(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記読出制御部は、前記検出素子群に含まれる複数の前記第2検出素子を同一の前記読出部で読み出す場合に、前記制御として、当該検出素子群に含まれる前記第2検出素子の数に応じて、前記第1検出素子を読み出す頻度を下げることを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
前記読出制御部は、前記検出素子群に含まれる複数の前記第2検出素子をそれぞれ異なる前記読出部で読み出す場合に、前記制御として、当該検出素子群に含まれる複数の前記第2検出素子それぞれを読み出すタイミングを異ならせる制御を行うことを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係るX線CT装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、X線CT装置100は、ガントリ110と、高電圧発生装置120と、前処理装置130と、再構成装置140と、画像処理装置150と、記憶装置160と、入力装置170と、表示装置180と、システムコントローラ190とを有する。
【0010】
ガントリ110は、被検体にX線を照射し、被検体を透過したX線を検出して生データを生成する。このガントリ110は、X線管111と、スリップリング112と、X線検出器115と、フレーム113と、回転部114と、データ収集回路116と、非接触データ伝送装置117とを有する。
【0011】
X線管111は、スリップリング112を経由して高電圧発生装置120から供給される管電圧及び管電流により、被検体に対して照射するためのX線を発生する。X線検出器115は、X線管111から発生して被検体を透過したX線を検出する。なお、このX線検出器115については、後に詳細に説明する。
【0012】
フレーム113は、円環状に形成され、回転軸RAを中心にして回転可能に設けられている。このフレーム113は、回転軸RAを挟んで対向するようにX線管111及びX線検出器115を支持する。回転部114は、回転軸RAを中心にしてフレーム113を回転させる。例えば、回転部114は、0.4秒/回転の速度でフレーム113を高速に回転させる。これにより、回転部114は、X線管111及びX線検出器115を、被検体の体軸周りに回転させる。
【0013】
X線検出器115は、チャンネル方向(行方向)及びスライス方向(列方向)に複数のX線検出素子(以下、単に「検出素子」と表記する)を有する多列検出器(「マルチスライス型検出器」、「マルチディテクタロー型検出器」とも称される)である。チャンネル方向はフレーム113の回転方向に相当し、スライス方向は被検体の体軸方向に相当する。
【0014】
図2は、第1の実施形態におけるX線検出器115を説明するための図である。
図2の(A)は、X線検出器115の構成例を示す上面図である。X線検出器115は、(A)に示すように、例えば、チャンネル方向(行方向)及びスライス方向(列方向)に配列された複数の検出素子を有する。なお、
図2の(B)は、X線検出器115の構成例を示す斜視図である。
【0015】
例えば、X線検出器115において、各検出素子は、被検体を透過したX線を検出する。そして、各検出素子には、検出したX線量に応じて電荷が蓄積される。各検出素子に蓄積された電荷は、後述のデータ収集回路116によって適宜読み出される。言い換えると、各検出素子に蓄積された電荷が、被検体を透過したX線の信号(X線透過信号)としてデータ収集回路116に送られる。
【0016】
第1の実施形態に係るX線検出器115は、空間分解能が異なる(検出素子の面積が異なる)2つの検出領域(第1検出領域及び第2検出領域)を有する。第1検出領域は、例えば、Xmm幅(Xmm四方)の検出素子がチャンネル方向及びスライス方向に複数配列される。第2検出領域は、例えば、Ymm幅(Ymm四方)の検出素子がチャンネル方向及びスライス方向に2個ずつ複数配列される。なお、第1の実施形態に係るX線検出器115は、ハイブリッド型検出器とも称される。また、X及びYは、互いに異なる値である。
【0017】
図3は、第1の実施形態に係るX線検出器115及びデータ収集回路116の構成を説明するための図である。以下では、「Y=X/2」が成り立つ場合を説明する。
図3に示すように、X線検出器115は、第1検出領域として、Xmm幅の検出素子11,12,13,14,21,22,23,24,31,32,41,42を有する。また、X線検出器115は、第2検出領域として、Ymm幅の検出素子33A,33B,33C,33D,34A,34B,34C,34D,43A,43B,43C,43D,44A,44B,44C,44Dを有する。なお、第2検出領域において、Xmm幅の検出素子に対応する範囲のX線を検出する4個の検出素子は、検出素子群とも称される。すなわち、検出素子群33は、Ymm幅の検出素子33A,33B,33C,33Dがチャンネル方向及びスライス方向に配列される。検出素子群34は、Ymm幅の検出素子34A,34B,34C,34Dがチャンネル方向及びスライス方向に配列される。検出素子群43は、Ymm幅の検出素子43A,43B,43C,43Dがチャンネル方向及びスライス方向に配列される。検出素子群44は、Ymm幅の検出素子44A,44B,44C,44Dがチャンネル方向及びスライス方向に配列される。また、各検出素子は、データ収集回路116に接続される。
【0018】
なお、ここでは、第1検出領域の各検出素子、及び、第2検出領域の各検出素子群が、Xmm四方の範囲におけるX線を検出する場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第1検出領域の各検出素子、及び、第2検出領域の各検出素子群がX線を検出する範囲は、任意の長さに変更可能であり、更に、必ずしもチャンネル方向とスライス方向の長さが一致していなくても良い。また、1個の検出素子群に4個の検出素子が割り当てられる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。検出素子群に含まれる検出素子の数は、任意に変更されて良い。例えば、1個の検出素子群が、Z(Z=X/4)mm幅の検出素子を16個(チャンネル方向に4個、スライス方向に4個)有する場合であっても良い。また、Xmm幅の検出素子は、第1検出素子の一例である。また、Ymm幅の検出素子は、第2検出素子の一例である。
【0019】
データ収集回路116は、複数のDAS(Data Acquisition System)を有する。各DASは、X線検出器115によって検出されたX線の信号(X線透過信号)を読み出し(収集し)、増幅し、さらにデジタル信号のデータ(生データ)に変換する。非接触データ伝送装置117は、各DASから出力される生データを前処理装置130に送信する。
【0020】
ここで、第1の実施形態に係るDASは、チャンネルごとに並ぶ検出素子又は検出素子群によって検出されたX線の信号を順次読み出す。つまり、DASと検出素子との関係は1対1ではなく、1個のDASが複数の検出素子によって検出された信号の処理を行う。なお、DASは、読出部の一例である。
【0021】
図3を用いて、第1の実施形態に係るDASと検出素子の関係について説明する。
図3に示すように、例えば、データ収集回路116は、DAS1,2,3,4を有する。このうち、DAS1は、チャンネル方向の1行目に配列された検出素子11,21,31,41に接続される。そして、DAS1と各検出素子11,21,31,41との間には、DASと各検出素子との接続/非接続を個別に切り替えるスイッチがそれぞれ配置される。このスイッチが個別に制御されることで、DAS1は、各検出素子11,21,31,41によって検出された信号を順次読み出す。
【0022】
また、DAS2は、チャンネル方向の2行目に配列された検出素子12,22,32,42に接続される。そして、DAS2と各検出素子12,22,32,42との間にはそれぞれスイッチが配置される。このスイッチが個別に制御されることで、DAS2は、各検出素子12,22,32,42によって検出された信号を順次読み出す。
【0023】
また、DAS3は、チャンネル方向の3行目に配列された検出素子13,23,33A,33B,33C,33D,43A,43B,43C,43Dに接続される。そして、DAS3と各検出素子13,23,33A,33B,33C,33D,43A,43B,43C,43Dとの間にはそれぞれスイッチが配置される。このスイッチが個別に制御されることで、DAS3は、各検出素子13,23,33A,33B,33C,33D,43A,43B,43C,43Dによって検出された信号を順次読み出す。
【0024】
また、DAS4は、チャンネル方向の4行目に配列された検出素子14,24,34A,34B,34C,34D,44A,44B,44C,44Dに接続される。そして、DAS4と各検出素子14,24,34A,34B,34C,34D,44A,44B,44C,44Dとの間にはそれぞれスイッチが配置される。このスイッチが個別に制御されることで、DAS4は、各検出素子14,24,34A,34B,34C,34D,44A,44B,44C,44Dによって検出された信号を順次読み出す。
【0025】
このように、各DAS1,2,3,4は、各検出素子によって検出された信号の処理を行う。なお、各DAS1,2,3,4は、処理を並行して実行することが可能である。
【0026】
また、データ収集回路116は、読出制御部200を備える。読出制御部200は、各DASが各検出素子から信号を読み出すタイミングを制御する。なお、読出制御部200の処理の詳細については、後述する。
【0027】
図1の説明に戻る。高電圧発生装置120は、ガントリ110のX線管111に管電圧及び管電流を供給してX線を発生させる装置である。前処理装置130は、非接触データ伝送装置117から送信される生データに対して感度補正などの補正処理を行うことによって、画像再構成のもとになる投影データを生成する。
【0028】
再構成装置140は、前処理装置130によって生成された投影データに対して所定の再構成処理を行うことによって、被検体の画像データを再構成する。画像処理装置150は、再構成装置140により再構成された画像データを用いて3次元画像、曲面MPR(Multi Planar Reconstruction)画像、クロスカット画像などを生成する。
【0029】
記憶装置160は、前処理装置130によって生成された投影データや、再構成装置140によって再構成された画像データ、画像処理装置150によって生成された各種画像などを記憶する。例えば、記憶装置160は、HDD(Hard Disk Drive)やDVD(Digital Versatile Disc)ドライブなどである。
【0030】
入力装置170は、X線CT装置100に対する各種操作を操作者から受け付ける。例えば、入力装置170は、キーボードやマウスなどである。表示装置180は、再構成装置140又は画像処理装置150により生成された各種画像や、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを出力する。例えば、表示装置180は、液晶パネルやCRT(Cathode Ray Tube)モニタなどである。
【0031】
システムコントローラ190は、入力装置170によって受け付けられた各種操作に基づいて、X線CT装置100全体の動作を制御する。また、システムコントローラ190は、スキャン条件に基づいて、後述の読出制御部200を制御することで、各検出素子で検出されたX線透過信号の読み出しを制御する。
【0032】
ところで、このような構成のもと、各検出素子からの信号の読み出しを順次行うと、同一のスライス位置であっても、チャンネルごとに収集される信号に時間差が生じてしまう場合がある。
【0033】
図4は、第1の実施形態に係る課題を説明するための図である。
図4において、横方向は、時間に対応する。また、下方向の矢印は、各DASが信号(電荷)を読み出すタイミング(時刻)を表す。なお、
図4では、スライス方向の2列目までは信号を読み出し済みであり、3列目から読み出す場合を説明する。また、ここでは、一例として、
図3に例示したDAS1及びDAS3が信号を読み出すタイミングについて説明するが、データ収集回路116に含まれる他のDASについても同様である。
【0034】
図4に示すように、例えば、各DASが、各検出素子からの信号の読み出しを一定の時間間隔で行う場合に、同一のスライス位置であっても、異なるチャンネルにおいて収集される信号に時間差が生じてしまう。具体的には、DAS1は、時刻t1において検出素子31から信号を読み出し、時刻t2において検出素子41から信号を読み出す。また、DAS3は、時刻t1において検出素子33Aから信号を読み出し、時刻t2において検出素子33Bから信号を読み出し、時刻t3において検出素子33Cから信号を読み出す。続いて、DAS3は、時刻t4において検出素子33Dから信号を読み出し、時刻t5において検出素子43Aから信号を読み出し、時刻t6において検出素子43Bから信号を読み出す。
【0035】
ここで、スライス方向の4列目にある検出素子41及び検出素子群43を読み出すタイミングに着目すると、検出素子41は時刻t2に読み出されるのに対し、検出素子群43の検出素子43A,43Bは時刻t5及びt6に読み出される。これは、検出素子43A及び43Bに蓄積される電荷の方が、検出素子41に蓄積される電荷よりも蓄積時間が長くなることを意味する。このような蓄積時間のずれは、読み出す検出素子の数が増加するほど大きくなる。同一のスライス位置で電荷の蓄積時間にずれが生じると、読み出される電荷の量に誤差が生じてしまい、この結果、生成される画像の画質に悪影響が出てしまう。
【0036】
そこで、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、以下の処理を行うことで、生成画像の画質を高めること可能にする。以下では、この機能を実現するために、X線CT装置100の読出制御部200において行われる処理を説明する。
【0037】
第1の実施形態に係る読出制御部200は、第1検出領域の検出素子の大きさと、第2検出領域の検出素子の大きさとの違いに応じて、同一のスライス位置にある各検出素子からの信号の読み出しを揃える制御を行う。例えば、読出制御部200は、Xmm幅の検出素子を読み出すタイミングと、その検出素子と同一のスライス位置にある検出素子群のYmm幅の検出素子それぞれを読み出すタイミングのうち少なくとも一つのタイミングとを一致させる制御を行う。
【0038】
具体的には、読出制御部200は、例えば、同一のスライス位置にXmm幅の検出素子と検出素子群とが存在する場合に、その検出素子群に含まれるYmm幅の検出素子の数に応じて、Xmm幅の検出素子から読み出す回数を間引く制御を行う。これにより、読出制御部200は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子とYmm幅の検出素子とからの読み出しを揃える。なお、読出制御部200は、例えば、X線検出器115における各検出素子の配列パターンに関する情報をシステムコントローラ190から取得することで、どのスライス位置にXmm幅の検出素子とYmm幅の検出素子(検出素子群)とが存在するかを識別可能である。
【0039】
図5は、第1の実施形態に係る読出制御部200の処理を説明するための図である。
図5において、横方向は、時間に対応する。また、下方向の矢印は、各DASが信号を読み出すタイミングを表す。なお、
図5では、スライス方向の2列目までは信号を読み出し済みであり、3列目から読み出す場合を説明する。また、ここでは、一例として、
図3に例示したDAS1及びDAS3が信号を読み出すタイミングについて説明するが、データ収集回路116に含まれる他のDASについても同様である。
【0040】
図5に示す例では、各検出素子群に含まれるYmm幅の検出素子の数は、4個である。この場合、読出制御部200は、DAS3が4回読み出しを行う間にDAS1が1回読み出しを行うように、DAS1が読み出しを行う頻度を間引く制御を行う。具体的には、読出制御部200は、DAS3に対しては、時刻t1,t2,t3,t4,t5,t6において、それぞれ検出素子33A,33B,33C,33D,43A,43Bからの読み出しを順次行わせる。ここで、読出制御部200は、DAS1に対しては、時刻t2,t3,t4,t6の読み出しを間引く。つまり、読出制御部200は、DAS1に対しては、時刻t1,t5において、それぞれ検出素子31,41からの読み出しを順次行わせる。これにより、読出制御部200は、例えば、3列目の検出素子31及び検出素子群33からの読み出しを、時刻t1〜t4の間に揃える。
【0041】
このように、読出制御部200は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群からの読み出しを揃える。なお、
図5では、DAS3が検出素子群33の読み出しにおいて、検出素子33A,33B,33C,33Dの順に読み出す場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、DAS3は、検出素子33A,33C,33B,33Dの順に読み出しても良いし、他の順序で読み出しても良い。この読み出し順序は、DAS3と各検出素子との間のスイッチが、読出制御部200によって順番に切り替えられることで制御される。また、DAS1が検出素子31を読み出す時刻は、時刻t1に限定されるものではなく、例えば、時刻t2〜t4のいずれかであっても良い。すなわち、検出素子31を読み出すタイミングは、同一のスライス位置にある検出素子群33に含まれる各検出素子のうち、少なくとも一つを読み出すタイミングと一致していればよい。
【0042】
上述してきたように、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、空間分解能が異なる2つの検出領域を有するハイブリッド型検出器を備える。そして、X線CT装置100は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群について、その検出素子及びその検出素子群に含まれるYmm幅の検出素子からの読み出しを揃える制御を行う。このため、X線CT装置100は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群について、各検出素子に蓄積される電荷の蓄積時間がずれるのを抑制するので、生成画像の画質を高めること可能にする。
【0043】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、検出素子群に含まれる複数の検出素子を同一のDASで読み出す場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線CT装置100は、検出素子群に含まれる複数の検出素子をそれぞれ異なるDASで読み出す場合にも、読み出しを揃えることができる。そこで、第2の実施形態では、X線CT装置100が、検出素子群に含まれる複数の検出素子をそれぞれ異なるDASで読み出す場合に、読み出しを揃える処理を説明する。
【0044】
第2の実施形態に係るX線CT装置100は、
図1に示したX線CT装置100と同様の構成を備え、各検出素子群に含まれる複数の検出素子ごとにDASを有する点と、読出制御部200における処理の一部が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については説明を省略する。
【0045】
第2の実施形態に係るDASは、各検出素子群に含まれる検出素子ごとに配置される。言い換えると、DASは、検出素子群が配列されたチャンネルについては、各検出素子群に含まれる検出素子の数と同数以上配置される。そして、これらのDASは、各検出素子群の検出素子のうち1個の検出素子と接続され、接続先の検出素子から信号を読み出す。なお、DASは、異なる検出素子群の間では、複数の検出素子に接続され、複数の接続先の検出素子から信号を順次読み出して良い。
【0046】
図6は、第2の実施形態に係るX線検出器115及びデータ収集回路116の構成を説明するための図である。なお、ここでは、説明の都合上、
図3に例示した検出素子のうち、1行目及び3行目の検出素子を例示する。また、DAS1と検出素子11,21,31,41との配置関係は、
図3と同様であるので説明を省略する。
【0047】
図6に示すように、例えば、データ収集回路116は、検出素子群33,43が配列されたチャンネルについては、各検出素子群における検出素子の数「4」と同数のDAS3A,3B,3C,3Dを有する。このうち、DAS3Aは、チャンネル方向の3行目に配列された検出素子33A,43Aに接続される。そして、DAS3Aと各検出素子33A,43Aとの間には、DASと各検出素子との接続/非接続を個別に切り替えるスイッチがそれぞれ配置される。このスイッチが個別に制御されることで、DAS3Aは、各検出素子33A,43Aによって検出された信号を順次読み出す。
【0048】
また、DAS3Bは、チャンネル方向の3行目に配列された検出素子33B,43Bに接続される。そして、DAS3Bと各検出素子33B,43Bとの間にはそれぞれスイッチが配置される。このスイッチが個別に制御されることで、DAS3Bは、各検出素子33B,43Bによって検出された信号を順次読み出す。
【0049】
また、DAS3Cは、チャンネル方向の3行目に配列された検出素子33C,43Cに接続される。そして、DAS3Cと各検出素子33C,43Cとの間にはそれぞれスイッチが配置される。このスイッチが個別に制御されることで、DAS3Cは、各検出素子33C,43Cによって検出された信号を順次読み出す。
【0050】
また、DAS3Dは、チャンネル方向の3行目に配列された検出素子33D,43Dに接続される。そして、DAS3Dと各検出素子33D,43Dとの間にはそれぞれスイッチが配置される。このスイッチが個別に制御されることで、DAS3Dは、各検出素子33D,43Dによって検出された信号を順次読み出す。
【0051】
このように、検出素子群が配列されたチャンネルについては、各検出素子群の検出素子の数と同数以上のDAS3A,3B,3C,3Dが配置される。そして、各DAS3A,3B,3C,3Dは、それぞれの検出素子群に含まれる検出素子のうち1個の検出素子と接続される。そして、各DAS3A,3B,3C,3Dは、接続先の検出素子から信号を順次読み出す。なお、各DAS3A,3B,3C,3Dは、処理を並行して実行することが可能である。
【0052】
第2の実施形態に係る読出制御部200は、第1の実施形態に係る読出制御部200と同様の機能を有する。更に、読出制御部200は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群について、検出素子群に含まれる複数のYmm幅の検出素子をそれぞれ異なるDASで読み出す場合に、Xmm幅の検出素子及びYmm幅の検出素子を読み出すタイミングを一致させる制御を行う。
【0053】
図7は、第2の実施形態に係る読出制御部200の処理を説明するための図である。
図7において、横方向は、時間に対応する。また、下方向の矢印は、各DASが信号を読み出すタイミングを表す。なお、
図7では、スライス方向の2列目までは信号を読み出し済みであり、3列目から読み出す場合を説明する。また、ここでは、一例として、
図6に例示したDAS1及びDAS3A,3B,3C,3Dが信号を読み出すタイミングについて説明するが、データ収集回路116に含まれる他のDASについても同様である。
【0054】
図7に示す例では、読出制御部200は、DAS1,3A,3B,3C,3Dが読み出すタイミングを一致させる。具体的には、読出制御部200は、時刻t1において、DAS1に検出素子31の読み出しを行わせ、DAS3Aに検出素子33Aの読み出しを行わせ、DAS3Bに検出素子33Bの読み出しを行わせ、DAS3Cに検出素子33Cの読み出しを行わせ、DAS3Dに検出素子33Dの読み出しを行わせる。続いて、読出制御部200は、時刻t2において、DAS1に検出素子41の読み出しを行わせ、DAS3Aに検出素子43Aの読み出しを行わせ、DAS3Bに検出素子43Bの読み出しを行わせ、DAS3Cに検出素子43Cの読み出しを行わせ、DAS3Dに検出素子43Dの読み出しを行わせる。
【0055】
このように、読出制御部200は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群からの読み出しを揃える。
【0056】
上述してきたように、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、空間分解能が異なる2つの検出領域を有するハイブリッド型検出器を備える。また、X線CT装置100は、各検出素子群に含まれる複数の検出素子ごとにDASを有する。そして、X線CT装置100は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群について、検出素子群に含まれる複数のYmm幅の検出素子及びXmm幅の検出素子を読み出すタイミングを一致させる制御を行う。このため、X線CT装置100は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群について、各検出素子に蓄積される電荷の蓄積時間を一致させるので、生成画像の画質を高めること可能にする。
【0057】
具体的には、第1の実施形態では、例えば、3列目の検出素子31及び検出素子群33からの読み出しを時刻t1〜t4の間に揃えるところ、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、時刻t1に一致させる。このため、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、生成画像の画質をより高めること可能にする。
【0058】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、各検出素子群に含まれる複数の検出素子ごとにDASを備えることで、同一のスライス位置にある検出素子及び検出素子群に含まれる複数の検出素子それぞれを読み出すタイミングを一致させる場合を説明した。しかしながら、検出素子、DAS、及びそれらを繋ぐ導線が密集する状況においては、クロストークが発生する場合がある。クロストークとは、隣接する導線を経由する信号が混入したり、互いに影響したりする現象であり、X線CT装置100においては生成画像の画質低下に繋がる恐れがある。そこで、第3の実施形態では、X線CT装置100が、更に、クロストークの発生を抑制するための処理を説明する。
【0059】
第3の実施形態に係るX線CT装置100は、第2の実施形態にて説明したX線CT装置100と同様の構成(
図6の構成)を備え、読出制御部200における処理の一部が相違する。そこで、第3の実施形態では、第2の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第2の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については説明を省略する。
【0060】
第3の実施形態に係る読出制御部200は、第1の実施形態に係る読出制御部200と同様の機能を有する。更に、読出制御部200は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群について、検出素子群に含まれる複数のYmm幅の検出素子それぞれを読み出すタイミングを異ならせる制御を行う。
【0061】
言い換えると、読出制御部200は、検出素子群に含まれる複数のYmm幅の検出素子それぞれを読み出すタイミングを異ならせるために、そのYmm幅の検出素子の数に応じて、それぞれのDASが読み出す頻度を間引く制御を行う。
【0062】
図8は、第3の実施形態に係る読出制御部200の処理を説明するための図である。
図8において、横方向は、時間に対応する。また、下方向の矢印は、各DASが信号を読み出すタイミングを表す。なお、
図8では、スライス方向の2列目までは信号を読み出し済みであり、3列目から読み出す場合を説明する。また、ここでは、一例として、
図6に例示したDAS1及びDAS3A,3B,3C,3Dが信号を読み出すタイミングについて説明するが、データ収集回路116に含まれる他のDASについても同様である。
【0063】
図8に示す例では、読出制御部200は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群からの読み出しを揃える場合に、その検出素子群に含まれる複数のYmm幅の検出素子から読み出すタイミングを異ならせる制御を行う。この場合、各検出素子群に含まれるYmm幅の検出素子の数は、4個である。このため、読出制御部200は、4個の検出素子を読み出すタイミングを異ならせるために、それぞれのDASの読み出しの頻度を4分の1に間引く制御を行う。具体的には、読出制御部200は、時刻t1において、DAS1に検出素子31の読み出しを行わせ、DAS3Aに検出素子33Aの読み出しを行わせる。続いて、読出制御部200は、時刻t2において、DAS3Bに検出素子33Bの読み出しを行わせる。そして、読出制御部200は、時刻t3において、DAS3Cに検出素子33Cの読み出しを行わせる。そして、読出制御部200は、時刻t4において、DAS3Dに検出素子33Dの読み出しを行わせる。そして、読出制御部200は、時刻t5において、DAS1に検出素子41の読み出しを行わせ、DAS3Aに検出素子43Aの読み出しを行わせる。そして、読出制御部200は、時刻t6において、DAS3Bに検出素子43Bの読み出しを行わせる。
【0064】
このように、読出制御部200は、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群からの読み出しを揃える。なお、
図8では、DAS3が検出素子群33の読み出しにおいて、検出素子33A,33B,33C,33Dの順に読み出す場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、DAS3は、検出素子33A,33C,33B,33Dの順に読み出しても良いし、他の順序で読み出しても良い。また、DAS1が検出素子31を読み出す時刻は、時刻t1に限定されるものではなく、例えば、時刻t2〜t4のいずれかであっても良い。すなわち、検出素子31を読み出すタイミングは、同一のスライス位置にある検出素子群33に含まれる各検出素子のうち、少なくとも一つを読み出すタイミングと一致していればよい。
【0065】
上述してきたように、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、空間分解能が異なる2つの検出領域を有するハイブリッド型検出器を備える。また、X線CT装置100は、各検出素子群に含まれる複数の検出素子ごとにDASを有する。そして、X線CT装置100は、検出素子群に含まれる複数の検出素子をそれぞれ異なるタイミングで読み出す。このため、X線CT装置100は、クロストークの発生を抑制することができる。
【0066】
(第4の実施形態)
第1及び第3の実施形態では、同一のスライス位置にあるXmm幅の検出素子及び検出素子群の読み出しを、一定の範囲内(例えばt1〜t4)において揃える場合を説明した。この場合、各検出素子がX線によって曝射される曝射時間(期間)は、厳密には異なってしまう。
【0067】
図9は、検出素子からの信号の読み出しと曝射期間との関係を説明するための図である。
図9において、横方向は、時間に対応する。また、下方向の矢印は、信号(電荷)の読み出しのタイミングを表す。なお、
図9では、一例として、検出素子31,33A,33B,33C,33Dについて例示するが、X線検出器115に含まれる他の検出素子についても同様である。また、ここでは、検出素子33A,33B,33C,33Dからの信号の読み出しをDAS3が行う場合(第1の実施形態に相当)を説明するが、以下の説明は、検出素子33A,33B,33C,33Dからの信号の読み出しをDAS3A,3B,3C,3Dが個別に行う場合(第3の実施形態に相当)も同様である。
【0068】
図9に示すように、時刻t1において、検出素子31及びDAS33Aの読み出しが行われる。続いて、時刻t2において、検出素子33Bの読み出しが行われる。そして、時刻t3において、検出素子33Cの読み出しが行われる。そして、時刻t4において、検出素子33Dの読み出しが行われる。その後、X線検出器115に含まれる他の検出素子についても同様に、順次読み出しが行われる。
【0069】
そして、ある角度で照射されたX線について、全ての検出素子からの読み出しが完了すると、次の角度における読み出しが行われる。すなわち、時刻t1’において、検出素子31及びDAS33Aの読み出しが行われる。続いて、時刻t2’において、検出素子33Bの読み出しが行われる。そして、時刻t3’において、検出素子33Cの読み出しが行われる。そして、時刻t4’において、検出素子33Dの読み出しが行われる。その後、X線検出器115に含まれる他の検出素子についても同様に、順次読み出しが行われる。
【0070】
ここで、例えば、時刻t1’に読み出される信号は、時刻t1から時刻t1’までの曝射によって蓄積された電荷に対応する。また、時刻t2’に読み出される信号は、時刻t2から時刻t2’までの曝射によって蓄積された電荷に対応する。また、時刻t3’に読み出される信号は、時刻t3から時刻t3’までの曝射によって蓄積された電荷に対応する。また、時刻t4’に読み出される信号は、時刻t4から時刻t4’までの曝射によって蓄積された電荷に対応する。
【0071】
このように、検出素子31,33A,33B,33C,33Dから読み出される信号は、厳密には、異なる期間に曝射されたものに対応する。このため、各検出素子にX線が曝射された時のX線量を用いて、各検出素子から出力される生データを補正することが好ましい。そこで、第4の実施形態では、X線CT装置100が、各検出素子にX線が曝射された時のX線量を用いて、各検出素子から出力される生データを補正する場合を説明する。
【0072】
図10は、第4の実施形態に係るX線CT装置100の構成を示す図である。第4の実施形態に係るX線CT装置100は、
図1に示したX線CT装置100と同様の構成を備え、X線管111の近傍にRef(Reference)検出器210が設置される点とデータ収集回路116及び前処理装置130における処理の一部が相違する。そこで、第4の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については説明を省略する。
【0073】
第4の実施形態に係るRef検出器210は、検出素子を有する。Ref検出器210の検出素子は、被検体を透過していないX線の信号(X線非透過信号)を検出する。そして、Ref検出器210の検出素子は、検出したX線非透過信号をデータ収集回路116に順次出力する。なお、この検出素子は、検出素子11〜42と同じ素材により構成されることが望ましい。
【0074】
第4の実施形態に係るデータ収集回路116は、第1の実施形態において説明した機能と同様の機能を有する。更に、データ収集回路116は、Ref検出器210によって検出されたX線非透過信号を処理するためのDAS(Ref用DAS)を有する。
【0075】
Ref用DASは、読出制御部200による制御のもと、Ref検出器210によって検出されたX線非透過信号に基づいて、X線検出器115における各検出素子の曝射時間に対応するデータ(リファレンスデータ)を生成する。
【0076】
図11は、第4の実施形態に係るリファレンスデータの生成について説明するための図である。
図11において、横方向は時間に対応する。また、下方向の矢印は、信号(電荷)の読み出しのタイミングを表す。なお、
図11では、一例として、検出素子31,33A,33B,33C,33Dについて例示するが、X線検出器115に含まれる他の検出素子についても同様である。また、ここでは、検出素子33A,33B,33C,33Dからの信号の読み出しをDAS3が行う場合(第1の実施形態に相当)を説明するが、以下の説明は、検出素子33A,33B,33C,33Dからの信号の読み出しをDAS3A,3B,3C,3Dが個別に行う場合(第3の実施形態に相当)も同様である。
【0077】
図11に示すように、Ref用DASは、各検出素子31,33A,33B,33C,33Dから出力される生データそれぞれに対して、リファレンスデータA,B,C,Dを生成する。
【0078】
具体的には、Ref用DASは、コンデンサを有し、Ref検出器210から出力されたX線非透過信号(電荷)を蓄積する。そして、Ref用DASは、コンデンサに蓄積された信号を、各検出素子31,33A,33B,33C,33Dを読み出すタイミングで読み出す。
図11の例では、Ref用DASは、時刻t1,t2,t3,t4,t1’,t2’,t3’,t4’のタイミングで信号を読み出す。ここで読み出した信号は、t1〜t2、t2〜t3・・・、t3’〜t4’の各期間の非透過X線によって蓄積された電荷に対応する。そして、Ref用DASは、各期間において読み出した信号を増幅し、更にデジタル信号のデータ(期間データ)に変換する。この期間データは、各期間の信号の移動平均に対応する。
【0079】
そして、Ref用DASは、
図11に示すように、各検出素子31,33A,33B,33C,33Dが曝射された期間に対応するリファレンスデータを生成する。具体的には、Ref用DASは、各期間データを加算することで、検出素子ごとのリファレンスデータを生成する。例えば、Ref用DASは、検出素子31及び検出素子33Aについては、t1〜t1’の期間に対応する期間データを加算することで、リファレンスデータAを生成する。つまり、Ref用DASは、t1〜t2、t2〜t3・・・、〜t1’の各期間の期間データをそれぞれ加算することで、リファレンスデータAを生成する。また、Ref用DASは、検出素子33Bについては、t2〜t2’の期間に対応する期間データを加算することで、リファレンスデータBを生成する。また、Ref用DASは、検出素子33Cについては、t3〜t3’の期間に対応する期間データを加算することで、リファレンスデータCを生成する。また、Ref用DASは、検出素子33Dについては、t4〜t4’の期間に対応する期間データを加算することで、リファレンスデータDを生成する。
【0080】
そして、データ収集回路116は、各検出素子31,33A,33B,33C,33Dに由来する生データに、各生データに対応するリファレンスデータを付帯させる。例えば、データ収集回路116は、検出素子31に由来する生データに、リファレンスデータAを付帯させる。また、データ収集回路116は、検出素子33Aに由来する生データに、リファレンスデータAを付帯させる。また、データ収集回路116は、検出素子33Bに由来する生データに、リファレンスデータBを付帯させる。また、データ収集回路116は、検出素子33Cに由来する生データに、リファレンスデータCを付帯させる。また、データ収集回路116は、検出素子33Dに由来する生データに、リファレンスデータDを付帯させる。
【0081】
第4の実施形態に係る前処理装置130は、各生データに付帯されたリファレンスデータを用いて、各生データを補正する補正処理を行う。例えば、出力比(=生データ/リファレンスデータ)を求める。この出力比は、被検体によるX線の減衰を表している。
【0082】
例えば、前処理装置130は、検出素子31に由来する生データを、リファレンスデータAで除算する。また、前処理装置130は、検出素子33Aに由来する生データを、リファレンスデータAで除算する。また、前処理装置130は、検出素子33Bに由来する生データを、リファレンスデータBで除算する。また、前処理装置130は、検出素子33Cに由来する生データを、リファレンスデータCで除算する。また、前処理装置130は、検出素子33Dに由来する生データを、リファレンスデータDで除算する。
【0083】
このように、第4の実施形態に係るX線CT装置100は、各検出素子にX線が曝射された時のX線量を用いて、各検出素子から出力される生データを補正することを可能にする。
【0084】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、生成画像の画質を高めること可能にする。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。