(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重鎖がヒトIgG4の重鎖であり、重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID NO: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基で置換されたCH領域を含むよう改変されている、請求項1〜6のいずれか一項記載の一価抗体。
重鎖がヒトIgG4の重鎖であり、重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID NO: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基の一方がシステイン以外のアミノ酸残基で置換され、かつSEQ ID NO: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基のもう一方が欠失されたCH領域を含むよう改変されている、請求項1〜6のいずれか一項記載の一価抗体。
【発明を実施するための形態】
【0059】
発明の詳細な説明
本発明をより容易に理解してもらうため、特定の用語を最初に定義しておく。さらなる定義は詳細な説明を通じて示される。
【0060】
本明細書中で言及される「抗体」という用語には、抗体分子全体、抗原結合フラグメント、一価抗体、およびそれらの単鎖が含まれる。抗体分子は、免疫グロブリンと呼ばれる血漿タンパク質のファミリーに属し、その基本的な構成単位、免疫グロブリンフォールドまたはドメインは、多くの免疫系およびその他の生物学的認識系の分子において様々な形で使用されている。ネイティブの抗体および免疫グロブリンは通常、二つの同一の軽(L)鎖および二つの同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各々の軽鎖は、一つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に連結されているが、ジスルフィド結合の数は様々な免疫グロブリンアイソタイプの重鎖によって異なる。各々の重鎖および軽鎖はまた、一定間隔の鎖間ジスルフィド架橋を有し得る。各々の軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中ではV
Lと省略する)および軽鎖定常領域(本明細書中ではC
Lと省略する)から構成される。各々の重鎖は、重鎖可変領域(V
H)ならびにC
H1、C
H2、およびC
H3の三つのドメインからなる重鎖定常領域(C
H)、ならびにヒンジ領域から構成される。軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一定常ドメイン(C
H1)と整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列して、「Fabフラグメント」として公知の構造を形成する。重鎖のC
H1およびC
H2は、いわゆるヒンジ領域によって相互に隔てられており、これによって、抗体分子の「腕部」であるFabが一定範囲でスイングできる。ヒンジ領域は通常、一つまたは複数のシステイン残基を含み、これが抗体分子におけるもう一方の重鎖のヒンジ領域のシステイン残基とジスルフィド結合を形成し得る。
【0061】
重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(C1q)を含む宿主の組織または因子の結合を媒介し得る。
【0062】
免疫グロブリンは、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには少なくとも5つの大クラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4;IgA1およびIgA2に分類され得る。異なる免疫グロブリンクラスに対応する重鎖定常ドメインの遺伝子は、それぞれ、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、およびミュー(μ)と呼ばれる。免疫グロブリンのサブクラスは、異なる遺伝子、例えばγ1、γ2、γ3、およびγ4によってコードされる。抗体軽鎖の遺伝子は、それらの定常ドメインのアミノ配列に基づき、二つの明確に異なるタイプ、カッパ(κ)およびラムダ(λ)のうちの一方に割り当てられる。異なる免疫グロブリンクラスのサブユニット構造および三次元配座は周知である。ヒト集団には、異なる免疫グロブリンのアロタイプ、例えばIgG1重鎖についてはG1m(a)、G1m(x)、G1m(f)、およびG1m(z)、ならびにカッパ軽鎖についてはKm1、Km1,2、およびKm3が存在する。これらのアロタイプは、定常領域をコードする領域のアミノ酸が相違する。
【0063】
抗体という用語はまた、アミノ酸残基の一つまたは複数が、そのアミノ酸配列を含む抗体の結合特性に有意な影響を及ぼさずまたは変化させずに、例えばアシル化またはグリコシル化によって誘導体化された、抗体の「誘導体」を包含する。
【0064】
本発明の文脈において、一価抗体の誘導体は、そうでないことが示されるかまたは文脈と矛盾しない限り、例えば、一価抗体の一つもしくは複数のアミノ酸残基が化学的に改変されている(例えば、アルキル化、アシル化、エステル形成、またはアミド形成によって)か、または一つもしくは複数の非アミノ酸の有機および/もしくは無機原子もしくは分子置換基(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)基、親油性基(任意に、スペーサー残基もしくはβ-アラニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、L/D-グルタミン酸、コハク酸等の基によりこのペプチドのアミノ酸配列に連結され得る)、フルオロフォア、ビオチン、放射性核種等)を伴う一価抗体であり得、かつ同様にまたは代替的に、非必須、非天然および/もしくは非Lアミノ酸残基を含み得る(しかし、繰り返すが、このような誘導体は、それ自体は本発明から独立した特徴とみなされ、ペプチドの意味の中にこのような分子を含めるのは本発明を説明する上で好都合だからであり、未改変のペプチドとこのような誘導体の間のある種の等価性を示唆するためではないことが理解されるべきである)。このようなアミノ酸残基の非限定的な例には、例えば、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチルリジン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、およびスタチンハロゲン化アミノ酸が含まれる。
【0065】
抗体のインビボ半減期は、例えば、Ig定常ドメインまたはIg様定常ドメインのサルベージ受容体エピトープを改変し、その分子がインタクトなC
H2ドメインまたはインタクトなIg Fc領域を含まないようにすることによって改善され得る。US 6121022およびUS 6194551を参照のこと。インビボ半減期はさらに、例えばインタクトな抗体分子の252位に対応する位置のロイシンをスレオニンで、インタクトな抗体分子の254位に対応する位置のセリンをスレオニンで、またはインタクトな抗体分子の256位に対応する位置のフェニルアラニンをスレオニンで置換することによってFc領域に変異を導入することにより増加され得る。US 6277375を参照のこと。
【0066】
さらに、抗体、特にFabまたは他のフラグメントは、半減期を増加させるためにペグ化され得る。これは、例えばFocus on Growth Factors 3, 4-10(1992)、EP 154 316、およびEP 401 384に記載されるような、当技術分野で公知のペグ化反応によって行われ得る。
【0067】
変異はまた、抗体コード配列の全体または一部に、例えば飽和変異誘発によって、無作為に導入され得、得られる改変抗体は、結合活性および/または他の特徴についてスクリーニングされ得る。
【0068】
「抗体誘導体」という用語は、任意の改変型の抗体、例えば抗体と別の作用物質または抗体の抱合体を意味する。
【0069】
一価抗体などの抗体の「抗原結合部分」または「抗原結合ドメイン」という用語は、本明細書中で使用する場合、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の一つまたは複数のフラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって発揮され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例には、以下が含まれる:
(i)V
L、V
H、C
L、およびC
H1ドメインからなる一価フラグメントであるFabまたはFab'フラグメント;
(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって連結された二つのFab'フラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab')
2フラグメント;
(iii)本質的にV
HおよびC
H1ドメインからなるFdフラグメント;
(iv)本質的に抗体の一本のアームのV
LおよびV
HドメインからなるFvフラグメント;
(v)本質的にV
HドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., Nature 341, 544-546(1989));
(vi)単離された相補性決定領域(CDR);ならびに
(vii)合成リンカーによって任意に接続され得る二つまたは複数の単離されたCDRの組み合わせ。
【0070】
さらに、Fvフラグメントの二つのドメイン、V
LおよびV
Hは別々の遺伝子によりコードされるが、それらは、組換え法を用いることで、V
LおよびV
H領域が一価分子を形成するよう一組にされた一つのタンパク質鎖として生成させ得る合成リンカーによって接続され得る(単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)として公知である。例えば、Bird et al., Science 242, 423-426(1988)およびHuston et al., PNAS USA 85, 5879-5883(1988)を参照のこと)。このような単鎖抗体は、そうでないことが記されるか文脈から明確に示されないかぎり、抗体という用語に包含される。
【0071】
さらなる例は、
(i)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチド、
(ii)ヒンジ領域に融合された免疫グロブリン重鎖C
H2定常領域、および
(iii)C
H2定常領域に融合された免疫グロブリン重鎖C
H3定常領域
に融合された抗原結合ドメインポリペプチドを含む、抗原結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である。
【0072】
抗原結合ドメインポリペプチドは、重鎖可変領域もしくは軽鎖可変領域、scFv、または抗原に特異的に結合できる任意のその他のポリペプチドであり得る。このような結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質はさらに、US 2003/0118592およびUS 2003/0133939に開示されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来技術を用いて獲得され、そのフラグメントはインタクトな抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングされる。
【0073】
「抗体半分子(antibody half-molecule)」という用語は、一つのみの軽鎖および一つのみの重鎖を含み、水溶液中で一つの軽鎖および一つの重鎖のヘテロ二量体として存在することを除いて上記の通りの抗体分子を意味するものとして本明細書中で使用される。このような抗体は、抗原結合部分が一つのみしか存在しないため、本来的に一価である。
【0074】
ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の文脈において、「保存的配列改変」という用語は、そのヌクレオチド配列によってコードされるまたはそのアミノ酸配列を含む抗体の結合特性に有意に影響しないまたは変化させない、それぞれ、ヌクレオチドおよびアミノ酸の改変である。このような保存的配列改変には、ヌクレオチドおよびアミノ酸の置換、付加、および欠失が含まれる。改変は、当技術分野で公知の標準技術、例えば部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発によってその配列に導入され得る。保存的アミノ酸置換には、そのアミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものが含まれる。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分枝側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。従って、特定の抗原に対して特異的なヒト抗体における推定非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリー内の別のアミノ酸で置換され得る。
【0075】
本明細書中で使用する場合、ヒト抗体は、その抗体がヒト免疫グロブリン配列を用いる系から、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを免疫することによってまたはヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリをスクリーニングすることによって獲得される場合、特定の生殖細胞配列に「由来」するものであり、かつ選択されたヒト抗体の可変性の遺伝子コード領域(重鎖または軽鎖のCDR3を含まない)は、核酸配列において、生殖細胞免疫グロブリン遺伝子と少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも96%、97%、98%、または99%同一である。典型的には、特定のヒト生殖細胞配列由来のヒト抗体は、生殖細胞免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列と、10個以下のアミノ酸の違い、より好ましくは5個以下、またはさらにより好ましくは4、3、2、もしくは1個以下のアミノ酸の違いを示す。
【0076】
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合することのできるタンパク質の決定基を意味する。エピトープは通常、化学的に活性な表面分子群、例えばアミノ酸または糖側鎖からなり、かつ通常、特異的な三次元構造の特徴および特異的な電荷の特徴を有する。立体配座的エピトープと非立体配座的エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合性が失われるが後者への結合性は失われない点で区別される。
【0077】
「不連続エピトープ」という用語は、本明細書中で使用する場合、そのタンパク質の一次配列において離ればなれの少なくとも二つの領域から形成されるタンパク質抗原上の立体配座的エピトープを意味する。
【0078】
ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列に関して、「相同性」という用語は、適当な挿入または欠失を用いて最適に整列させ比較した場合の、二つの核酸またはアミノ酸配列の間の同一性の程度を示す。あるいは、実質的な相同性は、DNAセグメントが、選択的なハイブリダイゼーション条件下でその相補鎖にハイブリダイズする場合に存在する。
【0079】
二つの配列間の同一性(パーセント)は、二つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要のあるギャップの数、各ギャップの長さを考慮した、それらの配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、相同性(%)=同一位置の数/位置の総数 × 100)。二つの配列間の配列比較および同一性(パーセント)の決定は、例えば以下に記載されるような数学的アルゴリズムを用いて達成され得る。
【0080】
二つのヌクレオチド配列間の同一性(パーセント)は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)のGAPプログラムを、NWSgapdna.CMPマトリクスならびに40、50、60、70、または80のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5、または6のレングスウェイト(length weight)で用いて決定され得る。二つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の同一性(パーセント)はまた、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE. MeyersおよびW. Millerのアルゴリズム(Comput. Appl. Biosci., 4, 11-17(1988))を、PAM120ウェイト残基テーブル、12のギャップレングスペナルティ、および4のギャップペナルティで用いることによっても決定され得る。さらに、二つのアミノ酸配列間の同一性(パーセント)は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)のGAPプログラムに組み込まれたNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48, 444-453(1970))のアルゴリズムを、Blossum62マトリクスまたはPAM250マトリクスならびに16、14、12、10、8、6、または4のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5、または6のレングスウェイトを用いて決定され得る。
【0081】
本明細書中で使用する場合、「宿主細胞」(または「組換え宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベクターが導入された細胞を意味することが意図される。このような用語は、特定の対象の細胞だけでなく、そのような細胞の子孫をも意味することを意図していることが理解されるべきである。変異または環境からの影響のいずれかにより後の世代においては一定の変化が生じ得るため、実際のところ、このような子孫は、その親細胞と同一でない場合もあるが、そうであっても本明細書中で使用する場合は「宿主細胞」という用語の範囲に含まれる。組換え宿主細胞には、例えば、トランスフェクトーマ(transfectoma)、例えばトランスフェクトしたCHO細胞、NS/0細胞、およびリンパ球細胞が含まれる。単数形の「宿主細胞」という用語はまた、特定種の宿主細胞の培養物を意味する場合もある。
【0082】
本明細書中で使用する場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する抗体を含むことが意図される。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列によってはコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでの無作為変異誘発もしくは部位特異的変異誘発またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかし、本明細書中で使用する場合、「ヒト抗体」という用語は、別の哺乳動物種、例えばマウスの生殖細胞由来のCDR1もしくはCDR2配列、または別の種、例えばマウス由来の抗体由来のCDR3領域がヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含むことを意図しない。
【0083】
本明細書中で使用する場合、「K
D」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を意味する。
【0084】
本明細書中で使用する場合、「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一の分子組成の抗体分子の調製物を意味する。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。従って、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する、単一の結合特異性を示す抗体を意味する。
【0085】
「一価抗体」という用語は、本発明の文脈においては、抗体分子が単一の抗原分子と結合できる、従って抗原の架橋ができないことを意味する。
【0086】
本明細書中で使用する場合、「核酸」、「核酸構築物」、または「核酸分子」という用語は、DNA分子およびRNA分子を含むことを意図する。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得る。
【0087】
本明細書中で使用する場合、「単離された核酸」、「単離された核酸構築物」、または「単離された核酸分子」という用語は、抗体をコードする核酸またはそのフラグメントを参照する場合、インタクトな抗体をコードするヌクレオチド配列またはそのフラグメントが他のヌクレオチド配列を含まない核酸分子を意味することが意図される。核酸は、アルカリ/SDS処理、CsCl勾配、カラムクロマトグラフィ、アガロースゲル電気泳動、および当技術分野で周知の他の技術を含む標準技術によって、他の細胞成分または他の混入物質、例えば他の細胞の核酸またはタンパク質から精製された場合に、単離されたまたは実質的に純粋であり得る。F. Ausubel, et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York(1987)を参照のこと。
【0088】
核酸は、別の核酸配列と機能的関係下におかれた場合、「機能的に連結」されている。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、コード配列の転写に影響を及ぼす場合、その配列に機能的に連結されている。スイッチ配列については、機能的に連結されるとは、その配列がスイッチ組換えを行うことができることを指す。
【0089】
「生理学的条件」という場合、それはインビボ、生物内、またはインビボ条件を完全にもしくは部分的に模倣することによって再現されたインビボ条件、例えば血液と等価な浸透圧値を有する水溶液に存在する条件を意味する。
【0090】
本明細書中で使用する場合、「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離された全てのヒト抗体、例えば(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックまたはトランスクロモソーマルな動物(例えばマウス)またはその動物から調製されたハイブリドーマから単離された抗体、(b)抗体を発現するよう形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段により調製、発現、作製、または単離された抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する。このような組み換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(またはヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が使用される場合は、インビボ体細胞変異誘発)に供され得るので、組換え抗体のV
HおよびV
L領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞のV
HおよびV
L配列に由来し関連するにもかかわらず、インビボのヒト抗体生殖細胞レパートリーの中に本来的に存在しない可能性もある。
【0091】
本明細書中で使用する場合、「特異的な結合」は、所定の抗原に対する抗体またはその抗原結合フラグメントの結合を意味する。典型的には、抗体は、例えばBIAcoreにおいてスルホンプラズモン共鳴を用いてまたはFACSもしくはELISAにおけるIC
50値に基づく見かけ上の親和性として測定した場合、約10
-7Mもしくはそれ未満、例えば約10
-8Mもしくはそれ未満、例えば約10
-9Mもしくはそれ未満、約10
-10Mもしくはそれ未満、または約10
-11Mもしくはそれ未満のK
Dに対応する親和性で結合し、かつ非特異的抗原(例えばBSA、カゼイン)または所定の抗原もしくは関係の近い抗原以外の抗原に対する結合の親和性よりも、少なくとも10倍低い、例えば少なくとも100倍低い、例えば少なくとも1000倍低い、例えば少なくとも10,000倍低い、例えば少なくとも100,000倍低いK
Dに対応する親和性で所定の抗原に結合する。親和性が低くなる量は、抗原結合ペプチドのK
Dに依存し、したがって抗原結合ペプチドのK
Dが非常に低い(すなわち、その抗原結合ペプチドが極めて特異的である)場合、その抗原に対する親和性が非特異的抗原に対する親和性よりも低い量は、少なくとも10,000倍であり得る。
【0092】
本明細書中で使用する場合、「被験体」という用語には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語には、全ての脊椎動物、例えば哺乳動物および非哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ、ニワトリ、両生類、は虫類等が含まれる。
【0093】
「治療的」有効用量または「治療的有効量」という場合、一定期間にわたり所望の治療的結果を達成するのに有効な用量または量を意味するものと解釈されるべきである。本発明の一価抗体の治療的有効用量は、当然、抗体の標的によって変化し、疾患の状態、個体の年齢、性別、および体重、ならびにその個体において一価抗体が所望の反応を惹起する能力等の要因によっても変化し得る。治療的有効用量または量は、その一価抗体の治療的に有益な効果が任意の毒性または有害な効果に勝る用量または量でもあり得る。
【0094】
「トランスジェニック非ヒト動物」という用語は、一つまたは複数のヒト重鎖および/または軽鎖の導入遺伝子または導入染色体(transchromosome)を含むゲノムを有し(その動物の生来のゲノムDNAに組み込まれているかまたは組み込まれていないかのいずれか)、かつヒト抗体を発現できる非ヒト動物を意味する。例えば、トランスジェニックマウスは、ヒト軽鎖導入遺伝子およびヒト重鎖導入遺伝子またはヒト重鎖導入染色体のいずれかを有するため、抗原および/または抗原を発現する細胞で免疫した場合にヒト抗体を産生し得る。ヒト重鎖導入遺伝子は、トランスジェニックマウス、例えばHuMAbマウス、例えばHCo7またはHCo12マウスの場合のように、そのマウスの染色体DNAに組み込まれているか、またはヒト重鎖導入遺伝子は、WO 02/43478に記載されるようなトランスクロモソーマルKMマウスの場合のように、染色体外で維持され得る。このようなトランスジェニックおよびトランスクロモソーマルマウスは、V-D-J組換えおよびアイソタイプスイッチを起こすことによって、所与の抗原に対して複数のクラスおよびアイソタイプの一価抗体(例えばIgM、IgG、IgA、および/またはIgE)を産生することができる。
【0095】
本明細書中で使用する場合、「トランスフェクトーマ」という用語は、抗体を発現する組換え真核生物宿主細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS/0細胞、HEK293細胞、植物細胞、または酵母細胞を含む真菌を含む。
【0096】
「処置(treatment)」または「処置する(treating)」または「処置する(treat)」という用語は、症状または疾患状態を緩和、寛解、または根絶(治癒)することを意味する。
【0097】
「抗体価」という用語は、その抗体が反応できる抗原決定基の最大数を意味する。例えば、IgG抗体は、二つのFab領域を含み、二つの抗原分子または同一粒子上の二つの部位に結合することができるので、二価を有する。
【0098】
本明細書中で使用する場合、「ベクター」という用語は、それに連結された別の核酸を輸送しその複製を誘導することのできる核酸分子を意味することが意図される。一つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは環状の二本鎖DNAループでありその中に追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAまたはRNAセグメントはウイルスゲノムにライゲーションされ得る。一部のベクターは、導入された宿主細胞内で自律複製を行うことができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム型哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム型哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それによって宿主のゲノムと一緒に複製される。さらに、一部のベクターは、それらに機能的に連結された遺伝子の発現を誘導することができる。このようなベクターは、本明細書中では、「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターの多くはプラスミド形式のものである。プラスミドは最も一般的に使用されているベクター形式であるため、本明細書においては、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に使用され得る。しかし、本発明は、等価な機能を発揮するウイルスベクター(例えば、複製欠損型レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)等の他の発現ベクター形式を含むことが意図される。
【0099】
本明細書においては、水溶液または生理学的条件に対して多くの参照がなされている。「水溶液」という場合、それは、水中に任意の化学成分を含む溶液、例えば塩溶液、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を意味する。水溶液はその目的に応じて設計され多くの異なる化学成分を含む場合もあれば、天然の体液、例えば血液の場合もある。
【0100】
免疫グロブリンには5つの異なるクラス、すなわちIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEが存在し、これらのクラスはそれらのC領域によって区別され得る。
【0101】
IgGクラスの抗体の中には、いくつかのサブクラス、すなわちヒトにおいてはIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が存在する(Jefferis, R. 1990. Molecular structure of human IgG subclasses. In The human IgG subclasses. F. Shakib, ed. Pergamon Press, Oxford, p.15)。各々のIgG重鎖は、異なる遺伝子セグメントまたはエクソンによりコードされる、構造上関連するペプチド配列(すなわち、可変領域ドメインおよび定常領域ドメイン)から構成される。CH1ドメインとCH2ドメインをつなぐヒンジ領域は、別のエクソンによりコードされる。4つのIgGサブクラスの重鎖の各々は、カッパまたはラムダのいずれかの軽鎖と共に発現されて、二つの同一の重鎖および二つの同一のカッパまたはラムダ軽鎖から構成される本質的に対称性の分子を形成し得る。重鎖間の比較は、CH1、CH2、およびCH3の相同領域を規定する。4つのサブクラスの各々の相同領域間の比較は>95%の配列同一性を示す(Jefferis, R. 1990. F. Shakib, ed. Pergamon Press, Oxford, p.15)。CH1ドメインとCH2ドメインの間の配列は、分子の屈曲性を実現することから、ヒンジ領域と称される。CH3ドメインは対を形成し、その非共有結合性相互作用は、そのIgG分子が、穏やかな条件下での重鎖間ジスルフィド架橋の還元後においてもその構造上の完全性を維持するのに十分なものである。CH3ドメインの対はコンパクトでありかつ二つのドメインの間でほぼ正確なダイアド(dyad)が形成される点でFabにおける対と似ている(Saphire, et al., 2002. J Mol Biol 319: 9)。これは、緊密に結合せず、それらの接触が主としてAsn297残基に付着する二つの糖鎖により媒介されるCH2ドメインと対照的である(Saphire, et al., 2002. J Mol Biol 319: 9)。
【0102】
このように、二つの重鎖-軽鎖ヘテロ二量体が連結された特徴的なIgGの構造は、ヒンジ領域の重鎖間ジスルフィド架橋およびCH3ドメインの非共有結合性相互作用によって維持されている。
【0103】
CH3領域における相互作用は、IgG1において重要であることが示されている。一つのみの軽鎖および一つのみの重鎖からなる二量体構成を有するIg半分子は、ヒトおよびマウスのプラスマ細胞腫における稀な欠失の結果として記載されている。髄外軟部組織プラスマ細胞腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、形質細胞性白血病、および多発性骨髄腫に罹患した一部の患者は、尿中にIgG半分子を排出する。半分子はまた、その血清中にも存在することが見出された。これらの半分子の生化学的性質の研究は、これらが、重鎖C
H1、ヒンジ、およびC
H2領域は正常のようであるが、C
H3領域に欠失が見られるIgG1分子からなることを示した(本願においてすでに記載されている;3ページ)。
【0104】
本発明者らは、本願において、IgG4のヒンジ領域を除去することにより、二つの重鎖-軽鎖ヘテロ二量体間の連結が失われているかまたは弱まった、一価抗体が生成されることを示す。従って、他のIgGサブクラスのヒンジ領域のジスルフィド架橋を単独でまたはCH3ドメインの相互作用における変異と組み合わせて変化させることで、これらの他のサブクラスについても一価抗体が形成され得る。軽鎖の相互作用を妨げるためにアミノ酸を選択するおよび選択されたアミノ酸を改変する上で、Igサブクラスの構造に関する本質的な知識および本発明において提供される知識を使用することは、十分に当業者の能力のうちである。
【0105】
従って、一つの態様において、本発明は、
a)軽鎖が、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
L)領域のアミノ酸配列およびIgの定常(C
L)領域のアミノ酸配列を含み、かつ
b)重鎖が、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
H)領域のアミノ酸配列およびヒトIgの定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含み、重鎖のアミノ酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域に存在するいずれのアミノ酸残基も同一のヒトIgの定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとのジスルフィド結合の形成に関与できないように改変されており、
c)該重鎖または軽鎖は、Igのアイソタイプに依存して、抗体を連結することのできる任意のアミノ酸、すなわちシステインを除去もしくは変化させるために点変異もしくは欠失により、またはジスルフィド結合を形成するもしくはその分子とそのカウンターパートを共有結合により連結して二量体を形成する能力に関して重鎖定常領域をIgG4と同等にするために点変異もしくは欠失の形態の改変により改変されている、
軽鎖および重鎖を含む一価抗体に関する。
【0106】
本発明の一価抗体の軽鎖のアミノ酸配列は、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
L)領域および免疫グロブリンの定常領域(C
L)のアミノ酸配列を含む。
【0107】
本発明によれば、一価抗体のV
L領域のアミノ酸配列は、本発明の関心対象の抗体分子の分子的特性、特に一価抗体がヘテロ四量体(「正常」な抗体)を形成できないことに寄与しないので、本発明は、任意の特定のV
L領域のアミノ酸配列に限定されない。V
L領域のアミノ酸配列は、当業者に公知の任意の多くの方法のいずれかによって生成された任意の抗原特異的な抗体のアミノ酸配列由来であり得る。
【0108】
本発明によれば、一価抗体のV
H領域のアミノ酸配列は、本発明の関心対象の抗体分子の分子的特性、特に一価抗体がヘテロ四量体(「正常」な抗体)を形成できないことに寄与しないので、本発明は、任意の特定のV
H領域のアミノ酸配列に限定されない。V
H領域のアミノ酸配列は、当業者に公知の任意の多くの方法のいずれかによって生成された任意の抗原特異的な抗体のアミノ酸配列由来であり得る。
【0109】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、合成抗原 (Tyr, Glu), Ala, Lysに結合しない(Pincus et al. 1985, Molecular Immunolog, vol 22, 4: pp.455-461)。
【0110】
別の態様において、本発明の抗体はヒト抗体である。
【0111】
別の態様において、本発明は、ヒト抗体に基づくものである。
【0112】
一つの態様において、本発明は、
a)軽鎖が、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
L)領域のアミノ酸配列およびIgの定常(C
L)領域のアミノ酸配列を含み、かつ
b)重鎖が、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
H)領域のアミノ酸配列およびヒトIgG4の定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含み、重鎖のアミノ酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域に存在するいずれのアミノ酸残基も同一のヒトIgG4の定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとのジスルフィド結合の形成に関与できないように改変されている、
軽鎖および重鎖を含む一価抗体に関する。
【0113】
本発明の一価抗体の軽鎖のアミノ酸配列は、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
L)領域および免疫グロブリンの定常領域(C
L)のアミノ酸配列を含む。
【0114】
本発明によれば、一価抗体のV
L領域のアミノ酸配列は、本発明の関心対象の抗体分子の分子的特性、特に一価抗体がヘテロ四量体(「正常」な抗体)を形成できないことに寄与しないので、本発明は、任意の特定のV
L領域のアミノ酸配列に限定されない。V
L領域のアミノ酸配列は、当業者に公知の任意の多くの方法のいずれかによって生成された任意の抗原特異的な抗体のアミノ酸配列由来であり得る。
【0115】
本発明によれば、一価抗体のV
H領域のアミノ酸配列は、本発明の関心対象の抗体分子の分子的特性、特に一価抗体がヘテロ四量体(「正常」な抗体)を形成できないことに寄与しないので、本発明は、任意の特定のV
H領域のアミノ酸配列に限定されない。V
H領域のアミノ酸配列は、当業者に公知の任意の多くの方法のいずれかによって生成された任意の抗原特異的な抗体のアミノ酸配列由来であり得る。
【0116】
本発明は、1)SEQ ID No: 6で同定されるHuMab-7D8のV
H領域のアミノ酸配列を含むV
H領域およびSEQ ID No: 16で同定されるIgG4のヒンジレス(hingeless)C
Hをコードするアミノ酸配列を含み、該配列が機能的に連結された一価抗体、ならびに2)SEQ ID No: 8で同定されるマウス抗Betv-1のV
H領域のアミノ酸配列を含むV
H領域およびSEQ ID No: 16で同定されるIgG4のヒンジレスC
Hをコードするアミノ酸配列を含み、該配列が機能的に連結された一価抗体の例を提供する。
【0117】
一つの態様において、本発明の抗体分子のV
HおよびV
L領域は、同じ抗原特異的な抗体由来である。
【0118】
本発明によれば、抗体分子の軽鎖のC
L領域の配列は、免疫グロブリンのC
L領域の配列由来であり得る。一つの態様において、C
L領域は、ヒトIgGのカッパ軽鎖の定常領域である。一つの態様において、C
L領域は、SEQ ID No: 2のアミノ酸配列を含む。一つの態様において、C
L領域は、ヒトIgGのラムダ軽鎖の定常領域である。一つの態様において、C
L領域は、SEQ ID No: 4のアミノ酸配列を含む。
【0119】
一つの態様において、本発明の一価抗体の軽鎖および重鎖は、一つまたは複数のジスルフィド結合を通じて相互に接続されている。このようなジスルフィド結合については、ジスルフィド結合における結合パートナーのいずれもがヒンジ領域に対応する領域に存在しないことが明らかである。
【0120】
一つの態様において、軽鎖および重鎖は、例えば単鎖Fvにおいて見られるようなアミド結合を通じて相互に接続されている。
【0121】
ヒンジ領域は、重鎖の定常ドメインのC
H1領域とC
H2領域の間に位置する抗体の領域である。ヒンジ領域の規模は、ヒンジ領域をコードする別個のエクソンによって決定される。ヒンジ領域は通常、一方の重鎖のヒンジ領域の一つまたは複数のシステイン残基ともう一方の重鎖のヒンジ領域の一つまたは複数のシステイン残基の間のジスルフィド結合または架橋の形成を通じて、抗体の4本のペプチド鎖を伝統的な四量体形態に正確に配置するのに関与する。従って、ヒンジ領域のあらゆるアミノ酸残基がジスルフィド結合の形成に関与できないようにするヒンジ領域の改変は、例えば、非改変型ヒンジ領域に存在するシステイン残基の欠失および/または置換を含み得る。本明細書の目的上、ヒンジ領域に対応する領域は、抗体の重鎖のC
H1領域とC
H2領域の間の領域を意味するものと解釈されるべきである。本発明の文脈において、このような領域はアミノ酸残基を全く含まず(ヒンジ領域の欠失に相当)、結果的にC
H1領域とC
H2領域がいかなるアミノ酸残基も介在させずに相互に接続される場合もある。このような領域はまた、一つのみまたは数個のアミノ酸残基しか含まない場合もあり、これらの残基は、本来のヒンジ領域のN末端またはC末端に存在するアミノ酸残基であるとは限らない。
【0122】
ジスルフィド結合は、特定のタンパク質、例えば抗体の周知の特徴であり、一つのシステイン残基は、そのタンパク質の同一鎖(鎖内ジスルフィド結合)または別の鎖(鎖間ジスルフィド結合)の別のシステイン残基とジスルフィド結合を形成する。所与のタンパク質内にこのようなジスルフィド結合がいくつも存在する場合がある。抗体については、鎖内および鎖間の両方のジスルフィド結合の形成は、完全に成熟した野生型抗体の正確な構造に不可欠な部分であり、ジスルフィド結合は通常、少なくとも部分的に、抗体の高度に秩序立てられた規則正しい外観および抗体の安定性を担う。本発明の一価抗体において、ヒンジ領域のあらゆるアミノ酸は、このようなジスルフィド結合の形成に関与できない。
【0123】
ヒンジ領域のアミノ酸配列の改変は、当技術分野で周知でありかつ本明細書中の他の箇所に記載され実施例において例証されているように、核酸の欠失および/または置換により発現されるタンパク質におけるアミノ酸の欠失および/または置換を実現する組換え技術の使用によって、DNAレベルで行われ得る。
【0124】
改変はまた、例えば、ジスルフィド結合を形成できるヒンジ領域のアミノ酸残基を誘導体化することによって、非改変型核酸から発現された抗体においても行なわれ得る。他のシステイン残基とのジスルフィド結合の形成をブロックするこのようなシステイン残基の誘導体化は、当技術分野で公知の通りに行われ得る。
【0125】
改変は、システイン残基の代わりにシステイン以外のアミノ酸残基、例えば天然アミノ酸または非天然アミノ酸、例えば誘導体型システインを使用することによって、抗体鎖を合成により調製することによっても行われ得る。
【0126】
本発明のIgG4一価抗体はまた、IgG4変種体であり得る。このような変種抗体は、例えば一つの変種抗体の定常ドメインおよび/または可変領域(またはそれらの任意の一つもしくは複数のCDR)における置換、欠失、挿入、または末端への配列付加である、一つまたは複数の適当なアミノ酸残基の変更によりIgG4抗体と相違する抗体である。典型的には、アミノ酸の変更、例えば保存的置換変種は、望ましくは、その親の配列の構造上の特徴を実質的に変化させない(例えば、アミノ酸の置換がその親の配列の機能を特徴付ける二次構造を破壊しない傾向を有する)が、有利な特性、例えばその抗体の機能的特性または薬物動態特性の変化、例えば半減期の増加、免疫原性の変更、別の分子に対する共有結合性または非共有結合性の結合部位の提供、タンパク質分解に対する感受性の減少、酸化に対する感受性の減少、またはグリコシル化パターンの変更に関連するものであり得る。このような抗体のアミノ酸配列変種体は、ヒンジ領域に対応する領域における改変について上述したのと同様に獲得され得る。
【0127】
一つの態様において、重鎖のアミノ酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域がシステイン残基を含まないよう改変されている。
【0128】
一つの態様において、重鎖のアミノ酸配列は、任意のシステイン残基を含むヒンジ領域に対応する領域のアミノ酸残基の少なくとも一つが欠失および/または他のアミノ酸残基で置換されるよう改変されている。従って本発明の抗体のヒンジ領域は、本発明の変種IgG4抗体について上述したように、通常システイン残基が存在する位置以外の位置において改変される場合がある。このような改変は、上記のようなまたは当技術分野で公知の任意の他の手段によって行われ得る。
【0129】
本発明の文脈で、ヒンジ領域に対応する領域のシステイン残基は、システイン以外の任意の天然もしくは非天然および/または非Lアミノ酸残基で、またはジスルフィド結合の形成に関与できないシステイン残基の誘導体を含むこのようなアミノ酸残基の誘導体で置換され得る。
【0130】
一つの態様において、重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列のアミノ酸106および109に対応するアミノ酸が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている。SEQ ID No: 14は、ヒトIgG4の野生型C
H領域のアミノ酸配列を示し、106位および109位は、二つのシステイン残基の位置である。
【0131】
一つの態様において、重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基106〜109に対応するアミノ酸残基が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている。
【0132】
一つの態様において、重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸99〜110に対応するアミノ酸残基が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている。
【0133】
一つの態様において、重鎖はSEQ ID No: 16のアミノ酸配列を含む。SEQ ID No: 16は、ヒトIgG4のC
H領域をコードする核酸配列(SEQ ID NO: 13)の714位および722位に置換変異を有するSEQ ID No: 15の配列を含む核酸の発現により生成されるヒトIgG4のC
H領域のアミノ酸配列である。この核酸配列のスプライスドナー部位におけるこれらの置換は、ヒンジ領域をコードするエクソンに関するスプライシングが正確に機能せず、結果的にこのエクソンによってコードされるアミノ酸残基を含まない重鎖を生成するという効果を有する。
【0134】
一つの態様において、C
H領域のヒンジ領域全体が欠失される。これは、C
H領域のヒンジ領域をコードするエクソンによりコードされるアミノ酸配列が重鎖に存在しない場合である。SEQ ID No: 14に示されるIgG4について、これはSEQ ID No: 16のアミノ酸配列を有するC
H領域に対応する。
【0135】
一つの態様において、重鎖のアミノ酸配列は、重鎖が、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基で置換されたC
H領域を含むよう改変されている。
【0136】
一つの態様において、重鎖のアミノ酸配列は、重鎖が、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基の一方がシステイン以外のアミノ酸残基で置換され、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基の他方が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている。さらなる態様において、システイン以外のアミノ酸残基で置換されるのは、アミノ酸残基106に対応するアミノ酸残基であり、欠失されるのは、アミノ酸残基109に対応するアミノ酸残基である。別のさらなる態様において、欠失されるのは、アミノ酸残基106に対応するアミノ酸残基であり、システイン以外のアミノ酸残基で置換されるのは、アミノ酸残基109に対応するアミノ酸残基である。
【0137】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、本明細書中の他の箇所に記載されるようなインビトロ細胞発現系における抗体の組換え発現を含む方法によって獲得できる。
【0138】
一つの態様において、このような方法は、以下の工程を含む:
i)選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgGのC
L領域をコードするヌクレオチド配列を含む、抗体の軽鎖をコードする核酸構築物を提供する工程;
ii)選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードするヌクレオチド配列およびヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含む、抗体の重鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、C
H領域をコードする核酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域がジスルフィド結合の形成に関与できるアミノ酸を含まないように改変されている、工程;
iii)一価抗体を作製するための細胞発現系を提供する工程;
iv)(i)の核酸構築物によりコードされる軽鎖および(ii)の核酸構築物によりコードされる重鎖を含む一価抗体を(iii)の細胞発現系の細胞中で該構築物を共発現させることによって一価抗体を作製する工程。
【0139】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、SCIDマウスにおける薬物動態研究(例えば実施例32に示されるような)において測定した場合、4 mg/kgの用量でインビボ投与された場合に、7日間を超えて10 μg/mlを上回る血漿濃度を有する。本発明の一価抗体のクリアランス速度は当技術分野で公知の薬物動態学的方法を使用することによって測定され得る。抗体は、例えば、ヒトまたは動物に静脈内注射され得(他の経路、例えばi.p.またはi.m.も使用され得る)、その後にいくつかの時点、例えば最初の注射後1時間、4時間、24時間、3日、7日、14日、21日、および28日の時点で血液サンプルが静脈穿刺により抜き取られる。抗体の血清濃度は、適当なアッセイ、例えばELISAによって決定される。薬物動態分析は、当技術分野で公知の通りに行われ、これは実施例32に記載されている。本発明の一価抗体は、例えば一価抗体として頻繁に使用されているFabフラグメントの血漿滞留時間よりも100倍長い血漿滞留時間を有し得る。
【0140】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、分子サイズが近いF(ab')
2フラグメントの血漿クリアランスよりも10倍超遅い血漿クリアランスを有する。これは、FcRnに結合する本発明の抗体の能力を示すものであり得る。FcRnは、主要組織適合複合体クラスI関連受容体であり、母から子への免疫グロブリン(Ig)Gの受動輸送およびIgGを細胞内分解から保護することによって血清IgGレベルの調節に関与する(Ghetie V et al., Annu Rev Immunol. 18, 739-66(2000))。一つの態様において、F(ab')
2フラグメントは、本発明の一価抗体と同じ抗原に対するものである。一つの態様において、F(ab')
2フラグメントは本発明の一価抗体と同じエピトープに対するものである。一つの態様において、F(ab')
2フラグメントのV
H領域およびV
L領域は、本発明の一価抗体のV
H領域およびV
L領域と同一である。
【0141】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、インビボ投与された場合に少なくとも5日間の半減期を有する。本発明の一価抗体の半減期は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば上記の方法によって測定され得る。
【0142】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、インビボ投与された場合に少なくとも5日間から14日間までの半減期を有する。
【0143】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、インビボ投与された場合に少なくとも5日間から21日間までの半減期を有する。
【0144】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、FcRnに結合できる。このような結合は、当技術分野で公知の結合決定法の使用、例えばELISAアッセイの使用によって決定され得る。本発明の一価抗体のFcRnに対する結合は、例えば、同じアッセイにおいて、本発明の一価抗体のV
H領域およびV
L領域と同一のV
H領域およびV
L領域を有するF(ab')
2フラグメントのFcRnに対する結合と比較され得る。一つの態様において、本発明の一価抗体のFcRnに対する結合は、F(ab')
2フラグメントのFcRnに対する結合よりも10倍超強い。
【0145】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、腫瘍抗原に特異的に結合する。具体的な腫瘍抗原に限定するわけではないが、このような腫瘍抗原の例は、cMetおよびVEGF-Rであり得る。
【0146】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、受容体の二量体化により活性化される細胞表面受容体に特異的に結合する。一価抗体、例えば本発明の一価抗体は、しばしば、それらの一価的性質に起因してこのような二量体化およびそれによるこのような活性化を誘導できないために、受容体の活性化が望ましくない疾患または障害の処置に有用であり得る。具体的な受容体に限定するわけではないが、このような受容体の例は、erb-B1、erb-B2、erb-B3、erb-B4、ならびにエフリンおよびエフリン受容体のメンバー、例えばエフリンA1〜A6、ephA1〜A8、エフリンB1〜B3、およびeph-B1〜eph-B6であり得る。
【0147】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、標的分子に結合した場合、標的分子の多量体化(例えば二量体化)を阻害する。繰り返すが、一価抗体、例えば本発明の一価抗体は、しばしば、それらの一価的性質に起因してこのような多量体化を誘導できないために、標的抗原の多量体化が望ましくない疾患または障害の処置に有用であり得る。可溶性抗原の場合、多量体化は、望ましくない免疫複合体を形成し得る。具体的な標的に限定するわけではないが、このような標的の例は、Toll様受容体、例えばTLR-3およびTLR-9、またはアンジオポエチン-1、またはアンジオポエチン-2、またはTNF受容体ファミリーのメンバー、例えばCD30、CD40、およびCD95であり得る。
【0148】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、TNF-アルファの阻害剤である。本発明の一つの態様において、本発明の一価抗体は、一価型のアダリムマブ、エタネルセプト、またはインフリキシマブである。
【0149】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、エフェクター結合ができない。本発明の文脈で「エフェクター結合ができない」または「エフェクター結合不可能性」という表現は、本発明のIgG4一価抗体が補体の第一成分(C1)のC1q成分に結合できないこと、従って補体の古典経路を介する細胞傷害性を活性化できないことを意味する。さらに、本発明の一価抗体は、Fc受容体と相互作用できないので、Fc受容体を介するエフェクター機能、例えば貪食作用、細胞の活性化、サイトカイン放出の誘導が誘発され得ない。
【0150】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、組換えDNA技術の使用によって作製される。抗体は、組換え真核生物宿主細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS/0細胞、HEK293細胞、昆虫細胞、植物細胞、または酵母細胞を含む真菌を用いて作製され得る。この目的には、安定かつ一過的な系が使用され得る。トランスフェクションは、多くの確立された方法、例えば電気穿孔、リポフェクチン、またはヌクレオフェクチンにより、プラスミド発現ベクターを用いて行われ得る。あるいは、組換えウイルス、例えばアデノウイルス、ワクシニアウイルス、またはバキュロウイルスによりコードされるタンパク質を発現させるために感染が使用され得る。別の方法は、抗体の産生のためにトランスジェニック動物を使用するものであり得る。
【0151】
抗体をコードするDNA配列は、確立された標準的方法、例えばBeaucage et al., Tetrahedron Lett. 22, 1859-1869(1981)に記載されるホスホアミジン(phosphoamidine)法、またはMatthes et al., EMBO J. 3, 801-805(1984)に記載される方法によって合成により調製され得る。ホスホアミジン法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば全自動DNA合成機において合成され、精製され、アニールされ、ライゲーションされ、そして適当なベクターにクローニングされる。
【0152】
DNAコード配列はまた、ゲノム起源またはcDNA起源であり得、例えばゲノムまたはcDNAライブラリを構築し、標準技術に従う合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるハイブリダイゼーションによって抗体の全てまたは一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることによって獲得され得る(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor, 1989を参照のこと)。DNA配列はまた、例えばUS 4683202またはSaiki et al. Science 239, 487-491(1988)に記載されるような特異的プライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって調製され得る。
【0153】
DNA配列はその後、組換え発現ベクターに挿入され得る。ベクターは、組換えDNA手順に供するのに都合の良い任意のベクターであり得る。ベクターの選択は、多くの場合、ベクターを導入する宿主細胞に依存する。従って、ベクターは、自律複製ベクター、すなわち染色体外成分として存在し、その複製が染色体の複製に非依存的であるベクター、例えばプラスミドであり得る。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入された場合に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるベクターであり得る。
【0154】
ベクターにおいて、抗体をコードするDNA配列は、適当なプロモーター配列に機能的に接続されなければならない。プロモーターは、選択した宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であり得、かつ宿主細胞と同種または異種のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子由来のものであり得る。哺乳動物細胞においてコードDNA配列の転写を誘導するのに適したプロモーターの例は、CMVプロモーター、SV40プロモーター、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター、またはアデノウイルス2主要後期プロモーターである。他の適当なプロモーターは当技術分野で公知である。昆虫細胞において使用するのに適したプロモーターは、例えば、ポリヘドリンプロモーターである。酵母細胞において使用するのに適したプロモーターには、酵母の解糖系遺伝子もしくはアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子由来のプロモーター、またはTPl 1もしくはADH2-4cプロモーターが含まれる。糸状菌宿主細胞において使用するのに適したプロモーターは、例えば、ADH3プロモーターまたはtpiAプロモーターである。
【0155】
コードDNA配列はまた、適当なターミネーター、例えばヒト成長ホルモンターミネーターまたは(真菌宿主については)TPl 1もしくはADH3ターミネーターに機能的に接続され得る。他の適当なターミネーターは当技術分野で公知である。ベクターはさらに、ポリアデニル化シグナル(例えばSV40またはアデノウイルス5 Elb領域由来)、転写エンハンサー配列(例えばSV40エンハンサー)、および翻訳エンハンサー配列(例えば、アデノウイルスVA RNAをコードする配列)等の要素を含み得る。他のこのようなシグナルおよびエンハンサーは当技術分野で公知である。
【0156】
組換え発現ベクターは、ベクターを対象の宿主細胞において発現できるようにするDNA配列をさらに含み得る。このような配列の例は(宿主細胞が哺乳動物細胞の場合)、SV40複製起点である。他の複製起点は当技術分野で公知である。ベクターはまた、選択マーカー、例えば、その産物が宿主細胞の欠陥を補う遺伝子、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、グルタミンシンセターゼ(GS)をコードする遺伝子、または薬物、例えばネオマイシン、ヒドロマイシン、もしくはメトトレキサートに対する耐性を付与する遺伝子を含み得る。他の選択マーカーは当技術分野で公知である。
【0157】
ペプチドまたは全長タンパク質、プロモーター、およびターミネーターをそれぞれコードするDNA配列をライゲーションするため、および複製に必要な情報を含む適当なベクターにそれらを挿入するために使用する手順は、当業者に周知である(例えば、Sambrook et al., op. cit.を参照のこと)。
【0158】
本発明の組換え一価抗体を獲得するために、この抗体のポリペプチド鎖の異なる部分をコードするDNA配列は宿主細胞において個別に発現されてもよく、融合により融合ポリペプチド、例えば軽鎖および重鎖の両方を含むポリペプチドをコードするDNA構築物とし、組換え発現ベクターに挿入し、宿主細胞において発現されてもよい。
【0159】
発現ベクターが導入され得る宿主細胞は、全長タンパク質を発現できる任意の細胞であり得、例えば真核細胞、例えば無脊椎動物(昆虫)細胞もしくは脊椎動物細胞、例えばアフリカツメガエル卵母細胞または哺乳動物細胞、例えば昆虫および哺乳動物細胞であり得る。適当な哺乳動物細胞株の例は、HEK293(ATCC CRL-1573)、COS(ATCC CRL-1650)、BHK(ATCC CRL-1632、ATCC CCL-10)、NS/0(ECACC 85110503)、またはCHO(ATCC CCL-61)細胞株である。他の適当な細胞株は当技術分野で公知である。一つの態様において、発現系は、哺乳動物発現系、例えばHEK293細胞の様々なクローン性のバリエーションを含む哺乳動物細胞発現系である。
【0160】
哺乳動物細胞をトランスフェクトし、細胞に導入されたDNA配列を発現する方法は、例えば、Kaufman et al.,, J. Mol. Biol. 159, 601-621(1982); Southern et al., J. Mol. Appl. Genet. 1, 327-341(1982); Loyter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79, 422-426(1982); Wigler et al., Cell 14, 725(1978); Corsaro et al., Somatic Cell Genetics 7, 603(1981); Graham et al., Virol. 52, 456(1973);およびNeumann et al., EMBO J. 1, 841-845(1982)に記載されている。本発明の一価抗体を獲得するため、発現系の宿主細胞は、一つの態様において、二つの発現ベクターの一方が抗体の重鎖をコードするDNA配列を含み、二つの発現ベクターのもう一方が抗体の軽鎖をコードするDNA配列を含む、二つの発現ベクターで同時に共トランスフェクトされ得る。二つの配列はまた、同じ発現ベクター上に存在し得るし、融合により融合ポリペプチド、例えば軽鎖および重鎖の両方を含むポリペプチドをコードするDNA構築物とされる場合もある。
【0161】
一つの態様において、真菌細胞(酵母細胞を含む)が宿主細胞として使用され得る。適当な酵母細胞の例には、サッカロミセス種またはシゾサッカロミセス種の細胞、特にサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)の株が含まれる。他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス種またはアカパンカビ種の細胞、特にコウジカビ(Aspergillus oryzae)または黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)の株である。タンパク質の発現のためのアスペルギルス種の使用については、例えばEP 238 023に記載されている。
【0162】
細胞を培養するのに使用される培地は、哺乳動物細胞を培養するのに適した任意の従来的な培地、例えば適当な補充物を含む血清含有培地もしくは無血清培地、または昆虫、酵母、もしくは真菌細胞を培養するのに適した培地であり得る。適当な培地は、業者から入手可能であり、公開されたレシピ(例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログ)に従って調製される場合もある。
【0163】
組換え生成された一価抗体は、その後、遠心分離もしくは濾過による宿主細胞と培地の分離、塩、例えば硫酸アンモニウムによる上清またはろ液のタンパク質成分の沈降、様々なクロマトグラフィ手順、例えばHPLC、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、プロテインAクロマトグラフィ、プロテインGクロマトグラフィ等による精製を含む従来的手順により培地から回収され得る。
【0164】
本発明はまた、本発明の一価抗体の調製方法に関し、この方法は、以下の工程を含む:
(a)一価抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養する工程;および
(b)宿主細胞培養物から一価抗体を回収する工程。
【0165】
一つの態様において、宿主細胞は原核生物宿主細胞である。一つの態様において、宿主細胞は大腸菌(E.coli)細胞である。一つの態様において、大腸菌細胞は、内因性プロテアーゼ活性欠損株である。
【0166】
一つの態様において、宿主細胞は真核細胞である。一つの態様において、宿主細胞はHEK-293F細胞である。別の態様において、宿主細胞はCHO細胞である。
【0167】
一つの態様において、一価抗体は培地から回収される。別の態様において、一価抗体は細胞溶解産物から回収される。
【0168】
本発明の抗体は、例えばインビボでの半減期が極めて短い同じ抗体のFABフラグメントと比較して、インビボ半減期が長く、それによってより長い治療域(therapeutic window)が得られるという利点を有する。
【0169】
さらに、長い半減期および小さいサイズに起因して、本発明の一価抗体は、例えば固形腫瘍に浸潤できることから、インビボでのより良い分布を提供する能力を有する。これにより、本発明の抗体は標的分子を阻害するためまたはその疾患を処置し得る他の薬物の標的特異的送達機構としてのいずれかで使用できるため、本発明の一価抗体の癌の処置などの潜在的用途は広い。
【0170】
本発明の一価抗体によっては免疫系は活性化されないので、本発明の抗体は標的細胞阻害性であるが、標的細胞傷害性ではない。このことは、細胞を死滅させることは望まないがある機構を阻害することが求められる様々な疾患の処置を企図する場合に有利であり得る。
【0171】
一つの態様において、抗VEGF一価抗体は、AMD(acute macular degeneration)および他の疾患の処置に使用される。
【0172】
一つの態様において、使用される抗VEGF一価抗体は、一価型のベバシズマブ(Avastin)である。
【0173】
本発明の抗体は一価であり、生理学的条件下で安定であり、補体を活性化できず、従って多価抗体、例えば二価抗体の使用が不必要であるかもしくは不利である、または補体の活性化が不必要であるかもしくは不利である障害および疾患を処置する上での使用に適している。本発明の一価抗体は、一つの軽鎖および一つの重鎖からなるヘテロ二量体として水溶液中で存在し得る。
【0174】
本発明の文脈で「生理学的条件下で安定」または「生理学的条件下での安定性」という表現は、その分子を1〜10mg/kgの用量で被験体にインビボ投与した後に一価抗体がその主たる構造的および機能的特性を変化させずに保持し、一週間を超えて治療上重要な濃度で存在することを意味する。大部分の治療用抗体にとっては、5μg/mlの血漿濃度が、抗体がこのレベルで標的結合の飽和を示し得ることから、重要であると考えられる。7日間の時間間隔は、この文脈では比較的長いものと考えられる。
【0175】
免疫不全マウスおよび免疫コンピテントマウスの両方における、ヒンジレス変種体のクリアランスは、分子サイズが近いF(ab')
2フラグメントのそれよりもずっと遅い。このことは、Fc部分が血漿滞留時間に対して有利な効果を有することを示しており、取込まれたIgGを細胞内分解から保護する新生児Fc受容体(FcRn)との機能的相互作用の示唆を提供する。ヒンジレス変種体のクリアランス速度は、Fabフラグメントのそれよりも約300倍遅く、このことは等価な持続的血漿濃度を獲得するために300倍低い用量が使用され得ることを示す。
【0176】
本発明はまた、本発明の一価抗体の免疫抱合体に関する。本発明は特に、治療部分、例えば細胞毒、化学療法薬、免疫抑制剤、または放射性同位元素に抱合された本発明の一価抗体を特徴とする。このような抱合体は、本明細書中では、「免疫抱合体」と称される。細胞毒または細胞毒性剤には、細胞に対して有害な(例えば細胞を死滅させる)任意の薬剤が含まれる。その例には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-ジヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらのアナログまたはホモログが含まれる。
【0177】
本発明の免疫抱合体を形成するのに適した化学療法剤には、代謝拮抗物質(例えばメトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、デカルバジン(decarbazine)、ヒドロキシ尿素、アザチオプリン(azathiprin)、ゲムシタビン、およびクラドリビン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン(公式名はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(公式名はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに有糸分裂阻害剤(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、およびビノレルビン)が含まれるがこれらに限定されない。
【0178】
適当な放射性同位元素は、例えばヨウ素-131、イットリウム-90、またはインジウム-111である。
【0179】
治療部分のさらなる例は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質には、例えば、酵素活性を有する毒素またはその活性フラグメント、例えばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、もしくはジフテリア毒素;腫瘍壊死因子もしくはインターフェロン-γ等のタンパク質;または生物学的応答調節物質、例えばリンホカイン、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、またはその他の成長因子が含まれ得る。
【0180】
一つの態様において、治療部分は、ドキソルビシン、シスプラチン、ブレオマイシン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、またはリシンAである。
【0181】
このような治療部分を抗体に結合する技術は周知であり、例えば、Arnon et al., “Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”, Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al.(eds.), pp.243-56(Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et al., “Antibodies For Drug Delivery”, Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al.(eds.), pp.623-53(Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”, Monoclonal Antibodies 1984: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al.(eds.), pp.475-506(1985); “Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”, Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al.(eds.), pp.303-16(Academic Press 1985), およびThorpe et al., “The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody - Toxin Conjugates”, Immunol. Rev., 62: 119-58(1982)を参照されたい。
【0182】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、抗体を放射性同位元素に結合させるリンカー-キレーター、例えばチウキセタン(tiuxetan)に付加される。
【0183】
一つの態様において、本発明は、本発明の一価抗体を含む薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19
th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995に開示されるような従来技術に従い、薬学的に許容される担体または希釈剤ならびに任意の他の公知のアジュバントおよび賦形剤と共に製剤化され得る。
【0184】
薬学的組成物は、任意の適当な経路および様式により投与され得る。当業者に理解されていることであるが、投与経路および/または様式は、求める結果によって異なる。
【0185】
本発明の薬学的組成物には、経口、経鼻、局所(口腔および舌下を含む)、直腸、経膣、および/または非経口投与に適した組成物が含まれる。
【0186】
経膣投与に適した本発明の製剤には、当技術分野において適性が公知の担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤が含まれる。本発明の組成物の局所または経皮投与用の剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が含まれる。
【0187】
一つの態様において、薬学的組成物は、非経口投与に適したものである。
【0188】
本明細書中で使用する場合、「非経口投与」および「非経口的に投与する」という句は、通常は注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、これには、静脈内、筋内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内、硬膜外、および胸骨内への注射および注入が含まれるがこれらに限定されない。
【0189】
一つの態様において、薬学的組成物は、静脈内または皮下注射または注入によって投与される。
【0190】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、結晶状態のものを皮下注射によって投与される。Yang et al. PNAS, 100(12), 6934-6939(2003)を参照のこと。
【0191】
選択される投与経路に関わらず、薬学的に許容される塩の形態でもしくは適当な水和形態で使用され得る本発明の一価抗体および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の従来的方法により薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0192】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、抗酸化剤、ならびに吸収遅延剤等が含まれる。
【0193】
薬学的に許容される担体には、無菌水溶液または分散物および無菌注射用の溶液または分散物を素早く調製するための無菌粉末が含まれる。このような媒体および薬剤を薬学的に活性な物質に対して使用することは当技術分野で公知である。任意の従来的な媒体または薬剤が一価抗体と不適合でない限り、本発明の薬学的組成物において使用することが意図される。
【0194】
一つの態様において、担体は、非経口投与、例えば静脈内または皮下注射または注入に適したものである。
【0195】
薬学的組成物は、典型的には、製造および保存条件下で無菌かつ安定でなければならない。その組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に適した他の秩序ある構造として製剤化され得る。本発明の薬学的組成物に使用され得る適当な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの適当な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。適当な流動性は、例えば、コーティング剤、例えばレシチンの使用によって、分散物の場合は必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0196】
薬学的組成物はまた、アジュバント、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤を含み得る。微生物の存在に対する阻止は、滅菌手順ならびに様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等の添加の両方によってなされ得る。等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、グリセロール、または塩化ナトリウムを組成物に加えることが望ましい場合もある。薬学的に許容される抗酸化剤には、例えば、(1)水溶性の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール等;および(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等もまた含まれ得る。
【0197】
注射用組成物の吸収の長期化は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを添加することによってもたらされ得る。
【0198】
無菌注射用溶液は、必要量の一価抗体を、一つまたは複数の成分、例えば上記のような成分を含む適当な溶媒に加え、必要に応じてこれを無菌的に精密濾過することによって調製され得る。一般的に、分散物は、一価抗体を、基礎分散媒および必要な他の成分、例えば上記のような成分を含む無菌媒体に加えることによって調製される。無菌注射用溶液の調製用の無菌粉末の場合、調製法の例は、事前に滅菌濾過した溶液から活性成分および任意の追加の所望の成分の粉末を生成する減圧乾燥および冷凍乾燥(凍結乾燥)である。
【0199】
適当な場合、一価抗体は、適当な水和形態または薬学的に許容される塩の形態で使用され得る。「薬学的に許容される塩」は、その親化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつ望ましくない毒性学的効果を全く生じない塩を意味する(例えば、Berge, S.M., et al.(1977) J. Pharm. Sci. 66: 1-19を参照のこと)。このような塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩には、非毒性の無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等から、および非毒性の有機酸、例えば脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換型アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等から得られる塩が含まれる。塩基付加塩には、アルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等から、および非毒性の有機アミン、例えばN,N'-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチル-グルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等から得られる塩が含まれる。
【0200】
投与経路に依存して、一価抗体は、化合物を不活性化する可能性のある酸の作用およびその他の天然条件から化合物を保護する物質でコーティングされ得る。例えば、化合物は、適当な担体、例えばリポソームを用いて被験体に投与され得る。リポソームには、水中油中水型CGFエマルジョンおよび従来的なリポソームが含まれる(Strejan et al., J. Neuroimmunol. 7, 27(1984))。
【0201】
一価抗体は、一価抗体が迅速に放出されないよう保護する担体、例えばインプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達系を含む徐放型製剤を用いて調製され得る。生物分解性、生物適合性のポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸が使用され得る。このような製剤の調製方法は、一般的に当業者に公知である。例えばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R.Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照のこと。
【0202】
薬学的組成物は、当技術分野で公知の医療デバイスによって投与され得る。一つの態様において、本発明の治療用組成物は、針不使用型皮下注射デバイス、例えばUS 5399163; US 5383851; US 5312335; US 5064413; US 4941880; US 4790824; またはUS 4596556に開示されるデバイスによって投与され得る。本発明において有用な周知のインプラントおよびモジュールの例には:制御された速度で薬物を分注するための移植可能な微量注入ポンプを開示するUS 4487603;皮膚を通じて薬物を投与するための治療用デバイスを開示するUS 4486194;正確な注入速度で薬物を送達するための薬物注入ポンプを開示するUS 4447233;継続的な薬物送達のための流速可変、移植可能な注入装置を開示するUS 4447224;多チャンバー区画を有する浸透圧性薬物送達系を開示するUS 4439196;および浸透圧性薬物送達系を開示するUS 4475196が含まれる。多くの他のこのようなインプラント、送達系、およびモジュールが当業者に公知である。
【0203】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、例えばリポソームを使用することによって、インビボで適当に分散するよう製剤化され得る。リポソームの製法については、例えばUS 4522811; US 5374548; およびUS 5399331を参照のこと。リポソームは、標的化された薬物送達を強化するよう、特定の細胞または器官に選択的に輸送される一つまたは複数の部分を含み得る(例えばV.V.Ranade, J. Clin. Pharmacol. 29, 685(1989)を参照のこと)。標的化部分の例には、葉酸またはビオチン(例えばUS 5416016を参照のこと);マンノシド(Umezawa et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 153, 1038(1988));他の抗体(Bloeman et al., FEBS Lett. 357, 140(1995); Owais et al., Antimicrob. Agents Chemother. 39, 180(1995));サーファクタントタンパク質A受容体(Briscoe et al., Am. J. Physiol. 1233, 134(1995))、これらの異なる種が本発明の製剤および本発明の分子の成分を含む;p120(Schreier et al., J. Biol. Chem. 269, 9090(1994))が含まれる;Keinanen et al., FEBS Lett. 346, 123(1994); Killion et al., Immunomethods 4, 273(1994)もまた参照のこと。組成物は、注射容易可能性性(easy syringability)が存在する程度に流動性でなければならない。組成物は、製造および保存条件下で安定でなければならず、かつ微生物、例えば細菌および真菌の混入作用から保護されなければならない。
【0204】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、それらが胎盤を超えて輸送されるのを阻止または減少させるよう製剤化され得る。このことは、当技術分野で公知の方法によって、例えば一価抗体のPEG化によってなされ得る。さらなる参照は、Cunningham-Rundles et al., J Immunol Methods. 152, 177-190(1992);およびLandor et al., Ann. Allergy Asthma Immunol. 74, 279-283(1995)に対してなされ得る。
【0205】
投薬レジメンは、最適な所望の反応(例えば治療反応)を提供するよう調整される。例えば、単一のボーラスが投与される場合もあり、数個に分割された用量が経時的に投与される場合もあり、その治療状況の緊急性に比例してその用量が加減される場合もある。投与の簡便さおよび用量の均一性の点から単位剤形の非経口組成物を製剤化するのが特に有利である。本明細書中で使用される場合、単位剤形は、処置する被験体への単位投薬に適した物理的に隔てられた単位を意味し;各々の単位は、所望の治療効果を生ずるよう計算された所定量の一価抗体を必要な薬学的担体と共に含む。本発明の単位剤形の仕様は、(a)一価抗体の固有の特性および達成すべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における処置感度に関する、このような一価抗体を配合する技術における固有の制限による影響を受けかつそれらに直接的に依存する。
【0206】
本発明の薬学的組成物における実際の一価抗体の用量レベルは、特定の患者、組成物、および投与様式において所望の治療反応を達成するのに有効な活性成分の量を得るために変更され得る。選択される用量レベルは、使用される本発明の特定の一価抗体の活性、投与経路、投与時間、使用される特定の一価抗体の排出速度、処置期間、使用される特定の組成物と共に使用される他の薬物、化合物、および/または物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康、および過去の病歴、ならびに医療分野で周知の同様の要因を含む様々な薬物動態学的要因に依存すると考えられる。
【0207】
当技術分野の通常の技術を有する医師または獣医は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に決定および処方することができる。例えば、医師または獣医は、薬学的組成物において使用される本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要とされるのよりも低いレベルから開始し、所望の治療効果が達成されるまで用量を段階的に増やしていくことができる。一般的に、本発明の薬学的組成物の適当な用量は、治療効果を生ずるのに有効な最低の用量である一価抗体の量と考えられる。このような有効用量は一般的に、上記の要因に依存する。別の例として、医師または獣医は、治療的有効用量を迅速に達成しそれを長期間にわたって維持するために、高ローディング用量を用いて開始した後、それよりも低い用量を反復的に投与することができる。
【0208】
本発明の薬学的組成物は、一つまたは複数の異なる本発明の一価抗体を含み得る。従って、さらなる態様において、薬学的組成物は、異なる機構により作用する複数の(例えば二つまたはそれ以上の)本発明の一価抗体の組み合わせを含む。一価抗体はまた、このようにして二価抗体と組み合わされ得る。
【0209】
本発明はまた、本発明の一価抗体の重鎖のC
H領域のアミノ酸配列をコードする核酸構築物に関する。
【0210】
一つの態様において、本発明は、C
H領域のヒンジ領域に対応する領域がC
H領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含むペプチドとのジスルフィド結合の形成に関与できるアミノ酸残基を含まないよう改変されているIgG4のC
H領域をコードする核酸配列、またはその相補的配列を含む核酸構築物を提供する。
【0211】
本発明の一価抗体のC
H領域をコードする核酸構築物は、IgG4のC
H領域をコードする核酸由来であり得る。IgG4のC
H領域の全長アミノ酸配列をコードする核酸構築物は、本明細書中、例えば実施例において考察されている方法または当技術分野で公知の他の方法のいずれかによって調製され得る。組換えDNA配列を用いる操作方法は、当技術分野で周知であり、例えば、部位特異的変異誘発、例えば本明細書中に記載されるような部位特異的変異誘発を使用することによって行われ得る。しかし、部位特異的変異誘発は、適用され得る技術の非限定的な例の一つにすぎない。
【0212】
C
H領域をコードする核酸配列の改変は、本発明の一価抗体の構築に関して上述したようにして行われ得る。
【0213】
一つの態様において、C
H領域をコードする核酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域がシステイン残基を含まないよう改変されている。
【0214】
一つの態様において、C
H領域をコードする核酸配列は、任意のシステイン残基を含むヒンジ領域に対応する領域のアミノ酸残基の少なくとも一つが欠失および/または他のアミノ酸残基で置換されるよう改変されている。
【0215】
一つの態様において、C
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸106および109に対応するアミノ酸が欠失されるよう改変されている。
【0216】
一つの態様において、C
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基106〜109に対応するアミノ酸残基が欠失されるよう改変されている。
【0217】
一つの態様において、C
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基99〜110に対応するアミノ酸残基が欠失されるよう改変されている。
【0218】
一つの態様において、C
H領域をコードする核酸配列は、ヒンジ領域全体が欠失されるよう改変されている。
【0219】
一つの態様において、本明細書中でSEQ ID No: 13として同定されるIgG4のC
H領域をコードする配列におけるヒンジ領域のスプライスドナー部位に対応するヌクレオチドの変異(置換)は、IgG4のヒンジレスC
H領域を含むポリペプチドの発現をもたらす。
【0220】
従って、一つの態様において、本発明の核酸構築物は、ヒンジ領域をコードする核酸配列のスプライスドナー部位の少なくとも一つのヌクレオチドが、その位置に当初存在したヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されるよう改変されている。
【0221】
一つの態様において、SEQ ID No: 13の配列の714位および722位のヌクレオチドに対応するヌクレオチドは、SEQ ID No: 13のその位置に存在するヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されている。
【0222】
一つの態様において、本発明の核酸構築物のC
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 13の配列のヌクレオチド714および722が、SEQ ID No: 13のその位置に存在するヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されたSEQ ID No: 13の配列を含む。
【0223】
一つの態様において、本発明の核酸構築物のC
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 15のヌクレオチド配列を含む。
【0224】
一つの態様において、本発明の核酸構築物のC
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基で置換されるよう改変されている。
【0225】
一つの態様において、本発明の核酸構築物のC
H領域をコードする核酸配列の置換型ヌクレオチドは、部位特異的変異誘発を用いて置換される。
【0226】
一つの態様において、ヒンジ領域に対応する領域がジスルフィド結合の形成に関与できるアミノ酸残基を含まないよう改変されているIgG4のC
H領域をコードする核酸配列を含む核酸構築物は、本発明の一価抗体のV
H領域をコードする核酸配列を含む核酸と融合される。
【0227】
従って、一つの態様において、核酸構築物は、抗原特異的な抗体のV
H領域をコードする核酸配列、またはその相補的配列を含む。
【0228】
一つの態様において、核酸構築物のV
H領域をコードする核酸配列は、C
H領域をコードする核酸配列またはその相補的配列に機能的に連結されている。
【0229】
一つの態様において、核酸構築物は、本発明の一価抗体の重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0230】
これは、二つの異なるコード配列が機能的に連結された核酸構築物を獲得するための周知技術を用いることによって達成され得る。
【0231】
本発明の一価抗体のV
H領域をコードする核酸配列は、任意の抗原特異的な抗体のV
H領域をコードする核酸由来であり得る。一つの態様において、V
H領域は、一価抗体のV
L領域を得たのと同じ抗体由来である。本発明は、
1)機能的に連結された、SEQ ID No: 5として同定されるHuMab-7D8のV
Hをコードする核酸配列およびSEQ ID No: 15として同定されるIgG4のヒンジレスC
Hをコードする核酸配列、ならびに
2)機能的に連結された、SEQ ID No: 7として同定されるマウス抗Betv-1のV
Hをコードする核酸配列およびSEQ ID No: 15として同定されるIgG4のヒンジレスC
Hをコードする核酸配列、
を含む核酸構築物の作製方法の例を提供する。
【0232】
異なる特異的抗原に結合できる一価抗体をコードする多くの異なる核酸構築物が、上記の本発明の方法を用いることによって作製され得、従って具体的な一価抗体の例は本明細書中に記載の抗体の例に限定されない。
【0233】
一つの態様において、本発明の核酸構築物はまた、本発明の一価抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含む。
【0234】
一つの態様において、本発明の核酸構築物は、本発明の一価抗体のV
L領域をコードする核酸配列を含む。
【0235】
一つの態様において、本発明の核酸構築物は、本発明の一価抗体のC
L領域をコードする核酸配列を含む。一つの態様において、C
L領域は、Ig軽鎖カッパのC
L領域である。一つの態様において、C
L領域はSEQ ID No: 1の配列を有する。別の態様において、C
L領域はIg軽鎖カッパのC
L領域である。一つの態様において、C
L領域はSEQ ID No: 3の配列を有する。
【0236】
このような核酸構築物は、本明細書で考察されている任意の公知の組換え技術によって、または本願において提供される例に記載される手順に従って調製され得る。
【0237】
本発明の一価抗体のV
L領域をコードする核酸配列は、任意の抗原特異的な抗体のV
H領域をコードする核酸由来であり得る。一つの態様において、V
L領域は、一価抗体のV
H領域を得たのと同じ抗体由来である。本発明は、
1)機能的に連結された、SEQ ID No: 9として同定されるHuMab-7D8のV
Lをコードする核酸配列およびSEQ ID No: 1として同定されるIgのC
Lカッパをコードする核酸配列を含む核酸構築物、ならびに
2)機能的に連結された、SEQ ID No: 11として同定されるマウス抗Betv-1のV
Lをコードする核酸配列およびSEQ ID No: 1として同定されるIgのC
Lカッパをコードする核酸配列を含む核酸構築物、
の作製方法の例を提供する。
【0238】
核酸は、細胞全体、細胞溶解産物、または部分精製形態もしくは実質的な精製形態で存在し得る。
【0239】
本発明の核酸構築物は、cDNA、ゲノム、またはそれらの混合物由来のネイティブ配列(改変された制限部位等を除く)であることが多いが、遺伝子配列を提供する標準技術に従い変異させる場合もある。コード配列に対するこれらの変異は、アミノ酸配列に望ましい影響を及ぼし得る。特に、ネイティブのV、D、J、定常、スイッチ変種、および本明細書中に記載されるその他のそのような配列に実質的に相同であるかまたはそれら由来のDNA配列が企図される(「由来する」は、ある配列が別の配列と同一であるかまたはその別の配列から改変されたものであることを示す)。
【0240】
一つの態様において、核酸構築物はDNA構築物である。一つの態様において、核酸構築物は二本鎖DNA構築物である。
【0241】
一つの態様において、核酸構築物はRNA構築物である。
【0242】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、上記の核酸構築物を細胞内で発現させることによって調製される。
【0243】
従って、本発明は、発現ベクターである、上記のような核酸構築物に関する。一つの態様において、発現ベクターは原核生物発現ベクターである。一つの態様において、発現ベクターは真核生物発現ベクターである。一つの態様において、発現ベクターは哺乳動物発現ベクターである。本発明の目的上使用され得る様々な発現ベクターの例は、本明細書中の他の箇所で考察されており、具体的な例は実施例の節に記載されている。
【0244】
本発明は、本発明の核酸構築物、および該核酸構築物が抗体の軽鎖をコードしない場合は抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸構築物も含む宿主細胞を培養してポリペプチドを発現させる工程、および細胞培養物から一価抗体を回収する工程を含む、本発明の一価抗体の調製方法を提供する。一つの態様において、一価抗体は細胞溶解産物から回収される。別の態様において、一価抗体は培地から回収される。
【0245】
本発明はまた、本発明の一価抗体を作製するための、本発明の核酸構築物の使用を提供する。一つの態様において、作製には、以下でさらに詳細に記載されるような方法の使用を伴う。
【0246】
従って、本発明の一価抗体は、例えば、本発明の抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクターおよび本発明の抗体の重鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクター、またはその両方を含む発現ベクターを宿主細胞内で発現させることによって調製され得る。宿主細胞は、外来タンパク質の発現に適した任意の細胞、例えば本明細書中の他の箇所に記載されるような哺乳動物細胞から選択され得る。本発明は、インビボおよびインビトロの両方の発現に関する。
【0247】
一過的なインビトロ発現には、哺乳動物HEK293細胞が使用され得る。この場合、培養物中の細胞は、当技術分野で周知の任意の適当な細胞トランスフェクション法(例えば適当な細胞トランスフェクションキットが商業的製造者、例えばStratageneまたはInvitrogeneから購入できる)によって上記の発現ベクターでトランスフェクトされる。インビボ発現においては、発現ベクターはこの目的のため設計された任意の適当な投与法によってインビボ投与される。発現ベクターのインビボ投与法もまた当技術分野で周知である。
【0248】
従って、本発明は、上記のような核酸構築物を含む宿主細胞を提供する。一つの態様において、宿主細胞は原核細胞である。一つの態様において、宿主細胞は大腸菌細胞である。別の態様において、宿主細胞は真核細胞である。一つの態様において、宿主細胞は哺乳動物細胞である。一つの態様において、宿主細胞はCHO細胞である。別の態様において、宿主細胞はHEK-293F細胞である。
【0249】
本発明は、抗体の重鎖をコードする核酸配列および抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含む本発明の宿主細胞を培養してポリペプチドを発現させる工程、ならびに細胞培養物から一価抗体を回収する工程を含む、本発明の一価抗体の調製方法を提供する。本発明はまた、本発明の一価抗体の作製のための、本発明の宿主細胞の使用を提供する。一つの態様において、作製には、以下でさらに詳細に記載されるような方法の使用を伴う。核酸配列は、重鎖をコードする核酸配列と同一核酸構築物上に存在する場合もあり、別個の核酸構築物として存在する場合もある。一つの態様において、一価抗体は、細胞溶解産物から回収される。別の態様において、一価抗体は細胞培地から回収される。
【0250】
本発明はまた、上記の核酸構築物を含む遺伝子導入動物を提供する。
【0251】
本発明は、以下の工程を含む、一価抗体の組換え作製方法を提供する:
i)選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgの定常(C
L)領域をコードする核酸配列を含む、一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgのC
L領域をコードする核酸配列が機能的に連結されている、工程;
ii)選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードするヌクレオチド配列およびヒトIgG4のC
H領域をコードする核酸を含む、一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、重鎖をコードする核酸配列が、重鎖のヒンジ領域に対応する領域が同一のヒトIgG4の定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとのジスルフィド結合の形成に関与できるアミノ酸残基を含まないように改変されており、選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードする核酸およびIgG4のC
H領域をコードする核酸が機能的に連結されている、工程;
iii)抗体を作製するための細胞発現系を提供する工程;
iv)(i)および(ii)の核酸構築物を(iii)の細胞発現系の細胞中で共発現させることによって一価抗体を作製する工程。
【0252】
工程(iv)の後に、一価抗体は精製され、必要に応じて製剤化され得る。
【0253】
一つの態様において、上記のように、重鎖をコードする核酸配列は、重鎖のヒンジ領域に対応する領域がシステイン残基を含まないよう改変されている。
【0254】
一つの態様において、上記のように、重鎖をコードする核酸配列は、任意のシステイン残基を含むヒンジ領域に対応する領域のアミノ酸残基の少なくとも一つが欠失および/または他のアミノ酸残基で置換されるよう改変されている。
【0255】
一つの態様において、上記のように、重鎖をコードする核酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列のアミノ酸106および109に対応するアミノ酸が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている。
【0256】
一つの態様において、上記のように、重鎖をコードする核酸配列は、重鎖が、SEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基106〜109に対応するアミノ酸残基が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている。
【0257】
一つの態様において、上記のように、重鎖をコードする核酸配列は、重鎖が、SEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基99〜110に対応するアミノ酸残基が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている。
【0258】
一つの態様において、上記のように、重鎖をコードする核酸配列は、ヒンジ領域全体が欠失されるよう改変されている。
【0259】
一つの態様において、上記のように、一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物は、ヒンジ領域をコードする核酸配列のスプライスドナー部位の少なくとも一つのヌクレオチドが別のヌクレオチドで置換されているヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0260】
一つの態様において、上記のように、一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物は、SEQ ID No: 13の配列の714位および722位のヌクレオチドに対応するヌクレオチドがSEQ ID No: 13のその位置に存在するヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されたヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0261】
一つの態様において、上記のように、一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物は、SEQ ID No: 13の配列のヌクレオチド714および722がSEQ ID No: 13のその位置に存在するヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されたSEQ ID No: 13の配列を含むヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0262】
一つの態様において、上記のように、一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物は、SEQ ID No: 15のヌクレオチド配列を含む。
【0263】
一つの態様において、上記のように、重鎖をコードする核酸配列は、重鎖が、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基で置換されたC
H領域を含むよう改変されている。
【0264】
一つの態様において、上記のように、C
H領域のヒンジ領域をコードする核酸配列の置換型ヌクレオチドは、部位特異的変異誘発を用いることによって置換される。
【0265】
一つの態様において、上記のように、一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物はヒトIgGのカッパ鎖のC
L領域をコードする配列を含む。
【0266】
一つの態様において、上記のように、核酸構築物はSEQ ID No: 1のヌクレオチド配列を含む。
【0267】
一つの態様において、上記のように、一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物はヒトIgGのラムダ鎖のC
L領域をコードする配列を含む。
【0268】
一つの態様において、上記のように、核酸構築物はSEQ ID No: 3のヌクレオチド配列を含む。
【0269】
一つの態様において、上記のように、核酸構築物はDNA構築物である。
【0270】
一つの態様において、上記のように、(i)、(ii)、(iii)、および/または(iv)の核酸構築物は原核生物発現ベクターである。さらなる態様において、上記のように、細胞発現系は原核細胞発現系である。さらなる態様において、上記のように、原核細胞発現系は大腸菌細胞を含む。さらなる態様において、上記のように、大腸菌細胞は、内因性プロテアーゼ活性欠損株の細胞である。
【0271】
一つの態様において、上記のように、(i)、(ii)、(iii)、および/または(iv)の核酸構築物は真核生物発現ベクターである。さらなる態様において、上記のように、細胞発現系は真核細胞発現系である。さらなる態様において、上記のように、細胞発現系は哺乳動物細胞発現系である。さらなる態様において、上記のように、哺乳動物細胞発現系はCHO細胞を含む。別のさらなる態様において、上記のように、哺乳動物細胞発現系はHEK-293F細胞を含む。
【0272】
本発明はまた、本発明の方法の使用によって獲得できる一価抗体を提供する。
【0273】
本発明はまた、本発明の方法に使用によって獲得された一価抗体を提供する。
【0274】
本発明によれば、本発明の任意の抗原特異的な一価抗体は、上記の方法を用いて作製され得る。
【0275】
本発明の一価抗体は、この抗体が認識および結合できる抗原を発現する細胞に関連する障害の診断および処置に関連する、多くのインビトロおよびインビボ診断および治療用途を有する。本発明によれば本明細書中に記載される一価抗体は任意の特定の抗原に対して作製され得るので、本発明は任意の特定の抗原に対する一価抗体に関するものではない。本発明は、本願に記載される方法によって調製された、二つの異なる一価抗体、7D8-HG(HuMab 7D8または単に7D8は、WO 04/035607に記載される抗CD20抗体であり、HuMab 7D8-HGまたは単に7D8-HGはSEQ ID No: 16のアミノ酸配列からなるC
H領域を含むIgG4重鎖を有する同一抗体である)および抗Betv1-HG(抗Betv1は、文献(Akkerdaas JH et al., Allergy 50(3), 215-20(1995))由来のクローン2H8によって発現されるマウス抗体であり、抗Betv1-HGはSEQ ID No: 16のアミノ酸配列からなるC
H領域を含むIgG4重鎖を有する同一抗体である)を開示しているが、本発明はこれらの二つの一価抗体に限定されるものではない。一つの態様において、本発明に従うCD20一価抗体は、WO 2005/103081に開示される抗体の一価抗体である。
【0276】
特定の病的状態においては、一価抗体を使用することが必要および/または望ましい。同様に、いくつかの例においては、治療用抗体が、免疫系媒介性の活性、例えばエフェクター機能、ADCC、貪食作用、およびCDCを伴わずにその治療的作用を発揮することが好ましい。このような状況においては、そのような活性が実質的に減弱されたまたは排除された形態の抗体を作製することが望ましい。その抗体が効率的にかつ高収率で作製できる形態であることも有利である。本発明は、このような、様々な目的、例えば治療、予防、および診断に使用され得る抗体を提供する。
【0277】
本発明の一価抗体の具体的な用途は、必然的にその抗体の特定の標的に依存する。本発明の一価抗体を治療、予防、および診断上有用な抗体にする標的の選択は、その標的に特異的またはその標的の所与のエピトープ(このような情報は多くの異なる標的に関する技術分野において豊富に存在する)に特異的な抗体を投与することの治療的価値およびその特定の標的に対する安定な一価抗体を使用することの利点に基づき得る。このような考察は当技術者の技能の内である。
【0278】
本発明の一価抗体は、インビトロ、エクスビボ、および/またはインビボで特異的な抗原の活性を部分的にまたは完全にブロックするためのアンタゴニストとして使用され得る。さらに、本発明の一価抗体は、同一エピトープを共有する異なる抗原による交差結合により、他の種由来の抗原の活性を中和し得る。従って、本発明の一価抗体は、特定の抗原の活性を、例えばその抗原を含む細胞培養物において、ヒト被験体において、または本発明の抗体と交差反応する抗原を有するその他の哺乳動物被験体(例えばチンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザルおよびアカゲザル、ブタ、またはマウス)において阻害するために使用され得る。一つの態様において、本発明の一価抗体は、その抗原の活性が阻害されるよう抗体と抗原を接触させることによって抗原の活性を阻害するために使用され得る。一つの態様において、抗原はヒトタンパク質分子である。
【0279】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、リガンド抗原に特異的なものであり、そのリガンド抗原が関与するリガンド-受容体の相互作用をブロックまたは干渉することによってその抗原の活性を阻害し、それによって対応するシグナル経路およびその他の分子的または細胞的事象を阻害する。
【0280】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、リガンドとの接触によって活性化され得る受容体抗原に特異的なものであり、そのリガンド-受容体の相互作用をブロックまたは干渉することによってその抗原の活性を阻害し、それによって対応するシグナル経路およびその他の分子的または細胞的事象を阻害する。
【0281】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、CD74に対するものであり、MIF誘導性のシグナル伝達を阻害するが、Fc媒介性のエフェクター機能は欠失している。
【0282】
本発明はまた、リガンド結合を必ずしも妨げるわけではないが受容体の活性化に干渉し、それによって通常ならばリガンドの結合によって開始される任意の反応を阻害する受容体特異的な一価抗体を特徴とする。本発明はまた、リガンド-受容体複合体に優先的または排他的のいずれかで結合する一価抗体を包含する。
【0283】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、特定の抗原受容体のアゴニストとして作用し、それによってリガンド媒介性の受容体の活性化の全てまたは一部のいずれかの活性を強化、増強、または活性化し得る。
【0284】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、ウイルスまたは他の病原体とその受容体との結合を妨げ得る、例えばHIVとCD4または補助受容体、例えばCCR5もしくはCXCR4との結合を阻害し得る。
【0285】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、悪性および良性腫瘍;非白血病性およびリンパ性の悪性疾患;神経細胞障害、神経膠障害、星状細胞障害、視床下部障害、ならびに他の腺障害、マクロファージ障害、上皮障害、間質障害、および胞胚腔障害;ならびに炎症障害、血管新生障害、および免疫学的障害を含むがこれらに限定されない一つまたは複数の抗原分子の異常な発現および/または活性に関連する疾患、障害、または状態を処置するか、阻害するか、その進行を遅らせるか、その再発を予防/遅らせるか、寛解させるか、または予防するために使用され得る。
【0286】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、疾患、障害、または状態、例えば癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害を処置するか、例えば阻害するか、その進行を遅らせるか、その再発を予防/遅らせるか、寛解させるか、または予防するために使用され得る。このことは、一価抗体が、その抗原特異性を通じて細胞の増殖、細胞の成長、細胞の生存率、アポトーシス、壊死、細胞-細胞の相互作用、細胞-マトリクスの相互作用、細胞のシグナル伝達、細胞-表面分子の発現、細胞-表面分子の相互作用、リガンド-受容体の相互作用に干渉することができることによる。
【0287】
本発明は、医薬として使用するための本発明の一価抗体を提供する。
【0288】
本発明は、所与の標的または標的のエピトープに特異的に結合し、標的または標的エピトープへの結合が疾患の処置に有効である、癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害を処置するための医薬として使用するための本発明の一価抗体を提供する。
【0289】
本発明は、抗原の多量体化(例えば二量体化)が望ましくない免疫複合体を形成し得、抗体が該抗原に特異的に結合する、可溶性抗原をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための医薬として使用するための本発明の一価抗体を提供する。
【0290】
本発明は、抗体の投与の効果を達成するために免疫系媒介性の活性の関与が必要ないかまたは望ましくなく、抗体が抗原に特異的に結合する、特定の標的に対する抗体の投与により処置可能である疾患または障害の処置のための医薬としての使用するための本発明の一価抗体を提供する。
【0291】
本発明は、受容体が該受容体の二量体化によって活性化され得、抗体が該受容体に特異的に結合する、細胞膜結合型受容体をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための医薬として使用するための本発明の一価抗体を提供する。
【0292】
本発明は、医薬としての本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0293】
本発明は、所与の標的または標的エピトープに特異的に結合し、標的または標的エピトープに対する結合が疾患の処置に有効である、癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害の処置のための医薬としての本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0294】
本発明は、抗原の多量体化(例えば二量体化)が望ましくない免疫複合体を形成し得る、可溶性抗原をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための医薬としての本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0295】
本発明は、抗体の投与の効果を達成するために免疫系媒介性の活性の関与が必要ないかまたは望ましくなく、抗体が抗原に特異的に結合する、特定の標的に対する抗体の投与により処置可能である疾患または障害の処置のための医薬としての本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0296】
本発明は、受容体が該受容体の二量体化によって活性化され得、抗体が該受容体に特異的に結合する、疾患または障害が細胞膜結合型受容体をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための医薬として使用するための本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0297】
本発明は、所与の標的または標的エピトープに特異的に結合し、標的または標的エピトープに対する結合が疾患の処置に有効である、癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害の処置のための薬学的組成物の調製のための本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0298】
本発明は、抗原の多量体化(例えば二量体化)が望ましくない免疫複合体を形成し得る、可溶性抗原をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための薬学的組成物の調製のための本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0299】
本発明は、抗体の投与の効果を達成するために免疫系媒介性の活性の関与が必要ないかまたは望ましくなく、抗体が抗原に特異的に結合する、特定の標的に対する抗体の投与により処置可能である疾患または障害の処置のための薬学的組成物の調製のための本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0300】
本発明は、受容体が該受容体の二量体化によって活性化され得、抗体が該受容体に特異的に結合する、細胞膜結合型受容体をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための薬学的組成物の調製のための本発明の一価抗体の使用を提供する。
【0301】
本発明は、本発明の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または本発明の核酸構築物を、処置が必要な被験体に投与し、それによって疾患または障害が処置される工程を含む、疾患または障害の処置方法を提供する。
【0302】
本発明は、治療的有効量の、抗原に特異的に結合する本発明の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または本発明の核酸構築物を、処置が必要な被験体に投与して、被験体における抗原の活性を阻害する工程を含む、抗原の活性が望ましくない疾患または障害に罹患した被験体において抗原を阻害する方法を提供する。
【0303】
本発明は、治療的有効量の本発明の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または本発明の核酸構築物を、処置が必要な被験体に投与する工程を含む、癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害の処置方法であって、該抗体が所与の標的または標的エピトープに特異的に結合し、標的または標的エピトープに対する抗体の結合が疾患の処置に有効である、方法を提供する。
【0304】
一つの態様において、このような疾患または障害は、治療的有効量の、可溶性抗原に対する本発明の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または本発明の核酸構築物を、処置が必要な被験体に投与する工程を含む、該抗原のブロックまたは阻害によって処置可能であり、該抗原の多量体化(例えば二量体化)が望ましくない免疫複合体を形成し得る疾患または障害である。
【0305】
一つの態様において、このような疾患または障害は、治療的有効量の、抗原に特異的に結合する本発明の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または本発明の核酸構築物を、処置が必要な被験体に投与する工程を含む、特定の標的に対する抗体の投与により処置可能であり、抗体の投与の効果を達成するために免疫系媒介性の活性の関与が必要ないかまたは望ましくない疾患または障害である。
【0306】
一つの態様において、このような疾患または障害は、治療的有効量の、細胞膜結合型受容体に特異的に結合する本発明の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または本発明の核酸構築物を、処置が必要な被験体に投与する工程を含む、該受容体のブロックまたは阻害によって処置可能であり、該受容体が該受容体の二量体化によって活性化され得る疾患または障害である。
【0307】
標的または標的の特異的エピトープに対する抗体の結合が治療効果を有することが示されているかまたは有することが推定される、標的の例を示す科学文献は豊富に存在する。本明細書の教示によればおよび本明細書中の他の箇所に記載されるように、そのような標的に対する一価抗体、例えば本発明の一価抗体の使用が治療効果を生じることを期待できるかどうかを決定することは当業者の技術の内である。以下に、このような標的のいくつかの例を示すが;これらの例は本発明の範囲を限定することを意味するものではない。
【0308】
例えば可溶性抗原が複数の同一のサブユニットからなる場合、多量体化(例えば二量体化)により望ましくない免疫複合体を形成し、例えば凝集物を生じ得る、可溶性抗原に特異的に結合する本発明の一価抗体。
【0309】
受容体の二量体化により活性化され得る受容体に特異的に結合する本発明の一価抗体は、例えば、cmet、FcεRI、アセチルコリン受容体、fasもしくはfasL、TRAIL、またはVEGF受容体に対する抗体であり得る。
【0310】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、FcαRIを通じた細胞の活性化に干渉することにより、FcαRIの機能に干渉することにより、その後のFcαRIにより活性化されるIgE媒介性の反応の阻害により、または可溶型FcαRIとの結合により処置可能である。本発明の一つの態様において、一価抗体はFcαRIに対する抗体であり、FcαRI発現細胞のアポトーシスを誘導する。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えばアレルギー性喘息または他のアレルギー性疾患、例えばアレルギー性鼻炎、季節性/通年性アレルギー、枯草熱、鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎、湿疹、じんま疹(hives)、じんま疹(urticaria)、接触アレルギー、アレルギー性結膜炎、眼アレルギー、食物および薬物アレルギー、ラテックスアレルギー、もしくは昆虫アレルギー、またはIgA腎症、例えばIgA天疱瘡であり得る。一つのこのような態様において、本発明の一価抗体は、FcαRIに対する抗体である。このような一価抗体はまた、サンプルもしくは患者におけるFcαRIのインビトロもしくはインビボスクリーニングのためにまたはこれらの疾患および障害を処置するための免疫毒素もしくは放射標識アプローチにおいて使用され得る。
【0311】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、FcεR1またはFcγ受容体を通じたFc受容体γ鎖媒介性のシグナル伝達をダウンレギュレートすることによって処置可能である。FcαRIに対する抗体の単量体結合はこのような阻害をもたらすことが公知である。従って一価抗体は、Fcγ、Fcα、およびFcε受容体を含むFc受容体群を通じた免疫の活性化を阻害するために使用され得る。
【0312】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、活性化型T細胞またはCD25発現細胞の直接的または間接的なブロックを通じてCD25発現細胞の活性および/または成長(例えば増殖)を阻害、殺傷、および/または調節することによって処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、以下であり得る:
移植片拒絶、器官または組織の移植、例えば心臓、肺、心臓-肺の組み合わせ、気管、腎臓、肝臓、膵臓、食道、腸、皮膚、四肢、臍帯、幹細胞、島細胞の移植等を受けているまたは受けた患者における同種移植拒絶および異種移植拒絶を含む(本発明の一価抗体は、同種移植拒絶および異種移植拒絶における予防措置として使用される場合もあり、急性の同種移植拒絶および異種移植拒絶の発症を逆転、処置、またはそれ以外では寛解させるのに使用される場合もある)、
対宿主性移植片病、例えば輸血対宿主性移植片病、および骨髄対宿主性移植片病、
炎症疾患、免疫疾患、または自己免疫疾患、例えば関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、1型糖尿病、インスリン要求性2型糖尿病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、皮膚筋炎-多発性筋炎、シェーグレン症候群、巨細胞性動脈炎を含む動脈炎、再生不良性貧血、喘息、強皮症、およびブドウ膜炎、
炎症障害または超増殖性皮膚障害(hyperproliferative skin disorders)、例えば尋常性乾癬(plaque psoriasis)を含む乾癬、掌蹠膿疱症(PPP)、びらん性扁平苔癬、水疱性類天疱瘡(pemphigus bullosa)、表皮水疱症、接触皮膚炎、およびアトピー性皮膚炎、
リンパ系新生物、例えばT細胞白血病、ホジキン病、ヘアリーセル白血病、または菌状息肉腫を含む皮膚T細胞リンパ腫、およびセザリー症候群、
悪性腫瘍、例えば胃癌、食道癌、悪性黒色腫、結腸直腸癌、膵癌、乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、および腎細胞癌、
血液障害、例えば成人T細胞白血病/リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ種(SLL)、末梢T細胞リンパ腫、および続発性アミロイドーシス、
皮膚障害、例えば壊疽性膿皮症、環状肉芽腫、アレルギー性接触皮膚炎、瘢痕性類天疱瘡、および妊娠性疱疹、
肝-胃腸障害、例えばコラーゲン大腸炎、硬化性胆管炎、慢性活動性肝炎、ルポイド肝炎、自己免疫性肝炎、アルコール性肝炎、慢性膵炎、および急性膵炎、
心疾患、例えば心筋炎および心膜炎、
血管障害、例えば動脈硬化症、巨細胞性動脈炎/リウマチ性多発筋痛症、高安動脈炎、結節性多発性動脈炎、川崎病、ウェジナー肉芽腫症、顕微鏡的多発脈管炎、チャーグ-ストラウス症候群、白血球破砕性脈管炎、ならびに続発性血球破砕性脈管炎、
腎障害、例えば急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎、微少変化腎炎、およびグッドパスチャー症候群、
肺障害、例えば肺胞炎、閉塞性細気管支炎、珪肺症、およびベリリウム症、
神経学的障害、例えば多発性硬化症、アルツハイマー病、重症筋無力症、慢性脱髄性多発ニューロパシー、およびギヤン‐バレー症候群を含む多発性神経根炎、
結合組織障害、例えば再発性多発性軟骨炎、サルコイドーシス、全身性エリテマトーデス、CNSループス、円板状ループス、ループス腎炎、慢性疲労症候群、および線維筋痛症、
内分泌学的障害、例えばグレーヴズ病、橋本甲状腺炎、および亜急性甲状腺炎、または
ウイルス感染、例えばHIV-1/AIDSおよび熱帯性痙性不全対麻痺症。
【0313】
一つのこのような態様において、本発明の一価抗体はCD25に対する抗体である。このような一価抗体はまた、サンプルもしくは患者におけるCD25のインビトロもしくはインビボスクリーニングのためにまたはこれらの疾患および障害を処置するための免疫毒素もしくは放射標識アプローチにおいて使用され得る。
【0314】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、IL-15またはIL15受容体の機能をアンタゴナイズおよび/または阻害することによって処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、関節炎障害、痛風障害、結合障害、神経障害、胃腸障害、肝障害、アレルギー障害、血液障害、皮膚障害、肺障害、悪性障害、内分泌障害、脈管障害、感染障害、腎障害、心臓障害、循環器障害、代謝性、骨障害、および筋肉障害であり得る。一つのこのような態様において、本発明の一価抗体はIL-15に対する抗体である。このような一価抗体はまた、サンプルもしくは患者におけるIL-15のインビトロもしくはインビボスクリーニングのためにまたはこれらの疾患および障害を処置するための免疫毒素もしくは放射標識アプローチにおいて使用され得る。
【0315】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、IL-8がその受容体に結合するのを妨げることによってまたはIL-8の機能をブロックすることによって処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、以下であり得る:
掌蹠膿疱症(PPP)、乾癬、またはその他の皮膚疾患、
炎症障害、自己免疫障害、および免疫障害、例えば乾癬性関節炎、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、急性肺傷害、例えば急性呼吸促迫症候群または成人呼吸促進症候群、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、多発性骨髄腫、糸球体腎炎、腎炎、喘息、アテローム硬化症、白血球接着不全、多発性硬化症、レイノー症候群、シェーグレン症候群、若年発症糖尿病、ライター病、ベーチェット病、免疫複合体腎炎、IgA腎症、IgM多発性ニューロパシー、免疫性血小板減少症、例えば急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、重症筋無力症、ループス腎炎、エリテマトーデス、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎、天疱瘡、グレーヴズ病、橋本甲状腺炎、小血管性脈管炎、例えばウェジナー肉芽腫症、オーメン症候群、慢性腎不全、自己免疫性甲状腺疾患、急性伝染性単核球症、HIV、ヘルペスウイルス関連疾患、ヒトウイルス感染、例えばヒトライノウイルス、コロナウイルス、他のエンテロウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、またはアデノウイルス感染により引き起こされる感冒、細菌性肺炎、創傷、敗血症、脳卒中/脳浮腫、虚血性再灌流障害、ならびにC型肝炎、
アルコール性肝炎および急性膵炎、
IL-8媒介性の血管新生に関連する疾患、例えば腫瘍および癌、例えば黒色腫、甲状腺癌、移行上皮癌、毛根鞘腫、扁平上皮癌、および乳癌。
【0316】
一つのこのような態様において、本発明の一価抗体はIL-8に対する抗体である。このような一価抗体はまた、サンプルもしくは患者におけるIL-8のインビトロもしくはインビボスクリーニングのためにまたはこれらの疾患および障害を処置するための免疫毒素もしくは放射標識アプローチにおいて使用され得る。
【0317】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、例えば免疫毒素または放射標識アプローチを通じて、CD20活性に干渉することにより、B細胞を枯渇させることにより、B細胞の成長および/または増殖に干渉することにより処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、関節リウマチ、(自己)免疫障害および炎症障害(IL-8関連疾患および障害について上述されるような)、非ホジキンリンパ腫、B-CLL、リンパ系新生物、悪性腫瘍および血液障害、感染疾患、ならびに結合障害、神経障害、胃腸障害、肝障害、アレルギー障害、血液障害、皮膚障害、肺障害、悪性障害、内分泌障害、脈管障害、感染障害、腎障害、心臓障害、循環器障害、代謝障害、骨障害、および筋肉障害、ならびに免疫媒介性の血球減少症であり得る。
【0318】
一つのこのような態様において、本発明の一価抗体はCD20に対する抗体である。このような一価抗体はまた、サンプルまたは患者におけるCD20のインビトロまたはインビボスクリーニングのために使用され得る。
【0319】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、例えば免疫毒素または放射標識アプローチを通じて、CD38活性に干渉することにより、CD38発現細胞を枯渇させることにより、CD38
+細胞の成長および/または増殖に干渉することにより処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、以下であり得る:
腫瘍形成性障害、例えばB細胞リンパ腫、形質細胞性悪性腫瘍、T/NK細胞リンパ腫、および骨髄性悪性腫瘍、
CD38を発現するB細胞、形質細胞、単球、およびT細胞が関与する免疫障害、例えば自己免疫障害、例えば乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸窮迫症候群、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、糸球体腎炎、湿疹、喘息、アテローム硬化症、白血球接着不全、多発性硬化症、レイノー症候群、シェーグレン症候群、若年発症糖尿病、ライター病、ベーチェット病、免疫複合体腎炎、IgA腎症、IgM多発性ニューロパシー、免疫性血小板減少症、例えば急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、重症筋無力症、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ(RA)、アトピー性皮膚炎、天疱瘡、グレーヴズ病、橋本甲状腺炎、ウェジナー肉芽腫症、オーメン症候群、慢性腎不全、急性伝染性単核球症、HIV、およびヘルペスウイルス関連疾患、
急性呼吸促迫症候群および脈絡網膜炎(choreoretinitis)、ウイルス、例えばエプスタイン-バーウイルス(EBV)のB細胞への感染により引き起こされるまたは媒介される疾患および障害、
関節リウマチ、
自己抗体および/または過剰なBリンパ球およびTリンパ球の活性が顕著な炎症障害、免疫障害、および/または自己免疫障害、例えば脈管炎(vasculitides)および他の脈管障害、例えば顕微鏡的多発脈管炎、チャーグ-ストラウス症候群、および他のANCA関連脈管炎、結節性多発性動脈炎、本態性クリオグロブリン血症性脈管炎、皮膚白血球破砕性血管炎、川崎病、高安動脈炎、巨細胞性関節炎(giant cell arthritis)、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、原発性または孤立性脳血管炎、結節性紅斑、閉塞性血栓性血管炎、血栓性血小板減少性紫斑病(溶血性尿毒症症候群を含む)、ならびに皮膚白血球破砕性血管炎を含む続発脈管炎(例えばB型肝炎、C型肝炎、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、B細胞新形成、関節リウマチ、シェーグレン症候群、または全身性エリテマトーデスに続発するもの);さらなる例は、結節性紅斑、アレルギー性脈管炎、皮下脂肪組織炎、ウェーバー-クリスチャン病、グロブリン過剰血紫斑病、およびバージャー病である、
皮膚障害、例えば接触皮膚炎、線状IgA水疱症、白斑、壊疽性膿皮症、後天性表皮水疱症、尋常性天疱瘡(瘢痕性類天疱瘡および水疱性類天疱瘡を含む)、円形脱毛症(全身性脱毛症および完全脱毛症を含む)、疱疹状皮膚炎、多形性紅斑、ならびに慢性自己免疫性じんま疹(血管神経性浮腫およびじんま疹様血管炎を含む)、
免疫性血球減少症、例えば自己免疫性好中球減少症、および赤芽球ろう、
結合組織障害、例えばCNSループス、円板状エリテマトーデス、CREST症候群、混合結合組織病、多発性筋炎/皮膚筋炎、封入体筋炎、続発性アミロイドーシス、クリオグロブリン血症I型およびII型、線維筋痛症、リン脂質抗体症候群、続発性血友病、再発性多発性軟骨炎、サルコイドーシス、スティッフマン症候群、ならびにリウマチ熱;さらなる例は、好酸球性筋膜炎である、
関節炎、例えば強直性脊椎炎、若年性慢性関節炎、成人スティル病、およびSAPHO症候群;さらなる例は仙腸骨炎、反応性関節炎、スティル病、および痛風である、
血液障害、例えば再生不良性貧血、原発性溶血性貧血(寒冷血球凝集素病を含む)、CLLまたは全身性エリテマトーデス後の続発性溶血性貧血;POEMS症候群、悪性貧血、およびヴァルデンストレームグロブリン過剰血紫斑病;さらなる例は顆粒球減少症、自己免疫性好中球減少症、フランクリン病、セリグマン病、-鎖疾患、胸腺腫およびリンパ腫後の続発性新生物随伴症候群、ならびに第VIII因子阻害因子の形成、
内分泌障害、例えば多発性内分泌腺症およびアジソン病;さらなる例は、自己免疫性低血糖、自己免疫性甲状腺機能低下症、自己免疫性インスリン症候群、ド・ケルヴァン甲状腺炎、およびインスリン受容体抗体媒介性のインスリン抵抗性である、
肝胃腸障害、例えばセリアック病、ウィップル病、原発性胆汁性肝硬変、慢性活動性肝炎、および原発性硬化性胆管炎;さらなる例は自己免疫性胃炎である、
腎症、例えば急性進行性糸球体腎炎(rapid progressive glomerulonephritis)、連鎖球菌感染後腎炎、グッドパスチャー症候群、膜性糸球体腎炎、およびクリオグロブリン血症性腎炎;さらなる例は、微小変化群である、
神経障害、例えば自己免疫性ニューロパシー、多発単神経炎、ランバート-イートン筋無力症症候群、シドナム舞踏病、脊髄癆、およびギヤン-バレー症候群;さらなる例は、ミエロパシー/熱帯性痙性不全対麻痺症、重症筋無力症、急性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、および慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー;多発性硬化症、HIV誘導性痴呆、
心臓障害および肺障害、例えばCOPD、線維化肺胞炎、閉塞性細気管支炎、アレルギー性アスペルギルス症、嚢胞性線維症、レフラー症候群、心筋炎、および心膜炎;さらなる例は、過敏性肺炎および肺癌後の続発性新生物随伴症候群、
アレルギー障害、例えば気管支ぜん息および高IgE症候群;さらなる例は、一過性黒内障である、
眼科障害、例えば突発性脈絡網膜炎、
感染疾患、例えばパルボウイルスB感染(手足症候群(hands-and-socks syndrome)を含む)、
産婦人科障害、例えば反復流産、反復性胎児消失、および胎内発育遅延;さらなる例は、婦人科新生物後の続発性新生物随伴症候群である、
男性生殖器障害、例えば精巣新生物後の続発性新生物随伴症候群;ならびに
移植障害、例えば同種移植拒絶および異種移植拒絶、ならびに対宿主性移植片病。
【0320】
一つのこのような態様において、本発明の一価抗体はCD38に対する抗体である。このような一価抗体はまた、サンプルまたは患者におけるCD38のインビトロまたはインビボスクリーニングのために使用され得る。
【0321】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、例えば免疫毒素または放射標識アプローチを通じて、リガンド-EGFrの相互作用をブロックすることによって、EGFrの機能をブロックすることによって、EGFr発現細胞の枯渇/EGFr+細胞の成長および/または増殖に干渉することによって処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、以下であり得る:
EGFrを(過剰)発現する癌、例えば膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎癌、卵巣癌、前立腺癌、腎細胞癌、扁平上皮癌、肺(非小細胞)癌、および頭頸部癌、ならびに神経膠腫、
他のEGFr関連疾患、例えば自己免疫疾患、乾癬、炎症性関節炎。
【0322】
一つのこのような態様において、本発明の一価抗体はEGFrに対する抗体である。このような一価抗体はまた、サンプルまたは患者のEGFrのインビトロまたはインビボスクリーニングのために使用され得る。
【0323】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、例えば免疫毒素または放射標識アプローチを通じて、CD4の機能に干渉することによって、CD4発現細胞の枯渇/CD4+細胞の成長および/または増殖に干渉することによって処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、関節リウマチ、(自己)免疫障害および炎症障害(IL-8関連疾患および障害について上述されるような障害)、皮膚T細胞リンパ腫、非皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系新生物、悪性腫瘍および血液障害、感染疾患、ならびに結合障害、神経障害、胃腸障害、肝障害、アレルギー障害、血液障害、皮膚障害、肺障害、悪性障害、内分泌障害、脈管障害、感染障害、腎障害、心臓障害、循環器障害、代謝障害、骨障害、および筋肉障害、ならびに免疫媒介性の血球減少症であり得る。
【0324】
一つのこのような態様において、本発明の一価抗体はCD4に対する抗体である。このような一価抗体はまた、サンプルまたは患者におけるCD4のインビトロまたはインビボスクリーニングのために使用され得る。
【0325】
本発明の一つの態様において、CD4に対する一価抗体は、HIV感染の処置またはAIDSの処置のために使用される。
【0326】
本発明の一つの態様において、本発明の一価抗体は、WO 97/13852に開示されるCD4抗体の一価抗体である。
【0327】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、CD28機能をアンタゴナイズおよび/または阻害することによって、例えばT細胞の活性化に必要とされる共刺激性のシグナルを妨げることによって処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、上記のような炎症障害、自己免疫障害、および免疫障害であり得る。一つのこのような態様において、本発明の一価抗体は、CD28に対する抗体である。
【0328】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、組織因子の機能を変化させることによって、例えば凝固を変化させることによってまたは組織因子のシグナル伝達の阻害によって処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、
脈管疾患、例えば心筋脈管疾患、脳脈管疾患、網膜症、および黄斑変性、ならびに上記のような
炎症障害であり得る。
【0329】
本発明の一つの態様において、一価抗体は、組織因子または第VII因子と組織因子の複合体に対する抗体である。
【0330】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染に干渉することによって処置可能である。一つのこのような態様において、本発明の一価抗体は、HCVまたはHCV受容体、例えばCD81に対する抗体である。
【0331】
本発明の一つの態様において、一価抗体は、WO 2000/05266に開示されるような抗体の本発明による一価抗体である。
【0332】
本発明の一つの態様において、処置する疾患または障害は、アレルゲンとマスト細胞上の感作されたIgEとの結合を妨げることによって処置可能である。一つの態様において、このような疾患または障害は、例えば、アレルギー疾患、例えば喘息、アレルギー性鼻炎、季節性/通年性アレルギー、枯草熱、鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎、湿疹、じんま疹(hives)、じんま疹(urticaria)、接触アレルギー、アレルギー性結膜炎、眼アレルギー、食物および薬物アレルギー、ラテックスアレルギー、または昆虫アレルギーのアレルゲン免疫療法であり得る。
【0333】
一つのこのような態様において、本発明の一価抗体は、アレルゲンに対するIgG4ヒンジレス抗体である。
【0334】
特定の態様において、細胞毒性薬剤に抱合された一価抗体を含む免疫抱合体が患者に投与される。いくつかの態様において、免疫抱合体および/またはそれに結合する抗原は、細胞により取込まれ、それによってそれに結合する標的細胞を死滅させる上での免疫抱合体の治療効果が亢進される。一つの態様において、細胞毒性剤は、標的細胞内の核酸を標的とするかまたはそれに干渉する。
【0335】
このような細胞毒性剤の例には、本明細書中に示される化学療法剤(例えばメイタンシノイド(maytansinoid)またはカリチェアミシン(calicheamicin))、放射性同位元素、またはリボヌクレアーゼもしくはDNAエンドヌクレアーゼが含まれる。
【0336】
一つの態様において、抗原はヒトタンパク質分子であり、被験体はヒト被験体である。一つの態様において、被験体は、本発明の抗体と結合する抗原を発現する非ヒト哺乳動物であり得る。一つの態様において、被験体は、抗原が導入された(例えば、抗原の投与によってまたは抗原導入遺伝子の発現によって)哺乳動物であり得る。さらに、本発明の一価抗体は、獣医学的目的でまたはヒト疾患の動物モデルとして、この免疫グロブリンと交差反応する抗原を発現する非ヒト哺乳動物(例えば霊長類、ブタ、またはマウス)に投与され得る。後者に関して、このような動物モデルは、本発明の抗体の治療効果を評価するのに(例えば投与の用量およびタイムコースを試験するのに)有用であり得る。
【0337】
本発明の一価抗体は、治療において単独でまたは他の組成物と組み合わせて使用され得る。例えば、本発明の一価抗体は、処置する疾患または状態に依存して、一つもしくは複数の他の抗体、例えば本発明の一価抗体、一つもしくは複数の化学療法剤(化学療法剤のカクテルを含む)、一つもしくは複数の他の細胞毒性剤、一つもしくは複数の抗血管新生剤、一つもしくは複数のサイトカイン、一つもしくは複数の成長阻害剤、一つもしくは複数の抗炎症剤、一つもしくは複数の疾患改変性抗リウマチ薬(DMARD)、または一つもしくは複数の免疫抑制剤と同時投与され得る。本発明の一価抗体が腫瘍の成長を阻害する場合は、腫瘍の成長も阻害する一つまたは複数の他の治療剤と併用するのが特に望ましい場合がある。例えば、VEGF活性をブロックする抗VEGF抗体は、転移性乳癌の処置において、抗ErbB抗体(例えば抗HER2抗体であるトラスツズマブ(Herceptin))と併用され得る。あるいはまたはさらに、患者は、複合放射療法(例えば外部からのビーム照射または放射標識した薬剤、例えば抗体を用いる療法)を行われ得る。上記のような併用療法には、複合投与(二つまたは複数の薬剤が同じまたは別個の製剤に含まれる)、および個別投与が含まれ、個別投与の場合、本発明の抗体の投与は、補助的療法の実施前および/または実施後に行われ得る。
【0338】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、Her2陽性癌の処置のための、一価型のトラスツズマブである。
【0339】
本発明の一価抗体組成物は、最良の医療のための原則(good medical practice)に沿う様式で処方、用量決定、および投与され得る。この文脈で考慮すべき要因には、処置する個別の障害、処置する特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医師の間で公知の他の要因が含まれる。一つの態様において、一価抗体は、対象の障害を予防または処置するために現在使用されている一つまたは複数の薬剤と共に製剤化され得る。このような他の薬剤の有効量は、製剤中の本発明の一価抗体の量、障害または処置のタイプ、および上記の他の要因に依存する。
【0340】
本発明の一価抗体(および補助的療法剤)は、非経口投与、皮下投与、腹腔内投与、肺内投与、および鼻腔内投与、ならびに局所的処置が望ましい場合は病巣内投与を含む、任意の適当な手段によって投与され得る。非経口的注入には、筋内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与が含まれる。さらに、一価抗体は、パルス式注入によって適当に投与され得る、具体的には漸減量の一価抗体を用いて投与され得る。投薬は、部分的に、その投与が短時間のものか長時間のものかに依存して、任意の適当な経路によって、例えば、注射、例えば静脈内注射または皮下注射によって行われ得る。
【0341】
疾患の予防または処置については、本発明の一価抗体の適当な用量は(単独でまたは他の薬剤、例えば化学療法剤と組み合わせて使用される場合)、処置する疾患のタイプ、抗体のタイプ、疾患の重症度および経過、一価抗体が予防目的で投与されるのか治療目的で投与されるのかまたは診断目的で投与されるのか、過去の治療、患者の病歴および抗体に対する反応、ならびに主治医の裁量に依存する。一価抗体は、患者に対して一回でまたは複数回の処置として適当に投与され得る。
【0342】
このような用量は、断続的に、例えば毎週または三週ごとに(例えば、患者が約2〜約20回分、例えば約6回分の一価抗体を投与されるように)投与され得る。最初に高用量のローディング量、その後に一つまたは複数の低用量が投与され得る。投薬レジメンの例は、約4mg/kgの一価抗体の初期ローディング量の投与、その後の約2mg/kgの一価抗体の週ごとのメンテナンス量の投与を含む。しかし、他の投薬レジメンも有用であり得る。一つの態様において、本発明の一価抗体は、50mg〜4000mg、例えば250mg〜2000mg、例えば300mg、500mg、700mg、1000mg、1500mg、または2000mgの週ごとの用量を、最大8回、例えば4〜6回投与される。週ごとの用量は、二つまたは三つの部分用量に分けられ、一日より多い日に分けて投与され得る。例えば、300mgの用量は、第一(1)日に100mg、第二(2)日に200mgというように2日に分けて投与され得る。500mgの用量は、第一(1)日に100mg、第二(2)日に200mg、第三(3)日に200mgというように3日に分けて投与され得、700mgの用量は、第1(一)日に100mg、第2(二)日に300mg、第3(三)日に300mgというように3日に分けて投与され得る。レジメンは、必要に応じて、例えば6ヶ月または12ヶ月後に、一回または複数回繰り返され得る。
【0343】
用量は、生物学的サンプル中の本発明の一価抗体の投与後の循環量を、例えば該一価抗体を標的化する抗イディオタイプ抗体を使用することによって測定することにより決定または調整され得る。
【0344】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、維持療法によって、例えば6ヶ月またはそれ以上の期間の間一週間に一度投与され得る。
【0345】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、本発明の一価抗体の一回の注入およびその後の放射性同位元素結合型の同じ一価抗体の注入を含むレジメンによって投与され得る。このレジメンは、例えば7〜9日後に繰り返され得る。
【0346】
この治療の進行状況は、従来的な技術およびアッセイによって観察され得る。
【0347】
本発明は、上記の障害の処置、予防、および/または診断に有用な物品を含む製品を提供する。本発明の製品は、容器および容器に貼付けられたまたは備え付けられたラベルまたは添付文書を含む。適当な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ等が含まれる。容器は、様々な原材料、例えばガラスまたはプラスチックから製造され得る。容器は、それ自体がまたは他の組成物と組み合わせることによって状態の処置、予防、および/または診断に有効な組成物を保持し、無菌アクセス口を有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穴を開けることのできるストッパーを有する静脈用溶液バッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも一つの活性薬剤は本発明の一価抗体である。ラベルまたは添付文書は、この組成物が、選択された状態、例えば癌、の処置のために使用されるものであることを示す。さらに、この製品は、(a)本発明の一価抗体を含む組成物を入れた第一容器;および(b)さらなる細胞毒性剤を含む組成物を入れた第二容器を含み得る。本発明のこの態様における製品はさらに、第一および第二組成物が特定の状態、例えば癌を処置するために使用され得ることを示す添付文書を含み得る。あるいはまたはさらに、この製品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液を含む第二(または第三)容器をさらに含み得る。この製品はさらに、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む商業的およびユーザーの観点から望まれる他の物品を含み得る。
【0348】
一つまたは複数の本発明の一価抗体を含む本発明の薬学的組成物および取扱説明書を含むキットもまた、本発明の範囲に含まれる。このキットはさらに、処置する疾患または障害に依存して、一つもしくは複数の追加の薬剤、例えば免疫抑制剤、細胞毒性剤、もしくは放射性毒性剤、または本発明の一つもしくは複数の追加の一価抗体(例えば、相補的な活性を有する一価抗体)を含み得る。
【0349】
一つの態様において、本発明は、サンプルおよび対照サンプルと抗原に特異的に結合する一価抗体を、抗体またはその一部と抗原が複合体を形成できる条件下で接触させる工程を含む、サンプル中の、一価抗体に結合する特異的な抗原の存在を決定する方法、または特異的な抗原の量を測定する方法を提供する。複合体の形成はその後に検出され、サンプルと対照サンプルの間の複合体の形成の違いが、該抗原がサンプル中に存在することを示す。
【0350】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、一価抗体に結合する特異的な抗原の循環レベル、または該特異的抗原を膜表面に有する細胞のレベルを検出するのに使用され得、これらのレベルはその後に特定の疾患の症状と関連付けられ得る。あるいは、この抗体は、該抗原を発現する細胞の機能を枯渇させるかまたはその機能と相互作用させるために使用され得、それによってこれらの細胞が疾患の重要なメディエーターであることが示される。これは、サンプルおよび対照サンプルと一価抗体を、抗体と特異的抗原の間で複合体を形成できる条件下で接触させることによって達成され得る。サンプルおよび対照において抗体と抗原の間で形成された任意の複合体は検出および比較される。
【0351】
一つの態様において、本発明は、インビボまたはインビトロで、一価抗体に結合する特異的な抗原を発現する細胞の存在を検出またはその量を定量する方法を提供する。この方法は、(i)検出マーカーに結合させた本発明の一価抗体を被験体に投与する工程;(ii)被験体を、該検出マーカーを検出する手段に曝し、該抗原を発現する細胞を含む領域を同定する工程を含む。
【0352】
一つの態様において、本発明の一価抗体は、化合物(例えば治療剤、標識、細胞毒、放射性毒素、免疫抑制剤等)を一価抗体に連結することにより、このような化合物を、一価抗体に結合する特異的な抗原をその表面上に発現した細胞に標的化するために使用され得る。従って、本発明はまた、エクスビボまたはインビトロで該抗原を発現する細胞、例えばリード-スターンバーグ細胞を(例えば検出可能な標識、例えば放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子によって)局在化する方法を提供する。
【0353】
以下は、選択された本発明の態様の一覧である。
【0354】
態様1:
i)選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgの定常C
L領域をコードするヌクレオチド配列を含む、一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgのC
L領域をコードするヌクレオチド配列が機能的に連結されており、IgG1サブタイプの場合、C
L領域をコードするヌクレオチド配列は、C
L領域が同一のC
L領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとジスルフィド結合または共有結合を形成できるアミノ酸を含まないように改変されている、工程;
ii)選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードするヌクレオチド配列およびヒトIgの定常C
H領域をコードするヌクレオチド配列を含む、一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、C
H領域をコードするヌクレオチド配列は、ヒンジ領域に対応する領域および、Igサブタイプによって必要とされる、C
H領域の他の領域、例えばC
H3領域が、同一のヒトIgのC
H領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとのジスルフィド結合または共有結合性もしくは非共有結合性の重鎖間結合の形成に関与するアミノ酸残基を含まないように改変されており、選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードするヌクレオチド配列およびIgのC
H領域をコードするヌクレオチド配列が機能的に連結されている、工程;
iii)該抗体を作製するための細胞発現系を提供する工程;
iv)(i)および(ii)の核酸構築物を(iii)の細胞発現系の細胞中で共発現させることによって一価抗体を作製する工程
を含む、一価抗体の作製方法。
【0355】
態様2:
ヒトIgが、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはIgAもしくはIgD抗体、例えばIgG1、IgG2、またはIgG4抗体である、態様1記載の方法。
【0356】
態様3:
ヒトIgが、SEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸のC
H領域を有するIgG1であり、そのC
H3領域が以下の一つまたは複数のアミノ酸置換がなされるよう改変されている、態様1記載の方法:238位のArg(R)がGln(Q)により置換されている;239位のAsp(D)がGlu(E)により置換されている;292位のLys(K)がArg(R)により置換されている;302位のGln(Q)がGlu(E)により置換されている;および328位のPro(P)がLeu(L)により置換されている。
【0357】
態様4:
238位のArg(R)がGln(Q)で置換されている、態様3記載の方法。
【0358】
態様5:
238位のArg(R)がGln(Q)で置換されており、かつ328位のPro(P)がLeu(L)で置換されている、態様3記載の方法。
【0359】
態様6:
5つ全ての置換がなされている、態様3記載の方法。
【0360】
態様7:
ヒトIgがIgG1であり、そのC
L領域が、SEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を有し、106位の末端システイン残基が別のアミノ酸残基で置換されるかまたは欠失されるよう改変されているカッパ軽鎖C
Lである、態様1または3記載の方法。一つの態様において、それは欠失されている。
【0361】
態様8:
ヒトIgがIgG1であり、そのC
L領域が、SEQ ID NO: 17に示されるアミノ酸配列を有し、104位のシステイン残基が別のアミノ酸残基で置換されるかまたは欠失されるよう改変されているラムダ軽鎖C
Lである、態様1または3記載の方法。一つの態様において、それは欠失されている。
【0362】
態様9:
ヒトIgが、SEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸のC
H領域を有するIgG1であり、そのC
H1領域が14位のSer(S)がシステイン残基で置換されるよう改変されている、態様1、3、7、または8記載の方法。
【0363】
態様10:
ヒトIgがSEQ ID NO: 20に示されるアミノ酸のC
H領域を有するIgG2であり、そのC
H3領域が以下の一つまたは複数のアミノ酸置換がなされるよう改変されている、態様1記載の方法:234位のArg(R)がGln(Q)により置換されている;276位のMet(M)がVal(V)により置換されている;288位のLys(K)がArg(R)により置換されている;298位のGln(Q)がGlu(E)により置換されている;および324位のPro(P)がLeu(L)により置換されている。
【0364】
態様11:
234位のArg(R)がGln(Q)で置換されている、態様10記載の方法。
【0365】
態様12:
234位のArg(R)がGln(Q)で置換されており、かつ324位のPro(P)がLeu(L)で置換されている、態様10記載の方法。
【0366】
態様13:
5つ全ての置換がなされている、態様10記載の方法。
【0367】
態様14:
ヒトIgが、SEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸のC
H領域を有するIgG3であり、そのC
H3領域が以下の一つまたは複数のアミノ酸置換がなされるよう改変されている、態様1記載の方法:285位のArg(R)がGln(Q)により置換されている;314位のSer(S)がAsn(N)により置換されている;322位のAsn(N)がLys(K)により置換されている;327位のMet(M)がVal(V)により置換されている;339位のLys(K)がArg(R)により置換されている;349位のGln(Q)がGlu(E)により置換されている;352位のIle(I)がVal(V)により置換されている;365位のArg(R)がHis(H)により置換されている;366位のPhe(F)がTyr(Y)により置換されている;および375位のPro(P)がLeu(L)により置換されている。
【0368】
態様15:
285位のArg(R)がGln(Q)で置換されている、態様14記載の方法。
【0369】
態様16:
285位のArg(R)がGln(Q)で置換されており、かつ375位のPro(P)がLeu(L)で置換されている、態様14記載の方法。
【0370】
態様17:
10個全ての置換がなされている、態様14記載の方法。
【0371】
態様18:
i)選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgの定常(C
L)領域をコードする核酸配列を含む、一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgのC
L領域をコードする核酸配列が機能的に連結されている、工程;
ii)選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードするヌクレオチド配列およびヒトIgG4のC
H領域をコードする核酸を含む、一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、重鎖をコードする核酸配列が、重鎖のヒンジ領域に対応する領域が同一のヒトIgG4の定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとのジスルフィド結合の形成に関与できるアミノ酸残基を含まないように改変されており、選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードする核酸およびIgG4のC
H領域をコードする核酸が機能的に連結されている、工程;
iii)該抗体を作製するための細胞発現系を提供する工程;
iv)(i)および(ii)の核酸構築物を(iii)の細胞発現系の細胞中で共発現させることによって一価抗体を作製する工程
を含む、一価抗体の作製方法。
【0372】
態様19:
重鎖をコードする核酸配列が、重鎖のヒンジ領域に対応する領域がシステイン残基を含まないよう改変されている、態様1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【0373】
態様20:
作製された一価抗体がヒト抗体である、態様1〜19のいずれか一つに記載の方法。
【0374】
態様21:
作製された一価抗体が、合成抗原(Tyr, Glu)-Ala-Lysに結合しない、態様1〜20のいずれか一つに記載の方法。
【0375】
態様22:
重鎖をコードする核酸配列は、任意のシステイン残基を含むヒンジ領域に対応する領域のアミノ酸残基の少なくとも一つが、欠失および/または他のアミノ酸残基で置換されるよう改変されている、態様1〜21のいずれか一つに記載の方法。
【0376】
態様23:
重鎖をコードする核酸配列は、ヒンジ領域のシステイン残基が、非荷電極性側鎖または非極性側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるよう改変されている、態様22記載の方法。
【0377】
態様24:
非荷電極性側鎖を有するアミノ酸が、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファンから、独立して選択され、非極性側鎖を有するアミノ酸が、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニンから、独立して選択される、態様22または23記載の方法。
【0378】
態様25:
重鎖をコードする核酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列のアミノ酸106および109に対応するアミノ酸が欠失されたIgG4 C
H領域を含むよう改変されている、態様22記載の方法。
【0379】
態様26:
重鎖をコードする核酸配列は、重鎖が、SEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基106〜109に対応するアミノ酸残基が欠失されたIgG4 C
H領域を含むよう改変されている、態様22または25記載の方法。
【0380】
態様27:
重鎖をコードする核酸配列は、重鎖が、SEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基99〜110に対応するアミノ酸残基が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている、態様22〜26のいずれかに記載の方法。
【0381】
態様28:
重鎖をコードする核酸配列は、ヒンジ領域全体が欠失されるよう改変されている、態様22〜27のいずれかに記載の方法。
【0382】
態様29:
一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物が、ヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含み、ヒンジ領域をコードする核酸配列のスプライスドナー部位の少なくとも一つのヌクレオチドが別のヌクレオチドで置換されている、態様1〜28のいずれかに記載の方法。
【0383】
態様30:
一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物が、ヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含み、SEQ ID No: 13の配列の714位および722位のヌクレオチドに対応するヌクレオチドがSEQ ID No: 13のその位置に存在するヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されている、態様29記載の方法。
【0384】
態様31:
一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物が、SEQ ID No: 13の配列を含むヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含み、SEQ ID No: 13の配列のヌクレオチド714および722がSEQ ID No: 13のその位置に存在するヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されている、態様30記載の方法。
【0385】
態様32:
一価抗体の重鎖をコードする核酸構築物が、SEQ ID No: 15のヌクレオチド配列を含む、態様31記載の方法。
【0386】
態様33:
重鎖をコードする核酸配列は、重鎖が、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基で置換されたC
H領域を含むよう改変されている、態様22記載の方法。
【0387】
態様34:
C
H領域のヒンジ領域をコードする核酸配列の置換型ヌクレオチドが、部位特異的変異誘発を用いることによって置換される、態様29〜33のいずれかに記載の方法。
【0388】
態様35:
一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物がヒトIgGのカッパ鎖のC
L領域をコードする配列を含む、態様1〜34のいずれかに記載の方法。
【0389】
態様36:
核酸構築物がSEQ ID No: 1のヌクレオチド配列を含む、態様35記載の方法。
【0390】
態様37:
一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物がヒトIgGのラムダ鎖のC
L領域をコードする配列を含む。態様1〜34のいずれかに記載の方法。
【0391】
態様38:
核酸構築物がSEQ ID No: 3のヌクレオチド配列を含む、態様37記載の方法。
【0392】
態様39:
核酸構築物がDNA構築物である、態様1〜38のいずれかに記載の方法。
【0393】
態様40:
(i)、(ii)、(iii)、および/または(iv)の核酸構築物が原核生物発現ベクターである、態様1〜39のいずれかに記載の方法。
【0394】
態様41:
細胞発現系が原核細胞発現系である、態様1〜40のいずれかに記載の方法。
【0395】
態様42:
原核細胞発現系が大腸菌細胞を含む、態様41記載の方法。
【0396】
態様43:
大腸菌細胞が、内因性プロテアーゼ活性欠損株の細胞である、態様42記載の方法。
【0397】
態様44:
(i)、(ii)、(iii)、および/または(iv)の核酸構築物が真核生物発現ベクターである、態様1〜39のいずれかに記載の方法。
【0398】
態様45:
細胞発現系が真核細胞発現系である、態様44記載の方法。
【0399】
態様46:
細胞発現系が哺乳動物細胞発現系である、態様45記載の方法。
【0400】
態様47:
哺乳動物細胞発現系がCHO細胞を含む、態様46記載の方法。
【0401】
態様48:
哺乳動物細胞発現系がHEK-293F細胞を含む、態様46記載の方法。
【0402】
態様49:
発現系のIおよびIIが遺伝子療法に適したDNA構築物を含む、態様1〜39のいずれか一つに記載の方法。
【0403】
態様50:
発現系のIおよびIIが遺伝子療法に適したウイルス構築物である、態様1〜39のいずれか一つに記載の方法。
【0404】
態様51:
哺乳動物細胞発現系のIIIが、IおよびIIを含むヒト細胞であり、かつ作製された一価抗体による治療が必要な患者への移植に適している、態様1〜39のいずれか一つに記載の方法。
【0405】
態様52:
ヒト細胞が患者由来である、態様51記載の方法。
【0406】
態様53:
作製された一価抗体が薬学的用途用のものである、態様1〜51のいずれか一つに記載の方法。
【0407】
態様53a:
i)およびii)の核酸構築物が同じプラスミド内に存在する、態様1〜53のいずれか一つに記載の方法。
【0408】
態様53b:
抗体が二つの異なる細胞株において作製され、かつ抗体がインビトロ発現後に組み立てられる、態様1〜53のいずれか一つに記載の方法。
【0409】
態様54:
態様1〜50および53のいずれかに記載の方法を使用して獲得された一価抗体。
【0410】
態様55:
態様1〜50および53のいずれかに記載の方法を使用して獲得できる一価抗体。
【0411】
態様56:
a)軽鎖が、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
L)領域のアミノ酸配列およびIgの定常(C
L)領域のアミノ酸配列を含み、IgG1サブタイプの場合、定常(C
L)領域のアミノ酸配列が、同一のIgの定常(C
L)領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとのジスルフィド結合または共有結合の形成に関与できるアミノ酸を含まないように改変されており、かつ
b)重鎖が、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
H)領域のアミノ酸配列およびヒトIgの定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含み、定常(C
H)領域のアミノ酸配列は、ヒンジ領域および、Igサブタイプによって必要とされる、C
H領域の他の領域、例えばC
H3領域が、同一のヒトIgの定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとのジスルフィド結合または共有結合性もしくは非共有結合性の重鎖間結合の形成に関与するアミノ酸残基を含まないように改変されている、
軽鎖および重鎖を含む一価抗体。
【0412】
態様57:
ヒトIgが、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはIgGA抗体、例えばIgG1、IgG2、またはIgG4抗体である、態様56記載の一価抗体。
【0413】
態様58:
a)軽鎖が、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
L)領域のアミノ酸配列およびIgの定常(C
L)領域のアミノ酸配列を含み、かつ
b)重鎖が、選択された抗原特異的な抗体の可変(V
H)領域のアミノ酸配列およびヒトIgG4の定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含み、重鎖のアミノ酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域に存在するいずれのアミノ酸残基も同一のヒトIgG4の定常(C
H)領域のアミノ酸配列を含む他のペプチドとのジスルフィド結合の形成に関与できないように改変されている、
軽鎖および重鎖を含む一価抗体。
【0414】
態様59:
C
L領域がヒトIgGのカッパ軽鎖の定常領域である、態様54〜58記載の一価抗体。
【0415】
態様60:
C
L領域がSEQ ID No: 2のアミノ酸配列を含む、態様59記載の一価抗体。
【0416】
態様61:
C
L領域がヒトIgGのラムダ軽鎖の定常領域である、態様54〜58記載の一価抗体。
【0417】
態様62:
C
L領域がSEQ ID No: 4のアミノ酸配列を含む、態様61記載の一価抗体。
【0418】
態様63:
軽鎖および重鎖が一つまたは複数のジスルフィド結合を通じて相互に接続されている、態様54〜62のいずれかに記載の一価抗体。
【0419】
態様64:
軽鎖および重鎖がアミド結合を通じて相互に接続されている、態様54〜63のいずれかに記載の一価抗体。
【0420】
態様65:
重鎖のアミノ酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域がシステイン残基を含まないよう改変されている、態様54〜64のいずれかに記載の一価抗体。
【0421】
態様66:
重鎖のアミノ酸配列は、任意のシステイン残基を含むヒンジ領域に対応する領域のアミノ酸残基の少なくとも一つが欠失および/または他のアミノ酸残基で置換されるよう改変されている、態様54〜65のいずれかに記載の一価抗体。
【0422】
態様67:
ヒンジ領域のシステイン残基が非荷電極性側鎖または非極性側鎖を有するアミノ酸残基で置換されている、態様54〜66のいずれかに記載の一価抗体。
【0423】
態様68:
非荷電極性側鎖を有するアミノ酸が、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファンから、独立して選択され、非極性側鎖を有するアミノ酸が、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、独立してから選択される、態様67記載の一価抗体。
【0424】
態様69:
重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列のアミノ酸106および109に対応するアミノ酸が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている、態様68記載の一価抗体。
【0425】
態様70:
重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基106〜109に対応するアミノ酸残基が欠失されたIgG4 C
H領域を含むよう改変されている、態様66または69記載の一価抗体。
【0426】
態様71:
重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基99〜110に対応するアミノ酸残基が欠失されたIgG4 C
H領域を含むよう改変されている、態様66〜70のいずれかに記載の一価抗体。
【0427】
態様72:
ヒンジ領域全体が欠失されている、態様66〜71のいずれかに記載の一価抗体。
【0428】
態様73:
重鎖がSEQ ID No: 16のアミノ酸配列を含む、態様66〜72のいずれかに記載の一価抗体。
【0429】
態様74:
重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基で置換されたIgG4 C
H領域を含むよう改変されている、態様66記載の一価抗体。
【0430】
態様75:
重鎖のアミノ酸配列は、重鎖がSEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基の一方がシステイン以外のアミノ酸残基、例えば態様67または68に開示されるアミノ酸残基で置換され、かつSEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基のもう一方が欠失されたC
H領域を含むよう改変されている、態様66記載の一価抗体。
【0431】
態様76:
アミノ酸残基106に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基、例えば態様67または68に開示されるアミノ酸残基で置換され、かつアミノ酸残基109に対応するアミノ酸残基が欠失されている、態様75記載の一価抗体。
【0432】
態様77:
アミノ酸残基106に対応するアミノ酸残基が欠失され、かつアミノ酸残基109に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基、例えば態様67または68に開示されるアミノ酸残基で置換されている、態様75記載の一価抗体。
【0433】
態様78:
インビトロでの細胞発現系における抗体の組換え発現を含む方法により獲得できる、態様54〜77のいずれかに記載の一価抗体。
【0434】
態様79:
方法が、
i)選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgGのC
L領域をコードするヌクレオチド配列を含む、抗体の軽鎖をコードする核酸構築物を提供する工程、
ii)選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードするヌクレオチド配列およびヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含む、抗体の重鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、C
H領域をコードする核酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域がジスルフィド結合の形成に関与できるアミノ酸残基を含まないように改変されている、工程;
iii)一価抗体を作製するための細胞発現系を提供する工程;
iv)(i)の核酸構築物によりコードされる軽鎖および(ii)の核酸構築物によりコードされる重鎖を含む一価抗体を、(iii)の細胞発現系の細胞中で該核酸構築物を共発現させることによって作製する工程、
を含む、態様78記載の一価抗体。
【0435】
態様80:
ヒトIgが、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはIgGA抗体、例えばIgG1、IgG2、IgG4抗体である、態様79記載の一価抗体。
【0436】
態様81:
方法が、
i)選択された抗原特異的な抗体のV
L領域をコードするヌクレオチド配列およびIgGのC
L領域をコードするヌクレオチド配列を含む、抗体の軽鎖をコードする核酸構築物を提供する工程;
ii)選択された抗原特異的な抗体のV
H領域をコードするヌクレオチド配列およびヒトIgG4のC
H領域をコードするヌクレオチド配列を含む、抗体の重鎖をコードする核酸構築物を提供する工程であって、C
H領域をコードする核酸配列が、ヒンジ領域に対応する領域がジスルフィド結合の形成に関与できるアミノ酸残基を含まないように改変されている、工程;
iii)一価抗体を作製するための細胞発現系を提供する工程;
iv)(i)の核酸構築物によりコードされる軽鎖および(ii)の核酸構築物によりコードされる重鎖を含む一価抗体を、(iii)の細胞発現系の細胞中で該核酸構築物を共発現させることによって作製する工程、
を含む、態様78記載の一価抗体。
【0437】
態様82:
4 mg/kgの用量でインビボ投与された場合に、7日間を超えて10 μg/mlを上回る血漿濃度を有する、態様54〜81のいずれかに記載の一価抗体。
【0438】
態様83:
4 mg/kgの用量でSCIDマウスにインビボ投与された場合に、7日間を超えて10 μg/mlを上回る血漿濃度を有する、態様82記載の一価抗体。
【0439】
態様84:
F(ab’)
2フラグメントの血漿クリアランスよりも10倍超遅い血漿クリアランスを有する、態様54〜83のいずれかに記載の一価抗体。
【0440】
態様85:
F(ab')
2フラグメントの配列が一価抗体の対応する領域の配列と同一である、態様84記載の一価抗体。
【0441】
態様86:
血漿クリアランスがSCIDマウスを用いて測定される、態様84記載の一価抗体。
【0442】
態様87:
F(ab')
2フラグメントのV
H領域およびV
L領域が一価抗体のV
H領域およびV
L領域と同一である、態様86記載の一価抗体。
【0443】
態様88:
インビボ投与された場合に少なくとも5日間の半減期を有する、態様54〜87のいずれかに記載の一価抗体。
【0444】
態様89:
インビボ投与された場合に少なくとも5日間から21日間までの半減期を有する、態様54〜87のいずれかに記載の一価抗体。
【0445】
態様90:
インビボ投与された場合に少なくとも5日間から14日間までの半減期を有する、態様54〜87のいずれかに記載の一価抗体。
【0446】
態様91:
少なくとも14日間の半減期を有する、態様54〜87のいずれか一つに記載の一価抗体。
【0447】
態様92:
少なくとも21日間の半減期を有する、態様54〜87のいずれか一つに記載の一価抗体。
【0448】
態様93:
SCIDマウスにインビボ投与された場合に少なくとも5日間の半減期を有する、態様88記載の一価抗体。
【0449】
態様94:
FcRnに結合できる、態様54〜93のいずれかに記載の一価抗体。
【0450】
態様95:
腫瘍抗原に特異的に結合する、態様54〜94のいずれかに記載の一価抗体。
【0451】
態様96:
受容体の二量体化により活性化される細胞表面受容体に特異的に結合する、態様54〜95のいずれかに記載の一価抗体。
【0452】
態様97:
標的分子に結合した場合に標的分子の多量体化および/または凝集を阻害する、態様54〜96のいずれかに記載の一価抗体。
【0453】
態様98:
VEGF、cMet、CD20、CD38、IL-8、CD25、FcαRI、FcεRI、アセチルコリン受容体、fas、fasL、TRAIL、肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、組織因子、組織因子および第VII因子の複合体、EGFr、CD4、ならびにCD28から選択される標的に結合する、態様54〜97のいずれかに記載の一価抗体。
【0454】
態様99:
VEGF、cMet、CD20、CD38、IL-8、CD25、FcαRI、FcεRI、アセチルコリン受容体、fas、fasL、TRAIL、肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、組織因子、組織因子および第VII因子の複合体、EGFr、CD4、ならびにCD28から選択される標的に特異的に結合する、態様54〜97のいずれかに記載の一価抗体。
【0455】
態様100:
態様56〜97のいずれかに記載の一価IgG4抗cMet抗体。
【0456】
態様101:
ポリクローナルヒトIgGの存在下で一価形態にある、態様54〜100のいずれかに記載の一価抗体。
【0457】
態様102:
ヒトに投与された場合に一価形態にある、態様54〜100のいずれかに記載の一価抗体。
【0458】
態様103:
ポリクローナルヒトIgGの存在下で一価形態に解離する、態様54〜100のいずれかに記載の一価抗体。
【0459】
態様104:
ヒトに投与された場合に一価形態に解離する、態様54〜100のいずれかに記載の一価抗体。
【0460】
態様105:
エフェクター結合ができない、態様56〜104のいずれかに記載の一価抗体。
【0461】
態様106:
薬学的用途用に作製された、態様54〜104のいずれか一つに記載の一価抗体。
【0462】
態様107:
以下の工程を含む、態様54〜104のいずれかに記載の一価抗体の調製方法:
a)一価抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養する工程;および
b)宿主細胞培養物から一価抗体を回収する工程。
【0463】
態様108:
宿主細胞が原核生物である、態様107記載の方法。
【0464】
態様109:
宿主細胞が大腸菌細胞である、態様108記載の方法。
【0465】
態様110:
大腸菌細胞が、内因性プロテアーゼ活性欠損株の細胞である、態様109記載の方法。
【0466】
態様111:
宿主細胞が真核生物である、態様107記載の方法。
【0467】
態様112:
宿主細胞がHEK-293F細胞である、態様111記載の方法。
【0468】
態様113:
宿主細胞がCHO細胞である、態様111記載の方法。
【0469】
態様114:
宿主細胞がヒト細胞である、態様111記載の方法。
【0470】
態様115:
一価抗体が培地から回収される、態様107〜114のいずれかに記載の方法。
【0471】
態様116:
一価抗体が細胞溶解産物から回収される、態様107〜114のいずれかに記載の方法。
【0472】
態様117:
IgG4のC
H領域をコードする核酸配列であって、C
H領域をコードする核酸配列は、そのC
H領域においてヒンジ領域に対応する領域が、C
H領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含むペプチドとのジスルフィド結合の形成に関与できるアミノ酸残基を含まないように改変されている、核酸配列、またはそれらの相補的配列を含む、核酸構築物。
【0473】
態様118:
C
H領域をコードする核酸配列は、ヒンジ領域に対応する領域がシステイン残基を含まないよう改変されている、態様117記載の核酸構築物。
【0474】
態様119:
C
H領域をコードする核酸配列は、任意のシステイン残基を含むヒンジ領域に対応する領域のアミノ酸残基の少なくとも一つが欠失および/または他のアミノ酸残基で置換されるよう改変されている、態様117または118記載の核酸構築物。
【0475】
態様120:
C
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸106および109に対応するアミノ酸が欠失されるよう改変されている、態様119記載の核酸構築物。
【0476】
態様121:
C
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基106〜109に対応するアミノ酸残基が欠失されるよう改変されている、態様119または120記載の核酸構築物。
【0477】
態様122:
C
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 14の配列の少なくともアミノ酸残基99〜110に対応するアミノ酸残基が欠失されるよう改変されている、態様119〜121のいずれかに記載の核酸構築物。
【0478】
態様123:
C
H領域をコードする核酸配列は、ヒンジ領域全体が欠失されるよう改変されている、態様119〜122のいずれかに記載の核酸構築物。
【0479】
態様124:
C
H領域をコードする核酸配列は、ヒンジ領域をコードする核酸配列のスプライスドナー部位の少なくとも一つのヌクレオチドが別のヌクレオチドで置換されるよう改変されている、態様117〜123のいずれかに記載の核酸構築物。
【0480】
態様125:
SEQ ID No: 13の配列の714位および722位のヌクレオチドに対応するヌクレオチドが、SEQ ID No: 13のその位置に存在するヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されている、態様124記載の核酸構築物。
【0481】
態様126:
C
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 13の配列のヌクレオチド714および722がSEQ ID No: 13のその位置に存在するヌクレオチド以外のヌクレオチドで置換されたSEQ ID No: 13の配列を含む、態様125記載の核酸構築物。
【0482】
態様127:
C
H領域をコードする核酸配列がSEQ ID No: 15のヌクレオチド配列を含む、態様126記載の核酸構築物。
【0483】
態様128:
C
H領域をコードする核酸配列は、SEQ ID No: 14の配列のアミノ酸残基106および109に対応するアミノ酸残基がシステイン以外のアミノ酸残基で置換されるよう改変されている、態様119記載の核酸構築物。
【0484】
態様129:
C
H領域をコードする核酸配列の置換型ヌクレオチドが、部位特異的変異誘発を用いて置換される、態様124〜128のいずれかに記載の核酸構築物。
【0485】
態様130:
抗原特異的な抗体のV
H領域をコードする核酸配列またはその相補的配列を含む、態様117〜129のいずれかに記載の核酸構築物。
【0486】
態様131:
V
H領域をコードする核酸配列が、C
H領域をコードする核酸配列またはその相補的配列に機能的に連結されている、態様130記載の核酸構築物。
【0487】
態様132:
態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体の重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、態様117〜131のいずれかに記載の核酸構築物。
【0488】
態様133:
態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体のV
L領域をコードする核酸配列を含む、態様132記載の核酸構築物。
【0489】
態様134:
一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物がヒトIgGのカッパ鎖のC
L領域をコードする配列を含む、態様133記載の核酸構築物。
【0490】
態様135:
SEQ ID No: 1のヌクレオチド配列を含む、態様134記載の核酸構築物。
【0491】
態様136:
一価抗体の軽鎖をコードする核酸構築物が、ヒトIgGのラムダ鎖のC
L領域をコードする配列を含む、態様133記載の核酸構築物。
【0492】
態様137:
SEQ ID No: 3のヌクレオチド配列を含む、態様136記載の核酸構築物。
【0493】
態様138:
核酸構築物がDNA構築物である、態様117〜137のいずれかに記載の核酸構築物。
【0494】
態様139:
核酸構築物が発現ベクターである、態様117〜138のいずれかに記載の核酸構築物。
【0495】
態様140:
発現ベクターが原核生物発現ベクターである、態様139記載の核酸構築物。
【0496】
態様141:
発現ベクターが真核生物発現ベクターである、態様139記載の核酸構築物。
【0497】
態様142:
発現ベクターが哺乳動物発現ベクターである、態様141記載の核酸構築物。
【0498】
態様143:
発現ベクターがヒトにおける遺伝子療法に適している、態様142記載の核酸構築物。
【0499】
態様144:
発現ベクターがヒトにおける遺伝子療法に適したウイルスベクターである、態様139記載の核酸構築物。
【0500】
態様145:
態様117〜144のいずれかに記載の核酸構築物を含み、かつ核酸構築物が抗体の軽鎖をコードしない場合は抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸構築物も含む宿主細胞を培養してポリペプチドを発現させる工程、および細胞培養物から一価抗体を回収する工程を含む、態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体の調製方法。
【0501】
態様146:
一価抗体が細胞溶解産物から回収される、態様145記載の方法。
【0502】
態様147:
一価抗体が細胞培地から回収される、態様145記載の方法。
【0503】
態様148:
態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体を作製するための、態様117〜144のいずれかに記載の核酸構築物の使用。
【0504】
態様149:
一価抗体の作製が、態様1〜53のいずれかに記載の方法の使用を含む、態様148または170記載の使用。
【0505】
態様150:
態様117〜144のいずれかに記載の核酸を含む宿主細胞。
【0506】
態様151:
宿主細胞が原核細胞である、態様150記載の宿主細胞。
【0507】
態様152:
宿主細胞が大腸菌細胞である、態様151記載の宿主細胞。
【0508】
態様153:
宿主細胞が真核細胞である、態様150記載の宿主細胞。
【0509】
態様154:
宿主細胞が哺乳動物細胞である、態様153記載の宿主細胞。
【0510】
態様155:
宿主細胞がCHO細胞である、態様154記載の宿主細胞。
【0511】
態様156:
宿主細胞がHEK-293F細胞である、態様154記載の宿主細胞。
【0512】
態様157:
宿主細胞がヒト細胞である、態様154記載の宿主細胞。
【0513】
態様158:
宿主細胞が患者由来のヒト細胞である、態様154記載の宿主細胞。
【0514】
態様159:
宿主細胞が患者のヒト細胞である、態様154記載の宿主細胞。
【0515】
態様160:
態様132〜144のいずれかに記載の核酸を含む宿主細胞。
【0516】
態様161:
宿主細胞が原核細胞である、態様160記載の宿主細胞。
【0517】
態様162:
宿主細胞が大腸菌細胞である、態様161記載の宿主細胞。
【0518】
態様163:
宿主細胞が真核細胞である、態様162記載の宿主細胞。
【0519】
態様164:
宿主細胞が哺乳動物細胞である、態様163記載の宿主細胞。
【0520】
態様165:
宿主細胞がCHO細胞である、態様164記載の宿主細胞。
【0521】
態様166:
宿主細胞がHEK-293F細胞である、態様164記載の宿主細胞。
【0522】
態様167:
抗体の軽鎖をコードする核酸配列を含む、態様160〜166のいずれかに記載の宿主細胞を培養してポリペプチドを発現させる工程、および細胞培養物から一価抗体を回収する工程を含む、態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体の調製方法。
【0523】
態様168:
一価抗体が細胞溶解産物から回収される、態様167記載の方法。
【0524】
態様169:
一価抗体が細胞培地から回収される、態様167記載の方法。
【0525】
態様170:
態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体を作製するための、態様150〜159のいずれかに記載の宿主細胞の使用。
【0526】
態様171:
一価抗体の作製が、態様1〜53のいずれかに記載の方法の使用を含む、態様170記載の使用。
【0527】
態様172:
治療部分に抱合された、態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体を含む、免疫抱合体。
【0528】
態様173:
治療部分が細胞毒、化学療法薬、免疫抑制剤、または放射性同位元素である、態様172記載の免疫抱合体。
【0529】
態様174:
医薬として使用するための、態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体。
【0530】
態様175:
癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害を処置するための医薬として使用するための態様174記載の一価抗体であって、所与の標的または標的エピトープに特異的に結合し、標的または標的エピトープに対する結合が疾患の処置に有効である、一価抗体。
【0531】
態様176:
特定の標的に対する抗体の投与により処置可能である疾患または障害の処置のための医薬として使用するための態様174または175記載の一価抗体であって、抗体の投与の効果を達成するために免疫系媒介性の活性の関与が必要ないかまたは望ましくなく、抗体が抗原に特異的に結合する、一価抗体。
【0532】
態様177:
可溶性抗原をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための医薬として使用するための態様174〜176のいずれかに記載の一価抗体であって、抗原の多量体化が望ましくない免疫複合体を形成し得、抗体が抗原に特異的に結合する、一価抗体。
【0533】
態様178:
細胞膜結合型受容体をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための医薬として使用するための態様174〜176のいずれかに記載の一価抗体であって、受容体が受容体の二量体化によって活性化され得、抗体が受容体に特異的に結合する、一価抗体。
【0534】
態様179:
医薬としての態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体の使用。
【0535】
態様180:
医薬が、癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害の処置に有用であり、抗体が所与の標的または標的エピトープに特異的に結合し、標的または標的エピトープに対する抗体の結合が疾患の処置に有効である、態様179記載の使用。
【0536】
態様181:
医薬が、特定の標的に対する抗体の投与により処置可能な疾患または障害の処置に有用であり、抗体の投与の効果を達成するために免疫系媒介性の活性の関与が必要ないかまたは望ましくなく、抗体が抗原に特異的に結合する、態様179または180記載の使用。
【0537】
態様182:
医薬が、可溶性抗原をブロックまたは阻害することによって処置可能な疾患または障害の処置に有用であり、抗原の多量体化が望ましくない免疫複合体を形成し得、抗体が抗原に特異的に結合する、態様179〜181のいずれかに記載の使用。
【0538】
態様183:
医薬が、細胞膜結合型受容体をブロックまたは阻害することによって処置可能な疾患または障害の処置に有用であり、受容体が受容体の二量体化によって活性化され得、抗体が受容体に特異的に結合する、態様179〜181のいずれかに記載の使用。
【0539】
態様184:
抗体が所与の標的または標的エピトープに特異的に結合し、標的または標的エピトープに対する抗体の結合が疾患の処置に有効である、癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害の処置のための薬学的組成物の調製のための態様54〜106のいずれかに記載の抗体の使用。
【0540】
態様185:
抗体の投与の効果を達成するために免疫系媒介性の活性の関与が必要ないかまたは望ましくなく、抗体が抗原に特異的に結合する、特定の標的に対する抗体の投与により処置可能である疾患または障害の処置のための薬学的組成物の調製のための態様54〜106または184のいずれかに記載の抗体の使用。
【0541】
態様186:
抗原の多量体化が望ましくない免疫複合体を形成し得、抗体が抗原に特異的に結合する、可溶性抗原をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための薬学的組成物の調製のための態様54〜106または184もしくは185のいずれかに記載の抗体の使用。
【0542】
態様187:
受容体が受容体の二量体化によって活性化され得、抗体が受容体に特異的に結合する、細胞膜結合型受容体をブロックまたは阻害することによって処置可能である疾患または障害の処置のための薬学的組成物の調製のための態様54〜106または184もしくは185のいずれかに記載の抗体の使用。
【0543】
態様188:
抗原に特異的に結合する態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または態様117〜144のいずれかに記載の核酸構築物を被験体に投与し、それによって被験体における抗原の活性が阻害される工程
を含む、抗原の活性が望ましくない疾患または障害に罹患した被験体における抗原の阻害方法。
【0544】
態様189:
治療的有効量の態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または態様117〜144のいずれかに記載の核酸構築物を処置が必要な被験体に投与し、それによって疾患または障害が処置される工程
を含む、疾患または障害の処置方法。
【0545】
態様190:
疾患または障害が癌、細胞増殖障害、(自己)免疫障害、炎症障害、および/または血管新生障害であり、方法が、治療的有効量の、抗原に特異的に結合する態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または態様117〜144のいずれかに記載の核酸構築物を処置が必要な被験体に投与する工程を含み、抗体が所与の標的または標的エピトープに特異的に結合し、標的または標的エピトープへの抗体の結合が疾患の処置に有効である、態様189記載の方法。
【0546】
態様191:
疾患または障害が特定の標的に対する抗体の投与により処置可能であり、抗体の投与の効果を達成するために免疫系媒介性の活性の関与が必要ないかまたは望ましくなく、方法が、治療的有効量の、受容体に特異的に結合する態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または態様117〜144のいずれかに記載の核酸構築物を処置が必要な被験体に投与する工程を含む、態様189または190記載の方法。
【0547】
態様192:
疾患または障害が可溶性抗原をブロックまたは阻害することによって処置可能であり、抗原の多量体化が望ましくない免疫複合体を形成し得、方法が、治療的有効量の、抗原に特異的に結合する態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または態様117〜144のいずれかに記載の核酸構築物を処置が必要な被験体に投与する工程を含む、態様189〜191のいずれかに記載の方法。
【0548】
態様193:
疾患または障害が細胞膜結合型受容体をブロックまたは阻害することによって処置可能であり、受容体が受容体の二量体化によって活性化され得、方法が、治療的有効量の、受容体に特異的に結合する態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体、該抗体を含む薬学的組成物、該抗体を含む免疫抱合体、または態様117〜144のいずれかに記載の核酸構築物を処置が必要な被験体に投与する工程を含む、態様189〜191のいずれかに記載の方法。
【0549】
態様194:
一つまたは複数のさらなる治療剤を被験体に投与する工程を含む、態様189〜193のいずれか一つに記載の方法。
【0550】
態様195:
一つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤,希釈剤、または担体と共に態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体を含む、薬学的組成物。
【0551】
態様196:
態様117〜144のいずれか一つに記載の核酸構築物を含む遺伝子導入動物。
【0552】
態様197:
診断剤としての、態様54〜106のいずれかに記載の一価抗体の使用。
【0553】
態様198:
長い半減期を有する一価抗体または一価抗体フラグメントの同定方法であって、一価抗体または抗体フラグメントがクリアランスに対するFcRnによる保護について試験される、方法。
【0554】
態様199:
FcRnによりクリアランスから保護される、一価抗体または一価抗体フラグメント。
【0555】
態様200:
インビボ投与された場合に少なくとも5日間の半減期を有する、態様199記載の一価抗体または一価抗体フラグメント。
【0556】
態様201:
インビボ投与された場合に少なくとも5日間から21日間までの半減期を有する、態様199記載の一価抗体または一価抗体フラグメント。
【0557】
態様202:
インビボ投与された場合に少なくとも5日間から14日間までの半減期を有する、態様199記載の一価抗体または一価抗体フラグメント。
【0558】
態様203:
少なくとも14日間の半減期を有する、態様199記載の一価抗体または一価抗体フラグメント。
【0559】
態様204:
少なくとも21日間の半減期を有する、態様199記載の一価抗体または一価抗体フラグメント。
【0560】
態様205:
SCIDマウスにインビボ投与された場合に少なくとも5日間の半減期を有する、態様199記載の一価抗体または一価抗体フラグメント。
【0561】
態様206:
FcRnに結合できる、態様199記載の一価抗体またはその一価抗体フラグメント。
【0562】
本発明は、以下の例によってさらに例証されるが、これらの例はさらなる限定であると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0563】
実施例1
オリゴヌクレオチドプライマーおよびPCR増幅
オリゴヌクレオチドプライマーは、Isogen Bioscience(Maarssen, The Netherlands)が合成および定量した。プライマーをH
2Oに溶解して100pmol/μlにし、-20℃で保存した。全てのPCRおよび配列決定用プリマーを表にまとめた(
図1)。PCRについては、PfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼ(Stratagene, Amsterdam, The Netherlands)を製造元の指示に従い使用した。各々の反応混合物は、総量20μlのPCR反応緩衝液(ポリメラーゼと共に提供されたもの)中に、200μM dNTP混合物(Roche Diagnostics, Almere, The Netherlands)、フォワードプライマーおよびリバースプライマー各6.7pmol、100ngのゲノムDNAまたは1ngのプラスミドDNA、および1単位のPfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼを含むものであった。PCR反応は、TGradient Thermocycler 96(Whatman Biometra, Goettingen, Germany)において32サイクルプログラム:95℃で2分間の変性;95℃で30秒間、60〜70℃勾配(または別の特定のアニーリング温度)で30秒間、および72℃で3分間を30サイクル;72℃で10分間の最後の伸長、を用いて行った。適当であれば、PCR混合物を、さらに分析または処理するまで4℃で保存した。
【0564】
実施例2
アガロースゲル電気泳動
アガロースゲル電気泳動は、Sambrook(Sambrook J. and Russel, D.V. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3nd Ed., Cold Spring Harbor, 2000)に従い、50mlのゲルを1×Tris酢酸EDTA緩衝液中で使用して行った。DNAは、ゲルにエチジウムブロミドを加えることによって可視化し、UV光の下で観察した。ゲルの画像はCCDカメラおよび画像分析システム(GeneGnome; Syngene, Westburg B.V., Leusden, The Netherlands経由)によって記録した。
【0565】
実施例3
PCR産物および酵素消化産物の分析および精製
所望のPCRフラグメントの精製は、MinElute PCR Purification Kit(Qiagen, Westburg, Leusden, The Netherlands経由; 製品番号28006)を製造元の指示に従い用いて行った。単離されたDNAはUV分光法によって定量し、その内容はアガロースゲル電気泳動によって評価した。
【0566】
あるいは、PCRまたは消化産物を、1% Tris酢酸EDTAアガロースゲルを用いるアガロースゲル電気泳動(例えば複数のフラグメントが存在する場合)により分離した。所望のフラグメントをゲルから切り出し、QIAEX II Gel Extraction Kit(Qiagen; 製品番号20051)を製造元の指示に従い用いて回収した。
【0567】
実施例4
UV分光法によるDNAの定量
核酸の光学密度を、NanoDrop ND-1000 Spectrophotometer(Isogen Life Science, Maarssen, The Netherlands)を製造元の指示に従い用いて決定した。DNAの濃度は、260nmにおける光学密度(OD)の分析によって測定した(1 OD
260nm単位=50μg/ml)。全てのサンプルについて、核酸を溶解させた緩衝液を参照として使用した。
【0568】
実施例5:
制限酵素消化
制限酵素および添加物を、New England Biolabs(Beverly, MA, USA)またはFermetas(Vilnius, Lithuania)から入手し、製造元の指示に従い使用した。
【0569】
DNA(100ng)を、終量10μlの適当な緩衝液中5単位の酵素を用いて消化した(反応量は適宜スケールアップした)。消化物は、最短60分間、推奨温度でインキュベートした。適合しない緩衝液または温度要件を必要とする制限酵素により二重消化を必要とするフラグメントについては、消化を逐次的に行った。必要に応じて、消化産物をアガロースゲル電気泳動およびゲル抽出により精製した。
【0570】
実施例6
DNAフラグメントのライゲーション
DNAフラグメントのライゲーションは、Quick Ligation Kit(New England Biolabs)を製造元の指示に従い用いて行った。各々のライゲーションにおいて、ベクターDNAをおよそ三倍モル過剰のインサートDNAと混合した。
【0571】
実施例7
大腸菌の形質転換
プラスミドDNA(1〜5μlのDNA溶液、典型的には2μlのDNAライゲーション混合物)で、One Shot DH5α-T1
RまたはMACH-1 T1
Rコンピテント大腸菌細胞(Invitrogen, Breda, The Netherlands: 製品番号12297-016)を、製造元の指示に従い熱ショック法を用いて形質転換した。次に、細胞を、50μg/mlアンピシリンを含有するLuria-Bertani(LB)寒天プレート上にプレーティングした。プレートは、細菌コロニーが現われるまで37℃で16〜18時間インキュベートした。
【0572】
実施例8
PCRによる細菌コロニーのスクリーニング
HotStarTaq Master Mix Kit(Qiagen; 製品番号203445)ならびに適当なフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いるコロニーPCRを通じて、所望の配列を含むベクターの存在について細菌コロニーをスクリーニングした。選択したコロニーに20μlピペットチップを軽く接触させ、それを小スケール培養のための2ml LBに手短に接触させ、次いでPCR混合物で再懸濁した。PCRは、TGradient Thermocycler 96において35サイクルプログラム:95℃で15分間の変性;94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で2分間を35サイクル;その後に72℃で10分間の最後の伸長工程、を用いて行った。適当であれば、PCR混合物を、アガロースゲル電気泳動による分析まで4℃で保存した。
【0573】
実施例9
大腸菌培養物からのプラスミドDNAの単離
プラスミドDNAは、以下のQiagen製キット(Westburg, Leusden, The Netherlands経由)を製造元の指示に従い用いて大腸菌培養物から単離した。バルクのプラスミド調製(50〜150ml培養)については、HiSpeed Plasmid Maxi Kit(製品番号12663)またはHiSpeed Plasmid Midi Kit(製品番号12643)のいずれかを使用した。小スケールのプラスミド調製(±2ml培養)については、Qiaprep Spin Miniprep Kit(製品番号27106)を使用し、DNAを50μl溶出緩衝液(キットに付属)に溶出させた。
【0574】
実施例10
部位特異的変異誘発
部位特異的変異誘発は、QuickChange II XL Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene, Amsterdam, The Netherlands)を製造元の指示に従い用いて行った。この方法は、変異の成否をスクリーニングするためにサイレントな追加のXmaI部位の導入を含むものであった。簡単に説明すると、5μl 10×反応緩衝液、1μlオリゴヌクレオチドIgG4S228Pf(P16)(100pmol/μl)、1μlオリゴヌクレオチドIgG4S228Pr(P17)(100pmol/μl)、1μl dNTP混合物、3μl Quicksolution、1μlプラスミドpTomG4Tom7D8(実施例16参照)(50ng/μl)、および1μl PfuUltra HF DNAポリメラーゼを混合して総量50μlとし、TGradient Thermocycler 96(Whatman Biometra, Goettingen, Germany; 製品番号050-801)において18サイクルプログラム:95℃で1分間の変性;95℃で50秒間、60℃で50秒間、よび68℃で10分間を18サイクル、を用いて増幅した。PCR混合物はさらなる処理まで4℃で保存した。次に、PCR混合物を1μl DpnIと共に37℃で60分間インキュベートしてpTomG47D8ベクターを消化し、これをさらなる処理まで4℃で保存した。この反応混合物を、5μl sM NaAcおよび125μlエタノールを用いて沈降させ、-20℃で20分間インキュベートし、4℃、14000×gで20分間スピンダウンした。このDNAペレットを70%エタノールで洗浄し、乾燥し、4μlの水に溶解させた。計4μlの反応量で、One Shot Top 10コンピテント大腸菌細胞(Invitrogen, Breda, The Netherlands)を製造元の指示(Invitrogen)に従い形質転換した。次に、細胞を、50μg/mlアンピシリンを含有するLuria-Bertani(LB)寒天プレート上にプレーティングした。プレートは、細菌コロニーが現われるまで37℃で16〜18時間インキュベートした。
【0575】
実施例11
DNAの配列決定
配列分析のために、プラスミドDNAサンプルをAGOWA(Berlin, Germany)に送付した。配列は、Vector NTIアドバンスドソフトウェア(Informax, Oxford, UK)を用いて分析した。
【0576】
実施例12
HEK-293F細胞における一過的発現
Freestyle(商標)293-F(懸濁培養および化学的に定義されたFreestyle培地に適合させたHEK-293サブクローン、例えばHEK-293F)細胞をInvitrogenから入手し、製造元のプロトコルに従い293fectin(Invitrogen)を用いてトランスフェクトした。
【0577】
実施例13
pConG1fA77の構築:A77-IgG1重鎖の作製用ベクター
マウス抗FcαRI抗体A77のV
Hコード領域を、ダブルオーバーラップエクステンションPCRによって、この抗体のVHおよびVLコード領域を含むscFvファージベクターから増幅した。これを、哺乳動物シグナルペプチド、理想的なコザック配列、およびpConG1fへのクローニングに適した制限部位を導入するために使用した。第一のPCRは、テンプレートとしてのscFvファージベクターと共にプライマーA77VHfor1およびA77VHrevを用いて行った。この第一PCRの一部を、プライマーA77VHfor2およびA77VHrevを用いる第二のPCRに使用した。VHフラグメントをゲル精製し、pConG1f0.4にクローニングした。このために、pConG1f0.4ベクターおよびVHフラグメントをHindIIIおよびApaIで消化し、精製した。V
HフラグメントおよびpConG1f0.4HindIII-ApaI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、その配列を確認し、これをpConG1fA77と命名した。
【0578】
実施例14
pConKA77の構築:A77抗体軽鎖の作製用ベクター
マウス抗FcαRI抗体A77のV
Lコード領域を、ダブルオーバーラップエクステンションPCRによって、この抗体のVHおよびVLを含むscFvファージベクターから増幅した。これを、哺乳動物シグナルペプチド、理想的なコザック配列、およびpConKappa0.4へのクローニングに適した制限部位を導入するために使用した。第一のPCRは、テンプレートとしてのscFvファージベクターと共にプライマーA77VLfor1およびA77VLrevを用いて行った。この第一PCRの一部を、プライマーA77VLfor2およびA77VLrevを用いる第二のPCRに使用した。PCR産物およびpConKappa0.4ベクターをHindIIIおよびPfl23IIで消化し、精製した。V
LフラグメントおよびpConKappa0.4HindIII-Pfl23II消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α T1
R大腸菌を形質転換した。
【0579】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、その配列を確認した。このプラスミドをpConKA77と命名した。
【0580】
実施例15
pTomG4A77の構築:A77-IgG4重鎖の作製用ベクター
A77-IgG4発現用ベクターを構築するため、A77のVH領域をpTomG4にクローニングした。
【0581】
このために、pTomG4およびpConG1fA77をHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0582】
A77 V
HフラグメントおよびpTomG4HindIII-ApaI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0583】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択した。このプラスミドをpTomG4A77と命名した。
【0584】
実施例16
pTomG4A77HGの構築:A77-HG重鎖の作製用ベクター
A77-HG発現用構築物を作製するため、A77のVH領域をpTomG47D8HGにクローニングし、VH 7D8領域を置換した。
【0585】
このために、pTomG47D8HGおよびpConG1fA77をHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0586】
A77 V
HフラグメントおよびpTomG47D8HGHindIII-ApaI消化ベクターのフラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0587】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択した。このプラスミドをpTomG4A77HGと命名した。
【0588】
実施例17
pEE6.4A77Fabの構築:A77-Fab重鎖の作製用ベクター
A77-Fab発現用構築物を作製するため、A77のVH領域をpEE6.42F8Fabにクローニングし、VH 2F8領域を置換した。
【0589】
このために、pEE6.42F8FabおよびpConG1fA77をHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0590】
A77 V
HフラグメントおよびpEE6.42F8Fab HindIII-ApaI消化ベクターのフラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0591】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択した。このプラスミドをpEE6.4A77Fabと命名した。
【0592】
実施例18
ヒト抗cMet抗体の可変領域のクローニング
総RNAを、RNeasyキット(Qiagen, Westburg, Leusden, Netherlands)を製造元のプロトコルに従い用いて1×10
6個のマウスハイブリドーマ細胞から調製した。
【0593】
RNAの5'-RACE-相補DNA(cDNA)を、SMART RACE cDNA Amplificationキット(BD Biosciences Clontech, Mountain View, CA USA)を製造元のプロトコルに従い用いて60ngの総RNAから調製した。cMet抗体のVLおよびVH領域をPCRによって増幅した。このために、PfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼ(Stratagene)を製造元の指示に従い使用した。各反応混合物は、5μl 10×BD Advantage 2 PCR緩衝液(Clontech)、200μM dNTP混合物(Roche Diagnostics)、12pmolのリバースプライマー(VH領域についてはRACEG1A1およびVL領域についてはRACEKA1)、7.2pmol UPM-Mix(UPM-Mix:2μM ShortUPMH3および0.4μM LongUPMH3オリゴヌクレオチド)、1μlの上記の5' RACE cDNAテンプレート、ならびに1μl 50×BD Advantage 2ポリメラーゼ混合物(Clontech)を含む、総量50μlであった。
【0594】
PCR反応は、TGradient Thermocycler 96(Whatman Biometra)において、35サイクルプログラム:95℃で1分間の変性;95℃で30秒間、68℃で60秒間を35サイクル、を用いて行った。
【0595】
反応産物を、1% TAEアガロースゲル上でのアガロースゲル電気泳動によって分離し、エチジウムブロミドで染色した。正確なサイズのバンドをゲルから切り出し、そのDNAを、Qiagen Minelute Reaction Cleanupキット(Qiagen)を用いてアガロースから単離した。
【0596】
ゲルによって単離したPCRフラグメントを、Zero Blunt(登録商標)TOPO(登録商標)PCRCloning Kit for Sequencing(Invitrogen)を製造元のプロトコルに従い用いてpCR4Blunt-TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングした。5μlのライゲーション混合物で、OneShot DH5αT1Rコンピテント大腸菌(Invitrogen)を形質転換し、LB/アンピシリンプレートにプレーティングした。
【0597】
インサートを含む6個のクローンからV
L配列を決定し、インサートを含む5個のクローンからV
H配列を決定した。
【0598】
実施例19
pConG1fcMetの構築:cMet-IgG1重鎖の作製用ベクター
ヒト抗cMet抗体のV
Hコード領域を、この領域を含むプラスミドからHindIIIおよびApaIを用いて切り出した。VHフラグメントをゲル精製し、pConG1f0.4にクローニングした。このために、pConG1f0.4ベクターをHindIIIおよびApaIで消化し、精製した。V
HフラグメントおよびpConG1f0.4HindIII-ApaI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1R細胞を形質転換した。
【0599】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、単離し、これをpConG1fcMetと命名した。
【0600】
実施例20
pConKcMetの構築:cMet抗体軽鎖の作製用ベクター
ヒト抗cMet抗体のV
Lコード領域を、プライマーshortUPMH3およびRACEVLBsiWIを用いてこの領域を含むプラスミドから増幅し、pConK0.4へのクローニングに適した制限部位を導入した。
【0601】
PCR産物およびpConKappa0.4ベクターをHindIIIおよびPfl23IIで消化し、精製した。V
LフラグメントおよびpConKappa0.4HindIII-Pfl23II消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α T1
R大腸菌を形質転換した。
【0602】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、その配列を確認した。このプラスミドをpConKcMetと命名した。
【0603】
実施例21
pTomG4cMetの構築:cMet-IgG4重鎖の作製用ベクター
cMet-IgG4発現用ベクターを構築するため、cMetのVH領域をpTomG4にクローニングした。
【0604】
このために、pTomG42F8およびpConG1fcMetをHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0605】
cMet V
HフラグメントおよびpTomG42F8HindIII-ApaI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0606】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択した。このプラスミドをpTomG4cMetと命名した。
【0607】
実施例22
pTomG4cMetHGの構築:cMet-HG重鎖の作製用ベクター
cMet-HG発現用構築物を作製するため、cMetのVH領域をpTomG42F8HGにクローニングし、VH 2F8領域を置換した。
【0608】
このために、pTomG42F8HGおよびpConG1fcMetをHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0609】
cMet V
HフラグメントおよびpTomG42F8HGHindIII-ApaI消化ベクターのフラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0610】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択した。このプラスミドをpTomG4cMetHGと命名した。
【0611】
実施例23
pEE6.4cMetFabの構築:cMet-Fab重鎖の作製用ベクター
cMet-Fab発現用構築物を作製するため、cMetのVH領域をpEE6.42F8Fabにクローニングし、VH 2F8領域を置換した。
【0612】
このために、pEE6.42F8FabおよびpConG1fcMetをHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0613】
cMet V
HフラグメントおよびpEE6.42F8Fab HindIII-ApaI消化ベクターのフラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0614】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択した。このプラスミドをpEE6.4cMetFabと命名した。
【0615】
実施例24
pConG1f2F8の構築:2F8-IgG1重鎖の作製用ベクター
2F8(WO 2002/100348)のV
Hコード領域を、プライマー2f8HCexforおよび2f8HCexrevを用いてpIESRα2F8(Medarex)からPCRにより増幅し、PCRscriptCam(Stratagene)にサブクローニングした。その後、VHフラグメントをpCONg1f0.4にクローニングした。
【0616】
このために、pConG1f0.4およびpCRScriptCAMVH2F8ベクターをHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0617】
V
HフラグメントおよびpConG1f0.4HindIII-ApaI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、その配列を確認し、このベクターをpConG1f2F8と命名した。
【0618】
実施例25
pConK2F8の構築:2F8抗体軽鎖の作製用ベクター
pIESRα2F8をHindIIIおよびBsiWIで消化し、2F8(抗EGFr)のV
Lコード領域をゲルから単離した。pConKappa0.4ベクターをHindIIIおよびBsiWIで消化し、精製した。V
LフラグメントおよびpConKappa0.4HindIII-BsiWI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α T1
R大腸菌を形質転換した。
【0619】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、その配列を確認した。このプラスミドをpConK2F8と命名した。
【0620】
実施例26
pTomG42F8の構築:2F8-IgG4重鎖の作製用ベクター
2F8-IgG4発現用ベクターを構築するため、2F8のVH領域をpTomG4にクローニングした。
【0621】
このために、pTomG4およびpConG1f2F8をHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0622】
2F8 V
HフラグメントおよびpTomG4HindIII-ApaI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0623】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択した。このプラスミドをpTomG42F8と命名した。
【0624】
実施例27
pTomG42F8HGの構築:2F8-HG重鎖の作製用ベクター
2F8-HG発現用構築物を作製するため、2F8のVH領域をpTomG47D8HGにクローニングし、VH 7D8領域を置換した。
【0625】
このために、pTomG47D8HGおよびpConG1f2F8をHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0626】
2F8 V
HフラグメントおよびpTomG47D8HGHindIII-ApaI消化ベクターのフラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0627】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択した。このプラスミドをpTomG42F8HGと命名した。
【0628】
実施例28
pEE6.42F8Fabの構築:2F8-Fab重鎖の作製用ベクター
Fabコード領域を、プライマーpConG1seq1および2F8fabrev2を用いるPCRによってベクターpConG1f2F8から増幅し、適当なクローニング用制限部位およびC末端hisタグコード配列を導入した。このPCRフラグメントを精製し、PEE6.4にクローニングした。
【0629】
このために、pEE6.4およびPCRフラグメントをHindIIIおよびEcoRIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0630】
2F8 FabフラグメントおよびpEE6.4HindIII-EcoRI消化ベクターのフラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0631】
正確なインサートを含むクローンを選択し、DNA配列決定によってその配列を確認した。このプラスミドをpEE6.42F8Fabと命名した。
【0632】
実施例29
pConG1f7D8の構築:7D8-IgG1重鎖の作製用ベクター
CD20特異的なHuMab-7D8(WO 04/035607)のV
Hコード領域を、プライマー7D8VHexfor(P8)および2F8HCexrev(P13)を用いてこの領域を含むpGemT(Promega, Madison, USA)ベクターからPCRによって増幅し(
図14)、pConG1f0.4(Lonza Biologics, Slough, UK)へのクローニングに適した制限部位、ヒトIgG1のゲノム定常領域(アロタイプf)を含む哺乳動物発現ベクター、および理想的なコザック配列(GCCGCCACC(Kozak M et al., Gene 234(2), 187-208(1999)))を導入した。PCRフラグメントを、PCR-Script(登録商標)Cam Cloning Kit(Stratagene)を製造元の指示に従い用いてpPCR-Script CAM(Stratagene, Amsterdam, The Netherlands)にクローニングした。数個のクローンを配列決定し、予測された配列を含むクローンをさらなる使用のために選択した。
【0633】
V
Hフラグメントをゲル精製し、pConG1f0.4にクローニングした。このために、V
Hフラグメントを、HindIIIおよびApaIによる消化およびゲル精製の後にpPCR-Script CAMベクターから単離した。
【0634】
pConG1f0.4ベクターをHindIIIおよびApaIで消化し、そのベクターフラグメントをゲルから単離した後、エビアルカリホスファターゼ(New England Biolabs)を用いて脱リン酸化した。V
HフラグメントおよびpConG1f0.4HindIII-ApaI脱リン酸化フラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞(Invitrogen)を形質転換した。8個のコロニーを、プライマーpConG1seq1(P10)およびHCseq5(P11)を用いたコロニーPCRによって検査し(
図14)、全てのコロニーが正確なサイズのインサートを含むことを確認した。
【0635】
さらなる研究のためにクローンを選択し、これをpConG1f7D8と命名した。
【0636】
実施例30
pConK7D8の構築:7D8-IgG1、7D8-IgG4、および7D8-HG軽鎖の作製用ベクター
CD20特異的なHuMab-7D8(WO 04/035607)のV
Lコード領域を、プライマー7D8VLexfor(P7)および7D8VLexrev(P6)を用いてこの領域を含むプラスミドから増幅し(
図14)、pConKappa0.4(Lonza Biologics)へのクローニングに適した制限部位、ヒトIgGの定常カッパ軽鎖領域(アロタイプkm3)を含む哺乳動物発現ベクター、および理想的なコザック配列を導入した。
【0637】
PCR産物およびpConKappa0.4ベクターを、HindIIIおよびBsiWIで消化した。ベクターおよびV
Lフラグメントを精製し、ベクターをエビアルカリホスファターゼを用いて脱リン酸化した。V
LフラグメントおよびpConKappa0.4HindIII-BsiWI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α T1
R大腸菌を形質転換した。10個のコロニーを、プライマーpConKseq1(P9)およびLCseq3(P5)を用いたコロニーPCRによって検査し(
図14)、9個のコロニーが正確なサイズのインサートを含むことを確認した。
【0638】
4個のコロニーからプラスミドDNAを単離し、V
L領域の配列決定を行った。3個のコロニーが予想された配列を含み、一つのクローンをさらなる使用のために選択し、これをpConK7D8と命名した。
【0639】
実施例31
pTomG4の構築:ヒトIgGの重鎖可変領域およびヒトIgG4の定常領域の発現用ベクター
ゲノムDNAをボランディアの血液サンプルから単離し、これをプライマーIgG4gene2f(P15)およびIgG4gene2r(P14)を用いるPCRにおけるテンプレートとして使用し(
図14)、IgG4の重鎖の完全なゲノム定常領域の増幅および哺乳動物発現ベクターpEE6.4(Lonza Biologies)へのクローニングに適した制限部位の導入を行った。このPCRフラグメントを精製してpEE6.4にクローニングした。このために、PCR産物をHindIIIおよびEcoRIで消化した後、制限酵素を熱で不活性化させた。pEE6.4ベクターをHindIIIおよびEcoRIで消化した後、制限酵素を熱で不活性化させ、ベクターフラグメントをエビアルカリホスファターゼを用いて脱リン酸化し、その後にこのホスファターゼを熱で不活性化させた。IgG4フラグメントおよびpEE6.4HindIII-EcoRI脱リン酸化ベクターをライゲーションし、コンピテントなMACH1-T1
R細胞(Invitrogen)を形質転換した。これらのクローンをLBで培養し、プラスミドDNAを小培養物(1.5ml)から単離した。制限酵素消化は、pEE6.4ベクターへのIgG4フラグメントのクローニングに対応するパターンを示した。2個のクローン由来のプラスミドDNAでDH5α-T1
R大腸菌を形質転換し、プラスミドDNAを単離し、その構築物をインサートの配列分析により検査し、1個のクローンが、イントロンにおけるいくつかの小さな違いを除いてGenbankデータベース由来のゲノムIgG4クローンと同一であることを確認した。SEQ ID NO: 13は、pTomG4におけるIgG4領域の配列を示す。これらの違いは、おそらくは多型またはGenbank配列側の配列の誤りのいずれかである。このプラスミドをpTomG4と命名した。
【0640】
実施例32
pTomG47D8の構築:7D8-IgG4重鎖の作製用ベクター
pConG1f7D8由来のプラスミドDNAをHindIIIおよびApaIで消化し、V
Hフラグメントをゲル精製した。pTomG4ベクターをHindIIIおよびApaIで消化し、そのベクターフラグメントをゲルから単離した。V
HフラグメントおよびpTomG4HindIII-ApaIフラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。4個のコロニーを、(プライマーpConKseq1(P9)およびHCseq11(P12)を用いた)コロニーPCRによって検査し、2個のコロニーが正確なサイズのインサートを含むことを確認し、pTomG4骨格の存在は、コロニーPCRフラグメントのMspIによる消化によって確認した。これらのクローンのうちの一つをさらなる使用のために選択した。このプラスミドをpTomG47D8と命名した。
【0641】
実施例33
pTomG47D8HGの構築:7D8-HG重鎖の発現用ベクター
部位特異的変異誘発を用いてpTomG47D8プラスミドのIgG4のヒンジエクソンのスプライスドナー部位を破壊した。部位特異的変異誘発反応は、QuickChange XL部位特異的変異誘発法に従い、プライマーIgG4S228Pf(P16)およびIgG4S228Pr(P17)を用いて行った。24個のコロニーをコロニーPCRおよびXmaI消化(追加のXmaI部位は変異誘発の間に導入されたものである)によってスクリーニングしたところ、全てのコロニーが正確なヌクレオチド変化を含むようであった。2個の陽性コロニーを一晩培養し、プラスミドDNAを単離し、配列決定を行って正確な変異が導入されたことを確認した。両方とも正確な配列を含んでいたが、一方をさらなる増幅のために選択し、これをpTomG47D8HGと命名した。変異誘発プロセスの間にさらなる変異が導入されている可能性を排除するため、pTomG47D8HGの全IgG4コード領域を再配列決定したところ、追加の変異は見出されなかった。この最終的なベクターをpTomG47D8HGと命名した。
【0642】
実施例34
マウス抗Betv1抗体の可変領域のクローニング
総RNAを、RNeasyキット(Qiagen, Westburg, Leusden, Netherlands)を製造元のプロトコルに従い用いて0.3×10
5個のマウスハイブリドーマ細胞(参考文献(Akkerdaas JH et al., Allergy 50(3), 215-20(1995))由来のクローン2H8)から調製した。
【0643】
RNAの5'-RACE-相補DNA(cDNA)を、SMART RACE cDNA Amplificationキット(BD Biosciences Clontech, Mountain View, CA USA)を製造元のプロトコルに従い用いて112ngの総RNAから調製した。
【0644】
Betv1抗体のV
LおよびV
H領域をPCRによって増幅した。このために、PfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼ(Stratagene)を製造元の指示に従い使用した。各反応混合物は、200μM dNTP混合物(Roche Diagnostics)、12pmolのリバースプライマー(V
H領域についてはRACEG1mm1(P19)およびV
L領域についてはRACEKmm1(P18))、7.2pmol UPM-Mix(UPM-Mix:2μM ShortUPMH3(P20)および0.4μM LongUPMH3(P21)オリゴヌクレオチド(
図14))、0.6μlの上記の5' RACE cDNAテンプレート、ならびに1.5単位のPfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼを含むPCR反応緩衝液(ポリメラーゼを補充した)であり、総量30μlであった。
【0645】
PCR反応は、TGradient Thermocycler 96(Whatman Biometra)において、35サイクルプログラム:95℃で2分間の変性;95℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で1.5分間を35サイクル;72℃で10分間の最終伸長、を用いて行った。
【0646】
反応産物を、1% TAEアガロースゲル上でのアガロースゲル電気泳動によって分離し、エチジウムブロミドで染色した。正確なサイズのバンドをゲルから切り出し、そのDNAを、Qiaexllゲル抽出キット(Qiagen)を用いてアガロースから単離した。
【0647】
ゲルによって単離したPCRフラグメントを、200μM dATPおよび2.5単位のAmplitaq(Perkin Elmer)と共に72℃で10分間インキュベートすることによってAテイルを付加し、これをminieluteカラム(Qiagen)を用いて精製した。Aテイルを付加したPCRフラグメントを、pGEMTeasyベクターシステムIIキット(Promega)を製造元のプロトコルに従い用いてpGEMTeasyベクター(Promega)にクローニングした。2μlのライゲーション混合物で、OneShot DH5αT1Rコンピテント大腸菌(Invitrogen)を形質転換し、LB/Amp/IPTG/Xgalプレートにプレーティングした。
【0648】
V
H配列およびV
L配列について、インサートを含む4個の白色コロニーを掻き取り、そのインサートの配列決定を行った。Betv1のV
HおよびV
Lの予測されたアミノ酸配列を、それぞれSEQ ID NO: 8およびSEQ ID NO: 12に示す。
【0649】
実施例35
pConG1fBetV1の構築:Betv1-IgG1重鎖の作製用ベクター
マウス抗BetV1抗体のV
Hコード領域を、プライマーVHexbetv1for(P4)およびVHexbetv1rev(P3)を用いてこの領域を含むプラスミド(実施例18)からPCRにより増幅し、pConG1f0.4へのクローニングに適した制限部位および理想的なコザック配列を導入した。
【0650】
V
Hフラグメントをゲル精製し、pConG1f0.4にクローニングした。このために、PCR産物およびpConKappa0.4ベクターをHindIIIおよびApaIで消化し、精製した。
【0651】
V
HフラグメントおよびpConG1f0.4HindIII-ApaI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0652】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、正確な配列を確認した。このプラスミドをpConG1fBetv1と命名した。
【0653】
実施例36
pConKBetv1の構築:Betv1軽鎖の作製用ベクター
マウス抗BetV1抗体のV
Lコード領域を、プライマーVLexbetv1for(P2)およびVLexbetv1rev(P1)を用いてこの領域を含むプラスミド(実施例18)から増幅し、pConK0.4へのクローニングに適した制限部位および理想的なコザック配列を導入した。
【0654】
PCR産物およびpConKappa0.4ベクターをHindIIIおよびBsiWIで消化し、精製した。V
LフラグメントおよびpConKappa0.4HindIII-BsiWI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α T1
R大腸菌を形質転換した。
【0655】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、その配列を確認した。このプラスミドをpConKBetv1と命名した。
【0656】
実施例37
pTomG4Betv1の構築:Betv1-IgG4重鎖の作製用ベクター
Betv1-IgG4発現用ベクターを構築するため、BetV1のV
H領域をpTomG4にクローニングした。
【0657】
このために、pTomG4およびpConG1fBetv1をHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0658】
Betv1 V
HフラグメントおよびpTomG4HindIII-ApaI消化ベクターをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0659】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、その配列を確認した。このプラスミドをpTomG4Betv1と命名した。
【0660】
実施例38
pTomG4Betv1HGの構築:Betv1-HG重鎖の作製用ベクター
Betv1-HG発現用構築物を作製するため、Betv1のV
H領域をpTomG47D8HGにクローニングし、V
H 7D8領域を置換した。
【0661】
このために、pTomG47D8HGおよびpConG1fBetv1をHindIIIおよびApaIで消化し、関係するフラグメントを単離した。
【0662】
Betv1 V
HフラグメントおよびpTomG47D8HGHindIII-ApaI消化ベクターのフラグメントをライゲーションし、コンピテントなDH5α-T1
R細胞を形質転換した。
【0663】
正確なサイズのインサートを含むクローンを選択し、その配列を確認した。このプラスミドをpTomG4Betv1HGと命名した。
【0664】
実施例39
Hek-293F細胞における一過的発現による7D8-IgG1、7D8-IgG4、7D8-HG、Betv1-IgG1、Betv1-IgG4、Betv1-HG、2F8-IgG1、2F8-IgG4、2F8-HG、2F8-Fab、A77-IgG1、A77-IgG4、A77-HG、A77-Fab、cMet-IgG1、cMet-IgG4、cMet-HG、およびcMet-Fabの作製
抗体は、全ての構築物から、293fectinを製造元の指示に従い用いて関係する重鎖および軽鎖ベクターをHEK-293F細胞に共トランスフェクトすることによって作製した。7D8-IgG1については、pConG1f7D8およびpConK7D8を共発現させた。7D8-IgG4については、pTomG47D8およびpConK7D8を共発現させた。7D8-HGについては、pTomG47D8HGおよびpConK7D8を共発現させた。Betv1-IgG1については、pConG1Betv1およびpConKBetv1を共発現させた。Betv1-IgG4については、pTomG4Betv1およびpConKBetv1を共発現させた。Betv1-HGについては、pTomG4Betv1HGおよびpConKBetv1を共発現させた。
【0665】
2F8-IgG1については、pConG1f2F8およびpConK2F8を共発現させた。2F8-IgG4については、pTomG42F8およびpConK2F8を共発現させた。2F8-HGについては、pTomG42F8HGおよびpConK2F8を共発現させた。2F8-Fabについては、pEE6.42F8-FabおよびpConK2F8を共発現させた。
【0666】
cMet-IgG1については、pConG1fcMetおよびpConKcMetを共発現させた。cMet-IgG4については、pTomG4cMetおよびpConKcMetを共発現させた。cMet-HGについては、pTomG4cMetHGおよびpConKcMetを共発現させた。cMet-Fabについては、pEE6.4cMet-FabおよびpConKcMetを共発現させた。
【0667】
A77-IgG1については、pConG1fA77およびpConKA77を共発現させた。A77-IgG4については、pTomG4A77およびpConKA77を共発現させた。A77-HGについては、pTomG4A77HGおよびpConKA77を共発現させた。A77-Fabについては、pEE6.4A77-FabおよびpConKA77を共発現させた。
【0668】
実施例40
IgG1、IgG4、およびIgG4ヒンジレス抗体の精製
全てのIgG1、IgG4、およびヒンジレス抗体を精製した。まず初めに、上清を0.20μMデッドエンドフィルターを通じて濾過した。次に、上清を、5ml プロテインAカラム(rProtein A FF, Amersham Bioscience)にロードし、0.1Mクエン酸-NaOH、pH3で溶出させた。その溶出液を直ちに2M Tris-HCl、pH9で中和し、12.6mMリン酸ナトリウム、140mM NaCl、pH7.4(B. Braun, Oss, The Netherlands)に対して一晩透析した。透析後、サンプルを、0.20μMデッドエンドフィルターを通じて滅菌濾過した。
【0669】
抗体を、1単位のPNgase F(Roche)/μg抗体と共に37℃で一晩インキュベートすることによって脱グリコシル化した後、プロテインAで精製した。
【0670】
サンプルを、比濁法および280nmにおける吸光度によってIgGの濃度について分析した。
【0671】
実施例41
金属アフィニティクロマトグラフィによる組換えFab抗体の精製
Talonビーズ(Clontech)を、A77-Fab、2F8-Fab、およびcMet-Fab抗体の精製に使用した。
【0672】
使用前に、ビーズを1×平衡/洗浄緩衝液pH7.0(50mMリン酸ナトリウムおよび300mM NaCl)で平衡化し、その後にFab抗体を含む培養上清と共にインキュベートした。このビーズを1×平衡/洗浄緩衝液で洗浄して非特異的に結合したタンパク質を除去し、pH5.0の1×溶出緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、および150mMイミダゾール)を用いてHisタグ付加タンパク質を溶出した。インキュベーションはバッチ式で行い、洗浄および溶出は、遠心分離(700gで2分間)を用いて充填カラムにおいて行った。溶出したタンパク質は、PD-10カラムにおいてPBSに交換することによって脱塩処理した。精製されたタンパク質の収量は、そのアミノ酸配列から算出した理論上の吸光係数を用いて、280nmにおける吸光度を測定することによって決定した。精製されたタンパク質をSDS-PAGEにより分析したところ、そのタンパク質は予測されたサイズに一つのバンドとして移動した。
【0673】
実施例42
7D8-IgG4および7D8-HG抗体の非還元型SDS-PAGE分析
精製後、CD20特異的抗体7D8-IgG1(IgG1抗CD20)、7D8-IgG4(IgG4抗CD20)、および7D8-HG(ヒンジレスIgG4抗CD20)を、非還元型SDS-PAGEにおいて分析した。
【0674】
使用したBis-Tris電気泳動法は、サンプルを中性pHで泳動させるLaemmli法(Laemmli UK, Nature 227, 6801(1970))の改良版である。SDS-PAGEゲルはクマシーで染色し、GeneGenius(Synoptics, Cambridge, UK)を用いてデジタル画像化した。
【0675】
図1に示されるように、7D8-IgG1は、全長四量体(2つの重鎖および2つの軽鎖)7D8 IgG1分子を表す一つの大きな束(major bind)を示した。7D8-IgG4は、四量体IgG4分子を表す大バンドのそばに、文献(Schuurman J et. al., Mol Immunol 38, 1(2001); Angal S et al., Mol Immunol 30, 105(1993); Colcher D et al., Cancer Res 49, 1738(1989); King DJ et al., Biochem J 281(Pt 2), 317(1992); Petersen J G et al., J Biol Chem 249, 5633(1974))に記載されるような相当量の半分子(すなわち1つの重鎖および1つの軽鎖)を有することが示された。ヒンジレスIgG4分子7D8-HGは半分子のみであることが示された。
【0676】
実施例43
7D8-HGの質量分析
ナノスプレー技術による質量分析のために、Millipore Microcon YM-30濃縮器を用いてサンプルを濃縮し、緩衝液を20mMリン酸ナトリウム、pH7.2に交換した。その後、1U N-グリコシダーゼF(Roche, カタログ番号1365177)を用いて37℃で16時間、およそ100μgのIgGを消化し、N結合型グリカンを遊離させた。
【0677】
サンプルをC4マイクロトラップカートリッジを用いてオフラインで脱塩処理し、30%プロパノール/5%酢酸に溶出させた。Q-TOF(Waters, Almere, the Netherlands)を用いるナノスプレー式エレクトロスプレーMSを用いて分子量分析を行った。機器は、glu-フィブリノペプチドを用いてキャリブレートした。Masslynx 4.0ソフトウェアを用いて、獲得した多荷電データを解析した。
【0678】
さらなるサンプルアリコートを、ジチオトレイトールを用いて還元した。還元産物を、C4マイクロトラップを用いてオフラインで脱塩処理し、上記の通りに分析した。還元条件下での7D8-HGのMS分析は、23440ダルトンの軽鎖質量を示し、これは予測された軽鎖質量23440ダルトンと一致した。重鎖の質量は検出されなかったが、これはおそらく、重鎖が沈降したからである。
【0679】
非還元条件下でのMS分析は、71520ダルトンの主要な質量を示し、これはヒンジを欠く半分子(1つの重鎖および1つの軽鎖を合わせたもの)の予想された質量(71522ダルトン)と十分相関した。143041ダルトンの質量を有する生成物が少量観察されたが、これはおそらくヒンジレス重鎖を含む四量体分子を表すものである。
【0680】
実施例44
7D8-HGの質量分析ペプチドマッピング
7D8-HGのアリコート(25μg)を、室温で5時間、CNBrで消化した。CNBrで消化したサンプルを凍結乾燥し、次いで10%アンモニア水でpHを8.4に調整した50mM重炭酸アンモニウム緩衝液に再溶解させ、37℃で5時間、TPCK処理したトリプシンで消化した。この消化産物を凍結乾燥し、Tris酢酸緩衝液、pH8.5中で、20倍過剰のジチオトレイトール(DTT)を用いて消化した凍結乾燥サンプルの還元を行った。その反応産物を、C18カラムを用いるオンラインLC/ES-MSによって分析した。溶出は、ギ酸およびアセトニトリルの水性勾配を用いて行った。質量の検出は、m/z 250〜3000の範囲でキャリブレートしたLCT Premier Electrospray質量分析計を用いて行った。
【0681】
ヒンジレスの特別なペプチド220 VAPEFLGGPSVFLFPPKPK 238の理論上の質量に対応する2026.2Daの質量を有するトリプシン消化ペプチドを検出した(
図2)。このペプチドの実体は、ナノスプレーMSおよびMS/MSによって確認した(
図3および4)。
【0682】
この結果は、7D8-HG抗体がヒンジ領域を含まないことを示している。
【0683】
実施例45
分析用超遠心分離(AUC)実験による沈降速度による7D8-HGの分子量分布
PBS中1mg/mlサンプルの7D8-HGを、AUC分析のためにNanolytics(Dalgow, Germany)に送付した。6.7Sの速度により7D8-HG沈降物の優勢な集合(95%)を同定した。別の凝集物を、11.5Sにおいて確認した(2%)。残りの物質は、より高速の凝集によって確認された。
【0684】
主要なフラクションの沈降係数は、PBS中の7D8-HGが主として摩擦比が1.4の二量体として存在することを示している。
【0685】
見かけ上、7D8-HGは、おそらくはCH3領域における、低い親和性の非共有結合性相互作用によって二量体を形成している(Saphire, Stanfield et al., 2002)。この二量体化プロセスは、過剰な無関係の抗体の存在下でHG分子を使用することによって阻害され得る(実施例54を参照のこと)(Saphire, E.O., R.L. Stanfield, et al., (2002). “Contrasting IgG structures reveal extreme asymmetry and flexibility.” J Mol Biol 319(1): 9-18)。
【0686】
実施例46
7D8-IgG1、7D8-IgG4、および7D8-HG抗体の機能分析
これらのCD20特異的抗体のCD20抗原に対する結合は、フローサイトメトリーによって試験した。NSO/CD20トランスフェクト細胞(50,000細胞/50μl)をFACS緩衝液(FB:PBS、0.05% BSA、0.02% NaN
3)で洗浄し、V底96ウェルプレートにおいて試験抗体と共にインキュベートした(50μl、4℃で30分間)。洗浄後、PEで標識したヤギF(ab)
2抗ヒトIgG-カッパ(Southern Biotechnology, カタログ番号2062-09, www.southernbiotech.com)を細胞に加えた。細胞をFBで洗浄し、細胞をFACSチューブに回収し、総量を150μlとした。サンプルは、FACScalibur(商標)(Becton Dickinson, San Diego, CA, USA)を使用することによって測定および分析した。
【0687】
図5に示されるように、3つ全ての抗体は抗原特異的でありかつ、CD20に対して強い結合を示した。
【0688】
C1q(古典的補体カスケードの第一成分)の7D1-IgG1、7D8-IgG4、および7D8-HGに対する結合を決定するため、ELISAを行った。手短に説明すると、マイクロタイターELISAプレート(Greiner, Germany)をRTで一晩、PBS中10μg/ml〜0.06μg/mlの範囲で連続希釈した試験抗体でコーティングした。プレートを空にし、RTで30分間、各ウェルあたり200μlのELISA希釈液(0.1M NaPO
4、0.1M NaCl、0.1%ゼラチン、および0.05% Tween-20)でウェルをブロックした。その後、プレートを空にし、ウェルを、2μg/mlのヒトC1q(Quidel, ロット番号900848)を含有するC1q緩衝液(0.1% w/vゼラチンおよび0.05% v/v Tween-20を補充したPBS、100μl/ウェル、37℃、1時間)と共にインキュベートした。プレートをPBSTで三回洗浄し、ウェルを、C1q緩衝液で希釈したウサギ抗ヒトC1q(DAKO, A0136)と共にインキュベートした(100μl/ウェル、RT、1h)。このプレートをPBSTで洗浄した後(3×)、ウェルを、ELISA希釈液に希釈したHRP結合型ブタ抗ウサギIgG-Fc(DAKO, P0300, ロット番号069)と共にインキュベートした(1:2500、100μl/ウェル、RT、1時間)。その後、プレートを三回洗浄し、RT、暗所にて30分間、新たに調製した1mg/ml ABTS溶液(ABTS:2,2'-アジノ-ビス[3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸];10ml ABTS緩衝液中5mgのタブレットを2つ, Boehringer Mannheim, Ingelheim, Germany)を用いてアッセイを行った。ELISAプレートリーダー(Biotek Instruments Inc., Winooski, USA)において405nmの吸光度を測定した。
【0689】
図6に示されるように、C1qは、7D8-IgG4および7D8-HGの両方に結合しなかった。対照として、7D8-IgG1に対するC1qの結合を評価したところ、C1qの濃度依存的な結合を示した。
【0690】
CD20特異的抗体の補体特性をさらに調査するため、補体依存的な細胞傷害性を試験した。収集後、Daudi細胞(ATCC, www.ATCC.org)をPBSで三回洗浄し、1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA; Roche, Basel, Switzerland)を補充したRPMI 1640に2×10
6細胞/mlとなるよう再懸濁した。次いで、細胞を、容量50μl中1.0×10
5細胞/ウェルとなるよう96ウェル丸底プレートに入れた。同量の抗体(最高濃度10μg/ml、RPMI 1640および1% BSAで希釈)をウェルに加え、室温(RT)で15分間インキュベートした。次いで、25μlの正常ヒト血清(NHS)を加え、細胞を37℃で45分間インキュベートした。熱不活性化血清(血清ΔT)は、56℃で10分間インキュベートしたNHSである。45分間のインキュベーション後、細胞を再懸濁してFACSチューブ(Greiner)に移した。次いで、10μlのヨウ化プロピジウム(PI; Sigma-Aldrich Chemie B.V.)をこの懸濁物に加えた(10μg/ml溶液)。溶解は、フローサイトメトリー(FACScalibur(商標), Becton Dickinson, San Diego, CA, USA)によって死細胞(PI陽性細胞)の数を測定することにより検出した。
【0691】
図7Aに示されるように、7D8-IgG1はdaudi細胞の大きな溶解を示したが、7D8-IgG4および7D8-HGは両方とも少量のDaudi細胞の溶解しか示さなかった。
【0692】
血清の役割を評価するため、熱不活性化血清(血清ΔT)を、10μgの抗体(antistof)と共にインキュベートした細胞に加えた。
図7Bは、溶解の誘導が補体活性を有する血清に依存的であること、熱不活性化血清を添加しても溶解が起こらないことを示した。
【0693】
実施例47
Betv1-HG抗体の非還元型SDS-PAGE分析
精製後、Betv1-HG(ヒンジレスIgG4抗Betv1)を、非還元型SDS-PAGEにおいて分析した。使用したBis-Tris電気泳動法は、サンプルを中性pHで泳動させるLaemmli法の改良版である。SDS-PAGEゲルはクマシーで染色し、GeneGenius(Synoptics, Cambridge, UK)を用いてデジタル画像化した。
【0694】
図8に示されるように、Betv1-HGは、半分子(すなわち1つの重鎖および1つの軽鎖)を表す一つの大きな束を示した。
【0695】
実施例48
Betv1-HG抗体のゲル濾過
Betv1-HGをゲル濾過に供し、この変異体が半分子として溶出するのかインタクトな二量体として溶出するのかを調査した。サンプル(100μl)を、Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden製のHPLCシステム(AKTA explorer)に接続したSuperdex 200 HR 10/30カラム(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)にアプライした。このカラムを最初にPBSで平衡化した。250μlのフラクションを回収し、抗原結合アッセイを用いてBet v 1特異的IgGを測定した。サンプルは、214nmにおける吸収の測定にも供した。
【0696】
Bet v 1特異的抗体の抗原結合を試験するため、希釈した抗体のサンプルを室温で一晩、50μlの希釈した
125I標識Bet v 1または
125I標識Fel d 1と共に、750μl PBS/AT(0.3% BSA、0.1% Tween-20、0.05% NaN3を補充したPBS)中0.75mgのプロテインGセファロース(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)とインキュベートした。Bet v 1を、Aalberseら(Serological aspects of IgG4 antibodies. 1983. 130: 722-726)に記載されるような、キャリアなしの
125I(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)を用いるクロラミンT法によりヨウ化した。セファロース懸濁物をPBS-T(0.1% Tween-20を補充したPBS)で洗浄した後、結合した放射活性を測定した。その結果を、添加した量に対する放射活性の量として表した。
【0697】
ヒンジレスBetv1-HGのBet v 1結合活性は、一つのピークとして溶出し、これは、インタクトなヒンジを含む精製されたBetv1-IgG4(IgG4抗Bet v 1)の溶出ピークよりも長い時間保持された(
図9)。球状タンパク質を用いたこのカラムのキャリブレーションは、Betv1-HGが分子サイズ約70kDのタンパク質に対応するフラクションとして溶出されたことを示した(データは示さず)。これらのデータは、ヒンジレスIgG4が半分子として存在し、報告されているヒンジレスIgG1およびIgG4分子(Silverton EW et al., Proc Natl Acad Sci USA 74, 5140(1977); Rajan SS et al., Mol Immunol 20, 787(1983); Horgan C et al., J Immunol 150, 5400(1993))とは対照的に、非共有結合性相互作用を通じて四量体分子を形成しないという本発明らの観察を裏付けるものである。
【0698】
実施例49
Betv1-IgG4およびBetv1-HG抗体の機能的な特徴付け
以前に、血清由来の抗原特異的なIgG4とは対照的に、インビトロ生成されたモノクローナルIgG4抗体は、IgG1抗体と同様、抗原を架橋することができ、従って二価抗体であることが示されている(Schuurman J et al., Immunology 97, 693(1999); Aalberse R C et al., Immunology 105, 9(2002))。Betv1-IgG1、Betv1-IgG4、およびBetv1-HGの抗原を架橋する能力は、セファロース結合型Bet v 1および
125I標識抗原を用いる放射免疫アッセイによって決定した。本実験においては、樺花粉(Birch pollen)セファロースを調製した。簡単に説明すると、樺花粉抽出物(Allergon, Angelholm, Sweden)を、製造元の指示に従いCNBr活性化型セファロース4B(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)に結合させた。その後、このセファロースを、0.3% BSA、0.1% Tween-20、0.05% NaN
3を補充したPBSに再懸濁した。
【0699】
セファロース結合型抗原と
125I標識抗原を架橋する抗体の能力を試験するため、50μlの希釈した抗体を、PBS/AT中750μlのセファロースと共に室温で一晩インキュベートした。次に、このセファロース懸濁物をPBS-Tで洗浄し、その後にこの懸濁物を総量750μl PBS/AT中50μlの希釈した
125I標識Bet v 1と共に室温で一晩インキュベートした。最後に、このセファロースをPBS-Tで洗浄し、結合した放射活性を測定した。その結果を、添加した放射標識の量に対する結合した放射活性の量として表した。
【0700】
図10に示されるように、三つ全ての抗体は抗原特異的であり、放射標識Betv1に対する強い結合を示した。
【0701】
図11においては、Betv1-IgG1およびBetv1-IgG4がセファロース結合型Bet v 1と放射標識Bet v 1を架橋できることが示されている。IgG1およびIgG4抗体は二価抗体として振る舞う。Betv1-HG抗体はBetv1抗原を架橋できず、従って一価結合であることが実証された。
【0702】
実施例50
正常なIgG1、IgG4、よびIgG1フラグメントとの比較における、IgG4ヒンジレス変異抗体の薬物動態評価
体重24〜27gの25匹のSCIDマウス(C.B-17/lcrCrl-scid-BR, Charles-River)を本実験に使用した。マウスをCentral Laboratory Animal Facility(Utrecht, The Netherlands)の隔離施設に移し、上面がフィルターのケージで飼育し、水および食料を自由に与えた。全ての実験は、Utrecht大学の動物倫理委員会による承認を受けた。
【0703】
モノクローナル抗体は、尾静脈を通じて静脈内投与した。投与から1時間、4時間、24時間、3日、7日、14日、21日、および28日後に伏在静脈から50μlの血液サンプルを回収した。血液をヘパリン含有バイアルに回収し、10,000gで5分間遠心分離した。mAb濃度の決定のために、血漿を-20℃で保存した。
【0704】
本実験において、ヒンジレスIgG4変種体(7D8-HG、ロット570-003-EP)のクリアランスを、正常なヒトIgG4(7D8-IgG4、ロット570-002-EP)、IgG1変種体(7D8-IgG1、ロット793-001-EP)、F(ab')
2(7D8-G1-F(ab')2、ロット815-004-XX)、および後者のmAbのFabフラグメント(7D8-G1-Fab、815-003-X)のそれと比較した。1匹のマウスあたり200μl中0.1mgの用量の各抗体を、5匹のマウスに投与した。
【0705】
ヒトIgGの濃度は、サンドイッチELISAを用いて決定した。100ng/ウェルの濃度で96ウェルMicrolon ELISAプレート(Greiner, Germany)をコーティングしたマウスmAb抗ヒトIgG-カッパクローンMH19-1(#M1272, CLB Sanquin, The Netherlands)を、捕捉抗体として使用した。2%ニワトリ血清を補充したPBSでプレートをブロッキングした後、サンプルを添加し、ELISA緩衝液(0.05% Tween 20および2%ニワトリ血清を補充したPBS)で連続希釈し、プレートシェーカーを用いて室温(RT)で1時間インキュベートした。その後、プレートを、ヤギ抗ヒトIgG免疫グロブリンのペルオキシダーゼ標識F(ab')
2フラグメント(#109-035-097, Jackson, West Grace, PA)と共にインキュベートし、これを2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS; Roche, Mannheim, Germany)で現像した。マイクロプレートリーダー(Biotek, Winooski, VT)において、405nmの吸光度を測定した。
【0706】
SCIDマウスは、血漿IgG濃度が低く、従ってIgGのクリアランスが比較的遅いという理由から選択した。これにより、新生児Fc受容体(FcRn)へのFcγ部分の結合の消失に起因する迅速なクリアランスを検出するための非常に高感度のPKモデルが確立された。
【0707】
薬物動態分析は、濃度-時間曲線の曲線下面積(AUC)をテイル補正(tailcorrection)を用いて決定することによって行った。血漿クリアランス速度は、用量/AUC(ml/日)として算出した。GraphPad PRISM vs. 4(Graphpad Software)を用いて統計学的試験を行った。
【0708】
図12は、時間内の濃度の片対数プロットを示す。初期血漿濃度は、ヒンジレス変種体を含めて、全てのインタクトなmAbsについて同じ85〜105μg/mlのオーダーであった。これらの初期濃度は、約1mlの中央分布量(central distribution volume)に対応し、これはマウスの血漿区画への分布と一致する。F(ab')2およびFabフラグメントについては、それよりも低い初期濃度、それぞれ75および4μg/mlを観察した。Fabフラグメントについては、これは、投与後最初の1時間内での迅速な血管外分布に起因する可能性が高い。
【0709】
図13は、個々のマウスについて算出されたクリアランス速度を示す。ヒンジレス変種体のクリアランス速度は、正常なIgG1およびIgG4のそれらよりも3〜4倍高かった。しかし、F(ab')2フラグメントのそれよりは10倍超遅く、Fabフラグメントのクリアランスよりも200倍超遅かった。
【0710】
実施例51
免疫コンピテントマウスにおける正常なIgG4およびIgG1 F(ab)2フラグメントとの比較におけるIgG4ヒンジレス変異抗体の薬物動態評価
12匹の8週齢のBalb/cマウス(Balb/CAnNCrl, Charles-River)を本実験に使用した。マウスをCentral Laboratory Animal Facility(Utrecht, The Netherlands)の隔離施設に移し、上面がフィルターのケージ内で無菌条件下で飼育し、水および食料を自由に与えた。全ての実験は、Utrecht大学の動物倫理委員会による承認を受けた。
【0711】
モノクローナル抗体は、尾静脈を通じて静脈内投与した。投与から1時間、4時間、24時間、3日、7日、および10日後に伏在静脈から50μlの血液サンプルを回収した。血液をヘパリン含有バイアルに回収し、10,000gで5分間遠心分離した。mAb濃度の決定のために、血漿を-20℃で保存した。
【0712】
本実験において、ヒンジレスIgG4変種体(7D8-HG、ロット570-003-EP)の血漿クリアランス速度を、正常なヒトIgG4(7D8-IgG4、ロット570-002-EP)、7D8-IgG1由来のF(ab')
2フラグメント(7D8-G1-F(ab')
2、ロット815-004-XX)のそれと比較した。体重1kgあたり4mgの用量に相当する、1匹のマウスあたり200μl中0.1mgの用量の各抗体を、4匹のマウスに投与した。
【0713】
ヒトIgGの血漿濃度は、サンドイッチELISAを用いて決定した。100ng/ウェルの濃度で96ウェルMicrolon ELISAプレート(Greiner, Germany)をコーティングしたマウスmAb抗ヒトIgG-カッパクローンMH19-1(#M1272, CLB Sanquin, The Netherlands)を、捕捉抗体として使用した。2%ニワトリ血清を補充したPBSでプレートをブロッキングした後、サンプルを添加し、ELISA緩衝液(0.05% Tween 20および2%ニワトリ血清を補充したPBS)で連続希釈し、プレートシェーカーを用いて室温(RT)で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートを、ヤギ抗ヒトIgG免疫グロブリンのペルオキシダーゼ標識F(ab')
2フラグメント(#109-035-097, Jackson, West Grace, PA)と共にインキュベートし、これを2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS; Roche, Mannheim, Germany)で現像した。マイクロプレートリーダー(Biotek, Winooski, VT)において、405nmの吸光度を測定した。
【0714】
Balb/cマウスは、正常なIgG産生を有し、従ってSCIDマウスよりもIgGのクリアランスが速いという理由から選択した。これにより、投与された抗体が、新生児Fc受容体(FcRn)への結合について内因性のマウスIgGと競合しなければならないマウスモデルが確立された。
【0715】
図15は、時間内の濃度の片対数プロットを示す。初期血漿濃度は全て、100μg/mlのオーダーであり、これはマウスの血漿区画への初期分布と一致する。ヒンジレスIgG4変種体のクリアランスは、正常なIgG4のそれよりもわずかに速いのみであった。重要なことは、ヒンジレス変種体のクリアランスが、同等の分子サイズを有するF(ab')
2フラグメントのそれよりもずっと遅かったことである。
【0716】
本実験は、Fc部分が、正常な免疫系を有するマウスにおける血漿滞留時間に対して好ましい効果を有することを示し、内因性のIgGの存在下であっても新生児Fc受容体(FcRn)と機能的な相互作用をするという示唆を提供する。
【0717】
実施例52
ヒトIgGを補充したSCIDマウスにおけるIgG4ヒンジレス変異抗体の薬物動態評価
体重18〜22gの16匹のSCIDマウス(C.B-17/lcrCrl-scid-BR, Charles-River)を本実験に使用した。マウスをCentral Laboratory Animal Facility(Utrecht, The Netherlands)の隔離施設に移し、上面がフィルターのケージ内で無菌条件下で飼育し、水および食料を自由に与えた。全ての実験は、Utrecht大学の動物倫理委員会による承認を受けた。
【0718】
免疫不全SCIDマウスは、1週間を超える期間のクリアランス試験に影響し得るヒトタンパク質に対する抗体反応を生じないという理由で、ヒンジレスIgG4変種体の薬物動態の研究のために選択した。生理学的に適当な濃度のヒトIgGの存在下でヒンジレスIgG4変異体のクリアランスを研究するため、これらのIgG不全マウスに、高用量の静脈内免疫グロブリン(多種適合性ヒトポリクローナルIgG)を補充した。これは、1)ヒンジレスIgG4の二価形態への会合がIVIGによって妨げられる、および2)ヒンジレスIgG4が、新生児Fc受容体(FcRn)への結合について他のIgGと競合しなければならないことから、ヒトにおける状態をよく再現したマウスモデルを提供する(Bazin R, et al. Use of hu-IgG-SCID mice to evaluate the in vivo stability of human monoclonal IgG antibodies.
J Immunol Methods. 1994; 172: 209-17)。FcRnへの結合は、IgGを、エンドサイトーシス後の細胞内分解から保護し、その長い血漿半減期を担う。
【0719】
このモデルにおいて、ヒトCD20特異的ヒトmAbクローン7D8由来の変種体の血漿クリアランスを研究した。ヒンジレスIgG4変種体(7D8-HG、ロット992-001-EP)のクリアランス速度を、正常なヒトIgG4(7D8-IgG4、ロット992-002-EP)、7D8-IgG1由来のF(ab')
2フラグメント(7D8-F(ab')
2、ロット892-020-XX)のそれと比較した。さらに、酵素的に脱グリコシル化したヒンジレス変種体の調製物を試験した(TH3001-7D8-HG deglyc, ロット991-004-EP)。体重1kgあたり約5mgの用量に相当する、200μl中0.1mgの用量の各抗体を、4匹のマウスに尾静脈から投与した。モノクローナル抗体は、静脈内免疫グロブリン(60mg/ml, Sanquin, The Netherlands, JFK108ST, 管理番号04H04H443A)との1:1混合物として投与した。総注射量は400μl/マウスであり、これは1匹のマウスあたり12.5mgのIVIG用量を与えた。
【0720】
投与から15分、5時間、24時間、2日、3日、7日、および10日後に伏在静脈から50μlの血液サンプルを回収した。血液をヘパリン含有バイアルに回収し、14,000gで10分間遠心分離した。mAb濃度の決定のために、血漿を-20℃で保存した。7D8変種体の血漿濃度は、サンドイッチELISAを用いて決定した。マウスmAb抗7D8-イディオタイプ抗体(クローン2F2 SAB 1.1 (LD2), ロット0347-028-EP)を捕捉抗体として使用した。0.05% Tweenおよび2%ニワトリ血清を補充したPBSでプレートをブロッキングした後、サンプルを添加し、ELISA緩衝液(0.05% Tween 20および2%ニワトリ血清を補充したPBS)で連続希釈し、プレートシェーカーを用いて室温(RT)で2時間インキュベートした。注入した抗体を参照として使用した。洗浄後、プレートを、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトF(ab')
2特異的(109-035-097, Jackson Immunoresearch, West Grace, PA)と共にインキュベートし、これを2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS; Roche, Mannheim, Germany)で現像した。マイクロプレートリーダー(Biotek, Winooski, VT)において、405nmの吸光度を測定した。総ヒトIgG血漿濃度を、同様のELISAを用いて決定した。マウスmAb抗ヒトIgG-カッパクローンMH16(#M1268, CLB Sanquin, The Netherlands)を捕捉抗体として使用した。ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG免疫グロブリン(#109-035-098, Jackson, West Grace, PA)を検出のために使用した。
【0721】
薬物動態分析は、濃度-時間曲線の曲線下面積(AUC)をテイル補正を用いて決定することによって行った。血漿クリアランス速度は、用量/AUC(ml/日)として算出した。GraphPad PRISM vs. 4(Graphpad Software)を用いて統計学的試験を行った。
【0722】
図20は、上パネルが時間内のmAb 7D8変種体の濃度の片対数プロットを、下パネルが総ヒトIgG濃度を示す。初期総ヒトIgG濃度は平均2.3mg/mlであり、10日後に0.47mg/mlまで低下した。この7D8 IgG4およびIgG4 HG変種体の初期血漿濃度は94〜180μg/mlの範囲であり、これはマウスの血漿区画への初期分布と一致する。F(ab')2フラグメントについては、初期濃度がいくぶん低く、平均62μg/mlであった。上パネルから、脱グリコシル化調製物を含むヒンジレス変種体のクリアランスがインタクトなIgG4のそれよりもいくぶん速いが、F(ab')2フラグメントのそれよりはずっと遅いことが明らかである。以下の表は、濃度-時間曲線から算出されたクリアランス速度を示す。ヒンジレス変種体のクリアランス速度は、正常なIgG4のそれよりも2〜3倍高かった。しかし、F(ab')
2フラグメントのそれよりもほぼ10倍遅かった。重要なことは、脱グリコシル化が、ヒンジレスIgG4変種体のクリアランス速度に対して有意な影響を及ぼさなかったことである。
【0723】
従って、生理学的に適当な濃度のヒトIgGの存在下であっても、ヒンジレス変種体のクリアランスは、同等の分子サイズを有するF(ab')2フラグメントのそれよりもずっと遅い。本実験は、生理学的に適当な濃度の競合的なヒトIgGの存在下であっても、ヒンジレスIgG4変種体は、新生児Fc受容体(FcRn)と機能的な相互作用をすることができることを実証している。さらに、本実験は、ヒンジレスIgG4変種体のグリコシル化が血漿クリアランスに影響せず、非グリコシル化型ヒンジレスIgG4は完全グリコシル化型と類似のインビボ半減期を有することを示している。
【0724】
実施例53
FcRn-/-マウスにおける正常IgG4およびIgG1 F(ab')2フラグメントとの比較におけるIgG4ヒンジレス変異抗体の薬物動態評価
本実験は、IgG4ヒンジレス変異体が、IgGをエンドサイトーシス後の細胞内分解から保護することによりIgGの長い血漿半減期をもたらす新生児Fc受容体(FcRn)と相互作用できるかどうかを調査するために行った。本実験においては、FcRnを発現しないという理由から、B2Mノックアウトマウスを使用した。
【0725】
12匹の雌性C57Bl/6 B2Mノックアウトマウス(TaconicモデルB2MN12-M、FcRn-/-マウスと称する)および12匹の雌性C57Bl/6野生型対照マウス(Taconic、モデルnr.B6、WTマウスと称する)を実験に使用した。これらのマウスをCentral Laboratory Animal Facility(Utrecht, The Netherlands)の隔離施設に移し、上面がフィルターのケージ内で飼育し、水および食料を自由に与えた。全ての実験は、Utrecht大学の動物倫理委員会による承認を受けた。
【0726】
ヒトCD20特異的ヒトmAbクローン7D8由来の変種体の血漿クリアランスを研究した。ヒンジレスIgG4変種体(7D8-HG、ロット992-001-EP)のクリアランス速度を、正常なヒトIgG4(7D8-IgG4、ロット992-002-EP)、7D8-IgG1由来のF(ab')
2フラグメント(7D8-G1-F(ab')
2、ロット892-020-XX)のそれと比較した。
【0727】
モノクローナル抗体は、尾静脈を通じて静脈内投与した。体重1kgあたり約5mgの用量に相当する、1匹のマウスあたり200μl中0.1mgの用量の各抗体を、4匹のマウスに投与した。投与から10分、5時間、24時間、2日、3日、7日、および10日後に伏在静脈から50μlの血液サンプルを回収した。血液をヘパリン含有バイアルに回収し、14,000gで10分間遠心分離した。mAb濃度の決定のために、血漿を-20℃で保存した。ヒトIgGの血漿濃度は、100ng/ウェルで96ウェルMicrolon ELISAプレート(Greiner, Germany)をコーティングしたマウスmAb抗ヒトIgG-カッパクローンMH19-1(#M1272, CLB Sanquin, The Netherlands)を捕捉抗体として使用するサンドイッチELISAを用いて決定した。ELISA緩衝液(0.05% Tweenおよび2%ニワトリ血清を補充したPBS)でプレートをブロッキングした後、サンプルを添加し、ELISA緩衝液で連続希釈した。対応する注入した抗体調製物の連続希釈物を参照として使用した。インキュベーションおよび洗浄後、プレートを、ペルオキシダーゼ標識AffiniPureヤギ抗ヒトIgG、F(ab')
2特異的(#109-035-097, Jackson Immunoresearch, West Grace, PA)と共にインキュベートし、これを2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS; Roche, Mannheim, Germany)で現像した。マイクロプレートリーダー(Biotek, Winooski, VT)において、405nmの吸光度を測定した。薬物動態分析は、濃度-時間曲線の曲線下面積(AUC)をテイル補正を用いて決定することによって行った。血漿クリアランス速度は、用量/AUC(ml/日)として算出した。GraphPad PRISM vs. 4(Graphpad Software)を用いて統計学的分析を行った。
【0728】
図21は、時間内の濃度の片対数プロットを示す。初期血漿濃度は全て、100μg/mlのオーダーであり、これはマウスの血漿区画における初期分布と一致する。以下の表は、個々のマウスの濃度-時間曲線から算出された血漿クリアランス速度を示す。
【0729】
F(ab')
2フラグメントについては、野生型(WT)マウスとノックアウト(FcRn-/-)マウスとの間で有意差が観察されなかった。対照的に、IgG4およびヒンジレスIgG4変異体については、WTマウスにおけるクリアランス速度は、FcRn-/-マウスのそれと比較して3〜5倍遅かった。本実験は、FcRnの存在が、ヒンジレスIgG4の血漿滞留時間に対して好ましい効果を有することを示している。従って、本実験は、ヒンジレスIgG4がFcRnとインビボで機能的な相互作用を行うことができるという証拠を提供するものであり、これによりその良好な血漿半減期が説明される。
【0730】
実施例54
2F8-HG抗EGFr mAbの機能分析
MAb 2F8は、ヒト上皮成長因子受容体(EGFr)に対するヒトIgG1モノクローナル抗体(mAb)であり、リガンド結合をブロックすることによってEGFrのシグナル伝達を阻害することができる。このmAbから、IgG4変種体である2F8-IgG4を作製し、合わせてヒンジレス変種体である2F8-HGも作製した。
【0731】
本実施例において、本発明者らは、インビトロ下の細胞内でのリガンド誘導性のEGFrのリン酸化の阻害について2F8-HGの能力と2F8-IgG1および2F8-Fabフラグメントの能力を比較した。これは、全てのIgGサブクラスを含むポリクローナルヒトIgG調製物である静脈内免疫グロブリン(IVIG)を添加しておよび添加せずに行った。
【0732】
EGFrのリン酸化の阻害は、類表皮細胞株A431(ATCC, American Type Culture Collection, Manassas, USA)を用いる二段階アッセイによって測定した。これらの細胞を、96ウェルプレート上の0.5%ヒトアルブミン(ヒトアルブミン20%、Sanquin, the Netherlands)を含有する無血清培地において一晩培養した。次に、mAbを、100または1000μg/mlのいずれかの固定終濃度のIVIG(免疫グロブリンI.V., Sanquin)と共にまたはそれを含めずに、連続希釈により添加した。37℃で60分間のインキュベーション後、ブロックされていないEGFrの活性化を誘導するため50ng/mlの組換えヒトEGF(Biosource)を加えた。さらに30分間インキュベートした後、細胞を溶解緩衝液(Cell Signaling Technology, Beverly, MA)を用いて溶解させ、その溶解産物を、1μg/mlのマウス抗EGF-R抗体(mAb EGFR1, BD Pharmingen, San Diego, CA)でコーティングしたELISAプレートに移した。RTで2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、リン酸化型EGF-Rの結合を、リン酸化型チロシンに特異的なユーロピウム標識マウスmAb(mAb Eu-N1 P-Tyr-100, PerkinElmer)を用いて検出した。最後に、DEL-FIA増感溶液を加え、EnVisionプレートリーダー(PerkinElmer)において315nmで励起させ615nmで発光を測定することによって時間分解蛍光を測定した。非直線回帰(GraphPad Prism 4)を用いてシグモイド形の用量反応曲線を算出した。
【0733】
図14の上パネルに示されるように、2F8-HGは、IVIGを添加せずに培地を使用した場合に、リン酸化の阻害に関して2F8-IgG1と同等の効果を有した。両方のmAbは、EGFrに一価的に結合する2F8-Fabフラグメントよりも強力であった。
図14の中パネルおよび下パネルは、IVIGの添加が2F8-IgG4および2F8-Fabに対して無視できる程度の効果しか有さないことを示す。しかし、それは2F8-HGの用量反応曲線を顕著に右側にシフトさせており、このことは結合特性の変化を示しており、これは、特定の条件下で2F8-HGは二価抗体として振る舞う場合があるがポリクローナルヒトIgGの存在下では一価型に解離するという考えに沿うものである。
【0734】
実施例55
原理の証明:CD89に対するIgG4ヒンジレス(CD89-HG)はマウスモデルにおけるIgE媒介性の喘息を阻害する
Pasquierら(Pasquier, B et al., Immunity 22, 31(2005))は、FcαRI(CD89(Monteiro RC et al., Annu Rev Immunol 21, 177(2003))が抗炎症的な役割および炎症促進的な役割の両方を有することを示した。FcαRIの凝集は、Sykの動員およびSHP-1結合の中止により細胞の活性化を導く。FcαRIとの単量体的相互作用は活性化反応を阻害し:SHP-1が動員され、Syk、LAT、およびERKのリン酸化に障害が起こる。
【0735】
抗CD89抗体のFabフラグメント(クローンA77)は、ヒト単球を用いたIgG媒介性の貪食作用を阻害できた。さらに、FcαRIをトランスフェクトしたRBL-2H3細胞を用いたインビトロのおよびIgE媒介性の喘息モデルにおけるインビボのIgE媒介性反応は、この抗CD89抗体のFabフラグメントによって阻害された。この動物モデルにおいて、FcαRIトランスジェニックマウス(Launay P et al., J Exp Med 191, 1999(2000))は、TNP-OVAで感作された。A77 Fabフラグメントの存在下でIgE-TNP-OVA免疫複合体の鼻腔内チャレンジを受けたマウスは、メタコリンに対する気管支反応の低下を示したのに対して、無関係のFabフラグメントは気管支の反応亢進性を低下させることができた。
【0736】
抗原特異的、非架橋的、一価的、非活性化性の抗体のインビトロでの原理に関する証明は、以下の実験から得られる。付着性のPBMCを、無関係のIgG4(Genmab BV)と共にもしくはそれを加えず24時間プレインキュベートした10μg/ml A77-HG(IgG4ヒンジレス)と共にまたは無関係のHG抗体と共に37℃で30分間インキュベートし、洗浄し、ポリクローナルウサギ抗大腸菌IgG抗体を製造元の指示に従い用いてオプソニン化したまたはそれを行わなかったテキサスレッド結合型大腸菌(50細菌/細胞)(Molecular Probes, Eugene, OR)と共に37℃で30分間インキュベートした。共焦点レーザー顕微鏡にスライドを装着し試験した。オプソニン化大腸菌およびA77-HG(無関係のIgG4と共にプレインキュベート)を与えられたPBMCは、オプソニン化大腸菌および対照HG抗体を与えられたPBMCと比較して、大腸菌の貪食作用の低下を示す。
【0737】
FcαRIトランスジェニックマウスを、記載されたようにTNP-OVAで(Pasquier, B et al., Immunity 22, 31(2005));あるいはDeurlooら(Deurloo D T et al., Clin Exp Allergy 33, 1297(2003))により記載されたようにOVAで感作する。ヒトFcαRIトランスジェニックマウスおよび同腹仔対照を、第0日および第7日の二回、水酸化アルミニウム中のTNP-OVAまたはOVA(Sigma)を用いて腹腔内免疫する。マウスに、連続する数日間、20μg抗DNP-IgEと複合体化させたTNP-OVA(Zuberi R I et al., J Immunol 164, 2667(2000))またはOVAエアゾール(Deurloo D T et al., Clin Exp Allergy 33, 1297(2003))のいずれかを用いて、A77-HG(IgG
4ヒンジレス)または無関係のヒンジレス抗体(対照HG)の存在下で鼻腔内チャレンジを行う。
【0738】
マウスに、50μg A77-HGまたは対照HGを、チャレンジ期間内に一度と最後の鼻腔内チャレンジと共に一度の二度、鼻腔内から与える。最後の鼻腔内チャレンジから12時間後、マウスを全身プレチスモグラフチャンバー(BUXCO Electronics, Sharon CT, USA)に置き、300mMメタコリンを与える。メタコリン曝露後に気道の抵抗性を測定する。免疫組織学的評価は、マウスを安楽死させた後、肺切片において行う。
【0739】
A77-HGを与えられたマウスは、対照HG抗体を与えられたマウスと比較して、反応亢進性の低下を示す。
【0740】
このことは、ヒンジレスIgG
4分子が、非架橋性の一価かつ非活性化性であり、従ってこのような不活性な抗体が望ましい治療目的において、例えばFcαRIを通じた炎症反応の阻害において有用であることを示す。
【0741】
実施例56
ヒンジレスIgG4 cMet(cMet-HG)を用いたコンセプト証明実験
受容体チロシンキナーゼ-cMetは、様々な上皮細胞において顕著に発現される。胚形成時、cMetおよび肝細胞増殖因子/細胞分散因子(HGF/SF)は、上皮細胞、筋内皮、ならびに神経系および造血系の適当な組織へと導く組織特異的な分化に関与する。異常なcMetのシグナル伝達は、腫瘍形成、特に侵襲性および転移性の腫瘍の発生に関与する。cMet活性の亢進の結果として、腫瘍細胞はその成長速度を増加させ、アポトーシスに対して抵抗性を得ることで、成長および/または生存上の優位性を獲得する。さらに、cMetの活性化は、細胞骨格の再編成およびインテグリンの活性化、ならびに細胞外マトリクスの分解に関与するタンパク質分解系の活性化をもたらし、侵襲能および転移能を亢進する。従って、HGF/SF-cMetのシグナル伝達の阻害は、悪性腫瘍の処置における重要な治療経路である。
【0742】
Kong-Beltranらは、Cancer Cell(2004年第6版、75〜84ページ)において、cMetの細胞外ドメインに対して抗体(5D5)を惹起し、HGFの結合を阻害した。抗Met 5D5のFabフラグメントは、HGF誘導性のcMetのリン酸化、細胞の運動性、移動、および腫瘍の成長を阻害することが示された。同著者らは、抗cMet-5D5-Fabが立体的妨害により受容体の二量体化をブロックするという仮説をたてた。
【0743】
MAb C6は、ヒトcMetに対するヒトIgG1モノクローナル抗体(mAb)であり、高い親和性でH441細胞に結合することができ、cMetのリン酸化を活性化し、DU-145の分散を誘導し、ELISAにおいてHGFがcMetに結合するのをブロックする。このmAbから、Fabフラグメント(cMet-Fab)、IgG4変種体(cMet-IgG4)、およびヒンジレス変種体も作製した(cMet-HG)。
【0744】
cMetに対するヒンジレスIgG4(cMet-HG)を用いる実証実験において、この一価抗体は、HGFの結合、受容体の二量体化/活性化、細胞の分散、および下流へのシグナル伝達を阻害した。本実験は、全てのIgGサブクラスを含むポリクローナルヒトIgG調製物である静脈内免疫グロブリン(IVIG)を添加しておよびこれを添加せずに、ならびにrHGFを用いておよびこれを用いずに行った。
【0745】
DU-145分散アッセイ
DU-145(ヒト前立腺癌細胞株、ATCC HTB-81)細胞を、DMEM+(500ml MEM Dulbecco(DMEM-Medium、グルコース4.5g/ml、NaHCO3含有、グルタミン非含有、Sigma、D-6546)、50ml Cosmic Calf Serum(Hyclone SH30087.03)、5mlの200mM/L L-グルタミン(Bio Whittatker, BE17-605F)、5mlピルビン酸ナトリウム(Bio Whittaker BE13-115E)、5mlペニシリン/ストレプトマイシン(Bio Whittaker DE17-603E)含有)中で培養し、付着性のクラスター細胞を成長させた。rhHGF(Sigma, H-1404)の添加によって、細胞の移動を誘導し、これにより単一細胞を得た。このプロセスを分散法(scattering)と呼んだ。分散の誘導または阻害は、顕微鏡で観察した。
第一日:cMet、cMet-HG、cMet-Fab、cMet-IgG4(30/3.0/0.3/0.03μg/ml)を、IVIG、6mg/mlを添加しておよびこれを添加せずに一晩インキュベートした。DU145細胞を接種し(T75培養フラスコ由来の付着細胞)、細胞培養上清を取り除き、細胞を10ml PBSで一回洗浄し、2mlチロシン/EDTAを加え(37℃)、細胞を37℃で1〜2分間インキュベートした。この細胞を、タッピング法によって培養フラスコ表面から収集し、保存しておいた培養上清を用いてチロシン/EDTA反応を停止させた。この細胞を計数し、新鮮な培地を用いて1
*10
4細胞/mlの懸濁物を調製し、50μl/ウェルを96ウェルプレート(Sterile flat bottom Costar, 3596)にプレーティングした(最終密度1000細胞/ウェル)。細胞を、インキュベーター内で、37℃、5% CO
2下で15〜24時間培養した。
第二日:培地を新鮮な培地、40μl/ウェルに交換した。40μlのプレインキュベートした抗体を細胞に添加し、細胞をインキュベーター内で37℃で60分間インキュベートした後、40μl/ウェルの培地または60ng/ml rh-HGFを加えた(最終濃度は10/1.0/0.1/0.01μg/ml Ab、2mg/ml IVIG、20ng/ml HGFであった)。細胞を少なくとも24時間インキュベートした。
第三日および第四日:分散は、24時間または48時間後に、二重盲検下で、顕微鏡により観察した。分散の形態学的特徴:細胞は表面から剥離し、紡錘状の形態(移動)を示し、大部分はクラスターに含まれない単一細胞であった。
抗体によるrh-HGF誘導性の分散の阻害の等級
3 細胞は最大限に分散した
2 小規模の分散の阻害
1 分散の阻害
0 分散なし
【0746】
本実験において、IVIGと共にプレインキュベートしたC6-HGは、HGF誘導性の分散を有意にブロックした。
【0747】
cMet受容体のリン酸化
A549細胞を、Ham's F12培地で培養し、cMetは正常な培養条件下でリン酸化されなかった。HGFによる活性化によって、cMet受容体はリン酸化状態になる。IVIGのプレインキュベーションを行ったcMetをブロックするcMet-FabまたはcMet-HGを適用することにより、HGF媒介性の受容体のリン酸化が阻害された。
第一日:cMet-IgG1、cMet-HG(12.5μg/ml)を、IVIG、2.5mg/mlを添加しておよびこれを添加せずに一晩インキュベートした。A549細胞(1
*10
6/ウェル)を6ウェルプレートにて培養した。
第二日:培地(500ml Ham's F12(Bio Whittaker BE12-615F)、50ml Cosmic Calf Serum(Hyclone SH30087.03)、5mlの200mM/L L-グルタミン(Bio Whittatker, BE17-605F)、5mlペニシリン/ストレプトマイシン(Bio Whittaker, DE17-603E)含有)を取り除き、800μlのプレインキュベートした抗体を細胞に添加し、細胞をそれと共にインキュベーター内で37℃で15分間インキュベートした後、200μl/ウェルの培地または80ng/ml rh-HGFを加えた。(最終濃度は10μg/ml Ab、2mg/ml IVIG、16ng/ml HGFであった)。さらに15分間インキュベートした後、インキュベーション培地を取り除き、細胞を氷冷PBSで二回洗浄し、250μl RIPA溶解緩衝液(50mM Tris、pH7.5、0.5%デオキシコール酸Na、および0.1%ノニデットP40、150mM NaCl、0.1% SDS、2mMバナジン酸、ならびにComplete(プロテアーゼ阻害剤、Roche 1836170)含有)を加え、プレートを4℃で10分間穏やかに回転させた。その溶解産物を事前に冷やしておいたチューブ(エッペンドルフ)に移し、4℃で30分間、高速で遠心分離を行った。DNAを除去し、フラクションをBCAタンパク質含有量分析(Pierce)の測定に使用した後、溶解産物をN
2下で瞬間凍結させた。溶解産物は、ウェスタンブロットにより分析するまで-80℃で保存した。標準的な手順に従い、10μgの還元型サンプルを、4〜20% Tris-HCl Criterion Precastゲル(Biorad 345-0033)上での電気泳動およびニトロセルロースメンブレン(Biorad 162-0114)上でのウェスタンブロットに供した。メンブレンを、ローラーバンクにおいてブロッキング溶液(TBST(Tris-HCL 20mM pH7.5、NaCl 150mM、0.1% Tween 20)中に5%のBSA(Roche, 10735086)含有)を用いて室温で1.5時間ブロックした。このメンブレンを、1:1000希釈の抗ホスホ-Met(pYpYpY 1230 1234 1235)-ウサギIgG(Abcam, ab5662)と共に4℃で一晩インキュベートした。TBSTで6回洗浄した後、二次抗体、ヤギ抗ウサギHRP, Cell Signalling, 7074(1:2000)を含むブロッキング試薬を、ローラーバンクにおいて室温で60分間インキュベートした。メンブレンをTBSTで6回洗浄した。最後に、Luminol Echancerストップソリューション(Pierce 1856145)を用いてバンドを現像し、Lumiimagerで分析した。IVIGと共にプレインキュベートしたcMet-HGは、この受容体のHGF媒介性のリン酸化を阻害する。
【0748】
図22
DU-145細胞を培養し、(A)cMet-Fab、cMet-FabおよびIVIG、cMet-FabおよびHGF、cMet-FabおよびIVIGおよびHGF(B)cMet-HG、cMet-HGおよびIVIG、cMet-HGおよびHGF、cMet-HGおよびIVIGおよびHGFの連続希釈物と共にインキュベートした。分散は、48時間後に、二重盲検下(14名による記録)で、顕微鏡により観察し、平均スコア±SEMをプロットしている。IVIGを加えたまたは加えていないcMet-Fab(A)およびIVIGと共にプレインキュベートしたcMet-HG(B)は、HGF誘導性の分散を用量依存的に有意にブロックした。
【0749】
図23
DU-145細胞を培養し、10μg/mlの(A)cMet-Fab、cMet-FabおよびIVIG、cMet-FabおよびHGF、cMet-FabおよびIVIGおよびHGF(B)cMet-HG、cMet-HGおよびIVIG、cMet-HGおよびHGF、cMet-HGおよびIVIGおよびHGFと共にインキュベートした。分散は、48時間後に、二重盲検下(14名による記録)で、顕微鏡により観察した。IVIGを加えたまたは加えていないcMet-FabおよびIVIGと共にプレインキュベートしたcMet-HGは、HGF誘導性の分散を有意に阻害した。統計分析のために、仮の中央値3(最大分散)を用いて両側ウイルコクソン符号付き順位和検定を行った。
【0750】
図24
cMet-HG(レーン1)、cMet-HGおよびIVIG(レーン2)、cMet-HGおよびHGF(レーン3)、cMet-HG、IVIG、およびHGF(レーン4)、cMet-IgG1(レーン5)、cMet-IgG1およびIVIG(レーン6)、と共にインキュベートしたA549細胞から調製した抽出物を、4〜20% Tris-HCl Criterion Precastゲル上でのSDS-PAGEおよびニトロセルロースメンブレン上でのウェスタンブロットによって分離した。このメンブレンを、抗ホスホ-Met(pYpYpY 1230 1234 1235)-ウサギIgG(Abcam, ab5662)と共に4℃で一晩インキュベートした。TBSTで洗浄した後、二次抗体、ヤギ抗ウサギHRP, Cell Signalling, 7074を含むブロッキング試薬を、ローラーバンクにおいて室温で60分間インキュベートした。このメンブレンをTBSTで6回洗浄した。最後に、Luminol Echancerストップソリューションを用いてバンドを現像し、Lumiimagerで分析した。ウェスタンブロットは、ホスホ-Met(pYpYpY 1230 1234 1235)を示す169Kdのバンドを示している。
【0751】
実施例57
上皮成長因子受容体(EGFr)を標的化するIgG4ヒンジレス変異抗体のインビトロ評価:結合アビディティおよび抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の誘導
本実験においては、上皮成長因子受容体(EGFr)を標的化するIgG4ヒンジレス変異抗体であるmAb 2F8-HGを、2F8-IgG4、2F8-IgG1、および2F8-Fabと称する、それぞれ、IgG4バージョン、IgG1バージョン、およびFabフラグメントと比較した。このインビトロ評価は、ELISAにおけるEGFrに対する結合のアビディティおよびADCCの誘導を含むものであった。
【0752】
ELISA
結合親和性は、精製されたEGF-R(Sigma, St Louis, MO)、50ng/ウェルで96ウェルMicrolon ELISAプレート(Greiner, Germany)をコーティングしたELISAを用いて決定した。プレートを、0.05% Tween 20および2%ニワトリ血清を補充したPBSでブロックした。その後、100μg/mlのポリクローナルヒトIgG(静脈内免疫グロブリン、IVIG、Sanquin Netherlands)を含有する緩衝液に連続希釈したサンプルを加え、室温(RT)で一時間インキュベートした。その後、プレートを、検出抗体としてのペルオキシダーゼ結合型ウサギ抗ヒトカッパ軽鎖(DAKO, Glostrup, Denmark)と共にインキュベートし、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS; Roche, Mannheim, Germany)で現像した。マイクロプレートリーダー(Biotek, Winooski, VT)において、405nmの吸光度を測定した。
【0753】
図16は、2F8-HGおよび2F8-Fabの結合曲線が重ねる合わせることができ、IgG1およびIgG4の結合曲線に対して明らかに右側にシフトしていることを示している。このEGFrコートに対するアビディティの違いは、IVIGの存在下で2F8-HGが、ちょうどFabフラグメントと同じ様に一価的に結合するという考えと一致するものである。
【0754】
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)
腫瘍細胞のエフェクター細胞依存的な溶解を誘導する能力を、クロム51(
51Cr)放出アッセイにおいて評価した。標的A431細胞(2〜5×106細胞)を、37℃で1時間の震盪条件下で100μCi Na
251CrO
4(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)で標識した。細胞をPBSで三回洗浄し、これを培地に1×10
5細胞/mlとなるよう再懸濁した。標識した細胞を96ウェルプレートに分配し(5×10
3、50μl/ウェル中)し、20μg/ml〜0.02ng/ml(終濃度)の範囲のmAbの培地への10倍連続希釈物50μlと共にプレインキュベート(RT、30分間)した。自然発生的な
51Crの放出を決定するために培地を抗体の代わりに加え、最大
51Cr放出を決定するためにtriton X100(1%終濃度)を加えた。その後、PBMCをウェルに加え(5×10
5/ウェル)、細胞を37℃で一晩インキュベートした。次の日、ガンマカウンターにおける1分間あたりのカウント数(cpm)を決定することによる
51Cr放出の測定のために、上清を収集した。細胞の細胞傷害性の割合は、次式を用いて算出した:
比溶解率(%)=(実験放出値(cpm)-自然発生的な放出(cpm))/(最大放出(cpm)-自然発生的な放出(cpm))×100
式中の最大
51Cr放出は標的細胞にtriton X-100を添加することによって決定し、自然発生的な放出は感作した抗体およびエフェクター細胞の非存在下で測定した。
【0755】
図17は、2F8-HGが、2F8-IgG4と同様にADCCを誘導せず、一方2F8-IgG1はこの局面において非常に強力であることを示している。
【0756】
実施例58
AlgoNomics社のEpibase(登録商標)プラットフォームをIgG4定常ヒンジレス一価抗体に適用した。手短に説明すると、このプラットフォームは、標的配列由来の全ての潜在的な10マーペプチドのHLA結合特異性を分析するものである(Desmet et al. 1992, 1997, 2002, 2005)。プロファイリングは、20のDRB1、7のDRB3/4/5、14のDQ、および7のDPについて、すなわち合計48のHLAクラスII受容体についてアロタイプレベルで行われる。
【0757】
Epibase(登録商標)は、48のHLAクラスII受容体の各々についてのペプチドの結合の自由エネルギーの量的概算値ΔGbindを算出する。その後、これらのデータは、以下のようにさらに処理され:ペプチドは強(S)バインダー、中(M)バインダー、弱および非(N)バインダーに分類される。
【0758】
IgG4ヒンジレス一価抗体の定常領域において、強結合エピトープは発見されず、中結合エピトープは1つのみ発見された。この単一のネオエピトープは、中のDRB1*0407バインダーを構成するものであった。DRB1*0407は、カフカス人集団の2%未満に存在する少数派のアロタイプである。さらに、中強度の単一のエピトープというのは、免疫原性が最低の抗体であっても総エピトープカウントにおいて重要とならない。
【0759】
結論として、ヒンジレス一価IgG4抗体は、免疫原性である可能性が非常に低いことが予測される。
【0760】
実施例59
ユニボディ-CD4について示された実施例59および60において使用した研究背景および材料
CD4に対するヒトモノクローナル抗体(HuMax-CD4)がHIV-1感染を阻害する能力を検討するため、インビトロおよびインビボ実験を行った。この抗体は、CD4のドメイン1に対する抗体であり、CD4のHIV-1 gp120結合部位と重複している。
【0761】
本実施例(59)は、抗CD4抗体のFabフラグメントが、様々な初代単離体およびT細胞株適応型HIVウイルスによるCD4-CCR5細胞またはCD4-CXCR4細胞への感染を阻害することを示す。阻害のIC50値は、sCD4および細胞結合型CD4へのHuMax-CD4の結合のEC50値の範囲内であり(データは示さず)、このことから阻害機構としてCD4に結合するHIV-1エンベロープの阻害が示唆される。一般的に、HuMax-CD4のFabフラグメントは、Fabと全長抗体の間のアビディティの違いから予測されるように、全長抗体よりも10倍低い効率で阻害する。
【0762】
実施例60は、HuMax-CD4で処置したマウスにおいて、IgG対照処置グループよりも小幅のCD4/CD8比較比の下降が観察されることを示しており、このことは、HuMax-CD4が、HIV-1によるCD4陽性細胞の枯渇を予防することを示している。さらに、HuMax-CD4処置は、時間内に血中のHIV-1 RNAコピー数の減少をもたらすが、IgG対照処置はこの減少を誘導しない。このインビトロデータは、抗CD4抗体が、HIV-1誘導性のCD4枯渇を予防し、HIV感染およびウイルス量の規模を縮小させることを示している。
【0763】
Norrisらは、IgG4サブクラスの全長抗CD4(ドメイン2)抗体を用いるHIV-1感染者の処置に関する発表を行った。
・ 有効性結果は、主なエンドポイント(第24週)で有意な抗ウイルス活性を実証した。
・ TNX-355を与えた患者における第48週の結果から持続的反応が示唆された。
・ TNX-355 10mg/kg+OBRは、HIV-RNAに関して、第48週において基準からの0.96 log 10の減少を実証し、一方プラセボ+OBRについては0.14 log 10の減少であった(p<0.001)。
・ TNX-355 15mg/kg+OBRは、HIV-RNAに関して、第48週において基準からの0.71 log 10の減少を実証し、一方プラセボ+OBRについては0.14 log 10の減少であった(p=0.009)。
・ TNX-355+OBR処置は、第48週のCD4+細胞に関して、10mg/kgアーム(+48細胞、p=0.031)および15mg/kg(+51細胞、p=0.016)アームの両方において、プラセボの増加(+1細胞)に対して統計的に有意かつ臨床的に有意義な増加を示した。
【0764】
文献
【0765】
HUMAX-CD4全長抗体およびHUMAX-CD4抗体のFABフラグメントによるインビトロHIV-1中和
本法は、Zwick et al 2001に詳細に記載されている。要約すると、抗体によるウイルスの中和の程度をルシフェラーゼ活性により測定した。一回の複製にコンピテントなウイルスを、適当なウイルス構築物を含む改良型pSVIIIenvベクター(例えば、初代単離体:JR-CSF、JR-FL、SF162、ADA、YU2、89.6、US143、およびT細胞株適応型ウイルス:IIIB)およびpNL4-3.lec.R-E-の共トランスフェクションによって作製した。ウイルスを、様々な量の抗体と共にプレインキュベートし、その後、約100,000カウントを生じるよう測定された量をU87.CD4.CCR5細胞(初代単離体)またはCD4-CXCR4細胞(IIIBの場合)に添加し、3日間培養した。このウェルを洗浄し、ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬と共にインキュベートし、溶解産物を不透明なアッセイプレートを移し、ルミノメーターにおいてルシフェラーゼアッセイ試薬を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。HuMax-CD4およびHuMax-CD4のFabフラグメントを中和について試験した。
【0766】
記載される方法に従い、ウイルス構築物YU2、IIIB、ADA、89.6、US143、JR-FL、JR-CSF、およびSF 162を、ルシフェラーゼアッセイ発現系を用いるインビトロ中和アッセイに使用した。HIV-1 IIIBは、T細胞株適応型ウイルスであり、他の全てのウイルスは、HIV-1の初代単離体である。HuMax-CD4抗体およびHuMax-CD4抗体のFabフラグメントを、1:2希釈で添加し、反応を
図25に示される濃度で開始した。
図27において、4パラメータロジスティック分析によりフィットさせた曲線をHuMax-CD4抗体およびHuMax-CD4抗体のFabフラグメントについて示し、
図25においては、これらのフィットから算出されたIC50を示す。これらのデータは、HuMax-CD4抗体が試験した全てのウイルスの感染を阻害し、全体としてそのFabフラグメントよりも10倍高い効果を有していたことを示している(YU2およびJR-CSFは例外)。HuMax-CD4のsCD4に対する結合についてのEC50は、約0.3〜1nMであることが決定された。阻害のIC50値はこれらのEC50値の範囲内にあり、このことはHuMax-CD4による受容体の占拠が感染の阻害の程度に関係することを示している。
【0767】
本発明者らの実験は、抗CD4抗体の一価結合(すなわちFabフラグメント)による、CXCR4およびCCR5の両方のHIV-1補助受容体発現細胞のHIV-1感染の効果的な阻害についての原理の証明を提供する。これは、同様の阻害がHG抗CD4抗体によって達成できることの証拠を提供するものである。
【0768】
実施例60
HIV感染のインビボhu-PBMC SCIDマウスモデルにおけるCD4+ T細胞枯渇の予防
本実験の手順は、Poignard et al 1999に詳細に記載されている。要約すると、CB-17 SCIDマウスを、約25×10
6個の正常ヒトPBMC(末梢血単核球)で再構成した。約2週間後、この動物にHIV-1(HIV-1
JR-CSF)を注射した。三日後、この動物を、1mg/ml HuMax-CD4もしくはヒトIgGアイソタイプ対照抗体で、腹腔内から送達して処置するか、または処置を行わない。血液サンプルは、注射から1時間後、6時間後、1日後、2日後、3日後、6日後、9日後、13日後、および15日後に採取し、二週間後にこの動物を安楽死させてFACS分析を行い、ヒト細胞の%(H2Kd-PEおよびヒトCD3-APCを用いて)およびCD4/CD8比(CD4-PEおよびCD8-APCの二重染色を用いて)を決定した。さらに、血漿ウイルス量を、定量Roche RT PCRアッセイによりHIV-1 RNAレベルを測定することによって測定した。さらに、直接的なsCD4結合ELISA(sCD4をプレートにコーティング、および抗Fcポリクローナル抗体による検出)によって、血漿中のHuMax-CD4の濃度を決定した。
【0769】
図28には、この動物の血漿レベルが示されている。HuMax-CD4の注射は、高いHuMax-CD4の血漿濃度をもたらし、これは15日目にあってもなお100μg/mlを超えるものであったことが結論付けられた。未処置マウスは、バックグラウンドを超える測定可能な値を示さなかった。
【0770】
図26には、実験の最後にマウスから収集した細胞数が示されている。このデータは、HIV-1感染が、CD4/CD8比の低下により示されるように、CD4陽性T細胞の著しい低下をもたらしたことを示している。このことは、CD4陽性T細胞が、HIV-1によって血液から迅速に枯渇され、一方非感染マウスにおいては一定レベルで保たれることを示している。HuMax-CD4でip処置したマウスは、CD4/CD8比の低下がずっと小さく、これはHuMax-CD4がHIV-1によるCD4陽性細胞の枯渇に対する予防を提供することを示している。
図29には、時間内の血液1mlあたりのHIV-1 RNAコピー数が示されており、これらのデータは、HuMax-CD4処置が、時間内に血液中のHIV-1 RNAコピーの量を減少させるが、アイソタイプ対照抗体は減少させなかったことを示している。
【0771】
本発明者らの実験は、インビボでのHIV-1感染時のCD4細胞の枯渇に対する予防についての原理の証明を提供する。この枯渇に対する予防は、全長抗CD4抗体それ自体がCD4枯渇特性を有するにもかかわらず観察される。このことは、一価の非枯渇性抗CD4抗体、例えば抗CD4 HG抗体による処置によって、HIV-1誘導性のT細胞枯渇に対するより強力な予防が獲得できることを示している。抗CD4 HGによるHIV-1の中和およびCD4枯渇に対する予防についての原理の証明は、同様の実験設定で得ることができる。このことは、長いインビボ半減期を示すHuMax-CD4 HGがHIV-1感染およびHIV-1のウイルス量を阻害し、CD4陽性細胞の枯渇を予防できるという証拠を提供する。
【0772】
結果のまとめ
実施例において示されたデータは、ヒンジエクソンのスプライスドナー部位を破壊することによるヒンジレスIgG4抗体の発現によりヒンジレスIgG4半分子(1つの重鎖および1つの軽鎖の組み合わせ)が得られることを示している。IgG4ヒンジレス半分子の存在は、非還元条件下でのSDS-PAGE、質量分析、サイズ排除クロマトグラフィ、および放射免疫アッセイにおける架橋能力の欠如により確認される。ヒンジレス抗体は、天然型のIgG1およびIgG4抗体分子と同じ抗原結合特異性を保持する。このことは、異なる特異性を有する二つのヒンジレス抗体、7D8-HG(B細胞抗原CD20特異的)およびBetv1-HG(樺花粉抗原Bet v 1特異的)について示されている。7D8-HGのC1q結合は認められず、微量の補体依存性細胞傷害性(ADCC)のみが観察される(天然型の7D8-IgG4抗体と同等)。ヒンジレス半分子の一価性は、Betv1-HGを用いて架橋実験において示されている。IgG1およびIgG
4は両方ともセファロース結合型Bet v 1と放射標識Bet v 1の架橋を示すが、ヒンジレス分子Betv1-HGは架橋することができない。
【0773】
7D8-HGの半減期は、マウス薬物動態(PK)実験においてインビボで評価され、7D8-IgG4と比較されている。7D8-HGは、このモデルにおいて、正常なIgG4よりも2〜3倍速いクリアランスを有するが、6日間という半減期は、IgG F(ab')2フラグメントについて報告されている1日未満の半減期よりも好ましい。本発明者らは、この好ましいPKプロフィールが、非架橋性、一価性、かつ非補体活性化性の抗体を必要とする治療適用においてIgG4ヒンジレス抗体が有益であるゆえんであるとの結論に至った。
【0774】
配列表
SEQ ID NO: 1:ヒトIgGのC
Lカッパの核酸配列
SEQ ID NO: 2:ヒトIgGのC
Lカッパのアミノ酸配列
SEQ ID NO: 3:ヒトIgGのC
Lラムダの核酸配列
SEQ ID NO: 4:ヒトIgGのC
Lラムダのアミノ酸配列
SEQ ID NO: 5:HuMab-7D8のV
Hの核酸配列
SEQ ID NO: 6:HuMab-7D8のV
Hのアミノ酸配列
SEQ ID NO: 7:マウス抗Betv-1のV
Hの核酸配列
SEQ ID NO: 8:マウス抗Betv-1のV
Hのアミノ酸配列
SEQ ID NO: 9:HuMab-7D8のV
Lの核酸配列
SEQ ID NO: 10:HuMab-7D8のV
Lのアミノ酸配列
SEQ ID NO: 11:マウス抗Betv-1のV
Lの核酸配列
SEQ ID NO: 12:マウス抗Betv-1のV
Lのアミノ酸配列
SEQ ID NO: 13:ヒトIgG4の野生型C
H領域の核酸配列
SEQ ID NO: 14:ヒトIgG4の野生型C
H領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO: 15:714位および722位を変異させたヒトIgG4(SEQ ID NO: 13)のC
H領域をコードする核酸配列
SEQ ID NO: 16:ヒトIgG4のヒンジレスC
H領域のアミノ酸配列
SEQ ID NO: 17:ヒト定常ラムダ鎖のアミノ酸配列(アクセッション番号S25751)
SEQ ID NO: 18:ヒト定常カッパ鎖のアミノ酸配列(アクセッション番号P01834)
SEQ ID NO: 19:IgG1定常領域のアミノ酸配列(アクセッション番号P01857)
SEQ ID NO: 20:IgG2定常領域のアミノ酸配列(アクセッション番号P01859)
SEQ ID NO: 21:IgG3定常領域のアミノ酸配列(アクセッション番号A23511)