特許第6342018号(P6342018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6342018特に燃料圧送システムのためのユニット及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342018
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】特に燃料圧送システムのためのユニット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/44 20060101AFI20180604BHJP
   F02M 55/02 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   F02M59/44 Z
   F02M59/44 A
   F02M55/02 330A
   F02M55/02 330D
   F02M59/44 N
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-570188(P2016-570188)
(86)(22)【出願日】2015年9月15日
(65)【公表番号】特表2017-508102(P2017-508102A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】EP2015071111
(87)【国際公開番号】WO2016041973
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】102014218512.2
(32)【優先日】2014年9月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス エレンベアク
(72)【発明者】
【氏名】アイク ハイネマン
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ライズィンガー
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02388470(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0054139(US,A1)
【文献】 特表2011−513646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 59/44
F02M 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(5)と、該ケーシング(5)に溶接プロセスを用いて固定する高圧接続部(3)とを有する、特に自動車用燃料圧送システムのためのユニット(1)であって、
前記ケーシング(5)は、接続開口(2)を有する壁(9)を備え、
前記高圧接続部(3)は、長手方向中心軸線(13)に沿って、当該高圧接続部(3)内に、特に当該高圧接続部(3)を貫通して延びる切抜き部(15)を周面において画成する壁(17)を有し、
前記高圧接続部(3)は、ケーシング接続領域(4)と、中間領域(6)と、前記ケーシング接続領域(4)と前記中間領域(6)との間に形成された移行領域(37)と、を有しており、前記長手方向中心軸線(13)に対して垂直な横断面で見ると、前記ケーシング接続領域(4)における前記高圧接続部(3)の外側輪郭、特に外径は、前記中間領域(6)における外側輪郭よりも大きくなっており、且つ前記長手方向中心軸線(13)に対して垂直な横断面で見ると、前記ケーシング接続領域(4)における内側輪郭、特に内径は、前記中間領域(6)における内側輪郭よりも大きくなっており、
前記ケーシング(5)の前記壁(9)は、その外側において、周方向に沿って、特に周方向に閉じられて、前記接続開口(2)の周りに延在する切欠き(10)を画成しており、前記ケーシング接続領域(4)は、前記切欠き(10)に部分的に又は完全に侵入して前記ケーシング(5)を接続するために適した、突出した領域(7)を有しており、
前記ケーシング接続領域(4)の前記壁(17)の、特に前記移行領域(37)に隣接する内側に、半径方向くぼみ(32)が形成されており、
前記移行領域(37)の前記壁(17)の、特に前記中間領域(6)に隣接する外側に、軸方向くぼみ(31)が形成されている
ことを特徴とするユニット(1)。
【請求項2】
ケーシング(5)と、該ケーシング(5)に溶接プロセスを用いて固定する高圧接続部(3)とを有する、特に自動車用燃料圧送システムのためのユニット(1)であって、
前記ケーシング(5)は、接続開口(2)を有する壁(9)を備え、
前記高圧接続部(3)は、長手方向中心軸線(13)に沿って、当該高圧接続部(3)内に、特に当該高圧接続部(3)を貫通して延びる切抜き部(15)を周面において画成する壁(17)を有し、
前記高圧接続部(3)は、ケーシング接続領域(4)と、中間領域(6)と、前記ケーシング接続領域(4)と前記中間領域(6)との間に形成された移行領域(37)と、を有しており、前記長手方向中心軸線(13)に対して垂直な横断面で見ると、前記ケーシング接続領域(4)における前記高圧接続部(3)の外側輪郭、特に外径は、前記中間領域(6)における外側輪郭よりも大きくなっており、且つ前記長手方向中心軸線(13)に対して垂直な横断面で見ると、前記ケーシング接続領域(4)における内側輪郭、特に内径は、前記中間領域(6)における内側輪郭よりも大きくなっており、
前記高圧接続部(3)の前記壁(17)は、前記ケーシング(5)に面した外側において、周方向に沿って、特に周方向に閉じられて、前記切抜き部(15)の周りに延在する切欠き(10)を画成しており、前記ケーシング(5)の前記壁(9)は、前記切欠き(10)に部分的に又は完全に侵入して前記高圧接続部(3)を接続するために適した、突出した領域(7)を有しており、
前記ケーシング接続領域(4)の前記壁(17)の、特に前記移行領域(37)に隣接する内側に、半径方向くぼみ(32)が形成されており、
前記移行領域(37)の前記壁(17)の、特に前記中間領域(6)に隣接する外側に、軸方向くぼみ(31)が形成されている
ことを特徴とするユニット(1)。
【請求項3】
前記高圧接続部(3)は、回転対称的に形成されている、請求項1又は2記載のユニット(1)。
【請求項4】
前記軸方向くぼみ(31)は、前記中心軸線(13)を通る横断面で見て、前記壁(17)の外側(18)から始まる湾曲部(12)と、該湾曲部(12)に続いて前記移行領域(37)の前記壁(17)の外側(18)に通じる直線(14)と、を有する周囲輪郭を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項5】
前記半径方向くぼみ(32)は、前記中心軸線(13)を通る横断面において、周囲に、特に連続する、丸み付けられた輪郭(16)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項6】
軸方向の投影図において、前記半径方向くぼみ(32)は、前記軸方向くぼみ(31)の半径方向外側に位置しており、及び/又は前記半径方向くぼみ(32)は、前記突出した領域(7)に隣接しており、及び/又は前記中心軸線(13)に対して平行な方向において、前記軸方向くぼみ(31)は、前記ケーシング(5)の前記壁(9)の、前記高圧接続部(3)に面した表面から、前記半径方向くぼみ(32)よりも大きく離間されており、前記突出した領域(7)が周方向に沿って延在する前記切欠き(10)に挿入されている場合に、前記半径方向くぼみ(32)は、前記壁(9)の表面と境を接している、請求項1から5までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項7】
前記突出した領域(7)の外側(18)は、該突出した領域(7)の長手方向自由端部(20)に向かって、特に円錐状に先細になっており、特に、この場所における前記突出した領域(7)の外側表面(21)は、前記中心軸線(13)を通る横断面で見て、該中心軸線(13)の仮想延長線と共に、10〜80度の範囲内にある、請求項1から6までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項8】
前記壁(9)に設けられた、周方向に沿って延在する前記切欠き(10)は、溝(22)として形成されており、該溝(22)によって形成された環状室は、その外側が溝底部に向かって、特に円錐状に先細になっている、請求項1から7までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項9】
前記溝(22)の外側を画成している前記ケーシング(5)の前記壁(9)の表面(23)は、前記中心軸線(13)を通る横断面で見て、該中心軸線(13)の延長線と共に、前記突出した領域(7)の外側表面(21)が前記中心軸線(13)の延長線と共に成す角度(α)と符号及び絶対値が等しい角度(β)を成しており、前記両表面(21,23)は、同じ直径間隔で延在している、請求項8記載のユニット(1)。
【請求項10】
前記突出した領域(7)の外面と、周方向に沿って延在する前記切欠き(10)の外側との間の円錐状の接触領域(24)の、前記ケーシング(5)から導き出される幾何学的な延長線が、前記ケーシング(5)と幾何学的に交わらない、請求項1から9までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項11】
前記突出した領域(7)は、その内面に円筒状の表面(26)を有しており、周方向に沿って延在する前記切欠き(10)は、前記壁(9)に溝(22)として形成されると共に、その内側は、前記壁(9)の円筒状の表面(27)に隣接しており、これら2つの円筒状の表面(26,27)は、同じ又はほぼ同じ直径を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項12】
前記突出した領域(7)の輪郭と、周方向に沿って延在する前記ケーシング(5)の前記壁(9)の前記切欠き(10)の輪郭とは、前記中心軸線(13)を通る横断面に関して、前記突出した領域(7)が、周方向に沿って延在する前記切欠き(10)に完全に又は部分的に挿入可能であるか、又は挿入されているように、互いに合わされており、その結果、前記突出した領域(7)は、その外側の表面(21)でもって前記切欠き(10)の前記壁(9)の外側の表面(23)に面状に接触すると共に、その内側の表面(26)でもって前記切欠き(10)の前記壁(9)の内側の表面(27)に面状に接触するようになっている、請求項1から11までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項13】
前記突出した領域(7)が、周方向に沿って延在する前記切欠き(10)に最大限に挿入された場合、該切欠き(10)内に、前記突出した領域(7)の長手方向自由端部(20)に境を接する中空室が残される、請求項1から12までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項14】
前記突出した領域(7)の内面は、該突出した領域(7)の長手方向自由端部(20)に向かって、特に円錐状に広がっており、前記突出した領域(7)の内側の表面(26)は、前記中心軸線(13)を通る横断面で見て、前記中心軸線(13)と共に、10〜40度の範囲内にある、請求項1から13までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項15】
周方向に沿って延在する前記切欠き(10)は、前記壁(9)に溝(22)として形成されており、該切欠き(10)の内側は、前記中心軸線(13)を通る横断面において前記中心軸線(13)に対して平行に延びるか、又は前記溝(22)によって形成された環状室を、前記中心軸線(13)と共に、前記突出した領域(7)の円錐状の拡張部の内側表面が前記中心軸線(13)と共に成す角度の値よりも小さな値の角度を成すことで、溝底部に向かって特に円錐状に先細にさせる、溝開口を起点とする前記壁(9)の表面(29)と境を接している、請求項1から14までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項16】
前記溝開口が内側に有している直径(d)は、前記突出した領域(7)の内側の表面(26)が延在する直径間隔内に位置している、請求項15記載のユニット(1)。
【請求項17】
前記突出した領域(7)は、周方向に沿って延在する前記壁(9)の前記切欠き(10)に部分的に差し込まれており、前記突出した領域(7)の内側の表面(26)は、前記溝開口の半径方向内側の縁部(30)に支持されており、前記突出した領域(7)の外側の表面(21)と、周方向に沿って延在する前記壁(9)の前記切欠き(10)の外側の表面(23)の形状付与は、これらの各表面(21,23)が、前記のように支持されている間は接触し合わないように互いに調整されており、特に、前記各表面(21,23)は、前記中心軸線(13)を通る横断面で見ると、前記中心軸線(13)と共に、それぞれ異なる角度を成している、請求項15または16記載のユニット(1)。
【請求項18】
前記ケーシング(5)と前記高圧接続部(3)とは、コンデンサ放電溶接装置のコンデンサに接続されている、請求項1から17までのいずれか1項記載のユニット(1)。
【請求項19】
燃料圧送システム用のユニット(1)の製造方法であって、
請求項1から18までのいずれか1項記載のユニット(1)を用意するステップと、
前記ケーシング(5)と前記高圧接続部(3)とを配置して、前記突出した領域(7)を完全に又は部分的に、周方向に沿って延在する前記切欠き(10)に侵入させると共に、該切欠き(10)が周方向に沿って延在している壁に接触させるステップと、
前記突出した領域(7)と、前記切欠き(10)が周方向に沿って延在している壁とを、溶接を用いて材料接続的に結合し、前記高圧接続部(3)と前記ケーシング(5)との間に固定された状態を生ぜしめるステップと、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項20】
請求項1から18までのいずれか1項記載のユニット(1)を用意し、ビーム溶接、特に電子ビーム溶接又はレーザビーム溶接によって材料接続的な結合を実施し、溶接ビームを、前記中心軸線(13)を通る横断面に関して外側から、特に直線的な延長線において、前記高圧接続部(3)と、前記切欠き(10)が周方向に沿って延在している前記壁(9)との間の接触接合面(33)に向ける、請求項19記載の方法。
【請求項21】
請求項1から18までのいずれか1項記載のユニット(1)を用意し、コンデンサ放電溶接装置を用意し且つ前記高圧接続部(3)と前記ケーシング(5)とに接続し、コンデンサ放電溶接により、前記壁(9)の溝開口と、前記突出した領域(7)の内側の表面(26)との間の接触領域を起点として、材料接続的な結合を実施する、請求項19記載の方法。
【請求項22】
請求項19から21までのいずれか1項記載の方法により製造された、前記高圧接続部(3)が溶接されたケーシング(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好適には自動車用燃料圧送システムのためのユニットであって、ケーシングと、ケーシングに溶接プロセスを用いて固定する高圧接続部とを備え、ケーシングは、接続開口を有する壁を備え、高圧接続部は、長手方向中心軸線に沿って、高圧接続部内に、好適には高圧接続部を貫通して延びる切抜き部を周面に画成する壁を有しているユニットに関する。好適には、ケーシングは、例えば燃料ポンプのポンプケーシングであってよい。
【背景技術】
【0002】
従来技術において公知のこのようなユニットは、図7に概略的に示されており、これに関する以下の説明にも関係する。ケーシング正面は、高圧接続部とケーシングとの間の分離接合面を形成しており、この分離接合面は、溶接結合部を形成するために外部から自由にアプローチすることができる。溶接(電子ビーム/レーザビーム)によってポンプケーシングに固く結合された高圧接続部は、高圧接続部内に生じるポンプ高圧によって発生した力または応力によって、溶接シームの内部と隣接部とに、機械的な高負荷が加わることになる。このときに生じる、増大する引張応力のピークは、高圧接続部の構造及び寸法設定が不都合な場合、特に動的負荷が加わる溶接シーム(全体又は部分)の欠陥につながる恐れがある。溶接シームには、他方ではシールの機能があるので、上記のような事態は、結果として燃料の流出と、これに関連する安全上の問題とを招く恐れがあり、回避せねばならない。生じる機械的応力のレベルは、運転時に中空の内部に発生する(外部を支配する圧力との比較における)過剰圧力のレベルに左右されると共に、軸方向の投影図で見て、高圧接続部の切抜き部または貫通開口内の、運転圧が作用する表面積の大きさに左右される。特に、高圧接続部の内部において、ケーシングに面した、上記のような投影された軸方向表面積が、ケーシングとは反対の側の投影された軸方向表面積よりも大きいと、高圧接続部とケーシングとの間の結合部に高い応力が発生することになる。よって、最適であると仮定された1つの構造において、投影される軸方向面積の最小化、並びに応力に適した運転強度を有する構造によって、溶接シームに作用する荷重を最小化することが試みられている。このことから、従来技術において公知の高圧接続部(図7参照)では、高圧接続部の中心軸線に対して垂直方向または半径方向のビーム方向でもって、外部から中心軸線に向かって、結合されるべき2つの構成部材の接触線に沿って、ビーム溶接(例えば電子ビーム又はレーザビーム)により、環状の溶接シームが形成されている。これにより、溶接時の侵入深さを最大化できるので、圧力の内部負荷に基づき生じる軸方向の機械的応力をも、(溶接シームがより浅い場合に比べて)減少させることができる。しかしながら、実際には、図7に示す構成に基づき存在する、要求に応じた、接触領域に対する外側からの良好なアプローチ性は、常に存在しているわけではない。特に、(例えばより高い圧力を得るため又はコストを最小化するための)ポンプ全体の組立てに関する要求は、図7に示されたビーム方向をもはや保持できない構造を招くことがある。それというのも、周方向の全ての位置には溶接機が到達し得なくなるからである。更に、高圧接続部の結合に溶接プロセス及び好適にはビーム溶接を使用できるようにするために、ケーシング接続領域の幾何学形状を変更することが試みられた。但し、この場合は、特定の幾何学的な比率に注意せねばならない。要求に応じた構造上取り得る変更の枠内では、高圧接続部において投影される軸方向の内側表面積も拡大し、延いては圧力内部負荷によって生ぜしめられる、特に軸方向の力と、溶接シームに生じる荷重も増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような背景において、本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式のユニットを有利に改良することである。特に、これによって上述した制約や欠点を可能な限り回避することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明は、冒頭で述べたユニットの改良を提案する。高圧接続部は、ケーシング接続領域と、中間領域と、ケーシング接続領域と中間領域との間に配置された移行領域とを有しており、長手方向中心軸線に対して垂直な横断面で見ると、ケーシング接続領域において高圧接続部の外側輪郭、特に外径は、中間領域におけるよりも大きくなっており、且つ長手方向中心軸線に対して垂直な横断面で見ると、ケーシング接続領域において内側輪郭、特に内径は、中間領域におけるよりも大きくなっている。好適には、請求項1記載の第1の可能性として、ケーシングの壁は、(ケーシングに対して)外側において、周方向に沿って、好適には周方向に閉じられて、接続開口の周りに延在する切欠きを画成しており、ケーシング接続領域は、切欠きに部分的に又は完全に侵入してケーシングを接続する溶接シームを形成するために適した、突出した領域を有している。代替的に、本発明は、請求項2記載の第2の可能性として、高圧接続部の壁は、ケーシングに面した外側において、周方向に沿って、特に周方向に閉じられて、切抜き部の周りに延在する切欠きを画成しており、ケーシングの壁は、切欠きに部分的に又は完全に侵入して高圧接続部を接続するために適した、突出した領域を有していることを提案する。請求項1及び請求項2において、本発明は、特に移行領域に隣接するケーシング接続領域の壁の内側に、半径方向くぼみが形成されており、特に中間領域に隣接する移行領域の壁の外側に、軸方向くぼみが形成されていることを更に提案する。
【0005】
溶接結合の分野の本発明によって提案される、突出した領域と、この突出した領域に面した結合パートナーの壁に形成された切欠きとの組合せは、有利には、接続領域が所望の溶接法に適していると共にアプローチ可能でもあるように、要求に応じて接続領域を形成する可能性を提供する。これは、難しい構造条件下でも、高圧接続部を結合するために引き続き溶接プロセスを使用することができるようにする。これに組み合わせて本発明は、高圧接続部の壁の第1の領域に、軸方向くぼみ(軸方向、つまり中心軸線に対して平行な方向のくぼみ)が形成されており、第2の領域に、半径方向くぼみ(つまり中心軸線に対して垂直または半径方向のアンダカット)が形成されていることを提案する。意外にも、複数のアンダカットのこのような組合せは、アンダカットは有さないがその他の点では請求項に記載のユニットに等しいユニットに比べて、高圧接続部とケーシングとの間の溶接結合部に作用する機械的応力を著しく減少させるために適していることが出願人によって発見された。つまり、(例えば溶接シームのアプローチ性を改善するために)望ましいケーシング接続領域の構成自体によって、荷重に関してはより一層不都合な状況が発生し得る場合でさえ、半径方向くぼみと軸方向くぼみとを組み合わせることにより、溶接領域に作用する機械的応力の低下につながる有利な作用が生じるので、上記のような場合でも、確実な溶接結合が可能になる。本発明による、軸方向くぼみと半径方向くぼみとの組合せは、運転中に高圧接続部に所定の運転圧が形成されると、最初から応力分散を展開させる。この応力分散は、アンダカットを有さない従来の高圧接続部との比較において、溶接シームに対してより小さな応力が作用することを意味する。その代わりに、アンダカットの組合せを有さない従来の高圧接続部に比べると、アンダカットに隣接する壁領域には、比較的高い応力が負荷される。よって、従来の高圧接続部と本発明による高圧接続部とを比べると、比較的異なる応力分散手段が形成されている。つまり、比喩的に言うと、本発明による高圧接続部では、従来の高圧接続部を起点として、応力が溶接シームから、従来の高圧接続部ではあまり高い負荷がかからない他の領域へと「移動」させられる。これにより、溶接シームの動的強度が保証されると同時に、ポンプ全体の構造及び製造/組立てにおける、より高度なフレキシビリティを実現することができる。つまり、本発明は、所定の溶接のための接続部の幾何学形状とアプローチ性に関しても、溶接接合部に生じる機械的応力に関しても、最適化された幾何学形状を可能にする。更に、構成に応じて、半径方向くぼみは軸方向くぼみとの組合せにおいて、限定的な可撓性を壁に生ぜしめ、これにより高い内部圧力が生じると、壁は形状及び範囲に関して予め決められたように、つまり規定されたように変形し、構成に応じて、高圧接続部の特定の壁領域が、比喩的な意味で一種のジョイントのように反応し、その結果、溶接シームにはより小さな応力が生じると共に、壁が変形しなければ低い負荷が加わるに過ぎない他の領域には、比較的高い応力が生じることになる、という可能性が生じる。この点において、2つのアンダカットの組合せは、両アンダカット無しの構成形態に比べ、溶接シームから、機械的応力を、比喩的な言葉で言うと「離反させるように導く」ことができるようになっている。これにより、高圧接続部を結合する際の取付けプロセスまたは溶接プロセスのより高度なフレキシビリティが、比較的複雑な取付け条件でも可能になる。つまり、本発明は、増大する幾何学的及び機械的な要求の下でも廉価な溶接結合を可能にする。本発明は、ポンプケーシングに関してのみ使用可能なわけではない。例えば、カムシャフト調節用の弁、工業施設、建設機械等の高圧領域に設けられるサーボ弁における、高圧弁ケーシングでの使用も考えられる。以下で説明するように、本発明は、高圧接続部の中心軸線と、溶接入射方向または結合面との間の90°未満の角度を許容する、最適化された構造をも可能にする。これは、例えば張設フランジの接続用にポンプケーシングに設けられるカラー等の、ケーシングに対する取付け部材が、高圧接続部の中心軸線に対して90°のビーム角度での、分割接合面に対する溶接ヘッドのアプローチ性を妨げる場合に、有利でありうる。つまり、本発明は、例えば45°で延在する接続部幾何学形状によっても、応力が最適化された高圧接続部を実現可能にする。溶接シームにおいて応力負荷が比較的低下することに基づき、溶接シームの寿命が延びると共に、漏れの危険が低下しうる。
【0006】
第1の態様において、本発明は、ケーシングと高圧接続部とを有する、これらのコンポーネントがまだ互いに溶接されていない状態の上記ユニットに関する。別の態様において、本発明は、このようなユニットから出発して溶接によって製造される、高圧接続部がケーシングに不動に取り付けられた上記各コンポーネントの組合せに関する。
【0007】
上記中心軸線は、高圧接続部の切抜き部の長手方向中心を通る、無限の長さの幾何学的なまたは仮想の直線である。以下の説明において角度関係を説明する場合、一部では中心軸線の幾何学的な延長線という用語が用いられる。しかしまた、これに代えて、中心軸線に無限の長さを対応させる場合には直接、中心軸線と言うこともある。軸方向くぼみ(一般的にくぼみと言うこともある)と半径方向くぼみとは、それぞれアンダカットを形成しているが、本明細書では、意味的には、技術的な規則における定義に対応した寸法及び寸法比率に縛られるものではない。軸方向くぼみは、軸方向の、つまり中心軸線に対して平行な方向のアンダカットを形成している。半径方向くぼみは、中心軸線に対して垂直または半径方向のアンダカットを形成している。半径方向くぼみの代わりに、アンダカットと言ってもよい。好適には、半径方向くぼみは、中心軸線に対して平行な方向に関して、突出した領域の内側と移行領域との間に位置していてよい。好適には、突出した領域は、高圧接続部のケーシング接続領域に形成されていてもよく、好適には中心軸線を中心として周方向に沿って、好適には周方向に閉じられて延在していてもよい。中間領域では、ケーシング接続領域とは反対の側の長手方向端部に、例えば取付け部、管路又は別の接続パートナーを接続するための接続領域が接続していてよい。
【0008】
好適な改良については、多数の別の可能性が存在する。
【0009】
好適には、高圧接続部は回転対称的に形成されている。このことは、内側にも外側にも当てはまる。好適には、高圧接続部はスリーブとして、又はスリーブ状の構成部材として形成されていてよい。
【0010】
1つの好適な実施例において、軸方向くぼみは、中心軸線を通る横断面で見て、中間領域に位置する壁の外側から始まる湾曲部と、この湾曲部に続いて移行領域の壁の外側に通じる直線とを有する周囲輪郭を有している。湾曲部において、壁の外側表面は、有利には、横断面に対して凹状に湾曲しており、好適には均一な、又はほぼ均一な曲率半径を有している。
【0011】
軸方向の(つまり中心軸線に対して平行な)投影図において、半径方向くぼみは、軸方向くぼみの半径方向外側に位置している可能性がある。半径方向くぼみは、突出した領域に隣接していてよい。中心軸線に対して平行な方向において、軸方向くぼみは、ケーシング壁の、高圧接続部に面した表面から、半径方向くぼみよりも大きく離間している可能性がある。1つの実施例において、突出した領域が周方向に沿って延在する切欠きに挿入されている場合、半径方向くぼみは、壁の表面と境を接している。
【0012】
突出した領域の外側は、この突出した領域の長手方向自由端部に向かって、特に円錐状に先細になっている可能性があり、特に、この場所における突出した領域の外側表面は、中心軸線を通る横断面で見て、中心軸線の仮想延長線と共に、10〜80度の範囲内、特に30〜60度の範囲内、特に40〜50度の範囲内にあり、特に45度である角度を成している。
【0013】
本発明によるユニットは、特にビーム溶接(例えば電子ビーム又はレーザビーム)を用いてケーシングと高圧接続部とを結合する特別な適性に関して好適な特徴によって、有利に改良することができる。
【0014】
例えば、壁に設けられた、周方向に沿って延在する切欠きは、溝として形成されており、この溝により形成された環状室は、その外側が溝底部に向かって、特に円錐状に先細りしている可能性がある。1つの好適な実施例では、溝の外側を画成しているケーシング壁の表面は、中心軸線を通る横断面で見て中心軸線(の延長線)と共に、突出した領域の外側表面が中心軸線(の延長線)と共に成す角度と符号及び絶対値が等しい角度を成しており、両表面は、同じ直径間隔で延在している。
【0015】
突出した領域の外面と周方向に沿って延在する切欠きの外側との間の円錐状の接触領域の、ケーシングから導出される幾何学的な延長線が、ケーシングと幾何学的に交わらないということは、有利であると考えられる。これは、ビーム溶接装置に関する周方向のアプローチ性を支援するものである。上記両表面は、中心軸線に対して平行な投影図で見ると、完全に又は部分的に重なり合っていてよい。両表面の接触領域の外縁部は、外部から見ることのできる、これから形成されるべき溶接シームのための延在部を示している。突出した領域は、その内面に円筒状の表面を有しており、周方向に沿って延在する切欠きは、壁に溝として形成されていると共に、その内側は、壁の円筒状の表面に隣接している。これら2つの円筒状の表面は、同じ又はほぼ同じ直径を有している可能性があり、これはセンタリングを可能にする。
【0016】
突出した領域の輪郭と、周方向に沿って延在するケーシング壁の切欠きの輪郭とは、中心軸線を通る横断面に関して、突出した領域が、周方向に沿って延在する切欠きに完全に又は部分的に挿入可能であるか又は挿入されるように、互いに合わされている可能性がある。その結果、突出した領域は、その外側の表面でもって切欠きの壁の外側の表面に面状に接触すると共に、その内側の表面でもって切欠きの壁の内側の表面に面状に接触することになる。これは、センタリング作用の獲得と安定した支持の助けとなる。
【0017】
ビーム方向は、好適には接合方向の延長上に位置していてよい。このことは、有利には溶接時の侵入深さの最大化を可能にする。これにより、溶接シーム横断面に作用する応力が、比較的小さな溶接シーム横断面における応力よりも低くなることになる。
【0018】
好適には、突出した領域が、周方向に沿って延在する切欠きに最大限に挿入された場合、このために互いに合わされた、突出した領域の横断面幾何学形状と切欠きの横断面幾何学形状とに基づいて、切欠き内には、突出した領域の長手方向自由端部に境を接する中空室が残される。有利には、特に周方向に沿った、このような環状の中空室によって、溶接スパッタを、切欠きの底部に延在する中空室内で捕捉することができる。これにより、溶接スパッタが高圧弁の内部に達する恐れはなくなる。よって、例えばインジェクタ等の後続のコンポーネントも、汚染物質から効果的に防護される。
【0019】
特定の好適な特徴により、本発明によるユニットは、特に抵抗溶接法の使用に関して有利に改良することができる。
【0020】
これは、半径方向外側から形成される溶接シームに比べ、溶接シームを更に半径方向内側に形成することを可能にする。ユニットの運転中に、ユニットの中空の内部に作用する過剰圧力が、溶接シームの外側で高圧接続部とケーシングとに作用することはないので、半径方向に見て比較的大幅に内側に位置する溶接シームによって、有利には、高圧接続部とケーシングの、運転中に圧力負荷される、内部中空室に隣接する表面積の縮小を実現することができる。これにより、軸方向の、つまり中心軸線に対して平行に見た、圧力負荷される投影面も全体的に縮小することができ、これもやはり、溶接シームに作用する機械的応力の減少につながる。このことは特に、ユニット内部に特に高い圧力が生じる運転条件に関して有利でありうる。本発明によるユニットの好適な改良については、特にコンデンサ放電溶接用に最適化する観点で、とりわけ以下の可能性が考えられる。
【0021】
1つの好適な実施例では、突出した領域の内面は、この突出した領域の長手方向自由端部に向かって、特に円錐状に広がっており、突出した領域の内側の表面は、中心軸線を通る横断面で見て、中心軸線と共に所定の角度を成しており、角度の値は10〜40度の範囲内であり、特に30度である。周方向に沿って延在する切欠きは、壁に溝として形成されており、切欠きの内側は、中心軸線を通る横断面において中心軸線に対して平行に延びるか、又は、中心軸線と共に、突出した領域の円錐状の拡張部の内側表面が中心軸線と共に成す角度の値よりも小さな値の角度を成すことで、溝によって形成された環状室を溝底部に向かって特に円錐状に先細にさせる、溝開口を起点とする壁の表面と境を接している可能性がある。好適には、溝開口が内側に有している直径は、突出した領域の内側の表面が延在する直径間隔内に位置している。
【0022】
突出した領域が、周方向に沿って延在する壁の切欠きに部分的に差し込まれていることは有利であると考えられる。この場合、突出した領域の内側の表面は、溝開口の半径方向内側の縁部に支持されており、突出した領域の外側の表面と、周方向に沿って延在する壁の切欠きの外側の表面の形状付与は、これらの各表面が上記のように支持されている間は接触し合わないように、互いに調整されており、特に、これらの各表面は、中心軸線を通る横断面で見ると、中心軸線と共に、それぞれ異なる角度を成している。このことは、溶接プロセスの開始時に、突出した領域の半径方向外側の表面と、切欠きの半径方向外側の表面との間にクリアランスを設けることを可能にするので、最初に望ましくない電流分路が回避されるようになっている。コンデンサ放電溶接を実施するために、ケーシングと高圧接続部とが、コンデンサ放電溶接装置のコンデンサに接続されている可能性がある。コンデンサ放電溶接は、増大する幾何学的及び機械的要求の下でも、廉価な溶接結合部を実現すると共に保持することを可能にする。本発明により、更に、例えばポンプ全体の組立てに関して付加的なフレキシビリティが得られる。それというのも、溶接シームに対する外部からのアプローチ性はもはや無くてもよいからである。
【0023】
例えばカムシャフト調節用の弁、工業施設、建設機械等の高圧領域に設けられるサーボ弁における、高圧弁ケーシングでの使用も考えられる。一般に、コンデンサ放電溶接により形成可能な全ての高圧吐出部が考慮される。コンデンサ放電溶接は、導電性があり溶接可能な材料を前提とする。
【0024】
本発明の思想を一般化したものとして、環状縁部をケーシング又は高圧接続部に設け、縁部において、コンデンサ放電溶接プロセスのための接触圧力を生ぜしめる可能性がある。
【0025】
本発明は、燃料圧送システム用ユニットの製造方法にも関する。
【0026】
この点において、冒頭で述べた従来技術を起点とする本発明の根底には、有利な方法を提供するという課題がある。特に、これによって、上述した従来技術に生じる制約や欠点を部分的に又は最大限に回避することを目標とする。
【0027】
解決手段として本発明は、当該方法が少なくとも以下の方法ステップ、即ち、上述した特徴のうちの単独の又は複数の特徴を有するユニットを用意するステップと、ケーシングと高圧接続部とを配置して、突出した領域を完全に又は部分的に、周方向に沿って延在する壁の切欠きに侵入させると共に、切欠きが周方向に沿って延在している壁に接触させるステップと、突出した領域と、切欠きが周方向に沿って延在している壁とを、溶接を用いて少なくとも1つの溶接シームを形成して材料接続的に結合し、高圧接続部とケーシングとの間に固定された状態を生ぜしめるステップと、を含むことを提案する。
【0028】
当該方法の好適な改良については、多数の可能性がある。
【0029】
好適には、材料接続的な結合は、ビーム溶接、特に電子ビーム溶接又はレーザビーム溶接によって実施され、溶接ビームは、中心軸線を通る横断面に関して外側から、特に直線的な延長において、高圧接続部と、切欠きが周方向に沿って延在している壁との間の接触接合面に向けられる。代替的に、コンデンサ放電溶接装置を用意し、且つ高圧接続部とケーシングとに接続し、コンデンサ放電溶接によって、壁の溝開口と、突出した領域の内側の表面との間の接触領域を起点として材料接続的な結合を実施する可能性がある。
【0030】
最後に、本発明は、本発明によるユニット及び/又は本発明による方法により製造された、高圧接続部が溶接されたケーシングにも関する。
【0031】
別の態様において、本発明は、高圧接続部とケーシングとを有する、自動車用燃料圧送システムのためのユニットにも関する。高圧接続部とケーシングのうちの一方は、突出した領域を有しており、且つ他方は、切欠きを画成する壁を有しており、突出した領域と壁とは、溶接プロセスにより溶接シームを形成して互いに固定可能であり、高圧接続部は、それぞれ所定の幾何学形状を有する第1の領域と第2の領域とを有しており、高圧接続部とケーシングとが固定された状態において、燃料圧送システムの運転中に高圧接続部内に生じる高圧によって発生させられた力が、溶接シームから離れて移動させられるようになっている。
【0032】
好適な改良については、多数の可能性がある。
【0033】
高圧接続部は中心軸線を有しており、この中心軸線に対して、突出した領域と壁とは、それぞれ傾斜した側面を有しており、突出した領域と壁の傾斜した各側面は、溶接プロセスにより溶接シームを形成して互いに固定可能である、という可能性がある。高圧接続部は中心軸線に沿って、貫通切抜き部を包囲する壁を有しており、第1の領域は、壁の外側に形成されており、第2の領域は、壁の内側に形成されている可能性がある。1つの実施例において、高圧接続部とケーシングとが固定された状態において、分離平面は実質的に、高圧接続部の中心軸線に対して垂直なケーシング輪郭によって定められており、高圧接続部の第1の領域は、分離平面から、中心軸線に関して軸方向に、第2の領域よりも大きく離されて形成されており、第2の領域は、実質的に高圧接続部の突出した領域又は壁に続いており、第2の領域は、分離平面から、中心軸線に関して実質的に軸方向に、突出した領域又は壁よりも大きく離されて形成されている。高圧接続部の第1の領域と第2の領域とは、実質的に球面状に形成されている可能性がある。好適には、傾斜した各側面は、中心軸線に対する横断面に関して、実質的に平らに形成されている。平らに形成された各傾斜側面が、高圧接続部の中心軸線に対して30°〜60°の範囲の鋭角を有していることが有利であると考えられる。壁が、内側領域と外側領域とを有しており、溶接プロセスにより、突出した領域と壁の内側領域との間に溶接シームを形成することができる、という可能性がある。
【0034】
更に別の態様において、本発明は、燃料圧送システム用ユニットの製造方法にも関するこの方法には、中心軸線と所定の幾何学形状を備えた第1の領域と第2の領域とを有する高圧接続部を用意し、ケーシングを用意し、その際に高圧接続部とケーシングのうちの一方には突出した領域を設け、且つ他方には切欠きを画成する壁を設け、突出した領域を切欠き内に配置して、突出した領域を少なくとも部分的に壁に接触させ、突出した領域と壁とを、溶接シームの形成に基づいて材料接続的に結合し、高圧接続部とケーシングとの間に固定状態を生ぜしめることが含まれる。
【0035】
当該方法の好適な形態については、多数の可能性がある。
【0036】
上記方法には、好適には、突出した領域を切欠き内に配置し、その際に突出した領域と壁とにそれぞれ傾斜した側面を設け、これらの傾斜側面を、溶接シームの形成に基づいて材料接続的に結合し、高圧接続部とケーシングとの間に固定状態を生ぜしめることが含まれていてよい。上記方法には、突出した領域及び壁及び/又は傾斜側面の幾何学形状に応じて材料接続的に結合することが含まれる可能性がある。1つの実施例において、上記方法には、高圧接続部の中心軸線に対する傾斜側面の角度に応じて材料接続的に結合することが含まれる。上記方法には、高圧接続部の中心軸線に対して30°〜60°の角度で各傾斜側面を材料接続的に結合することが含まれる可能性がある。溶接プロセスには、コンデンサ放電溶接が含まれる可能性がある。好適には、壁は内側領域と外側領域とを有しており、材料接続的な結合の枠内で溶接シームは、突出した領域と壁の内側領域との間に形成される。
【0037】
以下に、本発明及び従来技術から公知のユニットを、添付の図面に基づき説明する。図1図6は、本発明の好適な各実施例を示し、図7は、従来技術から公知のユニットを示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明によるユニットの斜視図である。
図2図1に示したユニットを、断面II−IIに沿って断面した部分断面図である。
図3図2に符号IIIで示した範囲の詳細な拡大図である。
図3a】応力のレベルを異なる陰影線によって概略的に示唆した、図3と比較可能な図である。
図4図1図3に示した高圧接続部だけを断面して示した図である。
図5】第2の好適な実施例に基づく本発明によるユニットを、図2に示した断面と比較可能な図で示したものである。
図6図5に符号VIで示した範囲の拡大図であるが、図5に示したものからやや変更された、別の好適な実施例による幾何学形状を示した図である。
図7】従来技術から公知のユニットを、外側輪郭について概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1図4に関して、本発明によるユニット1の第1の実施例を説明する。問題となるのは、自動車の燃料圧送システム用のユニット1である。このユニット1は、ケーシング5と高圧接続部3とを有している。図1図4において(図3aは除く)、これら2つのコンポーネントは互いに嵌まり合った状態で、但しこれらを互いに結合する溶接結合部が形成される前の状態で示されている。この状態は、例えば当業者に周知の位置固定用補助手段によって達成することができる。ケーシング5は、接続開口2を有する壁9を備えている。高圧接続部3は壁17を有しており、壁17は、高圧接続部3を貫通して延在する切抜き部15を、中心軸線13に対して形成された周面に画成している。高圧接続部3は、長さに沿って(中心軸線に沿って)変化する内径及び外径を備えたスリーブとして形成されている。高圧接続部3には、ケーシング5に面したケーシング接続領域4と、中間領域6と、接続領域8とが含まれている。接続領域8は、所望の取付け部、管路又は別の接続パートナーに接続するために用いられ、例えばその外側にねじ山(図示せず)を有していてよい。ケーシング接続領域4と中間領域6との間には、移行領域37が延在している。中心軸線13を通る横断面における移行領域37の主延在方向は、半径方向、即ち中心軸線13に対して垂直方向である。図2に示すように、実質的には壁17のリングディスク形の環状部分である。この例では、高圧接続部3は、その外側18と内側19とにおいて、回転対称的に形成されている。高圧接続部3の外径は、ケーシング接続領域4において中間領域6よりも大きくなっている。高圧接続部3の内径(つまり高圧接続部3の中心の切抜き部15の外径)も、ケーシング接続領域4において中間領域6よりも大きくなっている。この例では、ケーシング5の壁9は、ケーシング5に関して外側に切欠き10を画成している。切欠き10は、周方向に沿って周を閉じられて、接続開口2の周りに延在している。ケーシング接続領域4は、突出した領域7を有しており、この突出した領域7に、ケーシング接続領域4の軸方向の長手方向端部が位置している。例えば図2が明確に示すように、突出した領域7は、環状の切欠き10に幾何学形状を合わされているので、切欠き10に部分的に又は完全に侵入すると同時に、ケーシング5を接続する溶接シームを形成するために適している。ケーシング接続領域4において、壁17には移行領域37に隣接する内側に半径方向くぼみ32が形成されている。加えて、移行領域37において、高圧接続部3の壁17には、中間領域6に隣接する外側に、アンダカットを形成する軸方向くぼみ31が形成されている。
【0040】
中心軸線13を通る横断面(即ち、例えば各図面において選択された断面と平行な、中心軸線13を通る横断面)において、軸方向くぼみ31の周または周の各位置は、中間領域6の壁17の、この例では円筒形の外側18(符号18で壁17の外側全体を表し、符号19で壁17の内側全体を表す)から出発して、湾曲部12と、この湾曲部12に続く直線部14とを有する輪郭を有しており、直線部14は、中心軸線13に対して垂直な、移行領域37の壁17の外側18に通じている。湾曲部12において、壁17の外側表面は、横断面に関して凹状に湾曲している。
【0041】
半径方向くぼみ32は、中心軸線13を通る横断面において、周、即ち周の各位置に、上記横断面内で連続する、丸み付けられた輪郭16を有している。この丸み付けられた輪郭16に基づき、壁17の内側表面は、そこでは中心軸線13に対して垂直な横断面に対して凹状に湾曲している。この例では、必須ではないが、輪郭16内で均一な曲率半径が選択されている。
【0042】
例えば図2が明確に示すように、選択された実施例では、軸方向の投影図において、即ち中心軸線13に対して平行な投影図において、半径方向くぼみ32は、軸方向くぼみ31の半径方向外側に位置している。半径方向くぼみ32は、突出した領域7に隣接している。中心軸線13に対して平行な方向に見て、軸方向くぼみ31は、半径方向くぼみ32よりも大きく、高圧接続部3に面したケーシング5の表面またはケーシング正面25から離間されている。既に説明したように、高圧接続部3とケーシング5とは、これら2つのコンポーネントが溶接によって互いに結合されるべき相対位置で図示されている。図2に示した実施例では、周方向に沿って延びる切欠き10に突出した領域7が最大限に挿入された場合、突出した領域7は、周方向に沿って、壁9の相対して傾けられた2つの表面と、それぞれ面状に接することになる。
【0043】
突出した領域7は、その外側18において、突出した領域7の長手方向自由端部20に向かって円錐状に先細りしている。そこの外側表面21は、中心軸線13を通る横断面(図2及び図4参照)において、中心軸線13または中心軸線13の幾何学的な(仮想の)延長線と共に、この例では45°である所定の角度αを成している。
【0044】
周方向に沿って中心軸線13の周りに延びる、ケーシング5の壁9の切欠き10は、溝22として形成されている。この溝22によって形成される環状室は、その外側において(つまり環状室の両側面のうちの半径方向外側に位置する側において)、溝底部に向かって円錐状に先細りしている。図1図4に示した各実施例において、溝22の外側を画成しているケーシング5の壁9の表面23は、長手方向に延びる中心軸線13を通る横断面において、中心軸線13の幾何学的な延長線と共に、符号及び絶対値が上記角度αに等しい所定の角度βを成している。双方の表面21,23は、軸方向の投影図においてオーバラップして、共通の直径間隔で延在している。図2には、ケーシング5から導出された、各表面21,23間の円錐状の接触領域の幾何学的な直線延長線24が、ケーシング5と幾何学的に交差しないことが明確に示されている。図1図4に示した各実施例において、突出した領域7は、その内側に円筒状の表面26を有している。溝22として形成された環状の切欠き10は、壁9の、やはり円筒状の表面27に境を接している。双方の円筒状の表面26,27は、センタリングを実現するために、同一の直径を有している。突出した領域7の輪郭と、周方向に沿って延在する切欠き10の輪郭とは、それぞれ中心軸線13を通る横断面に関して互いに幾何学形状が合わされている。これによって、突出した領域7を、(例えば図2に示したように、)周方向に沿って延在する切欠き10内に完全に挿入することができるようになっている。この位置において、突出した領域7はその外側表面21でもって、切欠き10内で壁9の外側表面23に面状に接しており、且つその内側表面26でもって、切欠き10内で壁9の内側表面27に面状に接している。
【0045】
図1の斜視図には、ケーシング5が既存の要求に基づきケーシングカラー34を有している様子が示されている。このケーシングカラー34は、特定の用途のために、詳しくは図示しない形式で張設フランジ36に結合することができる。溶接を用いて高圧接続部3をケーシング5に固定すべき時点では、張設フランジ36はケーシングカラー34に取り付けられていない。更に図2には、張設フランジ36が存在していない場合、接触領域の直線的な延長の外部から、つまり例示した矢印28の方向からでも、各表面21,23によって形成される接触領域に、ビーム溶接機の溶接ヘッドがアプローチ可能であることが明確に示されている。つまり、ビーム溶接を用いて、接触領域に対して一直線上に並んだ、中心軸線13と共に45度の角度を成すビーム方向で、外部から全周に沿って溶接シーム11(その位置は図3に概略的に示されている)を形成することができる。
【0046】
図3aには、図3でも詳細に拡大するために選択された部分が示されている。図3とは異なり、図3aでは、壁17と壁9の領域において、これらの壁の内部でそれぞれ変化する陰影線の図が選択されている。比較的狭幅の陰影線は、ユニット1の運転中に、運転に起因して切抜き部15内を高圧接続部3の外側よりも高い圧力が支配すると、比較的狭幅の陰影線に該当する領域に、陰影線が比較的大きな相互間隔を開けて配置された領域よりも比較的高い機械的応力が生じることを意味する。この関係は、計算によって証明された。このことから、軸方向くぼみ31と、半径方向くぼみ32とに接する壁領域には、溶接シーム11の領域における応力よりも高い機械的応力が作用することが明らかになる。溶接シーム11の領域に作用する機械的応力は、軸方向くぼみ31及び半径方向くぼみ32を有していないがその他の点では図1図4に示す高圧接続部3に等しい高圧接続部3を採用した場合に同じ運転負荷において作用し得る機械的応力よりも、小さくなっている。
【0047】
図5及び図6に関して、本発明によるユニット1の第2の実施例と、これに類似した第3の好適な実施例とを説明する。図5及び図6では、見やすくするために、第1の実施例の構造と同じ又は比較可能な構造には、同じ符号を付してある。
【0048】
第1の実施例とは異なり、ここでは、突出した領域7の内側が、その長手方向自由端部に向けて円錐形に広がることが想定されている。突出した領域7の内側表面26は、そこで中心軸線13を通る(例えば図6におけるような)横断面において、中心軸線13又は中心軸線13の幾何学的な延長線と共に所定の角度γを成している。この角度γの値は、この例では15°〜20°であるが、例えば30°であってもよい。周方向に沿って延在する切欠き10は、やはり溝22として形成されている。切欠き10の内側は、中心軸線13を通る横断面において中心軸線13に対して平行に延在する、壁9の、溝開口から出発する表面29と境を接している。溝開口は、内側に直径dを有しており、この直径dは、突出した領域7の内側表面26の最小直径と最大直径とによって規定された直径間隔内に位置している。その結果、中心を合わせて軸方向に接近させると、表面26が、溝開口の内側によって形成された壁9のリング形の環状縁部に当たり、横断面で見ると実際には点状でしかない接触が行われる。図5に示したこの状態において、高圧接続部3とケーシング5とは、溶接によって相接して固定されることが望ましい。また図5に示すように、この場合、突出した領域7は、生じた接触に基づいて切欠き10に部分的にしか侵入させられていない。突出した領域7の外側表面21及び周方向に沿って延在する切欠き10の外側表面23の形状付与は、これらの表面21,23が支持中に、つまり溶接プロセスが開始される前には接触し合わないように、幾何学形状を互いに調整されている。図5に示した例では、中心軸線13を通る横断面において、中心軸線13と共に、各表面21,23がそれぞれ異なる角度を成すことが想定されている。これにより、図5に示したユニット1は、抵抗溶接法、例えばコンデンサ放電溶接法を用いて双方のコンポーネントを結合するために特に適している。このような溶接装置は、図面に一緒には示されていない。
【0049】
図5に示したユニット1の高圧接続部3を、コンデンサ放電溶接(いわゆるCD溶接)によってケーシング5に固定するために、高圧接続部3は、中心軸線13に対して平行に、つまり軸方向に、ケーシング5の壁9に対してしっかりと押し当てられてよく、これにより、円錐状の表面26が、溝開口(溝22参照)の縁部30または前縁に不動に支持されることになる、即ち、高い接触圧が生じることになる。押当て力は、図5に符号Fで象徴的に表されている。高圧接続部3とケーシング5とは、当業者に自体公知の形式で、コンデンサ放電溶接装置に接続することができる。この装置は、図面に一緒には示されていない。コンデンサ放電によって生じた電流は、最初は極めて限定的な接触領域を通り、そこで金属を加熱すると共に溶融させ、最終的には所望の材料接続的な結合をもたらす。図5にも示すように、溶接プロセスの開始時には、半径方向外側に離れて位置する各表面21,23間に接触は生じていない。これにより、溶接に際して望ましくない電流分路を回避するために、第1のステップにおいて空隙が設けられていることになる。要求に応じて引き続き、又は別のステップにおいて、溶接を継続し、高圧接続部3が溶接領域で溶融する際に溶融した材料の量だけずれることで、突出した領域7の表面21を、ケーシング5の壁9の外側の表面23に的確に当て付ける可能性がある。接触領域の外側における当付け延いては分路が、本来の結合プロセスが終了して初めて行われるようにするために、望ましい量は、接触空隙よりも前方を目標とすることが望ましい。これにより、ケーシング5に対する高圧接続部3の外側の付加的な支持作用を実現することができる。
【0050】
図1図4に関して説明した第1の実施例に比べ、図5の例では、溶接シームが、最大でも図5に符号aで表した半径方向距離を置いて、中心軸線13に達することが明らかである。図5には、中心軸線13に対して半径方向外側に形成される仮想の溶接シームの出力部の半径方向間隔が符号Aで示されている。距離aは、ビーム溶接(例えば電子ビーム溶接又はレーザビーム溶接)によって外部から各表面21,23間に形成される溶接シームが延在し得る最小の半径方向距離よりも小さい。つまり、図5から始まる好適なコンデンサ放電溶接後には、既に縁部30において始まる溶接シームに基づき、運転中に内部を支配する過剰圧力が、突出した領域7の表面と切欠き10の表面との間に作用する恐れはない。これにより、半径方向外側から溶接シームが形成されると仮定された状況に比べて、軸方向の、即ち中心軸線13に対して平行な投影図において、ユニット1の内部の高圧接続部及びケーシングの、内部圧力が加えられる軸方向の投影面積は減ることになる。このこともやはり、圧力負荷を比較的小さくすることにつながり、その結果、溶接シームに作用する機械的な応力も、より小さくなる。この点において最適化された幾何学形状に基づき、本発明は、コンデンサ放電溶接により、外部からはアプローチ不能な領域に溶接シームを移し、延いては、溶接シーム根面を、構造体の中心軸線13のより近くに移すことを可能にする。この場合に可能な、圧力負荷される軸方向投影面積の最小化により、結果として溶接シームに加えられる応力が比較的小さくなる。
【0051】
図6に示す別の実施例は、構成上の僅かな違いを除いて、図5に示した実施例と合致する。
【0052】
図7には、ケーシング5’と、溶接プロセスによってケーシング5’に固定される高圧接続部3’とを有する、従来技術から公知のユニット1’が、外観図として示されている。高圧接続部3’の内部には、中央の中心軸線13’に沿って連続する切抜き部15’が延びている。壁は符号17’で示されており、壁の外側は符号18’で示されている。ケーシング5’は、高圧接続部3’に面したケーシング正面25’を有している。この公知のユニット1’において、ケーシング正面25’は更に、2つのコンポーネントの間の直線的な分離平面を画成している。2つのコンポーネントがビーム溶接によって互いに結合されることが望ましい場合には、中心軸線13’に対して垂直(矢印28’の方向参照)に向けられた溶接ヘッドを用いて、分割接合面に沿って外部から溶接シームを形成する可能性がある。
【0053】
開示された全ての特徴は、(それ自体で、しかしまた互いに組み合わされて)本発明にとって重要なものである。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、その特徴でもって、従来技術に対する本発明独自の改良を特徴付けるものである。
図1
図2
図3
図3a
図4
図5
図6
図7