(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342139
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】平型電線用コネクタ及び平型電線用コネクタと平型電線の接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 12/79 20110101AFI20180604BHJP
H01R 13/62 20060101ALI20180604BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20180604BHJP
H01B 7/08 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
H01R12/79
H01R13/62
H01B7/00 306
H01B7/08
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-224909(P2013-224909)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-88290(P2015-88290A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】390015244
【氏名又は名称】日本モレックス合同会社
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓子
(72)【発明者】
【氏名】新津 俊博
【審査官】
山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−026882(JP,U)
【文献】
実開平02−073081(JP,U)
【文献】
特開2008−234998(JP,A)
【文献】
特開2001−250618(JP,A)
【文献】
特開2013−149454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77−12/81
H01R 13/62
H01R 13/639
H01B 7/00
H01B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平型電線用コネクタであって、
平型電線が挿入される挿入口を有する枠体と、
前記枠体内に前記挿入口の幅方向に所定の間隔を隔てて並列状に配置され、前記挿入口に挿入された前記平型電線のパターンに弾性的に接触する複数の端子とを備え、
前記端子が前記平型電線のパターンに弾性的に接触する接触面を有し、前記接触面がその一部に、前記パターンの側面を係止する前記パターンの厚さより高さの低い凸部を有することを特徴とする平型電線用コネクタ。
【請求項2】
前記凸部が前記パターンの側面のうち前記平型電線の抜去方向を向く側面を係止することを特徴とする請求項1に記載の平型電線用コネクタ。
【請求項3】
前記凸部が前記パターンの側面のうち前記平型電線の抜去方向を向く側面と、前記平型電線の幅方向を向く側面とを係止することを特徴とする請求項1又は2に記載の平型電線用コネクタ。
【請求項4】
前記凸部を有する前記端子が前記端子の配置領域の全域にわたって備えられたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の平型電線用コネクタ。
【請求項5】
前記凸部を有する前記端子が前記端子の配置領域の一部に備えられたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の平型電線用コネクタ。
【請求項6】
平型電線用コネクタと平型電線の接続構造であって、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の平型電線用コネクタと、
前記平型電線用コネクタに接続され、幅方向に所定の間隔を隔てて並列し、かつ、先端位置が相互にずれた複数のパターンを有する平型電線とを備えることを特徴とする接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント回路基板(以下、FPCという)、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)などの平型電線を接続する平型電線用コネクタ及び平型電線用コネクタと平型電線の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
FPC、FFCなどの平型電線を接続する平型電線用コネクタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この種の平型電線用コネクタは、平型電線が挿入される挿入口を有するハウジングと、ハウジング内に挿入口の幅方向に所定の間隔を隔てて並列状に配置される複数の端子とを備えており、挿入口に挿入された平型電線のパターンに対して端子の接触面が弾性的に接触することによって平型電線と電気的に接続されるようになっている。
【0003】
平型電線用コネクタは、アクチュエータを備えたZIF(Zero Insertion Force)タイプと、アクチュエータを備えないNON−ZIFタイプに分けることができる。低背化や省スペース化が要求される平型電線用コネクタでは、アクチュエータを設けることが難しいので、挿入された平型電線を端子の接圧で保持する必要があるが、端子の接圧を大きくすると、平型電線の挿入力も大きくなり、接続時の作業性が低下するという問題が生じる。
【0004】
そこで、特許文献1に示されるように、アクチュエータを備えないNON−ZIFタイプでありながら、平型電線の幅方向両端部に形成されたタブを、平型電線用コネクタに設けられた抜止め片で係止することにより、平型電線の保持力を向上させるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−313654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される平型電線用コネクタは、平型電線の幅方向両端部に形成されたタブを抜止めしているに過ぎず、端子とパターンの接触部分で直接的に保持力を高めるものではないので、平型電線の変形などに応じて端子とパターンが位置ずれし、接触信頼性が低下するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、アクチュエータを備えないNON−ZIFタイプであっても、端子の接圧を大きくすることなく、端子とパターンの接触部分で直接的に保持力を高め、接触信頼性を向上させることができる平型電線用コネクタ及び平型電線用コネクタと平型電線の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、本発明の第1の観点は、平型電線用コネクタであって、平型電線が挿入される挿入口を有する枠体と、枠体内に挿入口の幅方向に所定の間隔を隔てて並列状に配置され、挿入口に挿入された平型電線のパターンに弾性的に接触する複数の端子とを備え、端子が平型電線のパターンに弾性的に接触する接触面を有し、接触面がその一部にパターンの側面を係止する
パターンの厚さより高さの低い凸部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の観点は、平型電線用コネクタと平型電線の接続構造であって、上記に記載の平型電線用コネクタと、平型電線用コネクタに接続され、幅方向に所定の間隔を隔てて並列し、かつ、先端位置が相互にずれた複数のパターンを有する平型電線とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の平型電線用コネクタによれば、アクチュエータを備えないNON−ZIFタイプであっても、端子の接圧を大きくすることなく、端子とパターンの接触部分で直接的に保持力を高め、接触信頼性を向上させることができる。
また、本発明の平型電線用コネクタと平型電線の接続構造によれば、平型電線用コネクタに対する平型電線の挿入力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタ及び平型電線を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタ及び平型電線を示す下面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る平型電線の積層構造を示す概略側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタを示す図であり、(a)は平型電線用コネクタの上面図、(b)は平型電線用コネクタの正面図、(c)は平型電線用コネクタの背面図、(d)は平型電線用コネクタの側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタの端子を示す図であり、(a)は端子(第2端子)の側面図、(b)は第1端子及び第2端子の要部拡大斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタと平型電線の接続過程を示す図であり、(a)は挿入開始時の第1端子及び平型電線を示す側面図、(b)は挿入途中の第1端子及び平型電線を示す側面図、(c)は挿入完了時の第1端子及び平型電線を示す側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタと平型電線の接続過程を示す図であり、(a)は挿入開始時の第2端子及び平型電線を示す側面図、(b)は挿入途中の第2端子及び平型電線を示す側面図、(c)は挿入完了時の第2端子及び平型電線を示す側面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタと平型電線の接続状態を示す図であり、挿入完了時の端子及び平型電線を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。また、平型電線用コネクタにおいては、平型電線が挿入される面を正面、その反対側を背面、正面から見て左側の側面を左側面、その反対側の面を右側面、基板に固定される面を下面、その反対側の面を上面として説明する。更に、コネクタにおけるFPC挿入方向を前方、その反対方向を後方として説明する。
なお、各図面におけるコネクタを構成する各部の説明における左右方向は、適宜図面上での左右方向に対応させて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタ及び平型電線を示す斜視図である。
図1に示すように、平型電線用コネクタ1は、FPC、FFCなどの平型電線101を接続するためのものであって、たとえば、本実施形態の平型電線用コネクタ1は、平型電線101と基板2を電気的に接続するために基板2上に実装されている。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタ及び平型電線を示す下面図、
図3は、本発明の実施形態に係る平型電線の積層構造を示す概略側面図である。
これらの図に示すように、平型電線101は、可撓性を有する平型電線本体111と、平型電線本体111よりも剛性のある補強板121とを有している。補強板121は、平型電線本体111の先端部上面に積層状に貼着されており、平型電線用コネクタ1に対する平型電線101の挿入に際して挿入ガイド部材として機能する。また、本実施形態の補強板121は、幅方向の両端部に凸形状のタブ122を備えるが、本発明において、タブ122の有無は任意に選択することができる。
【0015】
平型電線本体111は、絶縁フィルムからなるベースフィルム131と、導体からなる複数のパターン151、161と、絶縁フィルムからなるカバーフィルム141とを積層して構成されている。平型電線本体111の先端部下面においては、カバーフィルム141が省かれており、複数のパターン151、161が露出している。各パターン151、161の露出面としては、
図2に示すパターン上面だけでなく、
図3に示すパターン側面(厚さ面)も含まれる。
【0016】
図2に示すように、露出した複数のパターン151、161は、幅方向に所定の間隔を隔てて並列しているが、各パターン151、161の先端位置は、一様ではなく、相互にずれている。たとえば、本実施形態の平型電線101では、先端位置が平型電線本体111の先端近傍に至る第1パターン151と、先端位置が第1パターン151よりも後退している第2パターン161とを備え、両者を交互に配置している。
【0017】
また、各パターン151、161の先端部手前側には、各パターン151、161の一側部をほぼ矩形状に切欠く切欠き部152、162が形成されている。たとえば、
図2の下面視では、第1パターン151の左側部が切欠き部152によって切欠かれ、第2パターン161の右側部が切欠き部162によって切欠かれている。これにより、各パターン151、161の切欠き部152、162内には、平型電線101の抜去方向を向く側面153、163と、平型電線101の幅方向を向く側面154、164が形成される。
【0018】
図4は、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタを示す図であり、(a)は平型電線用コネクタの上面図、(b)は平型電線用コネクタの正面図、(c)は平型電線用コネクタの背面図、(d)は平型電線用コネクタの側面図である。
図1、
図2及び
図4に示すように、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタ1は、平型電線101が挿入される挿入口72を有する枠体71と、枠体71内に、挿入口72の幅方向に所定の間隔を隔てて並列状に配置され、挿入口72に挿入された平型電線101のパターン151、161と弾性的に接触する複数の端子51、61と、複数の端子51、61を挟持状に保持する一対の端子保持部材11、21とを備えて構成されている。
【0019】
本実施形態の枠体71は、金属板(たとえば、SUS)の打ち抜き加工、切断加工、曲げ加工などで形成される金属部品であり、挿入口72、枠体本体部73、基板接続部74及び抜止め部75を一体的に備えている。
【0020】
挿入口72は、枠体71の正面に左右方向に沿って形成され、その左右幅は、平型電線101の左右方向の挿入位置を規定できるように、平型電線101の左右幅に合わせて決められている。
【0021】
枠体本体部73は、枠体71の上面を構成しており、挿入口72から挿入された平型電線101を端子51、62との間で挟持状に保持する。本実施形態の枠体本体部73は、端子51、62との対向位置に複数の開口73aを有しており、これらの開口73aを介して、平型電線101の挿入状況などを視認することができる。
【0022】
基板接続部74は、枠体本体部73の周縁部(挿入口72の形成領域を除く)から下方に延出するように多数形成されており、これらの基板接続部74を基板2の固定用パターン2aに半田付けすることで、枠体71が基板2に対して強固に固定される。
【0023】
抜止め部75は、枠体本体部73の左右両端部に形成される開口73b内に後方から延出するとともに、その先端部に下方に曲折した係止片75aを備える。平型電線用コネクタ1に平型電線101が挿入されたとき、抜止め部75の係止片75aが平型電線101のタブ122を係止することにより、平型電線101が抜止めされる。
【0024】
図5は、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタの端子を示す図であり、(a)は第2端子の側面図、(b)は第1端子及び第2端子の要部拡大斜視図である。
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、端子51、61は、いずれも金属板(たとえば、銅合金)の打ち抜き加工、切断加工、曲げ加工などで形成されており、固定部52、62、回路接続部53、63、腕部54、64及び接触面55、65を一体的に備える。本実施形態の平型電線用コネクタ1は、端子51、61として、形状が左右対称である第1端子51と第2端子61を備えており、両者を交互に配置している。そして、平型電線101の挿入時には、平型電線101の第1パターン151に第1端子51が接触し、第2パターン161に第2端子61が接触する。
【0025】
固定部52、62は、一対の端子保持部材11、21によって上下方向から挟持状に接着保持されるとともに、端子保持部材11、21を介して枠体71に固定される。端子保持部材11、21は、いずれも絶縁板(たとえば、ポリイミド)からなり、上側の端子保持部材11は、端子保持部材11、21を保持しつつ、挿入口72の下端部を形成している。
【0026】
回路接続部53、63は、基板2の回路パターンに対して電気的に接続される部分である。本実施形態の回路接続部53、63は、固定部52、62から前方に延出しており、基板2の回路パターンに対して半田付けにより電気的に接続される。
【0027】
腕部54、64は、端子51、61の接触面55、65を平型電線101のパターン151、161に弾性的に接触させるバネとして機能する部分である。本実施形態の腕部54、64は、固定部52、62から後方上方に向かって傾斜状に延出しており、挿入口72から挿入される平型電線101で押し下げられることにより蓄勢し、その蓄勢力によって接触面55、65を平型電線101のパターン151、161に弾性的に接触させる。
【0028】
接触面55、65は、平型電線101のパターン151、161に接触する部分であり、腕部54、64の先端部上面側に形成される。接触面55、65の一部には、平型電線101の挿入完了時にパターン151、161の側面153、154、163、164を係止する凸部55a、65aが形成されている。たとえば、本実施形態の第1端子51では、接触面55の右端部に凸部55aを形成し、本実施形態の第2端子61では、接触面65の左端部に凸部65aを形成している。なお、凸部55a、65aの切欠き部側の側面は、平型電線101の幅方向を向く側面154、164と係合する。
【0029】
つぎに、平型電線用コネクタ1と平型電線101の接続過程について、
図6〜
図8を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタと平型電線の接続過程を示す図であり、(a)は挿入開始時の第1端子及び平型電線を示す側面図、(b)は挿入途中の第1端子及び平型電線を示す側面図、(c)は挿入完了時の第1端子及び平型電線を示す側面図、
図7は、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタと平型電線の接続過程を示す図であり、(a)は挿入開始時の第2端子及び平型電線を示す側面図、(b)は挿入途中の第2端子及び平型電線を示す側面図、(c)は挿入完了時の第2端子及び平型電線を示す側面図である。
【0030】
図6(a)及び
図7(a)に示すように、平型電線用コネクタ1の挿入口72に平型電線101を挿入すると、まず、平型電線101の先端が端子51、61の腕部54、64に接触する。さらに平型電線101を挿入すると、その挿入力で腕部54、64が下方へ押し下げられる。
【0031】
図6(b)及び
図7(b)に示すように、平型電線101に設けられるパターン151、161の先端が端子51、61の接触面55、65に到達すると、接触面55、65がパターン151、161に乗り上げる。このとき、平型電線101の挿入力が増加するが、パターン151、161の先端位置は、一様ではなく、相互にずれているので、端子51、61の接触面55、65がパターン151、161に乗り上げるタイミングにずれが生じ、平型電線101の挿入力が軽減される。
【0032】
図8は、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタと平型電線の接続状態を示す図であり、挿入完了時の端子及び平型電線を示す要部拡大斜視図である。
図6(c)、
図7(c)及び
図8に示すように、平型電線101が挿入端まで挿入されると、端子51、61の接触面55、65は、前述した切欠き部152、162の形成位置でパターン151、161に接触する。このとき、接触面55、65に形成された凸部55a、65aは、切欠き部152、162に落ち込み、パターン151、161の側面153、154、163、164を係止する。
なお、凸部55a、65aの高さ寸法は、パターン151、161の厚さ寸法よりも小さい。よって、接触面55、65と、パターン151、161とが接触する際には、凸部55a、65aは、切欠き部152、162の切欠きに該当する箇所のベースフィルムと接触することはないので、接触面55、65と、パターン151、161との接触の障害となることはない。
【0033】
側面153、163は、平型電線101の抜去方向を向くため、凸部55a、65aの係止によって平型電線101の抜去力が増加する。また、側面154、164は、平型電線101の幅方向を向くため、凸部55a、65aの係止によって平型電線101の幅方向の位置ずれが規制される。これにより、端子51、61の接圧を大きくすることなく、端子51、61とパターン151、161の接触部分で直接的に保持力を高め、接触信頼性を向上させることができる。
【0034】
以上に述べた実施形態によれば、平型電線101が挿入される挿入口72を有する枠体71と、枠体71内に挿入口72の幅方向に所定の間隔を隔てて並列状に配置され、挿入口72に挿入された平型電線101のパターン151、161に弾性的に接触する複数の端子51、61とを備える平型電線用コネクタ1であって、端子51、61は、平型電線101のパターン151、161に弾性的に接触する接触面55、65を備え、接触面55、65の一部に、パターン151、161の側面153、154、163、164を係止する凸部55a、65aを有するので、アクチュエータを備えないNON−ZIFタイプであっても、端子51、61の接圧を大きくすることなく、端子51、61とパターン151、161の接触部分で直接的に保持力を高め、接触信頼性を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態の凸部55a、65aは、パターン151、161の側面153、154、163、164のうち、平型電線101の抜去方向を向く側面153、163と、平型電線101の幅方向を向く側面154、164とを係止するので、平型電線101の抜去力を増加させるだけでなく、平型電線101の幅方向の位置ずれも規制することができる。
なお、本実施例では、凸部55a、65aの抜去方向の面は緩やかな曲面となっているが二つの面同士を隣接させた角状としてもよい。この場合、凸部55a、65aの角部と、パターン151、161の抜去方向の側面153、163との係合が、曲面よりも強くなるから、抜去力を更に増加させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、端子51、61の配置領域に、凸部55a、65aを有する端子51、61が全域にわたって備えられているので、一部の端子51、61にのみ凸部55a、65aを設ける場合に比べ、平型電線101の保持力をより高めることができる。
【0037】
また、本実施形態では、幅方向に所定の間隔を隔てて並列し、かつ、先端位置が相互にずれた複数のパターン151、161を有する平型電線101を平型電線用コネクタ1に接続させるので、端子51、61の接触面55、65がパターン151、161に乗り上げるタイミングを分散し、平型電線101の挿入力を軽減することができる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0039】
たとえば、上記の実施形態では、すべての端子51、61に凸部55a、65aを形成しているが、凸部55a、65aを有する端子51、61と、凸部55a、65aを有さない端子とを組み合わせて配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…平型電線用コネクタ、2…基板、2a…固定用パターン、11…端子保持部材、21…端子保持部材、51、61…端子、52、62…固定部、53、63…回路接続部、54、64…腕部、55、65…接触面、55a、65a…凸部、71…枠体、72…挿入口、73…枠体本体部、73a…開口、73b…開口、74…基板接続部、75…抜止め部、75a…係止片、101…平型電線、111…平型電線本体、121…補強板、122…タブ、131…ベースフィルム、141…カバーフィルム、151、161…パターン、152、162…切欠き部、153、163…側面、154、164…側面、