(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342012
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】熱可塑性プリプレグの製造方法及びそれにより製造された熱可塑性プリプレグ
(51)【国際特許分類】
B29B 11/16 20060101AFI20180604BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20180604BHJP
B32B 37/06 20060101ALI20180604BHJP
B29K 101/12 20060101ALN20180604BHJP
【FI】
B29B11/16
B32B5/28 Z
B32B37/06
B29K101:12
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-560988(P2016-560988)
(86)(22)【出願日】2015年4月7日
(65)【公表番号】特表2017-519054(P2017-519054A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】KR2015003442
(87)【国際公開番号】WO2015156564
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0041604
(32)【優先日】2014年4月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516194930
【氏名又は名称】コロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ ジソン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ウンジョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ジュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】カン チュンソク
【審査官】
大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−091814(JP,A)
【文献】
特開平07−016835(JP,A)
【文献】
特開平06−091817(JP,A)
【文献】
特開平06−091815(JP,A)
【文献】
特開平06−286067(JP,A)
【文献】
特開平06−287328(JP,A)
【文献】
特開平04−163003(JP,A)
【文献】
特開昭63−289034(JP,A)
【文献】
特開平07−195361(JP,A)
【文献】
特開平04−219213(JP,A)
【文献】
特開2012−192645(JP,A)
【文献】
特開平01−198635(JP,A)
【文献】
特開2005−238596(JP,A)
【文献】
特開2008−031222(JP,A)
【文献】
特開2007−157965(JP,A)
【文献】
プラスチック成形加工データブック(第2版),日本,日本工業新聞社,2002年 1月28日,初版1刷,p.2−p.3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16;15/08−15/14
C08J 5/04−5/10;5/24
B29C 70/00−70/88
B32B 1/00−43/00
B29C 43/00−43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性プリプレグの製造方法であって、該方法は、
繊維基材の少なくとも一面上に結晶化度が1〜20%である熱可塑性樹脂フィルムを積層した後、熱可塑性樹脂フィルムの融点より高い温度に加熱して加圧し、
前記加圧は、熱可塑性樹脂フィルムの融点より30〜100℃高い温度で、20〜130kg/cmの圧力で加圧し、前記熱可塑性プリプレグの単位面積当たりの重量変化率を1〜7%としたことを特徴とする熱可塑性プリプレグの製造方法。
【請求項2】
熱可塑性樹脂フィルムの結晶化度が3〜12%であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
【請求項3】
熱可塑性樹脂フィルムの厚さが3〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
【請求項4】
熱可塑性樹脂フィルムの厚さが7〜65μmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
【請求項5】
繊維基材:熱可塑性樹脂フィルムの重量比を40〜90重量%:10〜60重量%に調節することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂フィルムはポリアミド樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン樹脂フィルム、ポリラクチド樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂フィルムとポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルムの中から選択された1種であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性プリプレグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性プリプレグの製造方法及びそれにより製造された熱可塑性プリプレグに関するものであり、より詳細には繊維基材(Matrix)内に熱可塑性樹脂が均一に含浸されており、加圧により繊維基材内の繊維の配列が任意に変形されないので、成形品の物性改善や薄膜化が可能な熱可塑性プリプレグの製造方法及びそれにより製造された熱可塑性プリプレグに関するものである。
【0002】
プリプレグ(prepreg)は繊維基材内に熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が含浸された素材であって、様々な製品の成形材料として使用している。
【背景技術】
【0003】
プリプレグを製造する従来技術としては、繊維基材内にエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させて熱硬化性プリプレグを製造する方法が広く使用されてきた。
【0004】
前記従来の方法は熱硬化性樹脂が、その含浸温度である80℃〜100℃付近で粘度が低いので含浸作業が容易である利点はある。しかし、熱硬化性樹脂の特性上、硬化後にリサイクルが不可能であり、熱硬化性プリプレグの保管期間が短い問題があった。
【0005】
このような問題点を解決するためのもう一つの従来技術として、繊維基材内に熱可塑性樹脂を含浸させて熱可塑性プリプレグを製造する方法も使用されてきた。
【0006】
しかし、前記従来の方法は熱可塑性樹脂の高粘度特性のため、これを繊維基材に含浸するためには200℃以上の高温で熱処理する必要があり、これにより、高温処理時タール(Tarr)の発生が多く、べとつき現象も発生してプリプレグの品質が低下し、高温処理時にも熱可塑性樹脂の粘度が比較的高いため、繊維基材内に均一に含浸しにくくなる。そのため、プリプレグ内の空隙率が高くなって、十分な性能を発現できないという問題点があった。
【0007】
このようないくつかの問題点にもかかわらず、熱可塑性プリプレグはリサイクル(Recycle)が可能であり、成形時の硬化サイクル(Cycle)が10分以内と非常に短いので、大量生産に有利な利点を有しており、継続的な研究開発が進められている。
【0008】
熱可塑性プリプレグを製造する具体的な従来技術として、パウダー(Powder)の方法、モノマー(Monomer)方法、コミングル(Co−mingle)方法、及び押出(Extrusion)方法などが知られている。
【0009】
モノマーの方法は粘性が低い熱可塑性樹脂モノマーを繊維基材との間に均一に含浸させた後、架橋剤を投入して硬化させる方法である。最近、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド6などの熱可塑性樹脂が含浸された熱可塑性プリプレグが提案されている。しかし、5〜30分の短い硬化時間のため、ポリマー分子量が大きくなく、熱可塑性樹脂の利点を十分に生かせないようになり、物性値が低下する。しかし、繊維基材の強度が高く、比較的高い樹脂重量の均一度及び短い成形時間などの利点を活用して使用範囲が広くなっている。
【0010】
コミングル方法は繊維基材とポリプロピレンのような熱可塑性繊維を互いに均一に混ぜてプリプレグを製造する方法である。しかし、繊維基材と熱可塑性繊維のコミングルの段階で、モジュラスが高い繊維基材の元糸の一部が壊れるなどの元糸の損傷が大きくなる。これはプリプレグ製品の性能低下に直結すると共に、用途が限定的であるなどの多くの問題点がある。
【0011】
押出方法は熱可塑性樹脂を溶融/吐出して繊維基材上に直接塗布した後、ホットローラ(Hot Roller)を用いて含浸させる方法である。しかし、熱可塑性樹脂は粘度が高く、200℃以上の高温で熱硬化性樹脂と同様の粘度を有する。特に熱可塑性樹脂は200℃以上の高温を必要とし、高温での酸化反応によるタール(Tarr)の発生が多く、べとつき現象もあるため、高品質のプリプレグを製造するにあたって困難が多い。特に高粘度によってプリプレグの繊維基材の内部に均一に含浸することが難しく、空隙率が高いため十分な性能を発揮することが難しいなどの問題がある。特に熱可塑性樹脂の含有量が50%以上の比較的高い樹脂の含有量を示すこともやはり、高性能の熱可塑性プリプレグを開発するに限界がある。
【0012】
熱可塑性プリプレグを製造するもう一つの従来技術として、特許文献1では繊維基材の少なくとも一面にメルトフローインデックスが低く含浸性に優れた樹脂フィルムとメルトフローインデックスが高く機械的物性に優れた樹脂フィルムを順に供給した後、これを加熱および加圧して熱可塑性プリプレグを製造する方法を提案している。しかし、前記方法ではメルトフローインデックスが互いに異なる2種の熱可塑性樹脂フィルムを順に供給して用いるため、製造工程が複雑になり、熱可塑性樹脂フィルムの結晶化度が高いため、繊維基材に熱可塑性樹脂が均一に含浸されにくく、加圧工程中に繊維基材内の繊維の配列が意図していない形態に変形されて物性が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】韓国特許公開第2014−0005409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は繊維基材(Matrix fiber)内に熱可塑性樹脂を均一に含浸させて高品質の熱可塑性プリプレグを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述のような課題を達成するために、本発明では繊維基材の少なくとも一面上に結晶化度が1〜20%である熱可塑性樹脂フィルムを積層した後、熱可塑性樹脂フィルムの融点より高い温度に加熱、加圧して熱可塑性プリプレグを製造する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は繊維基材内に熱可塑性樹脂を均一に含浸させて高品質の熱可塑性プリプレグを製造することができ、少量の熱可塑性樹脂フィルムを用いるのでリサイクルが可能であり、成形時の硬化サイクルが短く、加圧時にも繊維基材内に含浸される熱可塑性樹脂の結晶化度が低いため、繊維基材内の繊維の配列が任意に変形されないので、成形品の剛性を高めることができる共に、薄板化も可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る熱可塑性プリプレグの製造方法は、繊維基材の少なくとも一面上に結晶化度が1〜20%である熱可塑性樹脂フィルムを積層させた後、熱可塑性樹脂フィルムの融点より高い温度に加熱して加圧することを特徴とする。
【0019】
前記熱可塑性樹脂フィルムの結晶化度は1〜20%であり、好ましくは3〜12%である。結晶化度が1%未満の場合は、熱可塑性フィルムの吐出速度と巻取速度の差がないので、冷却や巻き取りに多くの問題点が発生する。また、結晶化度が20%を超えると、熱可塑性樹脂フィルムに熱が伝達される場合、高結晶延伸部分で熱収縮現象が早く発生して繊維基材内に熱可塑性樹脂が不均一に含浸される現象が発生する。
【0020】
前記結晶化度は次のような方法で測定した値である。
【0021】
<熱可塑性樹脂フィルムの結晶化度測定法>
熱可塑性樹脂フィルム5mgを試料としてアルミファンに採取し、示差走査熱量計を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で、室温から260℃まで10℃/分で昇温(1次ラン(run))して10分間保持した後、続けて20℃まで10℃/分の速度で冷却して5分間保持した。その後、さらに10℃/分で昇温(2次ラン)した時に観測される融解ピークについて融点(Tm)±10℃の温度領域に存在する融解を非結晶融解ピークにし、ガラス温度(Tc)で観察される領域を結晶融解ピークにして、高温側の平坦部を基準としたベースラインとピークに取り囲まれた領域の面積から融点での熱容量(△Hm)とガラス温度(Tc)での熱容量(△Hc)を求め、100%結晶化された熱可塑性樹脂フィルムの理論的熱容量値(△Hm、Zero)を求めた後、次の計算式で結晶化度を計算した。
【0022】
結晶化度(%)=[△Hm−△Hc]/△Hm、zero×100
△Hm:融点(Tm)での熱容量
△Hc:ガラス温度(Tc)での熱容量
△Hm、zero:100%結晶化された熱可塑性樹脂フィルムの理論熱容量
前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さは3〜100μm、好ましくは7〜65μmであることがよい。前記厚さが100μmを超えると、熱可塑性樹脂フィルムの表面と繊維基材の表面との接触部分で熱可塑性樹脂フィルムが均一に溶融されないため、繊維基材内に熱可塑性樹脂が均一に含浸されにくくなる。また、前記厚さが3μm未満の場合には、小さな外力でも熱可塑性樹脂フィルムが破れやすくなって、工程性が低下する恐れがある。
【0023】
本発明は繊維基材の少なくとも一面上に前記熱可塑性樹脂フィルムを積層させた後、これを熱可塑性樹脂フィルムの融点より30〜100℃高い温度に加熱して流動性を与えた後、10〜150kg/cmの圧力で加圧処理することが好ましい。
【0024】
加熱温度および/または圧力が前記範囲より低い場合は、繊維基材内に熱可塑性樹脂が十分に含浸されない恐れがあり、圧力が前記範囲より高い場合は、繊維基材の一部が破裂して熱可塑性プリプレグの物性が低下する恐れがある。また、温度が前記範囲より高い場合は、熱可塑性樹脂が酸化されて物性が低下する恐れがあるため、好ましくない。
【0025】
前記繊維基材:熱可塑性樹脂フィルムの重量比を40〜90重量%:10〜60重量%に調節する場合、工程性を改善し、繊維基材内に熱可塑性樹脂が均一に含浸されるようにするので好ましい。
【0026】
熱可塑性樹脂フィルムの重量比が60重量%を超えると、厚さが非常に厚くなって熱可塑性樹脂フィルムの表面と繊維基材の表面との接触部分で熱可塑性樹脂フィルムが均一に溶融されず、繊維基材内に熱可塑性樹脂が均一に含浸されにくくなる。なお、熱可塑性樹脂フィルムの重量比が10重量%未満である場合は、厚さが非常に薄くなり、小さな外力でも熱可塑性樹脂フィルムが破れやすくなって、工程性が低下する恐れがある。
【0027】
前記熱可塑性樹脂フィルムはポリアミド樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、熱可塑性ポリウレタン樹脂フィルム、ポリラクチド樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂フィルム、テフロン樹脂フィルムまたはポリエーテルエーテルケトンフィルムなどである。
【0028】
本発明の方法で製造した熱可塑性プリプレグは繊維基材内に熱可塑性樹脂が均一に含浸されて単位面積当たりの重量変化率が低い。
【0029】
熱可塑性プリプレグの単位面積当たりの重量変化率は、熱可塑性プリプレグから、同じ単位面積を有する試料10個を採取した後、前記試料10個の平均重量(W0)を求める。次に、試料のうち、重量が前記平均重量に比べて最大の差を示す試料の重量(W1)を下記式(I)または(II)に代入して計算する。
【0031】
本発明の方法で製造した熱可塑性プリプレグは、繊維基材内に熱可塑性樹脂が含浸された構造を有し、熱可塑性樹脂の含有量が熱可塑性プリプレグの総重量対比10〜60重量%である。
【0032】
以下、実施例及び比較実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。しかし、下記の実施例は本発明の一つの具現例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0033】
[実施例1]
炭素繊維織物(繊維基材)の上面に結晶化度が4%であり、厚さが10μmであるポリエステル樹脂フィルムを積層させた後、ポリエステル樹脂フィルムの温度が300℃になるように加熱した。次に、20kg/cmの圧力で加圧して熱可塑性プリプレグを製造した。
【0034】
この時、前記炭素繊維織物:前記ポリエステル樹脂フィルムの重量比を85重量%:15重量%に調節した。
【0035】
製造された熱可塑性プリプレグの単位面積当たりの重量変化率は3%であった。これから、炭素繊維織物内にポリエステル樹脂が均一に含浸されたことが分かった。
【0036】
また、製造された熱可塑性プリプレグを構成する炭素繊維織物(繊維基材)の間の層間接着力が55.4Mpaで優れた。
【0037】
[実施例2]
アラミド繊維(繊維基材)の上面に結晶化度が8%であり、厚さが50μmであるポリエチレン樹脂フィルムを積層させた後、ポリエチレン樹脂フィルムの温度が200℃になるように加熱した。次に、80kg/cmの圧力で加熱加圧して、熱可塑性プリプレグを製造した。
【0038】
この時、前記アラミド織物:前記ポリエチレン樹脂フィルムの重量比を70重量%:30重量%に調節した。
【0039】
製造された熱可塑性プリプレグの単位面積当たりの重量変化率は3%であった。これから、アラミド織物内にポリエチレン樹脂が均一に含浸されたことが分かった。
また、製造された熱可塑性プリプレグを構成するアラミド繊維(繊維基材)の間の層間接着力が62.8Mpaで優れた。
【0040】
[実施例3]
炭素繊維不織布(繊維基材)の上面に結晶化度が19%であり、厚さが90μmであるポリアミド6樹脂フィルムを積層させた後、ポリアミド6樹脂フィルムの温度が260℃になるように加熱した。次に、130kg/cmの圧力で加圧して熱可塑性プリプレグを製造した。
【0041】
この時、前記炭素繊維不織布:前記ポリアミド6樹脂フィルムの重量比を45重量%:55重量%に調節した。
【0042】
製造された熱可塑性プリプレグの単位面積当たりの重量変化率は5%であった。これから、炭素繊維不織布内にポリアミド6樹脂が均一に含浸されたことが分かった。
【0043】
また、製造された熱可塑性プリプレグを構成する炭素繊維不織布(繊維基材)の間の層間接着力が50.4Mpaで優れた。
【0044】
[比較実施例1]
炭素繊維織物(繊維基材)の上面に結晶化度が30%であり、厚さが10μmであるポリエステル樹脂フィルムを積層させた後、ポリエステル樹脂フィルムが320℃になるように加熱した。次に、20kg/cmの圧力で加圧して熱可塑性プリプレグを製造した。
【0045】
この時、前記炭素繊維織物:前記ポリエステル樹脂フィルムの重量比を30重量%:70重量%に調節した。
【0046】
製造された熱可塑性プリプレグの単位面積当たりの重量変化率は18%であった。これから、炭素繊維織物内にポリエステル樹脂が不均一に含浸されたことが分かった。
【0047】
また、製造された熱可塑性プリプレグを構成する炭素繊維織物(繊維基材)の間の層間接着力が35.8Mpaで低かった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の方法で製造した熱可塑性プリプレグは、繊維強化複合材料で構成されたヘルメット用素材や自動車部品用素材などに利用することができる。