(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342124
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】ロールベアリングのケージ、ロールベアリング及び自動車の電気操舵システム
(51)【国際特許分類】
F16C 33/41 20060101AFI20180604BHJP
F16C 19/16 20060101ALI20180604BHJP
F16C 33/64 20060101ALI20180604BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
F16C33/41
F16C19/16
F16C33/64
B62D5/04
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-145289(P2013-145289)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-20559(P2014-20559A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2016年6月29日
(31)【優先権主張番号】1256721
(32)【優先日】2012年7月12日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508282993
【氏名又は名称】アクティエボラゲット・エスコーエッフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ティエリ・アダン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ヴァルヌー
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ペロタン
【審査官】
中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3122529(JP,U)
【文献】
特開2006−160045(JP,A)
【文献】
特開2011−226592(JP,A)
【文献】
特開2005−226738(JP,A)
【文献】
特開平10−238543(JP,A)
【文献】
特開2003−247556(JP,A)
【文献】
特開2002−115721(JP,A)
【文献】
特開2000−65067(JP,A)
【文献】
特開2005−69266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/00− 5/32
F16C 19/00−19/56
F16C 33/30−33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の電気操舵システムのためのロールベアリング(1)であって、
それぞれが2つの支持トラック(2a、2b、3a、3b)を備える外側レース(2)及び内側レース(3)と、
前記支持トラック(2a、2b、3a、3b)間に配置される1組のボール(4)であって、4つの接点(P1 、P2 、P3 、P4 )でロールベアリングを形成する、ボール(4)と、
前記ボール(4)の周方向間隔を確保するように設計されたケージ(5)と、
を備え、
前記ケージ(5)が、
前記ボール(4)に接触して軸方向で保持するための手段(8a)が設けられた複数の第1ソケット部(8)と、
当該ケージ(5)が前記ボール(4)に接触して軸方向で保持するための手段が設けられていない複数の第2ソケット部(9)と、
を備え、
前記第1ソケット部(8)には、ほぼ球面状の壁部(7a)が設けられるとともに、前記第2ソケット部(9)には、ほぼシリンダ状の壁部(7b)が設けられ、
前記第1ソケット部(8)それぞれが、対応する第1ソケット部(8)に収容された前記ボール(4)と共に、第1軸方向間隙(J1 a )、第1径方向間隙(J1 r )及び第1周方向間隙(J1 c )を有し、
前記第2ソケット部(9)それぞれが、対応する第2ソケット部(9)に収容された前記ボール(4)と共に、第2軸方向間隙(J2 a )、第2径方向間隙(J2 r )及び第2周方向間隙(J2 c )を有し、
前記第1径方向、軸方向及び周方向間隙(J1 r 、J1 a 、J1 c )それぞれが、前記ボール(4)の中心(Cb )を通過する元の直径の0.78%に等しく、かつ
前記第2径方向、軸方向及び周方向間隙(J2r、J2a、J2c)それぞれが、前記ボール(4)の中心(Cb )を通過する元の直径の1.14%に等しいことを特徴とするロールベアリング。
【請求項2】
前記第1ソケット部(8)それぞれが、1つの前記第2ソケット部(9)によって他の第1ソケット部(8)から離間していることを特徴とする請求項1記載のロールベアリング。
【請求項3】
互いの間で前記第1及び第2ソケット部(8、9)を画成する突出部分(7)により軸方向に延在する環状肩部(6)を備え、
前記突出部分(7)それぞれが、
爪部(8a)であって、当該爪部の自由端部が隣り合う突出部分(7)の爪部(8a)に向けて周方向で延在して第1ソケット部(8)のうちの1つを形成する、爪部と、
シリンダ状の突出部(9a)であって、隣り合う突出部分(7)のシリンダ状の突出部(9a)と共に、前記第2ソケット部(9)のうちの1つを形成する、突出部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のロールベアリング。
【請求項4】
合成材料で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロールベアリング。
【請求項5】
前記ボール(4)と前記外側レース(2)との間にある第1接点(P1 )が、前記ボール(4)の中心(Cb )を通過する径方向対称軸(Y−Y)に対して第1角度(α1 )を形成し、
前記ボール(4)と前記内側レース(3)との間にある第2接点(P2 )が、前記ボール(4)の中心軸(Cb )を通過する前記径方向対称軸(Y−Y)に対して第2角度(α2 )を形成し、
前記第1及び第2角度(α1 及びα2 )間の差異は、最大4°であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のロールベアリング。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のロールベアリングを少なくとも1つ備えることを特徴とする自動車の電気操舵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、自動車の電気操舵システムで使用されるロールベアリング、特にボールベアリングの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
より詳しくは、本発明は、ボールを保持するためのケージに関し、このケージは、このようなロールベアリングのためにボール間の周方向間隔を確保する。
【0003】
自動車の電気操舵システムは、一般的には、ステアリングコラムにまたは下部組立体に配置された電気機械アクチュエータを備え、この下部組立体は、車両の駆動輪を角方向で位置付けさせるように設計された機械部材を備える。電気機械アクチュエータは、回転電気モータと、そのシャフトと、を備え、このシャフトは、直接にまたはボールネジシステムを介して4つの接点で少なくとも1つのボールベアリングデバイスにより支持されている。
【0004】
ロールベアリングは、一般的には、各レースには2つの支持トラックが設けられた内側レース及び外側レースと、レースの4つの支持トラック間に配置された1組の転がり素子、一般的にはボールと、を備える。
【0005】
特許文献1は、合成材料で形成されたロールベアリングのためのボールを保持するためのケージを開示しており、このケージは、ボールを収容するためのソケット部を備える。ソケット部は、対になって肩部とは反対側に配置された爪部により離間されている。このような保持ケージは、さまざまな用途で完全に十分である。しかしながら、回転速度が低いまたは回転方向が不意に変化する用途において、このタイプのケージは、さまざまな問題を引き起こす。より具体的には、ボールが負荷を受けると、ケージは、大幅に変形して内側レースと接触し、これは、ケージの損傷またはケージの破壊を引き起こす。
【0006】
さらに、例えば上述のように電気操舵システムが設けられた車両の車輪を操舵するときなどロールベアリングにかけられた負荷の方向が変化する場合に、操縦者が車両を駐車するために左右に操作することを実行すると、ケージは、同様に、大幅に変形する、あるいは破壊される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許第2921451号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上記欠点を改善することである。
【0009】
より詳しくは、本発明は、ロールベアリングのためのケージを提供することを目的としており、このケージは、変形しにくく、必要とする空間が小さく、ケージにかけられた応力を均一に分配する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、同様に、ケージのソケット部においてボールの十分な間隙を可能とする一方でケージと転がり素子との間の摩擦を低くするケージを提供することを目的とする。
【0011】
本発明の主題は、電気操舵システムのためのロールベアリングのケージであり、このケージは、ボールの周方向間隔を確保し、ケージがボールに接触して軸方向で保持するための手段が設けられた複数の第1ソケット部と、ケージがボールに接触して軸方向で保持するための手段が設けられていない複数の第2ソケット部と、を備える。
【0012】
各第1ソケット部は、対応する第1ソケット部に収容されたボールと共に、第1軸方向間隙、第1径方向間隙及び第1周方向間隙を有し、各第2ソケット部は、対応する第2ソケット部に収容されたボールと共に、第2軸方向間隙、第2径方向間隙及び第2周方向間隙を有する。
【0013】
このため、ケージのソケット部とボールとの間に間隙が存在することに起因して、ケージとボールとの間の相互の影響が低減する。さらに、ボールは、互いに対して移動可能であり、このため、例えば自動車を駐車する際の車輪の操舵運動中などにおいて、2つの隣り合うボールが反対方向に移動するときに、予期しない変形の危険性を低減する。
【0014】
有利には、第1径方向、軸方向及び周方向間隙それぞれは、ボールの中心を通過する元の直径の0.4%以上1.2%以下、好ましくはボールの中心を通過する元の直径の0.56%以上1.14%以下の範囲、例えばボールの中心を通過する元の直径の0.78である。
【0015】
一形態において、第2径方向、軸方向及び周方向間隙それぞれは、ボールの中心を通過する元の直径の0.4%以上1.6%以下、好ましくはボールの中心を通過する元の直径の0.56%以上1.54%以下の範囲、例えばボールの中心を通過する元の直径の1.14%である。
【0016】
各第1ソケット部は、1つの第2ソケット部により他の第1ソケット部から離間している。
【0017】
有利には、第1ソケット部には、ほぼ球面状の壁部が設けられており、第2ソケット部には、ほぼシリンダ状の壁部が設けられている。
【0018】
一形態において、ケージは、互いの間でソケット部を画成する突出部分により軸方向に延在する環状肩部を備え、各突出部分は、爪部であって、その自由端部が隣り合う突出部分の爪部に向けて周方向で延在して第1ソケット部のうちの1つを形成する爪部と、シリンダ状の突出部であって、隣り合う突出部分のシリンダ状の突出部と共に、第2ソケット部のうちの1つを形成する、突出部と、を備える。
【0019】
ケージは、例えば合成材料、好ましくはポリマー材料で形成されている。
【0020】
第2の特徴において、本発明は、ロールベアリングに関し、このロールベアリングは、それぞれが2つの支持トラックを備える外側レース及び内側レースと、支持トラック間に配置される1組のボールであって、4つの接点でボールベアリングを形成する、ボールと、上記ケージと、を備える。
【0021】
有利には、ボールと外側レースとの間にある第1接点は、ボールの中心を通過する径方向対称軸に対して第1角度を形成し、ボールと内側レースとの間にある第2接点は、ボールの中心を通過する径方向対称軸に対して第2角度を形成し、第1及び第2角度間の差異は、最大4°である。
【0022】
第3の特徴において、本発明は、上記ロールベアリングを少なくとも1つ備える自動車の電気操舵システムに関する。
【0023】
本発明は、非限定的な例として提供されかつ添付の図面で示されたいくつかの実施形態の説明を読むことにより、より明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明におけるロールベアリングを示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
軸方向軸X−Xを有し、
図1から
図4においてその全体を参照符号1で示されたロールベアリングは、自動車のステアリングコラムに取り付けられるように設計されている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、ロールベアリング1は、外側レース2と、内側レース3と、ボールなどの転がり素子4と、ボールの均一な周方向間隔を維持するためのケージ5と、を備える。
【0027】
内側レース3は、ほぼ矩形状の断面からなるリング状をなしており、径方向厚さが小さく、その外面には、2つの環状支持トラック3a、3bが設けられている。外側レース2は、内側レース3と同様に、その内側孔部にある2つの環状支持トラック2a、2bを備える。内側及び外側レース3、2は、前方径方向面3c、3d、2c、2dを有し、これら前方径方向面は、ほぼ位置合わせされており、それぞれが一部品のスチールから機械加工することによって一部品として製造されている。
【0028】
各ボール4は、内側及び外側レース3、2に形成された4つの支持トラック2a、2b、3a、3bと接触している。ボール4と外側レース2の第1支持トラック2aとの間にある第1接点P
1は、ボール4の中心を通過する対称軸Y−Yに対して第1角度α
1を形成する。ボール4と内側レース3の第1支持トラック3bとの間にある第2接点P
2は、ボール4の中心を通過する対称軸Y−Yに対して第2角度α
2を形成する。ボール4と外側レース2の第2支持トラック2bとの間にある第3接点P
3は、ボール4の中心を通過する対称軸Y−Yに対して第3角度α
3を形成する。ボール4と内側レース3の第2支持トラック3bとの間にある第4接点P
4は、ボール4の中心を通過する対称軸Y−Yに対して第4角度α
4を形成する。第1及び第2角度α
1及びα
2間の差異と第3及び第4角度α
3及びα
4間の差異とは、最大限恒久的にボールが内側及び外側支持レースにより画成される4つの支持トラックと接触することを可能とするため、最大4°となっている。
【0029】
ケージ5は、外側及び内側レース2、3間で径方向に配置されている。ケージ5は、環状肩部を形成するボール4の一側に軸方向に配置された円形の環状部分6と、環状肩部6から軸方向に延在する突出部分7または離間指部と、を備える。突出部分7は、環状肩部6と一部品で形成されており、他の突出部分との間で、ボール4を配置するソケット部8、9を画成する。
【0030】
ケージ5は、ケージ5がボール4に接触して軸方向で保持するための手段が設けられた複数の第1ソケット部8と、ケージ5がボール4に接触して軸方向で保持するための手段が設けられていない複数の第2ソケット部9と、を備える。各第1ソケット部8は、第2ソケット部9により他の第1ソケット部8から離間されている。このため、第1ソケット部8は、周方向で均一に分布しており、ボール4に接触したケージ5の均一な軸方向保持を確保する。第1ソケット部8には、ほぼ球面の壁部が設けられており、第2ソケット部9には、ほぼシリンダ状の壁部が設けられている。第1ソケット部8は、突出部分7によって隣り合う第2ソケット部から離間されている。
【0031】
各突出部分7は、環状肩部6の径方向反対側に方向付けられた爪部8aを備えており、爪部の自由端部は、隣り合う突出部分7の爪部8aに向けて周方向に延在し、ボール4を取り囲む傾向があるほぼ球面状の第1ソケット部8のうちの1つを形成する。すなわち、第1ソケット部8のうちの1つと関連付けられた2つの爪部8aは、互いに向けて延在しており、上記第1ソケット部8に配置されているボール4に接触したケージ5の軸方向保持を提供する。ケージ5は、第1ソケット部8の爪部8aによって、1組のボール4を接触して軸方向で保持している。各第1ソケット部8が第2ソケット部9によって他の第1ソケット部8から離間されているので、第1ソケット部8は、周方向で均一に分布されており、ボール4に接触するケージ5の均一な軸方向保持を確保する。爪部8aの内側の凹面は、第1ソケット部8の球状面7aを形成する。
【0032】
各突出部分7は、シリンダ状の突出部9aを備え、この突出部は、環状肩部6の径方向反対側に方向付けられており、隣り合う突出部分7のシリンダ状の突出部9aと共に、ケージ5がボール4に接触して軸方向で保持するための手段のないソケット部を形成する。このため、シリンダ状の突出部9aは、対応する第2ソケット部9に配置されたケージ5がボール4に接触して軸方向で保持することを確実にすることができない。シリンダ状の突出部9aの内側シリンダ状面は、第2ソケット部9のシリンダ状面7bの一部を形成する。シリンダ状の突出部9a及び軸方向部分7のうちの1つの爪部8aは、凹所7cにより離間されており、そのため、爪部8aは、周方向において比較的小さな角方向深さを有し、その結果、ある可撓性を有しており、この可撓性により、軸方向推進をボール4の方向でケージ5の環状肩部6にかけると、爪部8aを周方向で離間させていることにより、ケージ5は、ボール4と接触してカチッと所定位置に入る。
【0033】
各ソケット部8、9は、その内側及び外側面において開口しており、同様に、環状肩部6の反対側において軸方向に開口しており、このため、ケージ5を位置付けることが可能となる。このため、第2ソケット部9は、ケージ5に対するボール4の摩擦を低減するために、シリンダ状の縁部7bが設けられた軸方向開口部を有する。
【0034】
第1ソケット部8の球面状壁部7aの直径は、対応する上記第1ソケット部8に収容されたボール4と共に、第1軸方向間隙J
1a、第1径方向間隙J
1r及び第1周方向間隙J
1cを形成するために、ボール4の直径よりも大きい。第2ソケット部9のシリンダ状壁部7bの直径は、対応する上記第2ソケット部9に収容されたボール4と共に、第2軸方向間隙J
2a、第2径方向間隙J
2r及び第2周方向間隙J
2cを形成するために、ボール4の直径よりも大きい。軸方向間隙J
aは、環状肩部6の内面6aと対応するソケット部に収容されたボール4との間の距離に対応する。周方向間隙J
cは、対応するソケット部8、9の内側の球状またはシリンダ状の面7a、7bと対応するソケット部に収容されたボール4との間の距離に対応する。径方向間隙J
rは、ボール4の中心C
bと対応するソケット部8、9の中心C
cとの間の距離に対応する。
【0035】
第1径方向、軸方向及び周方向間隙J
1r、J
1a及びJ
1cそれぞれは、ボール4の中心C
bを通過する元の直径の0.4%から1.2%の間、好ましくは0.56%から1.14%の間の範囲にある、理想的には0.78%である。第2径方向、軸方向及び周方向間隙J
2r、J
2a及びJ
2cそれぞれは、ボールの中心C
bを通過する元の直径の0.4%から1.6%の間、好ましくは0.56%から1.54%の間の範囲にある、理想的には1.14%である。
【0036】
非限定的な例として、50mmの有効直径に対して、第1径方向、軸方向及び周方向間隙J
1r、J
1a及びJ
1cそれぞれは、0.2mmから0.6mmの間、好ましくは0.28mmから0.57mmの間の範囲にあり、理想的には0.39mmであり、第2径方向、軸方向及び周方向間隙J
2r、J
2a及びJ
2cそれぞれは、0.2mmから0.8mmの間、好ましくは0.28mmから0.77mmの間にある、理想的には0.57mmである。
【0037】
ケージは、例えば、合成材料、好ましくはPA66、PA46、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のようなポリマー材料で形成されている。
【0038】
図2及び
図3に示すように、ロールベアリング1は、汚染粒子がボール4及び特に支持トラック2a、2b、3a、3bに入ることを防止するために、ボール4の両側に配置された封止手段10、11を備える。封止手段10、11は、外側レース2の内側孔部に形成されたノッチ2e、2fにおいて第1端部10a、11aによって固定されており、径方向部分10b、11bそれぞれによって、内側レース3の外面に向けて延在し、内側レース3の外面の近傍にある一端部10c、11cを有し、この一端部は、シールを形成するために内側レース3の外面に対して非常に狭い空間しか存在しないことを可能とする。
【0039】
本発明を用いて、ケージのソケット部は、ボールに対して十分な間隙を有し、ケージとボールとの間の相互の影響を低減する。このため、ケージは、変形しにくくなり、ケージと転がり素子との間の摩擦が小さいことに起因して、ケージは、耐用年数が長くなる。
【0040】
さらに、ボールは、互いに対して移動可能であり、例えば自動車を駐車する場合の車輪の操舵運動中などにおいて、2つの隣り合うボールが反対方向に移動するときに、予期しない変形の危険性を低減する。
【符号の説明】
【0041】
1 ロールベアリング、2 外側レース、3 内側レース、4 ボール,転がり素子、5 ケージ、7 突出部分,軸方向部分、7a 球状面,球面状壁部(球面状の壁部)、7b シリンダ状壁部,シリンダ状の縁部,シリンダ状面(シリンダ状の壁部)、8 第1ソケット部、8a 爪部(保持するための手段)、9 第2ソケット部、9a 突出部、C
b 中心、J
1a 第1軸方向間隙、J
1r 第1径方向間隙、J
1c 第1周方向間隙、J
2a 第2軸方向間隙、J
2r 第2径方向間隙、J
2c 第2周方向間隙、P
1,P
2,P
3,P
4 接点、α
1 第1角度、α
2 第2角度