特許第6342158号(P6342158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342158
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/32 20160101AFI20180604BHJP
【FI】
   F02M26/32
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-269586(P2013-269586)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-124694(P2015-124694A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和久
(72)【発明者】
【氏名】北岡 良一
(72)【発明者】
【氏名】森 伸介
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−112355(JP,A)
【文献】 特開2009−036063(JP,A)
【文献】 特開2007−255273(JP,A)
【文献】 特開2006−046846(JP,A)
【文献】 特開2004−124809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGR配管中に水冷式のEGRクーラを備えたEGR装置と、ウォータポンプによって冷却水が循環する冷却装置とを備えており、前記EGRクーラの内部には、冷却水に接触する熱交換部を配置している構成であって、
前記熱交換部を、前記EGRクーラにおける冷却水入口の軸心を挟んで一方の側にずらすことにより、前記EGRクーラのうち冷却水入口の軸心を挟んで他方の側に、冷却水が前記熱交換部を通過せずに冷却水出口に流れる逃がし通路が形成されている、
内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、冷却装置とEGR装置とを備えた内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用内燃機関は一般に水冷式になっており、冷却水はウォータポンプによって循環している。他方、近年の車両用内燃機関では、排気ガスの浄化促進や燃費向上等のために排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR装置を備えていることが多く、このEGR装置は、EGRガスを冷却する水冷式のEGRクーラを設けていることが多い。
【0003】
EGRクーラの内部には、EGRガスが通る偏平チューブ状や細管状等のガス通路(エレメント)からなる熱交換部を配置しており、冷却水が隣り合ったガス通路の間の隙間を通ることで、EGRガスの熱が冷却水に吸熱される。この場合、EGRクーラは専用のバイパス通路の中途部に設けており、冷却水が熱交換部をまんべんなく通るように設計されているのが普通である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−45884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、既述のとおりEGRクーラは専用のバイパス通路に設けているのが普通であるが、EGRクーラの冷却と他の機器・装置類の冷却とを共通の配管で行いたい場合や、EGRクーラを冷却水通路のメイン管路に配置したい場合があり得る。この場合、特許文献1のように冷却水が熱交換部にまんべんなく通る構造では、流れ抵抗が著しく増大してしまい、使用に堪えなくなる可能性が高い。
【0006】
本願発明は、かかる現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の内燃機関は、
EGR配管中に水冷式のEGRクーラを備えたEGR装置と、ウォータポンプによって冷却水が循環する冷却装置とを備えており、前記EGRクーラの内部には、冷却水に接触する熱交換部を配置している構成において
前記熱交換部を、前記EGRクーラにおける冷却水入口の軸心を挟んで一方の側にずらすことにより、前記EGRクーラのうち冷却水入口の軸心を挟んで他方の側に、冷却水が前記熱交換部を通過せずに冷却水出口に流れる逃がし通路が形成されている点を特徴にしている。
【発明の効果】
【0008】
本願発明では、EGRクーラに流入した冷却水の一部が熱交換部を通って熱交換の仕事をして、他の残りは熱交換部を通過せずに入口から出口にスムースに流れるため、EGRクーラの内部を通過する冷却水の流れ抵抗を著しく抑制できる。従って、EGRクーラに、熱交換の仕事に必要な水量以上の量の冷却水を、流れ抵抗の増大を生じさせることなく流すことができる。
【0009】
その結果、1本の配管でEGRクーラの冷却と他の冷却部の冷却を行ったり、冷却水の全量が通るメイン管路にEGRクーラを配置したりすることが可能になって、内燃機関のコンパクト化やコストダウンに貢献できる。また、EGRクーラの専用のバイパス通路を無くして圧損を低減することで、ウォータポンプの負担を軽減して燃費の向上につなげることも可能になる。更に、EGRクーラには従来以上の冷却水を流すことができるため、EGRクーラの冷却性能も向上できる。
【0010】
また、熱交換部EGRクーラの内部の一方の側に偏らせて設けることで逃がし通路を形成しているため、熱交換部は既存のものをそのまま使用できる。従って、コスト面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】内燃機関の全体的な側面図である。
図2図1のII-II 視正面図である。
図3図1のIII-III 視断面図である。
図4図1の IV-IV視図である。
図5】(A)は図1の VA-VA視断面図、(B)は図1の VB-VB視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため上下・左右・前後の文言を使用するが、上下は鉛直線の方向であり、前後方向はクランク軸及びシリンダボアに対して直交した方向であり、左右方向はクランク軸の長手方向である。
【0013】
(1).概要
本実施形態の内燃機関は、シリンダブロック1とその上面に固定されたシリンダヘッド2とを有する機関本体を備えており、機関本体は、クランク軸3を左右長手の姿勢にした横向きで車両に搭載されている(図1では、クランク軸3は一点鎖線で模式的に表示している。)。シリンダヘッド2の上面にはシリンダヘッドカバー4が固定されており、シリンダブロック1の下面にはオイルパン5を固定している。
【0014】
シリンダブロック1及びシリンダヘッド2の左右端面(短手側面)のうち一方の端面1a,2aには1枚のチェーンケース6が固定されており、チェーンケース6とシリンダブロック1及びシリンダヘッド1との間に形成された空間に、タイミングチェーン(図示せず)等のカム軸駆動機構を配置している。
【0015】
クランク軸3の一端部はチェーンケース6の外側に突出しており、図2のとおり、突出端部に補機駆動プーリ7を固定し、補機駆動プーリ7に巻き掛けた補機駆動ベルト8により、オルタネータ9とウォータポンプ10とエアコン用コンプレッサ11とを駆動している。オルタネータ9とウォータポンプ10とエアコン用コンプレッサ11とは、機関本体のうち手前側に寄っている。このため、ウォータポンプ10のプーリ12には補機駆動ベルト8が背面掛けされている。図2に示す符号13は、テンションプーリである。
【0016】
ウォータポンプ10は、チェーンケース6の一部であるハウジング部14と、ハウンジング10に対してプーリ12の側から固定されたポンプカバー15と、ハウンジング10に対してプーリ12と反対側から固定されたインレットカバー16とを主要要素としており、内蔵した羽根が回転することで、内部に設けた吐出口から冷却水がシリンダブロック1に設けたメインギャラリーに圧送される。
【0017】
ウォータポンプ10のインレットカバー16は、クランク軸3と平行な流入口16aを備えており、流入口16aはチェーンケース6と反対側に突出している。なお、インレットカバー16を設けずに、流入口16aをハウジング部14に一体に設けてもよい。シリンダブロック1のうち、チェーンケース6と反対側の他端面1bには変速機17を固定している。
【0018】
図1に示すように、シリンダヘッド2における前面2cの左右略中間部には、排気継手18が固定されており、排気継手18に触媒コンバータ19を一体に設けている。本実施形態では、各気筒ごとに設けた排気ポートを集合させる集合通路(排気マニホールド部)はシリンダヘッド2の内部に設けており、シリンダヘッド2の外面には1つの排気口が空いているだけである。
【0019】
触媒コンバータ19の上部と下部にはテーパ部を設けており、下テーパ部の下端に継手管20を接続し、継手管20に排気管21が接続されている。また、継手管20にはフランジ板22が固定されている。フランジ板22はブラケット(図示ぜす)を介してシリンダブロック1に固定されている。
【0020】
図1に示すとおり、触媒コンバータ19は、クランク軸3及びシリンダボアと直交した方向から見ると、下に行くに従ってチェーンケース6から遠ざかるように鉛直線に対して傾斜し、図2に示すように、クランク軸3の軸心方向から見ると、下に行くに従ってシリンダブロック1から離れるように鉛直線に対して傾斜している。なお、触媒コンバータ19は、薄板製のインシュレータ(図示せず)で手前から覆われている(半周程度を覆っている。)。
【0021】
(2).冷却水配管・EGR装置
シリンダヘッド2のうちチェーンケース6と反対側に位置した他方の端面2bには、冷却水の流れを制御するサーモ弁ユニット25を設けている。図示は省略するが、サーモ弁ユニット25の箇所からラジェータやヒータ等に配管されている。
【0022】
シリンダヘッド2の前面2cのうちサーモ弁ユニット25に近い端部に冷却水出口26が開口しており、冷却水出口26とウォータポンプ10の流入口16aとが、触媒コンバータ19の後ろを通る戻り管27で接続されている。
【0023】
他方、触媒コンバータ19の継手管20には、排気ガスを吸気系に還流させるEGR配管28が接続されており、EGR配管28の終端は、シリンダヘッド2の前面のうち冷却水出口26の直下にフランジ板29を介して接続されている。シリンダヘッド2には、EGR配管28に連通したEGR内部通路が空いており、EGRガスは、EGR内部通路からEGRバルブを経由して吸気系に送られる。
【0024】
EGR配管28の中途部にはEGRクーラ30が介挿されており、EGRクーラ30は冷却水の戻り管27にも介挿されている。従って、冷却水の戻り管27は、EGRクーラ30よりも上流側に位置した流入管27aと、EGRクーラ30よりも下流側に位置した出口管27bとに分離されている。
【0025】
EGR配管28もEGRクーラ30で分断されているが、EGRクーラ30よりも上流側の部分は、触媒コンバータ19の継手管20に固定された第1部分28aと、EGRクーラ30に固定された第2部分28bとに分離していて、両者は、その端部に固定された第1及び第2のフランジ31,32をボルト33で締結することで接続されている。第1部分28aは第2部分28bよりも少し大径になっている。
【0026】
EGR配管28のうち、EGRクーラ30よりも下流側の部分は1本の第3部分28cから成っており、その終端に既述のフランジ板29が固定されていて、フランジ板29がボルト34(簡略表示している)でシリンダヘッド2に固定されている。EGR配管28の第2部分28bはEGRクーラ30の下面に接続されており、第3部分28cはEGRクーラ30の上面に接続されている。従って、EGRガスはEGRクーラ30を下から上に向かって流れる。第3部分28cは戻り管27の後ろを通っている。
【0027】
冷却水の戻り管27における流入管27aの始端にもフランジ板35が固定されていて、フランジ板35がボルト36でシリンダヘッド2に固定されている。図3及び図4に示すように、シリンダヘッド2のうち戻り管27及びEGR配管28を固定している部分は、排気継手18を固定している部分よりも後ろ側に段落ちしている(正確に述べると、戻り管27及びEGR配管28を固定している部分がシリンダヘッド2の基準前面であり、基準前面に蓋板を固定することで排気集合通路を構成し、蓋板の前面に排気継手18を固定している。)。
【0028】
EGRクーラ30は、上下面と前後面及び左右面を有していて略角形に近い形態であり、図1のとおり、触媒コンバータ19とウォータポンプ10との間に配置されている。従って、戻り管27を構成する流入管27aは、EGRクーラ30のうち触媒コンバータ19の側に位置した側面に接続されて、出口管27bは、EGRクーラ30のうちウォータポンプ10に向いた面に接続されている。この場合、流入管27aの接続部(冷却水入口)よりも出口管27bの接続部(冷却水出口)が低くなるように配置している。従って、冷却水は、EGRクーラ30の内部を横向きに流れつつ、上から下に向けても流れる。
【0029】
また、EGRクーラ30は、触媒コンバータ19に寄せて配置されている。また、図5に明示するように、EGRクーラ30は、触媒コンバータ19よりもシリンダブロック1の側に寄せて配置されている。更に、EGRクーラ30は、平面視で、ウォータポンプ10から遠ざかるほどシリンダブロック1に近づく傾斜姿勢で配置している。
【0030】
図5に示すように、EGRクーラ30の内部には、偏平チューブ状のガス通路(フィン、エレメント)37aの多数枚からなる熱交換部37が配置されており、隣り合ったガス通路37aの隙間を冷却水が通ることでEGRガスが冷却される。
この場合、流入管27aと出口管27bとを手前側に寄せてEGRクーラ30に接続し、かつ、熱交換部37は後ろ側(シリンダブロック1の側)に寄せている。換言すると、熱交換部37が、冷却水入口30aの軸心を挟んで一方の側(後ろ側)にずらして配置されている。
このため、熱交換部37の手前側(冷却水入口30aの軸心を挟んで他方の側(熱交換部37と反対の側)には、冷却水が熱交換部37を通ることなく冷却水入口30aから冷却水出口30bに流れる逃がし通路38が空いている。また、熱交換部37の左右両側にも逃がし通路38が空いている。熱交換部37の左右両側の逃がし通路38は、冷却水を熱交換部37の全体に流すためのバッファ空間として機能している。
【0031】
更に、熱交換部37の全体、EGRクーラ30の冷却水入口30aから冷却水出口30bに向かう流路から後ろにずらすのではなくて、熱交換部37のうち手前側の一部が、EGRクーラ30の冷却水入口30aから冷却水出口30bに向かう流路からはみ出ている。従って、熱交換部37の手前側の一部(略半分程度)は、冷却水入口30aから冷却水出口30bに向かう水流に晒されることになる。
【0032】
従って、流入管27aからEGRクーラ30の内部に流入した冷却水のうち、熱交換部38を通過してEGRガスの冷却の働きをするものは一部であり、EGRガスの冷却機能を全く又は殆ど発揮することなく通過するだけの冷却水も相当割合にのぼっている。隣り合ったガス通路37aの間の隙間は、冷却水の流れ方向と同方向に長く延びている(冷却水入口30aの側と冷却水出口30bの側とに開口している。)。
【0033】
図5(A)に示すように、戻り管27のうち出口管27bは、ウォータポンプ10の流入口16aに内側から差し込んだだけの接続構造になっている。従って、EGRクーラ30はウォータポンプ10の軸心上に配置されている。
【0034】
この場合、流入口16aの開口縁に内向きの環状突起39を設ける一方、出口管27bには、環状突起39に嵌合する外向きの環状溝40を形成しており、出口管27bは流入口16aに圧入によって嵌め込まれている。環状突起39と環状溝40とが嵌まり合っているため、出口管27bが流入口16aに対して多少は傾くことが許容されており、かつ、多少傾いてもシール性は確保されている。
【0035】
(3).まとめ
以上の構成において、EGRクーラ30は戻り管27の中途部に介挿しているため、わざわざバイパス通路を設ける必要はない。このため、コストを抑制できると共に、スペースの制約から開放されて、部材の配置の自由性を向上できる。触媒コンバータ19(或いは他の補機)との間の部分は配置すべきものがないデッドスペースになっていることが多いが、本実施形態では、EGRクーラ30は上記のデッドスペースに配置されているため、内燃機関をコンパクト化できる。
【0036】
EGRガスの冷却に必要な冷熱はさほど多くないため、戻り管27を流れる冷却水の全量を熱交換部37に通す必要はない。従って、実施形態のようにEGRクーラ30の内部に逃がし通路38を設けることで、流れ抵抗が増えることを防止できて好適である。この場合、実施形態のように逃がし通路38を手前側に設けると、触媒コンバータ19の熱(輻射熱)が逃がし通路38の水で吸熱されるため、遮熱性に優れている。
【0037】
実施形態のように、戻り管27のうちの流入管27aを触媒コンバータ19の後ろに配置すると、触媒コンバータ19の熱が流入管27aによっても吸収されるため、シリンダブロック1の冷却性を高めて燃費の向上に貢献できる。
【0038】
また、EGRクーラ30では、冷却水はウォータポンプ10と反対側から流入してウォータポンプ10の側に流出するため、冷却水はEGRクーラ30をスムースに通過する。このため、冷却水は抵抗がない状態でウォータポンプ10に向けて流れると共に、戻り管27が長くなることはないため、重量の増大も生じない。この場合、流入管27aの終端が出口管27bの始端よりも高くなるように設定しているため、冷却水は触媒コンバータ19の内部で上から下にも流れている。このため、熱交換部37の冷却性が高い。
【0039】
実施形態では、EGRクーラ30の内部で、EGRガスは上向きに流れて冷却水は下向きに流れるため、温度が低下したEGRガスを温度が低い冷却水で冷却して、EGRガスの温度低下を促進できる。このため、EGRガスの冷却性能に優れている。従って、充填効率の向上を通じて燃費の向上に貢献できる。
【0040】
また、実施形態では、EGRクーラ30の内部で、EGRガスは下から上に流れている一方、冷却水はおおよそ横向きに流れており、このため、EGRガスの流れ方向と冷却水の流れ方向とがクロスしているが、熱交換部37を挟んで冷却水入口30aの側と冷却水出口30bの側とにも逃がし通路38を設けているため、冷却水は熱交換部37をその上下全長にわたってまんべんなく通過する。このため、熱交換部37の全体に冷却水をまんべんなく接触させて高い冷却効率を確保できる。その結果、燃費向上に貢献できる。
【0041】
さて、ウォータポンプ10の回転数は機関回転数に比例して高くなる。従って、EGRクーラ30を流れる冷却水の流速は、機関回転数が高くなるほど速くなる。そして、本実施形態のように、熱交換部37の一部をEGRクーラ30の冷却水入口30aから冷却水出口30bに向かう流路に露出させて、熱交換部37の一部を水流に晒す構成にすると、機関が高速回転して冷却水の流速が速くなると、熱交換部37に対する抵抗が高くなることで、逃がし通路38を高速で流れる冷却水の量(割合)が増える。
【0042】
つまり、機関の回転数が高くなるほど逃がし通路38を抵抗なく流れる冷却水の量が増えるのであり、これにより、各冷却部の冷却に必要な水量を確保しつつ、圧損を抑制して燃費の向上に貢献できるのである。
【0043】
また、本実施形態では、逃がし通路38が触媒コンバータ19の側に位置しているため、熱交換部37が触媒コンバータ19の熱を受けることはない。このため、EGRガスの冷却性能を向上させて、燃費の向上に貢献できる。
【0044】
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。いずれにしても、冷却水入口から冷却水出口に向けて流れる水流の一部が熱交換部に当たるように配置する。また、少なくとも入口側の箇所に、冷却水を熱交換部全体に流すためのバッファ空間を設けるのが好ましい。
【0045】
例えばEGRクーラは、他の冷却部が接続された配管の中途部に設けることも可能である(すなわち、EGRクーラと他の冷却部とを直列に接続してもよい。)。熱交換部の偏より(ずらし)の態様程度は、必要に応じて任意に設定できる。EGRガスの流れ方向と冷却水の流れ方向とを略同じに設定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明は、内燃機関に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 シリンダブロック
2 シリンダヘッド
10 ウォータポンプ
19 触媒コンバータ(触媒ケース)
25 サーモ弁ユニット
27 冷却水の戻り管
27a 流入管
27b 出口管
28 EGR配管
28a 第1部分
28b 第2部分
28c 第3部分
30 EGRクーラ
30a 冷却水入口
30b 冷却水出口
37a ガス通路(エレメント)
37 熱交換部
38 逃がし通路
図1
図2
図3
図4
図5