特許第6341921号(P6341921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341921
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】ブレンダ付きポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/16 20060101AFI20180604BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20180604BHJP
   B01F 7/08 20060101ALN20180604BHJP
   B01F 15/02 20060101ALN20180604BHJP
【FI】
   F04C2/16 A
   F04C15/00
   !B01F7/08 B
   !B01F15/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-539308(P2015-539308)
(86)(22)【出願日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】JP2014075404
(87)【国際公開番号】WO2015046318
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年2月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-199440(P2013-199440)
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391051027
【氏名又は名称】伏虎金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】前田 寛二
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−024492(JP,U)
【文献】 実開昭58−151433(JP,U)
【文献】 実公昭56−011941(JP,Y1)
【文献】 特開平09−309612(JP,A)
【文献】 特開平10−264148(JP,A)
【文献】 特開2002−187192(JP,A)
【文献】 特開2006−001252(JP,A)
【文献】 特開平05−000413(JP,A)
【文献】 特開平09−239255(JP,A)
【文献】 特開平10−151334(JP,A)
【文献】 特開2005−054691(JP,A)
【文献】 実開昭57−035736(JP,U)
【文献】 英国特許出願公開第01197523(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28C 3/00
B29B 7/00−94
B65G 33/00−38
F04C 2/00−46
F04C 15/00
B01F 7/08
B01F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被移送物を取り入れるための取入口および被移送物を吐出するための吐出口を有するポンプケーシング、ならびに、前記ポンプケーシング内に非接触で収容されるとともに前記取入口からの被移送物を加圧して前記吐出口へ送り出すポンプスクリュー、を有するポンプ部と、
前記ポンプ部のポンプケーシングの一端部に連結されていて前記ポンプスクリューの片端部を片持ち状で回動自在に支承するポンプ用軸受部と、
前記ポンプスクリューの片端部が前記ポンプ用軸受部を介して接続されたポンプ用回転駆動源と
前記ポンプ部の吐出口に連結されるとともに外部からの副材料を取り入れるための投入口を有する筒状の副材料投入部と、
前記副材料投入部に一端部が連結されるとともに被移送物および副材料を外部へ排出するための排出口が他端部に形成された筒状のブレンダケーシング、前記ブレンダケーシング内に当該ブレンダケーシングの筒心方向に沿って配備されて回転駆動される混合用回転軸、前記混合用回転軸の外周面に前記ブレンダケーシングと非接触の螺旋状に形成された撹拌用羽根板部、ならびに、前記撹拌用羽根板部と前記ブレンダケーシングの内周面との間または前記撹拌用羽根板部自体に、被移送物を被移送物移送方向に通過可能に形成された通路部を、備えて成るブレンダ部と、から構成されていて、
前記ポンプ部のポンプスクリューの遊動端に前記ブレンダ部の混合用回転軸の一端部が同軸心で連結されることにより前記混合用回転軸の他端部が遊動端とされ、前記ブレンダ部の撹拌用羽根板部の全体が、前記連結されたポンプスクリューの螺旋方向とは逆向きの螺旋状に形成されていることを特徴とするブレンダ付きポンプ
【請求項2】
前記ポンプ部が、互いに非接触で螺合して回転する一対のポンプスクリューと、前記一対のポンプスクリューを非接触で収容する収容室がケーシング内に形成されていて前記一対のポンプスクリューと前記収容室とによりポンプ室を形成するポンプケーシングと、から構成され、前記一対のポンプスクリューの片端部を片持ち状で回動自在に支承するポンプ用軸受部が前記ポンプケーシングの一端部に連結され、前記一対のポンプスクリューのそれぞれの遊動端に、前記各ポンプスクリューと同軸心に配置された一対の混合用回転軸の一端部がそれぞれ連結され、前記一対の混合用回転軸の外周面に形成されているそれぞれの撹拌用羽根板部が互いに非接触で螺合し、前記ポンプケーシングの他端部に、前記一対の混合用回転軸を収容するブレンダケーシングの一端部が連結され、前記ポンプスクリューと前記撹拌用羽根板部の間のブレンダケーシングに、外部からの副材料をポンプケーシング内に取り入れるための投入口を有する副材料投入部が設けられ、前記混合用回転軸の端側のブレンダケーシングに、被移送物および副材料を外部へ排出するための排出口が設けられていることを特徴とする請求項に記載のブレンダ付きポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被移送物の移送および副材料との混合を一台で行なえるブレンダ付きポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被移送物を移送して混合する移送装置としては、例えば特許文献1に記載された連続式のキャンディー製造装置が知られている。この特許文献1に開示のキャンディー製造装置は、タンクに貯留された高粘度の糖液を糖液ポンプにより供給配管に移送し、この供給配管の途中で、副材料ポンプにより送り出された副材料を合流させ、合流した糖液と副材料をインラインのスタティックミキサで混合したのちに、濃縮タンクへ払い出すようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−289168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、先述した特許文献記載のキャンディー製造装置はスタティックミキサを備えているが、このスタティックミキサは、低粘度の流体を高速で通過させる場合は比較的よく撹拌できて高い混合効率が得られる。しかしながら、高粘度の流体を通過させるときはミキサ内で流体の乱流を生じにくいことから、混合効率が大きく落ちるという難点がある。
一方で、特に食材などを取り扱うには、作業後の洗浄や衛生面から、食材などと接する面積が小さいことが望ましい。従って、糖液ポンプからスタティックミキサまでの供給配管は極力短いことが好ましく、理想は全く無いことである。また、糖液ポンプとスタティックミキサが別個独立に配置されており、それらの間に供給配管も存在することから、トータルの設置スペースを大きく取らなければならないという不具合もある。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、大きな設置スペースも取ることなく、被移送物および副材料の移送と混合を一台で行なうことのできるブレンダ付きポンプの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るブレンダ付きポンプは、被移送物を取り入れるための取入口および被移送物を吐出するための吐出口を有するポンプケーシング、ならびに、前記ポンプケーシング内に非接触で収容されるとともに前記取入口からの被移送物を加圧して前記吐出口へ送り出すポンプスクリュー、を有するポンプ部と、前記ポンプ部のポンプケーシングの一端部に連結されていて前記ポンプスクリューの片端部を片持ち状で回動自在に支承するポンプ用軸受部と、前記ポンプスクリューの片端部が前記ポンプ用軸受部を介して接続されたポンプ用回転駆動源と前記ポンプ部の吐出口に連結されるとともに外部からの副材料を取り入れるための投入口を有する筒状の副材料投入部と、前記副材料投入部に一端部が連結されるとともに被移送物および副材料を外部へ排出するための排出口が他端部に形成された筒状のブレンダケーシング、前記ブレンダケーシング内に当該ブレンダケーシングの筒心方向に沿って配備されて回転駆動される混合用回転軸、前記混合用回転軸の外周面に前記ブレンダケーシングと非接触の螺旋状に形成された撹拌用羽根板部、ならびに、前記撹拌用羽根板部と前記ブレンダケーシングの内周面との間または前記撹拌用羽根板部自体に、被移送物を被移送物移送方向に通過可能に形成された通路部を、備えて成るブレンダ部と、から構成されていて、前記ポンプ部のポンプスクリューの遊動端に前記ブレンダ部の混合用回転軸の一端部が同軸心で連結されることにより前記混合用回転軸の他端部が遊動端とされ、前記ブレンダ部の撹拌用羽根板部の全体が、前記連結されたポンプスクリューの螺旋方向とは逆向きの螺旋状に形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項に記載のブレンダ付きポンプにおいて、前記ポンプ部が、互いに非接触で螺合して回転する一対のポンプスクリューと、前記一対のポンプスクリューを非接触で収容する収容室がケーシング内に形成されていて前記一対のポンプスクリューと前記収容室とによりポンプ室を形成するポンプケーシングと、から構成され、前記一対のポンプスクリューの片端部を片持ち状で回動自在に支承するポンプ用軸受部が前記ポンプケーシングの一端部に連結され、前記一対のポンプスクリューのそれぞれの遊動端に、前記各ポンプスクリューと同軸心に配置された一対の混合用回転軸の一端部がそれぞれ連結され、前記一対の混合用回転軸の外周面に形成されているそれぞれの撹拌用羽根板部が互いに非接触で螺合し、前記ポンプケーシングの他端部に、前記一対の混合用回転軸を収容するブレンダケーシングの一端部が連結され、前記ポンプスクリューと前記撹拌用羽根板部の間のブレンダケーシングに、外部からの副材料をポンプケーシング内に取り入れるための投入口を有する副材料投入部が設けられ、前記混合用回転軸の端側のブレンダケーシングに、被移送物および副材料を外部へ排出するための排出口が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るブレンダ付きポンプによれば、ブレンダ部の混合用回転軸が規定の回転方向に回動されるときに撹拌用羽根板部の全体が被移送物および副材料をブレンダケーシングの一端部側に向けて押し戻す。加えて、被移送物および副材料は通路部を通って移送方向に移動できるので、撹拌用羽根板部による押し戻しと通路部での通過とを繰り返しながら、被移送物と副材料とを効率よく均一に混合することができる。また、ポンプスクリューと同軸心で連結された混合用回転軸回転軸の外周面に撹拌用羽根板部が設けられ、ポンプスクリューと撹拌用羽根板部の間の副材料投入部に副材料用の投入口が設けられ、混合用回転軸の遊動端側のブレンダケーシングに排出口が設けられていて、前記ブレンダ部の撹拌用羽根板部の全体が前記同軸心配置のポンプスクリューの螺旋方向とは逆向きの螺旋状に形成されているので、一台の装置で被移送物および副材料の移送と混合を行なえるのは無論のこと、ポンプ部とブレンダ部が隣り合わせの一体構造であるから、それらの間に配管類は存在しないので、作業後の配管類の洗浄を行なう必要がなく衛生面でも好適であり、特に食材などを取り扱ううえで好ましい。同時にコンパクトな構成であるから、スペースを大きく取ることなく設置することができる。
【0009】
更に、一対の混合用回転軸のそれぞれの撹拌用羽根板部が互いに非接触でポンプスクリューの螺旋方向とは逆向きの螺旋状に配置して設けられ、各撹拌用羽根板部に貫通部が形成されているものでは、撹拌用羽根板部の板面による押し戻し作用と貫通部の通過作用とにより、被移送物と副材料を効率よく混合することができる。すなわち、非接触式のポンプスクリューを有するものでポンプ機能とブレンダ機能の双方を合わせ持つブレンダ付きポンプを提供できたのである
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係るブレンダを用いたブレンダ付きポンプを示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図2】前記ブレンダ付きポンプの一部断面を含む内部平面構成図である。
図3図2におけるA−A線矢視部分断面図である。
図4】前記ブレンダ付きポンプの蓋体を外した状態の正面図である。
図5】前記ブレンダ付きポンプのポンプスクリューを示す図であって、(a)は一対のポンプスクリューとポンプケーシングの内周面を示す部分拡大平面図、(b)は一対のポンプスクリューを示す部分拡大平面図である。
図6】前記ブレンダ付きポンプのブレンダユニットの一方を示す図であって、(a)は一部側断面を含む側面図、(b)は(a)におけるB−B線矢視図である。
図7】前記ブレンダ付きポンプの動作を説明するための図であって、(a)は一対のポンプスクリューおよびブレンダユニットのアセンブリを示す平面図、b)は(a)におけるC−C線矢視図である
【符号の説明】
【0011】
ブレンダ付きポンプ
ポンプケーシング
2A 内周面
ブレンダケーシング
3A 内周面
4 本体ケーシング
5 ポンプ用軸受部
6 ポンプ室
7a,7b ポンプスクリュー
11 円錐コロ軸受
12 コロ軸受
14 接続口
18 取入口
19 排出口
23,24,25 投入口
26 遊動端
27 収容室
28a,28b,28ブレンダユニット
28A 一端部
29 混合用回転軸
34a,34撹拌用羽根板部
34A 外周面
34B 面
貫通部(通路部
38 遊動端
39 収容室
ポンプ部
副材料投入部
ブレンダ部
ブレンダ用軸受部
55 吐出口
63 ボール軸受
64 カップリング
65 回転駆動軸
66 突出
10ブレン
F 矢印
f 矢印
g,ga,gb 矢印
M モータ
M1 モータ
Q 被移送物
Rc 矢印
Xa,X軸心
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる各実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
「実施形態1」;
図1は本発明の実施形態1に係るブレンダを用いたブレンダ付きポンプを示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、図2は前記ブレンダ付きポンプの一部断面を含む内部平面構成図、図3図2におけるA−A線矢視部分断面図、図4は前記ブレンダ付きポンプの蓋体を外した状態の正面図である。
各図において、この実施形態に係るブレンダ付きポンプ1は、ケーシング内に収容室39,27が形成された筒状の本体ケーシング4と、本体ケーシング4の一端部に連結されたポンプ用軸受部5と、を備えている。前記の本体ケーシング4は、収容室39を有する前後筒状のポンプケーシング2と、ポンプケーシング2の前側の端面2C(他端部)に連結されて8収容室27を有する前後筒状のブレンダケーシング3と、から構成されている。このブレンダケーシング3の前側の端面3B(他端部)は、ボルトなどで固定された蓋板15で封止されている。高温の被移送物Qを取り扱う場合、本体ケーシング4の外面全体が、スチーム加熱式のジャケット40(図1(b)中の1点鎖線で示される)で被覆されることがある。
【0013】
前記のポンプ用軸受部5は、ハウジング9とカバー板10とから箱体状に構成されており、カバー板10の前面に、ポンプケーシング2の後側の端面2B(一端部)が連結されてボルトなどで固定されている。ハウジング9内には円錐コロ軸受11,11とコロ軸受12,12が配備されている。これらのコロ軸受11,12はポンプスクリュー7aの軸部8aの片端部8Aを片持ち状に回動自在に支承している。ポンプスクリュー7bの軸部8bの片端部8Aも別の円錐コロ軸受11とコロ軸受12により片持ち状に回動自在に支承されている。すなわち、ポンプスクリュー7a,7bの後部側は、ハウジング9内でそれぞれ回転自由に二点支持されている。ポンプケーシング2内でカバー板10の近傍位置のポンプスクリュー7a,7bには、ダブルメカニカルシール16,16が装着されている。そして、ポンプスクリュー7aの軸部8aには、同期歯車13aが固着されている。ポンプスクリュー7bの軸部8bには、前記の同期歯車13aと噛合する同期歯車13bが固着されている。これら同期歯車13aと同期歯車13bとの同期噛合により、一対のポンプスクリュー7a,7bは、いかなる回転角度でも互いに接触しないで噛み合うように同期回転する。この場合、ポンプスクリュー7aの軸部8aが、駆動軸として、減速機構などの連結機構30を介してモータM(ポンプ用回転駆動源の例)に連結されている。
【0014】
前記の収容室39は、ポンプケーシング2に正面視繭形状で前後貫通して形成されている。そして、ブレンダケーシング3の接続口14が、吐出口55を有するポンプケーシング2の前側の端面2C(他端部)に連結されている。ブレンダケーシング3の前側の端面3B(他端部)は、ボルトなどで固定される蓋体15によって封止されている。収容室39内には、軸心Xa回りに回転するポンプスクリュー7aと、このポンプスクリュー7aと常に非接触で螺合して軸心Xb回りに回転するポンプスクリュー7bと、が格納される。ポンプスクリュー7a,7bは本発明に係る加圧運動部材の一例である。これらポンプスクリュー7aの螺旋方向とポンプスクリュー7bの螺旋方向は逆向きである。ポンプスクリュー7a,7bの後部とカバー板10間の位置でポンプケーシング2の上面には、収容室39内とケーシング上方外部とを連通する取入口18が形成されている。この取入口18を囲むポンプケーシング2の上面位置には、上面開口縁にフェルール継手部22を有する管部21がボルトなどで固定され、管部21の上面開口には、例えばスチーム加熱式ジャケット付きのホッパーなどが接続される。
【0015】
そして、各ポンプスクリュー7a,7bのスクリュー歯の外周面7Bとポンプスクリュー2の収容室52の内周面2Aとの間には、図5(a)に示すように、隙間Hが設けられて常時非接触になっている。一対のポンプスクリュー7a,7bは、軸部8a,8bが挿し通されて固定される円筒状の基部7A,7Aの外周面に螺旋状のスクリュー歯が突設されている。また、ポンプスクリュー7aのスクリュー歯の側面7Saとポンプスクリュー7bのスクリュー歯の側面7Sbとの間には、図5(b)に示すように、隙間Gが設けられて常時非接触になっている。一対のポンプスクリュー7a,7bが如何なる回転角度の位置にあっても、これらの隙間G,Hは常に存在する。前記した隙間H,Gはいずれも、気体は通過可能であるが被移送物Qの高粘度液や硬・軟質固形物は通過できない隙間幅に設定されている。この場合、隙間Gの隙間幅は例えば0.03〜0.09mmであり、隙間Hの隙間幅は例えば0.12〜0.18mmである。そして、これら一対のポンプスクリュー7a,7bにより被移送物Qを移送し得るポンプ作用が引き起こされるのは、図2中に示した領域Pの範囲内である。尚、ブレンダ付きポンプ1が食品、医薬品、化粧料材料などの移送用である場合は、衛生面および性質保持の観点から、被移送物Qが直に接する部品として、少なくとも管部21、ポンプケーシング2、カバー板10、ポンプスクリュー7a,7b、ブレンダケーシング3、ブレンダユニット28a,28b、蓋板15、管部44などを、ステンレス製部品で構成することが望ましい。すなわち、ポンプケーシング2およびポンプスクリュー7a,7bから、容積式の軸流ポンプであるポンプ部51が構成される。
【0016】
前記の収容室27は、ブレンダケーシング3に正面視繭形状で前後貫通して形成されている(図4参照)。そして、ポンプスクリュー7a,7bの軸部8a,8bの遊動端26,26が、連結部材32,32を介して、一対のブレンダユニット28a,28bの混合用回転軸29,29の一端部28Aと連結される。これらのブレンダユニット28a,28bは収容室27内に収容される。ブレンダユニット28a,28bの前端部(他端部)は、軸受などに支承されていない遊動端38,38となっている。これらの遊動端38,38の端面は、端面カバー31,31で蓋止される。一方、ポンプスクリュー7a,7bと撹拌用羽根板部34a,34bの間は副材料投入部52になっており、この副材料投入部52におけるブレンダケーシング3の上面には、ポンプ外からの副材料をブレンダケーシング3内に取り入れるための3つの投入口23,24,25が形成されている。これらの投入口23,24,25は、被移送物Qに対する副材料の添加比率に応じた口径で形成されている。因みに、真ん中の投入口23の口径が最も大きくされ、撹拌用羽根板部34a寄りの投入口24と撹拌用羽根板部34b寄りの投入口25は、投入口23よりもいくぶん小径に形成されている。他方、混合用回転軸29,29の遊動端38,38の下方位置でブレンダケーシング3の底面には、被移送物Qと副材料との混合物をポンプ外へ吐出するための排出口19が形成されている。この排出口19を囲むブレンダケーシング3の下面位置には、下面開口縁にフェルール部17を有する管部44が接続され、管部44のフェルール部17に配管37が接続されてクランプバンド36により固定される。配管37の先端は混合物受け容器などに接続される。
【0017】
観察し易くするために、一方の撹拌用羽根板部34aのみを図6に示しているが、他方の撹拌用羽根板部34b(図示省略)も備えている。一対の混合用回転軸29,29の外周面には、らせん板状の撹拌用羽根板部34a,34bが回転軸半径方向外向きに突設されている。これらの撹拌用羽根板部34a,34bはいずれも、混合用回転軸29,29に連結されたポンプスクリュー7a,7bの螺旋方向とは逆向きの螺旋状配置で設けられている。これら一対の撹拌用羽根板部34a,34bは互いに非接触で螺合して回転できるように形成されている。そして、撹拌用羽根板部34a,34bには、それぞれ、被移送物Qを通過可能な複数の貫通部(通路部の例)35,35,35,・・・が被移送物移送方向(黒塗矢印F方向)に貫通して形成されている。これらの貫通部35,35,35,・・・は、撹拌用羽根板部34a,34bの回転軸半径方向最外の外周面34Aから混合用回転軸29,29の軸心Xa,Xbに向かって切り欠かれた切欠き部として形成されている。混合用回転軸29,29の末端には、ポンプスクリュー7a,7bとの連結に用いられる連結部材32が固着されている。この連結部材32はその凸部32Aが基部7A先端面の凹部品に嵌め込まれ更にピン穴33に装着されたピンによって周方向の位置決めがされる。撹拌用羽根板部34a,34bの外周面34Aとブレンダケーシング3の内周面3Aとの間には、比較的大きな隙間が設けられている。また、撹拌用羽根部34a,34bは、混合用回転軸29の軸心Xa,Xbに対する傾きが、混合用回転軸29,29が規定の回転方向(矢印Ra,Rb)に回動されるときに被移送物および副材料をブレンダケーシング3の一端部側に向けて押し戻せる向きに設定されている。すなわち、ブレンダケーシング3、混合用回転軸29,29、撹拌用羽根部34a,34b、および貫通部35からブレンダ部53が構成され、副材料投入部52およびブレンダ部53からブレンダ101が構成され、ポンプ用軸受部5、ポンプ部51およびブレンダ101からブレンダ付きポンプ1が構成される。
【0018】
上記のように構成されたブレンダ付きポンプ1の作用を次に説明する。ここでは、高粘度の被移送物Qとして、相対粘度が50Pa・s(@100℃)の「溶融キャンディー材料」を用いた例を示す。溶融キャンディー材料は、例えば砂糖、水飴などの原材料を加熱して煮詰めた糖液である。そして、副材料は投入口23,24,25から投入される。例えば、投入口23からは加熱溶融させたバターがポンプ動力などで圧入され、投入口24からは加熱溶融させたチョコレートがポンプ動力などで圧入され、投入口25からは加熱溶融させた油脂分がポンプ動力などで圧入されるものとする。
【0019】
先ず、モータMの回転駆動により、ポンプスクリュー7aが一方向(図7(b)の矢印Ra方向)に回転すると、同期歯車13a,13bを介して動力伝達されたポンプスクリュー7bが逆方向(図7(b)の矢印Rb方向)に同期回転する。ポンプスクリュー7a,7bの回転速度は、例えば100〜1000rpmである。すると、ホッパー内の被移送物Qはホッパーから管部21およびポンプケーシング2の取入口18を経てポンプ室6内に入る。そして、ポンプ室6内に落下した被移送物Qは、ポンプスクリュー7a,7bのポンプ作用によって黒塗矢印F方向に圧送され、ポンプケーシング2の吐出口55からブレンダケーシング3の接続口14を経て、ブレンダケーシング3内のブレンダユニット28a,28bに向けて移送されていく。ここで、被移送物Qは、いずれも副材料投入部52の投入口23から圧入された溶融バター、投入口24から圧入された溶融チョコレート、投入口25から圧入された溶融油脂分と合流したのち、共にブレンダユニット28a,28bに到達する。
【0020】
そして、被移送物Q、溶融バター、溶融チョコレート、および溶融油脂分の合流物は、図7に示すように、ブレンダユニット28a,28bの撹拌用羽根板部34a,34bの上流側(接続口14側)の板面で押圧されて、矢印ga,gbで示されるような押し戻し方向ないし回転軸周方向に移動する。一方、前記合流物の一部は、撹拌用羽根板部34a,34bの板面に当たることなく、貫通部35,35,35,・・・を矢印fのように通過して次の段の板面に到達する。そして、前記のように板面で押し戻された合流物と、貫通部35,35,35,・・・を通過した合流物とが、ぶつかって混合される。このような押し戻し移動と通過移動による混合作用が繰り返されて被移送物Qおよび副材料が効率よく確実に混合されて混合物となる。尚、撹拌用羽根板部34a,34bの板面による押し戻し力はさほど大きくなく、撹拌用羽根板部34a,34b間の隙間、および撹拌用羽根板部34a,34bとブレンダケーシング3の内周面3A間の隙間も十分に大きいので、前記混合物はポンプスクリュー7a,7bのポンプ作用による移送力によって、ブレンダユニット28a,28b内を移動でき、十分に混合されたのちに排出口19から払い出される。排出口19から払い出された混合物は受け容器に収容されたのちに型内で成形され、放冷されてキャンディー製品となる。
【0021】
以上に述べたように、この実施形態のブレンダ付きポンプ1によれば、流動物である被移送物Qが、ポンプスクリュー7a,7b間の隙間G、およびポンプスクリュー7aまたは7bと収容室52の内周面2Aとの隙間Hを通過できないので、ポンプスクリュー7a,7bによるポンプ作用を受けて圧送される。この際、ポンプスクリュー7a,7b、ポンプケーシング2の内周面2Aは非接触なので、金属摩耗粉を発生させることなく被移送物Qに剪断力を与えない。すなわち、食品、医療品などを変質させることなく移送することができる。そして、ポンプスクリュー7a,7bから吐出口55を経て吐出された被移送物Qは投入口23〜25からの副材料と合流したのちに、ブレンダユニット28a,28bに到達することができる。前記の合流物はブレンダユニット28a,28bで効率よく撹拌混合される。すなわち、一台で被移送物Qおよび副材料の移送と撹拌混合の両方を行なうことができる。
また、本体ケーシング4内において、ポンプ部51に隣接してブレンダ部53が配置されているので、それらの間に配管類は存在しない。従って、装置使用後の配管洗浄を行なう必要が無くなって衛生面でも好適であり、特に食材などを取り扱ううえで好ましい。加えて、ポンプ部51とブレンダ部53とが隣り合わせの一体構造であるから、コンパクトな構成となり、スペースを大きく取ることなく装置の設置ができる。
【0022】
また、上記のように、ブレンダユニット28a,28bの撹拌用羽根板部34a,34bがポンプスクリュー7a,7bの螺旋方向とは逆向きの螺旋状に配置されているので、撹拌用羽根板部34a,34bの板面による押し戻し作用と貫通部35の通過作用とにより、合流物を効率よく混合することができる。そして、貫通部35は外周面34Aから切り欠かれた切欠き部であるので、切削機械を用いて容易に製作できるうえ、円孔などの貫通部と比べて貫通面積を大きくとることができる。これにより、混合物の通過量が大きくなることから、撹拌量を多くでき、混合効率を更に高めることができる。
【0023】
尚、上記の実施形態1では、撹拌用羽根板部の回転軸半径方向最外の外周面から回転軸心向かって切り欠かれた貫通部を例示したが、本発明はそれに限定されない。撹拌用羽根板部に被移送物移送方向に貫通して形成される貫通部としては、前記の切欠き部以外に、撹拌用羽根板部の外周面とつながっていない貫通孔(円孔、長円孔、多角孔その他)であってもよい。このような貫通孔であっても、大きめに形成しておけば、十分な混合物通過効果を得ることができる。
また、上記の実施形態1では、2本のポンプスクリュー7a,7bの他端部の双方に一対のブレンダユニット28a,28bを接続した例を示したが、ポンプスクリュー7a,7bのうちのいずれか一方のみに1本のブレンダユニットを接続して成るブレンダ付きポンプも、本発明に含まれる
【0024】
尚、本発明のブレンダ付きポンプによる移送および撹拌混合に用いられる高粘度の被移送物Qとしては、上記した溶融キャンディー材料以外に、例えば水飴、味噌などの食品、クリームなどの化粧料、溶融合成樹脂などの工業材料、あるいは医療用材料なども挙げられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7