特許第6342114号(P6342114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342114
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】消火設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/07 20060101AFI20180604BHJP
   A62C 31/05 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   A62C3/07 A
   A62C31/05
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-285982(P2012-285982)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-124506(P2014-124506A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年10月28日
【審判番号】不服2017-7501(P2017-7501/J1)
【審判請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】591200656
【氏名又は名称】斎久工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301042686
【氏名又は名称】株式会社三菱地所設計
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000199186
【氏名又は名称】千住スプリンクラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】柳田 充
(72)【発明者】
【氏名】石川 芳久
(72)【発明者】
【氏名】藤野 健治
(72)【発明者】
【氏名】吉葉 裕毅雄
(72)【発明者】
【氏名】有田 靖道
(72)【発明者】
【氏名】保戸塚 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】千葉 亮太郎
【合議体】
【審判長】 冨岡 和人
【審判官】 鈴木 充
【審判官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 実開平5−12886(JP,U)
【文献】 実開平6−39026(JP,U)
【文献】 特開2004−105312(JP,A)
【文献】 特開平8−276028(JP,A)
【文献】 特開2002−17886(JP,A)
【文献】 特開2001−238977(JP,A)
【文献】 特開平7−80094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の1台用駐車区画が隣接して設けられた駐車場における水を用いる消火設備であって、
前記駐車場を上から見たとき、
前記1台用駐車区画は2本の長辺と2本の短辺とからなる長方形状を有し、
前記1台用駐車区画の長辺と、該長辺に隣接した1台用駐車区画の長辺に沿って配置され、放水領域が円形状をした2つの放水ノズルを備え、
前記2つの放水ノズルは、前記1台用駐車区画および隣接する1台用駐車区画の中央付近に駐車される自動車の側面において放水領域の一部が互いに重なり、前記自動車の窓に向けて放水することにより水粒子を直接的に噴霧する消火設備。
【請求項2】
前記各1台用駐車区画は、1m当たり、10リットル/分の放水量及び0.35MPaの放水圧力で20分間放水されることを特徴とする請求項1に記載の消火設備。
【請求項3】
前記放水ノズルは、1つ当たり、110リットル/分の放水量及び0.35MPaの放水圧力で20分間放水することを特徴とする請求項1に記載の消火設備。
【請求項4】
前記放水ノズルは、粒径の異なる大小の水粒子を放出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の消火設備。
【請求項5】
前記放水ノズルは、感熱部を備えた閉鎖型の放水ノズルであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の消火設備。
【請求項6】
前記放水ノズルは、前記感熱部の温度が66度または72度に到達した時点で放水を開始することを特徴とする請求項5に記載の消火設備。
【請求項7】
前記駐車場を上から見たとき、
前記2つの放水ノズルの一方は他方の放水ノズルの放水領域の外側に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の消火設備。
【請求項8】
前記駐車場を上から見たとき、
前記2つの放水ノズルの放水領域は同じ半径を有する円形状であり、
前記2つの放水ノズルの設置間隔は前記放水領域の半径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の消火設備。
【請求項9】
前記1台用駐車区画の天井に放水ノズルが設置されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の消火設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火設備に関し、特に、駐車場における消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少ない水量で延焼を効果的に防止することを目的として、駐車場における車路の天井に散水ヘッドを設置し、これにより車路を挟んで隣接する駐車区画の各々に水又は消火用液を散水する散水システムが提案された(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−206395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、少ない水量で自動車火災を消火・抑制するためには、事実上、水ではなく消火用液を用いざるを得ない。したがって、上記従来の散水システムでは、実際上、水を用いることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、水を用いて駐車場における火災を消火・抑制することができる消火設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記課題は、次の手段により解決される。すなわち、本発明は、複数の1台用駐車区画が隣接して設けられた駐車場における消火設備であって、各1台用駐車区画の天井または各1台用駐車区画の境界における天井に放水ノズルが設置されたことを特徴とする消火設備である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る消火設備を備えた駐車場を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る消火設備を備えた駐車場を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0009】
図1、2は、本発明の実施形態に係る消火設備を備えた駐車場を示す図であり、図1は駐車場を上から見た図、図2は駐車場を横から見た図である。以下、図1、2を参照しつつ、説明を行う。
【0010】
[駐車場]
駐車場1は、自走式駐車場である。駐車場1には、複数の1台用駐車区画2が隣接して設けられる。1台用駐車区画2には、1台の自動車4を駐車することができる。複数の1台用駐車区画2の境界には、例えば境界線6が引かれる。
【0011】
駐車場1は、例えばビルなどの建物内に設けられており、天井8を有している。天井8の高さは、1台用駐車区画2において例えば2.1m以上であることが好ましく、4m、5mであることがより好ましい。なお、車路における天井8の高さは、例えば2.3m以上である。
【0012】
なお、駐車場1は、自走式機械駐車場などであってもよい。
【0013】
[放水ノズル]
放水ノズル10は、各1台用駐車区画2の境界における天井8に設置される。これにより、各1台用駐車区画2の中央付近に駐車された自動車4の窓などに向けて効果的に放水して自動車内部における火を消火・抑制することができる。
【0014】
なお、放水ノズル10は、各1台用駐車区画2の天井8(例:各1台用駐車区画2の中央における天井8)に設置することもできる(図示せず)。この場合は、自動車4の屋根を効果的に冷却して火を消火・抑制することができる。
【0015】
各放水ノズル10は、所定の領域A(以下、「放水領域A」という。)に放水する。各放水ノズル10は、その放水領域Aが重なるように配置することもできるし、重ならないように配置することもできる。ただし、各放水ノズル10は、駐車場1におけるすべての1台用駐車区画2が放水領域Aに含まれるよう配置されることが好ましい。放水領域Aは、その半径が例えば2.3mである。
【0016】
各1台用駐車区画2は、1m当たり、5リットル/分〜20リットル/分の放水量及び0.35MPaの放水圧力で20分間放水されることが好ましく、特に、10リットル/分の放水量及び0.35MPaの放水圧力で20分間放水されることが好ましい。5リットル/分の場合は、駐車場における火災の消火・抑制にある程度の効果がある。また、20リットル/分の場合は、駐車場における火災の消火・抑制に十分な効果がある。また、10リットル/分の場合は、放水のコストを抑えつつ、駐車場における火災を効果的に消火・抑制することができる。
【0017】
放水ノズル10は、1当たり、80リットル/分〜200リットル/分の放水量及び0.35MPaの放水圧力で20分間放水するものであることが好ましく、特に、1当たり、110リットル/分の放水量及び0.35MPaの放水圧力で20分間放水するものであることが好ましい。80リットル/分の場合は、駐車場における火災の消火・抑制にある程度の効果がある。また、200リットル/分の場合は、駐車場における火災の消火・抑制に十分な効果がある。また、110リットル/分の場合は、放水のコストを抑えつつ、駐車場における火災を効果的に消火・抑制することができる。
【0018】
放水ノズル10は、粒径の異なる大小の水粒子を放出することが好ましい。これにより、大きい方の水粒子を火に直接的に噴霧して火を消火する一方で、小さい方の水粒子を火の熱で水蒸気化してこれにより火を封じ込めて抑制することが可能となり、水を用いて駐車場1における火災の消火・抑制をより一層図ることができる。なお、放水ノズル10から放出される水粒子は、例えば、ひまし油を入れたシャーレで捕獲し確認することができる。
【0019】
放水ノズル10には、例えば、開放型や閉鎖型を用いることができる。ただし、閉鎖型の放水ノズル10を用いれば、放水の必要がない放水ノズル10が作動することを防止して、過剰な放水によって駐車場1に併設されたEPS(Electric Pipe Space/Shaft)や階下のフロアなどが水浸しになることを回避することができる。
【0020】
閉鎖型の放水ノズル10は、感熱部を有している。閉鎖型の放水ノズルとしては、例えば、その感熱部の温度が66度または72度に到達した時点で放水を開始するものを用いることができる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0022】
1 駐車場
2 1台用駐車区画
4 自動車
6 境界線
8 天井
10 放水ノズル
A 放水領域
図1
図2