に
図1〜3を参照すると、連結部202は、枢動可能に互いに接合し、その結果、連続連結部が少なくとも1つの共通の方向に屈曲してもよい。このようにして、スペーサー200は、椎骨間に配置されると、挿入中、長尺状の鎖から円形状の鎖の変換も考えられる。
図2Aに旋回接合部230を示し、それぞれプレート204と連結部202とを連結している2つの連結ピン206を有するプレート204を示す。しかし、プレート204は、1つの連結部202に対して固定し得る、または単純に単一のピンにより連結され、隣接した連結部との連結でのみ回転する1つの連結部202の延伸材料により形成され得ることは、理解すべきである。あるいは、連結部202は、エラストマーなどの可撓性材料により形成されてもよく、または、可撓性繊維として形成され、隣接した各連結部202に確実に固定されてもよい。したがって、連結は、任意の既知の手段を用いて、隣接した連結部202との間に形成し、隣接した連結部202間の角度の向きまたは運動範囲を少なくとも1つの方向に変更することができ、その結果、鎖の連結部202は、ほぼ一直線の状態からループ形、丸形、楕円形、卵形、円形となり、相互に角度が付くこともある。有利にも、連結部間の接合は、複数軸(multiaxial)または多軸(polyaxial)であり、多くの平面上での連結部の角度の付いた相対的変位が可能である。
【0022】
スペーサー200は、有利にも、患者の解剖学的構造に適合する形状である。例えば、椎体の終板の陥没部に適合する。さらに、テーパー状の端部250は、有利にも、連結部を挿入すると、円板スペースの方に向く。
【0023】
図2Aは、さらに、意図した方向と反対の方向に角度が付いている場合、例えば、椎体102中央部から延伸するループを形成するなど、連結部202が隣接して形成されてもよいことを示す。連結部202は、隣接する形状であってもよい。または、例えば、望ましくない方向において、隣接した連結部の実質的に角度のある相対運動を阻止または防止するピンまたは停止突起部208が提供されてもよい。さらに、望ましい相対向きにおいて、隣接した連結部202の固定に役立つラッチ機構210を図示する。これによって、所望しないスペーサー200の身体内での移動の可能性が低下する。示された実施形態は、防振歯止め212が屈曲し、接合フック214の挿入、実質的に隣接した連結部202の再向きを防止する歯止め212とフック214との係合が可能になる。例えば、フック・ループ式ファスナー、磁気要素、および他の機械式ラッチの形態など、他の機構は、所望の最終的向きにおいて、連続的連結部の固定に使用されてもよい。あるいは、移動が予測または懸念されない場合、ラッチは、省略してもよい。
【0024】
最初は、スペーサー200は、1個以上の連結部202上で押すことによって、身体内に押し込むことができる。スペーサー200は、特に、直接操作では、例えば、ロッド、止血鉗子もしくは他の工具または剛性物体などにより、スペーサー200を身体内へおよび身体内で押込み、位置付けする押込み工具または押込み部材302の使用が困難となるため、さらに有利となり得る。
図1〜2に示す実施形態では、押込み工具または押込み部材302は、カニューレ300内に延在し、カニューレ300の内部穴に沿っておよび椎骨間の空隙部にスペーサー200を押し込んで、誘導する。
【0025】
図1〜3に更に示すことができるように、可撓性ガイドライン220は、身体内で連結部202の位置を制御するために、有利にも、1つ以上の連結部202に連結している。
図1〜3に示す実施例では、連結部220は、第一の連結部222に連結され、有利にも、第一の連結部の1つが身体内に入り、第一の連結部222を第一の連結部222の所望の最終位置に対して引っ張るために使用される。その結果、更なる連結部が椎骨間の空隙部内に押込まれ、互いに対して強制的に屈曲し、このため、椎体102表面の周りに広がるループを形成する傾向にあり、有利にも、椎体102の皮質骨および海綿骨104、106の上になる。ライン220は、例えば、構造材料または金属ワイヤーなど、好適な強度および厚さの任意の材料を用いて作製することができる。
【0026】
一旦、連結部202が治療的に有利な位置に行くと、カニューレ300は、身体から取り外してもよい。また、カニューレ300を本体から取り外す前または後に、ライン220を本体から取り外してもよい。簡単に取り外すには、ライン220の自由端は、連結部222内で開口部224から通過させてもよく、次に、自由端を制御することができる本体の外側へ延伸させることができる。ライン220を解放するには、自由端を解放し、ライン220を本体から取り外すこともできる。ライン220を制御する別の方法は、本明細書の
図5に記載する。
【0027】
図4を参照すると、スペーサー200Aは、残りの連結部202とは異なる形状である連結部202Aを含む。図に示した実施形態では、連結部202Aは、連結部202に対して延伸し、スペーサー200の最終の配置が容易である。本開示によれば、例えば、長い、幅が広い、背丈が高いまたは異なる湾曲を有するなど、特定の形状を有する連結部202Aは、一般的な形状の連結部によって提供される場合よりも、異なる支持体から利益を受ける身体の領域に隣接して配置してもよい。例えば、連結部202Aは、損傷組織領域に適合するサイズおよび寸法を有してよい。あるいは、連結部202Aは、連結部202を特定の最終形状に容易に誘導するために、例えば、
図4に示すように一定の湾曲を有することによって、異なる形状であってもよい。
【0028】
代替ライン220Aは、
図5に示す。ライン220Aは、複数の連結部内を通過するか、または別の方法で複数の連結部と連結させ、連結部202を患者の解剖学的構造によって、「折り返す」か、または湾曲した形状に「丸める」。より具体的には、開口部224Aは、2つ以上の連結部202内に提供し、そこからライン220Aを通過させる。図示した実施形態では、開口部224Aは、連結部202Aの側面から通過させるが、ライン220Aが1つ以上のループまたは連結部202A中に形成された相対的に短い穴から縫うように進んでもよいことを理解すべきである。このようにして、ライン224Aの片端または両端への張力が作用して、スペーサー200Aがスペーサー上で丸まり、患者の解剖学的構造に適合する。有利にも、ライン220Aの自由端の片側は、定置を保持し、他方が引っ張られ、スペーサー200Aの連結部202が円形状に形成される。
【0029】
本実施形態では、押込み部材302は、最後の連結部226に対して挿入力を働かせることができ、ライン220Aに加わった力は、スペーサー200Aを、例えば、椎骨間の空隙部内で患者の解剖学的構造に適合する湾曲形状などの所望の形状に誘導するために、通過するすべての連結部に影響を及ぼす。ライン220Aは、ライン220で記載したとおり、本体から取り外し可能である。特に、本体の外側を通過する2つのゆるい端部のいずれか一方は、スペーサー200Aからライン220Aを排出するために、引っ張ってもよい。患者の非標的領域、特に神経組織への影響を避けるために患者内の所定の通路に従うことは、スペーサー200/200Aに有利であることを理解すべきである。
【0030】
図6は、2つの隣接した椎骨の間に位置するスペーサー200/200A(ここでは、スペーサー200)を示す。図示する脊髄安定材310はスペーサー200と協働し、脊椎の更なる安定を提供する。一実施形態では、安定材310は、椎骨102A,102Bの上位/下位分離を制限するように、または椎骨100Bに対する椎骨100Aの側部変位を制限するように構成される。スペーサー200は、椎骨102A,102Bの分離が最小に維持されるように作動し、また、安定材310は、特に、骨の接合部が弱くなっている場合、この最小限の分離の維持に役立ち得る。1つの安定材310を示したが、スペーサー200と協働して、例えば、プレート、接着剤、ネジ、縫合、移植材料、足場材、または他の既知のまたは今後開発される安定化デバイスなど、任意の数の安定化要素を使用してもよい。実施例に示すとおり、安定材310は、椎骨102の両端に連結されている剛性または柔軟性ロッド312であり、本実施例では、多軸椎弓根スクリュー314を具備する。
【0031】
図7〜15に関して、本開示の一実施形態では、前述の実施形態に関して記載したとおり、成型連結部は、身体内に通過させる。しかし、
図1〜6に示される実施例に関して、本実施形態では、連結部202Bは、延伸され、本明細書に記載されるように、隣接した椎骨を単独でまたは他の連結部202と組み合わせて支持することができる。更に、本実施形態に従って、押込み部材302は、力を及ぼし、ライン220は、先導端部232を介して通過させる。このようにして、押込み部材302(図示された実施形態では、以下に示すレバー238)およびライン220によって加えられる相対力を調節することによって、連結部202Bの所定の最終向きを得ることができる。体内組織を介してまたは体内組織間で容易に挿入するには、先導端部232は、テーパー状の端部250を具備することが可能であり、これにより、徐々に体内組織を分離させ、挿入力が低減するか、または、体内組織への外傷を減少させる。
【0032】
図9は、連結部202Bの代替形状の分解図を示すが、以下に記載する要素は、本明細書に記載される任意の実施形態において、スペーサー200の連結部202,222,226と一体になってもよいことは理解すべきである。より具体的には、枢動ピン234は、回転可能なように本開示の連結部202内(本実施例では、連結部202B)で形成される適合チャンバ236内に保持される。一実施形態では、チャンバ入口244は、矢印「A」によって示される方向に沿って、ピン234を通過させることができるサイズの連結部202Bの少なくとも1つの側面内で形成される。締まりばめは、入口244を介したチャンバ236からピン234の意図しない解放を防止するために入口244とピン234との間に提供され得る。または、例えば、ネジ山付き継ぎ輪またはラチェット(図示せず)などの保持部材は、ピン234をチャンバ236内に維持するために提供され得る。
【0033】
一実施形態における枢動ピン234は、例えば、噛合ネジ山付き、連動または他の解放可能な機械的連結252を用いて、位置決めレバー238の形態を有する押込み部材302と噛み合わせることができ、その結果、連結部202Bはレバー238を用いて、身体に挿入し、既定の所望の位置に、レバー238を用いて、例えば、押したり引いたりすることに加えて、横方向に回転または移動させて、操作することができる。例えば、レバー238によって付与された衝撃力を用いて、一旦連結部202Bが椎骨間に挿入される。本明細書に記載されるように相互連結される場合、連結部202Bまたは一連の連結部は、椎骨間の空隙部にレバー238を用いて押し込んでもよく、身体の内側から身体の外側の位置に延伸し得る。
【0034】
図に示した実施形態では、連結部202Bに対して、レバー238のさらに広い運動範囲が可能になるために、球状ナットまたは半ナット240は、枢動ピン234内に形成された噛合している半径チャンバ242内に挿入される。半ナット240は、チャンバ236内にピン234を保持するために記載されているように、締まりばめまたは固定装置を用いて、半径型チャンバ242内に保持され得る。本実施形態では、スロット254は、ピン234内で形成され、例えば、レバー238などの操作要素の通路を摺動させることができ、レバー238は、例えば、ネジ山付き、連動または他の機械的連結を用いて、解放可能に半ナット240と係合できる。このようにして、連結部202Bを操作して、レバー238は、鉛直角および水平角の範囲から移動させてもよい。より具体的には、スロット254は、レバー238がスロット254内を通る位置では、有利にも、レバー238の最大径よりも実質的にさらに幅が広く、かつ背丈が高い。連結部202B内の対応するサイズのスロット260が提供され、レバー238のチャンバ236への通過および移動が可能なサイズおよび寸法を有し、有利にも、スロット254によって可能な範囲全体にわたり、レバー238の移動が可能である。一実施形態では、インプラントは、挿入中、A/Pまたは横方向に沿って、回転75度に制約され、小さいかまたは広範な回転範囲、例えば、35度〜145度の範囲内が可能である。スロット254,260、またはスロット254,260との組み合わせが、半ナット240と協動し、上位/下位方向において、小さい角度範囲が有利であっても、同様に、所与の範囲の運動が可能になることを理解すべきである。したがって、レバー238と連結部202Bとの間に形成された連結は、多軸(polyaxial)または複数軸(multiaxial)であり、これによって、軸外、非線形またはその他の理想的ではない解剖学的条件で、多くの平面上の上方/下方および横向の相対角度など、レバー238と連結部202Bとの間の任意の様々な相対角度で、本開示のスペーサー200またはインプラントは、円板スペースに挿入し得る。
【0035】
さらに、レバー238の末端部に確実に係合する半ナット240は、一致するように半径型チャンバ242に係合し、レバー238の全運動範囲にわたって、レバー238に加わった力を効率よく、スロット254内での連結部202Bに伝える。さらに、レバー238の末端部に確実に係合する半ナット240は、一致するように半径型チャンバ242に係合し、レバー238に加えた力を効率よく、スロット254内でのレバー238の全運動範囲にわたって、連結部202Bに伝える。さらに、半ナット240は、有利にも、例えば、ベアリング246またはカム付き噛合(図示せず)など、その動きが制限され、その結果、半ナット240とレバー238との間の機械式連結252は、常に容易となる。
【0036】
連結部202Bは、チャンバ236内でのピン234の円滑な動作を促進するために、操作可能なベアリング246をさらに提供されてもよい。一実施形態では、ベアリング246は、例えばピン234とチャンバ236の噛合面に形成された、協働スロット(図示せず)内で移動することによって、ピン234の運動範囲を制限するように構成され、操作される。1つ以上の追加連結部202は、本明細書に記載のように、前述の連結部202B用枢軸連鎖部など、本明細書に記載されるいずれの連鎖部を用いて連結部202Bの先導端部に連結されてもよいことは、理解すべきである。
【0037】
本明細書に示し、記載されたいずれの実施形態においても、スペーサー200の埋め込み部位および位置の画像化を行ってもよい。当業者に理解される方法、例えば、CアームX線透視装置を用いて、本開示の実施形態の適切な配置を確保する。例えば、
図9に示す要素は、放射線透過性、例えば、放射線不透過性であってよい。あるいは、一部の要素のみ、例えば、身体内でのスペーサー200の向きを容易に理解するために、放射線透過性であってもよい。一実施形態では、1つ以上の放射線透過性ピン248、例えば、三次元配置を明らかにするための3つのピンまたは他の要素は、画像化において、可視化を容易に行うために、スペーサー200(例えば、
図9のピン202Bなど)に追加してもよい。特に、スペーサー200は、円板空隙間部かつ身体内の最終位置に漸進的に移動する。
【0038】
体内組織と係合し、所望の位置において連結部202Bを固定するようなサイズおよび寸法を有する1つ以上の突起部262は、連結部202Bのそれぞれ上面および下面264、266の片面または両面から延伸して、提供される。突起部262は、錐体形状の歯などの形態を有し得る。追加の開口部268は、放射線不透過性要素を挿入することができるように、手術道具に連結するために、または骨の内植を連結部202/202Bに、もしくは隣接する骨の間の連結部202/202Bを介して進めるために、連結部202/202Bの本体内に提供されてもよい。
【0039】
図16を参照すると、ギアおよび駆動軸システムは、協働して、本開示のそれぞれの連結部200が丸くなる範囲を超えて、正確に制御することができる。図示した実施形態では、屈曲コネクタ270(例えば、バネまたは防振材料)は、連続連結部202間の回転運動を伝える。さらに、ギア272は、連結部202表面上でラック274に係合し、互いに隣接する連結部を回転させる。ラック274の長さによって、隣接する連結部202の角度のある変位が決定する。このようにして接合した連続連結部は、すべて軸部276が回転するとき、相対角度が変化する。軸部276は、身体内の外側に延伸し、または身体内の外側の延伸部に連結されてもよい。このため、スペーサー200の埋め込み中、および埋め込み後(例えば、画像化中)、角度を変更してもよい。当業者であれば理解するように、同一または同様の結果を得るためにギアと軸の異なる代替組み合わせの多くが、提供され得ると理解すべきであり、これがこうした例である。
【0040】
本開示によるスペーサー200は、MIS法(切開が小さく、体内組織の切開が少なく短い)を用いて挿入することができ、小型の管状器具を介して埋め込むことができ、これにより、麻酔下での時間を短縮し、患者への外傷を少なくすることができる。多数の連結部202を椎骨間の空隙部内に配置することによって、特に連結部202を頑健な組織間(例えば、皮質縁に沿って)に配置する場合、隣接する椎骨102の有害な陥没の可能性が低下する。さらに、種々のサイズおよび形状の連結部202が可能になることによって、所望のサイズのスペーサー200を形成することができ、身体に最適なように配置するように、その長さに沿って所望の位置で、特定の形状およびサイズを有するスペーサー200を形成することができる。
【0041】
本開示のデバイスにより、さらに、有利な脊椎への後方アプローチ、手術の簡素化、患者へのリスクおよび外傷減少が可能になる。例えば、スペーサー200は、経椎間孔的方法にて埋め込むことができる。さらに、有利にも、他の既知のまたは今後開発される固定形態を組み合わせて使用できる。スペーサー200および本開示の他のデバイスは、有利にも、PEEK(ポリエーテル工一テルケトン)、チタン(有利にも、身体中で使用するために十分な純度である)およびこれらの合金および/またはタンタルとの任意の組み合わせなどの生体適合性材料から作製される。自己移植片、同種異系移植片および異種移植材料などの生体組織または保存された組織を用いた製造と同様に、他のプラスチックおよび金属など、使用可能な他の多くの生体適合性材料があり、それぞれが、必要とされる強度、耐久性および他の特性によって選択される。材料は、治療用物質と混ぜ合わせて、治癒、抗菌性成長または骨成長を促進することができる。また、特に、例えば、骨内部成長および骨癒着が予期される部位では、生分解性材料と共に材料を形成してもよい。
【0042】
本明細書で引用した引用文献は、すべてその全体が本明細書に援用される。本発明には、多くの異なる特徴があり、これらの特徴を共にまたは別々に使用できるかを熟慮する。それとは反対に、上記に言及されていない限り、添付図面はいずれも正確な縮尺ではない点に留意すべきである。したがって、本発明は、任意の特定の特徴の組み合わせまたは本発明の特定の用途に限定するものではない。更に、本発明の趣旨及び範囲内の変更形態および修正形態が発生する可能性があることを、本発明が関係する当業者は理解すべきである。したがって、本発明の範囲及び趣旨内である本明細書で明らかになった開示より当業者によって容易に得られるすべての役立つ修正形態は、本発明の更なる実施形態として含まれる。